JP5205841B2 - 仮撚加工糸およびその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ポリトリメチレンテレフタレートを主たる繰り返し単位とするポリエステル成分を含む単繊維で構成された仮撚加工糸およびその製造方法に関するものである。
今日、機能性、取り扱い易さおよびファッション性に優れるという優位性から、衣料用を始め、インテリア分野のシート材全般に、ポリエステル繊維が主流に活用されている。このポリエステル繊維主流の時代がさらに継続され、技術改善と発展が続くことは疑いのないところである。
しかしながら、近年、地球環境保全の問題から、リサイクル化への取り組み強化、石油系合成繊維からの脱却が叫ばれ、産業の中心である自動車業界においても率先してこれに取り組む姿勢が見られている。繊維業界においても、自然栽培−還元型へ転換できうる材料への対応が必須となってきている。
上記背景から、将来に向けてポリ乳酸繊維やポリトリメチレンテレフタレート繊維が提案され、実用化まで進んできている。ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、繊維のヤング率が低く、パイル布帛などの布帛とした場合に、非常にソフトな風合いを有する素材となる。また、耐光性や耐摩耗性という点においても優れた素材として位置づけされている。
このようなパイル布帛に使用される繊維として、例えば、ポリトリメチレンテレフタレートの2ヒーター仮撚加工糸が提案されている(例えば、特許文献1、2参照)。しかしながら、ポリトリメチレンテレフタレートの2ヒーター仮撚加工糸では、乾熱による捲縮発現が大きく、ソフト感が不足した素材となり、特にパイル長の長い高級感のある布帛が得られない。また、その強度が不十分であり、規格の厳しいカーシートなどの資材用途としては、布帛規格を満足できないものとなる。
上記のようなポリトリメチレンテレフタレート素材の欠点を改善し、従来のポリエステルの取り扱い性を取り込んだ素材として、ポリトリメチレンテレフタレートとポリエチレンテレフタレートを芯鞘型に複合した素材が提案されている(例えば、特許文献3参照)。しかし、高次加工によって素材のもつソフト感が失われてしまうので、さらに好適な仮撚加工糸が望まれていた。
特開2001−348740号公報 特許第3208362号公報 特開2005−113279号公報
本発明の目的は、パイル布帛に加工したときに、高強度でソフトな風合いを有し、かつ、高次通過性が良好なパイル布帛が得られる仮撚加工糸を提供することにある。
本発明者らは、ポリトリメチレンテレフタレート系繊維糸条を、2段ヒーター仮撚法を用いて特定の条件で仮撚加工することによって、ソフトな風合いと低い収縮性を有し、高次工程における熱履歴により、素材の持つソフトな風合いを損なわない布帛の製造が可能なポリトリメチレンテレフタレート系繊維の仮撚加工糸を得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は上記の目的を達成するため、以下の構成を採用する。すなわち、
[1]ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分を含む単繊維で構成された仮撚加工糸であって、該仮撚加工糸が下記(1)〜(3)の特性を全て満足し、かつ、該単繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を含み、これらのポリエステル成分(A)およびポリエステル成分(B)が繊維の長さ方向に沿って芯鞘型に複合された複合繊維である仮撚加工糸。
(1)98℃、20分の湿熱処理による収縮率が5%以下
(2)90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)との比(TS/WS)が、0<TS/WS≦1
(3)引張強さが2.0cN/dtex以
]ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)が鞘側に配置され、かつ、単繊維中における該成分(A)の比率が30〜90重量%である前記[]記載の仮撚加工糸。
]捲縮数が1〜20個/cmである前記[1]または]記載の仮撚加工糸。
]下記(1’)、(2)、(3’)および(4)の特性を全て満足する前記[1]〜[]のいずれかに記載の仮撚加工糸。
(1’)130℃、20分の湿熱処理による収縮率が5%以下
(2)90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)との比(TS/WS)が、0<TS/WS≦1
(3’)引張強さが2.5cN/dtex以上
(4)90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率が0%以上5%以下
]ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分を含む単繊維で構成された繊維であって、かつ、該単繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を含み、これらのポリエステル成分(A)およびポリエステル成分(B)が繊維の長さ方向に沿って芯鞘型に複合された複合繊維に、2ヒーター仮撚加工法を用いて仮撚加工を施す仮撚加工糸の製造方法であって、加撚部ヒーター出口における糸条温度が120℃以上200℃以下、2次セットヒーター出口における糸条温度が120℃以上200℃以下、仮撚係数(K)が10,000以上25,000以下、かつ、2次セットヒーター内のフィード率(%)が5%以上30%以下で該仮撚加工を行う仮撚加工糸の製造方法。
