JP5239320B2 - ポリアセタール樹脂成型体の接着方法、ポリアセタール樹脂成型体および複合成型体 - Google Patents

ポリアセタール樹脂成型体の接着方法、ポリアセタール樹脂成型体および複合成型体 Download PDF

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本発明は、ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に優れた接着性で接着するための接着方法に関するものである。さらに、本発明は、そのような接着方法において接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体、並びにポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体に関するものである。
ポリアセタール樹脂は、成形性に優れており、かつバランスのとれた機械的性質、電気的性質、耐熱性、耐薬品性、摩擦磨耗特性等を有したポリアセタール樹脂成型体の製造に適しており、さらにプラスチック材料としては卓越した耐疲労性を有するが故に、代表的なエンジニアリング樹脂として広汎な分野において利用されている。しかしながら、他方では、ポリアセタール樹脂は他の接着対象物との接着剤による接着性が極めて低いことから、その利用が制限されることもしばしばであった。
従来から、ポリアセタール樹脂成型体の接着剤による接着対象物との接着性の向上のために、ポリアセタール樹脂と親和性を有する樹脂をポリアセタール樹脂に少量で混合したり、または他の成分との共重合を行うことが試みられてきた(特許文献1参照)。しかしながら、これらの手法では、成型樹脂材料そのものが変化するために、ポリアセタール樹脂本来の物性が充分に得られないことがあった。
一般に、樹脂成型体の接着対象物との接着性を向上させるための他の方法として、樹脂成型体の接着面に対して表面処理を行うことが知られている。その表面処理としては、表面活性化処理、プライマー処理、粗面化等があり、表面活性化処理として紫外線照射処理、コロナ放電処理、プラズマ処理、電子線照射処理等がある。尚、上記のような他の樹脂と混合したポリアセタール系樹脂成型体の表面を、酸処理、アルカリ処理、低温プラズマ処理、コロナ放電処理、紫外線照射処理または電子線照射処理により処理することを合わせて行うことも提案されている(特許文献1参照)。また、コロナ処理、プラズマ処理および火炎処理のような方法の助けによりポリアセタール等を含むポリマー材料を酸化処理工程にゆだねて、ポリマー表面上にヒドロキシル基等を生成する第1段階と、得られたポリマー表面と3又は4個の環原子を有する複素環式化合物なる有機化合物とを液体接触させる第2段階を含む、ポリアセタール等を含むポリマー材料の表面エネルギーおよび親水性を高める方法が提案されている(特許文献2参照)。
しかしながら、ポリアセタール樹脂以外の樹脂では効果が高いとされる種々の表面処理も、ポリアセタール樹脂だけでは充分な効果が見られなかった。これはポリアセタール分子がオキシメチレン基を有しており、表面処理により分子鎖が切断された場合に、そこを起点として解重合が起こり易くなり、ホルムアルデヒドとして分解するためであると考えられる。
また、他の樹脂の接着の際におけるプライマー処理に用いられるシランカップリング剤も、ポリアセタール樹脂には充分な効果が見られない。この場合には、シランカップリング剤が反応すべき表面官能基がポリアセタール樹脂表面には存在しないためであると考えられる。尚、ポリアセタール樹脂等からなる被着体を接着対象に対して接着する方法において、被着体の接着面に紫外線照射、コロナ放電、プラズマ処理等の物理的表面改質処理と、被着体にイソシアネート化合物を含むプライマーの塗布を組み合せることも提案されている(特許文献3参照)。
しかしながら、これらの先行技術によっては、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、充分な接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体の接着方法を得ることが困難であった。
特開2003−220667号公報 特表平3−503655号公報 特開2006−028474号公報
本発明は、かかる従来の問題点に鑑みてなされたものであり、特に、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、優れた接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体の接着方法を提供することを課題とし、更には、その接着方法において接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体、並びにポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体を提供しようとするものである。
本願の請求項1に記載の発明(以下「本願の第一発明」という)は、ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に接着する方法であって、そのポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を水酸基が分解する前に反応させること、およびそのポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した水酸基と反応した有機ケイ素化合物の官能基と、接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させることを含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法を提供するものである。図1において、かかる本願の第一発明でのポリアセタール樹脂成型体の接着方法が模式的に示される。
