JP5257732B2 - ビピロリノン系化合物及びビピロリノン系顔料 - Google Patents

ビピロリノン系化合物及びビピロリノン系顔料 Download PDF

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本発明は、着色の耐光性に優れるビピロリノン系化合物及びビピロリノン系顔料に関する。
ビピロリノン系化合物は、濃紺色を呈する5員環不飽和ラクタムであり、その存在自体は19世紀末から知られている。最近では、このビピロリノン系化合物を染顔料として使用するべく、改めて、その製造方法について研究が進められる様になってきた。
下記の様なフェニル基を含有するビピロリノン化合物や、ベンゼン環上の水素原子が低級アルキル基、ハロゲン原子で置換されたフェニル基を含有するビピロリノン系化合物が知られている(非特許文献1、特許文献1参照。)。
Figure 0005257732
また、特許文献2には、フェニル基や、ベンゼン環上の水素原子が低級アルキル基、ハロゲン原子で置換されたフェニル基を、その他のアリール基へ置換出来ることが示唆されている。
しかしながら、特許文献2では、フェニル基や、ベンゼン環上の水素原子が低級アルキル基、ハロゲン原子等で置換されたフェニル基を含有するビピロリノン化合物だけしか合成されておらず、具体的に、その他のアリール基を含有するビピロリノン系化合物の特徴は全く知られていなかった。
Liebigs Ann. chem.,702,112〜130(1967) WO 2004/089941 A1 特開2003−335974公報
本発明は、着色の耐光性に優れる、新規構造のビピロリノン系化合物及びビピロリノン系顔料を提供することを目的とする。
本発明者は、特定のアリール基である縮合多環基を含有するビピロリノン化合物によれば、前記課題が解決されることを見い出し、本発明を完成するに至った。
即ち本発明は、以下の一般式1で表されるビピロリノン系化合物を提供する。
Figure 0005257732
(但し、一般式1中、AR1及びAR2は、同一でも異なっていても良い、ヘテロ原子を含有する縮合多環基、または炭素原子と水素原子のみからなる縮合多環基である。)
また本発明は、上記一般式1で表されるビピロリノン系顔料を提供する。
本発明のビピロリノン系化合物及びビピロリノン系顔料は、特定のアリール基である縮合多環基を含有しているので、フェニル基や置換フェニル基等を含有するそれに比べて、着色の耐光性に優れるという格別顕著な効果を奏する。
本発明は、前記一般式1で表されるビピロリノン系化合物に関する。
この一般式1中、AR1及びAR2は、同一でも異なっていても良い、窒素や酸素などのヘテロ原子を含有する縮合多環基、または炭素原子と水素原子のみからなる縮合多環基である。このヘテロ原子を含有する縮合多環基としては、例えばベンツイミダゾロン、カルバゾールからなる群から選ばれる含窒素縮合多環系化合物の水素残基を、一方、炭素原子と水素原子のみからなる縮合多環基としては、例えばナフタレン、アントラセン、フェナントレンからなる群から選ばれる縮合多環系化合物の水素残基を挙げることが出来る。
前記一般式1で表されるビピロリノン系化合物としては、例えばジベンズイミダゾリルビピロリノン、ジカルバゾリルビピロリノン、ジナフチルビピロリノン、ジアントラニルビピロリノン、ジフェナントイルビピロリノン等が挙げられる。
本発明のビピロリノン系化合物は、例えば各種赤外線吸収スペクトル(IR)、マススペクトル(MS)分析等の二種以上の測定により同定することが出来る。
本発明のビピロリノン系化合物は、前記した様な、公知慣用な各非特許文献や各特許文献に記載された方法に従って、非縮合型の芳香族置換基を有するビピロリノン化合物と同様、縮合多環式化合物の水素残基をビピロリノン骨格に導入することにより製造することが出来る。
このビピロリノン系化合物の製造方法としては、例えばβ−アリーロイルプロピオン酸化合物を出発原料として用いることが出来る。β−アリーロイルプロピオン酸化合物は、公知慣用な種々の方法によって得ることができるが、例えば、簡便な方法としては、無水コハク酸によるアレーンのアシル化が挙げられる。該アシル化反応は、ニトロベンゼン、ジクロロエタン、二硫化炭素などの溶剤中、塩化アルミニウム、塩化鉄、臭化鉄、塩化スズなどのルイス酸触媒によって進行する。
β−アリーロイルプロピオン酸化合物としては、β−ベンズイミダゾロノイルプロピオン酸、β−カルバゾロノイルリルプロピオン酸、β−ナフトイルプロピオン酸、フェナントロノイルプロピオン酸等が挙げられる。