]前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の仮撚加工糸を含むパイル布帛。
]前記[1]〜[]のいずれか1項に記載の仮撚加工糸を含む複合混繊糸。
本発明の仮撚加工糸を用いることによって、ソフトな風合いと低い収縮性を有したパイル布帛を作成できる。得られたパイル布帛は、高次工程における熱履歴により、素材の持つソフトな風合いが損なわれない。
ポリトリメチレンテレフタレート繊維は、単独で使用した場合、強力、熱収縮性、捲縮固定化、摩耗耐久性、耐光性等についてかなりの劣性な特性を示すものであり、従来のポリエステル繊維とは比較にならないレベルである。特に立毛パイル布帛に使用した場合には、一層その劣性が問題となる。品質向上のために、ポリトリメチレンテレフタレートを他のポリエステル系成分とのサイドバイサイド複合糸とする提案も多数有り、かなり技術進歩がなされている。しかしながら、このようなサイドバイサイド複合糸は、収縮特性差の影響から高い捲縮を形成してしまい、立毛性を目標とするパイル布帛には適応し難い。
発明者らは、上記ポリトリメチレンテレフタレート繊維の劣性を改善するために鋭意検討した結果、従来のポリエステル繊維の特性に近く、取り扱い性に優れた仮撚加工糸を見出し、本発明を完成させるに至ったのである。
本発明の仮撚加工糸は、ソフトな風合いを有するパイル布帛を得るために、98℃、20分の湿熱処理による収縮率(以下、98℃湿熱収縮率と呼ぶ)が5%以下を満たすことが重要である。98℃湿熱収縮率は、好ましくは3%以下であり、0%であってもよい。98℃湿熱収縮率が5%を越える場合には、染色加工時に布帛の収縮により目詰まりを起こし、布帛の風合いが硬いものになる。また、先染め工程において、染色ムラなどの工程における不良の原因となる。さらに染色温度を考えると、130℃、20分の湿熱処理による収縮率(以下、130℃湿熱収縮率と呼ぶ)が5%以下である仮撚加工糸がより好ましく使用される。130℃湿熱収縮率は、好ましくは3%以下であり、0%であってもよい。なお、98℃湿熱収縮率および130℃湿熱収縮率の測定方法は、実施例の欄に記載した方法による。
また、本発明の仮撚加工糸は、90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)との比(TS/WS)が、0<TS/WS≦1であることが重要である。TS/WS>1となる場合には、染色後の乾熱処理において、大きく繊維の捲縮の発現が起こり、特にパイル布帛とした場合には、毛足が捲縮により短くなり、硬い風合いの布帛となってしまう。さらに好ましい範囲として、0.2≦TS/WS≦0.8の仮撚加工糸が使用される。なお、90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)の測定方法は実施例の欄に記載した方法による。
本発明の仮撚加工糸は、引張強さが2.0cN/dtex以上であることが重要である。引張強さが2.0cN/dtex以下を下回る場合には、高次通過性の不良や、布帛強度の不足の問題が生じる。仮撚加工糸の引張強さは、2.5cN/dtex以上であると、厳しい布帛規格を有する車輌内装材などにも使用できる仮撚加工糸となるので好ましい。仮撚加工糸の引張強さは、高い方が好ましく、特に限定されるものではないが、現時点における原糸強度を考えると4.0cN/dtex程度が仮撚加工糸強度の上限となっている。なお、引張強さの測定方法は実施例の欄に記載した方法による。
また、仮撚加工糸は、立毛させた後の工程、特に乾熱処理の工程において捲縮の発現が少ないことが好ましい。そのため、90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)が20%以下の捲縮の少ない仮撚加工糸が好ましく、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。伸縮伸長率(TS)が20%より大きい場合には、乾熱処理の工程において、仮撚加工糸の捲縮が大きく発現し、該糸を用いたパイル布帛の風合がやや硬くなる傾向がある。ここで、布帛の設計等により20%付近の伸縮伸長率(TS)の仮撚加工糸も使用することができるが、伸縮伸長率(TS)が10%以下、さらには5%以下である仮撚加工糸の方が、より風合いや品質の良好なパイル布帛を得ることができる。また、高品質なパイル布帛においては、微小な捲縮があることが好ましいことから、伸縮伸長率(TS)は0%より大きいことが好ましい。
さらに、本発明においては、単繊維における捲縮数が1〜20個/cmである仮撚加工糸が、好ましく使用される。捲縮数が20個/cm以上を越える仮撚加工糸では、パイル布帛において風合いが粗悪化する傾向がある。
