JP5201546B2 - N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸、それを含有する医薬組成物及びその製造方法 - Google Patents

N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸、それを含有する医薬組成物及びその製造方法 Download PDF

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Description

本発明は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸、それを含有する医薬組成物及びその製造方法に関する。その目的は、胆汁酸が本来有する効能をもたらすとともに、特に水溶液状のプロドラッグとすることにより、注射や点滴による皮下投与及び血管内投与薬として使用可能とするものである。
胆汁酸製剤として知られるウルソ(ウルソデキシコール酸の製剤)は、漢方薬の熊胆(くまのい)から抽出、精製された製剤で、肝臓から分泌される胆汁の量を増やしたり、胆汁が通る胆管の中にできる胆石を溶かしたりするために用いられる。また、ウルソは胆汁が流れにくくなって生じる肝臓の機能低下を改善するためにも使用されている。

ウルソは水に難溶性であるため、その投与形態は、錠剤の形態で内科系の投与に限られている。一方で、このような錠剤の形態では、胃の摘出患者、末期がん患者、消化機能低下時等外科系の患者に対して、或いは手術直後の患者に対して投与することができないという問題を有していた。
ウルソのような水に難溶性の化合物を患者へ外科的に投与する方法として、例えば、特許文献1には、疎水性薬剤に対し使用される界面活性剤が開示され、この界面活性剤が疎水性の薬剤を封入するミセルを形成することが記載されている。特許文献2には、水不溶性の治療薬と、ビタミンEと、プロピレングリコールおよびエタノールから選択される1種類の補助溶媒と、1種類以上の胆汁酸塩、D―α―トコフェリルポリエチレングリコール1000コハク酸(TPGS)、チロキサポールおよびポリオキシル水素化ヒマシ油から選択されるもう一つの界面活性剤とを含んでいる、自己微小乳化型薬物送達システムの形態の医薬組成物が開示されている。
このような組成物により投与方法の幅が広がることは事実であるが、患者への投与の際には、有効成分以外の成分の種類と、これがもたらす副作用等を考慮して投与されなければならないという問題を有していた。
水に難溶性の化合物を患者へ外科的に投与する他の方法としては、有効成分のプロドラッグを開発し、このプロドラッグが水溶性であれば外科的に投与、例えば注射剤や点滴剤として投与することが可能となる。プロドラッグとは、生体内の代謝反応を利用した薬剤であり、詳細には、加水分解酵素や酸化還元酵素等が関与する生化学反応系を活用した薬である。一般には、プロドラッグは、生体内で代謝されることで、初めて薬理活性を示すように化学修飾を施した薬とされている。
例えば、ウルソのプロドラッグを開発し、且つそのプロドラッグが水溶性であれば、注射や点滴による皮下投与及び血管内投与薬として使用可能である優れた薬剤を提供することができ、そのような薬剤の創出が望まれている。
特表2005−514438号公報 特表2005−523295号公報
本発明者は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、生体内の加水分解酵素、例えばエステラーゼにより分解され胆汁酸となることを見出し、更なる研究の後、本発明に至った。
従って、本発明の課題は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸を提供することである。
本発明の他の課題は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸を有効成分とするプロドラッグからなる医薬組成物を提供することである。
本発明の他の課題は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の製造方法を提供することである。
求項に係る発明は、下式(化1)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸及び、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかであることを特徴とするN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸に関する。
Figure 0005201546
(a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
請求項に係る発明は、下式(化2)の(a)で表される(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸であることを特徴とする請求項1に記載のN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸に関する。
Figure 0005201546
(a:R=β‐OH、R=H)
請求項3に係る発明は、請求項1又は2に記載のN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸を有効成分とするプロドラッグからなる医薬組成物に関する。
請求項4に係る発明は、少なくとも前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が溶解した溶液からなる液状製剤であること特徴とする請求項3に記載の医薬組成物に関する。
請求項5に係る発明は、少なくとも前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が溶解した水溶液であることを特徴とする請求項に記載の医薬組成物に関する。
請求項6に係る発明は、前記水溶液が、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、水に対し0.001〜10重量%含有されてなることを特徴とする請求項5に記載の医薬組成物に関する。
請求項7に係る発明は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の製造方法であって、胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体とN−アセチルシステインを縮合反応させる工程を含み、前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、下式(化3)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸及び、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかであることを特徴とする製造方法に関する。
請求項8に係る発明は、前記胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体が、下式(化4)の(A)乃至(E)で表される(A)ウルソデオキシコール酸、(B)ケノデオキシコール酸、(C)デオキシコール酸、(D)コール酸、及び(E)リトコール酸のうちいずれかのp‐ニトロフェニルエステル誘導体であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法に関する。
Figure 0005201546
(a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
Figure 0005201546
(A:R=β‐OH、R=H、B:R=α‐OH、R=H、C:R=H、R=OH、D:R=α‐OH、R=OH、E:R=R=H)
請求項9に係る発明は、前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、下式(化5)の(a)で表される(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸であって、前記胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体が、下式(化6)の(A)で表される(A)ウルソデオキシコール酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法に関する。
Figure 0005201546
(a:R=β‐OH、R=H)
Figure 0005201546
(A:R=β‐OH、R=H)
請求項10に係る発明は、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の製造方法であって、下記の工程(1)乃至(4)を含み、前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、下式(化7)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸及び、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法に関する。
(1)胆汁酸を含んだ有機溶媒に、縮合剤とp‐ニトロフェノールを加えて第1溶液を調製する。
(2)得られた第1溶液中の溶媒を減圧留去した後、得られた残渣を酢酸エチルエステルに溶解して、水で洗浄した後静置し、上層の有機層である第2溶液を得る。
(3)得られた第2溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を除去して、胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体を得る。
(4)胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体を、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジンのうちいずれかに溶解し、N−アセチルシステインと3級有機塩基を加えて、撹拌する。
本発明のプロドラッグに含まれるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は、生体内の加水分解酵素、例えばエステラーゼにより分解されて胆汁酸を生成する。従って、このプロドラッグを投与することにより、胆汁酸が本来有する効能、例えば、胆道(胆のう、胆管)系疾患及び胆汁うっ滞による肝疾患、慢性肝疾患における肝機能の改善、小腸切除後遺症及び炎症性小腸疾患による消化不良の改善、胆石の溶解、肝硬変における肝機能の改善、C型慢性肝疾患における肝機能改善(インターフェロンとの併用)が得られる。
本発明のプロドラッグに含まれるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は溶解性に優れるため、特に、高い水溶解性を有することから水溶液として注射や点滴による皮下投与及び血管内投与薬として使用可能である。
尚、本発明の有効成分のN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は、肝臓内で生成される代謝物の一つであるから、極めて安全性が高い。
以下、本発明のプロドラッグについて説明する。
本発明のプロドラッグは、少なくともN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸を有効成分として含有する。本発明のプロドラッグが投与されると、生体内で、このN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が加水分解酵素により分解されて胆汁酸となる。従って、本発明のプロドラッグを投与することにより、胆汁酸を投与した時と同様の効果をもたらす。
本発明に係るN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は特に限定されるものではないが、好ましくは、下式(化7)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸、及び(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかである。これらのうち、最も好ましくは、N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸が用いられる。
Figure 0005201546
(a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
本発明のN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸として、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸が含有されたプロドラッグは、これが投与されると、生体内でウルソデオキシコール酸(下式(化8)のa)を生成するから、ウルソデオキシコール酸のプロドラッグとなる。同様に(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸が含有されると、ケノデオキシコール酸(下式(化8)のb)のプロドラッグに、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸が含有されるとデオキシコール酸(下式(化8)のc)のプロドラッグに、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸が含有されるとコール酸(下式(化8)のd)のプロドラッグに、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸(下式(化8)のe)が含有されるとリトコール酸のプロドラッグとなる。
