JP5219014B2 - 糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法 - Google Patents

糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5219014B2
JP5219014B2 JP2006288952A JP2006288952A JP5219014B2 JP 5219014 B2 JP5219014 B2 JP 5219014B2 JP 2006288952 A JP2006288952 A JP 2006288952A JP 2006288952 A JP2006288952 A JP 2006288952A JP 5219014 B2 JP5219014 B2 JP 5219014B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
reducing sugar
group
electrode
protein
thiol
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006288952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2008105978A (ja
Inventor
リー・ボンクック
京一 安立
リー・ヘヨン
知二 川合
俊彦 松浦
チャー・ヒョンジュン
セオ・ジョンヒョン
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
National Institute of Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency, National Institute of Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2006288952A priority Critical patent/JP5219014B2/ja
Publication of JP2008105978A publication Critical patent/JP2008105978A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5219014B2 publication Critical patent/JP5219014B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Medicines Containing Antibodies Or Antigens For Use As Internal Diagnostic Agents (AREA)

Description

本発明は、多様な炭化水素、特に、糖類を固体表面上に直接固定化する方法に関する。さらに、本発明は、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法にも関する。
生物において、全ての活性は、生体物質の相互作用に起因する。これらの生体物質は、細胞の多くの生物学的活性を制御し媒介する。これらの生体物質のなかでも、タンパク質は重要な役割を演じる。いくつかのタンパク質は、主に単一の単量体(例えば、小分子基質における変化を触媒する酵素)として機能するが、全てのタンパク質の大部分でないとしても、かなりの割合のタンパク質が、パートナー分子と関連して、または、分子集合体の成分として機能する。
DNA、炭化水素、脂質その他の細胞成分も互いに関連し、細胞中でイベントを行っている。かくして、細胞機能の理解を得るためには、単離した状態および相互作用した状態の双方で、これらの生体物質の機能を理解するべきである。
しかしながら、細胞は静的なものではなく、内的および外的に発生した信号が、形状、分化、生存度、代謝その他の固有特性を変化させているため、このプロセスは複雑である。
多くの研究者により、全てのイベント、相互作用の観察が試みられているが、体系的な観察は不可能である。したがって、研究者は、迅速かつ容易に標的相互作用を検出するセンサーを開発してきた。これらのセンサーからの信号はイベントの各情報から獲得され、メカニズムを理解するために統合される。
たくさんの分析ツールが一つの相互作用の同定を可能にする。ほとんどの簡便かつ有用な方法は、相互作用する標的生体物質に蛍光マーカーを標識することである。より精密な光学顕微鏡の開発が、蛍光マーカーの使用を促進し、相互作用はイン・ビボで容易に検出可能になった。
生体内では、タンパク質−タンパク質、タンパク質−化合物、タンパク質−炭化水素および炭化水素−炭化水素の間で様々な相互作用が起きている。このような相互作用は、生物学的に意味のあるイベントを開始させ、その結果、細胞すなわち生体組織はその代謝を維持することができる。
上記の相互作用のなかでも、炭化水素−タンパク質相互作用が生物の細胞間コニケーション、シグナリング、細胞接着、受精および免疫学的プロセスにおいて、重要な役割を演じる。これらの相互作用は、細菌毒性タンパク質やウイルスによる宿主細胞の感染も開始する。したがって、炭化水素−タンパク質相互作用の分子関係を理解することは、生物における生物学的プロセスについての有用な情報が得られるだけではなく、有効なバイオ医療薬の開発の助けとなる。
炭化水素は、様々な物質を占める大きな成分分類を構成し、科学、生物学、物質科学および関連分野において重要な役割を演じる。生物学系において、特に、炭化水素の研究は基礎的生化学プロセスを調査し、新規医薬物質を同定する有望な成果であると認識されている。核酸やタンパク質に加えて、炭化水素は生物学的機能を決定し、広範囲にわたる生理学的プロセスに影響する。したがって、それらを研究し、特徴付けることの重要性は増大していく。
生体内における炭化水素は、単糖、オリゴ糖、多糖として存在し、一般に、糖類は、単糖として存在する場合、細胞の主なエネルギー源として利用されている。また、オリゴ糖または多糖の構造体を形成するときにはエネルギー源の蓄積のみならず、細胞表面の支持体としての役割と同時にタンパク質を認識する標識者の役割をする。また、このような糖類は、化学、生物学、物理化学、材料工学およびそれらの関連分野の応用で重要な役割をする。
多くの病原菌によって産生されるタンパク毒はもっとも特徴的な毒性因子である。これらの毒素は、典型的に、宿主細胞上のオリゴ糖受容体に結合する。
例えば、ビブリオコレラ毒性タンパク質は非常によく知られた病原体であり、ABファミリーに属し、酵素活性および毒性を有するAサブユニットおよび分子の受容体結合部位を形成する5つのBサブユニットから構成される。5つのBサブユニットは同一であり、細胞表面受容体の炭化水素部分へ五量体で付着する。
また、ビブリオコレラ毒性タンパク質は高い相互作用により、Galβ1→3GalNacβ1→4(NeuAcα2→3)Galβ1→4Glc1→1'セラミド構造を有するガングリオシドGM1と結合し、この相互作用は、ABファミリー毒と受容体との間の標準的な糖類−タンパク質相互作用であると認識されている。
すなわち、糖類は核酸やタンパク質のように基本的な生物学的機能を決定する重要な役割とともに、広い範囲の生理学的な作用に影響を及ぼす重要な生化学的要素である。特に、生物学的な観点からの糖類とタンパク質との間の相互作用の研究は、基礎的な生物学的作用を明らかにすることにより新薬開発にも非常に役に立つことである。
糖類の生物学的作用の基礎研究のため、原子間力顕微鏡(AFM)、表面プラズモン共鳴(SPR)、電気化学検出法(EC)等の観察手法が有用である。これらの観察手法において、対象を直接固体表面上に固定化する必要がある。
また、近年、新薬開発プロセス、医療診断等などの分野において、バイオチップが注目され、研究開発が盛んに進められている。