このβ−アリーロイルプロピオン酸化合物は、ニトロベンゼンの様な酸化剤を含有する均一系または酢酸を含有する無水酢酸の様な脱水剤中で、エナミン化後脱水環化してピロリノン化合物とし、これを酸化することで二量化して、ビピロリノン系化合物とすることが出来る。別法として、β−アリーロイルプロピオン酸化合物の脱水環化によりフラノンを生成させてから、これを酸化アミノ化することでも、ビピロリノン系化合物とすることが出来る。前者の方法は、副反応を抑制出来る上、原料から最終生成物まで、反応容器の移し替え等の手間が必要なく、それによる得量損失も無いので好ましい。
まず前者の方法では、次のA)またはB)のいずれか一つの方法が採用される。
A)酸化剤を含有する均一系で、β−アリーロイルプロピオン酸化合物をエナミン化後、脱水環化する。
B)カルボン酸を含有する脱水剤中で、β−アリーロイルプロピオン酸化合物をエナミン化後、脱水環化する。
このA)法は、比較的低温で反応制御することで、ピロリノン系化合物のみを選択的に製造することが出来るが、後記する様に、比較的高温で反応制御することで、ピロリノン系化合物を経由してビピロリノン系化合物のみを選択的に製造することが出来る。
次にB)法について説明する。
このB)法では、脱水剤だけを反応系とするのではなくて、カルボン酸を含有する脱水剤を反応系として採用することにより、ピロリノン系化合物の収率を低下させるフラノン化合物等の生成が阻害される結果、β−アリーロイルプロピオン酸化合物を実質的に仕込み量通り、エナミン化することが出来、ピロリノン系化合物の収率が向上する。
後記する工程におけるビピロリノン系化合物の収率を向上させるためには、この第一工程におけるβ−アリーロイルプロピオン酸やβ−アリーロイルプロピオン酸アミドなどと、暫時生成するピロリノン系化合物との比較的速い副反応を抑制する様にする。
A)法における酸化剤は、反応原料を仕込んだ時に均一系を形成できる、液体または固体の酸化剤である。この酸化剤は、後記する第二工程におけるピロリノン系化合物を酸化する作用を有するものであり、例えば、過酸化水素、m−クロロ過安息香酸(mCPBA)などの過酸化物、ニトロベンゼンなどのニトロ化合物、クロラニル、2,3−ジクロロ−5,6−ジシアノ−1,4−ベンゾキノン(DDQ)などのキノン化合物、ジメチルスルフォキシド(DMSO)などのスルフォキシド化合物、クロム酸、二酸化マンガン、二酸化セレンなどの金属酸化物、四酢酸鉛などの金属塩などが挙げられる。
この酸化剤は、β−アリーロイルプロピオン酸化合物に対し、1当量以上用いることが出来る。均一系を形成させるために、前記した様に酸化剤にそれを溶解する様な有機溶媒を併用することも出来るが、常温液状の酸化剤の場合には、それを酸化剤として機能する量を越えた使用量を用いることで、酸化剤が溶媒を兼ねた反応系とすることが出来る。この様な使い方の場合には、酸化剤は、質量換算でβ−アリーロイルプロピオン酸化合物100部当たり、50〜2000部とすることが好ましい。
酸化剤としては、有機溶媒への溶解性を高め易い点で、有機酸化剤が好ましい。また、安全性の面から酸化性の高い酸化剤を多量に用いることは避けることが好ましい。この様な観点から、酸化剤として空気や酸素を用いて、これを反応系に吹き込む様な不均一となりやすい方法よりも、仮に過剰に用いても、反応性が温和で、かつ、安全性が高い点で、ニトロ化合物、キノン化合物が好ましく、原料の入手が容易な点でニトロ化合物、とりわけニトロベンゼンが好ましい。
一方、B)法におけるカルボン酸を含有する脱水剤におけるカルボン酸は、β−アリーロイルプロピオン酸化合物以外のモノカルボン酸であり、例えば、酢酸、プロピオン酸、フタル酸等が挙げられる。一方、前記脱水剤は、N,N’−ジシクロヘキシルカルボジイミドや前記カルボン酸の無水物であり、後者としては、例えば、無水酢酸、無水フタル酸が挙げられる。カルボン酸と脱水剤との組合せとしては、入手が容易で、いずれも液状で取り扱いが容易かつ反応液からの除去が容易な点で、酢酸と無水酢酸との組合せが好適である。
脱水剤に含有させるカルボン酸の量は、質量換算で、例えば、カルボン酸無水物100部当たり10〜1000部、中でも、ピロリノン系化合物の収率が高くなる点で、無水酢酸の100部当たり、酢酸50〜500部とすることが好ましい。このカルボン酸は、β−アリーロイルプロピオン酸化合物よりも多く用いることが、後記するように、化学平衡をずらし目的物の収率を高める上で好ましい。
ピロリノン系化合物の製造工程では、上記したいずれかの反応系で、β−アリーロイルプロピオン酸化合物をエナミン化後、脱水環化する。
