JP5232870B2 - 舵取機 - Google Patents
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Description
舵取機10は、たとえば図4に示すように、船舶1の船尾側となる船底から下方に突出し、船舶1に回動可能に支持された舵軸11を備えている。この舵軸11には、水中位置に舵板12が固定されて一体に回動する。なお、図中の符号2は、船舶1に推進力を与えるスクリューである。
図示の駆動機構において、舵軸11の回動は、チラー13を介して行われる。チラー13は、中心部が舵軸11に固定されるとともに、両端部近傍が閉回路の油圧系統(油圧システム)20に接続されている4本の油圧シリンダ21(必要な場合にのみ、符号を21A,21B,21C,21Dと区別する)と連動するように構成されている。すなわち、チラー13の一端部側が一対の油圧シリンダ21A,21Bにより動作する第1ラム22Aに連結され、かつ、チラー13の他端部側が一対の油圧シリンダ21C,21Dにより動作する第2ラム22Bに連結されているので、たとえば一対の油圧シリンダ21A,21Dに油を供給することにより、チラー13及び舵軸11を時計回りの方向に回転させることができる。また、他の一対の油圧シリンダ21B,21Cに油を供給することにより、チラー13及び舵軸11を反時計回りの方向に回転させることができる。
また、油配管24には、逆止弁25を介してブーストポンプ26が接続されている。このブーストポンプ26は、図示しない油タンクの油を吸い込んで所定の圧力で油配管24に供給する機能を有しており、たとえば舵板12に作用する水流等の影響を受けて舵取機10の負荷が急激に変動する場合であっても、油圧系統20内の油圧を所定値以上に保つことにより、油圧系統20内に負圧を生じさせないように設けられている。
また、船舶においては、一時的な急速操作に備えた油供給源として、アキュムレータを備えた操舵装置が開示されている。この場合のアキュムレータも、定流量型の油圧ポンプを備えている油圧系統上において、切替弁の上流側に配設されている。(たとえば、特許文献3参照)
しかし、近年の船舶においては、舵取機の油圧系統に与えられる操舵力等の余裕代が抑制される傾向にある。このため、負荷の状況によっては、ブーストポンプから供給可能な油の補給量が不十分となり、油圧回路内に負圧となる領域を生じることがある。
その結果として、図7に示すように、油圧回路内には油圧油量の不足による負圧領域を形成する時間帯Tが生じることがありえる。この間、油圧低下に起因して主油圧ポンプにキャビテーションが発生し、ノイズ等の不具合の原因となることが考えられる。この時間帯Tでは所望の操舵方向に向けた舵板トルクが得られない状況となる。
上述した主油圧ポンプのキャビテーションを防ぐ方法として、たとえばブーストポンプ26の容量を大きくして負圧領域の形成を防止してもよい。しかし、ブーストポンプ26の容量を大きくすると、ポンプ運転に伴う消費動力や発熱量を増大させるという問題があるため好ましくない。
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、油圧回路内の負圧領域に起因する主油圧ポンプのキャビテーションを防止し、このキャビテーションに伴う異音発生を防止した舵取機を提供することにある。
本発明の舵取機は、航走体に回動可能に支持されている舵軸と、該舵軸に固定されて一体に回動する舵板とを回動させる舵取機において、前記舵軸を回動させる駆動機構が油圧系統に接続された油圧アクチュエータを備え、前記油圧系統が、油の吸入/吐出方向及び吐出流量を可変とする主油圧ポンプと、油圧系統内を所定の圧力に維持するブーストポンプと、油圧系統内の油圧より油圧が常時低く設定される油圧貯蔵手段と、を備え、前記油圧系統内の油圧が前記油圧貯蔵手段の油圧と同圧になった場合に前記油圧貯蔵手段の油が油圧系統内に供給されることを特徴とするものである。
また、油圧貯蔵手段から油を補充することができる構成としたことにより、発生頻度の低い急激な油系統内油圧低下に備えて、過度に大きなブーストポンプを設置する必要がなくなり、ブーストポンプの容量を最小限に抑えることができて、通常運転中の消費動力や発熱量の発生を抑制することができる。
10,10A 舵取機
11 舵軸
12 舵板
13 チラー
20,20A,20B 油圧系統(油圧システム)
21 油圧シリンダ
22A 第1ラム
22B 第2ラム
23 主油圧ポンプ
24 油配管
24a,24a′ ブースト油配管
25 逆止弁
26,26A ブーストポンプ
30 アキュムレータ(油圧貯蔵手段)
40 制御部
41 圧力センサ
