JP5315147B2 - 中空構造用プリプレグ成形体の成形方法及び複合材成形品の成形方法 - Google Patents
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Description
まず、シリコーンゴム製中子型上に第1離型フィルムを被覆し、この第1離型フィルム上に第2離型フィルムを被覆する第1工程と、第2離型フィルム上に中空構造用プリプレグを積層した後に、中空構造用プリプレグに圧力を加えてシリコーンゴム製中子型に第1離型フィルム、第2離型フィルムを介して中空構造用プリプレグを密着させて中空構造用プリプレグを得る第2工程と、シリコーンゴム製中子型を第1離型フィルムと共に長尺方向から脱型する第3工程と、を含むので、三次元形状の複合材成形品の製造に際し、第1離型フィルムと一体になったシリコーンゴム製中子型を中空構造物用プリプレグ成形体の中空部に第2離型フィルムを介して追従させながら容易に脱型することができる。また、金属製中子型のような高価な分割中子型が不要となり、コストを低減することができる。
図1に示すように、エルロン(Aileron)10は、航空機の主翼の後縁に可動するように取付けられる繊維強化複合材料製の補助翼であり、上側外板11と、下側外板12と、これらの上側外板11及び下側外板12とに上下に渡すとともに長手方向に延びる複数の中間桁13〜15とからなる一体成形品である。なお、符号10a〜10dは上側外板11、下側外板12及び中間桁13〜15で囲まれた中空部、17はエルロン10の前縁、18はエルロン10の後縁である。
上記のエルロン10の後縁18は、長手方向に単純なストレート形状ではなく、長手方向でわずかに捩れるように形成されている。
上側外板11は、機構部品の組込みのための凹状開口部11aを有する。
図2は下型21の上にシート状の外皮用プリプレグ(Prepreg)22を載せ、この外皮用プリプレグ22の上に中空構造物用プリプレグ集合体23を載せた状態を示している。
上記の熱硬化性樹脂としては、エポキシ樹脂、ポリウレタン、不飽和ポリエステル、ビスマレイミド樹脂、フェノール樹脂が好適である。
上記の熱可塑性樹脂としては、ナイロン6、ナイロン66、ポリエチレンテレフタレート、PEEKが好適である。
前縁型31は、前縁上型32と、この前縁上型32の下方に配置された前縁下型33と、これらの前縁上型32及び前縁下型33の位置決めをする前縁型用キー34とからなり、前縁型用キー34は、前縁上型32及び前縁下型33のそれぞれの合わせ面に形成された長手方向に延びる一対のキー溝に嵌合している。
上記の前中間用シリコーンゴム製中子型35、内側離型フィルム36は、前中間用プリプレグ挿入物38を構成するものである。
後中間型39は、上から順に配置された中間上型41、中間中型42、中間下型43と、中間上型41及び中間中型42のそれぞれを互いに位置決めするとともに、中間中型42及び中間下型43のそれぞれを互いに位置決めする中間型用キー45とからなる。
後縁用シリコーンゴム製中子型51、内側離型フィルム52及び後縁用金属製中子型53は、後縁用プリプレグ挿入物56を構成するものである。
図5に示すように、後中間型39は、その長手方向に延びるように配置された一体成形の長尺な繊維強化複合材料製の中間型用キー45を備える。なお、符号41bは後中間用プリプレグ成形体27(図3参照)の後中間凹部27a(図3参照)を形成するために中間上型41の上面に形成された中間上型凹部である。
図7(a)は前縁型31の横断面を示している。
図7(b)において、前縁型31の表面に離型剤を塗布した後に、前縁型31にシート状の前縁用プリプレグ25Pを両端部が重なるように巻く。
図8(b)において、前中間用シリコーンゴム製中子型35に内側離型フィルム36を巻いて、前中間用シリコーンゴム製中子型35の表面を内側離型フィルム36で被覆する。
図8(c)は内側離型フィルム36を前中間用シリコーンゴム製中子型35の表面に密着させた状態を示している。
図8(e)は外側離型フィルム37を内側離型フィルム36に密着させた状態を示している。
図9(b)において、前中間用プリプレグ26Pで覆われた外側離型フィルム37及び前中間用プリプレグ挿入物38を平板77上に載せ、真空バッグ78を被せる。なお、符号79は平板77と真空バッグ78との間をシールするシール部材である。
これで、図9(d)に示すように、前中間用プリプレグ成形体26を含む前中間用中間成形品80が完成する。
図10(b)において、後中間型39の表面に離型剤を塗布した後に、後中間型39にシート状の後中間用プリプレグ27Pを両端部が重なるように巻く。
図11(b)は内側離型フィルム52を後縁用シリコーンゴム製中子型51の表面に密着させた状態を示している。
図11(c)において、後縁用シリコーンゴム製中子型51に形成された段部51aに内側離型フィルム52を介して後縁用金属製中子型53を載せる。