β−アリーロイルプロピオン酸のエナミン化には、アミノ化剤が用いられる。このアミノ化剤としては、アンモニアまたはアミン、あるいは反応時にアンモニアやアミンを発生する化合物を用いることが出来る。この様な化合物としては、例えば、アンモニアガス、液体アンモニアや、酢酸アンモニウム、塩酸アンモニウム、尿素などのアンモニウム塩、メチルアミン、エチルアミン、n−ブチルアミンなどの1級アミンなどが挙げられる。アミノ化剤が固体や液体の場合は、それをそのまま反応系に仕込めば良いし、それが気体の場合は、それを反応系にバブリングすれば良い。
エナミン化反応の反応率を高めるために、アミノ化剤はβ−アリーロイルプロピオン酸化合物に対し過剰に用いることが好ましく、アミノ化剤が酢酸アンモニウムの場合、それをβ−アリーロイルプロピオン酸化合物1モルに対し2〜2.5モル用いれば良い。
β−アリーロイルプロピオン酸のエナミン化は、β−アリーロイルプロピオン酸とアミノ化剤を、必要に応じて用いる有機溶媒中で混合攪拌することにより行うことが出来る。この時に用いる有機溶媒としては、前記した常温液状の酸化剤や、常温液状の脱水剤を用いることが出来る。
このエナミン化反応は、例えば、50〜200℃かつ1〜50時間の範囲から選択することが出来る。
また、酸などの触媒によってもエナミン化反応速度を向上させることが出来る。酸触媒としては、例えば、パラトルエンスルフォン酸、酢酸などの有機酸、塩酸、硫酸、硝酸等の無機酸などが挙げられる。酸触媒は、アミノ化剤と塩を形成するため、強酸性触媒の場合は、β−アリーロイルプロピオン酸1モルに対して触媒量、例えば、0.05〜0.5モルを用いることが出来る。
また、酸触媒が酢酸などの弱酸性の場合、アミノ化剤と形成された酢酸塩は、反応時に可逆的にアミンを生成できるので、β−アリーロイルピロピオン酸1モルに対して1〜1.5モルの範囲で用いれば良い。
エナミン化の進行にともなって遊離する水は、生成したエナミンを加水分解するため、例えば、ディーン・シュターク・トラップなどを用いて反応系外に除くことが好ましい。
アミノ化により生成したエナミン中間体は、さらに分子内でカルボキシル基と脱水縮合し、ピロリノン化合物を与える。この分子内脱水縮合反応は、例えば、酸触媒により促進出来る。よって、予め前記した様な酸触媒を反応系に仕込んでおくことが好ましい。この酸触媒としては、エナミン化時に用いられる前記の酸触媒が挙げられる。
また、分子内脱水縮合反応においても、エナミン化反応同様、平衡を生成系に傾かせるために、この分子内脱水により生成した水を反応系外に除くことが好ましい。
この脱水環化反応を行うに当たって、加熱温度及び加熱時間は、例えば、60〜170℃かつ30分〜10時間の範囲から選択することが出来る。
エナミン化と脱水環化の反応温度としては、ピロリノン系化合物を最終目的物とする場合は、80〜150℃であることが好ましい。
ピロリノン系化合物の製造方法での反応の終点は、例えば、反応液を各種クロマトグラフィーにかけ、ピロリノン系化合物の生成量が飽和することにより確認することが出来る。前記A)及びB)のいずれの方法を採用するにしても、こうしてピロリノン系化合物を得ることが出来る。
こうして得られたピロリノン系化合物は、濾過や乾燥することにより、任意の形態として用いることが出来る。また、洗浄、再結晶等を行うことにより精製することも出来る。
次にビピロリノン系化合物の製造方法について、説明する。
ビピロリノン系化合物は、前記したA)法又はB)法のいずれかによって製造されたピロリノン系化合物を酸化することで製造出来る。この反応は、2モルのピロリノン系化合物から1モルのビピロリノン系化合物が生成する反応である。
ピロリノン系化合物をA)法にて製造した場合には、その反応終了後に既に、反応系に酸化剤として作用する物質が含まれているため、ビピロリノン系化合物の製造において特段に酸化剤を反応系に加えることなく酸化を行うことが出来る。一方、ピロリノン系化合物をB)法にて製造した場合には、その反応終了後に既に、反応系に脱水剤として作用する物質と平衡をずらす作用を有するカルボン酸とが共に含まれているものの、それだけでは酸化を充分に行えないため、別途酸化剤を反応系に加えて酸化を行なければならない。
ピロリノン系化合物の製造にB)法を採用した場合のピロリノン系化合物の製造には、前記A)法を採用した場合に用いることが出来るとして例示した酸化剤を、同様に用いることが出来る。
一分子のピロリノン系化合物は、そのカルボニル基のアルファ位のメチレン炭素が酸化されて、2,3−ジケトピロリンを生じ、さらにそれは別の分子のピロリノン系化合物との分子間脱水縮合によってビピロリノン系化合物が生成すると推定される。ピロリノン系化合物からビピロリノン系化合物を製造する際は、ピロリノン系化合物の酸化により生成する2,3−ジケトピロリンに対し、それと反応するピロリノン系化合物が不足して、ビピロリノン系化合物の収率が低下しないように、酸化性の高い酸化剤を過剰に用いることは避けることが好ましい。このことから、前記したのと同様に、反応性が温和で、かつ、より均一な酸化を行え、安全性が高い酸化剤を用いた方法を採用するのが好ましい。
