JP5183885B2 - 光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法 - Google Patents

光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP5183885B2
JP5183885B2 JP2006131952A JP2006131952A JP5183885B2 JP 5183885 B2 JP5183885 B2 JP 5183885B2 JP 2006131952 A JP2006131952 A JP 2006131952A JP 2006131952 A JP2006131952 A JP 2006131952A JP 5183885 B2 JP5183885 B2 JP 5183885B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
optically active
group
formula
hydrogen atom
zirconium
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2006131952A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2006342157A (ja
Inventor
史朗 坪倉
信広 梅田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Soda Co Ltd
Original Assignee
Nippon Soda Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Soda Co Ltd filed Critical Nippon Soda Co Ltd
Priority to JP2006131952A priority Critical patent/JP5183885B2/ja
Publication of JP2006342157A publication Critical patent/JP2006342157A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5183885B2 publication Critical patent/JP5183885B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02PCLIMATE CHANGE MITIGATION TECHNOLOGIES IN THE PRODUCTION OR PROCESSING OF GOODS
    • Y02P20/00Technologies relating to chemical industry
    • Y02P20/50Improvements relating to the production of bulk chemicals
    • Y02P20/52Improvements relating to the production of bulk chemicals using catalysts, e.g. selective catalysts

Landscapes

  • Furan Compounds (AREA)
  • Epoxy Compounds (AREA)
  • Catalysts (AREA)
  • Low-Molecular Organic Synthesis Reactions Using Catalysts (AREA)