本発明の仮撚加工糸は、単繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を含んでおり、これらのポリエステル成分(A)およびポリエステル成分(B)が繊維の長さ方向に沿って芯鞘型に複合された複合繊維(C)であることが好ましい。
また、複合繊維(C)について、ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)とポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)とは、実質的に同心芯鞘状に接合されていることが好ましい。実質的に同心芯鞘状とは、上記2成分の中心位置のズレが小さいことを意味し、特に限定されるものではないが、以下の範囲が指標として使用される。
(2成分の中心位置の差:X)/(複合繊維(C)断面の直径:D)×100<10%
ここで、2成分の中心位置の差Xとは、図1、2に示すように、複合繊維(C)の断面において、2成分の中心間の距離である。また、複合繊維(C)断面の断面が扁平や異形である場合には、複合繊維(C)断面の直径は、断面の直径の最も長いところ(D)とする。この2成分の中心位置のズレが小さいことにより、複合繊維(C)は潜在捲縮を有さず、また、仮撚後の捲縮形態も安定したものとなる。
複合繊維(C)において、ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)とポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を複合することによって、強度が大きく向上し、かつ、ソフトな風合いを有する布帛を得ることが可能となる。また、高次工程における取り扱い性や布帛の品質も向上し、従来のポリエステルと同等の効果を得ることができ、従来のポリエステル繊維とほぼ同一な工程を使用することができることが魅力である。
ここで、本発明におけるポリトリメチレンテレフタレート成分(A)は、テレフタル酸を主たる酸成分とし、1,3−プロパンジオールを主たるグリコール成分として得られるポリエステルである。好ましくは繰り返し単位の80モル%以上がトリメチレンテレフタレート単位からなるものである。ただし、20モル%以下の割合で、より好ましくは10モル%以下の割合で、エステル結合の形成が可能な共重合成分を含んでもよい。共重合成分として、例えばイソフタル酸、コハク酸、シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、ダイマー酸、セバシン酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸などのジカルボン酸類、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、シクロヘキサンジメタノール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコールなどのジオール類を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。また、必要に応じて、艶消剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。また、1,3−プロパンジオールについては、植物由来の製造方法にて作成された1,3−プロパンジオールが好ましく使用される。
また、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)としては、ポリエチレンテレフタレートが好ましく使用できる。ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)との相性、強度および高次工程での取り扱い性を考えると、ポリエチレンテレフタレート成分が最も好ましく使用される。
ポリエチレンテレフタレートとしては、テレフタル酸を主たる酸成分とし、エチレングリコールを主たるグリコ−ル成分として得られるポリエステルが好ましい。好ましくは繰り返し単位の80モル%以上がエチレンテレフタレート単位からなるものである。ただし、エステル結合を形成可能な共重合成分が20モル%以下の割合で含まれても良い。共重合成分は、好ましくは0〜15モル%の割合、より好ましくは10モル%以下の割合である。共重合成分として、たとえばスルフォン酸、ナトリウムスルフォン酸、硫酸、硫酸エステル、硫酸ジエチル、硫酸エチル、脂肪族スルフォン酸、エタンスルフォン酸、クロロベンゼンスルフォン酸、脂環式スルフォン酸、イソフタル酸、セバシン酸、アゼライン酸、ダイマー酸、アジピン酸、シュウ酸、デカンジカルボン酸などのジカルボン酸、p−ヒドロキシ安息香酸、ε−カプロラクトンなどのヒドロキシカルボン酸などのジカルボン酸類、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロパンジオール、ブタンジオール、ペンタンジオール、ハイドロキノン、ビスフェノールAなどのジオール類などが好ましく使用される。また、必要に応じて、艶消し剤となる二酸化チタン、滑剤としてのシリカやアルミナの微粒子、抗酸化剤としてヒンダードフェノール誘導体、着色顔料などを添加してもよい。
複合繊維(C)の繊維形態としては、繊維外面の鞘側にポリトリメチレンテレフタレート成分(A)を配し、芯側にポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を配した芯鞘型構造とするのが好ましいが、これに限定されず、芯成分と鞘成分が逆であっても良い。芯鞘型構造とすることによって、ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)の特徴であるソフトな風合いとシルキーな発色性を発揮させるとともに、耐光性、立毛性、摩耗耐久性および耐毛倒れ性の劣性点をポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)によってカバーし、高品質の立毛パイル布帛が得られる。
鞘側にポリトリメチレンテレフタレート成分(A)を配し、芯側にポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)配する場合は、ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)を30〜90重量%の比率で、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を10〜70重量%の比率で複合繊維(C)中に含むことが好ましい。また、鞘側にポリトリメチレンテレフタレート成分(A)を配し、芯側にポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を配する場合は、複合繊維(C)中のポリトリメチレンテレフタレート成分(A)の比率は、好ましくは30〜90重量%、さらに好ましくは50〜80重量%である。この場合、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)の比率は、複合繊維(C)中の10〜70重量%が好ましく、20〜50重量%がより好ましい。
複合繊維(C)の繊維断面形状としては、特に限定されないが、繊維外面の鞘成分/芯成分とも真円であるものや、鞘成分/芯成分とも楕円形状であるものが紡糸性や強度においては好ましく使用される。とりわけ、鞘成分/芯成分とも楕円形状であるものが、さらに一段とソフトでパイル布帛表面がボリューム感に溢れ、スェード調感覚にも優れた内装パイル布帛を得ることができるので好ましい。
複合繊維(C)の単繊維繊度については、5dtex(デシテックス)以下のマルチフィラメント糸とすることで、ふんわりとした感触とソフトな風合いとが相乗してスエード感覚まで発揮してくれる優れたパイル布帛を得ることができるので好ましい。ここで、商品展開上、単繊維繊度をさらに低繊度化する場合には、0.5〜2.0dtexの範囲のものが好ましい。
本発明の仮撚加工糸は、さらに下記(1’)、(2)、(3’)および(4)の特性を全て満足することが好ましい。
(1’)130℃湿熱収縮率が5%以下
(2)90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)との比(TS/WS)が、0<TS/WS≦1
(3’)引張強さが2.5cN/dtex以上
(4)90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率が0%以上5%以下。
仮撚加工糸を用いてパイル布帛を得る手順の一例について説明すると、まず仮撚加工糸を先染め工程において染色するとともに、捲縮を発現させる。次に、該仮撚加工糸をパイル布帛に形成し、乾熱処理工程によって熱セットする。前述のように仮撚加工糸の湿熱収縮率が大きいと、ソフトな風合いが損なわれるだけではなく、先染め工程において、染色ムラなどの工程における不良の原因となるので、130℃湿熱収縮率が5%以下である仮撚加工糸が好ましい。また、先染め時に発現した捲縮が、後工程における乾熱処理において大きく発現することは好ましくないため、0<TS/WS≦1の式を満足することが必要である。ここで、90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率が0%以上5%以下である仮撚加工糸がより好ましい。また、引張強さが2.5cN/dtex以上の仮撚加工糸を用いることにより、厳しい布帛規格を有する車輌内装材などにも使用できる。すなわち、上記の特性を全て満足する仮撚加工糸を用いることにより、車輌内装材などに好適な高品質のパイル布帛を得ることができる。
仮撚加工糸の適度な捲縮を表す指標として、形態における捲縮度(KS)が適切に用いられる。ここで、形態における捲縮度(KS)とは、仮撚加工糸を無荷重の状態で、98℃湿熱中で30分処理した後、乾燥後、光学顕微鏡にて図3に示すように、仮撚加工糸の単糸における捲縮を観察したものであって、下式で表されるものである。
(形態における捲縮度:KS)=(捲縮高さ:T)/(捲縮幅;L)×100(%)
ここで、捲縮幅(L)は変曲点(谷)の距離であり、捲縮高さ(T)はこれらの変曲点(谷)間の共通接線から変曲点(山)までの高さである。形態における捲縮度(KS)は、形態観察により捲縮の屈曲形態を示すものであるが、形態における捲縮度(KS)が0%の場合には、パイル布帛の風合いや表面感の品位が低下し、また、先染め工程を行う場合には、液流の循環が均一でなくなり、染めムラの原因となる。また、形態における捲縮度(KS)が30%を超える場合には、捲縮発現が大きく、パイル布帛の風合いが硬くなってしまう。よって、適切な範囲としては、0%<形態における捲縮度(KS)≦30%である。
