JP5212883B2 - 酸素吸収性樹脂、酸素吸収性樹脂組成物及び酸素吸収性容器 - Google Patents
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Description
プラスチック容器は、金属容器やガラス容器と比べると、酸素バリア性が劣るため、容器内に充填された内容物の化学的酸化や好気性菌による品質低下が問題になる。
これを防止するために、プラスチック容器の中には容器壁を多層構造とし、少なくとも一層を酸素バリア性に優れている樹脂、例えば、エチレン−ビニルアルコール共重合体の層を設けているものがある。さらには、容器内部に残存する酸素及び容器外部から侵入してくる酸素を除去するために、酸素吸収層を設けた容器がある。酸素吸収層に用いられる酸素吸収剤(脱酸素剤)には、例えば、鉄粉等の還元性物質を主剤とするもの(特許文献1参照。)がある。
また、樹脂系の酸素吸収性材料として、炭素−炭素不飽和結合を有する樹脂と遷移金属触媒を含む酸素吸収性樹脂組成物(特許文献2〜4参照。)、及び環状オレフィン(シクロヘキセン)構造と遷移金属触媒(特にCo塩)を含む酸素吸収性樹脂組成物(特許文献5及び6参照。)が開示されている。しかしながら、前者は酸素吸収に伴う分子鎖切断により低分子量の有機成分が臭気成分として発生するという問題がある。また、後者は、酸素吸収部位が環構造であるために、前者における低分子量の臭気成分の発生をある程度抑制することができるが、遷移金属触媒(Co塩)を使用しているために、想定した酸素吸収部位以外での反応も生じ易く、その結果分解成分物が発生する。
また、本発明は前記酸素吸収性樹脂を含む酸素吸収性樹脂組成物を提供する。
さらに、本発明は前記酸素吸収性樹脂及び酸素吸収性樹脂組成物からなる酸素吸収層を有することを特徴とする酸素吸収性容器を提供する。
本発明において、不飽和脂環構造は、環内に複素原子を含む複素環構造であってもよい。また、単環式又は多環式のいずれであってもよく、多環式の場合、電子供与性置換基と結合している炭素原子を含まない環は芳香環であってもよい。不飽和脂環構造は、好ましくは3〜12員単環又は多環構造であり、より好ましくは5又は6員単環構造であり、さらに好ましくは6員単環構造である。特に、6員環構造はエネルギー的に安定であり、合成も容易であることから本発明の樹脂構造として好ましい。
例えば、前記不飽和脂環構造を含むヒドロキシカルボン酸を原料とするポリエステルは、前記不飽和脂環構造の比率を高く制御できるため好ましい。ヒドロキシカルボン酸としては、例えば6−ヒドロキシ−cis−2−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸、5−ヒドロキシ−cis−2−メチル−3−シクロヘキセンカルボン酸、2−ヒドロキシ−cis−5−メチル−3−シクロペンテンカルボン酸が挙げられる。このとき、単独重合体中の前記不飽和脂環構造の比率は、それぞれ7.2、7.2、8.1meq/gである。なお、前記不飽和脂環構造の比率は、例えばNMRにより求めることができる。
本発明の樹脂には、前記不飽和脂環構造以外に、他の脂環構造を含んでいても良く、また、他の脂環構造内に、前記不飽和脂環構造に含まれない比較的反応性の低いアリル水素を含んでいても良い。この様な樹脂構造の場合、前記不飽和脂環構造で発生したラジカルの連鎖移動により、比較的反応性の低い脂環内アリル水素が活性化され、酸素吸収性能が向上することがあるため好ましい。
本発明の酸素吸収性樹脂としては、例えば前記不飽和脂環構造が任意の結合基を介して連結した繰り返し構造を含む樹脂、及び前記不飽和脂環構造が任意の結合基を介してポリマー主鎖に結合したペンダントタイプの樹脂等が挙げられる。
前記不飽和脂環構造が任意の結合基を介してポリマー主鎖に結合したペンダントタイプの樹脂としては、例えばエチレン系、エステル系、アミド系、エーテル系等のポリマー鎖に、エステル結合、アミド結合、エーテル結合、ウレタン結合等の複素原子を含む官能基から誘導される結合基を介して前記不飽和脂環構造が結合した樹脂等が挙げられる。
本発明の酸素吸収性樹脂の数平均分子量は、好ましくは1000〜1000000であり、より好ましくは2000〜200000である。上記範囲内の数平均分子量の場合には、加工性及び耐久性に優れたフィルムを形成することができる。
本発明の酸素吸収性樹脂は、単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
