JP5239320B2 - ポリアセタール樹脂成型体の接着方法、ポリアセタール樹脂成型体および複合成型体 - Google Patents
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(R1O)n‐Si‐R2 (4−n) −−−−−−−−−−−−−−−−−−(I)
(ただし、R1、R2は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す)
で表されるものの群から選択されるものである、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法が挙げられる。より具体的には、その有機ケイ素化合物として、テトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、トリメトキシプロピルシラン、ブトキシトリメチルシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラエトキシシランが挙げられ、中でもテトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシラン、ジメトキシジメチルシラン、メトキシトリメチルシラン、エトキシトリメチルシラン、エチルトリメトキシシラン、トリメチルプロポキシシラン、ジエトキシジメチルシラン、ブトキシトリメチルシランが好ましく、特にテトラメチルオルトシリケート、トリメトキシメチルシランが好ましい。かかる有機ケイ素化合物は、気相表面処理の雰囲気下でそれが一部酸化されることによって、優れた接着性の発現に効果を発揮する。
・ 光電子脱出角度:45度
・ X線源:AlKα(1486.7eV)、14kV、200W、
・ 試料チャンバー内真空度:1×10‐8Torr
・ 温度:室温
・ 各元素のスキャン範囲
C1s:275−300eV
O1s:522−542eV
Si2p:95−115eV
・ ステップ:0.1eV
・ 積算時間:100ミリ秒
・ 積算回数:10回
である。このとき測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせる。次いで、C1sピーク面積[C1s]を、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積[O1s]を、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、Si2pピーク面積[Si2p]を、98〜110eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求める。表面ケイ素組成は、上記O1sピーク面積[O1s]、C1sピーク面積 [C1s]、Si2pピーク面積[Si2p]、および装置固有の感度補正値( C1s[0.314]、O1s[0.733]、Si2p[0.368])から、次式により求められる。
[Si](%)=100×[Si2p]/(([C1s]/0.314+[O1s]/0.733+[Si2p]/0.368)×0.368)
尚、使用されるX線光電子分光分析装置は、アルバック・ファイ製APEXなどの標準的なものである。
市販のポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス製、コポリマー、非強化標準材、ジュラコンM90‐44)を、図2に示すようなJIS引張試験用ダンベル片(チャック部幅20mm、平行部幅10mm、全長1170mm、平行部長80mm、厚さ4mm)に成型したサンプル(ポリアセタール成型体)1枚を中央部で2つに切断し、TMOS(テトラメチルオルトシリケート、東京化成製、1級グレード品)なるケイ素化合物をArとO2の混合気体に共存させて、プラズマ処理に供した。プラズマ処理は、松下電工マシンアンドビジョン社製大気圧プラズマ処理装置Aiplasmaを用いて行った。Ar流量が2.14L/min、 O2 流量が27ml/ min、ArとO2の混合気体中のTMOSが600ppm、25℃、圧力0.1MPa、140Wの条件でプラズマを発生させ、走査距離5mm、走査速度10mm/s(5mmピッチ)で1回処理した。得られた表面処理済みサンプルどおしの平行部を図3に示すように表面処理面で6mm重ね合わせて、エポキシ接着剤(ジャパンエポキシレジン製、主剤828、硬化剤B002)を用いて、100℃で1時間接着処理を行った。
・ 光電子脱出角度:45度
・ X線源:AlKα(1486.7eV)、14kV、200W、
・ 試料チャンバー内真空度:1×10‐8Torr
・ 温度:室温
・ 各元素のスキャン範囲
C1s:275−300eV
O1s:522−542eV
Si2p:95−115eV
・ ステップ:0.1eV
・ 積算時間:100ミリ秒
・ 積算回数:10回
このとき、測定時の帯電に伴うピークの補正のため、C1Sの主ピークの結合エネルギー値B.E.を284.6eVに合わせた。次いで、C1sピーク面積[C1s]は、282〜296eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、O1sピーク面積[O1s]は、528〜540eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求め、Si2pピーク面積[Si2p]は、98〜110eVの範囲で直線のベースラインを引くことにより求めた。表面ケイ素組成は、上記O1sピーク面積[O1s]、C1sピーク面積 [C1s]、Si2pピーク面積[Si2p]、および装置固有の感度補正値( C1s[0.314]、O1s[0.733]、Si2p[0.368])から、次式により求めた。
[Si](%)=100×[Si2p]/(([C1s]/0.314+[O1s]/0.733+[Si2p]/0.368)×0.368)
このようにして得られたケイ素組成は、30%であった。
実施例1において、ケイ素化合物としてHMDSO(ヘキサメチルジシロキサン、東京化成製、1級グレード品)を用いて、ArとO2の混合気体中のTMOSが1000ppmの条件とする以外は、実施例1と同様にして、ポリアセタール成型体表面のプラズマ処理を行った。次いで、実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、5MPaであった。また、接着前のポリアセタール成型体の接着表面を実施例1と同様にしてX線光電子分光法で分析したところ、ケイ素組成は25%であった。
市販のポリアセタール樹脂(ポリプラスチックス製、コポリマー、非強化標準材、ジュラコンM90‐44)をJIS引張試験用ダンベル片に成型したサンプルをそのまま使用して、エポキシ接着剤(ジャパンエポキシレジン製、主剤828、硬化剤B002)を用いて100℃で1時間接着した。接着試験は、実施例1と同様に引張せん断試験とし、空気中、剥離速度5mm/minの条件で評価した。このときの接着強度は0MPaと非常に低かった。
比較例1のサンプルを接着前に、以下のように、有機ケイ素化合物を用いないで実施例1と同様にしてプラズマ処理に供した。そのプラズマ処理は、松下電工マシンアンドビジョン社製大気圧プラズマ処理装置Aiplasmaを用いて、Ar流量が2.14L/min、 O2流量が27ml/ min、25℃、圧力0.1MPa、140Wの条件でプラズマを発生させ、走査距離5mm、走査速度10mm/s(5mmピッチ)で1回処理した。その他は実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、0MPaと非常に低かった。
実施例1において、O2流量を54ml/minとする以外は、実施例1と同様にして、ポリアセタール成型体表面のプラズマ処理を行った。次いで、実施例1と同様にして接着強度を評価した結果、1MPaであった。また、接着前のポリアセタール成型体の接着表面を実施例1と同様にしてX線光電子分光法で分析したところ、ケイ素組成は33%であった。尚、そのO/Si組成比は2であり、シリカ(SiO2)が生成していることが明らかになった。
Claims (12)
- ポリアセタール樹脂成型体を接着剤により接着対象物に接着するポリアセタール樹脂成型体の方法であって、
該ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と該有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させること、および
該ポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した該水酸基と反応した該有機ケイ素化合物の官能基と、該接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させること
を含む、ポリアセタール樹脂成型体の接着方法。 - 前記気相表面処理が、前記気相での、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理、レーザー照射処理、電子線照射処理またはRIE処理である、請求項1に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 前記気相が別の気相表面処理のプロセスガスであり、前記気相表面処理が該プロセスガスを使用するものである、請求項1に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 前記別の気相表面処理が、プラズマ処理、コロナ放電処理、フレーム処理、紫外線照射処理、オゾン処理、レーザー照射処理、電子線照射処理またはRIE処理である、請求項3に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 前記ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と前記有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させることによって、該ポリアセタール樹脂成型体の接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成を0.5〜30%とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 前記有機ケイ素化合物が、シランカップリング剤の群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 前記有機ケイ素化合物が、シロキサン類の群から選択される少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 前記有機ケイ素化合物が、下記一般式(I)
(R1O)n‐Si‐R2 (4−n) −−−−−−−−−−−−−−−−−−(I)
(ただし、R1、R2は炭素数が1〜4のアルキル基を示し、nは1〜4の整数を示す)
で表されるものの群から選択されるものである、請求項1〜5のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。 - 前記有機ケイ素化合物の官能基が、ビニル、スチリル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、シアノ、ウレイド、イソシアネート、メルカプト、スルフィド、シラノール、シロキサンの群から選択されるものであり、前記接着剤の官能基が、ビニル、スチリル、ヒドロキシ、カルボキシル、メタクリロキシ、アクリロキシ、エポキシ、アミノ、イミノ、シアノ、アミド、ウレイド、イソシアネート、シラノール、シロキサンの群から選択されるものである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のポリアセタール樹脂成型体の接着方法。
- 接着剤により接着対象物に接着される表面を有するポリアセタール樹脂成型体であって、該表面が、気相に有機ケイ素化合物を存在させる気相表面処理により、該表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と該有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させてなるものであり、該表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、ポリアセタール樹脂成型体。
- ポリアセタール樹脂成型体を接着対象物に接着剤により接着した複合成型体であって、該ポリアセタール樹脂成型体の表面を、気相に有機ケイ素化合物を存在させた状態で、気相表面処理して、表面処理して、該ポリアセタール樹脂成型体の表面に水酸基を生成させると共に、生成した該水酸基と該有機ケイ素化合物を該水酸基が分解する前に反応させ、次いで該ポリアセタール樹脂成型体の表面に生成した該水酸基と反応した該有機ケイ素化合物の官能基と、該接着剤の官能基との相互作用により接着性を発現させることによって接着した、複合成型体。
- 該ポリアセタール樹脂成型体の該接着対象物が接着される表面におけるX線光電子分光分析によるケイ素組成が0.5〜30%である、請求項11に記載の複合成型体。
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