JP5267640B2 - 抵抗スポット溶接継手の評価方法 - Google Patents
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Description
本発明は、重ね抵抗溶接法の一種である抵抗スポット溶接によって形成される、引張強度に優れる継手に関する。
近年、車体の高信頼性と、エミッション削減を目的とした車体重量の軽減を両立して達成するために、鋼板の高強度化が進められている。高強度鋼板の採用により、従来鋼に比べ薄肉化、軽量化をしても同程度の車体剛性が得られるが、いくつかの課題も指摘されている。その一つが、高強度化するにつれて、車体組立における溶接部の品質が低下するというものである。
抵抗スポット溶接は、図1に示すように、重ね合わせた2枚以上の鋼板(ここでは、下の鋼板1と上の鋼板2の2枚)の板組3を、上下一対の電極チップ(下の電極チップ4と上の電極チップ5)で挟み、加圧、通電することにより溶融させ、必要サイズのナゲット6を形成して、溶接継手を得るものである。
このようにして得られた継手の品質は、十分なナゲット径が得られているか否かで判断するか、あるいは、せん断引張強度(継手のせん断方向に引張試験をしたときの強さ)、十字引張強度(継手のはく離方向に引張試験をしたときの強さ)、または疲労強度などで評価されている。その中でも、せん断引張強度や十字引張強度のような静的強度は、溶接継手の品質の指標として非常に重要視されている。
このうち、スポット溶接部の引張せん断強度は、鋼板の引張強度の増加とともに増加する傾向にある。しかし、十字引張強度は鋼板の引張強度の増加にかかわらずほとんど増加せず、逆に減少する。その原因として、高強度鋼板は、その強度を達成するために(1)式などで表される炭素等量Ceqが大きくならざるをえず、加えて溶接は急熱急冷現象であるために、溶接部及び熱影響部において硬度が上昇し、靭性が低下するからだと考えられている。
Ceq=C+1/24×Si+1/6×Mn(%)・・・(1)
ここで、%は質量%を意味している。
ここで、%は質量%を意味している。
高強度鋼板を使用する際に継手強度を確保するためには、溶接法の観点からは、打点数の増加やナゲット径の拡大が考えられる。しかし、打点数を増加させると分流の影響が大きくなるほか、作業時間の増加につながり生産性を悪化させる。また、ナゲット径を拡大するには電極を大きくしたり、溶接金属の飛散(散り、チリ)を防ぐために加圧力を増加しなければならず、装置的な制約も受けるほか、熱影響部が拡大するため母材性状が損なわれる欠点もある。
そこで、従来と同様、あるいはそれ以下の打点数およびナゲット径で強度を確保する様々な試みがなされてきた。その試みとしては一度溶接部を凝固、変態させた後に再加熱することにより、ナゲットおよびHAZ部分を軟化させるテンパー通電の検討が多い。これは、ナゲットの靭性向上や溶接部近傍の応力集中緩和をはかり、継手部の強度向上を実現しようとするものである。
そのため、継手の品質保証としては、硬さに着目した検討も多い。その一例として、特許文献1や特許文献2は、ナゲットおよび熱影響部の硬さを測定し、その値が一定の範囲に入っていることによって継手部の高強度を保証出来るとしている。
しかしながら、硬さの低下はせん断引張強さを低下させるという指摘があり、必ずしも望ましいものではない。従って、抵抗スポット溶接継手の継手強度確保にあたり、硬さ以外の指標が必要不可欠である。
本発明は、高強度鋼板を含む板組の抵抗スポット溶接において、前記問題を解決し、硬さに依らない指標によって継手強度を確保出来る、抵抗スポット溶接継手を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、高張力鋼板を含む板組の十字引張強度に優れる抵抗スポット溶接継手について鋭意検討した。
まず、引張強度980MPa級の二相鋼を使用し、継手強度の決定因子を検討した。なお、上述の通り、抵抗スポット溶接の継手強度の静的強度を代表する引張せん断強度と十字引張強度のうち、引張せん断強度は鋼板の高強度化に合わせて向上する一方、十字引張強度は低下する傾向がある。そこで、十字引張強度をより重視して検討を進めた。