次に、本発明の仮撚加工糸を製造する方法について説明する。本発明においては、2ヒーター仮撚加工法を用いることが重要である。2ヒーター仮撚加工法は、加撚部ヒーター(1段目ヒーター)で繊維の仮撚加工を行った後、得られた仮撚加工糸を、連続して2次セットヒーター(2段目ヒーター)で熱セット処理する方法である。ここで、得られる仮撚加工糸に、本発明の仮撚加工糸として必要な特性を持たせるためには、加撚部ヒーターの温度、2次セットヒーターの温度、仮撚係数、および、2次セットヒーター内のフィード率が重要である。すなわち、加撚部ヒーター出口における糸条温度を120℃以上200℃以下とし、2次セットヒーター出口における糸条温度を120℃以上200℃以下とし、仮撚係数(K)を10,000以上25,000以下とし、かつ、2次セットヒーター内のフィード率(%)を5%以上30%以下とする。
加撚部ヒーター出口における糸条温度(以下、加撚部ヒーター温度と呼ぶ)は、120℃以上200℃以下であることが重要であり、好ましくは140℃以上180℃以下である。加撚部ヒーター温度が120℃よりも低い場合には、付与した捲縮に対して熱セット性がなくなり、また200℃より高い場合には仮撚加工糸の強度が低下し、生産性が低下するので好ましくない。ヒーター出口における糸条温度は、ヒーター出口直後の糸条を、ムラテック社製非接触温度計を用いて測定した。
また、2次セットヒーター出口における糸条温度(以下、2次セットヒータ温度と呼ぶ)が120℃以上200℃以下であることも重要であり、好ましくは130℃以上180℃以下である。2次セットヒーターで熱セットすることにより、仮撚加工糸は湿熱収縮率が低下し、かつ、仮撚加工糸の余分な捲縮を取り除くことができる。2次セットヒーター温度が120℃より低い場合には、低い湿熱収縮率の仮撚加工糸を得ることができず、また、200℃よりも高い場合には仮撚加工糸の強度が低下し、生産性が低下するので好ましくない。
特に、仮撚加工糸を構成する繊維が、前述のようなポリトリメチレンテレフタレート成分(A)とポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を含む芯鞘型複合繊維(C)であって、上記のような温度条件で仮撚加工を行った場合には、複合繊維(C)において、ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)には、捲縮がセットされ、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)には、捲縮が十分にセットされていない状態となる。そのため、ポリトリメチレンテレフタレート成分(A)が100%である仮撚加工糸に比べ、湿熱処理後の乾熱処理によって、捲縮が大きく発現されることがなくなる。よって、本発明の仮撚加工糸として好ましい特性が得られやすい。
また、仮撚係数(K)は、10,000以上25,000以下を満たすことが重要であり、より好ましくは12,000以上20,000以下である。このような仮撚係数の範囲で仮撚加工することにより、得られた仮撚加工糸が適度な捲縮を発現することができる。ここで、仮撚係数(K)とは、(仮撚の実撚数:T/m)×(繊度:デニール)1/2で表される。
さらに、2次セットヒーター内のフィード率が5%以上30%以下と大きなフィード率とすることで、仮撚加工糸は、捲縮状態のまま熱セットされる。これにより、仮撚加工糸の収縮率を低くすることができ、かつ、低い捲縮率と適度な捲縮形態となる。2次セットヒーター内のフィード率が5%未満の場合には、仮撚加工糸の収縮率を低くすることが困難になり、30%を超える場合には、2次セットヒーターでのたるみが起こり、生産性を悪化させる原因となるので好ましくない。
仮撚加工方法としては、一般に用いられるピンタイプ、フリクションディスクタイプ、ニップベルトタイプ、エアー加撚タイプ等、いかなる方法によるものでもよい。
また、本発明の仮撚加工糸を芯糸または鞘糸に使用した複合混繊糸にすることで、ボリューム感やソフト感などの風合いに加え、独特の表面感を有するパイル布帛を得ることができる。ここで、複合混繊糸の鞘糸として本発明の仮撚加工糸を、芯糸として収縮率の高い素材を使用すると、特にボリューム感があり、独特の表面感を有するパイル布帛となるので好ましい。ここで、高い収縮率の素材とは、特に限定されるものではないが、イソフタル酸やビスフェノールを共重合した共重合ポリエステルなどが挙げられる。また、特に限定されないが、芯糸の収縮率は、沸騰水収縮率が15%以上あることが好ましく、20%以上がより好ましい。強度や染色性を考慮すると、ポリエステル系成分の芯糸が好ましく使用される。
仮撚加工糸を混繊する方法としては、一般に用いられるインターレース混繊や流体攪乱(“タスラン”(登録商標))混繊など、いかなる方法によるものでもよい。
以下、本発明の実施の形態を、実施例により説明するが、本発明は実施例により何ら限定されるものではない。なお、評価は以下の測定方法でおこなった。
(1)固有粘度(IV)
