JP5268442B2 - 多結晶シリコン及びその製造方法 - Google Patents

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本発明は、半導体原料、或いは太陽電池原料等に使用される塊状の多結晶シリコン、及びその製造方法に関する。
シリコン単結晶原料、或いは太陽電池原料等に使用される多結晶シリコンは、シーメンス法と呼ばれる気相法により、ロッド状として製造される。シーメンス法により製造された多結晶シリコンロッドは、破砕塊の状態で袋詰めにされてシリコン単結晶製造メーカーなどのユーザーへ出荷されることが多い。多結晶シリコンの破砕塊はチャンク、クランプ、ナゲット等と呼ばれており、ロッドの破砕後は先ず表面に付着している金属不純物等を除去するためにフッ酸と硝酸の混合液であるフッ硝酸水溶液によるエッチング処理を受ける。次いで水洗処理、乾燥処理を受け、その後さらに表面の再汚染を防止するために複数個ずつ袋詰めにされて出荷される。梱包材としてはポリエチレン袋が一般的に使用される。
このような袋詰めされた多結晶シリコン塊製品の問題点の一つとして、保存中にシリコン塊の表面にシミが生じることがある。このシミは、一部のシリコン塊の表面の一部分が褐色系に変色する着色現象であり、高純度な原料を必要とするユーザー側からはその防止が強く求められている。そして、そのシミ対策の一つとして、エッチング処理後のシリコン塊の表面に存在するSi−H結合をSi−O結合に変換することが、特許文献1により提示されている。
特許第2834600号公報
この対策は、シミの原因が、エッチング処理後のシリコン塊の表面における異常酸化膜、より具体的にはSi−H結合にあるとの知見に基づくものであり、エッチング処理をした直後のシリコン塊の表面に酸素含有雰囲気中でマイクロ波の照射、或いは高温空気の照射を行うことにより、その表面に存在するSi−H結合をSi−O結合に変換して、シリコン塊の表面全体を健全な酸化膜(SiO2 )で覆うというものである。
しかしながら、この対策の場合、不定形な個々の破砕塊の表面全体にマイクロ波、或いは高温空気をムラなく照射する必要があるが、破砕塊の形状が複雑であるために、それらの均一照射は手法的に容易でない。更に言えば、後述するように、多結晶シリコンの破砕塊は所定量ずつ籠に入れてエッチング処理、水洗処理、乾燥処理を受けるのが一般的であるため、個々の破砕塊の表面全体にマイクロ波、或いは高温空気をムラなく照射することは困難であり、個々の破砕塊の表面全体にマイクロ波、或いは高温空気をムラなく照射するためには、籠によるバッチ処理から、破砕塊1個ずつの個別処理への転換が必要となる。
このため、この対策は非効率で不経済であるという問題があり、有効性にも問題がないとは言えない。このような事情から、袋詰めの塊状多結晶シリコン製品の表面に生じるシミを簡単な手法で確実に防止できる対策が求められている。
本発明の目的は、袋詰めされた多結晶シリコンの破砕塊の表面におけるシミと呼ばれる異常酸化現象を簡単かつ確実に防止することにある。
上記目的を達成するために、本発明者らはシミの発生原因を多角的に調査した。その結果、以下の事実が判明した。
多結晶シリコンの破砕塊のエッチング、水洗、乾燥は次のようにして行われる。所定量のシリコン塊を耐酸性材料からなる籠に入れ、エッチング槽内のフッ硝酸混合溶液に浸漬する。次の水洗工程では、エッチング槽から引き上げた籠を水洗槽内の純水中に浸漬する。複数の水洗槽に順番に送り、清浄度を段階的に上げる。或いは単一の水洗槽で流水により処理する。最後に乾燥を行う。この工程では、水洗槽から引き上げた籠内のシリコン塊を温風等により処理する。
籠内に収容された複数個のシリコン塊は複雑な形状の破砕塊であるため、隣接するシリコン塊の間に十分な隙間ができ、この間をエッチング液、水洗用の純水、乾燥用の温風等が十分に通過するため、いずれの工程でも、籠内の個々のシリコン塊は問題のない処理を受け、その結果、乾燥後のシリコン塊の表面にはエッチング液成分も水分も残留していないと考えられていた。ところが、保存期間中に発生したシミと称される異常酸化膜の部分を分析したところ、その部分から極微量のフッ素成分が確認された。そのフッ素成分はエッチング液中のフッ素成分であると考えられ、もし仮にシリコン塊の表面にフッ素成分が存在した場合は大気中では酸化の進行が促進される可能性のあることが知られている。
