以下に、この発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
実施の形態1
図1はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタを示す概略構成図である。また、このタンデム型のデジタルカラープリンタは、画像読取装置を備えており、フルカラー複写機やファクシミリとしても機能するようになっている。なお、上記画像形成装置としては、画像読取装置を備えずに、図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データに基づいて画像を形成するものであっても勿論よい。
図1において、1はタンデム型のデジタルカラープリンタの本体を示すものであり、このデジタルカラープリンタ本体1は、その一側(図示例では、右側)の上部に、自動原稿搬送装置2によって自動的に読取位置へと搬送される原稿3の画像を読み取る画像読取装置4を備えている。また、上記画像読取装置4の内部には、当該画像読取装置4や図示しないパーソナルコンピュータ等から出力される画像データ、あるいは電話回線やLAN等を介して送られてくる画像データに対して、所定の画像処理を施す画像処理装置5が配設されているとともに、デジタルカラープリンタ本体1の内部には、画像処理装置5で所定の画像処理が施された画像データに基づいて画像を出力する画像出力装置6が配設されている。
上記自動原稿搬送装置2は、図1に示すように、原稿載置トレイ7上に載置された原稿3を1枚ずつ分離した状態で搬送し、当該原稿3の画像を走査光学系が読取位置(図1に示す位置)に停止した画像読取装置4によって走査することで読み取った後、画像が読み取られた原稿3を原稿載置トレイ7の下方に設けられた原稿排出トレイ8上に排出するように構成されている。
また、上記画像読取装置4は、プラテンカバーを兼ねた自動原稿搬送装置2を開閉することにより、原稿3をプラテンガラス9上に載置し、当該プラテンガラス9上に載置された原稿3を光源10によって照明するとともに、原稿3からの反射光像を、フルレートミラー11及びハーフレートミラー12、13及び結像レンズ14からなる縮小走査光学系を介してCCD等からなる画像読取素子15上に走査露光して、この画像読取素子15によって原稿3の画像を予め定められたドット密度(例えば、16ドット/mm)で読み取るように構成されている。
上記画像読取装置4によって読み取られた原稿3の画像は、例えば、赤(R)、緑(G)、青(B)(各8bit)の3色の原稿反射率データとして画像処理装置5に送られ、この画像処理装置5では、原稿3の反射率データに対して、シェーディング補正、位置ズレ補正、明度/色空間変換、ガンマ補正、枠消し、色/移動編集等の予め定められた画像処理が施される。
そして、上記の如く画像処理装置5で予め定められた画像処理が施された画像データは、同じく画像処理装置5によりイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)(例えば、各8bit)の4色の画像データに変換されて、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの画像露光装置17Y、17M、17C、17Kに送られ、これらの画像露光装置17Y、17M、17C、17Kでは、対応する色の画像データに応じてレーザー光による画像露光が行われる。
ところで、上記タンデム型のデジタルカラープリンタ本体1の内部には、上述したように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kが、水平方向に一定の間隔をおいて並列的に配置されている。なお、上記各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、図1及び図2に示すように、デジタルカラープリンタ本体1に対してスライドレール18によって個別に手前側に引き出し可能に装着されている。
これら4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kは、図2に示すように、形成する画像の色以外はすべて同様に構成されており、大別して、矢印方向に沿って所定の速度で回転駆動される潜像担持体としての感光体ドラム20と、この感光体ドラム20の表面を一様に帯電する一次帯電用のスコロトロン21と、当該感光体ドラム20の表面に各色に対応した画像データに基づいて画像露光を施して静電潜像を形成する画像書込手段としての画像露光装置17と、感光体ドラム20上に形成された静電潜像をトナーによって現像する現像装置22と、感光体ドラム20の表面に残留したトナーや外添剤等を清掃するクリーニング装置23とから構成されている。