ここで、抵抗スポット溶接継手の十字引張強度と破断形態には相関があり、低強度溶接継手は鋼板に平行に破断するはく離破断を生じ、高強度になるにつれてボタン状に片方の鋼板が残ったまま抜けるように破断するプラグ破断へと変化することが知られている。すなわち、継手強度確保のためには、はく離破断を抑制することが肝要となる。はく離破断現象は、ナゲット中を破断が進展するわけであるから、ナゲット組織および金属元素の偏析状態の破断に及ぼす影響を検討した。
そのなかで、ナゲットにおける偏析の形態によっては、き裂の発生要因となりうるのではないかとの知見を得た。種々の条件を検討したところ、ナゲットを形成させた後、冷却した後、再通電を行うことで、デンドライト状組織が変化することを見出した。数値解析で評価したところ、これらの冷却時間では未だマルテンサイト変態が始まっていない場合があることが分かった。
種々の条件を検討する中で、デンドライト状組織が消失する程度まで再加熱することで、ナゲット径は変化しないものの、従来のはく離破断からプラグ破断に変化し、十字引張強度も向上させることが出来ることを見出した。この継手はナゲットの硬さにも変化がなく、金属組織も本通電のみ場合と比較して、大きな相違はなかった。
このデンドライト構造の変化をFE−EPMA(電界放出型電子プローブマイクロアナライザ)によって詳しく分析したところ、ナゲットの金属成分のうち、特にPの分布状態が変化していることが明らかになった。従来の継手ではデンドライト組織と対応してPに著しいピークが見られ、母材組織に対して2倍から10倍の濃度となっている部分が観察された。一方で、デンドライト組織が軽減・消失しているものは、Pは母材組織に対しておおよそ2倍以下までの範囲となっていることが明らかとなった。
この事実から、本発明らは、ナゲットの強度確保のためには、特にき裂が導入されやすいコロナボンド端から一定距離の範囲のPの濃度分布が低い水準に有ることが必要であるとの知見を得た。
本発明は、これらの知見から完成し、以下の特徴を有している。
(1) 薄鋼板の抵抗スポット溶接継手において、
薄鋼板が構成するナゲットの径をdとしたとき、コロナボンドに囲まれたナゲットの水平面上において、
溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域に存在するPの量の分布状態を面分析し、Pの濃度m(質量%)が、母材組成のPの濃度M(質量%)の2倍を超えている面積比率が5%以下であることを特徴とする抵抗スポット溶接継手。
(2)前記薄鋼板の枚数が3枚以上であることを特徴とする前記(1)に記載の抵抗スポット溶接継手。
薄鋼板が構成するナゲットの径をdとしたとき、コロナボンドに囲まれたナゲットの水平面上において、
溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域に存在するPの量の分布状態を面分析し、Pの濃度m(質量%)が、母材組成のPの濃度M(質量%)の2倍を超えている面積比率が5%以下であることを特徴とする抵抗スポット溶接継手。
(2)前記薄鋼板の枚数が3枚以上であることを特徴とする前記(1)に記載の抵抗スポット溶接継手。
本発明によれば、少なくとも一枚以上の高張力鋼板を含む二枚以上の板組に対して、ナゲットの偏析を低下させ、き裂を発生し難くしたことにより、はく離破断を抑制し、軟化させることなく高強度の抵抗スポット溶接継手を提供出来る。
本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明に係る溶接継手を形成するにあたり好適に使用可能な溶接装置は、上下一対の電極チップを備え、一対の電極チップで溶接する部分を挟み、加圧、通電でき、溶接中に加圧力、溶接電流をそれぞれ任意に制御可能な加圧力制御装置および溶接電流制御装置を有していればよく、加圧機構(エアシリンダやサーボモータ等)、電流制御機構(交流や直流等)、形式(定置式、ロボットガン等)等はとくに限定されない。
この継手において、ある二枚の薄鋼板が構成するナゲットの径をdとしたとき、コロナボンドに囲まれたナゲットの水平面上において、溶融部端部からナゲット内部方向に、存在するPの量の分布状態を面分析しPの量を評価する。ただし、スポット溶接は軸を中心に対称であると解されるため、この範囲であれば選択的に範囲を限定して評価してもよい。