かかる本願の第一発明では、ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に生成した水酸基と有機ケイ素化合物を水酸基が分解する前に反応させることによって、ポリアセタール樹脂表面に生成した水酸基を有機ケイ素化合物と速やかに反応させてポリアセタール樹脂の分解を抑制して、ポリアセタール樹脂本来の物性を維持することが可能であって、またその有機ケイ素化合物が有する官能基と接着剤の官能基との間の相互作用によって優れた接着性を発現させることが可能である。
本願の請求項10に記載の発明(以下「本願の第二発明」という)は、表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、ポリアセタール樹脂成型体を提供するものである。
そのポリアセタール樹脂成型体としては、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体であって、そのポリアセタール樹脂成型体の接着対象物が接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、ポリアセタール樹脂成型体が挙げられる。かかるポリアセタール樹脂成型体は、本発明の第一の側面でのポリアセタール樹脂成型体の接着方法において、そのポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成したその水酸基と有機ケイ素化合物を水酸基が分解する前に反応させることによって得られるものである。
かかる本願の第二発明では、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体として、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能なポリアセタール樹脂成型体として有用である。
本願の請求項11に記載の発明(以下「本願の第三発明」という)は、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体であって、そのポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を水酸基が分解する前に反応させ、次いでポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した水酸基と反応した有機ケイ素化合物の官能基と、接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させることによって接着した、複合成型体を提供するものである。
かかる本願の第三発明では、第一の側面の態様と同様に、ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に生成した水酸基と有機ケイ素化合物を水酸基が分解する前に反応させることによって、ポリアセタール樹脂表面に生成した水酸基を有機ケイ素化合物と速やかに反応させてポリアセタール樹脂の分解を抑制して、ポリアセタール樹脂本来の物性を維持して、またその有機ケイ素化合物が有する官能基と接着剤の官能基との間の相互作用によって優れた接着性を発現させた、ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体を得ることが可能である。
本発明におけるポリアセタール樹脂とは、オキシメチレン基(‐CHO‐)を主たる構成単位とする高分子化合物であって、ポリオキシメチレンホモポリマー、並びにオキシメチレン基以外に他の構成単位を少量含有するコポリマー、ターポリマーおよびブロックポリマーの群から選択される高分子化合物、またこれらの混合物であってもよく、さらに分子が線状のみならず分岐、架橋構造を有するものであってもよい。尚、その重合度に関しては、特に制限はなく、成形加工性を有するものであればよいが、具体的には流動性を示すメルトフローインデックス(ASTM D1238−57Tの条件で測定)が、0.5〜100g/10分の範囲が一般的であり、好ましくは2〜80g/10分、より好ましくは5〜60g/分の範囲で、用途に応じて適宜選択される。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の発明では、その表面処理が気相表面処理であって、その気相に有機ケイ素化合物を存在させることを更に含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。具体的には、気相表面処理に使用される気体中に予め有機ケイ素化合物を混入した混合気体を表面処理部に供給する方式、気相表面処理が行われる表面処理部に有機ケイ素化合物を導入する方式等が挙げられる。また、気相表面処理方法としては、その気相中に有機ケイ素化合物を存在させることが可能な方法であれば良い。なお、本願では、ポリアセタール樹脂成型体の表面で、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態での気相表面処理以外の表面処理を行う態様も、参考例として開示される。また、以下の「請求項3」,「請求項4」,「請求項5」,「請求項6」,「請求項7」,「請求項8」,「請求項9」,「請求項10」,「請求項13」は、それぞれ「請求項2」,「請求項3」,「請求項4」,「請求項5」,「請求項6」,「請求項7」,「請求項8」,「請求項9」,「請求項12」と読み替えるものとする。
本発明は、このように、気相中に有機ケイ素化合物を存在させた状態で気相表面処理を行うことによって、気相表面処理されるポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共にその生成した水酸基と、気相中の有機ケイ素化合物とを水酸基が分解する前に反応(以下「水酸基が分解する前に反応」を単に「反応」とも言う)させることを可能にしたものである。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましいもう一つの態様としての請求項3に記載の発明では、有機ケイ素化合物を存在させた気相において、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム(火炎)処理、紫外線照射処理、オゾン処理、レーザー照射処理、電子線照射処理、RIE処理等の各種の気相表面処理から選択される気相表面処理を行う、接着方法が挙げられる。気相表面処理方法は、特に限定されないが、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させるのに適しているものとして、各種の気相表面処理の中でも、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理が好ましく、特にプラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理が好ましい。
