JP5218897B2 - チタン合金 - Google Patents
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Description
例えば、特許文献1では、チタン合金刃物としてロックウェル硬度49のβ型チタン合金を用いることが記されている。
ロックウェル硬度とビッカース硬度とは、試験方法が異なることから単純な比較はできないものの、一般にロックウェル硬度49は、Hv500程度であることが知られており、この特許文献1に記載されているチタン合金は、要望される硬度を十分に備えていないといえる。
このように、チタン合金単体との高硬度化が行われているが、結果としては、Hv530程度の硬度を限界としており、より高い硬度のものが要望されていることに対し、十分に応えるものとなっていない。
以上のように、刃物のごとく長期にわたり優れた硬度とすることが求められる用途において、従来は、多大な手間を必要とせず、長期にわたり優れた硬度を維持させ得るチタン合金を得ることが困難であるという問題を有している。
すなわち、本発明は、質量%でCr:6〜16%が含有され、Al:4%以上12%未満含有されており、任意添加元素としてSn:6%以下、Zr:12%以下を含み、含有されているAlの質量%をXAl、含有されているSnの質量%をXSn、含有されているZrの質量%をXZrとしたときに、XAl+(XSn/3)+(XZr/6)の値が7〜12%となり、残部がTiおよび不純物で、表面のマイクロビッカース硬さが550以上であることを特徴とするチタン合金を提供する。
また、本発明は、質量%でCr:6〜16%が含有され、Al:4%以上12%未満含有されており、任意添加元素としてSn:6%以下、Zr:12%以下を含み、含有されているAlの質量%をXAl、含有されているSnの質量%をXSn、含有されているZrの質量%をXZrとしたときに、XAl+(XSn/3)+(XZr/6)の値が7〜12%となり、さらに、V及びMoの内の少なくとも1種が含有され、含有されているV及びMoの総量が質量%で10%以下であり残部がTiおよび不純物で、表面のマイクロビッカース硬さが550以上であることを特徴とするチタン合金を提供する。
また、チタン合金中にセラミックス成分を形成させることなく高硬度とし得ることから多大な手間が必要となることを抑制し得る。
さらに、チタン合金自体が高い硬度を備えるため、長期にわたり優れた硬度を維持し得る。
本実施形態のチタン合金には、Cr:6〜16%が含有され、Al:4%以上12%未満含有されており、Sn:6%以下およびZr:12%以下の内の少なくとも一方が含有されており、含有されているAlの質量%をXAl、含有されているSnの質量%をXSn、含有されているZrの質量%をXZrとしたときに、XAl+(XSn/3)+(XZr/6)の値が6〜12%となり、残部がTiおよび不純物からなる。
これら元素からなるチタン合金は、溶体化処理、時効処理などの熱処理を施されることにより高い硬度のチタン合金とすることができる。
なお、チタン合金の軽量性を維持しうる点、偏析の生成を抑制し得る点ならびに熱間加工性の低下を抑制し得る点からCrは、8〜14%の含有量とされるのが好ましい。
なお、固溶強化を促進させつつ、加工性の低下を抑制し得る点において、XAl+(XSn/3)+(XZr/6)の値が、7〜11%のいずれかとなるようにAl及び、SnとZrとの内の少なくとも一方が含有されていることが好ましい。
なお、チタン合金の軽量性を維持しうる点、偏析の生成を抑制し得る点ならびに熱間加工性の低下を抑制し得る点からV、Mo、Nb、Ta、W、Fe、Ni、Cuは、総量で10%未満の含有量とさせるのが好ましい。
また、製品の形状を形成した後に、溶体化処理、時効処理を施すのではなく、溶体化処理後に、冷延加工または熱延加工により製品の形状を形成して、時効処理を行うことで時効処理の時間を短縮させて、より生産性の高いものとなる。
特に、溶体化処理後に、冷延加工により製品の形状を形成して、時効処理を行った場合には、時効処理の時間をより短縮させ得ることからさらに優れた生産性を有するものとなる。
実験1:(実施例1〜10、比較例1〜2)
表1に示す組成比となるよう原料を配合し、非消耗電極式Arアークボタン溶解炉を用いて、重さ約200gの鋳塊を溶製した。
次いで、1050℃の温度で15分間溶体化処理した後、氷水中にて急冷を行い、大きさ約10mm厚さ×15mm幅×20mm長さの試料を作製した。
該急冷した試料を400℃×24時間、400℃×168時間、500℃×4時間の3通りで時効処理を行い、各時効処理後の試料を樹脂埋めして表面研磨し、該研磨された表面の5箇所をマイクロビッカース硬度計(明石製作所社製、型名「MHK−100」)を用いて荷重1kgでの硬度測定を行い、平均値を求めた。結果を表1に示す。
表2に示す組成比となるよう原料を配合し、実験1と同様に、大きさを5mm厚さ×25mm幅×75mm長さの試料を作製した。
得られた、試料を、厚さ減少率60%の冷間圧延を行った後、400℃×4時間、400℃×24時間、400℃×168時間の3通りで時効処理を行い、実験例1と同様に硬度測定を行った。結果を表2に示す。
表3に示す組成比となるよう原料を配合し、実験1と同様にして得られた、質量200g、厚さ10mmの試料を作製し溶体化処理試料1とした。次いで、溶体化処理後試料1を1050℃の温度で4mm厚さ(厚さ減少率60%)まで熱間圧延し、急冷して熱延試料とした。
また、該熱延後試料を再び1000℃×30分間の溶体化処理し溶体化処理試料2とした。次いで、溶体化処理試料2の表面のスケールを除去して3mm厚さの試料を作製し冷間圧延により0.5mm厚さ(厚さ減少率83%)の冷延試料とした。
溶体化処理後試料1、熱延試料、溶体化処理試料2、冷延試料のそれぞれを400℃×4時間、400℃×24時間、400℃×168時間の3通りで時効処理を行い、実験例1と同様に硬度測定を行った。結果を表3に示す。
また、表3の結果から、溶体化処理後、時効処理前に冷延加工又は熱延加工を実施することで溶体化処理後に時効処理する場合に比べて、短い時効処理時間で高硬度のものとなり、例えば、これらのチタン合金を用いて製品を製造する場合に、より生産性の高いものとし得ることがわかる。
Claims (3)
- 質量%でCr:6〜16%が含有され、Al:4%以上12%未満含有されており、任意添加元素としてSn:6%以下、Zr:12%以下を含み、含有されているAlの質量%をXAl、含有されているSnの質量%をXSn、含有されているZrの質量%をXZrとしたときに、XAl+(XSn/3)+(XZr/6)の値が7〜12%となり、残部がTiおよび不純物で、表面のマイクロビッカース硬さが550以上であることを特徴とするチタン合金。
- 質量%でCr:6〜16%が含有され、Al:4%以上12%未満含有されており、任意添加元素としてSn:6%以下、Zr:12%以下を含み、含有されているAlの質量%をXAl、含有されているSnの質量%をXSn、含有されているZrの質量%をXZrとしたときに、XAl+(XSn/3)+(XZr/6)の値が7〜12%となり、さらに、V及びMoの内の少なくとも1種が含有され、含有されているV及びMoの総量が質量%で10%以下であり残部がTiおよび不純物で、表面のマイクロビッカース硬さが550以上であることを特徴とするチタン合金。
- 請求項1又は2に記載のチタン合金を用いた、チタン合金製品の製造方法であって、
溶体化処理後、時効処理前に冷延加工又は熱延加工を実施することを特徴とするチタン合金製品の製造方法。
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