d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域を評価に供する各長さの位置関係と共に図2に示す。図2で閉曲線(d/100)および閉曲線(d/5)はそれぞれ溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線を示している。これは、模式図であるので、真円として図示してあるが、実施すると真円には近似するが、必ずしも厳密な意味で真円とはならず、やや異なる場合もある。
d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域を評価に供する各長さの位置関係と共に図2に示す。図2で閉曲線(d/100)および閉曲線(d/5)はそれぞれ溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線を示している。これは、模式図であるので、真円として図示してあるが、実施すると真円には近似するが、必ずしも厳密な意味で真円とはならず、やや異なる場合もある。
ここで、コロナボンドに囲まれたナゲットの面上としたのは、コロナボンドは一般に強度が低いことから、引張試験時は、最初にはく離し、ナゲットに対するき裂開口端となるため、評価をするのに最も適していると考えられるからである。ただし、コロナボンドの強度などによってはき裂方向が上下にそれることがあることから、コロナボンドと同じ高さの面からナゲットの厚みの1/10の上下の範囲は計測範囲として扱ってよい。
さらに、溶融部端部からd/100としたのは、凝固最端部は部分的に溶融しており、今回の評価の対象でないからと考えられるからである。また、溶融部端部からd/5としたのは、き裂に影響する範囲はd/5までと考えられるからである。なお、上限はより狭い範囲のd/10以下とすることが望ましい。
上記領域の選択的または全領域につき、Pの分析を面分析にて行う。本評価には、EPMAによる分析が最も適している。
Pの濃度m(質量%)が、母材組成のPの濃度M(質量%)の2倍を超えている面積を求めて、前記2つの閉曲線で囲まれる領域の面積と比較し、面積比率を評価する。
ここで、母材組成のPの濃度M(質量%)は、鋼板が2枚組の場合で、同一化学成分を有していれば、当該鋼板の含有するPの濃度(質量%)とする。異なった組成(P1、P2)(質量%)の場合で異なった板厚(t1、t2)(mm)であるときは近似的にP=(P1*t1+P2*t2)/(t1+t2)のように計算して求めることができる。
3枚の場合には、当該鋼板の含有するPの濃度(質量%)は、図3に示すように電極に接する鋼板1及び3に対して鋼板2は全て溶融しているという観点から、溶接後の断面を切断し、ナゲットを観察することによって得られる電極と同軸上のナゲット厚み(t1〜t3)を用いて、P=(P1*t1+P2*t2+P3*t3)/(t1+t2+t3)のように表す。このように、3枚より多い場合には、同様に表すことができる。
ここで、母材組成のPの濃度M(質量%)は、鋼板が2枚組の場合で、同一化学成分を有していれば、当該鋼板の含有するPの濃度(質量%)とする。異なった組成(P1、P2)(質量%)の場合で異なった板厚(t1、t2)(mm)であるときは近似的にP=(P1*t1+P2*t2)/(t1+t2)のように計算して求めることができる。
3枚の場合には、当該鋼板の含有するPの濃度(質量%)は、図3に示すように電極に接する鋼板1及び3に対して鋼板2は全て溶融しているという観点から、溶接後の断面を切断し、ナゲットを観察することによって得られる電極と同軸上のナゲット厚み(t1〜t3)を用いて、P=(P1*t1+P2*t2+P3*t3)/(t1+t2+t3)のように表す。このように、3枚より多い場合には、同様に表すことができる。
なお、3枚以上の板組における、コロナボンドに囲まれたナゲットの水平面上、とは、継手強度を評価する対象の2枚の板組間の界面に存在するコロナボンドに囲まれたナゲットの水平面上を指す。例えば、図4において鋼板2及び鋼板3での継手強度を評価する場合は実線で示した部分が該当のコロナボンドであり、コロナボンドに囲まれたナゲットの水平面は点線で示される部分である。