かかる気相表面処理の態様において、気相中に有機ケイ素化合物が存在するが、その気相に含まれる他の成分としては、各々の気相表面処理に通常必要とされる成分が適宜選択して使用される。例えば、プラズマ処理の場合の気相としては、ArとO2の混合気体、空気等が挙げられる。
本発明のかかる態様は、気相表面処理されるポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共にその生成した水酸基と、気相中の有機ケイ素化合物とを反応させることを有利に行うことを可能にしたものである。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましいもう一つの態様としての請求項4に記載の発明では、有機ケイ素化合物を存在させた気相が別の気相表面処理のプロセスガスであり、気相表面処理がそのプロセスガスを使用するものである、接着方法が挙げられる。この態様は、別の気相表面処理プロセスにおけるプロセスガスを本発明の気相表面処理用の気相として用いるものであって、その気相中に有機ケイ素化合物を存在させた状態でポリアセタール樹脂成型体の表面をその気相中に曝すことによってポリアセタール樹脂成型体の表面処理を行って、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させるものである。
かかる気相表面処理の態様において、ポリアセタール樹脂成型体の表面が曝される気相中に有機ケイ素化合物が存在するが、その気相に含まれる他の成分としては、その別の気相表面処理に通常必要とされる成分が適宜選択して使用されるもので足りる。例えば、プラズマ処理の場合の気相としてはAr、O、Ar/O混合ガスおよび空気等が挙げられる。
本発明のかかる態様は、別の気相表面処理のプロセスガスを使用して、気相表面処理されるポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共にその生成した水酸基と、気相中の有機ケイ素化合物とを反応させることをより有利に行うことを可能にしたものである。
かかる態様のより好ましい態様としての請求項5に記載の発明では、別の気相表面処理のプロセスガスが、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理、レーザー照射処理、電子線照射処理またはRIE処理のプロセスガスである、接着方法が挙げられる。その別の気相表面処理は、特に限定されないが、各種の気相表面処理の中でも、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理が好ましく、特にプラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理が実用上好ましい。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましいもう一つの態様としての請求項7に記載の発明では、有機ケイ素化合物が、シランカップリング剤の群から選択される少なくとも1種である、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。より具体的には、そのシランカップリング剤として、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシランが挙げられ、中でもビニルトリメトキシシラン、p−スチリルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましく、特に3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシランが好ましい。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましいもう一つの態様としての請求項8に記載の発明では、有機ケイ素化合物が、シロキサン類の群から選択される少なくとも1種である、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。より具体的には、そのシロキサン類として、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサン、テトラメチルシクロテトラシロキサンが挙げられ、中でもヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサンが好ましく、特にヘキサメチルジシロキサンが好ましい。かかるシロキサン類は、気相表面処理の雰囲気下でそれが一部酸化されることによって、優れた接着性の発現に効果を発揮する。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましいもう一つの態様としての請求項9に記載の発明では、有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)
(RO)‐Si‐R (4−n) −−−−−−−−−−−−−−−−−−(I)
(ただし、R、Rは炭素数が1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す)