バイオチップとは、固体表面上(固相化担体としては、シリコン基板、ガラス基板、高分子、金基板など)にDNA等の核酸、酵素や抗体のごときタンパク質、ペプチド等のバイオ分子アレイ、あるいは細胞等を固定化し、固定化されたバイオ分子アレイ等のプローブ物質に特定のターゲット物質が結合したときに生じる特異的な反応を検出するものである。
バイオチップの代表例として、基板上にDNAを高密度に固定化し、ハイブリダイゼーションにより相補的な配列の存在を検出するDNAチップ(DNAマイクロアレイ)や、タンパク質を固定化し相互作用するタンパク質を検出するタンパク質チップ(プロテインチップ)やなどがある[特許文献1、2、3、4]。
同様に、糖類を固体表面に固定化すれば、糖類チップを作製することができ、糖類を基質とするタンパク質の検出に有用である。
したがって、糖類の分析や単糖類から複雑な構造をもつ糖タンパクあるいは糖脂質の糖類を固定化させるための方法が報告されてきた。糖類を固体表面に固定化させることは糖類をより容易に応用しようとすることであり、関連研究が多く報告されている。
AFM、SPRおよびECによる分析を行うためには、ガングリオシドGM1などの標的炭化水素を固体基板の表面に共有結合させなければならない。
このガングリオシドGM1は細胞膜の成分であり、セラミド成分のため膜に固定されている。しかしながら、セラミド結合炭化水素部分の固体表面へのイン・ビトロ固定化は疎水性相互作用を用いる限定的な方法である[非特許文献1]。
共有結合のため、Niらは、マレイミド活性化炭化水素を合成して、システイン含有ペプチドおよびタンパク質の部位特異的グリコシル化を行った[非特許文献2]。Nyquistらは、チオアセチルGM1糖脂質の合成にlyso−GM1を用いた[非特許文献3]。
しかしながら、これら2つの共有結合の方法は、合成を特定の炭化水素部分に限定し、2’−アミノエチルグリコシドか修飾セラミドのlyso形態にしか適用できない。
また、糖類を直接固体表面に固定化させることではなく、化合物、抗体、脂質等のリンカーを介して、間接的に固定化させる方法が報告されているにすぎず、さらに、糖類を一つの統一された方法で固定化するのではなく、特定の糖類を特定の方法で固定化させる研究結果しか報告されていない。
特開2005−164387 特開2005−164388 特開2006−153733 特願2006−206822 Valdes-Gonzalez, T., J. Inagawa, and T. Ido. 2001. Neuropeptides interact with glycolipid receptors - A surface plasmon resonance study. Peptides 22:1099-1106. Ni, J. H., S. Singh, and L. X. Wang. 2003. Synthesis of maleimide-activated carbohydrates as chemoselective tags for site-specific glycosylation of peptides and proteins. Bioconjugate Chemistry 14:232-238. Nyquist, R. M., A. S. Eberhardt, L. A. Silks, Z. Li, X. Yang, and B. I. Swanson. 2000. Characterization of self-assembled monolayers for biosensor applications. Langmuir 16:1793-1800. Hase, S. 1994. High-performance liquid chromatography of pyridylaminated saccharides. Methods in Enzymology 230:225-237. Natsuka, S., and S. Hase. 1998. Analysis of N- and O-glycans by pyridylamination. Methods in Molecular Biology 76:101-113.
そこで、本発明は、一つの統一された方法で、化合物、抗体、脂質等のリンカーを介さずに、様々な糖類を直接固体表面上に固定化する方法を提供する。
本発明は、還元糖を直接固体表面に固定化するために、固体表面に結合するアンカーを還元糖に導入するための新規な修飾方法を開発した。
チオール基(−SH)またはジスルフィド結合(−S−S−)は金などの固体表面に結合するため、アンカーとして好ましい。
また、本発明に用いる還元糖は、その直鎖構造において、末端にアルデヒド基を有する。従来、還元糖のアルデヒド基と2−アミノピリジンとの間のシッフ塩基反応に基づくピリジルアミノ化(図1)が行われており、逆相HPLC分析において高感度かつ高分離能のため糖コンジュゲートからグリカンアナログの分析に広く用いられている[非特許文献4および5]。
そこで、本発明は、ピリジルアミノ化を改良し、分子内にアミノ基とチオール基またはジスルフィド結合とを有する化合物を用いて、アンカーとしてチオール基またはジスルフィド結合を還元糖に導入する修飾方法を提供する。この修飾方法は還元糖を用いる点で、ピリジルアミノ化と同じであるが、糖脂質、糖タンパク質その他の炭化水素を含む全ての炭化水素部分に用いることができるので、より有用である。
本発明において、ピリジルアミノ化で用いられるアミノピリジンの代わりに、分子内にアミノ基とチオール基またはジスルフィド結合とを有する化合物を用いて、還元糖を修飾する。本発明において、分子内にアミノ基とチオール基またはジスルフィド結合とを有する化合物として、例えば、4−アミノベンゼンチオール(HN−C−SH)または4−アミノフェニルジスルフィド(HN−C−S−S−C−NH)が挙げられる。
図2に、本発明の修飾方法の反応スキームを示す。還元糖修飾の第1段階として、pH3から4程度の酸性条件下で、上記化合物のアミノ基と還元糖のアルデヒド基とを反応させてシッフ塩基を調製する。シッフ塩基は分子内にC=N二重結合を有し、酸やアルカリで容易に分解するため、第2段階として、シッフ塩基を還元して安定化することによって、チオール基またはジスルフィド結合を修飾した本発明の還元糖を得る。
本発明において、還元糖の修飾により得られたシッフ塩基は、水溶性であるため、このシッフ塩基を還元する還元剤として、水溶性であることが要件である。また、還元性が強い場合には、糖部分を分解してしまうおそれがあるため、還元力の弱い還元剤を用いる必要がある。
これら2つの要件を満たす還元剤として、ボラン化合物が挙げられる。ボランBHは気体であるため、シッフ塩基水溶液に通気する必要がある。また、毒性が強いため、取り扱いには注意が必要である。
ボランとルイス塩基との錯体は安定な固体であるため計量が容易であり、還元剤として市販されているため入手しやすい。ボランとルイス塩基との錯体として、例えば、BH・HN(CHが挙げられる。
より詳しくは、本発明は、以下の発明を提供する。
(1) 還元糖を固体表面上に直接固定化する方法であって、
一般式(I):R−CHO[式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分。]で示されるアルデヒド基を有する還元糖を、
一般式(IIa):HN−X−SH
[式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基。]で示されるアミノ基およびチオール基を分子内に有するリンカー化合物、または
一般式(IIb):HN−Y−S−S−Z−NH