このような事実を基礎として、本発明者らは、多結晶シリコンの破砕塊の表面にエッチング液成分が残留する可能性について調査した。その結果、次のことが明らかになった。多結晶シリコンの破砕塊の表面形状は、大小様々な凹凸が複雑に組み合わさった複雑な不定形状である。また、通常の水洗工程では、前述したとおり、複数個の破砕塊を1ロットとして籠に入れて洗浄を行う。これらのため、入念な水洗処理を行っても、破砕塊の複雑な形状の凹部や破砕塊同士の接触部分においては水洗液が滞留する危険を避け得ない。多量の純水を使用して長時間の水洗を行えば、フッ素成分の除去がある程度可能であるかもしれないが、多大のコストがかかり、工業レベルでの実施は困難である。
すなわち、多結晶シリコンの破砕塊の場合、その塊形状、水洗法からして、水切りが局部的に不足する事態を完全に回避することは実質不可能であるので、一部の破砕塊の一部分においては、水切り不足に起因するフッ素成分の残留が生じる懸念を完全には払拭できず、その部分がシミと呼ばれる異常酸化物に発展する可能性が考えられる。すなわち、水切りが不足した部分では、そのまま乾燥が進んでも、他の部分より液中成分が多く残るのを避け得ない。
このような事情から、本発明者らは多結晶シリコン破砕塊の水切り不足部分におけるフッ素成分の効率的除去法の開発を企画した。すなわち、多結晶シリコンの破砕塊を個々に処理することは非現実的である。またフッ酸系以外の洗浄液を使用することも、能率面から採用し難い。これらのことから、籠単位のバッチ処理を前提として、水切り不足部分におけるフッ素成分の効率的除去法の開発が合理的であるとの考えに到達し、様々な実験を行った。その結果、エッチング洗浄、水洗、乾燥後に、減圧雰囲気中で微量の水分を含んだArガスなどの不活性ガスを緩やかに流しながら比較的低温の加熱処理を行なえば、籠単位のままで残留フッ素分を効果的に除去でき、その結果として保管中のシミと呼ばれる異常酸化物の発生を安定的に防止できることが判明した。
この理由としては、次のようなことが考えられる。多結晶シリコンの結晶方位はランダムであるが、シリコン塊の最表面では、Si原子同士を結合する電子以外に余剰の電子が存在して他の原子と結合し、通常は結合力の強いO原子と結びついて安定な酸化膜(SiO2 )を形成する。ところが、エッチング洗浄直後は、この余剰電子が原子と結合しておらず、非常に活性な状態になっている。通常はこの後の水洗、乾燥過程で殆どの余剰電子は、結合力の強いO原子と結合して安定な状態になるが、水切りが不足した部分では僅かにエッチング液成分が残留するため、エッチング液成分中のフッ素原子が余剰原子と結合した状態となる。ここで、微量の水分を含む不活性ガスが流通すれば、フッ素原子が結合したシリコン原子は雰囲気中の水分子の攻撃により酸化が進み、安定した酸化膜(SiO2 )が形成される。酸化が進むとき、水分子中の水素原子とフッ素原子が結合してフッ化水素分子として離脱したものは、その不活性のキャリアガスを流通させながら減圧度を維持すれば、フッ素原子との再結合が防止できる。その結果、高温多湿の環境で保管されても、最早シミは生じない。
特許文献1では、シミの原因がシリコン塊の表面におけるSi−H結合とされているが、シミの発生部分にフッ素成分が存在している事実、減圧下での軽度加熱処理によれば、籠単位のままでシミの発生原因が除去される事実などを考えあわせると、Si−F結合の方がシミの原因として支配的であると考えられる。
本発明はかかる知見を基礎として完成されたものであり、多結晶シリコンから破砕により得られると共に、フッ素を含む洗浄液による処理を受け、更にユーザー出荷のために袋詰めされた多結晶シリコンの破砕塊であり、その塊表面に存在するフッ素原子の個数が1,000,000 原子/μm2 以下で且つ100,000 原子/μm 2 以上である多結晶シリコンを要旨とする。また、多結晶シリコンから破砕により得られた多結晶シリコンの破砕塊を、フッ素を含む洗浄液により処理し、水洗、乾燥後に加熱処理を行って、その塊表面に存在するフッ素原子の個数を1,000,000 原子/μm2 以下に減じる多結晶シリコンの製造方法を要旨とする。ここにおける加熱処理は、減圧雰囲気中で微量の水分を含んだArガスなどの不活性ガスを緩やかに流しながらの比較的低温の加熱処理であり、具体的には減圧下で露点が−35℃から−20℃の不活性ガスを流通させつつ45℃以上の温度に20分間以上保持する減圧加熱処理である。