本発明における酸素吸収性樹脂としては、好ましくは不飽和脂環構造内の炭素−炭素2重結合に隣接する炭素原子が電子供与性置換基及び水素原子と結合し、かつ、該炭素原子に隣接する別の炭素原子が複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基と結合しており、該電子供与性置換基と複素原子を含む官能基又は該官能基から誘導される結合基とがシス位に位置しているテトラヒドロフタル酸誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸誘導体を原料として含む重縮合ポリマーであり、より好ましくは、該誘導体はcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸又はその誘導体、若しくはcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸又はその誘導体である。さらに好ましくはcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロフタル酸又はcis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸である。これらは、容易に合成できるため、工業的な使用を考慮すると特に好ましい原料である。
本発明の前記ポリエステルは、テトラヒドロフタル酸誘導体又はテトラヒドロ無水フタル酸誘導体とジオール成分との反応により製造することができる。ジオール成分としては、例えばエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、トリメチレングリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、2−フェニルプロパンジオール、2−(4―ヒドロキシフェニル)エチルアルコール、α,α―ジヒドロキシ−1,3−ジイソプロピルベンゼン、o−キシレングリコール、m−キシレングリコール、p−キシレングリコール、α,α―ジヒドロキシ−1,4−ジイソプロピルベンゼン、ヒドロキノン、4,4−ジヒドロキシジフェニル、ナフタレンジオール、又はこれらの誘導体等が挙げられる。好ましくは、脂肪族ジオール、例えばジエチレングリコール、トリエチレングリコール、1,4−ブタンジオールであり、さらに好ましくは、1,4−ブタンジオールである。1,4−ブタンジオールを用いた場合は、樹脂の酸素吸収性能が高く、更に酸化の過程で生じる分解物の量も少ない。
これらは、単独、又は、2種類以上を組み合わせて使用できる。また、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール等の3個以上の水酸基を有する多価アルコールを少量添加しても良い。
また、モノマー成分として、グリコール酸、乳酸、ヒドロキシピバリン酸、ヒドロキシカプロン酸、ヒドロキシヘキサン酸等のヒドロキシカルボン酸及びこれらのヒドロキシカルボン酸エステルや、グリコリド、ラクチド等の環状エステル、又はε−カプロラクトン等のラクトン類を加えることもできる。
重合触媒は必ずとも必要としないが、チタン系、ゲルマニウム系、アンチモン系、スズ系、アルミニウム系等の通常のポリエステル重合触媒が使用可能である。また、含窒素塩基性化合物、ホウ酸及びホウ酸エステル、有機スルホン酸系化合物等の公知の重合触媒を使用することもできる。
さらに、重合の際にはリン化合物等の着色防止剤や酸化防止剤等の各種添加剤を添加することもできる。酸化防止剤を添加することにより、重合中やその後の成形加工中の酸素吸収を抑制できるため、酸素吸収性樹脂の性能低下を抑えることができる。
前記ポリエステル樹脂は、押出成形や射出成形等の溶融加工用樹脂としてだけではなく、適当な溶剤に溶解させて塗料として使用することもできる。塗料として使用する場合には、例えばイソシアネート系硬化剤を配合して、2液硬化型ドライラミネート用接着剤として使用することもできる。
前記のエステル交換反応によるコポリマー化は、例えば反応押出法により容易に達成することができるため好ましい。
他にも、前記ポリエステルはポリエチレングリコール等のポリエーテルやポリアミド、酸変性ポリオレフィン等、末端や側鎖に反応性官能基を有する樹脂との反応により、コポリマー化することもできる。
例えば、低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、線状超低密度ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ−1−ブテン、ポリ−4−メチル−1−ペンテン、或いはエチレン、プロピレン、1−ブテン、4−メチル−1−ペンテン等のα−オレフィン同士のランダム又はブロック共重合体、環状ポリオレフィンポリマー(COP)、環状オレフィンコポリマー(COC)等のポリオレフィン、無水マレイン酸グラフトポリエチレンや無水マレイン酸グラフトポリプロピレン等の酸変性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体、エチレン−塩化ビニル共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体やそのイオン架橋物(アイオノマー)、エチレン−メタクリル酸メチル共重合体等のエチレン−ビニル化合物共重合体、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体、α−メチルスチレン−スチレン共重合体等のスチレン系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のポリビニル化合物、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン12、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)等のポリアミド、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリトリメチレンテレフタレート(PTT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、グリコール変性ポリエチレンテレフタレート(PETG)、ポリエチレンサクシネート(PES)、ポリブチレンサクシネート(PBS)、ポリ乳酸、ポリグリコール酸、ポリカプロラクトン、ポリヒドロキシアルカノエート等のポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレンオキサイド等のポリエーテル等或いはこれらの混合物等が挙げられる。
好ましくは、前記熱可塑性樹脂はポリエチレンであり、特に、低密度ポリエチレンが好ましい。より好ましくは、エチレンと1-アルケンを共重合した線状低密度ポリエチレンである。前記酸素吸収性樹脂と線状低密度ポリエチレンをブレンドして成形したフィルム及びシートは、耐衝撃性に優れる。前記1-アルケンとして、1-プロピレン、1-ブテン、1-ペンテン、1-ヘキセン、1−オクテン及びこれらの混合物を用いることができる。
共重合する1-アルケンは、好ましくは2〜30重量%であり、より好ましくは2〜20重量%である。
エチレンと1-アルケンとの共重合においては、従来からのチーグラーナッタ触媒あるいはシングルサイト触媒でも所望の分子構造を有する共重合体が得られるものであれば適宜選択することができる。特に、シングルサイト触媒を用いて重合することにより、確実に各分子量成分に亘って共重合組成比の変動を抑制することができる。その結果、分子構造が均一となり、酸素吸収性樹脂のラジカル連鎖移動のために熱可塑性樹脂の酸化が誘発される場合にも、酸化が各分子鎖間で均一に進行し、その結果分子切断による分解物の発生を抑制することができるため、好ましい。好適な触媒としては、メタロセン系触媒が挙げられる。他の触媒としてはポストメタロセン系触媒に位置づけられるオレフィン重合用触媒、特にフェノキシイミン触媒(FI触媒)が好適である。
これらの樹脂は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
また、前述した樹脂のシングルサイト触媒による重合は、工業的に可能な方法であればどのような方法でも良いが、最も広く使用されている点から液相法で行うのが好ましい。
前記熱可塑性樹脂は単独で用いてもよく、また2種以上組み合わせて用いてもよい。
酸素吸収性樹脂組成物中の前記不飽和脂環構造の比率は、好ましくは0.5〜10meq/gである。より好ましくは、0.7〜7.5meq/gであり、さらに好ましくは0.9〜4.5meq/gであり、1.3〜2.5meq/gであるのが特に好ましい。上記範囲内の場合には、実用的な酸素吸収性能を有し、且つ酸素吸収後も色相の変化や強度低下の少ない酸素吸収性樹脂組成物が得られる。
ラジカル開始剤及び光増感剤としては、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル等のベンゾイン及びそのアルキルエーテル類;アセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、2,2−ジエトキシ−2−フェニルアセトフェノン、1,1−ジクロロアセトフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ−プロパン−1−オン等のアセトフェノン類;2−メチルアントラキノン、2−アミルアントラキノン等のアントラキノン類;2,4−ジメチルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン等のチオキサントン類、アセトフェノンジメチルケタール、ベンジルジメチルケタール等のケタール類;ベンゾフェノン等のベンゾフェノン類又はキサントン類等の一般に光開始剤として知られているものが使用される。かかる光ラジカル開始剤は、安息香酸系又は第三級アミン系等、公知慣用の光重合促進剤の一種又は二種以上と組み合わせて用いることができる。