で表されるものの群から選択されるものである、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。より具体的には、その有機ケイ素化合物として、テトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、ブトキシトリメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられ、中でもテトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ブトキシトリメチルシランが好ましく、特にテトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシランが好ましい。かかる有機ケイ素化合物は、気相表面処理の雰囲気下でそれが一部酸化されることによって、優れた接着性の発現に効果を発揮する。
本発明のこれらの有機ケイ素化合物に関する好ましい態様は、気相表面処理されるポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共にその生成した水酸基と、気相中の有機ケイ素化合物とを反応させることをより有利に行うことを可能にしたものである。尚、上記の有機ケイ素化合物の好ましい態様において、気相で反応するために蒸気圧が比較的高く、かつ表面処理雰囲気にさらされた後もポリアセタール樹脂成形体表面の水酸基および接着剤の官能基と反応できる構造を有する点で、テトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシラン、ヘキサメチルジシロキサン、テトラメチルジシロキサン、ペンタメチルジシロキサンが好ましく、特にテトラメチルオルトシリケート、ヘキサメチルジシロキサンが好ましい。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましいもう一つの態様としての請求項6に記載の発明では、ポリアセタール樹脂成型体の表面を表面処理して、そのポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させることによって、ポリアセタール樹脂成型体の接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成を0.5〜30%とする、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。より具体的には、表面処理によってポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させる際の処理条件を調製することによって、接着対象物に接着されるべきポリアセタール樹脂成型体の接着面における、X線光電子分光分析によるケイ素組成を0.5〜30%、より好ましくは5〜30%、特に好ましくは15〜25%の範囲にするものである。
ここで、X線光電子分光法による分析条件は、
・ 光電子脱出角度:45度
・ X線源:AlKα(1486.7eV)、14kV、200W、
・ 試料チャンバー内真空度:1×10‐8Torr
・ 温度:室温
・ 各元素のスキャン範囲
C1s:275−300eV
O1s:522−542eV
Si2p:95−115eV
・ ステップ:0.1eV
・ 積算時間:100ミリ秒
・ 積算回数:10回
である。このとき測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせる。次いで、C1sピーク面積[C1s]を、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積[O1s]を、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、Si2pピーク面積[Si2p]を、98〜110eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。表面ケイ素組成は、上記O1sピーク面積[O1s]、C1sピーク面積 [C1s]、Si2pピーク面積[Si2p]、および装置固有の感度補正値( C1s[0.314]、O1s[0.733]、Si2p[0.368])から、次式により求められる。
[Si](%)=100×[Si2p]/(([C1s]/0.314+[O1s]/0.733+[Si2p]/0.368)×0.368)
尚、使用されるX線光電子分光分析装置は、アルバック・ファイ製APEXなどの標準的なものである。
ポリアセタール樹脂成型体の接着面における、X線光電子分光分析によるケイ素組成を上記の範囲に調整することによって、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されたままで、優れた接着性を発現させるためのポリアセタール樹脂成型体を得ることが可能になる。接着面における、X線光電子分光分析によるケイ素組成が30%を超える場合には、有機ケイ素化合物が酸化されてシリカ(SiO:Si=33%)を生成していることを示しており、水酸基と有機ケイ素化合物を反応させて生じる層の強度が低下して優れた接着性が得られにくくなり、また、ケイ素組成が0.5%より過小の場合には水酸基と有機ケイ素化合物を反応させて得られるはずの効果が得られにくくなり、好ましくない。
上記の本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法では、表面処理によってポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させる際の処理条件としては、接着面における、X線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%の範囲内になるように調製されることが好ましく、具体的には、気相中の有機ケイ素化合物の濃度が100〜2000ppm、好ましくは300〜1500ppm、特に好ましくは500〜1200ppmである。また、気相表面処理の処理圧力が1Pa〜1MPa、好ましくは3Pa〜0.1MPa、温度は、−20〜150℃、好ましくは0〜100℃、時間は0.01〜120秒、好ましくは0.05〜60秒の範囲である。プラズマ処理等における電力密度については、通常用いられる範囲で適宜選択され得る。