本発明の多結晶シリコンは、フッ素を含む洗浄液による処理を受けた破砕塊でありながら、塊表面に存在するフッ素原子の個数が1,000,000 原子/μm2 以下に制限されているため、高温多湿下で保存されても、シミと呼ばれる異常酸化物を生じない。1,000,000 原子/μm2 以下は、一辺が1μmの正方形の中に存在するフッ素原子数が1,000,000 原子/μm2 以下であることを表す。
シリコン塊の表面に存在するフッ素原子の単位面積あたりの個数(原子/μm2 )は次のようにして測定される。シリコン塊の表面積S(μm2 )は、測定すべきシリコン塊の集合体をJIS標準篩の所望の目開きものとそれよりも1段大きい目開きのものとを重ねて篩分けし、径を揃えた塊100個の重量を測定して塊1個あたりの平均重量W(g)を求め、その平均重量W(g)から球換算で数式1により求める。表面積を求めたシリコン塊を純水に浸漬する。塊表面のフッ素成分がフッ素イオンとして溶出するので、純水中のフッ素イオンをイオンクロマトグラフ法により測定する。これにより、シリコン塊の表面に存在するフッ素原子の全個数が判明する。両者から単位面積あたりの個数(原子/μm2 )が求まる。
Figure 0005268442
本発明の多結晶シリコンの製造方法は、フッ素を含む洗浄液による処理を含む一連の処理の後に、減圧雰囲気中で微量の水分を含んだArガスなどの不活性ガスを緩やかに流しながらの比較的低温の加熱処理、具体的には減圧下で露点が−35℃から−20℃の不活性ガスを流通させつつ45℃以上の温度に20分間以上保持する減圧加熱処理を行うことにより、大量の純水を使用せずとも、また籠単位のバッチ処理を行う場合にも、残留フッ素成分を塊表面から除去することができる。具体的には、塊表面に存在するフッ素原子の個数を1,000,000 原子/μm2 以下に減じる。このため、塊状シリコン製品を高温多湿下で保存しても、シミと呼ばれる異常酸化物の発生を防止できる。
減圧下での加熱処理において流通させる不活性ガスの露点を−35℃から−20℃までとしたのは次の理由による。−35℃より低いと不活性ガス中の水分量が不足し、安定した酸化膜の形成が阻害されるために、塊表面に存在するフッ素原子の個数低減が十分に進まない。反対に、−20℃より高い露点の場合は不活性ガスから供給される水分の比率が大きくなることにより、局部的な酸化が起こり、シミが発生する危険性が生じる。
その加熱処理における減圧度はフッ素原子除去の点からは低い方がよいが、低すぎると、真空引きに要するコストが増大するだけでなく、雰囲気中の酸素原子量が少なくなり、酸素原子との再結合が進まない。この観点から、減圧度は水の水蒸気圧以下、具体的には0.004MPa以下、0.002MPa以上が望ましい。過度の減圧は、フッ素原子の除去効果が飽和するため、経済性を低下させる原因になる。
流通ガスはArガス、窒素ガスなど、前述の減圧雰囲気下で不活性なガスであればよく、特にその種類を問わないが、経済性を考慮するならば前述のArガス、窒素ガスが望ましい。流通量は、減圧にする容器の空間部分の体積の換気回数で表して5回/min以上30回/min以下が望ましく、10回/min以上20回/min以下がより望ましい。換気回数が少ないと、分離したフッ素原子の再結合が進み、塊表面におけるフッ素原子数の減少が不十分となるため、シミ発生の懸念を払拭できない。反対に換気回数が多いと、必要な減圧度を確保するために真空排気設備が大型化し、余分なキャリアガスを消費するために経済性の低下が問題になる。
加熱温度は、フッ素原子除去の点から45℃以上が必要であり、加熱時間を短縮できる点から60℃以上が望ましい。上限については、フッ素原子除去、加熱時間短縮の点から高い方がよいが、60℃以上では効果が飽和する傾向となり、加熱コストの増大が問題となるので、70℃以下が望ましく、65℃以下が特に望ましい。加熱保持時間を20分以上としたのは、20分未満ではフッ素原子除去の効果が十分に得られないからである。加熱保持時間の上限については、フッ素原子除去の点からは特に限定の必要がないが、長すぎると処理コストが嵩むので、この観点から200分以下が望ましい。