[式中、YおよびZは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基。]で示されるアミノ基およびジスルフィド結合を分子内に有するリンカー化合物と20〜40℃にて反応させて、シッフ塩基を調製し、ついで、得られたシッフ塩基をボラン化合物の存在下、20〜40℃にて還元して、
一般式(IIIa):R−CH−NH−X−SH
[式中、RおよびXは、それぞれ、上記定義と同じである。]で示されるチオール修飾還元糖、または
一般式(IIIb):R−CH−NH−Y−S−S−Z−NH−CH−R
[式中、R、YおよびZは、それぞれ、上記定義と同じである。]で示されるジスルフィド修飾還元糖を調製し、ついで、
一般式(IIIa)で示されるチオール修飾還元糖または一般式(IIIb)で示されるジスルフィド修飾還元糖を固体表面に接触させることを特徴とする方法。
(2)前記ボラン化合物が、BH・HN(CHである(1)に記載の方法。
(3) 還元糖とタンパク質との間の相互作用力を測定する方法であって、
一般式(IIIa):R−CH−NH−X−SH
[式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分であって、Xは炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基である。]で示されるチオール修飾還元糖、または
一般式(IIIb):R−CH−NH−Y−S−S−Z−NH−CH−R
[式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分であって、YおよびZは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基である。]で示されるジスルフィド修飾還元糖を原子間力顕微鏡のカンチレバーのプローブ表面に固定化し、前記還元糖の部分との間の相互作用力を測定すべきタンパク質を固体基板に固定化し、還元糖固定化プローブとタンパク質固定化固体基板との距離を変化させつつ、フォースカーブを得、
得られたフォースカーブから、前記還元糖の部分と前記タンパク質との間の結合の破断力を求め、前記破断力に基づき相互作用力を評価することを特徴とする方法。
(4)前記カンチレバーのプローブ表面が金で被覆されている(3)の方法。
(5)1または複数の還元糖が固体表面上に直接固定化されているバイオチップであって、
基板;
前記基板上に形成された1または複数の電極配線;
前記1または複数の電極配線を被覆する絶縁膜;および
前記1または複数の電極配線の各々の一領域上の絶縁膜に、電極表面に達する1または複数の孔を設けることによって形成された1または複数のセンシング部を含み、
ここに、前記1または複数の還元糖は前記1または複数のセンシング部の底部に露出した電極配線の表面に直接固定化されていることを特徴とするバイオチップ。
(6)少なくとも、作用電極、対極および参照電極を含むバイオセンサーであって、
ここに、前記作用電極は、(5)に記載のバイオチップであることを特徴とするバイオセンサー。
(7)(6)に記載のバイオセンサーの作用電極、対極および参照電極を、被検試料を含有しない対照溶液に浸漬し、前記作用電極を処理する前に、前記作用電極の第1の電気的信号を測定し;
前記バイオセンサーの作用電極、対極および参照電極を、被検試料を含有する試験溶液に浸漬し、前記作用電極を被検試料で処理した後、前記作用電極の第2の電気的信号を測定し;次いで、
第1の電気的信号と第2の電気的信号との強度差から、試験溶液中に存在する毒素タンパク質を検出する方法。
(8)第1および第2の電気的信号が、酸化還元電流値である(7)に記載の方法。
本発明の目的は、糖類−タンパク質間、特に、ガングリオシドGM1とビブリオコレラ毒性タンパク質間の相互作用メカニズムを明らかにすることにある。本発明において、両者の間の正確な相互作用を調べるため、3つのバイオナノテクノロジーを用いる。相互作用力を測定するために原子間力顕微鏡(AFM)を用い、フローシステムでのキネティクスを算出するために表面プラズモン共鳴(SPR)を用い、高感度オン/オフ検出システムとして電気化学分析を用いる。
各分析手法は個別には利点があるが、制約もある。各分析手法から得られた結果を統合して、これらの分析手法の相関から正確な相互作用メカニズムを検討する。これは、細胞膜レベルでの毒性メカニズムを理解する上でも有用であろう。さらに、この分析手法は他の特異的相互作用にも適用可能である。
実施例1:単糖類グルコースへのチオール基導入
まず、単糖類グルコース(分子量180)へのチオール基(SH基)導入を試みた。
グルコースをチオール修飾するための反応スキームを図2に示す。ピリジルアミノ化についての先行技術や市販のキット付属のマニュアルによれば、反応は90または80℃で1時間行われる。しかしながら、この加熱条件下では、糖類が分解する可能性がある。さらに、チオール修飾の第1段階で得られるシッフ塩基が不可逆的なアマドリ転位を起こして、所望するチオール修飾還元糖が得られない可能性がある。そこで、この実施例において、反応を20〜40℃で行った。
この温度範囲で反応を行えば、上記した分解反応や副反応を抑制することができ、また室温で簡便に反応を行うことができるので、利点が多い。
20、30および40℃の各温度にて、50mMのグルコースと25mMの4−アミノフェニルジスルフィドを1:1の水/酢酸混合溶媒2mL中で反応させて、グルコース誘導シッフ塩基を調製した。
このときの溶液のpHは3から4の間であった。このような低pH条件で、シッフ塩基は効率よく進行するが、ジスルフィド結合は開裂しない。
以下の反応で、還元剤の投与によりジスルフィド結合が開裂し、チオール基となる。このチオール基同士は、緩和な酸化剤によりジスルフィド結合を形成し、還元剤によりチオール基に戻る。
シッフ塩基反応により、C=N二重結合が生成する。この反応によりアミノベンゼンチオール部位のπ共役系が広がり、黄色を呈する。そこで、400nmでの生成物の吸光度の経時変化を測定することによって、反応を追跡した。その結果を図3に示す。
20℃での反応に対する吸光度データから、2時間程度で、30℃および40℃での反応と比較して低いレベルで飽和した。
また、反応時間は、反応の第1段階で得られるシッフ塩基のアマドリ転位や糖の分解が発生しないように、反応温度に依存して変化する。例えば、20℃で反応を行った場合、適当な反応時間は、2時間以内、好ましくは1時間以内、より好ましくは、15分以上30分以内である。一方、40℃では、反応が急激に進行しているため、30分以内に終了することが好ましい。
次に、100mMのBH・NH(CHの存在下、水溶液中で得られたシッフ塩基を還元し、溶媒を除去した後、HOを溶出液とするカラムクロマトグラフィーにより精製した。これにより、水溶性の黄色粉末として最終生成物を得た。
最終生成物のH−NMR測定から、反応により6ppm付近にアミン結合に由来するピークが出現したことが分かる(図4)。この結果は、グルコースと4−アミノベンゼンチオールが反応した結果、このアミン結合が形成されたことを示す。
この生成物の正確な質量をMALDI−TOFにより測定した。チオール修飾グルコースの質量の計算値は289であり、MALDI−TOFによる測定値は290であった(図5)。
これらの結果から、本発明の方法により、チオール基で修飾された単糖類グルコース(GulSH)が合成されたことが確認された。
所望により、適当な酸化条件下で、チオール修飾糖類を反応させて、ジスルフィド結合を有する二量体を形成することもできる。
チオール修飾グルコースの結合能を確認する方法として、チオール修飾グルコースを金表面上で処理することによって、SPR分析を行った(図6)。対照実験として、未処理グルコースをインジェクションしてもRUに変化は生じなかったが、チオール修飾グルコースをインジェクションすると、ベースラインが900RU上昇した。この結果から、チオール修飾グルコースがチオール基を介して直接金基板上に固定化されたことが示された。