Figure 0005201546
(a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
上記のうちウルソデオキシコール酸は、「ウルソ」という名で漢方薬の熊胆(くまのい)から抽出、精製された製剤として知られる。このウルソは、胆道(胆のう、胆管)系疾患及び胆汁うっ滞による肝疾患、慢性肝疾患における肝機能改善、小腸切除後遺症及び炎症性小腸疾患による消化不良の改善、胆石の溶解、肝硬変における肝機能の改善、C型慢性肝疾患における肝機能改善(インターフェロンとの併用)の効果を有することが報告されている。
従って、本発明のウルソデオキシコール酸のプロドラッグは、これを投与すると生体内でウルソデオキシコール酸が生成されるから、上記効果を奏する。
本発明のプロドラッグに使用されるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は、好ましくは化学合成により得られる。この合成方法は後に詳説する。
本発明に係るN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の性状は、白色の粉末であり、無臭であり、苦味は軽減されているか、或いは全くしない。
本発明のプロドラッグは、前記有効成分であるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸をそのまま、または薬理学的に許容し得る担体などと混合してプロドラッグとした後に、哺乳動物(例えば、ヒト、マウス、ラット、ウサギ、イヌ、ネコ、ウシ、ウマ、ブタ、サル)に投与することができる。
本発明のプロドラッグにおいて、前記した薬理学的に許容される担体として、製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質が用いられ、液状製剤として、或いは固形製剤として投与されてもよいが、好ましくは液状製剤とされる。
本発明のプロドラッグに含まれるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は溶解性に優れるため、液状製剤として投与可能である。従って、注射や点滴による皮下投与及び血管内投与薬として好適に用いられる。
本発明のプロドラッグが液状製剤とされる場合、薬理学的に許容される担体として、溶剤、溶解補助剤、懸濁化剤、等張化剤、緩衝剤、無痛化剤等が配合されてもよい。
溶剤の好適な例としては、蒸留水、リンゲル液、注射用水、生理的食塩水、アルコール、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ゴマ油、トウモロコシ油、オリーブ油、綿実油などが挙げられる。
溶解補助剤の好適な例としては、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、D−マンニトール、トレハロース、安息香酸ベンジル、エタノール、トリスアミノメタン、トリエタノールアミン、炭酸ナトリウム、クエン酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、酢酸ナトリウムなどが挙げられる。
懸濁化剤の好適な例としては、ステアリルトリエタノールアミン、ラウリル硫酸ナトリウム、ラウリルアミノプロピオン酸、レシチン、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、モノステアリン酸グリセリンなどの界面活性剤;例えばポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどの親水性高分子;ポリソルベート類、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが挙げられる。
等張化剤の好適な例としては、塩化ナトリウム、グリセリン、D−マンニトール、D−ソルビトール、ブドウ糖などが挙げられる。
緩衝剤の好適な例としては、リン酸塩、酢酸塩、炭酸塩、クエン酸塩などの緩衝液などが挙げられる。
無痛化剤の好適な例としては、ベンジルアルコールなどが挙げられる。
本発明のプロドラッグが液状製剤とされる場合、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸は、液状製剤中0.0001〜20重量%、好ましくは0.001〜10重量%含有される。
本発明のプロドラッグが液状製剤とされる場合、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の種類と溶剤の種類の好適な組合せは下記の通りである。
溶剤として、水やリンゲル液等の水性溶剤が使用される場合、このような溶剤に対し、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、及び(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸がよく溶解する。
この場合、好ましくは、蒸留水の全量に対し、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸が0.001〜10重量%、好ましくは1〜9.1重量%含有され、或いは(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸が0.001〜6重量%、好ましくは1〜3.3重量%含有されて液状製剤とされる。
リンゲル液が使用される場合は、好ましくは、リンゲル液の全量に対し、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸が0.001〜10重量%、好ましくは1〜4.8重量%含有され、或いは(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸が0.001〜6重量%、好ましくは1〜3.3重量%含有されて液状製剤とされる。
溶剤として、グリセリン、エタノール等のアルコール、オリーブ油などの非水溶性溶剤が使用される場合は、このような溶剤に対し、全てのN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸(即ち、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸、及び(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸)がよく溶解する。
本発明のプロドラッグが固形製剤とされる場合、薬理学的に許容される担体として、賦形剤、滑沢剤、結合剤、崩壊剤等が配合されてもよい。
賦形剤の好適な例としては、乳糖、白糖、D−マンニトール、D−ソルビトール、デンプン、α化デンプン、デキストリン、結晶セルロース、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、アラビアゴム、プルラン、軽質無水ケイ酸、合成ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミン酸マグネシウムなどが挙げられる。