Pの濃度m(質量%)が、母材組成のPの濃度M(質量%)の2倍を超えている領域が面積比率で5%以下となることが求められる。
2倍を超えている領域としたのは、2倍を超えた場合、凝固偏析による脆性的な破壊が著しく誘起されるからである。5%以下としたのは、5%以下とすることによって破壊の開始を十分に抑制出来るからである。
本評価には、前述したようにEPMAによる分析が最も適しているがその他EDXやWDXによる分析も行うことができる。EPMAによる分析を行う場合には、加速電圧13〜17kV、照射電流は1×10−7A以上、3×10−7A以下、ビーム径1〜3μmφとし、ステップ数は1〜3μm、計数時間3〜10s/pointsの条件で行うことが好ましい。
本評価には、前述したようにEPMAによる分析が最も適しているがその他EDXやWDXによる分析も行うことができる。EPMAによる分析を行う場合には、加速電圧13〜17kV、照射電流は1×10−7A以上、3×10−7A以下、ビーム径1〜3μmφとし、ステップ数は1〜3μm、計数時間3〜10s/pointsの条件で行うことが好ましい。
上記範囲において面分析を行い、面積比率を算出する。ただし、簡易的に線分析にて評価を行ってもよい。面積比率は画像解析装置により求めることができる。このとき、面積比率をさらに、3%以下とすることで、Pによる影響をより軽減した、より望ましい高強度な継手が得られる。
Pの濃度m(質量%)が、母材組成のPの濃度M(質量%)の2倍を超えている面積比率が5%以下である抵抗スポット溶接継手を製作するには、幾つかの方法がある。先ず、実施例に後述するように、抵抗スポット溶接においてナゲットを形成する本工程の後、一旦無通電時間をおいて冷却し、再び通電を行う時間(後工程通電時間)を2回ずつ行う条件を採用することによる。この時、あるコロナボンドを構成する2枚の板組のうち薄い板の板厚tをもって、その界面におけるナゲット径のサイズが3√tから6√tの間である必要があり、これは抵抗スポット溶接において、最低限のナゲットを確保するとともに、過大となり熱影響が大きくなることを防ぐためである。
ナゲットを形成した後に4サイクル〜30サイクルの無通電時間Tcを置く(1サイクルは0.02S)。最低限の凝固を確保しなければならない一方で、冷却が進んで再加熱が必要となっては非効率的となるからである。その後、二段の通電を行う。一段目の通電電流値Ip1は二段目の通電Ip2よりも低くし、急激な通電による散りの発生を抑制する。さらに、十分にPを拡散させるため、ナゲットを高温化する必要があるという観点から、Ip2はImよりも高い電流であることが望ましい。また、二段の通電時間の和Tp=Tp1+Tp2は溶接時間を抑制するため、多くとも20サイクルとすることが望ましい。なお、本継手は抵抗スポット溶接プロセスで実現する以外にも、誘導加熱などを用いた後熱装置による加熱も考えられる。
本発明の実施例として、前述の図1に示したように、2枚の鋼板(下の鋼板1、上の鋼板2)を重ねた板組3について、溶接ガンに取付けられたサーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて抵抗スポット溶接を行い、抵抗スポット溶接継手を作製した。なお、使用した一対の電極チップ(下の電極チップ4、上の電極チップ5)は、ともに図5に示すように、先端の曲率半径R40、先端径6mmを有するアルミナ分散銅のDR型電極とした。
試験片として、下の鋼板1および上の鋼板2共に同じ鋼種(同一の化学成分を有する鋼板)の同じ板厚である鋼板を用い、引張強度780MPa級、引張強度980MPa級、1180MPa級、引張強度1470MPa級の冷延鋼板を使用した。これら鋼板を用いて、JIS Z3137に基づき溶接および引張試験を行った。
そして、本発明例として、上記の本発明の一実施形態に基づいて抵抗スポット溶接を行った。その際、図6のように、加圧したまま通電をしない時間(無通電時間Tc)と、再び通電(Ip1、Ip2)を行う時間(後工程通電時間Tp1、Tp2)を2回ずつ行った。
一方、従来例として、本工程のみの抵抗スポット溶接を行った。