ピロリノン系化合物の酸化は、有機溶媒の存在下で行っても良い。この際の有機溶媒としては、例えば、トルエン、キシレンなどの芳香族炭化水素系溶媒が挙げられる。
このピロリノン系化合物のビピロリノン系化合物への酸化反応を行うに当たって、加熱温度及び加熱時間は、例えば、70〜250℃かつ1〜50時間の範囲から選択することが出来る。一定時間一定温度を保持してから昇温する様にして、段階的な加熱を行ってもよい。
この酸化反応は、脱水縮合反応により生成する水が突沸しない様に攪拌することが好ましい。反応温度は、ニトロベンゼンを酸化剤兼反応溶媒とした場合、50〜250℃に加熱することが酸化反応速度を向上させる点で好ましく、100〜220℃に加熱することが脱水縮合反応を促進する点で好ましい。さらに155〜200℃に加熱することにより、ビピロリノン系化合物の生成速度をさらに向上させることができる。
ビピロリノン系化合物の製造方法においては、酸化剤兼反応溶媒として機能する量の酸化剤を含む均一系を用いて、かつ比較的低温(例えば50〜150℃)で反応を行う様にしたA)法を採用し、そこで得られたピロリノン系化合物を酸化することで、直ちにビピロリノン系化合物を得ることが出来る。つまり、A)法を採用することにより、B)法を採用するのに比べて、新たに酸化剤を加える手間が必要ない等、後続する第二工程での操作を簡素化することが出来るので好ましい。
しかも、上記したA)法を採用して一つの反応容器内で酸化を行う様にすれば、酸化のための別途の反応容器の準備は必要なく、ピロリノン系化合物の酸化で用いる反応容器への移し変えの手間や得量の損失がなく、ピロリノン系化合物の製造で用いた反応容器内の温度を比較的高温(第一工程よりも高い温度、例えば155〜200℃)となる様に加熱するだけでビピロリノン系化合物への酸化の反応を行うことが出来、見かけ上は一工程で、β−アリーロイルプロピオン酸化合物からビピロリノン化合物を一挙に、比較的高い収率で得ることができ、生産性を一層向上させることが出来るので特に好ましい。
このピロリノン系化合物の酸化に伴って生成する水は、反応温度が高い場合、水蒸気となって反応系外へ自然放出される。反応を円滑に進めるため、縮合水をディーン・シュターク・トラップなどを用いて除いてもよい。尚、この酸化で前記した様な芳香族炭化水素系溶剤を併用して、反応系中に生成する水を共沸させて、前記と同様に反応系外に水を除くことも出来る。
ピロリノン系化合物の酸化反応の終点は、例えば、反応液を各種クロマトグラフィーにかけ、ビピロリノン系化合物の生成量が飽和することにより確認することが出来る。
こうして得られたビピロリノン系化合物は、濾過や乾燥することにより、任意の形態として用いることが出来る。また、洗浄、再結晶等を行うことにより精製することも出来る。更に、微細化や各種表面処理を行うことで、被着色媒体の着色に適した有機顔料として用いることが出来る。
ビピロリノン系化合物は、ソルベントソルトミリング法やソルベント法にて顔料化処理することにより、被着色媒体の着色に適した有機顔料とすることが出来る。
顔料化処理は、従来公知の顔料化処理と同じ方法で行うことができる。例えば従来の顔料化処理方法としては(1)粗製ビピロリノン系化合物または磨砕された粗製ビピロリノン系化合物を無機塩と有機溶剤とともに機械的磨砕するソルベントソルトミリング法、(2)磨砕された粗製ビピロリノン系化合物を有機溶剤のみまたは有機溶剤と水とともに加熱攪拌する方法、(3)濃硫酸に溶解または懸濁した後、水に注入し再沈殿するアシッドペースト法、アシッドスラリー法、(4)アルカリを含む強い極性有機溶剤にビピロリノン系化合物を溶解し、(必要に応じて硫酸を加えて発熱を抑制してから)常温以上に加熱してから水と混合し取り出す方法、などがある。
これらの顔料化処理は、必要であれば、ビピロリノン系化合物だけでなく、それとその他の有機顔料との混合物においても同様に行うことが出来る。
本発明に最も有効である顔料化処理方法である、ソルベントソルトミリング法の詳細を説明する。磨砕されていてもいなくても良い粗製のビピロリノン系化合物に対し、有機溶剤に不溶で水溶性の無機塩と有機溶剤を、磨砕物が最も効果的に磨砕粘調性が得られるように調整し、例えば磨砕機で機械的磨砕を行った後、磨砕物を水中に取り出し濾過によって無機塩、有機溶剤を除去する顔料化を行うことにより、磨砕されていない粗製物や磨砕された粗製物を、顔料化前よりは粒子径が小さい、例えば0.02〜0.2μmの着色に適したビピロリノン系顔料とすることが出来る。
より具体的には、機械的磨砕されたビピロリノン系化合物100質量部に対し、無機塩100〜1000質量部と有機溶剤100〜150質量部を含ませて、例えばニーダー、バンバリーミキサー等の磨砕機で2〜10時間機械的磨砕を行って、磨砕物を水中に取り出し濾過によって無機塩、有機溶剤を除去し顔料を得る方法である。
無機塩と有機溶剤を除去した後には、必要に応じて水洗や湯洗を繰り返して行って、濾過することにより、無機塩や不純物等をより低減させることができる。例えば洗浄に当たっては、洗浄水が比伝導度が100S/m×10-4以下となるまで行われる。
こうして得られた湿潤物は、例えば乾燥機等で例えば50〜200℃で乾燥することにより、乾燥したビピロリノン系顔料とすることが出来る。勿論、上記濾過を行った後再び水を加えた分散液の状態で、または洗浄水を含んだ分散液の状態で、スプレードライヤー等で乾燥することも可能である。
こうして乾燥したビピロリノン系顔料は、そのままで使用に供することができる程度に容易にほぐれるが、必要であれば、さらに粉砕を行ってもよいし、粒子径分布をシャープとするために、分級を行ってもよい。
本発明のビピロリノン系顔料は、その優れた耐光性を活かして、公知慣用の分野、例えば平版インキ、グラビアインキ、フレキソインキ等の汎用インキ、焼付塗料、UV塗料、常乾塗料等の汎用塗料、熱可塑性成形品の着色、電子写真用トナー、ジェットプリンターインキ、カラーフィルター等の記録材料の公知慣用な用途に使用可能である。
インキや塗料は、例えば、ベヒクルに本発明で得られたビピロリノン系顔料を分散させることにより調製することが出来る。ベヒクルは、通常樹脂、水及び/又は有機溶媒を主成分としてその他添加剤を均一混合することにより調製される。油性インキを調製する際には、溶媒として疎水性有機溶媒、当該溶媒に溶解する樹脂を用い、水性インキを調製する際には、溶媒として水または水と親水性有機溶媒、当該溶媒に安定に溶解するか分散する樹脂を用いられる。
このベヒクルは、例えば、樹脂、溶媒、可塑剤、ワックス、及び滑剤、消泡剤その他を用いて調製される。
ここで樹脂としては、例えばスチレン−アクリル酸樹脂、(メタ)アクリル酸−(メタ)アクリル酸エステル樹脂、ポリエステル樹脂、ポリウレタン樹脂、エポキシ樹脂の他、水性アクリル樹脂、水性ポリアミド樹脂、水性エポキシ樹脂、水性ポリウレタン樹脂などが挙げられる。溶媒は水のみでも良いが、親水性有機溶媒が併用されるのが一般的である。親水性有機溶媒としては、例えばメタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒が好適に用いられる。
インキや塗料の調製に当たっては、樹脂不揮発分100質量部当たり、本発明のビピロリノン系顔料2〜600質量部となる様に調製される。
尚、本発明のビピロリノン系顔料が油性インキや油性塗料用として用いられる場合には、上記予め顔料化処理されたものを油性インキや油性塗料用のワニス等に混合してインキを調製することが出来るが、例えば磨砕された粗製物を油性インキや油性塗料用ワニス等の存在下で、顔料化処理と、インキ化又は塗料化の処理とを同時に行うことも可能である。
こうして得られたインキや塗料は、公知慣用な被印刷媒体に塗布し乾燥することにより印刷することができる。被印刷媒体としては、例えば紙、樹脂コート紙、ポリオレフィン、PET、PEN、PBTの様な合成樹脂フィルムやシート、ステンレス、アルミニウム、各種合金の金属箔、金属片、シート、板等が挙げられる。
熱可塑性成形品の着色に用いる樹脂としては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、PET、PBT等のポリエステル、ナイロン等の含窒素樹脂等が挙げられる。
本発明のビピロリノン系顔料に、必要ならワックス、充填剤等を混合した上で成形を行うことが出来る。また、マスターバッチを調製した上で、被着色媒体である樹脂に混合して成形を行うことも出来る。成形方法としては、例えば押出成形、射出成形等を挙げることが出来る。
以下、本発明の詳細を実施例を挙げて説明する。
攪拌羽根、攪拌棒、還流用冷却管を付けた反応容器に、無水コハク酸167g、1,2−ジクロロエタン625gを仕込み、攪拌した。氷冷しながら、塩化アルミニウム244gを約15分かけて少しずつ加えた。さらに、液温を15〜25℃に保ちながら、ナフタレン214gを、約30分かけて少しずつ加えた。その後加熱し、15分間80℃に保った。放冷後、反応液を、濃塩酸555g、氷水5.5Kgの混合物に加えた。析出沈殿を吸引濾過、水およびヘキサンで洗浄した後、ウェットケーキを、8lのお湯に加え、炭酸ナトリウム10水塩でpHを9に調整した後、吸引濾過して不溶分を除いた濾液に、濃塩酸を加え、pH5.5に調整した。析出沈殿を吸引濾過、水洗、乾燥して、β−ナフトイルプロピオン酸166gを得た(収率44%。)尚、この反応ではβ−ナフトイルプロピオン酸のみが選択的に得られた。
β−ナフトイルプロピオン酸152g、酢酸アンモニウム128g、ニトロベンゼン333gを反応容器に仕込み、攪拌しながら90℃で2時間、125℃で1時間加熱後、ディーンシュタークトラップを取付け、留出水を適宜除きながらさらに180℃で4時間、195℃で4時間加熱した。放冷後、反応液にアセトン600mlを加え、室温で20分間攪拌した後、吸引濾過、アセトン、メタノール、ジメチルファルムアミドの順に洗浄した後、ウェットケーキをジメチルフォルムアミド500g中で2時間加熱還流した。放冷後、吸引濾過、ジメチルフォルムアミド、アセトン、湯の順に洗浄後、乾燥し、黒色粉末58.5gを得た(収率42%、HPLC純度98%。)。
フーリエ変換赤外線分光光度計(FT−IR)での分析の結果、3335cm−1及び3190〜3130cm−1に、NH結合に相当する吸収ピーク、3055cm−1に、ナフチル基のCH結合に相当する吸収ピーク、1670cm−1に、カルボニル結合(>C=O)に相当する吸収ピークが観察された。
また、質量(MS)分析の結果、ジナフチルビピロリノンの化学構造を支持する分子イオンピークM=414を確認した。
これらの分析結果から、得られた生成物が一般式1において、AR1及びAR2のいずれもがβ−ナフチル基である下記化合物(ジβ−ナフチルビピロリノン)であることを確認した。
Figure 0005257732
実施例1で得られた、精製された粗製ジβ−ナフチルビピロリノンを、以下の様にしてソルベントソルトミリング法にて顔料化処理してジβ−ナフチルビピロリノン顔料を得た。
精製された粗製ジβ−ナフチルビピロリノン1.0g、塩化ナトリウム1.0g及びジエチレングリコール(DEG)とを用いて、150lbs、25回転×4回の条件にてフーバーマーラーにて磨砕を行った。この混練物を、80℃の湯の500mlに加えて1時間攪拌後、濾過し、同温の湯にて洗浄の上、乾燥した。
このジβ−ナフチルビピロリノン顔料0.4gと、ワニス(大日本インキ化学工業株式会社製MG−63)1.6gとを混合し、フーバーマーラーを用いて150lbs、100回転×3回の条件で混合・磨砕をした(濃色インキ)。濃色インキ0.2gと白インキ2.0gを混合し、フーバーマーラーを用いて、150lbs、100回転×2回の条件の条件で混合した(淡色インキ)。このようにしてできたインキをプルーフバウ印刷機で印刷し、測色した結果を表1に示した。尚、L、a、b、C、h値の測定は、いずれも分光光度計(グレタグ社製SPM50)を用いて行った。
表1
Figure 0005257732
表1からわかる通り、色相(h)は赤味紫色であり、最も赤味の強いC.I.ピグメントバイオレット23よりも更に赤味である。着色力(C)は、対応するジフェニルビピロリノン顔料と同等である。
次に、以下の通りにして調製した試験サンプルについて、耐光性試験を行った。
前記した様にして、濃色インキをプルーフバウで展色し、この際、印刷されたインキの量が12mgとなるように調整し試験サンプルを得た。スガ試験機(株)製UVロングライフフェードメーターの中に試験用サンプル入れ、カーボンアークによる光を照射した後に試験サンプルについて、照射前との変化を測定した。
ジβ−ナフチルビピロリノン顔料は、試験時間50時間においてΔE≦4であり、対応するジフェニルビピロリノン顔料におけるΔE=約23であった。同様に、ジβ−ナフチルビピロリノン顔料は、試験時間100時間においてΔE=11であり、対応するジフェニルビピロリノン顔料におけるΔE>50であり、耐光性は極めて優れていた。
攪拌羽根、攪拌棒、還流用冷却管を付けた反応容器に、無水コハク酸160g、ニトロベンゼン1200mlを仕込み、窒素気流下、氷冷しながら攪拌した。塩化アルミニウム440gを約10分かけて少しずつ加えた。液温15℃でナフタレン320gを加え、液温を10℃以下に3時間保った後、室温で2時間半攪拌後、一晩静置した。
反応液を、濃塩酸400mlおよび氷4Kgの混合物に注ぎ、室温で攪拌した後、静置後、上澄み液をデカンテーションにより除いた。吸引濾過、湯洗浄後、ウェットケーキに20%水酸化ナトリウム350gを加え、攪拌後、吸引濾過して不溶物を除いた。濾液を攪拌しながら、濃塩酸を加え、pHを4に調整した。微黄色沈殿を吸引濾過、湯洗浄後、ウェットケーキの湯8lを加え攪拌しながら、炭酸ナトリウムを加え、pHを9に調整後、少量の未溶解物を濾過して除いた濾液を濃塩酸でpH7に調整後、再度吸引濾過して白色沈殿を除いた。濾液を攪拌しながら、濃塩酸を滴下しpHを4に調整し、淡黄色沈殿を濾取し、水洗、乾燥し、α−ナフトイルプロピオン酸291gを得た(収率80%。)。