滑沢剤の好適な例としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、タルク、コロイドシリカなどが挙げられる。
結合剤の好適な例としては、α化デンプン、ショ糖、ゼラチン、アラビアゴム、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース、白糖、D−マンニトール、トレハロース、デキストリン、プルラン、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどが挙げられる。
崩壊剤の好適な例としては、乳糖、白糖、デンプン、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルスターチナトリウム、軽質無水ケイ酸、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースなどが挙げられる。
本発明のプロドラッグが固形製剤である場合は、有効成分であるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の含量は、固形製剤中0.001〜40重量%、好ましくは6.8〜35重量%、さらに好ましくは27.2〜30重量%とされる。この理由は、0.001重量%未満の場合は、効果が期待できないため、40重量%を超えて含有すると副作用の発現が危惧されるため、いずれの場合も好ましくないからである。
前記液状製剤及び固形製剤に、必要に応じて、防腐剤、抗酸化剤、着色剤、甘味剤、香料などの製剤添加物を用いることもできる。
防腐剤の好適な例としては、パラオキシ安息香酸エステル類、クロロブタノール、ベンジルアルコール、フェネチルアルコール、デヒドロ酢酸、ソルビン酸などが挙げられる。
抗酸化剤の好適な例としては、亜硫酸塩、アスコルビン酸塩などが挙げられる。
着色剤の好適な例としては、水溶性食用タール色素、水不溶性レーキ色素(例、前記水溶性食用タール色素のアルミニウム塩)、天然色素(例、β−カロチン、クロロフィル、ベンガラ、黄色三二酸化鉄)などが挙げられる。
甘味剤の好適な例としては、サッカリンナトリウム、グリチルリチン酸二カリウム、アスパルテーム、ステビアなどが挙げられる。
香料の好適な例としては、L−メントール、カラメル、各種フルーツ系香料等が挙げられる。
本発明のプロドラッグの剤形としては、例えば錠剤(舌下錠、口腔内崩壊錠を含む)、カプセル剤(ソフトカプセル、マイクロカプセルを含む)、顆粒剤、散剤、トローチ剤、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などの経口剤、および注射剤(例、皮下注射剤、静脈内注射剤、筋肉内注射剤、腹腔内注射剤など)、外用剤(例、経鼻投与製剤、経皮製剤、軟膏剤など)、坐剤(例、直腸坐剤、膣坐剤など)、ペレット、点滴剤、点眼剤、経肺剤(吸入剤)等の非経口剤が挙げられ、これらはそれぞれ経口的あるいは非経口的に安全に投与できる。また、これらの製剤は、速放性製剤または徐放性製剤などの放出制御製剤(例、徐放性マイクロカプセルなど)であってもよい。
本発明のプロドラッグは、前記製剤の中でも、非経口剤として、特に、注射剤や点滴剤として好適に用いられる。
尚、本発明の剤は、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
本発明のプロドラッグの投与量は、投与対象や投与ルートなどによっても異なるが、非経口剤、例えば注射剤として用いるときは、N−アセチルシステイン抱合型胆汁酸として、1回につき、150〜400mg、好ましくは350〜400mgを生理食塩液または5%ブドウ糖注射液に溶解して点滴静注する。この点滴静注は、好ましくは1日1〜2回とされる。なお、上記投与量は、投与される患者の年齢や症状等により適宜増減してもよい。増量する場合の1回当りの最大投与量は400mgとする。
経口剤として用いるときは、成人1日200〜820mg、好ましくは800〜820mgが分割経口投与される。なお、上記投与量は、投与される患者の年齢や症状等により適宜増減してもよい。増量する場合の1回当りの最大投与量は300 mgとする。
本発明の剤は、胃腸薬等の薬剤(以下、併用薬剤という)と組み合わせて用いることができる。この際、本発明の剤と併用薬剤の投与時期は限定されず、これらを投与対象に対し、同時に投与してもよいし、時間差をおいて投与してもよい。さらに、本発明のプロドラッグと併用薬剤は、それぞれの活性成分を含む2種類の製剤として投与されてもよいし、両方の活性成分を含む単一の製剤として投与されてもよい。尚、併用薬剤の投与量は、臨床上用いられている用量を基準として適宜選択することができる。
以下、本発明のプロドラッグの製造方法について説明する。
まず、本発明のプロドラッグに、有効成分として含有されるN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の合成方法について説明する。
本発明に係るN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の合成方法は、少なくとも胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体とN−アセチルシステインを縮合反応させることによりN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸を得る工程を含む。
この胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体は、好ましくは下式(化9)で表される(A)ウルソデオキシコール酸、(B)ケノデオキシコール酸、(C)デオキシコール酸、(D)コール酸、及び(E)リトコール酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体のうちいずれかである。
Figure 0005201546
(A:R=β‐OH、R=H、B:R=α‐OH、R=H、C:R=H、R=OH、D:R=α‐OH、R=OH、E:R=R=H)
前記胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体の製造方法は、好ましくは下記の工程(1)〜(3)を含む。
(1)胆汁酸を含んだ有機溶媒に、縮合剤とp‐ニトロフェノールを加えて第1溶液を調製する。
(2)得られた第1溶液中の溶媒を減圧留去した後、得られた残渣を酢酸エチルエステルに溶解して、水で洗浄した後静置し、上層の有機層である第2溶液を得る。
(3)得られた第2溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を除去して、胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体を得る。