Description

本発明は、医薬、農薬、電子材料等の製造原料等の製造中間体として有用な光学活性ジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法に関する。
近年、生体内での過酸化脂質の生成とそれに付随したラジカル反応が、膜障害や細胞障害等を介して、生体に種々の悪影響を及ぼすことが明らかになってきた。それに伴い、抗酸化薬及び過酸化脂質生成抑制薬等(抗酸化薬等)の医薬への応用が種々試みられており、多くの抗酸化薬等の研究がなされている(非特許文献1)。
かかる抗酸化薬等として、多くのジヒドロベンゾフラン骨格又はクロマン骨格を含有する化合物が知られている。2−ヒドロキシメチルジヒドロベンゾフラン誘導体又は2−ヒドロキシメチルクロマン誘導体は、その重要な中間体となる化合物であり、特にその光学活性体の効率の良い合成が望まれている。
従来、光学活性な2−ヒドロキシメチルジヒドロベンゾフラン誘導体等を選択的に製造する方法として、o−アルケニルフェノール誘導体に光学活性チタン錯体及び酸化剤を用いて不斉エポキシ化を行い、続いて不斉を保持して分子内環化する方法(非特許文献2)が知られていた。しかしながら、上記方法では、目的物の光学純度及び/又は収率が低いという問題があった。
一方、ジルコニウム化合物を用いた不斉エポキシ化反応としては、ホモアリルアルコールを基質に用いた例(非特許文献3)、またはその改良例(非特許文献4)が知られていたが、o−アルケニルフェノール誘導体を不斉エポキシ化した例は知られていなかった。
J.Amer.Oil Chemists,Soc.,51,200(1974) J.Organometal.Chem.,370,C13−C16(1989) Chem.Lett.,83,(1987) Org.Lett.,5,85,(2003)
本発明は、上述した従来技術の実情に鑑みてなされたものであり、医薬、農薬、電子材料等の製造原料として有用な、光学活性2−ヒドロキシメチルジヒドロベンゾフラン誘導体及び2−ヒドロキシメチルクロマン誘導体を、高い光学純度で、簡便かつ収率よく、しかも安価に製造する方法を提供することを課題とする。
一般的に、例えば、シャープレス酸化として知られる光学活性チタン錯体を用いた不斉エポキシ化反応は、基質にアリルアルコールを用いた場合には、高い光学純度でエポキシ化を行えるが、オレフィン部位と水酸基の間の炭素数が異なる他のアルケニルアルコールを基質に用いた場合には、光学収率が低下するように、不斉エポキシ化に使用する光学活性錯体に使用する金属により基質特異性があると考えられていた。従って、光学活性ジルコニウム錯体を用いるエポキシ化は、ホモアリルアルコールが適しており、その他の基質を用いた場合には、光学収率が著しく低下すると考えられていた。
本発明者らは、水酸基とオレフィンの位置が最適とされる基質と異なっていても、立体の固定された後記する式(1)で表されるo−アルケニルフェノール誘導体(以下、「o−アルケニルフェノール誘導体(1)」ということもある。)であれば、ホモアリルアルコールに近い立体配置をとることができ、光学活性ジルコニウム錯体を用いて高い光学収率でエポキシ化が行えるのではないかと考え、鋭意研究した。その結果、後記する式(4)で表される光学活性エポキシ誘導体(以下、「光学活性エポキシ誘導体(4)」ということもある。)を高い光学純度及び収率で合成できることを見出し、さらに分子内閉環反応を続けて行うことにより、後記する式(3)で表される光学活性化合物(以下、「光学活性化合物(3)」ということもある。)も不斉を保持したまま合成し、本発明を完成するに至った。
かくして本発明の第1によれば、下記(1)〜(6)いずれかの光学活性化合物の製造方法が提供される。
(1)式(1)
Figure 0005183885
[式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、
R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、式:NR8R9(R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基、若しくは置換基を有していてもよいベンゾイル基を表す。)で表される基、式:OR10(R10は、水素原子、C1−6アルキル基、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、若しくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される基、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。
Aは、式(2)
Figure 0005183885
(式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、nは1又は2を表す。nが2のとき、R11及びR12は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。)で表される基を表す。]で示されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させた後、閉環反応を行うことを特徴とする、式(3)
Figure 0005183885
(式中、R1〜R7、及びAは、前記と同じ意味を表し、*は不斉炭素原子を表し、*は不斉であってもよい炭素原子を表す。)で示される光学活性化合物の製造方法。
(2)前記式(1)で表されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させることにより、式(4)
Figure 0005183885
(式中、R1〜R7、A、*、及び*は、前記と同じ意味を表す。)で表される光学活性エポキシ誘導体を得る工程を有することを特徴とする(1)の光学活性化合物の製造方法。
(3)前記光学活性ジルコニウム錯体として、ジルコニウムアルコキシド化合物又はジルコニウムハライド化合物に、光学活性ジオール化合物を作用させて得られる錯体を用いることを特徴とする(1)又は(2)の光学活性化合物の製造方法。
(4)前記光学活性ジオール化合物として、光学活性酒石酸ジエステル化合物又は光学活性酒石酸ジアミド化合物を用いることを特徴とする(3)の光学活性化合物の製造方法。
(5)前記式(4)で表される光学活性エポキシ誘導体を得る工程が、前記式(1)で表されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体及びモレキュラーシーブスの存在下、酸化剤を作用させるものであることを特徴とする(2)〜(4)いずれかの光学活性化合物の製造方法。
(6)前記酸化剤として、式(5)
Figure 0005183885
(式中、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)で表されるヒドロペルオキシドを用いることを特徴とする(1)〜(5)いずれかの光学活性化合物の製造方法。
本発明の第2によれば、下記(7)の光学活性エポキシ誘導体の製造方法が提供される。
(7)前記式(1)で表されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させることを特徴とする、式(4)
Figure 0005183885
(式中、R1〜R7、A、*、及び*は、前記と同じ意味を表す。)で表される光学活性エポキシ誘導体の製造方法。
本発明の製造方法によれば、特殊な反応条件や高価な試薬を必要とすることなく、簡便な方法により、高い光学純度で、収率よく、しかも安価に、光学活性2−ヒドロキシメチルジヒドロベンゾフラン誘導体及び2−ヒドロキシメチルクロマン誘導体を得ることができる。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明は、o−アルケニルフェノール誘導体(1)に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させた後、閉環反応を行うことを特徴とする、光学活性化合物(3)の製造方法である。
本発明の製造方法の概要を下記反応スキームに示す。
Figure 0005183885
すなわち、本発明は、(A)o−アルケニルフェノール誘導体(1)に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させることで、式(4)で表される光学活性エポキシ誘導体(以下、「光学活性エポキシ誘導体(4)」ということがある。)とし(不斉エポキシ化反応)、次いで、光学活性エポキシ誘導体(4)の単離を行い又は行わずに、(B)光学活性エポキシ誘導体(4)を含む反応液に、所望により酸又は塩基触媒の存在下、所定温度で攪拌する(閉環反応)ことにより、光学活性化合物(3)を製造する方法である。
(A)不斉エポキシ化反応
o−アルケニルフェノール誘導体(1)に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させる。
(1)o−アルケニルフェノール誘導体(1)
出発原料として用いるo−アルケニルフェノール誘導体(1)において、前記式(1)中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して水素原子又はC1−6アルキル基を表す。
1−6アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基等が挙げられる。
R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、式:NR8R9(R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基、若しくは置換基を有していてもよいベンゾイル基を表す。)で表される基、式:OR10(R10は、水素原子、C1−6アルキル基、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、若しくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される基、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。
R4〜R10のC1−6アルキル基としては、前記R1〜R3のC1−6アルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
R8〜R10のC1−6アルキルカルボニル基としては、例えば、アセチル基、プロピオニル基、ブチリル基、イソブチリル基、バレリル基、ピバロイル基等が挙げられる。
R8〜R10のベンゾイル基及びベンジル基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子等が挙げられる。
また、R4〜R7のハロゲン原子としては、例えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
Aは、前記式(2)で表される基を表す。
R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−6アルキル基を表す。C1−6アルキル基としては、前記R1〜R3のC1−6アルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
nは1又は2を表し、nが2のとき、R11及びR12は、それぞれ同一であっても相異なっていてもよい。
o−アルケニルフェノール誘導体(1)は、例えば、国際公開第04/092163号パンフレットに記載された方法等の公知の方法によって製造することができる。
(2)光学活性ジルコニウム錯体
本発明においては、光学活性ジルコニウム錯体を不斉酸化触媒として用いる。光学活性ジルコニウム錯体を用いることで、室温付近で反応を行うことができ、高い光学純度で収率よく、目的とする光学活性2−ヒドロキシメチルジヒドロベンゾフラン誘導体及び2−ヒドロキシメチルクロマン誘導体を得ることができる。
本発明に用いる光学活性ジルコニウム錯体としては、o−アルケニルフェノール誘導体(1)の側鎖アルケニル基を不斉エポキシ化する反応を触媒する機能を有する光学活性なジルコニウム錯体であれば、特に制限されない。なお、用いるジルコニウム錯体の中心金属であるジルコニウムの原子価は、通常4価である。
本発明に用いる光学活性ジルコニウム錯体は、ジルコニウム原子に光学活性配位子が配位してなるジルコニウム錯体である。
このような光学活性ジルコニウム錯体は、ジルコニウム化合物と光学活性配位子との配位子交換反応により調製することができる。
光学活性ジルコニウム錯体の調製に用いるジルコニウム化合物としては、光学活性配位子の配位子交換反応により光学活性ジルコニウム錯体を得ることができるものであれば、特に制約はない。なかでも、入手が容易で、効率よく光学活性ジルコニウム錯体を得ることができることから、ジルコニウムアルコキシド化合物及びジルコニウムハライド化合物が好ましい。
ジルコニウムアルコキシド化合物のアルコキシル基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、s−ブトキシ基、t−ブトキシ基等のC1−6アルコキシル基が挙げられる。
また、ジルコニウムハライド化合物のハロゲンとしては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
ジルコニウムアルコキシド化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムテトラメトキシド、ジルコニウムテトラエトキシド、ジルコニウムテトラn−プロポキシド、ジルニウムテトライソプロポキシド、ジルコニウムテトラn−ブトキシド、ジルコニウムテトラt−ブトキシド等が挙げられる。
ジルコニウムハライド化合物の具体例としては、例えば、ジルコニウムテトラクロリド、ジルコニウムテトラブロマイド等が挙げられる。
また、光学活性ジルコニウム錯体を調製する際においては、ジルコニウム化合物のアルコール溶液を用いてもよい。この場合は、溶液のまま用いてもよいし、蒸留等によりアルコールを除去した後、ジルコニウム化合物を他の溶媒に溶解させたものを用いてもよい。また、光学活性ジルコニウム錯体を調製しながら、又は調製した後に、濃縮することにより、あるいはモレキュラーシーブス等によりアルコールを除去してもよい。
光学活性ジルコニウム錯体の調製法としては、例えば、溶媒中に真空加熱乾燥を行ったモレキュラーシーブスを加え、これに、アルコール溶液であってもよいジルコニウムアルコキシド又はジルコニウムハライド、及び光学活性配位子を順次添加し、撹拌し光学活性ジルコニウム錯体を調製する。得られた光学活性ジルコニウム溶液はそのままエポキシ化反応に用いてもよいし、必要であれば溶媒濃縮等によりアルコールを除去した後、再度溶媒を加えて用いてもよい。
光学活性ジルコニウム錯体の調製に用いる溶媒としては、後記するエポキシ化反応における使用溶媒と同じ例示をすることができる。光学活性ジルコニウム錯体の調製と、エポキシ化反応及び閉環反応は同じ溶媒でもよいし異なっても良い。
光学活性ジルコニウム錯体の調製に用いる光学活性配位子としては、ジルコニウム原子に配位できる光学活性化合物であれば、特に制約はなく、単座配位子であっても多座配位子であってもよい。なかでも、本発明の製造方法に用いるのに好適な光学活性ジルコニウム錯体が得られることから、光学活性ジオール化合物が好ましく、光学活性酒石酸ジエステル化合物又は光学活性酒石酸ジアミド化合物が特に好ましい。
光学活性酒石酸ジエステル化合物としては、光学活性酒石酸ジアルキルエステル、光学活性酒石酸ジアリールエステル、光学活性酒石酸ジアラルキルエステル、光学活性酒石酸アルキルアリールエステル、光学活性酒石酸アルキルアラルキルエステル、光学活性酒石酸アラルキルアリールエステル等が挙げられる。また、光学活性酒石酸ジアミド化合物としては、光学活性酒石酸ジアルキルアミド、光学活性酒石酸ジアリールアミド、光学活性酒石酸ジアラルキルアミド等が挙げられる。
光学活性酒石酸ジアルキルエステルのエステル部を構成するアルキル基としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等が挙げられ、ハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、エステル部を構成するアルキル基同士は、同一であっても相異なっていてもよい。
光学活性酒石酸ジアリールエステルのエステル部を構成するアリール基としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、例えば、フェニル基、1−ナフチル基、2−ナフチル基等が挙げられ、アルキル基又はハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、エステル部を構成するアリール基同士は、同一であっても相異なっていてもよい。
光学活性酒石酸ジアラルキルエステルのエステル部を構成するアラルキル基としては、反応を阻害しないものであれば特に制限はなく、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α、α−ジメチルベンジル基、フェネチル基、3−フェニルプロピル基等が挙げられ、アルキル基又はハロゲン原子等で置換されていてもよい。また、エステル部を構成するアラルキル基同士は、同一であっても相異なっていてもよい。
光学活性酒石酸アルキルアリールエステル、光学活性酒石酸アルキルアラルキルエステル、光学活性酒石酸アラルキルアリールエステルのエステル部を構成するアルキル基、アリール基、アラルキル基としては、上述した光学活性酒石酸ジアルキルエステル、光学活性酒石酸ジアリールエステル、光学活性酒石酸ジアラルキルエステルの、アルキル基、アリール基、アラルキル基として列記したものと同様のものが挙げられる。
光学活性酒石酸ジアミド化合物のアミド部を構成するアミド基としては、メチルアミド基、エチルアミド基、プロピルアミド基等のアルキルアミド基;ジメチルアミド基、ジエチルアミド基、ジプロピルアミド基等のジアルキルアミド基;フェニルアミド基等のアリールアミド基;ジフェニルアミド基等のジアリールアミド基;ベンジルアミド基等のアラルキルアミド基;ジベンジルアミド基等のジアラルキルアミド基;メチルフェニルアミド基、エチルフェニルアミド基等のアルキルアリールアミド基;等が挙げられる。また、アミド部を構成するアミド基同士は、同一であっても相異なっていてもよい
前記ジルコニウム化合物と光学活性配位子との配位子交換反応における光学活性配位子の使用量は、配位子の種類、反応条件等により適宜定めることができるが、用いるジルコニウム化合物1モルに対して、通常0.1〜10モルが好ましい。調製した光学活性ジルコニウム錯体のジルコニウムと光学活性配位子の比は、ジルコニウム原子:単座配位子=1:1〜6(モル比)、ジルコニウム原子:二座配位子=1:1〜3(モル比)であることが好ましい。
前記ジルコニウム化合物と光学活性配位子との配位子交換反応の反応温度は、通常、−78℃〜+100℃、好ましくは、−40℃〜+80℃、より好ましくは−10℃〜室温である。
以上のようにして調製される光学活性ジルコニウム錯体は単離することができる。また、単離することなく光学活性ジルコニウム錯体を調製した反応液をそのままo−アルケニルフェノール誘導体(1)の不斉エポキシ化反応に用いることもできる。光学活性ジルコニウム錯体が不安定である場合や、作業効率等を考慮すると、後者が好ましい。
(3)酸化剤
本発明に用いる酸化剤としては、o−アルケニルフェノール誘導体(1)の側鎖アルケニル基の炭素−炭素二重結合を不斉エポキシ化するものであれば、特に制約されず、種々の化合物が使用できる。例えば、過酸化水素;過ギ酸、過酢酸、メタクロロ過安息香酸等のペルオキシカルボン酸;前記式(5)
Figure 0005183885
で表されるヒドロペルオキシド;等が挙げられる。これらの中でも、収率よく目的物が得られることから、上記式(5)で表されるヒドロペルオキシドを用いることが好ましい。
上記式(5)中、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。
1−6アルキル基としては、前記R1〜R3のC1−6アルキル基として例示したものと同様のものが挙げられる。
フェニル基の置換基としては、例えば、メチル基、エチル基等のアルキル基;フッ素原子、塩素原子等のハロゲン原子;等が挙げられる。
前記式(5)で表されるヒドロペルオキシドの具体例としては、例えば、t−ブチルヒドロペルオキシド、イソプロピルクミルヒドロペルオキシド、クメンヒドロペルオキシド、トリフェニルメチルヒドロペルオキシド等が挙げられ、光学収率の点から、より嵩高いクメンヒドロペルオキシド、トリフェニルメチルヒドロペルオキシドが好ましく、さらに入手容易の容易さの点からも、クメンヒドロペルオキシドが特に好ましい。
(4)不斉エポキシ化反応
o−アルケニルフェノール誘導体(1)の不斉エポキシ化反応を行う方法としては、例えば、(a)o−アルケニルフェノール誘導体(1)の溶媒溶液に、所定量の光学活性ジルコニウム錯体(又は光学活性ジルコニウム錯体の溶液)及び酸化剤を添加して、全容を所定温度で攪拌する方法、(b)光学活性ジルコニウム錯体の溶液に、所定量のo−アルケニルフェノール誘導体(1)(又はo−アルケニルフェノール誘導体(1)の溶液)、及び酸化剤を添加して、全容を所定温度で攪拌する方法、等が挙げられ、作業効率の観点からは、後者の方法が好ましい。
上記不斉エポキシ化反応において、光学活性ジルコニウム錯体の使用量は、特に制限されないが、o−アルケニルフェノール誘導体(1)1モルに対して、通常0.001〜5モル、好ましくは0.1〜3モルの範囲であり、より好ましくは0.1〜0.4モルの範囲である。
また酸化剤の使用量は、特に制限されないが、用いるo−アルケニルフェノール誘導体(1)1モルに対して、通常1〜5モル、好ましくは1.5〜3モルの範囲であり、より好ましくは1.5〜2.2モルの範囲である。
不斉エポキシ化反応は、有機溶媒中で行なうのが好ましい。用いる有機溶媒としては、不斉エポキシ化反応に対して不活性なものであれば特に限定されない。具体的には、n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン、シクロヘプタン等の脂肪族炭化水素類;ベンゼン、トルエン、キシレン、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の芳香族炭化水素類;ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン等のハロゲン化炭化水素類;テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル等のエーテル類;酢酸メチル、酢酸エチル等のエステル類;アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン類;等が挙げられる。
不斉エポキシ化反応の反応温度は、反応を阻害しない温度であれば特に制限されないが、通常、−78℃〜+100℃、好ましくは、−10℃〜+60℃、より好ましくは0℃〜30℃である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から2週間である。
本発明においては、o−アルケニルフェノール誘導体(1)の不斉エポキシ化反応をモレキュラーシーブスの存在下で行うのが好ましい。モレキュラーシーブスを使用することで、反応系の不純物や水分が除去され、反応をより円滑に進行させることができる。
用いるモレキュラーシーブスの粒径や細孔径等は特に限定されず、光学活性ジルコニウム錯体や溶媒の種類に応じて適宜選択すればよい。なかでも、低コストで入手しやすいことから、細孔径が3A、4A、5A、13Xのモレキュラーシーブスが好ましい。光学活性ジルコニウム錯体を調製する際にアルコールが副生する場合は、光学収率を上げるために、光学活性ジルコニウム錯体の光学活性配位子と置換する可能性のある副生するアルコールを吸着するモレキュラーシーブスを用いることが好ましいと考えられる。ジルコニウムテトラt−ブトキシドを用いて光学活性ジルコニウム錯体を調製する場合は、t−ブタノールを吸着する細孔径が5Aのモレキュラーシーブスが特に好ましい。
また、用いるモレキュラーシーブスは、予め真空下で加熱乾燥し、不純物や水分を除去した後に使用するのが好ましい。またモレキュラーシーブスの使用量は、用いるジルコニウム化合物1モルに対して、通常0.01g〜10g、好ましくは0.01g〜4gの範囲である。
さらに、本発明においては、モレキュラーシーブスに代えて、類似の酸化物もしくは複合酸化物のうち、同様の効果の得られるもの、例えば、ジビニルベンゼン架橋型ポリスチレン、硫酸カルシウム等からなるDrierite(W.A.Hammond Drierite Co.の登録商標)、SiO等からなる吸着剤Celite(Celite Corporation(World Minerals Inc.)の登録商標)等を用いることもできる。
前記o−アルケニルフェノール誘導体(1)の不斉エポキシ化反応により、高い光学純度を有する光学活性エポキシ誘導体(4)を得ることができる。
前記式(4)中、R1〜R7、及びAは前記と同じ意味を表す。*は不斉炭素原子を表し、*は不斉であってもよい炭素原子を表す。
光学活性エポキシ誘導体(4)の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定することができる。
光学活性エポキシ誘導体(4)は、常法により単離することができるが、そのまま、連続的に次の閉環反応を行うこともできる。作業効率の上からは、反応溶液をそのまま次工程に用いるのが好ましい。
(B)閉環反応
前記不斉エポキシ化反応により得られた光学活性エポキシ誘導体(4)の閉環反応を行うことにより、不斉を保持した光学活性化合物(3)を得ることができる。
光学活性エポキシ誘導体(4)の閉環反応は、光学活性エポキシ誘導体(4)を含む溶媒溶液を、所望により酸又は塩基の存在下、所定温度で攪拌することにより行う。
光学活性エポキシ誘導体(4)の閉環反応に用いる溶媒としては、上述した不斉エポキシ化反応に用いることができる溶媒として列記したものと同様のものが挙げられる。また、上述したように、閉環反応は不斉エポキシ化反応により得られた反応液をそのまま用いて連続的に行うことができるが、不斉エポキシ化反応により得られた反応液から溶媒を除去し、異なる溶媒に置換した後に閉環反応を実施することもできる。
閉環反応は、酸又は塩基の存在下に行うことができる。酸又は塩基の存在下に反応を行うことで、閉環反応をより円滑に進行させることができる場合がある。
ここで用いる酸としては、特に制限はないが、例えば、酢酸、トリフルオロ酢酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸;塩酸、硫酸等の無機酸;塩化亜鉛、塩化第2スズ等のルイス酸;等が挙げられる。
用いる塩基としては、特に制限はないが、トリエチルアミン、ピリジン等の有機塩基;水酸化ナトリウム、炭酸カリウム等の無機塩基;等が挙げられる。
酸又は塩基の使用量は、特に制限されないが、光学活性エポキシ誘導体(4)に対し、通常、0.001〜10当量、好ましくは0.01〜3当量である。
閉環反応の反応温度は、通常、0℃〜200℃、好ましくは0℃〜150℃の範囲であり、より好ましくは0℃〜室温の範囲である。
反応時間は、反応規模等にもよるが、通常、数分から数日間、好ましくは、1〜8時間である。
以上のようにして、光学活性化合物(3)を収率よく得ることができる。前記式(3)中、R1〜R7、A、*及び*は前記と同じ意味を表す。
本発明の製造方法により得られる光学活性化合物(3)を、公知の精製手段により、さらに光学純度が高い光学活性体とすることができる。精製手段としては、再結晶する方法や、光学活性化合物(3)を適当な化合物に変換し、そのものを再結晶した後、光学活性化合物(3)に再変換する方法等が挙げられる。
光学活性化合物(3)の光学純度は、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定することができる。
本発明によって得られる光学活性化合物(3)は、医薬、農薬、電子材料等の製造原料、特に、脳血管障害治療薬や網膜障害治療薬等の医薬の製造原料として有用である。
以下、実施例によって本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
得られた化合物の光学純度は、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて測定した。HPLCとしては順相系又は逆相系のいずれかを用いた。測定条件を以下に示す。
<順相系HPLC測定条件>
カラム:CHIRALPAK AD−H(ダイセル化学工業(株)製)
移動相:n−ヘキサン:イソプロパノール=50:1(容積比)
カラム温度:35℃
測定波長:254nm
流速:1ml/min
2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランの保持時間:7.1min(R体)、8.5min(S体)
<逆相系HPLC測定条件>
カラム:CHIRALPAK AD−RH(ダイセル化学工業(株)製)
移動相:水:アセトニトリル=3:1(容積比)
カラム温度:25℃
測定波長:254nm
流速:0.5ml/min
2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランの保持時間:52.5min(R体)、55.9min(S体)
国際公開第04/092163号パンフレットに記載のラセミ体である2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランの合成法に従い反応を行い、H−NMRを測定し、2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランのH−NMRスペクトルデータを確認した。
(CDCl、TMS)δppm:1.4(s,3H),2.1(s,3H),2.1(s,3H),2.2(s,3H),2.8(d,1H),3.1(d,1H),6.5(s,1H)
(実施例1〜8)
実施例1〜8では、光学活性な2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランを合成した。反応式を下記に示す。
Figure 0005183885
実施例1
窒素雰囲気下、モノクロロベンゼン5mlに、モレキュラーシーブス4A 0.50g、ジルコニウムテトラt−ブトキシド0.20g(0.52ミリモル)、(L)−酒石酸ジイソプロピルエステル0.13g(0.55ミリモル)を加え、全容を室温で1時間撹拌して、光学活性ジルコニウム錯体の溶液を調製した。
次いで、得られた光学活性ジルコニウム錯体の溶液に、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチルアリル)フェノール0.56g(2.94ミリモル)、及びクメンヒドロペルオキシド1.02g(5.90ミリモル)を室温で加え、全容を室温で24時間撹拌した。
反応溶液に、1規定水酸化ナトリウム水溶液25mlとクロロホルム25mlとを加え、全容を室温で3時間撹拌した後、セライトろ過により不溶物をろ過し、クロロホルム25mlで洗浄した。有機層を分取し、水層をクロロホルム25mlで抽出し、分取した有機層を先の有機層と混合した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液から溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:n−ヘキサン:酢酸エチル=9:1(容積比))で精製することにより目的物を主成分として含む混合物を得た。
この混合物のH−NMRスペクトルを測定した結果、目的とする2−ヒドロキシメチル2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランの他に、クメンヒドロペルオキシド及びクミルアルコールが不純物として含まれていることがわかった。H−NMRスペクトルデータから存在モル比を計算した結果、目的物である2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランが0.19g含まれていることを確認した。目的物の収率は31%であった。また、HPLCを用いて測定した結果、目的物の光学純度は43%ee(エナンチオマー過剰率)であった。
実施例1で得られた光学活性な2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランを、国際公開第04/092163号パンフレットに記載された方法により、文献(J.Med.Chem.,40,559−573,(1997))に記載された化合物(TAK−218)へ誘導し、この化合物を同文献に記載のHPLC測定条件で分析した。その結果、実施例1で得られた2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランは、R体であることが確認された。
実施例2
実施例1において、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチルアリル)フェノール、クメンヒドロペルオキシドを加える温度を0℃とし、室温で24時間撹拌することに代えて、10℃にコントロールしながら72時間撹拌する以外は、実施例1と同様の操作を行なったところ、目的物を主成分として含む混合物を得た。その結果、実施例1と同じ目的物を主成分として含む混合物が0.42g得られた。目的物の収率は69%、光学純度は78%eeであった。
実施例3
実施例1において、(L)−酒石酸ジイソプロピルエステルの仕込量を0.13gに代えて、0.25g(1.07ミリモル)とした以外は、実施例1と同様の操作を行なったところ、目的物を主成分として含む混合物を得た。その結果、実施例1と同じ目的物が0.41g得られた。目的物の収率は68%、光学純度は83%eeであった。
得られた混合物を加熱することにより、不純物を減圧除去し、得られた残留物をn−ヘキサンから再結晶することで、単離した目的物を0.17g得た。目的物の収率は28%、光学純度が98%eeであった。
実施例4
窒素雰囲気下、モノクロロベンゼン5mlにモレキュラーシーブス4A 0.50g、ジルコニウムテトラt−ブトキシド0.20g(0.52ミリモル)、(L)−酒石酸ジイソプロピルエステル0.13g(0.55ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌した後に、減圧留去により溶媒を除去し、さらにモノクロロベンゼン5mlを加えて減圧留去により溶媒を除去する作業を2回繰り返し、光学活性ジルコニウム錯体の溶液を調製した。
上記で得られた光学活性ジルコニウム錯体の溶液に、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチルアリル)フェノール0.56g(2.94ミリモル)、クメンヒドロペルオキシド1.02g(5.90ミリモル)を室温で加え、全容を22℃にコントロールしながら24時間攪拌した。
次に、得られた反応溶液に、1規定水酸化ナトリウム水溶液25mlとクロロホルム25mlとを加え、全容を室温で3時間撹拌した後、セライトろ過により不溶物をろ過し、クロロホルム25mlで洗浄した。有機層を分取し、水層をクロロホルム25mlで抽出し、分取した有機層を先の有機層と混合した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液から溶媒を減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=9:1(容積比))で精製し、目的物を主成分として含む混合物を得た。
得られた混合物のH−NMRスペクトル及びHPLCを測定した結果、目的物が0.40g得られたことがわかった。目的物の収率は66%、光学純度は87%eeであった。
実施例5
実施例4において、溶媒をn−ヘキサンに変更する以外は実施例4と同様の操作を行なったところ、目的物を主成分として含む混合物を得た。その結果、目的物が0.42g得られた。目的物の収率は69%、光学純度は84%eeであった。
実施例6
実施例4において、ジルコニウムテトラt−ブトキシドに代えて、85%ジルコニウムテトラn−ブトキシドのn−ブタノール溶液0.24g(0.52ミリモル)を用い、(L)−酒石酸ジイソプロピルエステルの仕込量を0.39g(1.66ミリモル)に変更する以外は、実施例4と同様の操作を行なったところ、目的物を主成分として含む混合物を得た。その結果、目的物が0.39g得られた。目的物の収率は64%、光学純度は89%eeであった。
実施例7
実施例3において、モレキュラーシーブスとしてモレキュラーシーブス5A 1.0gを用い、室温で24時間撹拌することに代えて、22℃にコントロールしながら24時間撹拌する以外は実施例1と同様の操作を行なったところ、目的物を主成分として含む混合物を得た。その結果、目的物が0.41g得られた。目的物の収率は68%、光学純度は93%eeであった。
実施例8
窒素雰囲気下、トルエン440mlに、乾燥モレキュラーシーブス5A 10.0gを加えて、室温で30分間撹拌し、これに85%ジルコニウムテトラ−n−ブトキシドのn−ブタノール溶液22.6g(50ミリモル)、(L)−酒石酸ジイソプロピルエステル36.9g(158ミリモル)を加え、全容を室温で1時間撹拌して、光学活性ジルコニウム錯体の溶液を調製した。
次いで、得られた光学活性ジルコニウム錯体の溶液に、トルエン20mlに溶解した2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチルアリル)フェノール47.6g(250ミリモル)、及びトルエン20mlに溶解したクメンヒドロペルオキシド86.5g(500ミリモル)を10℃以下で加え、全容を10℃にコントロールしながら42時間撹拌した。
次に、水430mlに硫酸鉄(II)7水和物83.5g(300ミリモル)、(L)−酒石酸22.5g(150ミリモル)を溶解し、これに反応液を加え、5℃で30分間撹拌した後、セライトろ過により不溶物をろ過し、トルエン300mlで洗浄した。有機層を分取し、水層をトルエン100mlで抽出し、先の有機層と混合した。これを1規定水酸化ナトリウム水溶液725ml中に加え、全容を室温で17時間撹拌した。有機層を分取し、飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、ろ過した。ろ液から溶媒及びクミルアルコールを減圧留去して得られた残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィー(展開溶媒:ヘキサン:酢酸エチル=9:1(容積比))で精製し、目的物を主成分として含む混合物を得た。
得られた混合物のH−NMRスペクトル及びHPLCを測定した結果、目的物が43.3g得られたことがわかった。目的物の収率は84%、光学純度は95%eeであった。
実施例9
2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチル−2’,3’−エポキシプロピル)フェノールの合成
Figure 0005183885
窒素雰囲気下、ジクロロメタン10mlに、モレキュラーシーブス4A 2.0g、及びチタニウムテトライソプロポキシド0.60g(2.1ミリモル)を加えた。この溶液を0℃に冷却し、そこへ、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチルアリル)フェノール2.00g(10.5ミリモル)、及びt−ブチルヒドロペルオキシド4.2ml(21.0ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌した。
得られた反応液を、水10mlに溶解した硫酸第一鉄3.50g−酒石酸0.95g水溶液中に加え、0℃で10分撹拌した。この反応混合物をクロロホルムで抽出し、有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭処理、シリカゲルろ過を行った。得られたろ液から溶媒を減圧留去した。その結果、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチル−2’,3’−エポキシプロピル)フェノールが1.38g得られた。このもののH−NMRスペクトルデータを下記に示す。
H−NMRスペクトルデータ
(CDCl,TMS)δppm:1.4(s,3H),2.1(s,3H),2.2(s,3H),2.3(s,3H),2.6(d,1H),2.8(d,1H),2.8(d,1H),3.3(d,1H),6.6(s,1H),7.4(s,1H)
(比較例1)
実施例3において、ジルコニウムテトラt−ブトキシドに代えて、チタニウムテトライソプロポキシド0.15g(0.52ミリモル)を用い、また、室温で24時間撹拌することに代えて、−10℃で1時間撹拌し、さらに室温で69時間撹拌する以外は、実施例3と同様の操作を行なった。その結果、実施例3と同じ目的物を主成分として含む混合物が得られ、その光学純度は18%eeであった。
(参考例1)
窒素雰囲気下、モノクロロベンゼン5mlに、モレキュラーシーブス4A 0.50g、及びジルコニウムテトラt−ブトキシド0.20g(0.52ミリモル)、(L)−酒石酸ジイソプロピルエステル0.13g(0.55ミリモル)を加え、室温で1時間撹拌した後に、減圧留去により溶媒を除去し、さらにモノクロロベンゼン5mlを加えて減圧留去により溶媒を除去する作業を2回繰り返すことにより、光学活性ジルコニウム錯体の溶液を調製した。
この光学活性ジルコニウム錯体の溶液に、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチルアリル)フェノール0.56g(2.94ミリモル)、およびクメンヒドロペルオキシド1.02g(5.90ミリモル)を室温で加え、室温で24時間攪拌した。
得られた反応溶液を、水5mlに溶解した硫酸第一鉄1.75g−酒石酸0.47g水溶液中に加え、0℃で15分撹拌した。クロロホルムで抽出し、有機層を分取した。有機層を飽和食塩水で洗浄した後に、無水硫酸マグネシウムで乾燥し、活性炭処理、シリカゲルろ過を行った。得られたろ液から溶媒を減圧留去したところ、0.30gの混合物が得られた。
この混合物のH−NMRデータと、参考例1で得られた化合物のH−NMRデータを比較したところ、得られた混合物は、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチル−2’,3’−エポキシプロピル)フェノールと、クメンヒドロペルオキシドの還元体であるクミルアルコールとの混合物であることが確認された。
この結果より、2−ヒドロキシメチル−2,4,6,7−テトラメチルジヒドロベンゾフランは、2,3,5−トリメチル−6−(2’−メチル−2’,3’−エポキシプロピル)フェノールを経由して生成していると考えられる。



Claims (7)

  1. 式(1)
    Figure 0005183885
    [式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、
    R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、式:NR8R9(R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基、若しくは置換基を有していてもよいベンゾイル基を表す。)で表される基、式:OR10(R10は、水素原子、C1−6アルキル基、ホルミル基、C1−6アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、若しくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される基、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。
    Aは、式(2)
    Figure 0005183885
    (式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はC1−6アルキル基を表し、nは1を表す。)で表される基を表す。]で示されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させた後、閉環反応を行うことを特徴とする、式(3)
    Figure 0005183885
    (式中、R1〜R7、及びAは、前記と同じ意味を表し、*は不斉炭素原子を表し、*は不斉であってもよい炭素原子を表す。)で示される光学活性化合物の製造方法。

  2. 前記式(1)で表されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させることにより、式(4)
    Figure 0005183885
    (式中、R1〜R7、A、*、及び*は、前記と同じ意味を表す。)で表される光学活性エポキシ誘導体を得る工程を有することを特徴とする請求項1に記載の光学活性化合物の製造方法。
  3. 前記光学活性ジルコニウム錯体として、ジルコニウムアルコキシド化合物又はジルコニウムハライド化合物に、光学活性ジオール化合物を作用させて得られる錯体を用いることを特徴とする請求項1又は2に記載の光学活性化合物の製造方法。
  4. 前記光学活性ジオール化合物として、光学活性酒石酸ジエステル化合物又は光学活性酒石酸ジアミド化合物を用いることを特徴とする請求項3に記載の光学活性化合物の製造方法。
  5. 前記式(4)で表される光学活性エポキシ誘導体を得る工程が、前記式(1)で表されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体およびモレキュラーシーブスの存在下、酸化剤を作用させるものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の光学活性化合物の製造方法。
  6. 前記酸化剤として、式(5)
    Figure 0005183885
    (式中、R13、R14及びR15は、それぞれ独立して、水素原子、C1−6アルキル基、又は置換基を有していてもよいフェニル基を表す。)で表されるヒドロペルオキシドを用いることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光学活性化合物の製造方法。
  7. 式(1)
    Figure 0005183885
    [式中、R1、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素原子又はC 1−6 アルキル基を表し、
    R4、R5、R6及びR7は、それぞれ独立して、水素原子、C 1−6 アルキル基、式:NR8R9(R8及びR9は、それぞれ独立して、水素原子、C 1−6 アルキル基、ホルミル基、C 1−6 アルキルカルボニル基、若しくは置換基を有していてもよいベンゾイル基を表す。)で表される基、式:OR10(R10は、水素原子、C 1−6 アルキル基、ホルミル基、C 1−6 アルキルカルボニル基、置換基を有していてもよいベンゾイル基、若しくは置換基を有していてもよいベンジル基を表す。)で表される基、ハロゲン原子、又はニトロ基を表す。
    Aは、式(2)
    Figure 0005183885
    (式中、R11及びR12は、それぞれ独立して、水素原子又はC 1−6 アルキル基を表し、nは1を表す。)で表される基を表す。]で示されるo−アルケニルフェノール誘導体に、光学活性ジルコニウム錯体の存在下、酸化剤を作用させることを特徴とする、式(4)
    Figure 0005183885
    (式中、R1〜R7、及びAは、前記と同じ意味を表し、* は不斉炭素原子を表し、* は不斉であってもよい炭素原子を表す。)で表される光学活性エポキシ誘導体の製造方法。


JP2006131952A 2005-05-10 2006-05-10 光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法 Expired - Fee Related JP5183885B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2006131952A JP5183885B2 (ja) 2005-05-10 2006-05-10 光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法

Applications Claiming Priority (3)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2005137694 2005-05-10
JP2005137694 2005-05-10
JP2006131952A JP5183885B2 (ja) 2005-05-10 2006-05-10 光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2006342157A JP2006342157A (ja) 2006-12-21
JP5183885B2 true JP5183885B2 (ja) 2013-04-17

Family

ID=37639378

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2006131952A Expired - Fee Related JP5183885B2 (ja) 2005-05-10 2006-05-10 光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5183885B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
US10214503B2 (en) * 2014-08-27 2019-02-26 Sabic Global Technologies B.V. 2-(2,3-epdxypropyl)phenol composition and method of making

Also Published As

Publication number Publication date
JP2006342157A (ja) 2006-12-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN1926102A (zh) N-保护的4-酮脯氨酸衍生物的制备方法
Batsanov et al. Stereocontrol in cyclisation of dioxolanyl radicals
CN107056795A (zh) 一种螺环羟吲哚环戊烷并β‑内脂化合物合成方法
JP5183885B2 (ja) 光学活性なジヒドロベンゾフラン誘導体及びクロマン誘導体の製造方法
JP5544596B2 (ja) 光学活性な環状エーテル化合物の製法及びそれに用いる触媒
JPWO2014051077A1 (ja) 高純度の含窒素複素環化合物の製造方法
US20050164869A1 (en) Practical chiral zirconium catalyst
US6921832B2 (en) Optically active fluorine-containing compounds and processes for their production
JP4529419B2 (ja) 光学活性含フッ素化合物類、及びこれらの製造方法
JP3924613B2 (ja) α,β−エポキシアミドの製法
JP6235783B2 (ja) 不斉アザディールス−アルダー反応用触媒、それを用いた光学活性テトラヒドロピリジン化合物の製造方法
JP4076969B2 (ja) 光学活性なβ−ヒドロキシ−α−置換カルボン酸エステルの不斉合成方法
JP4572372B2 (ja) 光学活性4級炭素含有化合物の製法
JP5263732B2 (ja) 光学活性1,2−ジアミン化合物の製造方法及び光学活性触媒
JP2008169204A (ja) (1r,2r)−2−アミノ−1−シクロペンタノールの製造方法
JP6815853B2 (ja) (1S)−4−[4−(ジメチルアミノ)−1−(4’−フルオロフェニル)−1−ヒドロキシブチル]−3−(ヒドロキシメチル)−ベンゾニトリルヘミ(+)−ジ−(p−トルオイル)酒石酸塩の製造方法、及び該酒石酸塩を用いた(1S)−1−[3−(ジメチルアミノ)プロピル]−1−(4−フルオロフェニル)−1,3−ジヒドロイソベンゾフラン−5−カルボニトリル及びその塩の製造方法
Miyaoka et al. Practical Synthesis of a Key Intermediate for Lactacystin from (R)-4-Hydroxymethyl-2-phenyl-4, 5-dihydrooxazol-4-ylmethyl Acetate
JP2001233869A (ja) 光学活性エポキシプロピオン酸エステル誘導体、その中間体及び、それらの製造方法
JP5692812B2 (ja) 不斉合成触媒用配位子及びそれを用いたα−アルケニル環状化合物の製造方法
JP3304380B2 (ja) 不斉誘起触媒
CN1265650A (zh) 特殊的3-氮杂双环[3.1.0]已烷及其制备和修饰方法和用途
JP3917674B2 (ja) ブレフェルジン類化合物の合成方法
JP2006151839A (ja) α,β−不飽和カルボン酸誘導体からのエナンチオ選択的β−シアノカルボン酸誘導体の調製方法、及び該方法に用いる触媒
JPH0249742A (ja) 光学活性な含フッ素α−ヒドロキシシクロプロパン化合物
CN115385951A (zh) 一种手性β-锗基-α-氨基酸及其合成方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20081219

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20120228

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20120426

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20121113

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20121217

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130115

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130116

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160125

Year of fee payment: 3

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees