JP5247110B2 - 蒸着ポリアミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたフィルムロール - Google Patents

蒸着ポリアミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたフィルムロール Download PDF

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Description

本発明は蒸着ポリアミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたフィルムロールに関し、特にポリオレフィン系樹脂フィルムとラミネートしてレトルト食品等の包装に使用可能な蒸着ポリアミド系樹脂フィルムおよびそれを用いたフィルムロールに関する。
ナイロンを主成分とする二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムは、強靭で、ガスバリア性、耐ピンホール性、透明性、印刷性等に優れていることから、各種液状食品、含水食品、冷凍食品、レトルト食品、ペースト状食品、畜肉・水産食品等の各種の食品の包装材料として広く実用化されている。しかし、ポリアミド系樹脂フィルム単体では、ガスバリア性に限界があり、生鮮食料品等の包装用途に必ずしも適しているとは言えない。ポリアミド系樹脂フィルムのガスバリア性を向上させるための手段として、ポリアミド系樹脂フィルムの表面に金属等を蒸着する方法が知られている。しかし、ポリアミド系樹脂フィルムの物性が不均一であると、金属蒸着層の厚みや金属蒸着層との接着強度にバラツキが生じてしまい、ガスバリア性も不均一なものとなってしまう。
特許文献1及び2では、蒸着前のポリアミドフィルムロールの沸水収縮率、沸水収縮率方向差、厚みなどを特定の数値範囲に調整し、かつこれらの物性についての長さ方向の変動率を規定することにより、S字カール現象を生じない蒸着二軸配向ポリアミド系樹脂フィルムを得る方法が提案されている。
特開2006−334781号公報 特開2007−021771号公報
かかる技術では、ポリアミドフィルムの長さ方向の熱収縮率のばらつきと厚みに着目しており、これにより、S字カール現象は解決できる。しかし、特許文献1及び2では、フィルムの強伸度の異方性については言及されていない。一般にポリアミド樹脂フィルムには、フィルムの横方向(幅方向、以下「TD」と略称することがある)と縦方向(長さ方向、以下「MD」と略称することがある)とで強伸度などの機械特性の値に差がある。そのため、フィルムを包装材料などの製品に加工した際に、製品強度に異方性がでて、全体として強度不足となったりするなど、使い勝手が悪くなる問題がある。
一方で、近年、蒸着工程のコストを抑えるために、原反フィルムロールを30000m以上の長尺ロールにすることについて、蒸着加工業者から原反フィルム製造業者への要望が強い。そのためには、蒸着前のポリアミドフィルムロールを、より長尺化することが必要である。しかし、フィルムの幅方向の物性バランスをより精密にコントロールしてフィルムの平面性を均一に保つことが困難で、原反フィルムを30000m以上のフィルムロールにすることは非常に難しい。
本発明は、本発明者らが、高度に均一な蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロールを生産するための生産技術について鋭意検討を重ねた結果、なされたものである。本発明の目的は、従来の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロールの問題点を解消し、種々物性のバランスがとれ、物性に優れた、長尺の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを提供することにある。
本発明は、ポリアミドフィルムにおいて、ポリアミド樹脂由来の特定の微結晶構造を発現させ、制御することによって、種々物性のバランスの取れたポリアミド系樹脂フィルムを得ることができるという知見にもとづいてなされたものである。すなわち本発明者らは、微結晶のサイズ、分布をコントロールすることにより、諸物性のバランスの取れた蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを生産性良く製造可能なことを見出し、本発明に到達した。
すなわち、本発明の要旨は、下記のとおりである。
(1)ポリアミド系樹脂フィルムの少なくとも片面に無機物質が蒸着された蒸着ポリア
ミド系樹脂フィルムであって、蒸着前のポリアミド系樹脂フィルムが、下記(a)〜()のすべてを満足することを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルム。
(a)フィルムの横方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(
T0/T1)が0.9〜1.1
(b)フィルムの縦方向および横方向についてのフィルムの引裂伝播抵抗力の比が、(
縦方向の引裂伝播抵抗力)/(横方向の引裂伝播抵抗力)=0.7〜1.3
(c)最大引張弾性率方向差が0.5以下
(d)沸水収縮率方向差が1.5以下
(e)フィルム面における、100×100μmの範囲に、平均粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶が1〜1000個
(f)フィルムのポリアミド樹脂由来の微結晶の70%以上の粒径が、前記微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍
)ポリアミド系樹脂フィルムの結晶完全性が70%以上であることを特徴とする(1)の蒸着ポリアミド系樹脂フィルム。
)上記(1)または(2)記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを製造するための方法であって、ダイから溶融押出した樹脂シートをキャストロールに押し付けて未延伸フィルムを得るときのキャストロールと樹脂シートとの間に介在する空気層の厚みを50〜220μmとし、未延伸フィルムを、互いに水温の異なる第1段目と第2段目とを含む2槽以上の吸水槽に通して吸水させるとともに、そのときの第1段目の吸水槽の水温を30〜50℃の範囲内のいずれかの温度に設定しかつその温度±8℃の範囲となるように温度管理し、吸水させた未延伸フィルムを同時二軸延伸することを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
)上記(1)または(2)の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムがロール状に巻かれたものであることを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロール。