図1に示す電動油圧方式の舵取機10Aは、船舶等の航走体が進行方向を変化させる場合に、航走体に回動可能に支持されている舵軸11と、舵軸11に固定されて一体に回動する舵板12(図4参照)を駆動する際に使用される操舵装置である。この舵取り機10Aは、舵軸11を回動させる駆動機構のアクチュエータとして油圧系統20Aに接続された4本の油圧シリンダ21(区別を必要とする場合には、21A,21B,21C,21D)を備えているが、アクチュエータとしては油圧シリンダに限らず、ロータリーベーン等であってもよい。
なお、図中の符号13は、油圧シリンダ21に連動して舵軸11を回動させるチラーである。
図示の主油圧ポンプ23は二つのポート23a,23bを有しており、これらのポート23a,23bは、斜板を傾斜させる角度に応じていずれか一方が吐出側となり、他方が吸入側となる。図示の構成例では、一方のポート23aが油配管24を介して油圧シリンダ21A,21Dに接続され、他方のポート23bが油配管24を介して油圧シリンダ21B,21Cに接続されている。なお、主油圧ポンプ23は、舵取機10Aの有効時に常時運転されて油圧を供給するポンプである。
ブーストポンプ26から吐出された油は、ブースト油配管24aを介して油配管24に接続されている。ブースト油配管24aの接続位置は、油の流れ方向を切替える機能を有する主油圧ポンプ23の下流側とされ、さらに、ポート23aと油圧シリンダ21A,21Dとを接続する油配管24及び他方のポート23bと油圧シリンダ21B,21Cとを接続する油配管24に分岐して接続されている。
また、アキュムレータ30は、ブーストポンプ26の運転により内部の油圧が所定の設定圧力Paを維持している。この設定圧力Paは、たとえば図2に示すように、主油圧ポンプ23の運転によりシリンダ21や油配管24等の油圧系統20A内で得られる回路内油圧Pmよりも低い正圧となる(0<Pa<Pm)。
なお、アキュムレータ30については、舵取機10Aの諸条件を考慮して設定圧力Paを定め、かつ、十分な量の油を貯蔵できる容量を確保すればよい。
また、主油圧ポンプ23の斜板角度を調整し、ポート23a,23bの吐出側及び吸入側を反対にして運転すれば、シリンダ21に作用する油圧により、第1ラム22Aが紙面右方向へ移動するとともに第2ラム22Bが紙面左方向へ移動するので、チラー13及び舵軸11を反時計回りに回転させる操舵が行われる。
しかし、舵板12の舵角−舵板トルク特性により操舵方向と逆向きの舵板トルクを生じた場合や、航行中の舵板12が海域の潮流等から大きな外力を受けた場合のように、油圧シリンダ21に対して油の供給及び補充が追いつかない状況では、たとえば図2の二点鎖線に示すように、油圧系統20A内の油圧が低下し回路内油圧Paを維持できなくなる。
なお、ブースト油配管24aの逆止弁25aは、主油圧ポンプ23側の高圧がブーストポンプ26に作用することを防止している。
また、上述したアキュムレータ30から十分な量の油を補充できるので、ブーストポンプ26の容量を最小限に抑えることができる。ブーストポンプ26の小型化は、主電動機28の消費電力を低減し、さらに、ポンプ運転に伴う発熱量を低減することができる。
この変形例では、ブーストポンプ26Aが主油圧ポンプ23から独立して運転可能とされる。すなわち、ブーストポンプ26Aは専用の補助電動機28Aを駆動源とし、アキュムレータ30及びその近傍の油圧を所定の範囲内に維持するように、制御部40が断続運転するものである。
なお、この場合の所定範囲については、上述した「Pa+α」に限定されることはなく、たとえば「Pa±α」としてもよい。
また、油圧貯蔵手段をアキュムレータ30とし、アキュムレータ30の周辺において油圧が所定範囲内に維持されるようにするため、独立運転可能なブーストポンプ26Aを必要時のみ運転する断続運転を行うようにすれば、連続運転するブーストポンプ26と比較して消費動力や発熱量を低減することができる。
なお、本発明は上述した実施形態に限定されることはなく、その要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
Claims (2)
- 航走体に回動可能に支持されている舵軸と、該舵軸に固定されて一体に回動する舵板とを回動させる舵取機において、前記舵軸を回動させる駆動機構が油圧系統に接続された油圧アクチュエータを備え、前記油圧系統が、油の吸入/吐出方向及び吐出流量を可変とする主油圧ポンプと、油圧系統内を所定の圧力に維持するブーストポンプと、油圧系統内の油圧より油圧が常時低く設定される油圧貯蔵手段と、を備え、前記油圧系統内の油圧が前記油圧貯蔵手段の油圧と同圧になった場合に前記油圧貯蔵手段の油が油圧系統内に供給されることを特徴とする舵取機。
- 前記油圧貯蔵手段が1台または複数台のアキュムレータである請求項1に記載の舵取機。
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