オルソクロロフェノール(以下OCPと略す)10ml中に試料ポリマーを0.8g溶かし、25℃にて、オストワルド粘度計を用いて相対粘度[η]を測定し、その相対粘度[η]から次式により算出した値(IV)である。
相対粘度[η]=η/η=(t×q)/(t×q
固有粘度[IV]=0.0242η+0.2634
ただし、η:ポリマー溶液の粘度、
η:OCPの粘度、
t:溶液の落下時間(秒)、
q:溶液の密度(g/cm)、
:OCPの落下時間(秒)、
:OCPの密度(g/cm)。
(2)90℃乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)
試料を、2.6×10−4cN/dtexの荷重下において、90℃の乾熱下で15分の処理を行った。その後、除重し、捲縮を安定化させるために室温下で24時間放縮した後、JIS−L−1013・伸縮性試験方法(1999年度版)に準じて伸縮伸長率の測定を行い、10回平均値を算出した。
(3)90℃湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)
試料を、2.6×10−4cN/dtexの荷重下において、90℃の湿熱下で20分の処理を行った。その後、除重し、捲縮を安定化させるために室温下で24時間放縮した後、JIS−L−1013・伸縮性試験方法(1999年度版)に準じて伸縮伸長率の測定を行い、10回平均値を算出した。
(4)湿熱98℃および130℃湿熱収縮率
試料を、98℃または130℃の湿熱条件下で、20分間処理を行った後、JIS−L−1013・熱水収縮率試験方法(1999年度版)に準じて湿熱収縮率の測定を行い、10回平均値を算出した。
(5)捲縮数
試料を、2.6×10−4cN/dtexの荷重下で乾熱90℃×15分処理を行った後、除重し、捲縮を安定化させるために室温下で24時間放縮した。その後、1.8×10−3cN/dtexの荷重を掛けた状態で、単繊維の試料長1cmあたりの捲縮の山と谷の数を測定し、それぞれの値を合計し、1/2倍したものを捲縮数とした。10回の平均値を算出し、個/cmで表示する。
(6)引張強さおよび伸度
JIS−L−1013法、合成繊維フィラメント引張試験法(1999年度版)に基づいて、試料の引張強さおよび伸度を測定した。
(7)表面品位
パイル布帛の表面のカバリング性、立毛感を視覚にて”品位・立毛性優良〜不良”の4段階評価(A;品位優、B;良、C;やや不良、D;不良)で官能判定を行い、熟練者5名の平均結果で示す。
(8)ソフト感
パイル布帛の表面感触について”ソフト感優〜粗硬”の4段階評価(A;ソフト感優、B;ソフト感良、C;サラサラ感強、D;粗硬)で官能判定を行い、熟練者5名の平均結果で示す。
(9)表面感
パイル布帛の表面光沢の感覚について、”シルキー光沢優〜イヤ光り”の4段階評価(A;シルキー光沢優、B;同・良、C;ポリエステル・セミダル調、D;同・ブライト調)で官能判定を行い、熟練者5名の平均結果で示す。
(10)布帛製造における高次通過性
パイル布帛製造における“高次通過性”を4段階評価(A;糸切れなし、B;糸切れはあるが布帛に問題なし、C;糸切れがあり布帛品位に少し問題あり、D;編成に耐えない程糸切れする。)で判定した。
[実施例1、2]
鞘成分として固有粘度(IV)が1.40のポリトリメチレンテレフタレートホモ重合体70重量%、芯成分として固有粘度(IV)が0.60のポリエチレンテレフタレートホモ重合体30重量%からなる芯鞘複合糸を紡糸した。芯成分および鞘成分を、それぞれ別々に紡糸温度280℃で溶融し、60孔の鞘/芯同心型の複合紡糸口金から吐出し、紡糸速度3300m/分で引き取った。1dtex(デシテックス)−60fil(フィラメント)の断面丸型−高配向未延伸糸が得られた。
得られた未延伸糸を、ホットロール−熱板セット装備の延伸機を用い、ホットロール温度85℃、熱板温度145℃、延伸倍率1.40倍で延伸して、84dtex−60filの延伸糸を製造した。得られた延伸糸の物性は、引張強さ3.4cN/dtex、伸度41%、熱水98℃、20分の湿熱処理による収縮率が9.5%であった。
実施例1においては、上記の方法で得られた延伸糸を2本用いて、(株)愛機製作所製TH312仮撚加工機(加撚部ヒーターは接触式、2次セットヒーターは非接触式、加工機構はピン仮撚方式)を用いて、加撚部ヒーター温度170℃、2次セットヒーター温度150℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.03、仮撚数1800T/m、20%フィード率で、2ヒーター仮撚加工を行い、180dtex−120filの仮撚加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、169℃〜170℃、2次セットヒーター出口における糸条温度は、148〜150℃であった。
また、実施例2においては、加撚部ヒーター温度170℃、2次セットヒーター温度160℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.03、仮撚数2200T/m、14%フィード率とした以外は実施例1と同様にして、2ヒーター仮撚加工を行い、177dtex−120filの仮撚加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、169℃〜170℃、2次セットヒーター出口における糸条温度は、158〜160℃であった。
得られた仮撚加工糸をパイル糸として用い、地糸としてポリエステル84dtex−24fil糸を用いて、22ゲージのトリコット機でパイル長2.5mmのカットパイル布帛を編成した。仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。
[実施例3]
実施例1および2と同じ延伸糸を1本用い、同じ仮撚加工機を用い、加撚部ヒーター温度160℃、2次セットヒーター温度150℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.03、仮撚数1900T/m、2次セットヒーター内でのフィード率を12%で2段ヒーター仮撚加工を行い、87dtex−60filの加工糸を得た。実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。また、得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。
参考例1
固有粘度(IV)が1.40のポリトリメチレンテレフタレートを275℃で溶融し、60孔の紡糸口金から吐出し、紡糸速度3300m/分で引取り、118dtex(デシテックス)−60fil(フィラメント)の断面−丸型高配向未延伸糸を得た。
さらにホットロール−熱板セット装備の延伸機を用い、ホットロール温度85℃、熱板温度145℃、延伸倍率1.40倍で延伸して、84dtex−60filの延伸糸を製造した。該延伸糸の物性は、引張強さ3.3cN/dtex、伸度37%、沸騰水収縮率7.8%であった。
上記の方法で得られた延伸糸を、実施例1および2と同じ仮撚機を用いて、加撚部ヒーター温度170℃、2次セットヒーター温度150℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.01、仮撚数1900T/mで2段ヒーター仮撚加工を行い、84dtex−60filの仮撚加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、168℃〜170℃、2次セットヒーター出口における糸条温度は、148〜150℃であった。ここで、2次セットヒーター内でのフィード率を表1に示す条件にした。得られた仮撚加工糸を用いて、実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。
[実施例
実施例3における仮撚加工を行った後、巻き取ることなく、この仮撚加工糸とスルフォン酸やイソフタル酸を共重合成分として含むポリエステルからなる高収縮糸(56dtex−24fil、引張強さ4.0cN/dtex、伸度41.3%、沸収19.9%)とをインターレースノズルにて、空気混繊により混繊させ、156dtexの仮撚混繊糸を得た。
実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。また、パイル布帛においては、毛足のボリューム感があり、表面感に粒々とした独特感覚のある布帛であった。
[比較例1]
実施例1および2と同じ延伸糸および同じ仮撚加工機を用い、加撚部ヒーター温度160℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.03、仮撚数3200T/mの条件で1段ヒーター仮撚加工を行い、84dtex−60filの加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、158℃〜160℃であった。実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。
[比較例2]
参考例1と同じ延伸糸を2本用い、同じ仮撚加工機を用い、加撚部ヒーター温度170℃、2次セットヒーター温度150℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.01、仮撚数2300T/m、2次セットヒーター内のフィード率20%で、2ヒーター仮撚加工を行い、178dtex−120filの仮撚加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、169℃〜170℃、2次セットヒーター出口における糸条温度は、148〜150℃であった。実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。パイル布帛は、風合いがやや硬いものとなり、高品位のものが得られなかった。
[比較例3]
実施例1および2と同じ延伸糸を2本用い、同じ仮撚加工機を用い、加撚部ヒーター温度170℃、2次セットヒーター温度150℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.01、仮撚数2400T/m、2次セットヒーター内のフィード率20%で、2ヒーター仮撚加工を行い、180dtex−120filの仮撚加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、169℃〜170℃、2次セットヒーター出口における糸条温度は、148〜150℃であった。実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。パイル布帛は、風合いがやや硬いものとなり、高品位のものが得られなかった。