図11(e)は外側離型フィルム54を内側離型フィルム52及び後縁用金属製中子型53の表面に密着させた状態を示している。
図12(b)において、後縁用プリプレグ28Pで覆われた外側離型フィルム54及び後縁用プリプレグ挿入物56を平板77上に載せ、真空バック78を被せる。
これで、図12(d)に示すように、後縁用プリプレグ成形体28を含む後縁用中間成形品81が完成する。
図13について説明する。
図13(a)において、下型21の表面に離型剤を塗布した後、外皮用プリプレグ22を下型21に積層する。外皮用プリプレグ22のうち、下型21の凹部21a内に配置された部分は下側プリプレグ22aである。
外皮用プリプレグ22の部分22b,22cは、上側プリプレグ22dを構成している。
図14(a)において、後縁用プリプレグ成形体28内から、まず、内側離型フィルム52で覆われた後縁用シリコーンゴム製中子型51を長手方向に抜き、この後で、後縁用金属製中子型53(図12(d)参照)を抜く。また、同様にして、前中間用プリプレグ成形体26内から内側離型フィルム36で覆われた前中間用シリコーンゴム製中子型35を抜く。
なお、後縁用シリコーンゴム製中子型51を抜くと、そこに空間が出来ることになり、後縁用金属製中子型53を下方向に脱落させることが可能になり、後縁用金属製中子型53を長手方向に抜くことが可能になる。(後縁用金属製中子型53には、凹状開口部11a(図1参照)に追従するように中子型凹部が形成されており、後縁用シリコーンゴム製中子型51を抜かないと、凹状開口部11aと中子型凹部が噛み合った状態のため、後縁用金属製中子型53が抜けない。)
図14(d)はチューブバッグ85が前中間用プリプレグ成形体26内に挿入され、チューブバッグ86が後縁用プリプレグ成形体28内に挿入された状態を示している。
図15(b)において、プレッシャプレート91の上に、真空引きによる減圧時に通気するためのブリーザ92を載せ、下型21、プレッシャプレート91及びブリーザ92の上を真空バッグ93で覆い、真空バッグ93内を真空引きする。なお、チューブバッグ85,86の両端部である開口部85a,86a(図14(d)参照)は、真空バッグ93の外側に露出している。
前縁型31については、図3において、前縁上型32又は前縁下型33のいずれかを長手方向に向けてハンマー等で軽く叩いて前縁上型32と前縁下型33と前縁型用キー34との相対的な位置関係をずらし、この状態で工具(ペンチ等)で前縁型用キー34の端部を挟んで引き抜き、前縁上型32及び前縁下型33の一方を引き抜き、前縁上型32及び前縁下型33の他方を引き抜く。
本発明では、二重になった離型フィルムのうちの内側離型フィルムと中子型とを一緒に引き抜くことで、外側離型フィルムが前中間用プリプレグ成形体26、後縁用プリプレグ成形体28の内面側に密着して残るため、通常の離型フィルムの配置作業が要らなくなる。
図16に示すように、前中間用プリプレグ成形体26内のチューブバッグ85及び後縁用プリプレグ成形体28内のチューブバッグ86にそれぞれ圧縮空気を送り、前中間用プリプレグ成形体26及び後縁用プリプレグ成形体28に所定の圧力を作用させる。
Claims (1)
- 長尺状で三次元形状からなる複合材成形品を形成する中空構造用プリプレグ成形体の成形方法において、
シリコーンゴム製中子型上に第1離型フィルムを被覆し、この第1離型フィルム上に第2離型フィルムを被覆する第1工程と、
前記第2離型フィルム上に中空構造用プリプレグを積層した後に、前記中空構造用プリプレグに圧力を加えて前記シリコーンゴム製中子型に第1離型フィルム、第2離型フィルムを介して中空構造用プリプレグを密着させて中空構造用プリプレグ成形体を得る第2工程と、
前記シリコーンゴム製中子型を前記第1離型フィルムと共に長尺方向から脱型する第3工程とを含む中空構造用プリプレグ成形体の成形方法により複合材成形品を成形する複合材成形品の成形方法であって、
前記第1工程及び前記第2工程で得られるシリコーンゴム製中子型付き中空構造物用プリプレグ成形体を、下型に載せた下側外皮用プリプレグ上に配置する第4工程と、
前記中空構造物用プリプレグ成形体上に上側外皮用プリプレグを積層する第5工程と、
前記第3工程を実施し、シリコーンゴム製中子型を第1離型フィルムと共に長尺方向から脱型させる第6工程と、
前記中空構造物用プリプレグ成形体の中央部にチューブバッグを挿入する第7工程と、
前記上側外皮用プリプレグの上を真空バッグで覆い、真空バッグ内を真空引きし、一方で真空バッグの外側に露出した前記チューブバッグの開口部から圧縮空気を送り、前記中空構造物用プリプレグ成形体に所定の圧力を作用させた状態で加熱・加圧させ、前記複合材成形品を得る最終工程と、
からなることを特徴とする複合材成形品の成形方法。
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