その他の添加剤としては、充填剤、着色剤、耐熱安定剤、耐候安定剤、酸化防止剤、老化防止剤、光安定剤、紫外線吸収剤、帯電防止剤、金属セッケンやワックス等の滑剤、改質用樹脂又はゴム等の添加剤が挙げられ、それ自体公知の処方に従って添加することができる。例えば、滑剤を配合することにより、スクリューへの樹脂の食い込みが改善される。滑剤としてはステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム等の金属石ケン、流動、天然又は合成パラフィン、マイクロワックス、ポリエチレンワックス、塩素化ポリエチレンワックス等の炭化水素系のもの、ステアリン酸、ラウリン酸等脂肪酸系のもの、ステアリン酸アミド、バルミチン酸アミド、オレイン酸アミド、エシル酸アミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の脂肪酸モノアミド系又はビスアミド系のもの、ブチルステアレート、硬化ヒマシ油、エチレングリコールモノステアレート等のエステル系のもの、及びそれらの混合系が一般的に用いられる。
本発明の酸素吸収性容器を構成する酸素吸収層以外の層は、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、金属等の無機材料或いは紙等から、その使用態様や要求される機能により適宜選択できる。例えば、上述の本発明の酸素吸収性樹脂に配合できる熱可塑性樹脂の一例として列挙した熱可塑性樹脂、金属箔、無機蒸着フィルムを挙げることができる。
本発明の酸素吸収性容器においては、酸素吸収性樹脂或いは酸素吸収性樹脂組成物の効果をより高めるために、少なくとも酸素吸収層の外側には酸素バリア層を設けることが好ましい。このような構成にすることにより、外部から容器内に透過する酸素及び容器内に残存した酸素を効果的に吸収し、容器内の酸素濃度を長期間にわたって低く抑えることができる。
酸素バリア層には酸素バリア性樹脂を使用することができる。酸素バリア性樹脂としては、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)を挙げることができる。例えば、エチレン含有量が20〜60モル%、好ましくは、25〜50モル%であるエチレン−酢酸ビニル共重合体を、ケン化度が96モル%以上、好ましくは、99モル%以上となるようにケン化して得られる共重合体ケン化物が使用される。酸素バリア性樹脂の他の例としては、ポリメタキシリレンアジパミド(MXD6)、ポリグリコール酸等を挙げることができる。また、上記の酸素バリア性樹脂や他のポリアミド樹脂等に、モンモリロナイト等の無機層状化合物等を配合したナノコンポジット材も好適に使用できる。
金属薄膜を構成する材料としては、鉄、アルミニウム、亜鉛、チタン、マグネシウム、錫、銅、珪素等が挙げられ、特にアルミニウムが好ましい。
金属酸化物薄膜を構成する材料としては、シリカ、アルミナ、酸化ジルコニウム、酸化チタン、酸化マグネシウムなどが挙げられ、特にシリカとアルミナが好ましい。なお、用いられる材料は2種以上を併用してもよく、同種或いは異種材料で積層されていてもよい。
このような薄膜の蒸着は、例えば、真空蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法、レーザーアブレーション等の物理気相成長法(PVD法)、或いはプラズマ化学気相成長法、熱化学気相成長法、光化学気相成長法等の化学気相成長法(CVD法)等の公知の方法によって行われる。
酸素バリアコーティングを構成する材料としては、ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸、ポリアリルアミン、ポリアクリルアミド、多糖類等の高水素結合性樹脂や、塩化ビニリデン系樹脂、エポキシアミン等が挙げられる。またこれらの材料に、モンモリロナイト等の無機層状化合物等を配合することも好ましい。
また、本発明の酸素吸収性容器として、上述の酸素バリア性樹脂に酸素吸収性樹脂及び酸素吸収性樹脂組成物を配合した酸素吸収性バリア層を有するものも好ましい。この場合、必ずしも他に酸素バリア単独層および酸素吸収単独層を設ける必要が無いため、層構造を単純化できる。
例えば、樹脂の種類に応じた数の押出機を用いて、多層多重ダイを用いて押出成形を行うことで多層フィルム、多層シート、多層パリソン又は多層パイプ等が成形できる。また、樹脂の種類に応じた数の射出成形機を用いて、同時射出法や逐次射出法等の共射出成形によりボトル成型用の多層プリフォームを製造することができる。このような多層フィルム、パリソン、プリフォームをさらに加工することにより、酸素吸収性多層容器を得ることができる。
フィルム等の包装材料は、種々の形態のパウチや、トレイ・カップの蓋材として用いることができる。パウチとしては、例えば、三方又は四方シールの平パウチ類、ガセット付パウチ類、スタンディングパウチ類、ピロー包装袋等が挙げられる。製袋は公知の製袋法で行うことができる。また、フィルム又はシートを、真空成形、圧空成形、張出成形、プラグアシスト成形等の手段に付することにより、カップ状、トレイ状等の包装容器が得られる。
