図1、図2に示すように、パチンコ遊技機1には、遊技ホールの島構造体に取付けられる外枠(図示略)に開閉枠2が開閉自在に装着され、開閉枠2に開閉扉3が開閉自在に装着されている。開閉扉3に窓3aが形成され、その窓3aに透明板3bが装着されている。開閉枠2の左端部に開閉扉3の左端部が鉛直軸心回りに回動自在に支持され、開閉扉3の右端部には、開閉扉3を開閉枠2に施錠するキーシリンダ3cが装着されている。開閉枠2に遊技盤4が装着され、遊技盤4とその前側の透明板3bとの間に遊技球が流下可能な遊技領域4aが形成され、この遊技領域4aが開閉扉3により開閉される。
開閉扉3には、窓3aの下側に遊技球を貯留する貯留皿5が設けられ、その貯留皿5に演出ボタンSW6(「SW」はスイッチを意味する)が装着され、貯留皿5の右下側に発射ハンドル7が装着されている。発射ハンドル7が回動操作されると、貯留皿5から発射位置に導入された遊技球が発射され、貯留皿5に複数の遊技球が貯留されている場合には、複数の遊技球が約0.6秒間隔で連続発射される。発射された遊技球はガイドレール8で案内され遊技領域4aの上部に導入される。
図2、図3に示すように、遊技盤4には遊技領域4aに配置された多数の障害釘(図示略)の他、第1始動口10、開閉式の第2始動口11aを有する始動口装置11、ゲート12、開閉式の大入賞口13aを有する大入賞口装置13、複数(4つ)の一般入賞口14が設けられている。第1始動口10、ゲート12、複数の一般入賞口14には、夫々、そこに入賞した遊技球を検出する第1始動口SW10a、ゲートSW12a、複数の一般入賞口SW14aが付設されている。
始動口装置11は、第2始動口11a、第2始動口11aを開閉する開閉部材11b、第2始動口11aに入賞した遊技球を検出する第2始動口SW11c、開閉部材11bを開閉駆動する第2始動口SOL11d(「SOL」はソレノイドアクチュエータを意味する)を有する。大入賞口装置13は、大入賞口13a、大入賞口13aを開閉する開閉部材13b、大入賞口13aに入賞した遊技球を検出する大入賞口SW13c、開閉部材13bを開閉駆動する大入賞口SOL13dを有する。
遊技球が入賞口10,11a,13a,14に入賞した場合、遊技球1個の入賞につき入賞口10,11a,13a,14毎に設定された数の遊技球が貯留皿5に払出される。遊技球が始動口10,11aに入賞した場合に大当り抽選が行われ、その大当り抽選で当選した場合、通常は閉塞の大入賞口13aが複数ラウンドに亙って開閉する大当り遊技が発生する。遊技球がゲート12を通過した場合に当り抽選が行われ、その当り抽選で当選した場合、通常は閉塞の第2始動口11aが1又は複数回開閉する補助遊技が発生する。
遊技盤4にはセンタ役物15が取付けられ、このセンタ役物15に、画像表示器16と、図4〜図7に示す可動役物装置17と、図9〜図12に示す可動役物装置17Aが装備されている。センタ役物15は遊技盤4に比較的大きく形成されたセンタ開口部に嵌合装着されたセンタ枠部材15aを有し、このセンタ枠部材15aの下部には遊技球が転動するステージ15bが形成されている。
画像表示器16はその画面をパチンコ遊技機1の前側からセンタ枠部材15aの内側を通して視認できるように配置されている。画像表示器16には、大当り抽選に関する遊技演出が表示され、その遊技演出では、大当り抽選を演出するために複数の演出図柄が変動後停止するように表示されるとともに、複数の演出図柄以外に演出動画が表示され、また、大当り遊技中には、その大当り遊技を演出するために演出動画が表示される。
遊技盤4の右下部には遊技表示盤19が設けられ、この遊技表示盤19は、第1特図表示器19a、第2特図表示器19b、普図表示器19c、第1特図保留ランプ19d、第2特図保留ランプ19e、普図保留ランプ19fを備えている。
第1特図表示器19aには第1特別図柄が変動可能に表示され、第1特図保留ランプ19dには第1特図保留数が表示され、その第1特図保留数は4未満の場合に第1始動口10に遊技球が入賞する毎に1加算される。第2特図表示器19bには第2特別図柄が変動可能に表示され、第2特図保留ランプ19eには第2特図保留数が表示され、その第2特図保留数は4未満の場合に第2始動口11aに遊技球が入賞する毎に1加算される。
第1,第2特別図柄が変動停止状態で、第1特図保留数が1以上の場合、第2特図保留数が0の場合には、第1特図保留数が1減算されて第1特別図柄が変動開始され、その後の停止図柄で大当り抽選の結果が表示される。第1,第2特別図柄が変動停止状態で、第2特図保留数が1以上の場合、第2特図保留数が1減算されて第2特別図柄が変動開始され、その後の停止図柄で大当り抽選の結果が表示される。
普図表示器19cには普通図柄が変動可能に表示され、普図保留ランプ19fには普図保留数が表示され、その普図保留数は4未満の場合にゲート12に遊技球が入賞する毎に1加算される。普通図柄が変動停止状態で、普図保留数が1以上の場合、普図保留数が1減算されて普通図柄が変動開始され、その後の停止図柄で当り抽選の結果が表示される。
パチンコ遊技機1の制御系について説明する。
図3に示すように、制御装置30は、遊技制御基板31、払出制御基板32、演出制御基板33、画像制御基板34、ランプ制御基板35を備え、これら制御基板31〜35に夫々CPUとROMとRAMを含むコンピュータを備えて構成され、演出制御基板33は更にRTC(「RTC」はリアルタイムクロックを意味する)を備えている。
遊技制御基板31のコンピュータは、第1,第2始動口SW10a,11c、ゲートSW12a、大入賞口SW13c、複数の一般入賞口SW14aからの信号と、払出制御基板32からの情報とを受けて、第2始動口SOL11d、大入賞口SOL13d、図柄表示器19a〜19c、図柄保留ランプ19d〜19fを制御し、払出制御基板32と演出制御基板33とに制御情報(遊技情報)を出力する。
払出制御基板32のコンピュータは、遊技制御基板31からの制御情報と、払出球検出SW36b、球有り検出SW36c、満タン検出SW36dからの信号とを受けて、払出モータ36aを制御し、遊技制御基板32に制御情報(払出情報)を出力する。演出制御基板33のコンピュータは、遊技制御基板31、画像制御基板34、ランプ制御基板35からの制御情報と、演出ボタンSW6からの信号とを受けて、画像制御基板34、ランプ制御基板35に制御情報を出力する。
画像制御基板34のコンピュータは、演出制御基板33からの制御情報を受けて、遊技演出用の画像表示器16とスピーカ37とを制御し、演出制御基板33に制御情報を出力する。ランプ制御基板35のコンピュータは、演出制御基板33からの制御情報を受けて、主に画像制御基板34のコンピュータによる制御に同期させて、遊技演出用の枠ランプ38aと盤ランプ38bと可動役物装置17,17Aとを制御する。
可動役物装置17について説明する。
図4〜図7に示すように、可動役物装置17は、装飾部材40と、この装飾部材40を図4、図5に示す所定の退避位置と図6、図7に示す所定の進出位置とに亙って移動させる電動モータ50を有する駆動機構41と、外力により装飾部材40が退避位置から進出位置の方へ移動するのを防止するロック機構42とを備えている。
また、可動役物装置17は、装飾部材40に設けられた被ガイド部材43と、装飾部材40が退避位置から進出位置へ、また、進出位置から退避位置へ移動する際に被ガイド部材43を上下方向(第1方向)へガイドするガイド機構44と、被ガイド部材43が上下方向へ移動する際に、左右方向(第1方向と交差する第2方向)における装飾部材40と被ガイド部材43との相対移動を許容して装飾部材40の姿勢を一定姿勢に保持する姿勢保持機構45とを備えている。
装飾部材40は、画像表示器16の画面左右長と略同じ左右長と、その左右長の約1/3の上下長とを有し、砂浜等に打ち寄せられる「波」を模して形成されている。装飾部材40は、その左右両端が画像表示器16の左右両端側に位置して、画像表示器16の画面前側において盤面(画像表示器16の画面)と平行方向へ移動する。
駆動機構41は、電動モータ50、回転部材51、連結部材52、アーム部材53を有する。ここで、センタ役物15において、センタ枠部材15aの右部又はそこに取付けられたベース部材が、画像表示器16及び装飾部材40の右端側に配設された第1静止側部材46であり、センタ枠部材15aの左部又はそこに取付けられたベース部材が、画像表示器16及び装飾部材40の左端側に配設された第2静止側部材47である。
アーム部材53は、右端部(一端部)が第1静止側部材46に前後方向の基端軸53aを介して回動自在に連結支持され、左端部(他端部)が装飾部材40に前後方向の先端軸53bを介して回動自在に(可動に)連結されて、装飾部材40に駆動力を伝達し、装飾部材40が退避位置と進出位置との中間位置(図4、図5に仮想線で示す)のときに略水平姿勢になる。アーム部材53は、その左部が装飾部材40の後方に位置して、装飾部材40の略中央部に連結されている。アーム部材53の基端軸53aには、アーム部材53を上方へ回動付勢する捩れバネ54が外装されている。
回転部材51は、アーム部材53の基端軸53aよりも上方において、第1静止側部材46に前後方向の中心軸46aを介して回転自在に支持されている。回転部材51は、本体部51a、本体部51aの中心部に前方突出状に形成されたボス部51b(軸部分51b)、本体部51aの後側部分にボス部51bを中心に形成されたギヤ部51c、本体部51aに中心軸46a(ボス部51b)から偏心した位置に前方突出状に設けられた第1軸51dを有する。中心軸46aは第1静止側部材46に支持され、この中心軸46aに回転部材51のボス部51bが外嵌されている。
電動モータ50は、回転部材51の中心軸46aよりも上方において、第1静止側部材46に前向きに取付けられ、この電動モータ50により回転部材51が回動される。そのために、電動モータ50の出力軸50aに駆動ギヤ50bが取付けられ、この駆動ギヤ50bが回転部材51のギヤ部51cに噛合している。
連結部材52は、回転部材51の本体部51aよりも前方位置に、且つアーム部材53よりも後方位置に配設され、上端部(一端部)が回転部材51に第1軸51dを介して回動自在に連結され、下端部(他端部)がアーム部材53の長さ方向途中部(例えば、アーム部材53の基端軸53aから先端側へアーム部材53の長さの約1/3移行した部分)に前後方向の第2軸52aを介して回動自在に連結されている。
この駆動機構41においては、電動モータ50により回転部材51が回動されると、駆動力は回転部材51から連結部材52、連結部材52からアーム部材53、アーム部材53から装飾部材40に伝達される。そして、回転部材51が図4〜図7に矢印A1で示す第1方向A1へ回動するときに、装飾部材40が退避位置から進出位置へ下降移動し、回転部材51が第1方向A1と逆の図4〜図7に矢印A2で示す第2方向A2へ回動するときに、装飾部材40が進出位置から退避位置へ上昇移動するように構成されている。
ここで、装飾部材40の初期位置(例えば、退避位置)を検出する位置検出センサ55が設けられている。この位置検出センサ55は、第1静止側部材46に取付けられ、回転部材51に設けられた被検出部(筒状部に形成されたスリット)を検出可能な光学センサである。尚、ランプ制御基板35のコンピュータは、そのROMに格納された可動役物制御プログラムに従って、演出制御基板33からの制御司令情報と位置検出センサ55からの位置検出情報とに基づいて電動モータ50を制御する。
ロック機構42は、装飾部材40が退避位置にあるときに、回転部材51と連結部材52とを連結する第1軸51dの軸心を、回転部材51の中心軸46aの軸心と、連結部材52とアーム部材53とを連結する第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上又はその直線上よりも第2方向A2に位置させて、このパチンコ遊技機1の搬送時の振動等の外力により回転部材51が回動しないようにロックする。このロック機構42は、回転部材51が第2方向A2へ回動しようとするときに、その回動を阻止する回動禁止機構60を有する。
回動禁止機構60は、連結部材52に設けられた係合部61と、この係合部61が係合可能に回転部材51に設けられた係合受部62とを有し、係合部61が係合受部62に係合することにより、連結部材52が係止されて、回転部材51の第2方向A2への回動が阻止される。係合部61が、連結部材52の長さ方向中間部分に形成されたC形の係合凹部61であって、回転部材51が第2方向A2へ回動する際に、連結部材52が第2軸52aを中心に回動する方向へ開口する係合凹部61により構成され、係合受部62が、回転部材51のボス部51bに設けられている。
ここで、この可動役物装置17には補助ロック機構48が設けられている。この補助ロック機構48は、装飾部材40が退避位置よりも上方へ移動しないように補助的にロックするものであり、装飾部材40に後方突出状に設けられた係止部48aを有する。装飾部材40が退避位置のときに、この係止部48aが装飾部材40と共に一定姿勢に保持された状態でアーム部材53の左部の下端面に当接して、アーム部材53が上方へ回動不可能になり、故に、装飾部材40が退避位置よりも上側へ上昇不可能になる。
被ガイド部材43は、装飾部材40の左部後面部に配設された第1被ガイド部43aと、この第1被ガイド部43aから装飾部材40よりも左方へ突出する第2被ガイド部43bとを有する。ガイド機構44は、第2静止側部材47に固定された上下方向へ延びるガイドロッド71と、第2被ガイド部43bに左端部に固定的に設けられてガイドロッド71に摺動自在に外嵌係合されたスライダー72により構成されている。
姿勢保持機構45は、左右方向へ延びるように被ガイド部材43に設けられた案内部73と、この案内部73に左右方向へ摺動自在に係合するように装飾部材40に設けられ係合部74とを有する。案内部73は被ガイド部材43の第1被ガイド部43aに形成されたガイド溝73からなり、係合部74はある程度の左右長を有する係合部材74からなり、この係合部材74が装飾部材40の後面に複数のビスにより固定されている。
装飾部材40が退避位置と進出位置とに亙って移動する際、装飾部材40が退避位置のとき、装飾部材40が最も右方に位置して、係合部材74がガイド溝73の右端近傍に係合し、また、アーム部材53が略水平姿勢になるとき、装飾部材40が最も左方に位置して、係合部材74がガイド溝73の左端近傍に係合する。ガイド溝73は、係合部材74の前記両位置に亙ってスライド移動を許容する長さに形成されている。
可動役物装置17の作用(動作)について説明する。
先ず、装飾部材40が退避位置にあるとき、アーム部材53はその右端から左端へ斜め上方へ延びる傾斜姿勢になり、連結部材52はその下端から上端へ斜め右方へ延びる傾斜姿勢になり、回転部材51と連結部材52とを連結する第1軸51dの軸心が、回転部材51の中心軸46aの軸心と、連結部材52とアーム部材53とを連結する第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上又はその直線上よりも第2方向A2に位置する。
ここで、ロック機構42により、外力により回転部材51が回動しないようにロックされる。第1軸51dの軸心が中心軸46aの軸心と第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上に位置する場合、連結部材52から第1軸51dを介して回転部材51に入力された外力により、回転部材51に回動モーメントが発生しない、つまり回転部材51が回動しないため、装飾部材40が退避位置から進出位置の方へ移動するのが防止される。但し、振動等により回転部材51が第2方向A2へ回動しようとする場合がある。
第1軸51dの軸心が中心軸46aの軸心と第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上よりも第2方向に位置する場合にも、振動等により回転部材51が第2方向A2へ回動しようとする場合がある。特に、第1軸51dの軸心が中心軸46aの軸心と第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上よりも第2方向に位置する場合、連結部材52から第1軸51dを介して回転部材51に入力された外力により、回転部材51に回動モーメントが発生し、回転部材51が第2方向A2へ回動しようとする。
そこで、回転部材51が第2方向A2へ回動しようとするときに、ロック機構42の回動禁止機構60において、連結部材52の係合部61が回転部材の係合受部62に係合して、連結部材52が係止されて、回転部材51の第2方向A2への回動が阻止され、装飾部材40が退避位置から進出位置の方へ移動するのが防止される。
装飾部材40が退避位置にある状態から、電動モータ50により回転部材51が第1方向A1へ回動されると、アーム部材53が装飾部材40と共に基端軸53aを中心に下方へ回動される。その際、ガイド機構44において、被ガイド部材43のスライダー72がガイドロッド71にガイドされて下降する。更に、姿勢保持機構45において、装飾部材40の係合部74が被ガイド部材43の案内部73にガイドされて左右方向へ移動し、つまり、左右方向における装飾部材40と被ガイド部材43との相対移動が許容されて、装飾部材40の姿勢が一定姿勢に保持される。
こうして、装飾部材40は、一定姿勢(略水平姿勢)に保持されて、退避位置から進出位置へ、アーム部材53の基端軸53aを中心とする円弧軌跡を描きながら、画像表示器16の前側を横切るように下降し、最終的に退避位置から約200mm下降して進出位置になる。装飾部材40が進出位置にある状態から、電動モータ50により回転部材51が第2方向A2へ回動されると、前記と逆の動作により、装飾部材40は、一定姿勢に保持されて、進出位置から退避位置へ上昇する。
以上説明した可動役物装置17によれば次の効果を奏する。
先ず、駆動機構41において、第1静止側部材46に一端部が回動自在に連結されたアーム部材53の他端部に装飾部材40を回動自在に連結し、電動モータ50により回転部材51と連結部材52を介してアーム部材53を回動させるため、装飾部材40及びアーム部材53を大型化して、装飾部材40の昇降ストローク(例えば、約200mm)を大きくすることができる。
また、アーム部材53を上方へ回動付勢する捩れバネ54を設けたので、大型の装飾部材40及びアーム部材53を上昇させる際の電動モータ50の負荷を軽減し、故に、装飾部材40を高速で昇降作動させることが可能になる。大型の装飾部材40は画像表示器16の画面前側領域を横切るように往復移動するため、装飾部材40の作動時のインパクトを大きくして、演出効果を高めることができる。
駆動機構41において、回転部材51を第1方向A1へ回動させることにより装飾部材40を退避位置から進出位置へ移動させ、回転部材51を第2方向A2へ回動させることにより装飾部材40を進出位置から退避位置へ移動させるように構成した。
これを前提にして、装飾部材40が退避位置にあるときに、回転部材51と連結部材52とを連結する第1軸51dの軸心を、回転部材51の中心軸46aの軸心と、連結部材52とアーム部材53とを連結する第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上又はその直線上よりも第2方向A2に位置させて、外力により回転部材51が回動しないようにロックするロック機構42を設けた。
そして、このロック機構42は、回転部材51が第2方向A2へ回動しようとするときにその回動を阻止する回動禁止機構60を有するので、外力により装飾部材40が退避位置から進出位置の方へ移動するのをより確実に防止することができる。
特に、装飾部材40が退避位置のときに、第1軸51dの軸心を中心軸46aの軸心と第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上よりも第2方向A2に位置させることで、連結部材52から回転部材51に入力された外力により、回転部材51を第2方向A2へ回動させる回動モーメントを積極的に発生せて、回転部材51が第1方向A1へ回動するのを確実に防止するとともに、回動禁止機構60により回転部材51が第2方向A2へ回動するのを阻止できるため、外力により装飾部材40が退避位置から進出位置の方へ移動するのを防止する機能の信頼性を高めることができる。
回動禁止機構60は、連結部材52に設けられた係合部61と、この係合部61が係合可能に回転部材51に設けられた係合受部62とを有するので、係合部61を係合受部62に係合させることにより、回転部材51の第2方向A2への回動を確実に阻止することができる。
係合部61がC形の係合凹部61により構成され、係合受部62が回転部材51のボス部51b(軸部分51b)に設けられたので、駆動機構41の前記機能を維持して、第1軸51dの軸心を中心軸46aの軸心と第2軸52aの軸心とを結ぶ直線上又はその直線上よりも第2方向A2に位置させた状態で、係合部61を係合受部62に確実に係合させて、回転部材51の第2方向A2への回動を阻止することができる。
装飾部材40に被ガイド部材43を設け、装飾部材40が退避位置から進出位置へ移動する際に被ガイド部材43を上下方向へガイドするガイド機構44と、被ガイド部材43が上下方向へ移動する際に、左右方向における装飾部材40と被ガイド部材43との相対移動を許容して、装飾部材40の姿勢を一定姿勢に保持する姿勢保持機構45を設けた。
つまり、アーム部材43を基端軸53aを中心に回動させて、アーム部材43から装飾部材40に駆動力を伝達するが、装飾部材40を水平姿勢に保持して退避位置と進出位置とに亙って移動させることができ、これにより、装飾部材40を大型化し、装飾部材40の昇降ストロークを大きくすることが可能になる。装飾部材40が形成する物の動きを表現する上で、本実施例では装飾部材40が形成する「波」が移動する動きを実現するために、装飾部材40を一定姿勢(略水平姿勢)に保持し、尚且つ装飾部材40が基端軸53aを中心とする円弧軌跡を描きながら昇降させることができる。
しかも、駆動機構41の主要部を装飾部材40(画像表示器16)の右側に設置して、装飾部材40を一定姿勢に保持して退避位置と進出位置とに亙って移動させることができるため、画像表示器16の上側や左側に他の演出機器を設置するうえで良好となり、つまり、このパチンコ遊技機1の演出機能を高めるのに貢献することができる。
前記実施例の可動役物装置17においては次のように部分的に変更してもよい。
(1)姿勢保持機構45において、装飾部材40に、左右方向へ延びる案内部を設け、被ガイド部材43に、前記案内部に左右方向へ摺動自在に係合した係合部を設ける。
(2)図8に示すように、姿勢保持機構45を省略し、装飾部材40と被ガイド部材43とを一体的に連結するとともに、被ガイド部材43が上下方向(第1方向)へ移動する際に、左右方向(第1方向と交差する第2方向)における装飾部材40とアーム部材53との相対移動を許容して、装飾部材40の姿勢を一定姿勢に保持する姿勢保持機構45Aを設け、この姿勢保持機構45Aを介して装飾部材40とアーム部材53とを連結する。
姿勢保持機構45Aは、左右方向へ延びるように装飾部材40に設けられた案内部73Aと、この案内部73Aに左右方向へ摺動自在に係合するようにアーム部材53に設けられ係合部74Aとを有する。例えば、係合部74Aはアーム部材53の先端軸53bからなり、この先端軸53bがアーム部材53に支持されて、案内部73に回動自在に且つスライド自在に係合している。この姿勢保持機構45Aにより、装飾部材40を水平姿勢に保持して、左右方向へは移動させずに昇降させることができる。尚、アーム部材35に、左右方向へ延びる案内部を設け、装飾部材40に、前記案内部に左右方向へ摺動自在に係合した係合部を設けてもよい。
次に、可動役物装置17Aについて説明する。
図9〜図12に示すように、可動役物装置17Aは、装飾部材80と、装飾部材80を図9、図10に示す所定の退避位置と図12、図13に示す所定の進出位置とに亙って移動させる電動モータ90を有する駆動機構81と、外力により装飾部材80が退避位置から進出位置の方へ移動するのを防止するロック機構82とを備えている。
また、可動役物装置17Aは、装飾部材80が退避位置から進出位置へ、また、進出位置から退避位置へ移動する際に装飾部材80の姿勢を略一定姿勢に保持する姿勢保持機構83を備えている。装飾部材80は、画像表示器16の画面左右長の約1/2の左右長と、その左右長よりも少し短い上下長を有し、「花」を模して形成されている。
駆動機構81は、電動モータ90、回転部材91、連結部材92、第1アーム部材93を有する。センタ役物15において、センタ枠部材15aの上部又はそこに取付けられたベース部材が、画像表示器16の上端側に配設された第3静止側部材49である。
第1アーム部材93は、その左端部(一端部)が第3静止側部材49に前後方向の基端軸93aを介して回動自在に連結され、第1アーム部材93の右端部(他端部)が装飾部材80に前後方向の先端軸93bを介して回動自在に連結されている。第1アーム部材93は、その右部が装飾部材80の後方に位置し、装飾部材80の略中央部に連結されている。第1アーム部材93の基端軸93aには、第1アーム部材93を上方へ回動付勢する捩れバネ94が外装されている。
回転部材91は、第1アーム部材93の基端軸93aよりも左方において、第3静止側部材49に前後方向の中心軸49aを介して回転自在に支持されている。回転部材91は、本体部91a、本体部91aの中心部に形成されたボス部91b、本体部91aにボス部91bを中心に形成されたギヤ部91c、本体部91aに中心軸49aから偏心した位置に前方突出状に設けられた偏心軸91dを有する。中心軸49aは第3静止側部材49に支持され、この中心軸49aに回転部材91のボス部91bが外嵌されている。
電動モータ90は、回転部材91の中心軸49aよりも左方において、第3静止側部材49に前向きに取付けられ、この電動モータ90により回転部材91が回動される。そのために、電動モータ90の出力軸90aに駆動ギヤ90bが取付けられ、この駆動ギヤ90bが回転部材91のギヤ部91cに噛合している。
連結部材92は、第1アーム部材93の左端部に一体的に設けられ、回転部材91の本体部91aよりも前方位置に配設されている。連結部材92には、回転部材91の偏心軸91dが回動自在に且つスライド自在に係合するストレートに延びるガイド溝92aが形成されている。この偏心軸91dとガイド溝92aにより、回転部材91の回動に連動して第1アーム部材93を回動させるカム機構99が構成されている。
この駆動機構81においては、電動モータ90により回転部材91が回動されると、駆動力は回転部材91からカム機構99を介して連結部材92、連結部材92から第1アーム部材93、第1アーム部材93から装飾部材80に伝達される。そして、回転部材91が図9〜図12に矢印B1で示す第1方向B1へ回動するときに、装飾部材80が退避位置から進出位置へ下降移動し、回転部材91が第1方向B1と逆の図9〜図12に矢印B2で示す第2方向B2へ回動するときに、装飾部材80が進出位置から退避位置へ上昇移動するように構成されている。
ここで、位置検出センサ95が、第3静止側部材49に取付けられ、連結部材92に設けられた被検出部(遮蔽部)を検出可能であり、その被検出部の検出により、装飾部材80の初期位置(例えば、退避位置)を検出する。
ロック機構82は、カム機構99を利用して、装飾部材80が退避位置にあるときに、連結部材92から回転部材91に入力された外力により、回転部材91に回動モーメントが発生しないように、或いは第2方向B2に回動モーメントが発生するようにして、このパチンコ遊技機1の搬送時の振動等の外力により回転部材91が回動しないようにロックする。このロック機構82は、回転部材91が第2方向B2へ回動しようとするときに、その回動を阻止する回動禁止機構100を有する。
回動禁止機構100は、回転部材91の偏心軸91dと、連結部材92のガイド溝92aの一端部分92bとを有する。ガイド溝92aの一端部分92bは、ガイド溝92aのうち、回転部材91を第2方向B2へ回動させて、装飾部材80を進出位置から退避位置へ移動させる際に偏心軸91dが向かう側の端部であり、外力により回転部材91を第2方向B2へ回動させるモーメントが発生した場合、回転部材91の偏心軸91dが連結部材92のガイド溝92aの一端部分92bに係合することで、回転部材91の第2方向B2への回動、つまり装飾部材80の進出位置の方への移動が阻止される。
姿勢保持機構83は第2アーム部材96を有し、その第2アーム部材96の左端部(一端部)が前後方向の基端軸96aを介して第3静止側部材49に回動自在に連結され、第2アーム部材96の右端部(他端部)が前後方向の先端軸96bを介して装飾部材80に回動自在に連結されている。第1,第2アーム部材93,96の両基端軸93a,96aの軸心を通る直線と、第1,第2アーム部材93,96の両先端軸93b,96bの軸心を通る直線は略平行であり、両基端軸93a,96a間の距離と、両先端軸93b,96b間の距離は略同じである。
つまり、第1,第2アーム部材93,96を含む平行リンク機構が構成され、この平行リンク機構により、第1アーム部材93が回動されると、それに連動して第2アーム部材96が第1アーム部材93に対して相対的に移動しながら回動され、その際、第1アーム部材93の先端軸93bに対する第2アーム部材96の先端軸96bの位置は略変化しないため、装飾部材80が水平姿勢に略保持される。
ところで、第1アーム部材93は、装飾部材80と共に装飾機能を有すると共に、第2アーム部材96をカバーするカバー部材としても機能する。そのために、第1アーム部材93は、断面にて前方に膨出する形状に形成されて、第1アーム部材93に後方へ開口する凹部93cが形成され、その凹部93c(第1アーム部材93の後側内部)に、第2アーム部材96が第1アーム部材93に対して相対移動可能に収容されている。
可動役物装置17Aの作用(動作)について説明する。
先ず、装飾部材80が退避位置のとき、回転部材91の偏心軸91dが連結部材92のガイド溝92aの一端部分92b又はその近傍に係合し、ロック機構42により、外力により回転部材51が回動しないようにロックされる。ここで、連結部材92から偏心軸51dを介して回転部材51に入力された外力により、回転部材51には回動モーメントが発生しない、或いは第2方向B2へ回動モーメントが発生する。
そこで、回転部材91が第2方向B2へ回動しようとするときに、ロック機構82の回動禁止機構100において、回転部材91の偏心軸91dが、連結部材92のガイド溝92aの一端部分92bに係合して、回転部材51の第2方向B2への回動が阻止され、装飾部材80が退避位置から進出位置の方へ移動するのが防止される。
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、前記開示事項以外の種々の変更を付加して実施可能である。また、本発明は、前記パチンコ遊技機以外の種々のパチンコ遊技機、或いはパチンコ遊技機以外のスロットマシン等の種々の遊技機に適用可能である。