)幅が1〜5mでありかつ長さが30000m〜50000mのロール状に巻かれたポリアミド系樹脂フィルムを用いて無機物質を蒸着し巻き取ったものであることを特徴とする()の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロール。
)上記()の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロールの蒸着ポリアミド系樹脂フィルムがスリットされて新たにロール状に巻かれることにより得られ、スリットされた蒸着ポリアミド系樹脂フィルムの幅が0.2〜3mでありかつ長さが500〜6000mであることを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロール。
)上記(1)または(2)の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムと積層されたものであることを特徴とする蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、蒸着が施されるポリアミド樹脂フィルムの微結晶構造を制御することによって、縦方向と横方向の物性のバランスに優れ、かつ平面性に優れたフィルムを生産することができる。このため、フィルムロールとするときの長尺化が可能となり、蒸着コストを大幅に低減することが可能となる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、ポリアミド樹脂由来の微結晶という一つの変数に着目することにより、フィルムの平面性すなわち巻き姿の良好性、厚み斑、強度、物性バランス(ばらつき)の制御を行うことを目的としたものである。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムにおいては、蒸着が施される前のポリアミド系樹脂フィルムが、下記(a)〜(d)の条件をすべて満足する。
(a)フィルム幅方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(T0/T1)が0.9〜1.1
(b)フィルムの縦方向および横方向についてのフィルムの引裂伝播抵抗力の比が、(縦方向の引裂伝播抵抗力)/(横方向の引裂伝播抵抗力)=0.7〜1.3
(c)最大引張弾性率方向差が0.5以下
(d)沸水収縮率方向差が1.5以下
上記(a)〜(d)について詳細に説明する。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、蒸着が施される前のポリアミド系樹脂フィルムのフィルム幅方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(T0/T1)が0.9〜1.1である。この範囲であると、フィルム加工時にタルミやしわのないフィルムが得られ、蒸着加工やラミネーション加工の工程で不具合が生じることがなく、生産性良く製品を製造することが可能となる。また、このようなフィルムでは、製造したフィルムの全幅近くを製品とすることができ、生産性が高い。
比(T0/T1)が0.9〜1.1の範囲を外れると、30000mを越える長尺フィルロールを得ることが不可能となる。仮にできたとしても、蒸着加工時にたるみや皺が生じる。
ここで、フィルム幅方向における中心部とは、フィルムの幅方向に沿った中心位置のことをいう。端部とは、フィルム幅方向に沿ったフィルム末端から中心に向かって全幅の10%の距離の位置のことをいう。端部の厚みとは、両端部の厚みの平均値をいう。
次に、フィルムの縦方向および横方向についてのフィルムの引裂伝播抵抗力の比について説明する。本発明においては、蒸着前のポリアミド系樹脂フィルムの縦方向および横方向についての引裂伝播抵抗力の比が、(縦方向の引裂伝播抵抗力)/(横方向の引裂伝播抵抗力)=0.7〜1.3であることが必要である。好ましくは、0.85〜1.1である。この範囲内であることで、フィルムの縦方向/横方向の物性バランスがよく、寸法安定性に優れたフィルムとなる。その結果、印刷製袋時の印刷ズレや製袋品のひねりなどが発生せず、良好な製品が得られる。
上記の範囲を外れた場合は、縦方向/横方向の物性バランスが悪く、寸法安定性に劣ったフィルムとなる。このようなフィルムでは印刷製袋時の印刷ズレや製袋品のひねりなどが発生し、製袋加工の不良率が高くなる。
次に、最大引張弾性率方向差について説明する。引張弾性率方向差は、フィルムの横方向を0°とし、この0°の方向から時計回りに30°、60°、90°(縦方向)、120°、150°の方向にそれぞれサンプルを切り出し、各サンプルについて、20℃、65%RHにおける引張弾性率を測定したときに、その最大値と最小値との差を引張弾性率方向差とする。ここでは、引張弾性率方向差は、フィルムの幅方向の両端部と中心部との三点について求め、三点についての最も大きい値を最大引張弾性率方向差とする。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、蒸着が施されるポリアミド系樹脂フィルムの最大引張弾性率方向差が0.5以下であることが必要である。好ましくは0.35以下、さらに好ましくは0.25以下である。この範囲であると、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムの物性バランスおよび寸法安定性に優れ、各種加工適性に優れたフィルムとなる。最大引張弾性率方向差が0.5を超えると、物性バランス、寸法安定性に劣るフィルムとなり、加工適性が低下する。
なお、フィルムの引張破断強度は、使用する目的にもよるが、少なくとも180MPa以上であることが好ましい。180MPa未満であると、ポリアミド樹脂フィルムとして求められる強度に比べて不足したものとなるという不都合が生じやすい。
次に沸水収縮率方向差について説明する。ここでは、フィルム幅が2500mm以上の場合はフィルムの中心部からそれぞれ右と左に1000mmの位置、フィルム幅が2500m未満の場合は両端より150mmの位置を、それぞれ中心位置として、フィルムに直径200mmの円を描き、フィルムの横方向を0°として、時計回りに45°と135°の方向について、沸水処理の前後における円の直径差から沸水収縮率の差を求め、左右両側で測定した沸水収縮率の差の平均値を、沸水収縮率方向差とする。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、蒸着が施される前のポリアミド系樹脂フィルムの沸水収縮率方向差が1.5以下であることが必要である。好ましくは、1.25以下である。沸水収縮率方向差は沸水処理時に生じるカール現象に大きな影響を及ぼし、1.5以下に抑制できれば、沸水処理時の反り返りを可及的に抑えることができ、S字カール現象の発生を防止することが可能となる。
前記(a)〜(d)のすべての性能をすべて満足するポリアミド系樹脂フィルムを得ることは非常に困難であるが、本発明者らは、蒸着前のポリアミド系樹脂フィルムの微結晶構造がフィルム物性と強く相関し、フィルムの微結晶構造をコントロールすることにより、諸物性をバランスよく満たしたポリアミド樹脂フィルムを製造することが可能であることを見出し、本発明に到達した。