こうして得られたα−ナフトイルプロピオン酸、酢酸アンモニウム及びニトロベンゼンを用いて、浴温190℃での4時間加熱を同温で5.5時間に変更する以外は実施例1と同様な操作を行った。放冷したところ、黒色沈殿が析出した。そこに撹拌下ヘキサンの総量250mlを分割して加え、デカンテーションにより洗浄した後、吸引濾過、洗浄を行った。この洗浄は、アセトン400ml、メタノール230ml及び水/湯2.5lの順で行い、乾燥して、黒色粗生成物1.92gを得た。各粗収率は59%であった。
フーリエ変換赤外線分光光度計(FT−IR)での分析の結果、3330cm−1及び3180〜3140cm−1に、NH結合に相当する吸収ピーク、3045cm−1に、ナフチル基のCH結合に相当する吸収ピーク、1672cm−1に、カルボニル結合(>C=O)に相当する吸収ピークが観察された。
また、質量(MS)分析の結果、ジナフチルビピロリノンの化学構造を支持する分子イオンピークM=414を確認した。
これらの分析結果から、得られた生成物が一般式1において、AR1及びAR2のいずれもがα−ナフチル基である下記化合物(ジα−ナフチルビピロリノン)であることを確認した。
Figure 0005257732
実施例3で得られた、精製された粗製ジα−ナフチルビピロリノンを、以下の様にしてアルカリ溶剤法にて顔料化処理してジα−ナフチルビピロリノン顔料を得た。
精製された粗製ジα−ナフチルビピロリノン17.8g、水酸化ナトリウム4.0g、ジメチルスルホキシド162g及び水18gを、窒素雰囲気下、35℃で1時間攪拌した後、50%硫酸4.9gを加え、発熱が収まった後、33℃を20分維持した後、1時間かけて80℃まで昇温後、2時間かけて130℃まで昇温した。100mlの水を加え、5分間熟成後、吸引濾過、水洗、湯洗浄、乾燥した。収量16.1g、回収率90%だった。
このジα−ナフチルビピロリノン顔料を用いて、実施例2と同様に濃色と淡色の各インキを調製し、このようにしてできたインキをプルーフバウ印刷し、測色した結果を表2に示した。
表2
Figure 0005257732
表2からわかる通り、色相(h)は赤味紫色であり、最も赤味の強いC.I.ピグメントバイオレット23よりも更に赤味である。着色力(C)は、対応するジフェニルビピロリノン顔料と同等である。
本実施例5では、アルカリ溶剤法で顔料化を行なったが、ソルベントソルトミリング法によれば、表中の色相(h)値を314付近に調整することも可能である。
次に、実施例2と同様にして調製した試験サンプルについて、耐光性試験を行った。
ジα−ナフチルビピロリノン顔料は、試験時間50時間においてΔE<1であった。同様に、ジα−ナフチルビピロリノン顔料は、試験時間100時間においてΔEは約2であり、対応するジフェニルビピロリノン顔料においてはΔE>50であり、耐光性は極めて優れていた。
比較例1
水との共沸溶剤としてキシレン50gを含有する脱水用トラップを装着した攪拌羽根付き反応容器に、β−ベンゾイルプロピオン酸178g(1.0モル)、酢酸アンモニウム193g(2.5当量)、ニトロベンゼン500gを各々仕込み、昇温して100℃(浴温)で1.5時間加熱攪拌する第一工程を行い、薄層クロマトグラフィーによりフェニルピロリノンの生成を確認後、そのまま攪拌しながらさらに昇温して190℃(浴温)で4時間加熱する第二工程を行ってから、放冷した。
黒色結晶沈殿が析出した反応液にヘキサンを加え、黒色沈殿を吸引濾過、ヘキサン、アセトン、メタノール、水、湯の順に洗浄後、乾燥して黒緑色結晶状のジフェニルビピロリノン81g(収率52%。)を得た。
上記で得られた、ジフェニルビピロリノンを、実施例2と同様に顔料化処理してジフェニルビピロリノン顔料を得た。
このジフェニルビピロリノン顔料を用いて、実施例2と同様に濃色と淡色の各インキを調製し、このようにしてできたインキをプルーフバウ印刷し、測色した結果を表3に示した。
表3
Figure 0005257732
次に、実施例2と同様にして調製した試験サンプルについて、耐光性試験を行った。
ジフェニルビピロリノン顔料は、試験時間50時間においてΔE>20であった。試験時間100時間においてはΔE>50であり、各実施例に対応するジナフチルビピロリノン顔料に比べて、耐光性は極めて劣っていた。
攪拌羽根、攪拌棒、還流用冷却管を付けた反応容器に、2−ヒドロキシベンズイミダゾール24g、無水コハク酸18g、テトラクロロエタン600mlを仕込み、窒素気流下、攪拌しながら塩化アルミニウム84gを少しずつ加えた。130℃に加熱して6時間保った後、室温まで放冷後、反応液を、濃塩酸120mlと氷1.2Kgの混合物に注ぎ、室温で攪拌した後、吸引濾過、水洗後、ウェットケーキを5%炭酸ナトリウム溶液400gに加え、攪拌後、吸引濾過して不溶物を除いた。ロ液を攪拌しながら、濃塩酸を加え、pHを1に調整した。黄土茶色沈殿を吸引濾過、水洗、乾燥し、ベンツイミダゾロノイルプロピオン酸24.3gを得た(収率58%。)。