多層フィルムや多層シートの製造には、押出コート法や、サンドイッチラミネーションを用いることができる。また、予め形成された単層及び多層フィルムをドライラミネーションによって積層することもできる。例えば、熱可塑性樹脂層/酸素吸収層/熱可塑性樹脂(シーラント)層から成る3層共押出フィルムに透明蒸着フィルムをドライラミネーションにより積層する、ドライラミネートにより積層した2軸延伸PETフィルム/アルミ箔の2層フィルムに酸素吸収層/シーラント層の2層をアンカー剤を介して押出コートする、又はドライラミネートにより積層したバリアコーティングフィルム/ポリエチレンの2層フィルムにポリエチレン単層フィルムをポリエチレンベースの酸素吸収性樹脂組成物を介してサンドイッチラミネーションする方法等が挙げられるが、これらに限定されるものではない。
本発明の酸素吸収性容器は、容器壁を介して外部から透過してくる酸素を有効に遮断し、容器内に残存した酸素を吸収する。そのため、容器内の酸素濃度を長期間低いレベルに保ち、内容物の酸素が係わる品質低下を防止し、シェルフライフを向上させる容器として有用である。
特に、酸素存在下で劣化しやすい内容品、例えば、食品ではコーヒー豆、茶葉、スナック類、米菓、生・半生菓子、果物、ナッツ、野菜、魚・肉製品、練り製品、干物、薫製、佃煮、生米、米飯類、幼児食品、ジャム、マヨネーズ、ケチャップ、食用油、ドレッシング、ソース類、乳製品等、飲料ではビール、ワイン、フルーツジュース、緑茶、コーヒー等、その他では医薬品、化粧品、電子部品等が挙げられるが、これらの例に限定されない。
(1)原料中のメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体の組成比
核磁気共鳴分光法(1H−NMR、日本電子データム社製;EX270)により、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸由来のメチルプロトン(1.35〜1.4ppm)、trans−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸由来のメチルプロトン(1.25〜1.3ppm)、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸由来のメチルプロトン(1.8ppm)のシグナルの面積比から原料中のメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体の組成比をそれぞれ算出した。溶媒には基準物質としてテトラメチルシランを含む重クロロホルムを使用した。
(2)数平均分子量(Mn)及び分子量分布指数(Mw/Mn)
ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー社製;HLC−8120型GPC)により、ポリスチレン換算で測定した。溶媒にはクロロホルムを使用した。
(3)コポリエステル樹脂中の各モノマー単位の組成比
核磁気共鳴分光法(1H−NMR、日本電子データム社製;EX270)により、テレフタル酸由来のベンゼン環プロトン(8.1ppm)、イソフタル酸由来のベンゼン環プロトン(8.7ppm)、テレフタル酸及びイソフタル酸から誘導されたエステル基に隣接するメチレンプロトン(4.3〜4.4ppm)、メチルテトラヒドロ無水フタル酸から誘導されたエステル基に隣接するメチレンプロトン(4.1〜4.2ppm)、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸由来のメチルプロトン(1.05〜1.1ppm)、trans−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸由来のメチルプロトン(1.1〜1.15ppm)、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸由来のメチルプロトン(1.6〜1.65ppm)のシグナルの面積比から樹脂中の酸成分の組成比をそれぞれ算出した。溶媒には基準物質としてテトラメチルシランを含む重クロロホルムを使用した。
このとき、樹脂中の酸成分の組成比は、重合に使用した各モノマーの仕込み量(モル比)とほぼ同等であった。
(4)酸素吸収量
切り出した試験片を、内容積85cm3の酸素不透過性のスチール箔積層カップに仕込んでアルミ箔積層フィルム蓋でヒートシール密封し、22℃雰囲気下にて保存した。一定時間保存後のカップ内酸素濃度をマイクロガスクロマトグラフ装置(アジレント・テクノロジー社製;M200)にて測定し、試験片1cm2当たりの酸素吸収量を算出した。