前記工程(1)で使用される有機溶媒とは、特に限定されないが、例えば1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン、またはジメトキシエタンが使用され、好ましくは1,4−ジオキサンが用いられる。
前記工程(1)における有機溶媒の溶液中、胆汁酸は、1〜20重量%、好ましくは8〜13重量%含まれる。
前記工程(1)で使用される縮合剤としては、カルボジイミド系縮合剤が好適に用いられる。カルボジイミド系縮合剤としては、例えば、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボジイミドやジイソプロピルカルボジイミドが挙げられ、これらのうち、1‐エチル‐3‐(3‐ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩が好ましい。
前記工程(2)における溶媒除去する方法は限定されないが、例えば、エバポレーターのような減圧濃縮装置や加熱する方法が挙げられ、好ましくは減圧下留去される。得られた残渣は、酢酸エチルエステル等の水と混ざり合わない揮発性の有機溶媒に溶解して、水で(1〜5回、好ましくは3回程度)洗浄した後静置し、上層の有機層である第2溶液を得る。
前記工程(3)において、第2溶液を乾燥させるために、無水硫酸ナトリウムの代わりに、硫酸マグネシウムを添加してもよい。
工程(3)により得られた胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体は、N−アセチルシステインと縮合反応させるべく、以下の工程(4)が施される。
(4)胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体を、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジンのうちいずれかに溶解し、N−アセチルシステインと3級有機塩基を加えて、撹拌する。
前記工程(4)で使用される3級有機塩基は特に限定されないが、例えば、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、ジイソプロピルエチルアミン、トリブチルアミン等が挙げられ、好ましくはトリエチルアミンが使用される。
前記工程(4)における攪拌は、好ましくは、窒素気流下、1〜5時間室温で行われる。
前記工程(4)で得られた反応液中からN−アセチルシステイン抱合型胆汁酸を分離精製する工程(5)は以下のとおりである。
(5)工程(4)で得られた溶液中から溶媒を減圧下留去した後、残渣を酢酸エチルエステル、クロロホルム又はジクロロメタンのうちいずれかに溶解して洗浄した後、有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧下留去し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィーによって精製することによりN−アセチルシステイン抱合型胆汁酸を得る。
前記工程(5)において、工程(4)で得られた溶液中からの溶媒の除去は、例えば、エバポレーターのような減圧濃縮装置や加熱による溶媒除去する方法が好適に採用される。
前記工程(5)の洗浄処理は、1〜10%、好ましくは4〜6%の塩酸と水、或いはクエン酸水溶液と水、硫酸銅水溶液と水を用いて行われ、好ましくは塩酸と水を用いて洗浄される。この場合、望ましくは塩酸及び水で各々3回程度洗浄される。
前記工程(5)において、有機層を乾燥させるために、無水硫酸ナトリウムの代わりに、硫酸マグネシウムを添加してもよい。
前記工程(5)における無水硫酸ナトリウムで乾燥した後の溶媒除去は、例えば、エバポレーターのような減圧濃縮装置や加熱による溶媒除去が好適である。
前記工程(5)において、シリカゲルカラムクロマトグラフィー(例えば、クロロホルム:メタノール=30:1)を用いて、N−アセチルシステイン抱合型胆汁酸が精製される。
前記工程(5)により得られたN−アセチルシステイン抱合型胆汁酸の性状は、白色の粉末であり、無臭であり、味はわずかに苦味があるか、或いは全くない。
本発明のプロドラッグは、前記N−アセチルシステイン抱合型胆汁酸を有効成分として、この有効成分単独で、或いは前記した薬理学的に許容される担体、又は製剤素材として慣用の各種有機あるいは無機担体物質と混合して製造される。その製造方法は特に限定されないが、製剤技術分野において慣用の方法、例えば日本薬局方に記載の方法等により製造することができる。
以下、本発明を、実施例を用いてより詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
(1.N−アセチルシステイン抱合型胆汁酸の合成)
[試薬]
コール酸(以下、CA)はキシダ化学製を、デオキシコール酸(以下、DCA)は和光純薬工業製を、ケノデオキシコール酸(以下、CDCA)、ウルソデオキシコール酸(以下、UDCA)、リトコール酸(以下、LCA)、1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩はナカライテスク製を用いた。ウサギ肝由来エステラーゼ(80units/mg solid)はシグマ製を用いた。酢酸アンモニウム、アセトニトリル及びメタノールはいずれもナカライテスク社よりHPLC用を購入した。その他の試薬及び溶媒はいずれも市販特級品を用いた。
[器具]
Oasis HLBカートリッジ(3cc、60mg)はウォーターズ製を、メタノール(1 mL)と水(1 mL)で洗浄して用いた。
[装置]
H核磁気共鳴(NMR)スペクトルは、テトラメチルシラン(TMS)を内部標準物質として、JNM-ECX400(400MHz, 日本電子)を用いて測定した。マトリックス支援レーザー脱離イオン化飛行時間型質量分析計(MALDI TOF-MS)は、Kratos Kompact MALDI4(島津製作所)を用いた。胆汁酸とN−アセチルシステインとの抱合体(BA-NAC)各々のメタノール溶液(1mg/ml、0.5μL)と、2,5−ジヒドロ安息香酸の0.1% トリフルオロ酢酸含有50%アセトニトリル溶液(10mg/ml、0.5μL)を混合し、サンプルプレートに添加した。キャリブレーションは、アンジオテンシン(分子量 1047.20)を内部標準物質に用いて行った。リニアイオントラップ型液体クロマトグラフィー/エレクトロスプレーイオン化−質量分析システムは、Thermo Fisher Scientific 社のLTQ Ion trap MSnにMichrom BioResources 社の多次元高速液体クロマトグラフシステムParadigm MS4を装着し、試料はCTC Analytics社の多機能オートサンプラーHTC PALを用いて注入した。カラムにはTSKgel ODS−100V(5μm, 150×2.0 mm i.d.)(東ソー)、移動相は溶媒A [5mM酢酸アンモニウム (pH 6)]と溶媒B [アセトニトリル] を用い、30分間で30%溶媒Bから80%溶媒Bのグラジエント溶出を流速200μL/minで行った。なお、イオン化電圧は±4 kV、キャピラリー電圧は30V(正イオン検出)又は-40V(負イオン検出)、チューブレンズオフセット電圧は±100Vおよびキャピラリー温度は270℃に設定した。