本願の第一発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の好ましい一つの態様としての請求項10に記載の発明では、有機ケイ素化合物の官能基が、ビニル、スチリル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、ウレイド、イソシアネート、メルカプト、スルフィド、シラノール、シロキサンの群から選択されるものであり、接着剤の官能基が、ビニル、スチリル、ヒドロキシ、カルボキシル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、イミノ、シアノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、シラノール、シロキサンの群から選択されるものである、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。より具体的には、ビニル、スチリル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、ウレイド、イソシアネート、メルカプト、スルフィド、シラノール、シロキサンの群から選択される官能基を有する有機ケイ素化合物として、ビニルトリメトキシシラン、p-スチリルトリメトキシシラン、3-メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3-アクリロキシプロピルリメトキシシラン、3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3-アミノプロピルトリメトキシシラン、2-シアノエチルトリエトキシシラン、3-ウレイドプロピルトリエトキシシラン、3-イソシアネートプロピルトリエトキシシラン、3-メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビス(トリエトキシシリルプロピル)テトラスルフィド、テトラメチルオルトシリケート(分解によりシラノールを生成)、ヘキサメチルジシロキサン等が挙げられ、ビニル、スチリル、ヒドロキシ、カルボキシル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、イミノ、シアノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、シラノール、シロキサンの群から選択される官能基を有する接着剤として、アクリル樹脂系接着剤(アクリロキシ、カルボキシルまたはビニル含有)、ウレタン樹脂系接着剤(イソシアネートまたはヒドロキシ含有) 、エポキシ樹脂系接着剤(エポキシまたはヒドロキシ含有)、シアノアクリレート系接着剤(アクリロキシ、シアノまたはビニル含有)、シリコーン系接着剤(シラノールまたはシロキサン含有)、スチレン-ブタジエンゴム系接着剤(スチリルまたはビニル含有)、ニトリルゴム系接着剤(ビニルまたはシアノ含有)、ポリアミド樹脂系接着剤(アミド、アミノまたはカルボキシル含有)、ポリイミド系接着剤(イミノ、アミドまたはカルボキシル含有)、ポリメタクリレート樹脂系接着剤(メタクリロキシまたはビニル含有)、ユリア樹脂系接着剤(ウレイド含有)等が挙げられる。中でも、エポキシ、アミノ、シラノールまたはシロキサンの官能基を有する有機ケイ素化合物と、ヒドロキシ、カルボキシル、エポキシ、アミノ、シラノールまたはシロキサンの官能基を有する接着剤との組合せが、優れた接着性が発現され易く好ましい。
本願の第二発明における、表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%であるポリアセタール樹脂成型体としては、ポリアセタール樹脂成型体が接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体であって、その表面がポリアセタール樹脂成型体の接着対象物が接着される表面である、ポリアセタール樹脂成型体が挙げられる。言い換えると、それは、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体であって、その接着面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%であるポリアセタール樹脂成型体である。
上記の本願の第二発明におけるポリアセタール樹脂成型体としては、ポリアセタール樹脂成型体の接着対象物が接着される表面が、気相に有機ケイ素化合物を存在させる気相表面処理により表面に水酸基を生成させると共に、生成した水酸基と有機ケイ素化合物を反応させたものである、ポリアセタール樹脂成型体が挙げられる。
本願の第二発明におけるこれらの好ましい態様では、接着剤により接着対象物に接着されるポリアセタール樹脂成型体として、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能なポリアセタール樹脂成型体がより確実に提供され得る。
尚、本願の第二発明におけるポリアセタール樹脂成型体においても、上記の本発明の第一の側面におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法についての態様が可能な範囲で適用され得る。
上記の本願の第三発明における複合成型体の好ましい一つの態様としての請求項13に記載の発明では、ポリアセタール樹脂成型体の該接着対象物が接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、複合成型体が挙げられる。かかる態様によって、ポリアセタール樹脂本来の物性が維持されて、優れた接着性を発現させることが可能なポリアセタール樹脂成型体がより確実に提供され得る。
尚、本願の第三発明におけるポリアセタール樹脂成型体においても、上記の本発明の第一の側面におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法についての態様が可能な範囲で適用され得る。