こうして得られたベンツイミダゾロノイルプロピオン酸、酢酸アンモニウム及びニトロベンゼンを用いて、浴温190℃での4時間加熱を同温で5.5時間に変更する以外は実施例1と同様な操作を行った。放冷したところ、黒色沈殿が析出した。そこに撹拌下アセトンの総量100mlを加え、吸引濾過、洗浄を行った。この洗浄は、アセトン100ml、ジメチルホルムアミド10ml、メタノール50ml及び水の順で行い、ウェットケーキをジメチルホルムアミド34g中で2時間還流攪拌した。吸引濾過、洗浄した。
この洗浄は、ジメチルホルムアミド50ml、アセトン50ml、湯1lの順で行い、加熱乾燥して、黒色結晶1.12gを得た。収率は53%であった。
フーリエ変換赤外線分光光度計(FT−IR)での分析の結果、3180〜3140cm−1に、NH結合に相当する吸収ピーク、1672cm−1に、カルボニル結合(>C=O)に相当する吸収ピークが観察された。
また、質量(MS)分析の結果、ジベンツイミダゾロニルビピロリノンの化学構造を支持する分子イオンピークM=426を確認した。
これらの分析結果から、得られた生成物が一般式1において、AR1及びAR2のいずれもがベンツイミダゾロニル基である下記化合物(ジベンツイミダゾロニルビピロリノン)であることを確認した。
Figure 0005257732
この化合物を顔料化して得られたジベンツイミダゾロニルビピロリノン顔料は、優れた耐光性を示した。
攪拌羽根、攪拌棒、還流用冷却管を付けた反応容器に、カルバゾール10g、無水コハク酸6g、ニトロベンゼン170gを仕込み、氷冷攪拌した。窒素気流下、攪拌しながら塩化アルミニウム17gを約15分かけて少しずつ加えた。7時間攪拌を続けた後、一晩静置した後、反応液を、濃塩酸34mlと氷340gの混合物に注ぎ、室温で2時間攪拌した後、淡黄色沈殿を吸引濾過、水洗後、ウェットケーキを10%炭酸ナトリウム溶液400gに加え、攪拌後、吸引濾過して不溶物を除いた。濾液を攪拌しながら、濃塩酸を加え、pHを2に調整した。白色沈殿を吸引濾過、水洗、乾燥し、カルバゾロノイルプロピオン酸9.35gを得た(収率58%。)。
こうして得られたカルバゾロノイルプロピオン酸、酢酸アンモニウム及びニトロベンゼンを用いて、浴温190℃での4時間加熱を浴温200℃での4時間加熱に変更する以外は実施例1と同様な操作を行った。放冷したところ、黒緑色沈殿が析出した。そこに撹拌下アセトンの総量100mlを加え、吸引濾過、洗浄を行った。この洗浄は、アセトン100ml、メタノール50ml及び水の順で行い、ウェットケーキをジメチルホルムアミド20g中で2時間還流攪拌した。
放冷後、青色スラリーを吸引濾過、洗浄した。この洗浄は、ジメチルホルムアミド50ml、アセトン100ml、湯1.5lの順で行い、加熱乾燥して、黒色結晶1.47gを得た。収率は60%であった。
フーリエ変換赤外線分光光度計(FT−IR)での分析の結果、3420cm−1に、NH結合に相当する吸収ピーク、1662cm−1に、カルボニル結合(>C=O)に相当する吸収ピークが観察された。
また、質量(MS)分析の結果、ジカルバゾリルビピロリノンの化学構造を支持する分子イオンピークM=492を確認した。
これらの分析結果から、得られた生成物が一般式1において、AR1及びAR2のいずれもがカルバゾール基である下記化合物(ジカルバゾリルビピロリノン)であることを確認した。
Figure 0005257732
この化合物が顔料化して得られたジカルバゾリルビピロリノン顔料は、優れた耐光性を示した。

Claims (2)

  1. 以下の一般式1で表されるビピロリノン系化合物。
    Figure 0005257732
    (但し、一般式1中、AR1及びAR2は、同一でも異なっていても良い、ヘテロ原子を含有する縮合多環基または炭素原子と水素原子のみからなる縮合多環基が、ベンツイミダゾロン、カルバゾール、ナフタレン、フェナントレンからなる群から選ばれる縮合多環基である。)
  2. 以下の一般式1で表されるビピロリノン系顔料。
    Figure 0005257732
    (但し、一般式1中、AR1及びAR2は、同一でも異なっていても良い、ヘテロ原子を含有する縮合多環基または炭素原子と水素原子のみからなる縮合多環基が、ベンツイミダゾロン、カルバゾール、ナフタレン、フェナントレンからなる群から選ばれる縮合多環基である。)
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