[比較例4]
実施例1および2と同じ延伸糸を2本用い、同じ仮撚加工機を用い、加撚部ヒーター温度170℃、2次セットヒーター温度150℃、加工速度130m/分、延伸倍率1.01、仮撚数2400T/m、2次セットヒーター内のフィード率3%で、2ヒーター仮撚加工を行い、169dtex−120filの仮撚加工糸を得た。加撚部ヒーター出口における糸条温度は、169℃〜170℃、2次セットヒーター出口における糸条温度は、148〜150℃であった。実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成した。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果を表1に示す。パイル布帛は、風合いが硬いものとなり、高品位のものが得られなかった。
Figure 0005205841
[実施例5〜7、比較例5]
ポリトリメチレンテレフタレートホモ重合体とポリエチレンテレフタレートホモ重合体の比率を表2に示すように変更した以外は、実施例1と同様にして芯鞘複合糸を紡糸する。得られた芯鞘複合糸を用いて、実施例1と同様にして2段ヒーター仮撚加工を行い、さらに実施例1と同様の方法でパイル布帛を作成する。得られた仮撚加工糸の物性とパイル布帛の評価結果は表2のようになると考えられる。
Figure 0005205841
本発明の仮撚加工糸を用いることによって、ソフトな風合いと低い収縮性を有したパイル布帛を作成できる。得られたパイル布帛は、高次工程における熱履歴により、素材の持つソフトな風合いが損なわれない。
2成分の中心位置の差Xの一例を示す図。 2成分の中心位置の差Xの一例を示す図。 仮撚加工糸の単糸における捲縮の捲縮高さTおよび捲縮幅Lを示す図。
符号の説明
X:2成分の中心位置の差
C:繊維断面の直径
L:捲縮幅
T:捲縮高さ

Claims (7)

  1. ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分を含む単繊維で構成された仮撚加工糸であって、該仮撚加工糸が下記(1)〜(3)の特性を全て満足し、かつ、該単繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を含み、これらのポリエステル成分(A)およびポリエステル成分(B)が繊維の長さ方向に沿って芯鞘型に複合された複合繊維である仮撚加工糸。
    (1)98℃、20分の湿熱処理による収縮率が5%以下
    (2)90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)との比(TS/WS)が、0<TS/WS≦1
    (3)引張強さが2.0cN/dtex以上
  2. ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)が鞘側に配置され、かつ、単繊維中における該ポリエステル成分(A)の比率が30〜90重量%である請求項1記載の仮撚加工糸。
  3. 捲縮数が1〜20個/cmである請求項1または2記載の仮撚加工糸。
  4. 下記(1’)、(2)、(3’)および(4)の特性を全て満足する請求項1〜のいずれかに記載の仮撚加工糸。
    (1’)130℃、20分の湿熱処理による収縮率が5%以下
    (2)90℃、20分の湿熱処理した後の伸縮伸長率(WS)と90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率(TS)との比(TS/WS)が、0<TS/WS≦1
    (3’)引張強さが2.5cN/dtex以上
    (4)90℃、15分の乾熱処理した後の伸縮伸長率が0%以上5%以下
  5. ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分を含む単繊維で構成された繊維であって、かつ、該単繊維が、ポリトリメチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(A)と、ポリエチレンテレフタレートを主体とするポリエステル成分(B)を含み、これらのポリエステル成分(A)およびポリエステル成分(B)が繊維の長さ方向に沿って芯鞘型に複合された複合繊維に、2ヒーター仮撚加工法を用いて仮撚加工を施す仮撚加工糸の製造方法であって、加撚部ヒーター出口における糸条温度が120℃以上200℃以下、2次セットヒーター出口における糸条温度が120℃以上200℃以下、仮撚係数(K)が10,000以上25,000以下、かつ、2次セットヒーター内のフィード率(%)が5%以上30%以下で該仮撚加工を行う仮撚加工糸の製造方法。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の仮撚加工糸を含むパイル布帛。
  7. 請求項1〜のいずれか1項に記載の仮撚加工糸を含む複合混繊糸。
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