本願のこれらの発明における接着対象物については、特に限定されるものではないが、より具体的には、ポリアセタール樹脂成型体のほか、使用される接着剤に応じて、樹脂成型体(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリブチレンテレフタレート、ポリフェニレンスルフィド等)、金属(Al、Cu等)、メッキ(Ni、Sn等)、およびセラミックス等が適宜に選択され得る。
以下に本願発明についての実施例を挙げて更に具体的に本願発明を説明するが、それらの実施例によって本願発明が何ら限定されるものではない。
実施例1
市販のポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス製、コポリマー、非強化標準材、ジュラコンM90‐44)を、図2に示すようなJIS引張試験用ダンベル片(チャック部幅20mm、平行部幅10mm、全長1170mm、平行部長80mm、厚さ4mm)に成型したサンプル(ポリアセタール成型体)1枚を中央部で2つに切断し、TMOS(テトラメチルオルトシリケート、東京化成製、1級グレード品)なるケイ素化合物をArとO2の混合気体に共存させて、プラズマ処理に供した。プラズマ処理は、松下電工マシンアンドビジョン社製大気圧プラズマ処理装置Aiplasmaを用いて行った。Ar流量が2.14L/min、 O2 流量が27ml/ min、ArとO2の混合気体中のTMOSが600ppm、25℃、圧力0.1MPa、140Wの条件でプラズマを発生させ、走査距離5mm、走査速度10mm/s(5mmピッチ)で1回処理した。得られた表面処理済みサンプルどおしの平行部を図3に示すように表面処理面で6mm重ね合わせて、エポキシ接着剤(ジャパンエポキシレジン製、主剤828、硬化剤B002)を用いて、100℃で1時間接着処理を行った。
このようにしてポリアセタール成型体どうしを接着して得られた複合成型体の接着性能は、万能試験機(A&D製Tensilon RTC−1250、ロードセル:1kN)を使用した引張せん断試験で、空気中で、5mm/minの剥離速度の条件で評価した。接着強度の評価結果は、6MPaであった。
また、接着前のポリアセタール成型体のサンプルをステンレス製の試料支持台上に設置し、X線光電子分光分析装置(アルバック・ファイ製APEX)を使用して、下記手順にて成形体表面のSi組成を測定した。
まず以下の条件でX線光電子分光分析を行った。
・ 光電子脱出角度:45度
・ X線源:AlKα(1486.7eV)、14kV、200W、
・ 試料チャンバー内真空度:1×10‐8Torr
・ 温度:室温
・ 各元素のスキャン範囲
C1s:275−300eV
O1s:522−542eV
Si2p:95−115eV
・ ステップ:0.1eV
・ 積算時間:100ミリ秒
・ 積算回数:10回
このとき、測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせた。次いで、C1sピーク面積[C1s]は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積[O1s]は、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、Si2pピーク面積[Si2p]は、98〜110eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面ケイ素組成は、上記O1sピーク面積[O1s]、C1sピーク面積 [C1s]、Si2pピーク面積[Si2p]、および装置固有の感度補正値( C1s[0.314]、O1s[0.733]、Si2p[0.368])から、次式により求めた。
[Si](%)=100×[Si2p]/(([C1s]/0.314+[O1s]/0.733+[Si2p]/0.368)×0.368)
このようにして得られたケイ素組成は、30%であった。
実施例2
実施例1において、ケイ素化合物としてHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン、東京化成製、1級グレード品)を用いて、ArとO2の混合気体中のTMOSが1000ppmの条件とする以外は、実施例1と同様にして、ポリアセタール成型体表面のプラズマ処理を行った。次いで、実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、5MPaであった。また、接着前のポリアセタール成型体の接着表面を実施例1と同様にしてX線光電子分光法で分析したところ、ケイ素組成は25%であった。
比較例1
市販のポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス製、コポリマー、非強化標準材、ジュラコンM90‐44)をJIS引張試験用ダンベル片に成型したサンプルをそのまま使用して、エポキシ接着剤(ジャパンエポキシレジン製、主剤828、硬化剤B002)を用いて100℃で1時間接着した。接着試験は、実施例1と同様に引張せん断試験とし、空気中、剥離速度5mm/minの条件で評価した。このときの接着強度は0MPaと非常に低かった。
比較例2
比較例1のサンプルを接着前に、以下のように、有機ケイ素化合物を用いないで実施例1と同様にしてプラズマ処理に供した。そのプラズマ処理は、松下電工マシンアンドビジョン社製大気圧プラズマ処理装置Aiplasmaを用いて、Ar流量が2.14L/min、 O2流量が27ml/ min、25℃、圧力0.1MPa、140Wの条件でプラズマを発生させ、走査距離5mm、走査速度10mm/s(5mmピッチ)で1回処理した。その他は実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、0MPaと非常に低かった。
比較例3
実施例1において、O流量を54ml/minとする以外は、実施例1と同様にして、ポリアセタール成型体表面のプラズマ処理を行った。次いで、実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、1MPaであった。また、接着前のポリアセタール成型体の接着表面を実施例1と同様にしてX線光電子分光法で分析したところ、ケイ素組成は33%であった。尚、そのO/Si組成比は2であり、シリカ(SiO)が生成していることが明らかになった。
本願発明におけるポリアセタール樹脂成型体の接着方法の一つの態様のフローチャートを示す説明図である。 実施例等において使用した試験用ダンベル片を示す説明図である。 実施例等において使用した引張り試験サンプルを示す説明図である。

Claims (12)

  1. ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に接着するポリアセタール樹脂成型体の方法であって、
    該ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させること、および
    該ポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した該水酸基と反応した該有機ケイ素化合物の官能基と、該接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させること
    を含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  2. 前記気相表面処理が、前記気相での、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理、レーザー照射処理、電子線照射処理またはRIE処理である、請求項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  3. 前記気相が別の気相表面処理のプロセスガスであり、前記気相表面処理が該プロセスガスを使用するものである、請求項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  4. 前記別の気相表面処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理、レーザー照射処理、電子線照射処理またはRIE処理である、請求項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  5. 前記ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と前記有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させることによって、該ポリアセタール樹脂成型体の接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成を0.5〜30%とする、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  6. 前記有機ケイ素化合物が、シランカップリング剤の群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  7. 前記有機ケイ素化合物が、シロキサン類の群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  8. 前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)
    (RO)‐Si‐R (4−n) −−−−−−−−−−−−−−−−−−(I)
    (ただし、R、Rは炭素数が1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す)
    で表されるものの群から選択されるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  9. 前記有機ケイ素化合物の官能基が、ビニル、スチリル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、ウレイド、イソシアネート、メルカプト、スルフィド、シラノール、シロキサンの群から選択されるものであり、前記接着剤の官能基が、ビニル、スチリル、ヒドロキシ、カルボキシル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、イミノ、シアノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、シラノール、シロキサンの群から選択されるものである、請求項1〜のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
  10. 接着剤により接着対象物に接着される表面を有するポリアセタール樹脂成型体であって、該表面が、気相に有機ケイ素化合物を存在させる気相表面処理により、該表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させてなるものであり、該表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、ポリアセタール樹脂成型体。
  11. ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体であって、該ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させ、次いで該ポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した該水酸基と反応した該有機ケイ素化合物の官能基と、該接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させることによって接着した、複合成型体。
  12. 該ポリアセタール樹脂成型体の該接着対象物が接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、請求項11に記載の複合成型体。
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