以下、微結晶について説明する。本発明でいう微結晶とは、光学顕微鏡によって観察されるものであり、X線回折などにより測定される微結晶などとは異なるものである。
二軸延伸法によりフィルムを作製する際、光学顕微鏡の倍率でも観察できる粒状の微結晶構造が形成される場合がある。この微結晶構造は、フィルムの製膜条件を調整することにより、その形態が変化し、出現密度、大きさなどが変わる。
これらの微結晶は、偏光をかけても特有のマルタクロス模様は観察されず、球晶構造とは異なるものである。また、フィルムを縦延伸または横延伸のみしただけでは粒状の微結晶構造は観察されず、縦および横延伸の延伸倍率など、諸条件の揃った場合にのみ形成される。特に、逐次二軸延伸法では観察されず、同時二軸延伸法の限られた場合にのみ観察される特有の構造である。
ポリアミド樹脂フィルムでは延伸時に結晶化が進行し、結晶は延伸方向に配向する。逐次延伸では初めの縦延伸時に結晶化が進行し、その後の横延伸では、縦延伸ですでに結晶化してしまっているために縦延伸に比べて結晶化の進行度合いは小さくなり、縦方向に配向した結晶となる。このため、粒状の微結晶が生じないと考えられる。しかしながら、同時二軸延伸においては、縦、横の延伸が同時に行われるため、結晶化は縦、横方向を中心にバランスよく進行し、粒状の微結晶が生成するものと考えられる。
本発明者らは、この微結晶がフィルム物性と強く相関し、フィルムの微結晶構造をコントロールすることにより、諸物性をバランスよく満たしたポリアミド樹脂フィルムを製造可能であることを見出し、本発明に到達した。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得るためには、蒸着が施されるポリアミド系樹脂フィルムのフィルム面における100×100μmの範囲に、平均粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶(以下、「ポリアミド微結晶」と称する)を1〜1000個存在させることが必要である。
上記のように、ポリアミド微結晶の大きさは、平均粒径で、0.1〜10μmであることが必要であり、好ましくは、0.5〜8μm、さらに好ましくは1〜5μmである。ここで、平均粒径とは、フィルムの幅方向に沿って、両端部と中央部の3点(n=4、合計12点)について、偏光顕微鏡を用いて観察された任意の結晶100個について、その最も長い辺を粒径と規定し、100個×12点=1200個の粒子の粒径の平均値をいう。平均粒径が0.1μmより小さい場合は、安定して本発明のフィルムを得ることが難しい。逆に、10μmより大きい場合には、ヘーズが増大したり、延伸切断が頻発するなど操業性が悪化したりする。ポリアミド微結晶は、フィルム面におけるいずれの位置においても、100×100μmの範囲に1〜1000個存在することが必要であり、2〜200個存在することが好ましい。これによって、フィルムの平面性すなわち巻き姿に優れ、かつ、引裂伝播抵抗力の縦横比が適当であり、引張弾性率の方向差が小さい、バランスの取れたフィルムを得ることができる。任意の測定位置の一つでも上記の条件を満足しないと、バランスの取れたフィルムを得ることができない。
本発明のポリアミド樹脂フィルムにおいては、ポリアミド微結晶の70%以上について、その粒径が、これらの微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内であることが好適である。この範囲内であれば、結晶完全性が高く、引張強度の高いポリアミド系樹脂フィルムを得ることができる。
ポリアミド微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲以内に入るポリアミド微結晶がその70%未満である場合、すなわち粒径の分散が大きい場合は、結晶完全性が低下し、引張強度が小さくなる。また、ポリアミド微結晶の70%以上について、その粒径が、これらの微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲にない場合、すなわち粒径が小径または大径側に偏在している場合は、結晶完全性が低下し、引張強度が小さくなる。
本発明に使用されるポリアミド系樹脂フィルム、すなわち蒸着が施される前のポリアミド系樹脂フィルムにおいては、結晶完全性が70%以上であることが好ましい。結晶完全性とは、下記の(i)式から求められる値で、フィルムをX線回折法で分析した際に、観察された微結晶(ポリアミド樹脂中の実際の結晶)が、どれだけ完全結晶に近い構造をしているか、の指標である。
結晶完全性
={[d(200)/d(002),(202)]−1}/0.211×100
・・・(i)式
結晶完全性が70%以上であると、フィルムの引張強度が高い。結晶完全性が70%未満であると、フィルム強度が低下しやすくなる。
本発明において使用されるポリアミド系樹脂としては、たとえば、ε−カプロラクタムを主原料としたナイロン6を挙げることができる。また、その他のポリアミド樹脂としては、3員環以上のラクタム、ω−アミノ酸、二塩基酸とジアミン等の重縮合によって得られるポリアミド樹脂を挙げることができる。具体的には、ラクタム類としては、先に示したε−カプロラクタムの他に、γ−ブチロラクタム、エナントラクタム、カプリルラクタム、ラウリルラクタムを挙げることができる。ω−アミノ酸類としては、6−アミノカプロン酸、7−アミノヘプタン酸、9−アミノノナン酸、11−アミノウンデカン酸を挙げることができる。二塩基酸類としては、アジピン酸、グルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカンジオン酸、ドデカジオン酸、ヘキサデカジオン酸、エイコサンジオン酸、エイコサジエンジオン酸、2,2,4−トリメチルアジピン酸、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、キシリレンジカルボン酸を挙げることができる。ジアミン類としては、エチレンジアミン、トリメチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ウンデカメチレンジアミン、2,2,4(または2,4,4)−トリメチルヘキサメチレンジアミン、シクロヘキサンジアミン、ビス−(4,4’−アミノシクロヘキシル)メタン、メタキシリレンジアミン等を挙げることができる。そして、これらを重縮合して得られる重合体またはこれらの共重合体、たとえばナイロン4、6、7、11、12、6.6、6.9、6.11、6.12、6T、6I、MXD6(メタキシレンジパンアミド6)、6/6.6、6/12、6/6T、6/6I、6/MXD6等を用いることができる。本発明に使用するポリアミド系樹脂フィルムを製造する場合には、上記したポリアミド系樹脂を単独で、あるいは2種以上を混合、あるいは複層にして、用いることができる。