塊表面に存在するフッ素原子の個数の下限については、シミ低減の点からは特に定める必要はないが、その個数を少なくするほど減圧加熱処理のコストが嵩むので、この点から100,000 原子/μm2 以上とし、500,000 原子/μm2 以上がより好ましい。
フッ素を含む洗浄液としては、フッ酸と硝酸の混合液であるフッ硝酸溶液がエッチング能力が高く、シリコン塊の洗浄液として一般的であるが、フッ化水素酸、フッ化アンモニウムなども、シリコン塊の表面を覆う酸化膜の除去などに使用され、これらの洗浄液による処理を受けたシリコン塊でも、残留フッ素成分によるシミが問題になる。このため、本発明はフッ硝酸溶液以外のフッ素を含む洗浄液による処理を受けたシリコン塊にも有効である。ちなみに、フッ素を含む洗浄液とは、フッ素原子を0.5wt%以上含む洗浄液のことである。
本発明の多結晶シリコンは、フッ素を含む洗浄液による処理を受けた破砕塊でありながら、塊表面に存在するフッ素原子の個数が1,000,000 原子/μm2 以下に制限されているため、袋詰め製品の保存中に生じるシミと呼ばれる異常酸化現象が発生するおそれがなく、高品質な製品をユーザーへ安定的に供給することができる。
本発明の多結晶シリコンの製造方法は、フッ素を含む洗浄液による処理を含む一連の処理の後に、減圧雰囲気中で微量の水分を含んだArガスなどの不活性ガスを緩やかに流しながらの比較的低温の加熱処理、具体的には減圧下での露点が−35℃から−20℃の不活性ガス流通雰囲気中で45℃以上の温度に20分間以上保持する減圧加熱処理を行うことにより、塊表面に存在するフッ素原子の個数を1,000,000 原子/μm2 以下に減じるので、袋詰め製品の保存中に生じるシミと呼ばれる異常酸化現象の発生を防止でき、高品質な製品をユーザーへ安定的に供給することができる。また、処理コストが安く、製品価格の上昇を回避でき、経済性に優れる。
以下に本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図1は本発明の一実施形態を示す多結晶シリコン製造方法の工程図である。
本実施形態では、図1に示すように、シーメンス法により製造された棒状の多結晶シリコンを破砕して得られた多数個のシリコン塊に対し、第1工程としてエッチング洗浄を行う。エッチング洗浄では、シリコン塊を所定量ずつ耐酸性材料からなる籠に入れ、フッ硝酸溶液からなる洗浄液中に浸漬する。フッ硝酸溶液によるエッチングにより、シリコン塊の表面を溶解し、その表面に存在する不純物を除去する。
第1工程のエッチング洗浄が終わると、第2工程の水洗へ移行する。この工程では、エッチング洗浄を終えたシリコン塊を籠に入れたまま複数の純水槽に順番に浸漬していき、シリコン塊の表面に残存するエッチング液を除去する。第2工程の水洗が終わると、第3工程の乾燥へ移行する。この工程では、水洗を終えたシリコン塊を籠に入れたまま、そのシリコン塊に温風を吹き付ける。シリコン塊の形状や籠内の位置などによって一部のシリコン塊の表面の一部分に水洗不足、水切り不足などに起因するフッ素成分の残留が生じることは前述したとおりである。
第3工程の乾燥が終わると、第4工程の減圧低温加熱処理へ移行する。この工程では、乾燥を終えたシリコン塊を籠に入れたまま真空恒温槽へセットする。そして、槽内を水の蒸気圧である0.004MPa以下の真空度まで減圧すると共に、その真空度を維持しながら露点が−35℃から−20℃のArガスを槽内に流通させ、この環境下で45℃以上、好ましくは60℃以上に加熱する。この槽内でシリコン塊を20分以上処理することにより、シリコン塊の表面に存在するフッ素原子個数が1,000,000 原子/μm2 以下になる。換言すれば、第4工程では、シリコン塊の表面に存在するフッ素原子個数が1,000,000 原子/μm2 以下となるように減圧ガス流通雰囲気中で低温加熱処理を行う。
第4工程を終えたシリコン塊は、所定量ずつ二重のポリエチレン袋内に封入されて製品化される。袋詰め製品は、所定数を1単位として、ポリエチレンシートからなる大袋内に封入され、茶箱からなるパレット内に収納されて出荷される。袋内のシリコン塊の表面に実質的にフッ素成分が存在しないので、高温多湿下で保管されてもシミと呼ばれる異常酸化物は発生しない。
本発明の有効性を定量的に検証するために以下の実験を行った。