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸(東京化成社製)を24.0g、その他のモノマーとしてテレフタル酸(和光純薬社製)を24.0g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を52.1g、重合触媒として、イソプロピルチタナート(キシダ化学社製)を0.030g、及びトルエン10mlを、それぞれ仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約6時間反応させた。引き続いて反応系よりトルエンを除いた後、最終的に0.1kPaの減圧下、200℃で約6時間重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Aを得た。このときMnは約6700で、Mw/Mnは6.6であった。
得られた樹脂Aを、200℃のホットプレスにて平均厚み約270μmのシート状に成形して20cm2の試験片を切り出し、酸素吸収量の評価に供した。結果を表1に示す。
その他のモノマーとしてテレフタル酸を21.6g、イソフタル酸(和光純薬社製)を2.4g、1,4−ブタンジオール(和光純薬社製)を52.1gとした以外は実施例1と同様に重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Bを得た。このときMnは6600で、Mw/Mnは6.5であった。
得られた樹脂Bを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸24.0gの代わりに、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を6.2g、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸(東京化成社製)を17.8gとした以外は実施例1と同様に重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Cを得た。このときMnは4500で、Mw/Mnは6.0であった。
得られた樹脂Cを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸24.0gの代わりに、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を8.2g、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を15.8gとした以外は実施例1と同様に重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Dを得た。このときMnは4600で、Mw/Mnは6.0であった。
得られた樹脂Dを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を38.4g、その他のモノマーとしてテレフタル酸を9.6gとした以外は実施例1と同様に重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Eを得た。このときMnは4800で、Mw/Mnは6.2であった。
得られた樹脂Eを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸24.0gの代わりに、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を24.0gとした以外は実施例1と同様に重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Fを得た。このときMnは約6500で、Mw/Mnは6.4であった。
得られた樹脂Fを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸24.0gの代わりに、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を20.6%、trans−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を48.0%、4−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を31.4%含有するメチルテトラヒドロ無水フタル酸異性体混合物(日立化成社製;HN−2000)を24.0gとした以外は実施例1と同様に重合を行い、ゴム状のコポリエステル樹脂Gを得た。このときMnは約7000で、Mw/Mnは7.7であった。
得られた樹脂Gを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
攪拌装置、窒素導入管、Dean−Stark型水分離器を備えた500mlのセパラブルフラスコに、cis−3−メチル−Δ4−テトラヒドロ無水フタル酸を48.0g、その他のモノマーとして1,4−ブタンジオールを52.1g、重合触媒として、イソプロピルチタナートを0.030g、及びトルエン10mlを、それぞれ仕込み、窒素雰囲気中150℃〜200℃で生成する水を除きながら約6時間反応させた。引き続いて反応系よりトルエンを除いた後、最終的に0.1kPaの減圧下、200℃で約6時間重合を行い、ゴム状のポリエステル樹脂Hを得た。このときMnは約2800で、Mw/Mnは8.0であった。
得られた樹脂H10gとポリブチレンテレフタレートコポリマー(PBT、ポリプラスチックス社製;ジュラネックス600LP)10gを、攪拌装置を備えた反応容器内にて0.2kPa以下の減圧下、200℃〜240℃で約1時間加熱攪拌してエステル交換反応により共重合し、固体状のコポリエステル樹脂Iを得た。このときMnは約9000で、Mw/Mnは2.9であった。
得られた樹脂Iを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
実施例6で得られた樹脂H10gとポリブチレンサクシネート(PBS、三菱化学社製;GS−PLa)10gを、攪拌装置を備えた反応容器内にて0.2kPa以下の減圧下、200℃〜240℃で約0.5時間加熱攪拌してエステル交換反応により共重合し、固体状のコポリエステル樹脂Jを得た。このときMnは約6800で、Mw/Mnは2.7であった。
得られた樹脂Jを、実施例1と同様の評価に供した。結果を表1に示す。
樹脂A50重量部と熱可塑性樹脂としてメタロセン系線状低密度ポリエチレン(m−LLDPE、宇部丸善ポリエチレン社製;ユメリット140HK)樹脂50重量部を、ラボラトリーミキシングエクストルーダー(東洋精機製作所社製;CS−194AV)を用いて200℃で溶融混錬し、樹脂組成物1を得た。
得られた樹脂組成物1を、200℃のホットプレスにて平均厚み約60μmのフィルム状に成形して20cm2の試験片を切り出し、酸素吸収量の評価に供した。結果を表2に示す。
樹脂A50重量部と熱可塑性樹脂として低密度ポリエチレン(LDPE、住友化学社製;L705)樹脂50重量部を用いた以外は実施例8と同様の処理を行い樹脂組成物2を得た。
得られた樹脂組成物2を、実施例8と同様の評価に供した。結果を表2に示す。
実施例1で得られた樹脂Aを、200℃のホットプレスにて平均厚み約60μmのフィルム状に成形した。得られたフィルムを、2液型ウレタン系接着剤(武田薬品工業社製;タケラックA−315+タケネートA−50)を用いて、予め片面にコロナ処理を施したLDPEフィルム(タマポリ社製;V−1)のコロナ処理面と貼り合わせた後、窒素雰囲気中37℃で3日間キュアして樹脂A/LDPEの2層フィルムを得た。さらに、2層フィルムの樹脂A側に12μm透明蒸着二軸延伸ポリエチレンテレフタレート(PET)フィルム(凸版印刷社製;GL−AE)の蒸着面を熱ラミネーションにより貼り合わせることにより酸素吸収性積層フィルムを得た。
得られた積層フィルムを、LDPE層が対向するように重ね合わせ、4辺をヒートシールすることにより有効面積80cm2、内容積15mlの透明平パウチを得た。この平パウチを22℃で保存し、容器内酸素濃度をマイクロガスクロマトグラフ装置(アジレント・テクノロジー社製;M200)にて追跡した。結果を表3に示す。
実施例8で得られた樹脂組成物1を、200℃のホットプレスにて平均厚み約60μmのフィルム状に成形し、実施例10と同様の酸素吸収性積層フィルムとした後、同様の平パウチを作成して容器内酸素濃度を追跡した。結果を表3に示す。
Claims (9)
- cis−3−メチル−Δ 4 −テトラヒドロフタル酸又はその誘導体、若しくはcis−3−メチル−Δ 4 −テトラヒドロ無水フタル酸又はその誘導体であるモノマーを含む原料を重合して得ることができる酸素吸収性樹脂であって、該モノマー中の不飽和脂環構造が0.5〜10meq/g含まれている酸素吸収性樹脂を含む酸素吸収層を有する酸素吸収性容器。
- 酸素吸収性樹脂が、フタル酸又はその誘導体を含むモノマーと共重合して得られるコポリエステルである、請求項1に記載の酸素吸収性容器。
- フタル酸又はその誘導体がテレフタル酸を含む、請求項2に記載の酸素吸収性容器。
- フタル酸又はその誘導体がテレフタル酸とイソフタル酸を含む、請求項3に記載の酸素吸収性容器。
- 前記酸素吸収層が熱可塑性樹脂を含む請求項1〜4のいずれか1項に記載の酸素吸収性容器。
- 前記熱可塑性樹脂がポリエチレンである、請求項5に記載の酸素吸収性容器。
- 前記ポリエチレンが線状低密度ポリエチレンである、請求項6に記載の酸素吸収性容器。
- 前記酸素吸収層が酸化触媒としての遷移金属塩を含有しない、請求項1〜7のいずれか1項に記載の酸素吸収性容器。
- 酸素吸収層の外側に酸素バリア層を有する請求項1〜8のいずれか1項に記載の酸素吸収性容器。
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