上記ポリアミド系樹脂の中でも、本発明において特に好ましいのは、相対粘度が2.0〜3.5の範囲のものである。ポリアミド系樹脂の相対粘度は、得られる二軸延伸フィルムの強靭性や延展性等に影響を及ぼし、相対粘度が2.0未満のものでは衝撃強度が不足気味になり、反対に、相対粘度が3.5を超えるものでは、延伸応力の増大によって二軸延伸性が悪くなる傾向があるからである。本発明において、相対粘度とは、ポリマー0.5gを97.5%硫酸50mlに溶解した溶液を用いて25℃で測定した場合の値をいう。
本発明の蒸着フィルムを構成するポリアミド系樹脂フィルムには、その特性を阻害しない範囲内で、滑剤、ブロッキング防止剤、熱安定剤、酸化防止剤、帯電防止剤、耐光剤、耐衝撃性改良剤等の各種の添加剤を含有させることも可能である。特に、二軸延伸フィルムの滑り性を良好にする目的で、各種の無機粒子を含有させることが好ましい。加えて、表面エネルギーを下げる効果を発揮するエチレンビスステアリン酸等の有機滑剤を添加すると、フィルムロールを構成するフィルムの滑り性が優れたものになるので好ましい。これらの滑剤の添加量は0.01〜1質量%の範囲が好ましい。
さらに、本発明の蒸着フィルムを構成するポリアミド系樹脂フィルムには、用途に応じて寸法安定性を良くするために、熱処理や調湿処理を施すことも可能である。加えて、フィルム表面の接着性を良好にするために、コロナ処理、コーティング処理、火炎処理等を施したり、印刷等の加工を施したりすることも可能である。
次に、本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得るための好ましい製造方法について説明する。本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、原料であるポリアミド樹脂チップを溶融押し出しして得られた未延伸フィルムを二軸延伸した後に、その二軸延伸フィルムの表面に無機物質を蒸着することによって製造される。原反フィルムの製造業者と蒸着工程を行う業者とが相違する場合などにおいては、原反フィルムをいったんロールに巻き取った後に、そのロールを蒸着工場に搬送したうえで、フィルムをロールから巻き戻しながら、蒸着を行うことができる。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムに使用するポリアミド系樹脂フィルムを製造する場合には、同時二軸延伸法によって延伸することが好ましい。逐次二軸延伸法やインフレーション法で延伸した場合は、粒状の微結晶構造は、観察されないか、または非常に少ない。延伸により結晶の成長が促進されるとともに結晶成長時に縦延伸および横延伸のバランスやその他の条件が揃った場合にのみ、粒状の微結晶構造が形成されると考えられる。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムに使用する蒸着前のポリアミド系樹脂フィルムの製造方法を、図を用いて説明する。
図1は、延伸ポリアミドフィルムの一般的な製造方法の工程図である。まず、ホッパー1に原料樹脂ペレットを供給し、押出機2で可塑化溶融し、溶融した樹脂を押出機2の先端に取り付けられたTダイ3よりシート状に押し出し、キャストロール4で冷却固化する。このとき、キャストロールの温度設定範囲を20〜80℃とし、空気によりポリアミド樹脂をキャストロールに押し付けて未延伸フィルムを得る。このとき、キャストロールとポリアミド樹脂の間に介在する空気層の厚みは、ロール中央部より端部の方が比較的厚くなるが、どの位置をとっても50〜220μmとすることが必要である。好ましくは、85〜190μmである。
溶融シートを冷却用のキャストロール4に押し付けて冷却固化する場合、押し付ける方法として、溶融シートの幅方向の両端に空気を吹き付けるエアノズル法、溶融シートの全幅に均一にエアーを吹き付けるエアナイフ法、溶融シートに高電圧電極により電荷を析出させ静電気的に密着させる静電密着法などがある。このうち、空気層の厚みがほとんどない静電密着法では、ポリアミド微結晶を発現させることはできない。エアナイフ法またはエアノズル法で、空気層の厚みが上記範囲のときだけ、ポリアミド微結晶が発現する。
空気層の厚みが50μm未満の場合は、得られる未延伸フィルムの結晶化度が低くなりすぎ、微結晶が生じないか、生じても非常に小さなものとなるため、最終的に得られるフィルムのポリアミド微結晶の大きさは0.1μm以下にしかならない。また、空気層の厚みが220μmを超える場合は、微結晶が成長し過ぎて、大きな結晶粒界が生じ、最終的に得られるフィルムのポリアミド微結晶の大きさが10μmを越えてしまう。するとフィルムが白化するなどの問題が生じる。
キャストロールと未延伸シートと間の距離(空気層厚み)は、例えばレーザーフォーカス変位計(キーエンス社製)を用いて測定することができる。
延伸フィルムにはボーイング現象が発生するため、延伸フィルムの幅方向の位置によって結晶化の進行度合いが異なる。従って、幅方向や斜め方向の物性を均一にするためには、冷却ロールに押し付ける工程で生成した微結晶のサイズと分布を最終的にフィルムの各位置で均一にさせることが好ましい。フィルムの各位置での微結晶のサイズと分布を本発明の範囲内に入るようにするためには、空気層のコントロールだけでは不十分である。
通常、未延伸フィルムは、図1に示す吸水処理工程5を通したうえで、延伸工程6で縦横二軸方向に同時延伸し、延伸ポリアミドフィルムの製品7として巻き取られる。
フィルムの各位置での微結晶のサイズと分布を本発明の範囲内に入るようにするためには、吸水処理工程を制御することが必要である。微結晶を有する未延伸フィルムを吸水処理工程に通過させることで、微結晶のサイズと分布とが決定される。このため、吸水処理工程は、温度の異なる2槽以上の吸水槽で実施することが好ましく、第1段階目の吸水槽の水温が、微結晶のサイズと分布に影響を与える。第1段階目の吸水槽の水温は、30〜50℃の範囲内のいずれかの値に設定して、±8℃の範囲で温度管理することが必要である。好ましくは±5℃の範囲、より好ましくは±3℃の範囲である。
第1段階目の吸水槽の水温が30℃未満では、ポリアミド微結晶の成長が阻害される。反対に50℃を超えると、未延伸フィルムに皺が入りやすく、得られる延伸フィルムの品質が低下する。
第1段階目の吸水槽の水温が、場所によって±8℃以上ばらつくと、ポリアミド微結晶の分布にばらつきが生じ、その結果、最終的に得られるポリアミド延伸フィルムの熱収縮率や破断伸度のばらつきが大きくなる。
この第1段階目の吸水槽を通過させた後、水温を40〜90℃に設定した第2段階目以降の吸水槽でフィルムの水分率を2〜10質量%に調節する。そして、同時二軸延伸機に導いて、縦2〜5倍、横2〜5倍の範囲で延伸し、設定温度180〜240℃の範囲で熱処理してから、0.1〜10%の範囲で弛緩処理して、所期のフィルムを得ることができる。
このようにして得られたポリアミド系樹脂フィルムは、ロール状に巻かれフィルムロールを構成するが、厚み斑がなく、かつ縦方向および横方向における物性差が小さく、物性バランスが優れており、フィルムのどの方向、どの位置でも近い物性を持つ。かつ、長尺ロール化が可能でありため、フィルムの幅が1〜5mでありかつ長さが30000m〜50000mであるものとすることもできる。したがって、後工程である蒸着工程にかかるコストを大幅に低減することが可能となる。
ポリアミド系樹脂フィルムには無機蒸着層が積層される。この無機蒸着層は、得られる蒸着ポリアミド系樹脂フィルムに高いガスバリア性を付与するものである。このような作用を有する無機物蒸着層の材料としては、Siや、Al、Ti、Zn、Zr、Mg、Sn、Cu、Fe等の金属や、これらの酸化物、窒化物、フッ素物、硫化物等が挙げられる。具体的には、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア、酸化セリウム、あるいはこれらの混合物が例示される。無機蒸着層は1層でもよいし、あるいは2層以上の積層体であってもよい。無機蒸着層の膜厚は、好ましくは5〜500nm、より好ましくは5〜200nmである。膜厚が5nm未満の場合は十分なガスバリア性が得られない虞れがある。逆に500nmを超える場合は、それに相当するガスバリア性の向上効果が奏されず、また耐屈曲性が低下し、さらに製造コストの点で不利となる。
無機蒸着層の形成方法としては、公知の方法、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理蒸着法や、PECVD等の化学蒸着法等を採用することができる。
真空蒸着法においては、蒸着材料として、Al、Si、Ti、Mg、Zr、Ce、Zn等や、SiOx(x=1.0〜2.0)、アルミナ、マグネシア、硫化亜鉛、チタニア、ジルコニア等の化合物や、それらの混合物が用いられる。加熱方法としては抵抗加熱、誘導加熱、電子線加熱等が採用される。反応ガスとしては、酸素、窒素、水素、アルゴン、炭酸ガス、水蒸気等が用いられる。オゾン添加、イオンアシスト等の手段を用いた反応性蒸着法を採用してもよい。さらに、ポリアミド系樹脂フィルムにバイアスを印加したり、ポリアミド系樹脂フィルムを加熱、冷却したりする等の方法も採用してもよい。上記蒸着材料、反応ガス、バイアス印加、加熱・冷却は、スパッタリング法、CVD法においても採用され得る。なお、金属蒸着層とポリアミド系樹脂フィルムとの間には、必要に応じてアンカーコート層を設けることも可能である。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムの酸素透過度は、製品としたときのガスバリア性の観点から、50ml/m・MPa・day以下であると好ましく、40ml/m・MPa・day以下であるとより好ましく、30ml/m・MPa・day以下であると特に好ましい。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、厚み斑がなく、かつ縦方向および横方向における物性差が小さく、物性バランスが優れており、フィルムのどの方向、どの位置でも近い物性を持つ。かつ、長尺ロール化が可能であるため、フィルムの幅が1〜5mでありかつ長さが30000m〜50000mであるものとすることもできる。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、通常、このようなフィルム幅およびフィルム長さを有するフィルムロールのフィルムを巻き戻しながらスリットして新たにロール状に巻くことで、たとえばスリットされたフィルムの幅が0.2〜3mでありかつ長さが500〜6000mである別のフィルムロールを得ることができる。
本発明の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムは、ポリオレフィン系樹脂フィルムと積層されて、蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルムを構成することができる。このような積層樹脂フィルムは、ラミネート加工性がよく、かつ、袋加工性が良好である。このような積層樹脂フィルムから得られた袋は、ガスバリア性に優れ、製品強度に異方性が少なく、S字カール現象を示さない。したがって、食品のレトルト加工用途に好適に用いることができる。
以下、実施例により、本発明を具体的に説明する。
以下の実施例・比較例における各種物性の測定方法は、下記のとおりとした。なお、いずれの測定も、試験片を温度20℃、相対湿度65%の環境下で2時間以上放置した後に、温度20℃、相対湿度65%の環境下で実施した。
[微結晶構造の観察]
フィルムの幅方向にそって、両端側の部分と中央部との3点について、50cm×50cmの正方形の形にフィルム試料を切り出し、この試料の対角線上で四隅から5cm内側に入った点(4点)計12点について測定した。
それぞれの観察点において、偏光顕微鏡を用いて100〜400倍の倍率で観察した。観察された任意の結晶100個について、その粒状の最も長い辺により粒径を規定し、その平均値を平均粒径とした。
微結晶の数は、前記フィルム面の12点における任意の100×100μmの範囲についての粒状の微結晶を数えることにより求め、mmあたりの個数である存在密度(×10個/mm)として表現した。このとき、微結晶はフィルム内部にも存在しているため、顕微鏡の焦点をフィルム厚み方向の任意の1点について合わせ、そこで観察される微結晶を数えた。
微結晶の70%以上の粒径が、微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内であるかどうかの判定は、観察された任意の結晶100個について計算することにより行った。
[フィルムの厚み斑]
厚み計MT−12B(HEIDENHAIN社製)を用いて厚みを測定した。すなわち、フィルムの横方向すなわちフィルム幅方向について、中心部すなわち中心位置(T0)と、端部すなわち末端から中心に向かって全幅の10%の距離の位置の厚み(T1、両端部の平均値)を測定した。そして、比T0/T1より厚み斑を求め、この比が0.9〜1.1である場合を合格とした。
[引裂伝播抵抗力]
オートグラフAG-1(島津製作所社製)を用いて測定した。使用セルは100kgまたは5kgとし、試験速度は200mm/minとした。試験片は、短冊状で、幅25mm、長さ75mmで、25mm幅の中心に長手方向に50mmのスリットを入れた。試験片はフィルム縦方向および横方向に各5点作製し、各試験片についての測定値の平均値を求め、フィルム縦方向の平均値とフィルム横方向の平均値との比を求めた。
[引張弾性率方向差]
オートグラフAG-1(島津製作所社製)を用いて引張弾性率を測定した。試験片は幅10mm、長さ150mmの短冊状で、使用セルは100kg、試験速度は500mm/min、チャック間隔は100mmとした。
引張弾性率に関し、測定試料すなわち試験片は、フィルムの幅方向(横方向)に平行してサンプルを5つ切り出して引張弾性率を測定し、その平均値を0°のデータとした。同様にして、横方向より時計回りに30°、60°、90°(縦方向)、120°、150°の方向にそれぞれ試験片を切り出して引張弾性率を測定した。そして、各方向に関する引張弾性率の最大値と最小値の差を引張弾性率方向差とした。
引張弾性率方向差は、フィルム中心部とフィルム端部の2箇所との計3箇所の位置において求め、最も大きい値を最大引張弾性率方向差とした。
[沸水収縮率方向差]
試験片は、フィルムの幅方向に平行に、210×210mmの正方形を5枚切り出し、それぞれサンプルの中央を中心として、直径約200mmの円を描くことにより作製した。この試験片において、フィルムの横方向を0°とし、時計回りに45°の位置と中心とを通る直線をひき、直線と円との二つの交点どうしの間の距離L045を、45°における処理前の長さとした。次に、同様に時計回りに135°の位置と中心とを通る直線をひき、直線と円との二つの交点どうしの間の距離L0135を135°における処理前の長さとした。
5枚の試験片についてL045とL0135とを測定し、次いで、沸水中で5分間処理し、軽く水分をふき取ってから風乾し、さらに20℃×65%RHの環境で2時間以上放置した。
沸水処理後に再度、上述の45°の位置における二つの交点どうしの間の距離L145を、45°における処理後の長さとした。同様に、135°の位置における二つの交点どうしの間の距離L1135を、135°における処理後の長さとした。そして、以下の式から、45°の位置の沸水収縮率と135°の位置の沸水収縮率を求め、その差の絶対値を沸水収縮率の差とした。
沸水収縮率=(処理前の長さ−処理後の長さ)×100/処理前の長さ (%)
フィルム幅が2500mm以上の場合はフィルム横方向の中心部からそれぞれ右と左に1000mmの位置について、またフィルム幅が2500mm未満の場合は両端縁より150mmの位置について、それぞれ沸水収縮率の差を求め、右端と左端の平均値を沸水収縮率方向差とした。
[結晶完全性]
広角X線散乱法を用いて測定した。すなわち、Rad−X型X線回折装置(理学電機社製)を用いて測定し、線源にはCuKα線を用いた。試料は、フィルムから3×3cmに切り出したものを75枚重ねて使用した。(002)面は、出力50kV、50mAで反射法によりX線回折ピークを測定して、面間隔d(002)を算出した。(200)面は、試料を67.5°回転させて、出力50kV、50mAで透過法によりX線回折ピークを測定して、面間隔d(200)を算出した。
結晶完全性(%)は、下記(i)式に従い計算した。
結晶完全性
={[d(200)/d(002),(202)]−1}/0.211×100
・・・(i)式
フィルム中心部および両端部について結晶完全性の測定を行い、それらの平均値を、そのフィルムの結晶完全性とした。
[巻き姿]
蒸着前の二軸延伸ポリアミド系樹脂フィルムを所定長さだけ巻いたロールの状態を観察し、皺などの巻き姿の状態を下記の基準によって評価した。
◎ 50000m巻いても、シワがなく、巻き姿は良好であった
○ 30000mでは巻き姿は良好であるが、50000m巻くと皺やたるみが発生した
× 30000m巻くと皺やたるみが発生した
×× 皺やたるみが顕著で、30000m巻くことはできなかった。
[S字カール現象]
蒸着前の二軸延伸ポリアミド樹脂フィルムとシーラントフィルム(CP;東セロ社製無延伸ポリプロピレンフィルム、RX−21、厚み40μm)とを、ウレタン系接着剤(武田薬品工業社製 タケラック A−525/A−52 二液型)を用いてドライラミネート(接着剤塗布量3g/m2)することにより、ラミネートフィルムを作製した。
得られたラミネートフィルムを、その縦方向に沿った折り目となるよう2つに折りたたみつつ、テストシーラーを用いて両縁部を20mmずつ180℃で連続的に熱シールし、またそれと直角方向に150mm間隔で幅10mmを断続的に熱シールし、幅約200mmの半製品袋を得た。この半製品袋を、縦方向に両縁部のシール部分が10mmになるように裁断した後、これと垂直方向にシール部の境界で切断し、3方シール袋を10枚作成した。
それらの3方シール袋を、沸騰水中で30分間熱処理した後、20℃、65%RHの雰囲気で一昼夜保持し、さらに、それらの10枚の3方シール袋を重ねて上から袋全面に1kgの荷重をかけ、一昼夜保持した後に荷重を取り去って、袋の反り返り(S字カール)の度合いを観察した。そして、以下の基準により評価した。
◎ :10枚すべて反り返りがない
○ :わずかに反り返りが見られるものがある
× :明らかに反り返りが見られるものがある
[酸素透過度]
蒸着後のフィルムを、気温20℃、湿度65%RH、の雰囲気下で、2日間に亘って酸素置換させた。その後に、JIS−K−7126(B法)に準拠して、酸素透過度測定装置(OX−TRAN 2/20:MOCOM社製)を用いて測定した。
<マスターチップの作成>
95%濃硫酸中、温度25℃、濃度0.5g/dlの条件で測定した相対粘度3.0のナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030BRF)を乾燥し、その100質量部あたりに、シリカ(サイロイドSY−150:水澤化学工業株式会社製)を6質量部溶融混合してマスターチップを作成した。
実施例1
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と上記マスターチップとをブレンドし、シリカの配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度270℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出し、40℃に設定されたキャストロールに対しノズルから噴き出した空気により押し付けて冷却し、厚さ180μmの未延伸フィルムを得た。キャストロールと未延伸シートとの間の距離(空気層厚み)をレーザーフォーカス変位計(キーエンス社製)を用いて測定したところ、最小値が92μm、最大値が157μmであった。
さらに、この未延伸フィルムを、±5℃で管理された水温45℃の第1吸水槽の水中に浸漬させ、次いで水温60℃の第2吸水槽にて含水させて水分率を6質量%に調節した。次に、これを同時二軸延伸機に導いて、175℃で予熱したあとに、延伸温度190℃で、縦方向に3.5倍、横方向に3.3倍の倍率で延伸した。続いて、温度220℃でフィルム走行工程3mの間熱処理し、3%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。得られたフィルムを、巻取り速度130m/分でロール状に巻取り、フィルムロールを得た。フィルムの製造条件、得られたナイロンフィルムの微結晶の状態(所定範囲内の存在個数、平均粒径、粒径が平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲内にある微結晶の比率、結晶完全性)、得られたナイロンフィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたナイロンフィルムの各位置における引張り弾性率は表4のようになり、最大引張弾性率方向差は、0.22であった。
Figure 0005247110
Figure 0005247110
Figure 0005247110
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次に、物性を測定した残りのフィルムに、以下の方法により蒸着を行った。
[アルミニウム蒸着]
蒸着源として、8〜10mm程度の大きさの粒子状のアルミニウム(純度99.9%)を用い、上記のようにして得られたポリアミド系樹脂フィルムの表面上に、電子ビ−ム蒸着法により、アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として電子銃を用い、エミッション電流を0.5Aとした。フィルム送り速度を130m/minとし、50nm厚の膜を作った。蒸着時の雰囲気圧力は、1×10−2Paに調整した。蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は、−10℃に調整した。
[酸化アルミニウム蒸着]
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のAl(純度99.9%)を用い、上記のようにして得られたポリアミド系樹脂フィルムの表面上に、電子ビ−ム蒸着法により、酸化アルミニウム薄膜を形成した。加熱源として電子銃を用い、エミッション電流を1.3Aとした。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。蒸着時の雰囲気圧力は、1×10−2Paに調整した。蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は、−10℃に調整した。
[酸化ケイ素蒸着]
蒸着源として、3〜5mm程度の大きさの粒子状のSi(純度99.99%)とSiO (純度99.9%)とを用い、上記のようにして得られたポリアミド系樹脂フィルムの表面上に、電子ビ−ム蒸着法により、酸化ケイ素薄膜の形成を行った。2種類の蒸着材料は、混合せずに、2つに区切って投入した。加熱源として電子銃を用い、SiとSiO のそれぞれを時分割で加熱した。そのときの電子銃のエミッション電流を0.8Aとし、SiとSiO との組成比が1:9(質量比)となるように、各材料を加熱した。フィルム送り速度を130m/minとし、20nm厚の膜を作った。蒸着時の雰囲気圧力は、1×10−2Paに調整した。蒸着時のフィルムを冷却するためのロールの温度は、−10℃に調整した。
得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
Figure 0005247110
実施例2
実施例1に比べ、第1吸水槽の水温を30℃に変更した。それ以外は実施例1と同様とした。空気層厚みは、最小値が90μm、最大値が161μmであった。
フィルムの製造条件と、得られたナイロンフィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果とを、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
実施例3
実施例1に比べ、第1吸水槽の温度管理幅を±3℃に変更した。それ以外は実施例1と同様とした。空気層厚みは、最小値が89μm、最大値が165μmであった。
フィルムの製造条件と、得られたナイロンフィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果とを、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
実施例4、5
実施例1に比べ、ノズルから噴き出す空気の量を調節して、空気層の厚みを変更した。それ以外は実施例1と同様とした。
フィルムの製造条件と、得られたナイロンフィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果とを、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
実施例6、7
実施例1に比べ、キャストロールの温度を変更するとともに、ノズルから噴き出す空気の量を調節して空気層の厚みを変更した。それ以外は実施例1と同様とした。
フィルムの製造条件と、得られたナイロンフィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果とを、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
比較例1
実施例1に比べ、第1吸水槽の温度管理幅を±10℃に変更した。それ以外は実施例1と同様として、ナイロン6フィルムを得た。このとき、第1吸水槽の上部の水温は49℃、底部の水温は33℃であった。そうしたところ、得られたフィルムは、厚み斑が大きく、巻き姿が悪かった。
フィルムの製造条件と、得られたナイロン6フィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
比較例2
実施例1に比べ、ノズルからの空気の噴き出し流量を変えて、空気層厚みを、最小値が25μm、最大値が157μmとなるようにした。それ以外は実施例1と同様として、ナイロン6フィルムを得た。
フィルムの製造条件と、得られたナイロンフィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果とを、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
比較例3
実施例1に比べ、キャストロールの温度を60℃に変更するとともに、ノズルからの空気の噴き出し流量を変えて、空気層厚みを、最小値が10μm、最大値が55μmとなるようにした。それ以外は実施例1と同様として、ナイロン6フィルムを得た。
フィルムの製造条件と、得られたナイロン6フィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
比較例4
実施例1に比べ、キャストロールの温度を15℃に変更するとともに、ノズルからの空気の噴き出し流量を変えて、空気層厚みを、最小値が61μm、最大値が154μmとなるように変更した。それ以外は実施例1と同様として、ナイロン6フィルムを得た。
フィルムの製造条件と、得られたナイロン6フィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
比較例5
実施例4に比べ、第1吸水槽の水温を65℃に変更した。それ以外は実施例4と同様として、ナイロン6フィルムを得た。しかし、得られたナイロン6フィルムは、厚み斑が大きく、巻き姿が悪いものであった。
フィルムの製造条件と、得られたナイロン6フィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたナイロン6フィルムは、巻き姿が悪かつたため、蒸着加工をすることはできなかった。
比較例6
実施例1に比べ、ノズルからの空気の噴出し流量を変えて、空気層厚みを、最小値が130μm、最大値が250μmとなるようにした。それ以外は実施例1と同様として、ナイロン6フィルムを得た。
フィルムの製造条件と、得られたナイロン6フィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
比較例7
乾燥したナイロン6樹脂(ユニチカ社製、A1030−BRF)と上記マスターチップとをブレンドし、シリカの配合割合が0.05質量%となるようにして、押出機に投入し、温度260℃に加熱したシリンダー内で溶融し、Tダイオリフィスよりシート状に押出した。押出したシートを、エアナイフキャスト法により、キャストロールと未延伸シートとの間の距離の最小値が90μmになるようにして、表面温度20℃のキャストロールに密着させて冷却し、厚さ150μmの未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを周速の異なる加熱ローラー群からなる縦方向延伸機に供給して、温度55℃、延伸倍率2.7倍で縦延伸を行おうと試みた。しかし、フィルム切断が多発して、延伸フィルムを採取することができなかった。
これに対し、キャストロールと未延伸シートとの間の距離を短くすることにより、フィルム切断は軽減した。そして、最終的にキャストロールと未延伸シートとの間の距離の最小値が10μm以下となったときに、延伸が可能となった。すなわち、未延伸シートをキャストロールにより冷却することで得られた未延伸フィルムを周速の異なる加熱ローラー群からなる縦方向延伸機に供給して、温度55℃、延伸倍率2.7倍で縦方向に延伸し、この縦方向延伸フィルムを予熱部にて60℃で予熱し、温度90℃で延伸倍率3.8倍で横方向に延伸し、続いて、211℃で熱処理したあと、温度210℃で横方向に2%の弛緩処理を行って、厚み15μmのナイロン6フィルムを得た。
フィルムの製造条件と、得られたナイロン6フィルムの微結晶の状態、厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗力の比、巻き姿、S字カール現象の測定結果を、表1〜表3に示す。
得られたフィルムについて、実施例1と同様の条件でアルミニウム蒸着を行い、蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを得た。得られた蒸着フィルムの厚み斑、最大引張弾性率方向差、沸水収縮率方向差、引裂伝播抵抗の比、巻き姿、酸素透過度の測定結果を、表5に示す。
表1〜表3の結果から明らかなように、実施例1〜7においては、フィルム中の微結晶の平均粒径が0.1〜10μmで、この微結晶がフィルム面の100×100μmの範囲に1〜1000個存在していたため、フィルム中心部と端部の厚み斑が小さく、フィルムの方向による物性の差が小さいバランスの取れたフィルムが得られた。また、微結晶の70%以上の粒径が、平均粒径の0.5〜1.5倍の範囲以内であったため、結晶完全性が70%以上と高く、透明で、物性の優れたフィルムであった。
これに対し、比較例1、2では微結晶の存在密度のバラツキが大きく、フィルム位置によって微結晶が存在しない部分があり、また、存在比率のバラツキも大きかった。このため、フィルムの厚み斑が大きく、ロールの巻き姿の悪いフィルムとなった。また物性のバランスも悪いものであった。
比較例3では、微結晶は存在するものの平均粒径が非常に小さいためにヘーズが悪化し、また引裂伝播抵抗力の縦横比の小さい、バランスの悪いフィルムとなった。
比較例4及び7は、微結晶の存在密度が小さいために引裂伝播抵抗力の縦横比や最大引張弾性率方向差の大きい、バランスの悪いフィルムであった。
比較例6は、微結晶の平均粒径が大きいためにヘーズが悪く、また引っ張り強度が小さくて、引裂伝播抵抗力の縦横比が小さく最大引張弾性率方向差が大きいバランスの悪いフィルムであった。
本発明のポリアミド樹脂フィルムを製造するための製造装置の一例を示す図である。

Claims (7)

  1. ポリアミド系樹脂フィルムの少なくとも片面に無機物質が蒸着された蒸着ポリアミド系樹脂フィルムであって、蒸着前のポリアミド系樹脂フィルムが、下記(a)〜()のすべてを満足することを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルム。
    (a)フィルムの横方向における中心部の厚み(T0)と端部の厚み(T1)との比(T0/T1)が0.9〜1.1
    (b)フィルムの縦方向および横方向についてのフィルムの引裂伝播抵抗力の比が、(縦方向の引裂伝播抵抗力)/(横方向の引裂伝播抵抗力)=0.7〜1.3
    (c)最大引張弾性率方向差が0.5以下
    (d)沸水収縮率方向差が1.5以下
    (e)フィルム面における、100×100μmの範囲に、平均粒径が0.1〜10μmであるポリアミド樹脂由来の微結晶が1〜1000個
    (f)フィルムのポリアミド樹脂由来の微結晶の70%以上の粒径が、前記微結晶の平均粒径の0.5〜1.5倍
  2. ポリアミド系樹脂フィルムの結晶完全性が70%以上であることを特徴とする請求項1記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルム。
  3. 請求項1または2記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムを製造するための方法であって、
    ダイから溶融押出した樹脂シートをキャストロールに押し付けて未延伸フィルムを得るときのキャストロールと樹脂シートとの間に介在する空気層の厚みを50〜220μmとし、
    未延伸フィルムを、互いに水温の異なる第1段目と第2段目とを含む2槽以上の吸水槽に通して吸水させるとともに、そのときの第1段目の吸水槽の水温を30〜50℃の範囲内のいずれかの温度に設定しかつその温度±8℃の範囲となるように温度管理し、
    吸水させた未延伸フィルムを同時二軸延伸することを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルムの製造方法。
  4. 請求項1または2記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムがロール状に巻かれたものであることを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロール。
  5. 幅が1〜5mでありかつ長さが30000m〜50000mのロール状に巻かれたポリアミド系樹脂フィルムを用いて無機物質を蒸着し巻き取ったものであることを特徴とする請求項記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロール。
  6. 請求項に記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロールの蒸着ポリアミド系樹脂フィルムがスリットされて新たにロール状に巻かれることにより得られ、スリットされた蒸着ポリアミド系樹脂フィルムの幅が0.2〜3mでありかつ長さが500〜6000mであることを特徴とする蒸着ポリアミド系樹脂フィルムロール。
  7. 請求項1または2記載の蒸着ポリアミド系樹脂フィルムがポリオレフィン系樹脂フィルムと積層されたものであることを特徴とする蒸着ポリアミド系積層樹脂フィルム。
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