実施例2:多糖類へのチオール基導入
実施例1と同様に、5mMの多糖類を2.5mMの4−アミノフェニルジスルフィドと反応させた。ここで、多糖類として、セラミド部分を除去したGM1を用いた(図7)。反応は、20、30および40℃の各温度にて行った。実施例1でのグルコースと比較して、GM1の濃度が低いため、400nmにおける吸光度は低いが、30℃以上で、GM1がチオール修飾されることが分かった(図8)。
実施例1と同様に、カラムクロマトグラフィーにより精製して、水溶性の黄色粉末として最終生成物を得た。
カラム精製した最終生成物の正確な質量をMALDI−TOFにより測定した。チオール修飾GM1の質量の計算値は、Naを除くと1108、Naを含めた場合1130であり、MALDI−TOFによる測定値は、それぞれ、1108および1130であった(図9)。
したがって、本発明の方法により、チオール基で修飾された多糖類GM1(GM1SH)が合成されたことが確認された。この条件で得られたチオール修飾GM1を便宜上GM1SH1と表記する。
所望により、適当な酸化条件下で、チオール修飾糖類を反応させて、ジスルフィド結合を有する二量体を形成することもできる。
しかしながら、MALDI−TOFの結果から分かるように、多くの副生成物が生成している。そこで、目的の生成物の収率を向上させるため、GM1の反応量を10倍にして(100mM)、30℃にて4−アミノフェニルジスルフィドと反応させた。カラム精製した最終生成物についてのMALDI−TOFの結果から、依然として副生成物が検出されたが、収率が向上し、副反応は抑制された(図10)。この条件で得られたチオール修飾GM1を便宜上GM1SH2と表記する。
実施例3:表面プラズモン共鳴法による相互作用キネティクス分析
表面プラズモン共鳴(SPR)法は、キネティックデータ(巨大分子間の相互作用についての微視的速度定数)を収集するための手段を提供する。この原理を図11に示す。
SPR現象は、導電性薄膜において屈折率が異なる媒体の界面で発生する(図11)。入射角とエネルギー(波長)と特定の組合せで、入射光は導電性薄膜のプラズモン(電子電荷密度波)を励起する。このとき、自由電子モデルで表される自由電子挙動を示さなければならないため、導電性薄膜に用いる金属の選択が重要である。一般に、安定性のため、金が用いられる。エバネッセント波によるエネルギーの特性吸収が生じ、SPRは、特定の入射(SPR角)にて、反射光の強度の低下として見られる。
リガンドがセンサーチップに付着するか、または、分析物がリガンドに結合したとき、センサーチップ表面の濃度が増加し、SPR反応を生じ、SPR角のSPR変化として観察される(図12)。特定の屈折率の寄与(すなわち、濃度の単位変化により生じた屈折率の変化)は組成によらず様々なタンパク質で非常に似通り、他の巨大分子の値は同一のオーダーである。その結果、測定された応答は結合した分析物の質量に関連し、分析物の特性にあまり依存しない。異なる分子に対する屈折率の寄与は付随的なものであり、そのため、付着した検出分子量および結合した分析物量の双方を同じ検出原理で測定することができる。
SPRを測定することができる市販の機器の導入は巨大分子相互作用の研究を簡便にし、少量の分析物で、分子間相互作用のリアルタイム観察を可能にした。
面倒なサンプル調製を必要とせずに、吸着や分解などの動的プロセスを迅速に観察できるため、表面相互作用を検出するためのSPRの使用は有利である。吸着の速度および度合いについての情報を迅速に得ることができ、誘電特性、会合/分離キネティクスおよび特異的リガンド−分析物相互作用のアフィニティー定数の決定を可能にする。
この実施例では、相互作用キネティクスを得るための相対比較ツールとしてSPR分析を用いる。SPRの結果は定量的ではないが、定量分析としては良好なシステムである。
今まで、ビブリオコレラ毒素の毒性メカニズムにおいて、ガングリオシドGM1とBサブユニットとの相互作用が研究の対象とされてきたが、Aサブユニットも毒性メカニズムに関与し、cAMPレベルの増大に重要な役割を演じるため、Aサブユニットが参加する相互作用特性を比較する必要がある。
比較SPR相互作用分析のため、まず、AおよびBサブユニットを用いた。Aサブユニットの構造解析の結果(図13)、AサブユニットのN末端が、Bサブユニットと相互作用している。そのため、Aサブユニットは、BiACoreCM5チップのデキストランと共有結合するはずである。
Aサブユニットがデキストラン表面へ結合するとき、200μg/mLのAサブユニットを10mMの酢酸ナトリウムバッファー(pH4)と混合し、固定化効率を上昇させた。Aサブユニットを金チップ上に固定化した後、Bサブユニットを100、50、25、10または5μg/mLの濃度で、連続してインジェクションした。AおよびBサブユニット間の相互作用について記載された比較データは公開されていないため、直接分析は不可能であるが、ある程度合理的な範囲のキネティクスデータが得られた(図14)。
実施例4:電気化学検出法による相互作用オン/オフ分析
基本的な科学的疑問に答えるため、および、実用的なアプリケーションのため、生体分子と電子部品とを統合して機能的な装置を構築することが魅力的である。バイオエレクトロニクスの分野の主たる活動は、電子信号の形態で生体認識または生体触媒プロセスをトランスデュースするバイオセンサーの開発に関する。それゆえ、この分野は主に医療およびバイオテクノロジー工業において抗体−抗原またはDNA−タンパク質をセンシングする免疫センサーとして開発されてきた。
比較可能な機器感度を有し、しかも、小型化が可能であるため、電気化学免疫センサーは顕著な利点を有する。さらに、バルクの溶液ではなく金属電極表面上で発生する電気化学反応を測定するため、検出時間も著しく短縮される。電気化学免疫センサーは、通常、電気化学トランスデューサーおよびこのトランスデューサー表面上に固定されたインタラクティブな物質からなる。リガンド−受容体会合の相互作用は差電気化学反応の発生をもたらす。
この実施例において、直接電場および、標的インタラクティブ分子のハイブリダイゼーションに起因するKFe(CN)溶液の実測電気化学反応変化を用いて、生体分子間(五糖類毒素B−毒素Aサブユニット)の相互作用を検出した。この検出法は高い再現性と感度を示した。
電気化学検出において、2つのパラメータ(CVおよびSWV)が非常に重要である。バイオ機能表面上での固定化およびハイブリダイゼーション後のサイクリックボルタンメトリー(CV)データを図15aに示す。この図から、標的生体分子のハイブリダイゼーションにより、酸化還元ピーク電流が明らかに低下していることが分かる。KFe(CN)溶液中で起こる酸化還元反応は、還元曲線および酸化曲線のピークによるピーク電位の差ΔEpでもって明確に識別できる。CV電流は固定化分子層の荷電効果による容量性電流を多くの割合で含むが、矩形波ボルタンメトリー(SWV)は悪影響を低減する。固定化およびハイブリダイゼーション後の酸化還元ピーク電流の差はCVを用いて観察したときと比べて、顕著に促進されている(図15b)。
したがって、酸化還元電流の変化は非常に顕著であり、この実測変化は相互作用を電気化学的に検出し得る可能性のあるバイオセンサーの開発の基礎を形成する。
(1)毒素AおよびBサブユニット間の相互作用分析
電気化学検出法を用いて、最初にコレラ毒素AおよびB間の相互作用分析を行った。AまたはBサブユニットは、カルボキシル基を介して予備処理した金表面に共有結合させた。
AまたはBサブユニットのいずれか一方のサブユニットを固定化した後、他方のサブユニットをハイブリダイズさせ、各段階で電流値変化を観察した。
Bサブユニットを金表面に固定化し、AサブユニットをハイブリダイズさせたときのSWV電流の変化(図16)は、Aサブユニットを金表面に固定化し、Bサブユニットをハイブリダイズさせたときの変化(図17)よりも大きかった。これは、Bサブユニット(12kDa)がAサブユニット(27kDa)よりも小さいため、同一表面上に大量に固定化されたからと考えられる。