(合成法)
各胆汁酸(即ち、UDCA、DCA、CDCA、CA及びLCA)のジオキサン(8mL)溶液に1−エチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド塩酸塩(1g)とp−ニトロフェノールを加え、3時間室温で撹拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルエステルに溶解し、水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、生成したp−ニトロフェニルエステル(1a〜1e)をジメチルホルムアミド(10mL)に溶解し、N−アセチルシステイン(1当量)とトリエチルアミン(2当量)を加え、窒素気流下、3時間室温で撹拌した。溶媒を減圧留去した後、残渣を酢酸エチルエステルに溶解し、5%塩酸及び水で洗浄した。有機層を無水硫酸ナトリウムで乾燥後、溶媒を減圧留去し、生成物をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(クロロホルム:メタノール=30:1)によって精製し目的とするN−アセチルシステイン抱合型胆汁酸を得た。図1に、各胆汁酸から、胆汁酸のp−ニトロフェニルエステル誘導体(1a〜1e)を経てN−アセチルシステイン抱合型胆汁酸(2a〜2e)が得られる合成の流れを示す。
得られたN−アセチルシステイン抱合型胆汁酸(図1中2a〜2e)の各種分析結果は下記のとおりである。
Figure 0005201546
Figure 0005201546
Figure 0005201546
Figure 0005201546
Figure 0005201546
(2.正イオン検出エレクトロスプレーイオン化−質量分析法によるN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸の構造解析)
コール酸のN−アセチルシステイン抱合体(CA-NAC: 2d)は、正イオン検出エレクトロスプレーイオン化−マススペクトルにおいてm/z 571にアンモニウム付加イオンが基準ピークとして認められるほか、相対強度は弱いもののプロトン化分子や、カリウム付加イオンが認められた。また、本イオンをプリカーサーイオンとするMS/MS分析では、プロトン化分子が基準ピークとして認められたが、イオン強度が弱く、安定したスペクトルを得ることができなかった。そこで、ソースCIDによってプロトン化分子の強度を増大させた後、本イオンをプリカーサーイオンとするMS/MS分析に付した。その結果、m/z 536に脱水イオンを基準ピークとして与え、本イオンより水分子が順次1〜3分子脱離したフラグメントイオンが観測された(図2参照)。
さらに、m/z 391にN-アセチルシステイン部分が脱離したイオンとともに、これより水分子が順次1〜4分子脱離したフラグメントイオンが観測された。以上、CA-NACのCIDスペクトルでは、構造上の特徴をよく反映したイオンが認められた。同様にして、他のN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸についてもESI−MSスペクトルを測定し、観測された特徴的なイオンをCA-NACとともに図3に示した。
図3が示すとおり、いずれの抱合体もプロトン化分子を基準ピークとして与え、これをプリカーサーイオンとするMS/MS分析ではCA-NACと同様のプロダクトイオンが認められ、これらの構造をよく支持していた。因みにステロイド核上に3個の水酸基を持つトリヒドロキシ胆汁酸のCAでは、プロトン化分子とプロトン化分子からNACが脱離したイオンより、1、2、3及び4分子の水が脱離したイオンが認められたのに対し、ジヒドロキシ胆汁酸であるCDCA、DCA、UDCAでは1、2、3分子、モノヒドロキシ胆汁酸であるLCAでは1、2分子の水が脱離したイオンが認められ、ステロイド核上の水酸基の数に比例した特徴的なフラグメントイオンを与えた。
(3.負イオン検出エレクトロスプレーイオン化−質量分析法によるN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸の構造解析)
CA-NACの負イオン検出エレクトロスプレーイオン化−マススペクトルでは、m/z 552に脱プロトン化分子が基準ピークとして認められ、これをプリカーサーイオンとするMS/MS分析では、m/z 407にチオエステル結合が開裂して、水酸基が置換したと思われるイオンが基準ピークとして認められた。また、m/z 423にはチオアミド結合が開裂したフラグメントイオン、さらにm/z 510に脱プロトン化分子よりケテンが脱離したイオンとこれより1分子の水が脱離したフラグメントイオンがm/z 492に観測された。さらに、m/z 458にはNHCOCHが脱離したイオンから2分子の水が脱離したイオンのほか、m/z 162には脱離したN-アセチルシステインの脱プロトン化分子が認められた(図4参照)。
同様に他のN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸についてもESI-マススペクトルを測定し、観測された特徴的イオンを図5に示した。いずれの抱合体も脱プロトン化分子をプリカーサーイオンとするCIDスペクトルでは、CA-NACと同様のプロダクトイオンが認められた。なお、負イオン検出では、正イオン検出で認められた水酸基の数に相関した脱水イオンの生成は認められなかった。以上のとおり、N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸の負イオン検出エレクトロスプレーイオン化−マススペクトルは、それらの構造をよく支持していた。
(4.N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のエステラーゼによる加水分解)
ウサギ肝由来エステラーゼ(80units/mg solid、25μg)を10 mMトリス-塩酸緩衝液(436.5 μL)に溶解し、N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸5種(即ち、UDCA-NAC、DCA-NAC、CDCA-NAC、CA-NAC及びLCA-NAC)のメタノール溶液(各 200 ng/μL)2.6〜2.8μL(各 1nmol)を添加し、37℃でインキュベートした。反応開始5分、10分、30分、1時間、2時間、6時間および24時間後の反応液から50μLを採取した。引き続き、内標準物質として12-オキソリトコール酸(12oxo-LCA)(0.1 nmol)を添加後、氷水液に浸漬して反応を停止後、Oasis HLBカートリッジに通導し、水(2 mL)で洗浄後、メタノール(1.5mL)で胆汁酸を溶出した。溶媒を窒素気流下で留去した後、残渣を30%アセトニトリル(50 μL)に溶解し、その一部(10 μL)をカラムにTSKgel(5 μm、150×2 mm i.d.)、移動相に(A)5 mM 酢酸アンモニウム(pH 6)と(B)アセトニトリルを流速200 μL/minで、30% B〜80% B(30分間)のリニアグラジエント溶出して用いる負イオン検出LC/ESI-MS/MS分析に付した。なお、加水分解反応によって生成する遊離型胆汁酸のモニタリングイオンとして、CAはm/z 467.3([M+CH3COO]-)を親イオンとするm/z 407.3([M-H]-)のプロダクトイオン、CDCA及びUDCAはm/z 451.3([M+CH3COO])を親イオンとするm/z 391.3([M-H]-)、DCAはm/z 391.3([M-H]-)を親イオンとするm/z 345.3([M-H-46]-)、LCAはm/z 435.3([M+CH3COO]-)を親イオンとするm/z 375.3([M-H]-)を用いた。(図6参照。)
その結果、インキュベート開始2時間でLCA-NACは約80%、CDCA-NACは約60%、UDCA-NACは40%、DCA-NACは40%、一方、CA-NACは約10%が加水分解された。インキュベート開始6時間後には、LCA-NACとCDCA-NACはほぼ完全に加水分解され、UDCA-NACは80%、DCA-NACとCA-NACは約50〜60%が加水分解された。24時間後のDCA-NACとCA-NACの未反応物は、それぞれ10%と40%であった。また、加水分解反応によって遊離した胆汁酸は、ESI-MSスペクトルにおいて明確に認められ、時間の経過とともに胆汁酸N-アセチルシステイン抱合体は減少し、遊離型胆汁酸が増大した(図7参照)。
(5.N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸の溶解性試験)
N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸を、水性溶剤として蒸留水とリンゲル液、非水性溶剤としてグリセリン、エタノールとオリーブ油を用いて20±5℃で5分ごとに30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける度合いを観察した。
<5.1 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸の蒸留水に対する溶解性試験>
N−アセチルシステイン抱合型胆汁酸(各1 mg)に水を加え、20±5℃で5分ごとに30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける度合いを観察した。その結果、UDCA-NACは水10 μL、CDCA-NACは水30 μLを用いるとき完全に溶解した。一方、CA-NAC、DCA-NAC、LCA-NACは水10 mLを用いても溶解しなかった。
<5.2 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のリンゲル液に対する溶解性試験>
N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸(各1 mg)にリンゲル液を加え、20±5℃で5分ごとに30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける度合いを観察した。その結果、UDCA-NACはリンゲル液20 μL、CDCA-NACはリンゲル液30 μLを用いるとき完全に溶解した。一方、CA-NAC、DCA-NAC、LCA-NACはリンゲル液10 mLを用いても溶解しなかった。
<5.3 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のグリセリンに対する溶解性試験>
N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸(各0.5 mg)にグリセリンを加え、20±5℃で5分ごとに30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける度合いを観察した。その結果、CA-NACは90 μL、CDCA-NACは1000 μL、DCA-NACは160 μL、UDCA-NACは500 μL、LCA-NACは500 μLのグリセリンを用いるとき完全に溶解した。
<5.4 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のエタノールに対する溶解性試験>
N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸(各0.5 mg)にエタノールを加え、20±5℃で5分ごとに30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける度合いを観察した。その結果、CA-NACは600 μL、CDCA-NACは10 μL、DCA-NACは20 μL、UDCA-NACは10 μL、LCA-NACは200 μLのエタノールを用いるとき完全に溶解した。
<5.5 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のオリーブ油に対する溶解性試験>
N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸(各0.5 mg)にオリーブ油を加え、20±5℃で5分ごとに30秒間振り混ぜ、30分以内に溶ける度合いを観察した。その結果、CA-NACは100 μL、CDCA-NACは300 μL、DCA-NACは250 μL、UDCA-NACは250 μL、LCA-NACは100 μLのオリーブ油を用いるとき完全に溶解した。
以上のとおり、特に、UDCA-NAC及びCDCA-NACは、蒸留水及びリンゲル液に対し高い溶解性を示すことがわかった。
N−アセチルシステイン抱合型胆汁酸の合成法の一連の流れを示す図である。 N-Acetyl-S-(cholyl)cysteine(CA-NAC)の正イオン検出ESI-MS並びにCIDスペクトルとフラグメンテーションの解析結果である。 正イオン検出ESI-MSnにおけるN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のフラグメントイオンを示す表である。 N-Acetyl-S-(cholyl)cysteine(CA-NAC)の負イオン検出ESI-MS並びにCIDスペクトルとフラグメンテーションの解析結果である。 負イオン検出ESI-MSnにおけるN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のフラグメントイオンを示す表である。 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のエステラーゼによる加水分解試験における、24時間インキュベートした反応液のマスクロマトグラムを示す図である。 N-アセチルシステイン抱合型胆汁酸のエステラーゼによる加水分解におけるN-アセチルシステイン抱合型胆汁酸量と胆汁酸量の経時的変化を示す図である。 UDCA-NACのNMRスペクトルである。 CDCA - NACのNMRスペクトルである。 DCA -NACのNMRスペクトルである。 CA -NACのNMRスペクトルである。 LCA -NACのNMRスペクトルである。

Claims (10)

  1. 式(化1)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸及び、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかであることを特徴とするN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸
    Figure 0005201546
    (a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
  2. 式(化2)の(a)で表される(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸であることを特徴とする請求項1に記載のN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸
    Figure 0005201546
    (a:R=β‐OH、R=H)
  3. 請求項1又は2に記載のN‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸を有効成分とするプロドラッグからなる医薬組成物。
  4. なくとも前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が溶解した溶液からなる液状製剤であること特徴とする請求項3に記載の医薬組成物
  5. なくとも前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が溶解した水溶液であることを特徴とする請求項に記載の医薬組成物
  6. 前記水溶液が、N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、水に対し0.001〜10重量%含有されてなることを特徴とする請求項5に記載の医薬組成物
  7. N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の製造方法であって、胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体とN−アセチルシステインを縮合反応させる工程を含み、
    前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、下式(化3)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸及び、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかであることを特徴とする製造方法
    Figure 0005201546
    (a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
  8. 記胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体が、下式(化4)の(A)乃至(E)で表される(A)ウルソデオキシコール酸、(B)ケノデオキシコール酸、(C)デオキシコール酸、(D)コール酸、及び(E)リトコール酸のうちいずれかのp‐ニトロフェニルエステル誘導体であることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
    Figure 0005201546
    (A:R=β‐OH、R=H、B:R=α‐OH、R=H、C:R=H、R=OH、D:R=α‐OH、R=OH、E:R=R=H)
  9. 前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、下式(化5)の(a)で表される(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸であって、
    前記胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体が、下式(化6)の(A)で表される(A)ウルソデオキシコール酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体であることを特徴とする請求項8に記載の製造方法。
    Figure 0005201546
    (a:R=β‐OH、R=H)
    Figure 0005201546
    (A:R=β‐OH、R=H)
  10. N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸の製造方法であって、下記の工程(1)乃至(4)を含み、前記N‐アセチルシステイン抱合型胆汁酸が、下式(化7)の(a)乃至(e)で表される、(a)N‐アセチルシステイン抱合型ウルソデオキシコール酸、(b)N‐アセチルシステイン抱合型ケノデオキシコール酸、(c)N‐アセチルシステイン抱合型デオキシコール酸、(d)N‐アセチルシステイン抱合型コール酸及び、(e)N‐アセチルシステイン抱合型リトコール酸のうちいずれかであることを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
    (1)胆汁酸を含んだ有機溶媒に、縮合剤とp‐ニトロフェノールを加えて第1溶液を調製する。
    (2)得られた第1溶液中の溶媒を減圧留去した後、得られた残渣を酢酸エチルエステルに溶解して、水で洗浄した後静置し、上層の有機層である第2溶液を得る。
    (3)得られた第2溶液を無水硫酸ナトリウムで乾燥した後、溶媒を除去して、胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体を得る。
    (4)胆汁酸のp‐ニトロフェニルエステル誘導体を、N,N−ジメチルホルムアミド、N-メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、ピリジンのうちいずれかに溶解し、N−アセチルシステインと3級有機塩基を加えて、撹拌する。
    Figure 0005201546
    (a:R=β‐OH、R=H、b:R=α‐OH、R=H、c:R=H、R=OH、d:R=α‐OH、R=OH、e:R=R=H)
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