上記画像露光装置17は、図2に示すように、半導体レーザー24を画像処理装置5から出力される対応する色の画像データに応じて変調し、この半導体レーザー24からレーザー光LBを画像データに応じて出射する。この半導体レーザー24から出射されたレーザー光LBは、回転多面鏡25によって偏向走査された後、f−θレンズ26や反射ミラー27等を介して感光体ドラム20上にその回転軸方向に沿って走査露光される。
上記画像処理装置5からは、図1に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色の画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの画像露光装置17Y、17M、17C、17Kに対して対応する色の画像データが順次出力され、これらの画像露光装置17Y、17M、17C、17Kから画像データに応じて出射されるレーザー光LBが、対応する感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kの表面に走査露光されて静電潜像が形成される。上記各感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kの表面に形成された静電潜像は、現像装置22Y、22M、22C、22Kによって、それぞれイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像として現像される。
上記現像装置22Y、22M、22C、22Kは、例えば、図3に示すように、上端面が全面開口した平面略矩形状の箱体として形成された下部ハウジング28と、当該下部ハウジング28の上端開口面を閉塞するように設けられた蓋体としての上部ハウジング29とからなる現像装置ハウジング30を備えている。この現像装置ハウジング30には、感光体ドラム20と対向する現像領域31に面して開口部32が長手方向(図面に垂直な方向)に沿って設けられているとともに、当該現像装置ハウジング30の内部には、開口部32に対向した位置に現像剤担持体としての現像ロール33が配設されている。
上記現像ロール33は、その内部に現像装置ハウジング30に固定した状態で配設されたマグネットロール34と、当該マグネットロール34の外周に矢印方向に沿って回転可能に配設された現像スリーブ35とから構成されている。この現像ロール33には、後述するように、供給オーガー38によって現像剤37が供給されるとともに、当該現像ロール33の表面に供給された現像剤37は、層厚規制部材36によって現像剤37の層厚が規制された後、トナーとキャリアからなる現像剤37の穂立ちとなって感光体ドラム20と対向する現像領域31へと搬送され、当該感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像とトナーとキャリアからなる現像剤37の穂立ちが接触するとともに、現像スリーブ35に現像バイアス電圧を印加することによって、感光体ドラム20表面の静電潜像が現像される。その後、上記現像ロール33の表面に残留した現像剤37は、マグネットロール34の図示しない反発磁極によって現像ロール33の表面から一旦剥離された後、供給オーガー38によって新たな現像剤37が供給され、現像工程が行われる。
上記現像ロール33によって現像領域31へと搬送される現像剤37の量は、層厚規制部材36によって予め定められた量となるように設定されており、トナーとキャリアからなる現像剤37の穂立ちは、現像領域31において感光体ドラム20の表面に摺擦される状態で、当該感光体ドラム20表面の静電潜像を現像するようになっている。
また、上記現像装置ハウジング30の内部には、図3に示すように、トナーとキャリアからなる二成分現像剤37が収容されているとともに、この二成分現像剤37を攪拌しつつ搬送する供給オーガー38と搬送オーガー39とが、現像ロール33の背面側(感光体ドラム20と反対側)の斜め下方に回転可能に配設されている。上記供給オーガー38及び搬送オーガー39は、図4に示すように、回転軸40、42と、当該回転軸40、42の外周に螺旋状に設けられた搬送用羽根41、43とから構成されており、これらの供給オーガー38及び搬送オーガー39は、その軸方向に沿って互いに反対方向に、供給オーガー38は図4中右側の端部から左側の端部に向けて、搬送オーガー39は図4中左側の端部から右側の端部に向けて、現像剤37を攪拌しつつ搬送するとともに、両者の間に設けられた仕切り壁44の現像剤搬送方向に沿った両端部に設けられた通路45、46を介して現像剤37の受け渡しを行って循環させつつ、供給オーガー38によって図3に示すように現像ロール33表面にその軸方向に沿って略均一に現像剤37を供給するように構成されている。
上記現像ロール33及び供給オーガー38、並びに搬送オーガー39は、図4に示すように、その回転軸33a、40、42の一端部に取り付けられたギア47、48、49を介して、図示しない駆動モーターにより感光体ドラム20の表面に対して予め定められた回転速度(周速比)で、現像領域31において両者が同一方向に移動するように回転駆動される。なお、上記感光体ドラム20と現像ロール33の回転方向としては、図3中、感光体ドラム20が時計周り方向であり、現像ロール33が反時計周り方向である。
また、この実施の形態では、予め定められたタイミングで、図示しない現像装置用の駆動モーターの回転速度を変化させることにより、現像ロール33の回転速度、つまり感光体ドラム20の表面に対する周速比を増加するように変更することが可能となっている。
さらに、上記クリーニング装置23は、図1及び図2に示すように、感光体ドラム20の表面に残留した転写残トナーやトナーの外添剤等を除去して清掃するクリーニングブレード51を備えており、このクリーニングブレード51は、例えば、ポリウレタン等の合成樹脂によって平板状に形成されており、感光体ドラム20の表面に対して、当該感光体ドラム20の回転方向と反対方向から当接するように配設されている。
上記各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの感光体ドラム20Y、20M、20C、20K上に順次形成されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、図1に示すように、各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの下方に配置された無端ベルト状の中間転写体としての中間転写ベルト52上に、一次転写ロール53Y、53M、53C、53Kによって多重に転写される。この中間転写ベルト52は、駆動ロール54と、張架ロール55と、蛇行制御用ロール56と、従動ロール57と、背面支持ロール58と、従動ロール59との間に一定の張力で掛け回されており、図示しない定速性に優れた専用の駆動モーターによって回転駆動される駆動ロール54により、矢印方向に沿って予め定められた移動速度で循環駆動されるようになっている。上記中間転写ベルト52としては、例えば、可撓性を有するポリイミドやポリアミドイミド等の合成樹脂フィルムを帯状に形成し、この帯状に形成された合成樹脂フィルムの両端を溶着等の手段によって接続することにより、無端ベルト状に形成したものが用いられる。
上記デジタルカラープリンタ本体1は、図1に示すように、中間転写ベルト52を循環移動自在に張架した複数本のロール54〜59を含むベルトユニット60を備えており、このベルトユニット60の外形は、中間転写ベルト52の移動経路と略等しい形状に形成されている。上記ベルトユニット60は、中間転写ベルト52がイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kの感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kと接離自在となるように、プリンタ本体1のスライドフレーム61に昇降自在に取り付けられているとともに、当該スライドフレーム61は、その左右両端部に設けられたスライドレール62を介してプリンタ本体1の手前側に引き出し自在に装着されている。
上記中間転写ベルト52上に多重に転写されたイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各色のトナー像は、バックアップロール58の表面に接触する直径の小さな電圧印加用ロール63によってトナーと逆極性(正極性)の転写電圧が印加されるとともに、バックアップロール58に圧接する接地された二次転写ロール64によって、圧接力及び静電気力で記録媒体としての記録用紙65上に二次転写され、形成する画像の色に応じたトナー像が転写された記録用紙65は、搬送ベルト66によって定着装置67へと搬送される。そして、上記各色のトナー像が転写された記録用紙65は、定着装置67の加熱ロール68及び加圧ロール69によって熱及び圧力で定着処理を受け、プリンタ本体1の外部に設けられた排出トレイ70上に排出される。
なお、上記二次転写ロール64と搬送ベルト66を含む二次転写ユニット71は、二次転写領域に記録用紙65が詰まった際などに、紙詰まりした記録用紙65を取り除く必要があるため、二次転写ロール64が背面支持ロール58によって張架された中間転写ベルト52と接離可能に構成されているとともに、二次転写ユニット71は、スライドレール72を介してプリンタ本体1の手前側に引き出し自在に装着されている。
上記記録用紙65は、図2に示すように、プリンタ本体1の底部に配設された給紙トレイ73から所望のサイズ及び材質のものが、給紙ロール74及び用紙分離用のロール対75によって1枚ずつ分離された状態で給紙され、レジストロール76まで一旦搬送される。上記給紙トレイ73から供給された記録用紙65は、予め定められたタイミングで回転駆動されるレジストロール76によって中間転写ベルト52の二次転写位置へと送出される。
それに先だって、上記イエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色の4つの画像形成ユニット16Y、16M、16C、16Kでは、上述したように、それぞれイエロー色、マゼンタ色、シアン色、黒色のトナー像が予め定められたタイミングで順次形成されるようになっている。
なお、上記感光体ドラム20Y、20M、20C、20Kは、トナー像の転写工程が終了した後、クリーニング装置18Y、18M、18C、18Kのクリーニングブレード51によって残留トナーや外添剤等が除去されて、次の画像形成プロセスに備える。また、中間転写ベルト52は、駆動ロール54の近傍に配設されたベルト用クリーナー77によって残留トナーや紙粉等が除去される。
図1中、78Y、78M、78C、78Kは、対応する色の現像装置22Y、22M、22C、22Kにトナー又はトナーとキャリアとからなる現像剤を補給するイエロー、マゼンタ、シアン及び黒のトナーカートリッジをそれぞれ示している。
ところで、上記の如く構成されるデジタルカラープリンタでは、図1に示すように、イエロー色、マゼンタ色、シアン色及び黒色の各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて、感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に画像情報に応じたトナー像が形成され、当該感光体ドラム15Y、15M、15C、15K上に形成されたトナー像は、中間転写ベルト52上に多重に一次転写された後、記録用紙65上に一括して二次転写され、フルカラーやモノクロの画像等が形成される。
その際、上記感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面は、図2に示すように、一次帯電器としてのスコロトロン21によって負極性の予め定められた電位に帯電された後、画像露光装置17によって画像部に画像露光が施されて画像情報に応じた静電潜像が形成され、当該感光体ドラム15Y、15M、15C、15Kの表面に形成された静電潜像が現像装置22によって反転現像されてトナー像となる。
上記現像装置22で使用されるトナーの表面には、帯電特性や粒状性等を制御するため、シリカや酸化金属粒子等からなる粒径が非常に小さい微粒子からなる外添剤が添加されている。この外添剤は、トナーの帯電特性や粒状性等を制御するものであるため、基本的に、トナーの本来の帯電極性と同極性である負極性に帯電する特性を有している。
そのため、上記現像装置22では、図3に示すように、感光体ドラム20の表面に形成された静電潜像を現像剤37の穂立ちによって現像する際に、トナーと共に当該トナーの表面に添加された外添剤の一部が、トナー表面から剥離して感光体ドラム20の表面に付着することとなる。この感光体ドラム20の表面に付着した外添剤は、図2に示すように、その多くが中間転写ベルト52の一次転写位置をそのまま通過してクリーニング装置23に到達し、クリーニング装置23のクリーニングブレード51によって掻き取られて除去される。
ところが、上記デジタルカラープリンタでは、低温低湿の環境下乃至、低温低湿の環境下に近い常温常湿環境下、特に低温低湿の環境下において、クリーニング装置23のクリーニングブレード51の物性などに起因して、感光体ドラム20の表面に付着した外添剤を確実に除去することができず、感光体ドラム20の表面に付着した外添剤が、そのままクリーニング装置23のクリーニングブレード51をすり抜けて、感光体ドラム20の表面に残留したまま、次の画像形成工程に移行することがあることが、本発明者等の実験によって確認された。
上記のごとく、感光体ドラム20の表面に付着した外添剤が、クリーニング装置23のクリーニングブレード51をすり抜けて、感光体ドラム20の表面に残留したまま、次の画像形成工程に移行した場合には、感光体ドラム表面20の同一領域が複数回にわたって継続して画像領域となるように、画像形成工程が繰り返し実行されると、現像装置22によって現像剤37による現像を繰り返し受けて、トナーと共に感光体ドラム20の表面に付着した外添剤が徐々に蓄積されていくこととなる。この感光体ドラム20の表面に徐々に蓄積された外添剤は、元の現像位置に堆積することは勿論のこと、複数回の画像形成工程により元の現像位置から感光体ドラム20の回転方向に沿った下流側にも徐々に移動する。
すると、上記感光体ドラム20の表面には、図5(a)に示すように、クリーニング装置23のクリーニングブレード51をすり抜けた負帯電の外添剤81が残留し、次の画像形成工程のために、感光体ドラム20の表面をスコロトロン21によって帯電する際に、負帯電の外添剤81が付着した領域を含めて感光体ドラム20の表面が負極性に帯電される。このとき、上記スコロトロン21は、感光体ドラム20の表面が予め定められた負極性の電位VHと等しい電位となるように感光体ドラム20の表面を帯電するため、負帯電の外添剤81が付着した感光体ドラム20の領域は、図6(b)に示すように、外添剤81が有する負極性の電荷も含めた電位が、予め定められた電位VHと等しくなるように帯電される。その結果、負帯電の外添剤81が付着した感光体ドラム20の領域は、負極性に帯電した外添剤81を除いた表面電位が、図6(b)に破線で示すように、外添剤81が付着していない感光体ドラム20の領域よりも低い電位となっている。なお、図6中、マイナス符号が中に描かれた小さな丸82は、スコロトロン21によって感光体ドラム20の表面を帯電させるための負極性の電荷を示している。
そして、上記感光体ドラム20の表面は、図5(c)に示すように、画像部に画像露光が施されて静電潜像が形成されるが、その後に現像装置22の現像領域31を通過する際に、感光体ドラム20の表面に付着した負帯電の外添剤81の量がある程度の量に達すると、図5(d)に示すように、負帯電の外添剤81が現像ニップ領域31の磁気ブラシで掻き取られることによってその部分の電位がさらに低下する(負極性の帯電電位が低下する)。
なお、感光体ドラム20の表面に付着した外添剤81は、感光体ドラム20が1回転する毎に、現像装置22の現像ニップ領域31を通過するが、当該外添剤81の量がわずかな内は、現像ニップ領域31をそのまま通過し、その蓄積量がある程度の量に達すると、負帯電の外添剤81が現像ニップ領域31の磁気ブラシによって掻き取られる。
その結果、現像装置22を通過した後の感光体ドラム20の表面は、図5(e)に示すように、負帯電の外添剤81がスキャベンジ(scavenge:掻き取る)された部分83に、その電位の低下分だけ周囲と比較して多くの負極性トナー84が反転現像されてしまい、それ以前に連続して形成された画像が、図6に示すように、例えば、感光体ドラム20の軸方向に沿って予め定められた幅Wを有し、且つ感光体ドラム20の回転方向に沿って直線状に形成されたベタの画像85に対して、当該ベタ画像85の感光体ドラム20の回転方向に沿った下流側に本来存在しない画像がゴースト画像86となって現れる、所謂“連続プリントゴースト”が発生する。
かかる所謂“連続プリントゴースト”は、クリーニング装置23のクリーニングブレード51のクリーニング性能が低下し易い低温低湿環境下、乃至低温低湿環境下に近い常温常湿環境下、特に低温低湿環境下に発生し易いことが、本発明者等の研究によって判っている。
そこで、この実施の形態では、図1に示すように、プリンタ本体1の内部に、環境条件としての温度及び湿度を検知する環境センサー90が配設されている。この環境センサー90は、温度及び湿度の双方を検知するのが望ましいが、温度又は湿度の少なくとも一方を検知するものであれば良い。
図7はこの発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタの制御回路を示すブロック図である。
図7において、100はデジタルカラープリンタの動作を制御するメインコントローラを示すものであり、このメインコントローラ100には、図1にも示すように、環境センサー90からの信号が入力されている。また、101はデジタルカラープリンタにおいて実行されるプリント動作の内容等をユーザーが指定するユーザーインターフェイスを示すものであり、このユーザーインターフェイス101は、例えば、デジタルカラープリンタの操作パネルから構成されるものであっても良いし、デジタルカラープリンタが接続されたホストコンピュータ等にインストールされたプリントドライバ等のソフトウエアによって構成されているものであっても良い。上記ユーザーインターフェイス101では、例えば、同一画像を複数枚プリントする際に、プリント枚数や記録用紙65のサイズなどが設定される。
また、この実施の形態では、図7に示すように、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの画像露光装置14Y、14M、14C、14Kに画像データを出力する画像処理装置5において、各画像露光装置14Y、14M、14C、14Kに出力する画像データをモニターし、各感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を計数するように構成されている。
ところで、上記画像処理装置5は、図7に示すように、例えば、各画像露光装置14Y、14M、14C、14Kに対応して設けられたRAM等からなるページメモリ102を備えており、画像形成時に、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kの画像露光装置14Y、14M、14C、14Kに画像データを出力する際に、各ページメモリ102Y、102M、102C、102Kにおいて1ページ単位で画像データが展開される。
かかる画像処理装置5の各ページメモリ102Y、102M、102C、102Kにおけるページ単位の画像データの展開動作は、メインコントローラ100の制御によって行われ、メインコントローラ100は、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を計数する機能を備えている。ただし、上記感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数は、画素単位で計数する必要は必ずしもなく、1ページの画像を一定の大きさ(数mm2〜数cm2程度)を有する複数の面積に分割して、これらの分割された複数の面積毎に計数すれように構成しても良い。
また、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を計数する処理は、メインコントローラ100がユーザーインターフェイス101からの信号に基づいて、単に、同一の画像を連続してプリントする連続プリント枚数を計数するものであっても良い。つまり、同一の画像を連続して10枚プリントする場合には、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を10とし、同一の画像を1枚しかプリントしない場合には、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を1とするように構成しても良い。
上記画像処理装置5では、図8に示すように、例えば、各ページメモリ102Y、102M、102C、102Kにおいて1ページ単位で画像データを展開し、1ページの画像を露光するたびに出力されるページシンク(PS)信号に同期して、感光体ドラム20が1回転するたびに1回出力される基準信号TR0に基づいて、感光体ドラム20表面の同一位置から画像露光を開始するように構成されている。そのため、例えば、A4サイズの原稿の画像を10枚プリントする場合には、感光体ドラムの同一領域が10回連続して同一の画像領域となる。
また、複数の異なった画像を複数枚の記録用紙65に連続してプリントする場合であっても、各感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となることがあり、この場合にも、上述したように、メインコントローラ100によって各感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数が計数される。
そして、上記メインコントローラ100は、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて、各感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を計数し、当該計数値が予め定められた値(例えば、5回)に達したか否かが、当該メインコントローラ100によって判別される。
上記メインコントローラ100は、プリント動作を開始するにあたって、図示しないホストコンピュータ等から送られてくる画像データあるいは画像読取装置3で読み取られた原稿の画像データを画像処理装置5によって解析し、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて実行されるプリントジョブが、各感光体ドラム20上への画像形成動作が複数回繰り返されるものであるか否かを判別する。
上記メインコントローラ100は、上述したように、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて、各感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を計数し、当該計数値が予め定められた値(例えば、5回)に達したと判別すると、画像処理装置5を制御することにより、図7に示すように、感光体ドラム駆動回路103によって感光体ドラム20上に画像を露光せずに(画像形成動作を行わずに)、感光体ドラム20表面の同一領域が、クリーニング装置23のクリーニングブレード51と現像装置22とを、少なくとも1回ずつ以上通過させる空回転動作を実行するように制御する。
この空回転動作は、例えば、感光体ドラム駆動回路103によって感光体ドラム20上に画像を露光せずに(画像形成動作を行わずに)、感光体ドラム20を1回転だけ空回転させることによって行われる。
その際、上記メインコントローラ100は、感光体ドラム20を1回転だけ空回転させる際に、現像装置用駆動回路104に信号を送り、対応する現像装置22の現像ロール33を感光体ドラム20に対して増速させ、現像ロール33表面の現像剤37の穂立ちによる摺擦効果を高めるように構成するのが望ましい。
以上の構成において、この発明の実施の形態1に係る画像形成装置としてのタンデム型のデジタルカラープリンタでは、次のようにして、主に、低温低湿環境下における連続した画像形成時に、図6に示すように、それ以前に形成された画像がゴーストとなって現れる所謂“連続プリントゴースト”と呼ばれる画質低下が発生するのを抑制乃至回避することが可能となっている。
すなわち、この実施の形態1に係るデジタルカラープリンタでは、図1に示すように、画像読取装置4で読み取れた原稿3の画像を複写したり、図示しないホストコンピュータ等から送られてくる画像データに基づいてプリント動作を実行するにあたり、メインコントローラ100は、環境センサー90から入力される信号をモニターし、デジタルカラープリンタが設置されている環境の温度及び湿度を判別し、低温低湿環境か否かを判別する。ここで、低温低湿環境か否かは、例えば、温度が20℃以下で、且つ相対湿度が30%RH以下か否かによって判別されるが、これに限定されるものではなく、所謂“連続プリントゴースト”と呼ばれる画質低下が発生する虞れがある環境条件であれば、温度が20℃以下、又は相対湿度が30%RH以下のいずれか一方の条件、あるいは温度及び湿度の境界値として他の値を用いても勿論良い。
そして、メインコントローラ100は、低温低湿環境でなく、常温常湿環境または高温高湿環境であると判別した場合には、通常通り、画像形成動作を実行する。
一方、メインコントローラ100は、低温低湿環境であると判別すると、各画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数を計数し、当該計数値が予め定められた値に達したか否かを判別する。
そして、メインコントローラ100は、いずれかの画像形成ユニット13Y、13M、13C、13Kにおいて、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数が予め定められた値に達したと判別した場合には、次の画像形成工程を実行せずに、感光体ドラム20を1回転だけ空回転させる空回転動作を実行する。
その際、上記メインコントローラ100は、現像装置用の駆動回路104を制御することにより、現像装置22の現像ロール33の回転速度を通常の画像形成時よりも増速し、感光体ドラム20に対する現像ロール22の周速比を増加させる。
その結果、上記感光体ドラム20の表面は、通常であれば、図5に示すように、クリーニング装置23を通過した後、スコロトロン21によって帯電されて次の画像形成工程に移行するが、空回転時には、図9に示すように、感光体ドラム20の表面は、クリーニング装置23のクリーニングブレード51によるクリーニング処理を受けた後、スコロトロン12によって帯電されず、画像露光工程も行われず、現像装置22の現像ニップ領域31を通過する。
このとき、上記感光体ドラム20の表面は、クリーニング装置23のクリーニングブレード51によって、残留した外添剤が除去されるとともに、残った外添剤は、現像装置22の現像ニップ領域31を通過する際に、現像剤37の磁気ブラシによる摺擦を受けて擦り取られる。また、上記現像装置22では、感光体ドラム20表面に対する現像ロール33の周速比が増速されているため、感光体ドラム20の表面に残留した外添剤は、現像剤37の磁気ブラシによる摺擦を受けて効果的に擦り取られる。
その後、上記感光体ドラム20の表面は、クリーニング装置23のクリーニングブレード51によるクリーニング処理を再度受けた後に、スコロトロン21によって帯電されて次の画像形成工程が実行される。
このように、上記実施の形態では、所謂“連続プリントゴースト”が発生し易い低温低湿環境下において、感光体ドラム20表面の同一領域が連続して画像領域となる回数が予め定められた値に達したと判別されると、感光体ドラム20を1回転だけ空回転させる空回転動作が実行され、感光体ドラム20の表面に残留した外添剤は、クリーニング装置23のクリーニングブレード51によるクリーニング処理と、現像剤37の磁気ブラシによる摺擦とを受けて、感光体ドラム20の表面から効果的に除去される。そのため、上記感光体ドラム20の表面にトナーの外添剤が蓄積することに起因した所謂“連続プリントゴースト”が発生するのを、効果的に抑制乃至防止することが可能となっている。
実験例1
次に、本発明者等は、本発明の効果を確認するため、図1に示すような画像形成装置を用いて画像を形成し、温度及び湿度からなる環境条件を種々変化させて、連続プリントゴーストの発生状況を確認する実験を行った。
感光体ドラム20としては、感光体層の表面に保護層であるオーバーコート層を設けたものを用い、感光体ドラム用のクリーニング装置23としては、クリーニングブレード51のみからなるものを用い、画像パターンとしては、図10に示すように、感光体ドラム20の軸方向に沿って予め定められた幅Wを有し、且つ感光体ドラム20の回転方向に沿って直線状に形成されたベタの画像85を、感光体ドラム20の軸方向に沿って予め定めらた間隔を隔てて複数本(図示例では3本)形成するとともに、図11に示すように、当該3本の直線状ベタ画像85の下流側に、比較例となるゴーストが生じた状態の低濃度の帯状パターン87を、感光体ドラム20の軸方向に沿って形成し、中央部の直線状ベタ画像85の下流側における低濃度帯状パターン87Aの濃度と、中央部の直線状ベタ画像85の下流側に隣接した、直線状ベタ画像85の下流以外における領域の低濃度帯状パターン87Bの濃度とを、明度計を用いてそれぞれ測定した。
また、上記低濃度帯状パターンの濃度測定は、初期状態、つまり感光体ドラム20が未使用の状態と、経時状態、つまり感光体ドラム20で40K(4万枚)プリントした後とで実施した。
さらに、上記画像形成装置では、連続プリント枚数として、5枚、10枚、30枚、50枚にそれぞれ設定し、当該連続プリント枚数だけプリントした後の低濃度帯状パターンの濃度を測定した。
又、連続プリントゴーストが発生したか否かは、上述したように、中央部の直線状ベタ画像85の下流側における低濃度帯状パターンの濃度と、中央部の直線状ベタ画像85の下流側に隣接した、直線状ベタ画像85の下流以外における領域の低濃度帯状パターンの濃度とを、明度計によって10点を測定して平均した明度差ΔL*が予め定めれた規定値
以内か否かによって判定した。
図12は上記実験例の結果を示すものである。
この図12から明らかなように、環境条件として、温度が21℃以上、且つ相対湿度が56%RH以上の場合には、連続プリント枚数が5枚、10枚、30枚、50枚のいずれの場合にも、連続プリントゴーストは発生しなかった。
また、図12から明らかなように、環境条件として、温度が20℃、且つ相対湿度が28%RHの低温低湿環境の場合には、初期状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が30枚及び50枚のときに、連続プリントゴーストの発生が認められたが、それ以外では、初期状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が5及、10枚のときも含めて、連続プリントゴーストが発生しなかった。
さらに、図12から明らかなように、環境条件として、温度が20℃、且つ相対湿度が28%RHの低温低湿環境の場合であっても、連続プリントを実行する前に、感光体ドラムを1回転だけ空回転させた後に画像形成を行うことによって、いずれの場合にも、連続プリントゴーストが発生するのを抑制乃至防止できることがわかった。
又、図12から明らかなように、環境条件として、温度が11℃、且つ相対湿度が48%RHの低温中湿環境の場合には、初期状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が10枚、30枚及び50枚のとき、経時状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が30枚及び50枚のときに、連続プリントゴーストの発生が認められたが、それ以外では、初期状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が5及、10枚のときも含めて、連続プリントゴーストが発生しなかった。
更に、図12から明らかなように、環境条件として、温度が10℃、且つ相対湿度が25%RHの低温低湿環境の場合には、初期状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が10枚、30枚及び50枚のとき、経時状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が30枚及び50枚のときに、連続プリントゴーストの発生が認められたが、それ以外では、初期状態で、感光体ドラムと現像ロールの周速比が規定値(通常の画像形成時の値)であり、且つ連続プリント枚数が5及、10枚のときも含めて、連続プリントゴーストが発生しなかった。
以上の通り、本発明を適用した場合には、低温低湿環境下においても、連続プリントゴーストの発生を効果的に抑制乃至防止することができることがわかる。
これに比較して、本発明を適用しない場合には、低温低湿環境下において、10枚以上連続プリントした場合に、ゴーストが発生していることがわかる。
図12の結果から、温湿度の環境条件の境界と連続プリント枚数の境界は、画像形成装置の条件(感光体ドラムの表面状態や現像ロールの表面粗さなど)によって、若干の変化があり得ると考えられる。
実験例2
また、本発明者等は、現像装置における現像剤の搬送量と、連続プリントゴーストの発生状況との関係、及び現像装置における現像ロールの周速比と、連続プリントゴーストの発生状況との関係をそれぞれ確認する実験を行った。
上記現像装置22における現像剤の搬送量と、連続プリントゴーストの発生状況との関係は、図13に示すように、現像ロール33表面の単位面積あたりの現像剤量(g/m2 )が多くなるほど、中央部の直線状ベタ画像85の下流側における低濃度帯状パターンの濃度と、中央部の直線状ベタ画像85の下流側に隣接した、直線状ベタ画像85の下流以外における領域の低濃度帯状パターンの濃度との明度差ΔL*が小さくなる傾向、連続プリントゴーストの発生を抑制できる傾向にあることがわかった。
また、現像装置22における現像ロール33の周速比と、連続プリントゴーストの発生状況との関係は、図14に示すように、現像ロール33の周速比が大きくなるほど、中央部の直線状ベタ画像85の下流側における低濃度帯状パターンの濃度と、中央部の直線状ベタ画像85の下流側に隣接した、直線状ベタ画像85の下流以外における領域の低濃度帯状パターンの濃度との明度差ΔL*が小さくなる傾向、連続プリントゴーストの発生を抑制できる傾向にあることがわかった。