表1に、本発明例および従来例、比較例の溶接条件と溶接結果を示す。本表に示されていない溶接条件(例えば、スクイズ時間あるいはスロープ時間)については設定しなかった。また、後工程の通電によりナゲット径の拡大はなかったことを確認している。
溶接後のナゲット部について、コロナボンドに囲まれた面上における、溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域、すなわち溶融端部からd/100〜d/5の距離に囲まれた中空円状の範囲の領域うち、ランダムに30μm四方の視野を5点、EPMAでPの分布状態を面分析をした。さらに、母材P量Mに対して2倍以上となる偏析部の面積比率を評価した。
さらに、これら継手の引張試験を行い破断時の荷重を比較した。従来例に対して向上したものを○、等しいか、あるいは低下したものを×として整理した。
この結果、本発明例においては、従来例、比較例に比べ、Pの濃化部が減少しており、十字引張強度の向上が認められた。
本発明の実施例として、前述の図3に示したように、3枚の鋼板(下の鋼板1、中の鋼板2、上の鋼板3)を重ねた板組について、溶接ガンに取付けられたサーボモータ加圧式で単相交流(50Hz)の抵抗溶接機を用いて抵抗スポット溶接を行い、抵抗スポット溶接継手を作製した。なお、使用した一対の電極チップ(下の電極チップ4、上の電極チップ5)は、ともに図5に示すように、先端の曲率半径R40、先端径6mmを有するアルミナ分散銅のDR型電極とした。
試験片の板組を表2に示す。ここで強度は引張強度であり、めっきがなしの場合は冷延鋼板、GAはGA鋼板を示す。なお、GA鋼板の目付量は45g/mm^2であった。これら鋼板を用いて、JIS Z3137に基づき溶接および引張試験を行った。引張試験を行ったのは全て鋼板1と鋼板2の間である。
そして、本発明例として、上記の本発明の一実施形態に基づいて抵抗スポット溶接を行った。その際、図6のように、加圧したまま通電をしない時間(無通電時間Tc)と、再び通電(Ip1、Ip2)を行う時間(後工程通電時間Tp1、Tp2)を2回ずつ行った。
一方、従来例として、本工程のみの抵抗スポット溶接を行った。
表3に、本発明例および比較例の溶接条件と溶接結果を示す。本表に示されていない溶接条件(例えば、スクイズ時間あるいはスロープ時間)については設定しなかった。
後工程の通電によりナゲット径の拡大はなかったことを確認している。
後工程の通電によりナゲット径の拡大はなかったことを確認している。
溶接後のナゲット部について、鋼板1と鋼板2の間に存在するコロナボンドに囲まれた面上における、溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域、すなわち溶融端部からd/100〜d/5の距離に囲まれた中空円状の範囲の領域うち、ランダムに30μm四方の視野を5点、EPMAでPの分布状態を面分析をした。さらに、母材P量Mに対して2倍以上となる偏析部の面積比率を評価した。
さらに、これら継手の引張試験を行い破断時の荷重を比較した。従来例に対して向上したものを○として整理した。
この結果、本発明例においては、従来例に比べ、Pの濃化部が減少しており、十字引張強度の向上が認められた。
1 下の鋼板
2 上の鋼板
3 板組
4 下の電極チップ
5 上の電極チップ
6 ナゲット
t 総板厚(mm)
d ナゲット径
2 上の鋼板
3 板組
4 下の電極チップ
5 上の電極チップ
6 ナゲット
t 総板厚(mm)
d ナゲット径
Claims (2)
- 薄鋼板の抵抗スポット溶接継手の評価方法において、
薄鋼板が構成するナゲットの径をdとしたとき、コロナボンドに囲まれたナゲットの水平面上において、
溶融部端部からナゲット内部方向に、d/100の距離の閉曲線とd/5の距離の閉曲線で囲まれるナゲット内の領域に存在するPの量の分布状態を面分析し、Pの濃度m(質量%)が、母材組成のPの濃度M(質量%)の2倍を超えている面積比率が5%以下であるものを、十分な強度の継手と判定することを特徴とする抵抗スポット溶接継手の評価方法。 - 前記薄鋼板の枚数が3枚以上であることを特徴とする請求項1に記載の抵抗スポット溶接継手の評価方法。
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