多結晶シリコンの破砕塊(平均重量100g)を前述した第1工程、第2工程、第3工程、及び第4工程に順番に供し、そのシリコン塊の表面を清浄化した。第4工程での減圧度、ガス流通条件、加熱温度、加熱時間を種々変更して、これらが、シリコン塊の表面に残存するフッ素原子個数に及ぼす影響度を調査した。また、第4工程の後、梱包を終えた多結晶シリコン製品を、シミの発生を促進するため温度40℃、湿度90%の高温多湿槽内に40日間保管し、袋内のシリコン塊の表面にシミが発生する割合を調査した。この割合は、表面にシミが認められたシリコン塊の個数の全個数に対する比率である。
フッ素原子個数の測定は、前述したとおり、処理を終えたシリコン塊を2段の篩にかけて大きさの揃ったシリコン塊を100個選出し、その平均表面積を数式1により測定すると共に、表面積を求めたシリコン塊を純水に浸漬して、塊表面のフッ素成分を純水中に溶出させ、純水中のフッ素イオンをイオンクロマトグラフ法により測定することにより、シリコン塊の表面に存在するフッ素原子の全個数を算出し、これを平均表面積で除することにより求めた。
第4工程での減圧度を0.004MPaとしたときの結果を表1及び表2に示す。また、第4工程での減圧度を0.004MPaより高い0.002MPaとしたときの結果を表3に示す。これらでは、露点が−20℃のArガスを流通させ、その換気回数は5回/minとした。一方、減圧度が0.004MPaの場合に露点が−40℃のArガスを流通させたときの結果を表4に示す。不活性ガスの換気回数は他の例と同じ5回/minとした。
Figure 0005268442
Figure 0005268442
Figure 0005268442
Figure 0005268442
表1〜表4における時間は第4工程における加熱時間(分)、恒温槽温度は同じく第4工程における加熱温度(℃)であり、2種類の加熱温度(℃)において加熱時間を0分、5分、10分、15分、20分と変化させたときのシミ発生割合(%)及びフッ素原子個数(原子/μm 2 )を、各表は示している。表1〜表4から分かるように、洗浄に関する一連の処理を終えたシリコン塊に減圧ガス流通下で低温加熱処理を行うことにより、塊表面に存在するフッ素原子個数が減少する。そして、そのフッ素原子個数が1,000,000 原子/μm2 以下となると、従来どおりの梱包のまま高温多湿下で保管しても、シミと呼ばれる異常酸化物の発生が防止される。フッ素原子個数が減少する傾向は、減圧度が低くなるほど、流通不活性ガスの露点が低くなるほど、加熱温度が高くなるほど、加熱時間が長くなるほど顕著となり、0.004MPa以下の減圧度、露点が−35℃より高い不活性ガスの流通下、45℃以上の加熱温度であれば、20分間の加熱保持で、フッ素原子個数が1,000,000 原子/μm2 以下になる。なお、本発明で規定した1,000,000 原子/μm 2 は、表1〜表4に記載されたフッ素原子の具体的個数から明らかなように、より正確には1.00×10 6 原子/μm 2 或いは10.0×10 5 原子/μm 2 である。
本発明の一実施形態を示す多結晶シリコン製造方法の工程図である。

Claims (5)

  1. 多結晶シリコンから破砕により得られると共に、フッ素を含む洗浄液による処理を受け、更にユーザー出荷のために袋詰めされた多結晶シリコンの破砕塊であり、その塊表面に存在するフッ素原子の個数が1,000,000 原子/μm2 以下で且つ100,000 原子/μm 2 以上である多結晶シリコン。
  2. 請求項1に記載の多結晶シリコンにおいて、多結晶シリコンの破砕塊はシーメンス法により製造されたシリコン単結晶原料用または太陽電池原料用である多結晶シリコン。
  3. 請求項2に記載の多結晶シリコンにおいて、多結晶シリコンの破砕塊は半導体原料用である多結晶シリコン。
  4. 請求項3に記載の多結晶シリコンにおいて、多結晶シリコンの破砕塊はフッ硝酸溶液によるエッチング処理を受けた後、水洗処理、乾燥処理を受け、更に塊表面の再汚染を防止するために複数個ずつ袋詰めにされた多結晶シリコン。
  5. 請求項1〜4の何れかに記載の多結晶シリコンにおいて、袋詰めに使用される袋がポリエチレン袋である多結晶シリコン。
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