しかしながら、いずれサブユニットを先に金表面に固定化しても、AおよびBサブユニット間のハイブリダイゼーション後の最終電流値は誤差範囲で同レベルであった。
以上の結果から、サブユニット間の相互作用の最終判断には、いずれのサブユニットを金表面に固定化するかは影響しないが、多種のサブユニットのうちより小さなサイズ(分子量)を有するものを先に固体表面に固定化したほうが、より高い密度で配列できるため有利であると考えられる。
(2)チオール修飾五糖類を用いた結合能の確認
次に、実施例2で合成したGM1SH1およびGM1SH2の結合能を、チオール基修飾なしのGM1の結合能と比較した。
上記3種類の糖を予備処理していない金表面に直接固定化し、結合前後の電流値の変化を観察した。
GM1SH2は、GM1SH1と比較して、固定化による電流値の変化が大きく、高度に固定化されることが分かった(図18)。このことは、糖類、特に、多糖類へのチオール基修飾反応は、原料濃度を高くしたほうがよいことを示している。
(3)五糖類、毒素Aおよび毒素Bサブユニット間の相互作用の分析
上記したように、ビブリオコレラ毒素タンパク質とガングリオシドGM1の糖鎖部分との相互作用は毒性メカニズムに必要な知識である。Bサブユニットに加えて、Aサブユニットもこの相互作用に参画する。したがって、この実施例において、GM1SHを金表面に直接固定化した後、一連の相互作用を分析した。
2つのGM1SHを異なる条件で固定化した後、先にBサブユニットを糖類と接触させ、その後、Aサブユニットとハイブリダイズさせた。SWVにおける電流変化はGM1SH固定化後の電流差以外はほぼ同じであった(図19および20)。
しかしながら、酸化還元の度合いを表すCVにおける電流変化は別のパターンを示した。GM1SH1と比較して、GM1SH2は高密度で金表面に固定化されているため、Bサブユニットの結合により金表面のほとんどが覆われてしまい、酸化還元が発生しにくかったと考えられる。
なお、図18において、チオール基修飾なしのGM1を金表面に接触させたときにも電流値が変化しているが、これは物理的な吸着によるものである。データは示さないが、別の実験で、チオール基修飾なしのGM1が金表面に吸着した状態で、毒素AまたはBサブユニットを接触させても、電流値の変化は生じなかった。したがって、基板上にチオール基修飾なしの糖類が結合していても、糖類とタンパク質間の相互作用の確認には影響がない。
チオール基を介して糖類を金表面に化学結合させた場合、糖類は表面から起立しているためにタンパク質と相互作用を起こすが、チオール基修飾なしの糖類が金表面に物理吸着している場合、糖類は表面上に横たわり、タンパク質と相互作用を起こさないと考えられる。
電気化学システムは、相互作用後の電流変化しか示さないので、結合速度や結合力を説明することは難しい。しかしながら、これらの結果によれば、電気化学検出法は、高感度および操作の簡便性から、他のどのツールよりも優れている。
実施例5:糖類チップを有するバイオセンサーの構築
実施例4の結果から、糖類を金表面に固定化したチップ上で、タンパク質サブユニットのハイブリダイゼーションを観察できることが明らかとなったので、糖類チップを搭載したバイオセンサーを構築した。
本発明による糖類チップの上面図を図21に示す。この実施例では、ガラス基板10上に8本の電極配線13を形成し、一度に8点測定が可能な糖類チップ1を形成した。
電極配線13の一方の端部にはバイオ分子アレイ領域131が形成され、他方の端部にはバイオ分子アレイ領域で検出した電気的信号を取り出すためのパッド132が形成されている。
図22にバイオ分子アレイ領域131の拡大上面図を示す。バイオ分子アレイ領域131上には絶縁性レジスト膜14が形成され、この絶縁膜に1または複数の孔を設けることによって、バイオ分子を固定化するための1または複数のセンシング部131aが形成されている。
バイオ分子アレイ領域131には、センシング部131aの直径が5μm以上の場合、図22aに示すように単一のセンシング部を形成することができ、センシング部131aの直径がサブミクロン以下20nm程度までの場合、図22bに示すように複数のセンシング部を配列させることができる。
従来の半導体製造技術を用いれば、基板上にセンシング部を形成することができるので、上記の条件に限定されることなく、適宜、当業者によく知られた他の条件でセンシング部を形成することができる。
また、センシング部の大きさや個数も、使用の形態に適合させて、適宜増減することができる。
バイオ分子アレイ領域131の断面図を図23aに示す。この実施例では、ガラス基板10上に、まず、Ti薄膜13aを形成し、その上にAu薄膜13bを形成することによって、Au/Ti積層薄膜からなる電極配線13を形成した。Au薄膜を直接ガラス基板に形成することもできるが、Au薄膜の接着強度が弱いので、Au薄膜の剥離を防止し、バイオチップの信頼性を向上させるためにTi薄膜を用いた。Ti以外にCrを用いることもできる。
この図が示すように、絶縁性レジスト膜に形成された孔は、下部層の電極配線の表面にまで達している。すなわち、バイオ分子アレイ領域に形成されたセンシング部の側面は絶縁性レジスト膜14により定められ、センシング部の底部は電極配線13の表面により定められている。
この構成を用いて、図23bに示すように、センシング部131aの底部の露出した電極表面上にチオール基を修飾した糖類プローブ2を固定化する。
酸素プラズマ照射などの方法により、センシング部の底部に露出した電極表面上の不純物質を除去する。
その後、基板をGM1SH2の溶液に1時間浸漬して、GM1SHをSH基を介して電極表面に結合させる。
センシング部の底部にのみ糖類プローブ2が固定化されるように、前記のレジスト14はDTDPAの−SH基が結合しない材料であることが必要である。
最後に、リン酸バッファー溶液(PBS)で洗浄することによって、センシング部の底部に固定化されていない未結合の糖類を除去して、糖類チップを作製する。
本発明において、この糖類プローブ2にターゲット3であるタンパク質が結合したときの酸化還元電位の変化を検出する。
本発明の糖類チップを作製するために、半導体製造技術で用いられているフォトファブリケーション技術およびナノファブリケーション技術を用いた。ここでは、「ナノファブリケーション技術」なる用語は、ナノインプリンティング技術、蒸着技術、エッチング技術などを組み合わせた技術を意味する。ナノファブリケーション技術はすでにICやLSI製造技術の1つとして確立されているため、従来のDNAチップのように小型化や製造工程の自動化が可能で、チップの大量生産や低コスト化につながる。
「ナノインプリンティング技術」なる用語は、ナノサイズのパターンのモールドを用いて、レジスト膜にパターンを転写する技術を意味し、レジストにモールドを圧接した後、光照射によりレジストを硬化させる光ナノインプリンティング技術;および、加熱により軟化させたレジストにモールドを圧接し、冷却によりレジストを硬化させる熱ナノインプリンティング技術を含む。
実施例6:原子間力顕微鏡による相互作用力の測定
今までに、ガングリオシドGM1とビブリオコレラ毒素のBサブユニットとの相互作用について多くの報告がなされているが、その正確な相互作用の力は調べられていなかった。さらに、相互作用に対するAサブユニットの寄与についてはほとんど報告されていない。したがって、ガングリオシドGM1とビブリオコレラ毒素のAおよびBサブユニットとの間の相互作用力の測定は、非常に意義がある。
原子間力顕微鏡(AFM)は操作が比較的簡単であり、多くの研究者がイメージングにAFMを用いているため、その技術は洗練されている。水平方向の解像度が高いので、小さなサンプルを観察することができ、均一性の悪い物質をマッピングすることができる。接触面積が小さなことも汚染や表面粗さの悪影響を排除する。AFMは、固体表面のイメージングに用いられるだけではなく、フォースカーブを測定するのにも用いることができる。このようなフォースカーブは、弾性、硬度、接着力、および表面電荷密度などの局所的物質特性の価値ある情報を提供する。この理由から、フォースカーブの測定は、表面科学、物質工学、生物学などの多様な分野で重要なものとなった。
初期段階では、原子間力測定技術は、表面および分子間力の正確な測定を可能にし、この分野での理解を向上させた。しかしながら、物質特性および装置の複雑性による制限のため、限定された系の研究しかされていなかった。
1994年、単一分子実験のための新たなタイプのAFM測定が投入された。単一ポリマー分子を引き延ばす力や単一結合を破壊する力は、以前測定されていたが、簡便さや正確性は当該分野を大いに刺激した。今日におけるAFM測定の主たる目的は、本質的に相互作用力を研究することにある。媒質を横切る2つの生体分子間の相互作用は生物学における基本的な問題のひとつである。
AFMを用いて原子間力を記録するには、カンチレバーに取り付けたプローブがサンプル表面との間の原子間力によって変位するため、カンチレバーのたわみをモニターする。ついで、カンチレバーのたわみからのデータを用いて、フォースカーブとして力を描写する(図24)。原子間力の測定は、対象とする生体分子表面の吸着水の吸着力を相殺するために液体中で行う。
図24に、フォースカーブの一例を示す。具体的には、基板上のある一点において、基板とプローブとの距離が十分離れた状態Aから、両者を接近させ状態B、状態Cへと移行させ、一定の距離または負荷力になったところで、基板とプローブとを離反させ、状態Dを通過し、状態Aに戻るサイクルにおいて、基板とプローブとの間の距離に対して、プローブへの負荷力をプロットする。
状態Aでは、基板とプローブ、すなわち、タンパク質と糖類とが十分に離れているため、プローブに負荷力は生じていない。両者を接近させていくと、状態Bにおいて、タンパク質と糖類とは接触していないが、引力が生じて、カンチレバーは下向きにたわむ。さらに両者を接近させていくと、斥力が生じ、距離に応じて負荷力は上昇し、カンチレバーは上向きにたわむ(状態C)。
基板とプローブとが十分に接近し、タンパク質と糖類とが確実に結合した状態から、今度は、基板とプローブとを離反させる。図24には描写されていないが、この実施例においては基板表面にタンパク質が固定化されているため、タンパク質と糖類とが確実に結合した状態で、基板とプローブとの間にまだ距離がある。
タンパク質と糖類とが確実に結合した状態は、別途、確認を行い、適当な距離または負荷力に達した時点で、基板とプローブとの離反を開始する。
基板とプローブとを離反させる過程において、タンパク質と糖類との結合により、プローブに負の負荷力が生じ、カンチレバーは下向きにたわむ(状態D)。さらに、基板とプローブとを離反させると、ある距離で、負荷力は急激に0となる。これは、タンパク質と糖類との結合が破断されたことを意味する。したがって、状態Dにおける最小の負荷力の絶対値を破断力Fと定義することができる。
基板上のある箇所で複数回、または、基板上の複数箇所で、複数の破断力Fを求め、複数の破断力を区分し、発生頻度のヒストグラムを作成する。このヒストグラムにガウス型ピーク解析を適用して、相互作用力を算出する。
(1)毒素AおよびBサブユニット間の相互作用力分析
SPRおよび電気化学分析と同様に、まず、ビブリオコレラ毒素AおよびBサブユニット間の相互作用のフォースカーブを得た。
Aサブユニットは、適当な間隔を作るために複数のリンカーを用いて金被覆カンチレバーのプローブ先端に共有結合させた(図25a)。一方、Bサブユニットは、ジチオビス(スクシンイミジルオクタノアート)をリンカーとして用いて金基板上に固定した(図25b)。
複数回測定したフォースカーブから破断力のヒストグラムを作成し、このヒストグラムにガウス型ピーク解析を適用して、相互作用力を算出した(図26)。
AおよびBサブユニット間の相互作用力は184.2±4.5pN(p<0.0001)となった。
この相互作用力は、他のリガンド−受容体間の相互作用力と同等であった(表1)。
Figure 0005219014
(2)毒素Bサブユニットおよび五糖類GM1間の相互作用力分析
つぎに、GM1SH2を金被覆カンチレバーのプローブ先端に固定化した。一方、Bサブユニットは、上記したように、ジチオビス(スクシンイミジルオクタノアート)をリンカーとして用いて金基板上に固定した。
糖類を金基板上に固定し、タンパク質をカンチレバーのプローブ先端に固定化することもできるが、タンパク質の結合部位を制御する観点から、タンパク質を金基板上に固定することが好ましい。
複数回測定したから破断力のヒストグラムを作成し、このヒストグラムにガウス型ピーク解析を適用して、相互作用力を算出した(図27)。
GM1SH2とBサブユニットとの間の相互作用力は、514.0±69.5pN(p<0.0001)となった。
このように、本発明の方法によれば、糖類を固体表面に直接固定化することができるので、糖類が関与する相互作用の力を測定することが可能となった。
従来のピリジルアミノ化反応 本発明による糖類へのチオール修飾プロセス 本発明によるグルコースへのチオール修飾プロセスの時間経過 本発明によるチオール修飾グルコースのNMRチャート 本発明によるチオール修飾グルコースのMALDI−TOFチャート 本発明によるチオール修飾グルコースの金表面固定化のSPRチャート セラミド部分を除去したガングリオシドGM1の化学構造 本発明によるGM1へのチオール修飾プロセスの時間経過 本発明によるチオール修飾グルコースのMALDI−TOFチャート 本発明によるチオール修飾グルコースのMALDI−TOFチャート SPR装置の構成を示す概略図 SPRの原理を示す概略図 ビブリオコレラ毒性タンパク質のX線結晶構造 ビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットとBサブユニットとの間の相互作用についてのSPR分析結果 ハイブリダイゼーションを示すボルタノメトリー結果:サイクリックボルタノグラム(a);矩形波ボルタノグラム(b) ビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットとBサブユニットとのハイブリダイゼーションを示すボルタノメトリー結果 ビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットとBサブユニットとのハイブリダイゼーションを示すボルタノメトリー結果 チオール修飾GM1の金基板上への結合を示すボルタノメトリー結果 チオール修飾GM1とビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットおよびBサブユニットとの相互作用の結果を示すボルタノメトリー結果 チオール修飾GM1とビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットおよびBサブユニットとの相互作用の結果を示すボルタノメトリー結果 本発明の糖類チップの上面図 本発明の糖類チップのバイオ分子アレイ領域の上面図 本発明のバイオ分子アレイ領域の断面図 AFMにより測定される典型的なフォースカーブ ビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットとBサブユニットとの間の相互作用についてのAFM分析のための構成を図示する概略図 ビブリオコレラ毒性タンパク質のAサブユニットとBサブユニットとの間の相互作用力のヒストグラム ビブリオコレラ毒性タンパク質のBサブユニット(B)と五糖類GM1(P)との間の相互作用力のヒストグラム

Claims (8)

  1. 還元糖を固体表面上に直接固定化する方法であって、
    一般式(I):R−CHO[式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分。]で示されるアルデヒド基を有する還元糖を、
    一般式(IIa):HN−X−SH
    [式中、Xは炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基。]で示されるアミノ基およびチオール基を分子内に有する化合物、または
    一般式(IIb):HN−Y−S−S−Z−NH
    [式中、YおよびZは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基。]で示されるアミノ基およびジスルフィド結合を分子内に有する化合物と20〜40℃にて反応させて、シッフ塩基を調製し、ついで、得られたシッフ塩基をボラン化合物の存在下、20〜40℃にて還元して、
    一般式(IIIa):R−CH−NH−X−SH
    [式中、RおよびXは、それぞれ、上記定義と同じである。]で示されるチオール修飾還元糖、または
    一般式(IIIb):R−CH−NH−Y−S−S−Z−NH−CH−R
    [式中、R、YおよびZは、それぞれ、上記定義と同じである。]で示されるジスルフィド修飾還元糖を調製し、ついで、
    一般式(IIIa)で示されるチオール修飾還元糖または一般式(IIIb)で示されるジスルフィド修飾還元糖を固体表面に接触させることを特徴とする方法。
  2. 前記ボラン化合物が、BH・HN(CH3) である請求項1記載の方法。
  3. 還元糖とタンパク質との間の相互作用力を測定する方法であって、
    一般式(IIIa):R−CH−NH−X−SH
    [式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分であって、Xは炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基である。]で示されるチオール修飾還元糖、または
    一般式(IIIb):R−CH−NH−Y−S−S−Z−NH−CH−R
    [式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分であって、YおよびZは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基である。]で示されるジスルフィド修飾還元糖を原子間力顕微鏡のカンチレバーのプローブ表面に固定化し、前記還元糖の部分との間の相互作用力を測定すべきタンパク質を固体基板に固定化し、還元糖固定化プローブとタンパク質固定化固体基板との距離を変化させつつ、フォースカーブを得、
    得られたフォースカーブから、前記還元糖の部分と前記タンパク質との間の結合の破断力を求め、前記破断力に基づき相互作用力を評価することを特徴とする方法。
  4. 前記カンチレバーのプローブ表面が金で被覆されている請求項3の方法。
  5. 1または複数の還元糖が固体表面上に直接固定化されているバイオチップであって、
    基板;
    前記基板上に形成された1または複数の電極配線;
    前記1または複数の電極配線を被覆する絶縁膜;および
    前記1または複数の電極配線の各々の一領域上の絶縁膜に、電極表面に達する1または複数の孔を設けることによって形成された1または複数のセンシング部を含み、
    ここに、前記1または複数の還元糖は
    一般式(IIIa):R−CH −NH−X−SH
    [式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分であって、Xは炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基である。]で示されるチオール修飾還元糖、または
    一般式(IIIb):R−CH −NH−Y−S−S−Z−NH−CH −R
    [式中、Rは、アルデヒド基を除く還元糖の部分であって、YおよびZは、同一または異なって、炭素数1〜3のアルキレン基またはフェニレン基である。]で示されるジスルフィド修飾還元糖であり、かつ、前記1または複数の還元糖は前記1または複数のセンシング部の底部に露出した電極配線の表面に直接固定化されていることを特徴とするバイオチップ。
  6. 少なくとも、作用電極、対極および参照電極を含むバイオセンサーであって、
    ここに、前記作用電極は、請求項5に記載のバイオチップであることを特徴とするバイオセンサー。
  7. 請求項6に記載のバイオセンサーの作用電極、対極および参照電極を、被検試料を含有しない対照溶液に浸漬し、前記作用電極を処理する前に、前記作用電極の第1の電気的信号を測定し;
    前記バイオセンサーの作用電極、対極および参照電極を、被検試料を含有する試験溶液に浸漬し、前記作用電極を被検試料で処理した後、前記作用電極の第2の電気的信号を測定し;次いで、
    第1の電気的信号と第2の電気的信号との強度差から、試験溶液中に存在する毒素タンパク質を検出する方法。
  8. 第1および第2の電気的信号が、酸化還元電流値である請求項7に記載の方法。
JP2006288952A 2006-10-24 2006-10-24 糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法 Expired - Fee Related JP5219014B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006288952A JP5219014B2 (ja) 2006-10-24 2006-10-24 糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006288952A JP5219014B2 (ja) 2006-10-24 2006-10-24 糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2008105978A JP2008105978A (ja) 2008-05-08
JP5219014B2 true JP5219014B2 (ja) 2013-06-26

Family

ID=39439633

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006288952A Expired - Fee Related JP5219014B2 (ja) 2006-10-24 2006-10-24 糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5219014B2 (ja)

Families Citing this family (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP6019944B2 (ja) * 2011-12-28 2016-11-02 逢坂 哲彌 糖化合物固定化半導体センシングデバイス及び生物学的物質の検出方法
JP2016105041A (ja) * 2013-03-07 2016-06-09 株式会社スディックスバイオテック 免疫性末梢神経障害症由来抗体を認識する組成物とその利用
US10024851B2 (en) * 2013-10-15 2018-07-17 International Business Machines Corporation Use of disulfide bonds to form a reversible and reusable coating for nanofluidic devices

Family Cites Families (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPH05340948A (ja) * 1992-06-09 1993-12-24 Toyobo Co Ltd 鶏卵抗体固定化担体およびその固定化方法
SE9301270D0 (sv) * 1993-04-19 1993-04-17 Biosensor
WO1998050773A2 (en) * 1997-05-08 1998-11-12 University Of Minnesota Microcantilever biosensor
JP4844920B2 (ja) * 2004-02-09 2011-12-28 独立行政法人産業技術総合研究所 糖脂質含有化合物、それを固定化したバイオセンサー、糖脂質含有微粒子、該微粒子を含む検出試薬および糖結合性化合物の検出方法
JP4258650B2 (ja) * 2004-10-15 2009-04-30 独立行政法人産業技術総合研究所 糖類修飾金属あるいは半導体微粒子
JP2006153831A (ja) * 2004-10-27 2006-06-15 Mitsubishi Chemicals Corp カンチレバーセンサ、センサシステム及び検体液中の検出対象物質の検出方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2008105978A (ja) 2008-05-08

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Palladino et al. Polydopamine: surface coating, molecular imprinting, and electrochemistry—successful applications and future perspectives in (bio) analysis
Sharifi et al. Cancer diagnosis using nanomaterials based electrochemical nanobiosensors
Chen et al. Organic electrochemical transistors for the detection of cell surface glycans
Pejcic et al. The role of biosensors in the detection of emerging infectious diseases
Zhang et al. Carbohydrate− protein interactions by “clicked” carbohydrate self-assembled monolayers
Sakata Biologically coupled gate field-effect transistors meet in vitro diagnostics
Sonawane et al. Surface modification chemistries of materials used in diagnostic platforms with biomolecules
Sharma et al. Label-free, highly sensitive electrochemical aptasensors using polymer-modified reduced graphene oxide for cardiac biomarker detection
Ding et al. Carbohydrate monolayer strategy for electrochemical assay of cell surface carbohydrate
Andreescu et al. Trends and challenges in biochemical sensors for clinical and environmental monitoring
Mrksich Mass spectrometry of self-assembled monolayers: a new tool for molecular surface science
Ertl et al. Electrochemical biosensor array for the identification of microorganisms based on lectin− lipopolysaccharide recognition
Reuel et al. Nanoengineered glycan sensors enabling native glycoprofiling for medicinal applications: towards profiling glycoproteins without labeling or liberation steps
Khan et al. Gold nanoparticle-based platforms for diagnosis and treatment of myocardial infarction
Kumbhat et al. Surface plasmon resonance biosensor for dopamine using D3 dopamine receptor as a biorecognition molecule
WO2009032901A1 (en) Biosensors and related methods
Pei et al. Photoderivatized polymer thin films at quartz crystal microbalance surfaces: sensors for carbohydrate− protein interactions
WO2007064355A2 (en) Carbon nanotube-based glucose sensor
KR20030045490A (ko) 전기화학식 면역 센서와 이를 이용한 생화학 시료검출장치 및 방법
Liu et al. Ultrasensitive and label-free detection of cell surface glycan using nanochannel-ionchannel hybrid coupled with electrochemical detector
Zheng et al. Electrochemical aptasensor of carcinoembryonic antigen based on concanavalin a-functionalized magnetic copper silicate carbon microtubes and gold-nanocluster-assisted signal amplification
Chen et al. Simple, clickable protocol for atomic force microscopy tip modification and its application for trace ricin detection by recognition imaging
Zhong et al. Recent advances in electrochemical aptasensors for detecting cardiac biomarkers: A review
Uygun et al. Fullerene based sensor and biosensor technologies
JP5219014B2 (ja) 糖類の直接的な表面固定化方法、糖類とタンパク質との間の相互作用を検出する方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20091022

A711 Notification of change in applicant

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711

Effective date: 20091022

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20091022

RD04 Notification of resignation of power of attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7424

Effective date: 20110927

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120821

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121011

RD13 Notification of appointment of power of sub attorney

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A7433

Effective date: 20121011

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821

Effective date: 20121011

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130219

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130226

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160315

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 5219014

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees