マスクを用いた埋め込みエピタキシャル成長では、埋め込み領域の周辺部における成長速度は、埋め込み領域の中央部における成長速度に比べて増大する。この現象により、埋め込み領域の周辺部の膜厚は、目標値より大きくなる。このため、埋め込み成長後、エピタキシャル成長表面の平坦性が劣化する。
マスク上にはエピタキシャル成長が行われないので、マスク上に到達した原料は結晶成長のための消費されることない余剰原料である。これは埋め込み領域に拡散する。余剰原料は、埋め込み領域に拡散しながら消費される。このため、特にマスクと埋め込み領域との境界では成長速度が増加するけれども、埋め込み領域の中央部分では、あまり成長速度は増加しない。結果的に、埋め込み領域における膜厚分布が大きくなる。
特許文献1に記載された方法では、マスクの中心部分に原料を消費する領域を設けている。この領域では余剰な原料が消費されるので、埋め込み領域への原料拡散が抑制される。この結果、成長領域のエッジ部における盛り上がりが低減される。
この方法では、シリコン基板上に窒化物系半導体を形成している。マスクを用いて成長された埋め込み領域内にトランジスタ全体を形成する。このため、埋め込み領域の面積は、0.01mm2以上であり、その領域の一辺は約100μmである。つまり、特許文献1の方法は、大きな領域に埋め込み成長するための方法である。また、特許文献1では、埋め込み用のマスクで覆われた領域にトランジスタの一部および全部を作製しない。
本発明は、このような事情を鑑みてなされたものであり、エピタキシャル成長領域の表面の平坦性を向上できる縦型トランジスタを作製する方法を提供することを目的とし、また表面の平坦性が改善可能な構造を有する縦型トランジスタを提供することを目的とし、さらにエピタキシャル成長領域の表面の平坦性を向上できる窒化物半導体を成長する方法を提供することを目的とする。
本発明に係る一側面は、縦型トランジスタを作製する方法である。この方法は、(a)第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を導電性基板上に形成する工程と、(b)第2導電型窒化ガリウム系半導体膜を前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜上に形成する工程と、(c)前記縦型トランジスタのウエル領域のためのマスクを前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜上に形成する工程と、(d)前記マスクを用いて前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜および前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして、複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成する工程と、(e)前記複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成した後に、前記マスクを用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長する工程とを備える。
本発明に係る方法によれば、ウエル領域のためのマスクを用いて第2導電型および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成する。この後に、マスクを用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長するので、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体を堆積することがないので、マスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。
本発明の一側面では、前記マスクは、第1の部分および該第1の部分の隣に位置する第2の部分を含み、前記第1の部分と前記第2の部分との間の最小間隔W1は、前記第1の部分のエッジ上の第1の点と前記第2の部分のエッジ上の第2の点との間の距離により規定され、前記マスクのマスク幅M1は、前記第1の部分のエッジ上の前記第1の点と前記第1の部分のエッジ上の第3の点との間の距離により規定され、前記第1、第2および第3の点は直線上に位置しており、前記最小間隔W1および前記マスク幅はW1/M1≧1を満たすことが好ましい。
本発明に係る方法によれば、条件W1/M1≧1が満されると、結晶成長される部分(原料が消費される部分)の幅W1が、マスク幅(原料が消費されない部分)に比べて大きいので、さらに、マスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。また、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長されるので、結晶成長される部分(原料が消費される部分)を形成することが容易であり、上記の条件を満足することが容易である。
本発明に係る一側面では、前記マスク幅M1は1μm以上であることができる。前記マスク幅M1は100μm以下であることができる。本発明の方法によれば、マスク幅M1は上記の範囲であることが好適である。マスクが縦型トランジスタのウエル領域のための形状を規定するので、この条件が容易に満たされる。
本発明に係る一側面では、前記別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜の厚さは10nm以上であることができる。本発明に係る方法によれば、10nm以上の堆積でも、マスクの縁に盛り上がりが生じる可能性が小さくなる。
本発明に係る方法によれば、前記マスクはシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層の少なくともいずれかを含むことが好ましい。本発明に係る方法によれば、選択成長を行うことが容易になる。
本発明に係る一側面では、前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜のドーパント濃度は、前記別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜のドーパント濃度と異なる。本発明に係る方法によれば、ドーパント濃度に差を設けることができるので、トランジスタ特性を調整できる。
本発明に係る一側面は、縦型トランジスタを作製する方法である。この方法は、(a) 第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を導電性基板上に形成する工程と、(b)第2導電型窒化ガリウム系半導体膜を前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜上に形成する工程と、(c)第1導電型を有する窒化ガリウム系半導体膜を前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜上に形成する工程と、(d)前記縦型トランジスタのキャリア供給領域のための第1のマスクを前記窒化ガリウム系半導体膜上に形成する工程と、(e)前記第1のマスクを用いて前記窒化ガリウム系半導体膜および前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして、複数の第1導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成する工程と、(f)前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングした後に、前記第1のマスクを用いて別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長する工程とを備える。
本発明に係る方法によれば、第1のマスクを用いて第2導電型および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして複数の第1導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成する。この後に、第1のマスクを用いて別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長するので、別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜が第1導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体が堆積されるがないので、第2のマスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。
本発明に係る一側面は、(g)前記縦型トランジスタのウエル領域のための第2のマスクを前記別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜および前記第1導電型窒化ガリウム系半導体領域上に形成する工程と、(h)前記第2のマスクを用いて前記別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜および前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして、複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成する工程と、(i)前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングした後に、前記第2のマスクを用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長する工程とを備えることができる。
本発明に係る方法によれば、第2のマスクを用いて別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成した後に、第2のマスクを用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長するので、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体が堆積されるがないので、マスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。
本発明に係る一側面では、前記第1のマスクは、第1の部分および該第1の部分の隣に位置する第2の部分を含み、前記第1の部分と前記第2の部分との間の最小間隔W2は、前記第1の部分のエッジ上の第1の点と前記第2の部分のエッジ上の第2の点との間の距離により規定され、前記第1のマスクのマスク幅M2は、前記第1の部分のエッジ上の前記第1の点と前記第1の部分のエッジ上の第3の点との間の距離により規定されており、前記第1、第2および第3の点は直線上に位置しており、前記最小間隔W2および前記第1のマスク幅はW2/M2≧1を満たす。
本発明に係る方法によれば、条件W2/M2≧1が満されると、結晶成長される部分(原料が消費される部分)の幅W2が、第1のソースのマスク幅(原料が消費されない部分)に比べて大きいので、さらに、ソースマスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。また、別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜が第1導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長されるので、結晶成長される部分(原料が消費される部分)を形成することが容易であり、上記の条件を満足することが容易である。
本発明に係る一側面では、前記第1のマスクの前記マスク幅M2は、1μm以上であることができる。前記第1のマスクの前記マスク幅M2は、100μm以下であることができる。
本発明に係る方法によれば、前記マスク幅M2は上記の範囲であることが好適である。第1のマスクが縦型トランジスタのキャリア供給領域のための形状を規定するので、この条件が容易に満たされる。
本発明に係る一側面では、前記別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜の厚さは10nm以上であることができる。
本発明に係る方法によれば、10nm以上の堆積を行うと、マスクの縁に盛り上がりが生じる可能性が小さくなる。
本発明に係る方法によれば、前記第1のマスクはシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層の少なくともいずれかを含むことが好ましい。本発明に係る方法によれば、選択成長を行うことが容易になる。
本発明に係る一側面では、前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜のドーパント濃度は、前記別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜のドーパント濃度と異なる。
本発明に係る方法によれば、ドーパント濃度に差を設けることができるので、トランジスタ特性を調整できる。
本発明の別の側面に係る縦型トランジスタは、(a)窒化ガリウム系半導体から成る第1導電型半導体領域と、(b)窒化ガリウム系半導体から成る第2導電型ウエル領域と、(c)前記第2導電型ウエル領域の底面を覆っており窒化ガリウム系半導体から成る第1のドリフト領域と、(d)前記第2導電型ウエル領域の側面を覆っており窒化ガリウム系半導体から成る第2のドリフト領域と、(e)前記第2導電型ウエル領域、前記第2のドリフト領域および前記第1導電型半導体領域上に設けられたゲート絶縁層と、(f)前記ゲート絶縁層上に設けられたゲート電極とを備え、前記第1のドリフト領域のドーパント濃度は前記第2のドリフト領域のドーパント濃度と異なり、前記第2のドリフト領域の厚さは前記第2導電型ウエル領域の厚さより大きい。
本発明に係る縦型トランジスタでは、ドリフト領域が第1および第2のドリフト領域から構成されるので、第2のドリフト領域の厚さを第2導電型ウエル領域の深さより小さくできると共に、第1のドリフト領域と第2のドリフト領域と間にドーパント濃度を設けることができる。これらにより、トランジスタ特性を調整できる。また、エピタキシャル膜の表面を平坦化することができる。
本発明の別の側面に係る縦型トランジスタは、(a)導電性支持基体上に設けられており窒化ガリウム系半導体から成る複数の第1の第2導電型ウエル領域と、(b)前記第1の第2導電型ウエル領域上にそれぞれ設けられており窒化ガリウム系半導体から成る複数の第1導電型半導体領域と、(c)前記第1の第2導電型ウエル領域上に位置すると共に前記第1導電型半導体領域の側面を覆うように設けられた複数の第2の第2導電型ウエル領域と、(d)前記第1の第2導電型ウエル領域と前記導電性支持基体との間に設けられると共に、前記第2の第2導電型ウエル領域間に設けられた第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域と、(e)前記第2の第2導電型ウエル領域、前記第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域および前記第1導電型半導体領域上に設けられたゲート絶縁層と、(f)前記ゲート絶縁層上に設けられたゲート電極とを備え、前記第1の第2導電型ウエル領域のドーパント濃度は前記第2の第2導電型ウエル領域のドーパント濃度と異なる。
本発明に係る縦型トランジスタでは、ウエル領域が第1および第2の第2導電型ウエル領域から構成されるので、第1の第2導電型ウエル領域と第2の第2導電型ウエル領域と間にドーパント濃度を設けることができる。これらにより、トランジスタ特性を調整できる。また、エピタキシャル膜の表面を平坦化することができる。
本発明の別の側面に係る縦型トランジスタでは、前記第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域は、導電性支持基体上に設けられた第1のドリフト領域と、前記導電性支持基体と前記第1のドリフト領域との間に設けられた第2のドリフト領域とを含み、前記第2のドリフト領域は、前記第1の第2導電型ウエル領域の底面を覆っており、前記第1のドリフト領域は、前記第2の第2導電型ウエル領域の側面を覆っており、前記第1のドリフト領域の厚さは前記第2の第2導電型ウエル領域の厚さより大きい。
本発明に係る縦型トランジスタでは、ウエル領域に加えて、ドリフト領域が第1および第2のドリフト領域から構成されるので、第2のドリフト領域の厚さを第2導電型ウエル領域の深さより大きくできると共に、第1のドリフト領域と第2のドリフト領域と間にドーパント濃度を設けることができる。これらにより、トランジスタ特性を調整できる。また、エピタキシャル膜の表面を平坦化することができる。
本発明の更なる別の側面は、窒化物半導体を成長する方法である。この方法は、(a)第1導電型窒化ガリウム系半導体領域上に第2導電型窒化ガリウム系半導体膜を形成する工程と、(b)互いに隔置された複数のマスク部分を有するマスクを前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜上に形成する工程と、(c)前記マスクを用いて前記第2導電型窒化ガリウム系半導体膜および前記第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングして、複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域を形成する工程と、(d)前記エッチングの後に、前記マスクを用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長する工程とを備える。
本発明に係る方法によれば、互いに隔置された複数のマスク部分を有するマスクを用いて第2導電型および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜をエッチングするので、互いに隔置された複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域が形成される。この後に、該マスクを用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜を選択的に成長するので、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体が堆積されるがないので、マスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。
本発明の更なる別の側面では、前記マスクは第1の部分及び該第1の部分の隣に位置する第2の部分を含み、前記第1の部分のエッジ上の第1の点と前記第2の部分のエッジ上の第2の点との間の距離が前記第1の部分と前記第2の部分との間の最小間隔W1であり、前記第1の部分のエッジ上の前記第1の点と前記第1の部分のエッジ上の第3の点との間の距離がマスク幅M1であり、前記第1、第2および第3の点は直線上に位置しており、前記最小間隔W1および前記マスク幅は、W1/M1≧1を満たすことが好ましい。
本発明に係る方法によれば、条件W1/M1≧1が満されると、結晶成長される部分(原料が消費される部分)の幅W1が、マスク幅(原料が消費されない部分)に比べて大きいので、さらに、マスクの縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。また、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域の各々を囲むように成長されるので、結晶成長される部分(原料が消費される部分)を形成することが容易であり、上記の条件を満足することが容易である。
本発明の上記の目的および他の目的、特徴、並びに利点は、添付図面を参照して進められる本発明の好適な実施の形態の以下の詳細な記述から、より容易に明らかになる。
以上説明したように、本発明の一側面によれば、エピタキシャル成長領域の表面の平坦性を向上できる縦型トランジスタを作製する方法が提供される。また、本発明の別の側面によれば、表面の平坦性が改善可能な構造を有する縦型トランジスタが提供される。更に、本発明の更なる別の側面によれば、エピタキシャル成長領域表面の平坦性を向上できる窒化物半導体を成長する方法が提供される。
本発明の知見は、例示として示された添付図面を参照して以下の詳細な記述を考慮することによって容易に理解できる。引き続いて、添付図面を参照しながら、本発明の縦型トランジスタを作製する方法、窒化物半導体を成長する方法および縦型トランジスタに係る実施の形態を説明する。可能な場合には、同一の部分には同一の符号を付する。
(第1の実施の形態)
図1(A)、図1(B)、図2(A)、図2(B)、図3(A)、図3(B)、図4(A)および図4(B)は、本実施の形態に係る縦型トランジスタを作製する方法における工程を示す図面である。図1(A)に示されるように、導電性基板11を準備する。導電性基板としては、例えば窒化ガリウム系半導体基板といったIII族窒化物基板、およびシリコン、シリコンカーバンドといったIV族半導体基板等を用いることができる。III族窒化物基板の具体例としては、例えばGaN基板、AlN基板等が示される。
図1(A)に示されるように、導電性基板11の表面11a上に第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13を形成する。本実施例では、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13は、第1導電型ドリフト層のために形成され、また第1導電型窒化ガリウム基板上にエピタキシャル成長される。必要な場合には、第1導電型バッファ層15が、第1導電型ドリフト層の形成に先立って、第1導電型窒化ガリウム基板上に堆積される。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。第1導電型バッファ層15は、例えばn+型窒化ガリウムからなることができる。第1導電型ドリフト層は、n−型窒化ガリウムからなることができる。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13の厚さD1は、縦型トランジスタに要求される耐圧等によって異なるが、例えば5マイクロメートル〜20マイクロメートル程度である。
次いで、図1(A)に示されるように、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17を第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13上に形成する。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。
本実施例では、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17は、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13上にエピタキシャルに成長される。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17は、例えばp型窒化ガリウムからなることができる。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17の厚さD2は、縦型トランジスタに要求される特性によって異なるが、例えば0.1マイクロメートル〜1マイクロメートル程度である。
図1(B)に示されるように、引き続く工程では、縦型トランジスタのウエル領域のためのマスク(図2(A)に示された参照番号19)を形成する。まず、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17上に、マスク膜21を堆積する。マスク膜21は、例えばシリコン窒化物およびシリコン酸化物といったシリコン系無機化合物からなることができる。この方法によれば、選択成長を行うことが容易になる。マスク膜21の厚さは、例えば10マイクロメートル〜100ナノメートル程度である。マスク膜21上には、レジスト23を塗布すると共に、ウエルのためにパターンを有する光学マスク25を通して、パターンをレジスト23に転写する。そして、レジストマスク27を形成する。
図2(A)に示されるように、レジストマスク27を用いてマスク膜21を加工して、縦型トランジスタのウエル領域のためのマスク19を第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17上に形成する。この加工では、例えば、マスク膜21はレジストマスク27を用いてドライエッチングされる。ドライエッチングにより、マスク19にはレジストマスク27のパターンが転写される。
この後に、図2(B)に示されるように、マスク19を用いて第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13をエッチングする。このエッチング27により、マスク19のパターンに従って第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17がエッチングされると共に、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13も部分的にエッチングされる。この結果、複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bと、エッチングされた第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13aが形成される。このエッチングは、例えば塩素ガスといったエッチングガスを用いてドライエッチングにより行われることが好ましい。エッチングの深さH1は、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17の厚さD2より大きく、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13の厚さD1および第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17の厚さD2の和より小さい。
図3(A)に示されるように、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜17および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13をエッチングした後に、マスク19を用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29を選択的に成長する。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29は、マスク19a上には実質的に成長されることなく、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13aおよび第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bの側面上に堆積される。本実施例では、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29は、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13a上に第1導電型ドリフト層のために形成される。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29は、例えば有機金属気相成長法で成長される。第1導電型ドリフト層は、n−型窒化ガリウムからなることができる。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29は、エッチングの深さH1に合わせての厚さD3になるように成長される。
この方法によれば、ウエル領域のためのマスク19を用いて第2導電型および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13、17をエッチングして複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bを形成した後に、マスク19を用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29を選択的に成長するので、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bの各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体が堆積されることがないので、マスク縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくなる。
一例の製造方法では、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29は第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13のドーパント濃度と実質的にドーパント濃度を有するように成長されることができる。また、成長条件の変更により、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29の結晶品質を第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13の結晶品質と異なるように成長することができる。例えば、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29の結晶成長速度を第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13の結晶成長速度よりも下げることが好ましい。厚いドリフト領域の全体を同じ結晶品質で作製するよりも、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29の結晶品質をより良好にすれば、縦型トランジスタの特性を向上できる。
また、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13のドーパント濃度は、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29のドーパント濃度と異なることが好ましい。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13と第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29との間にドーパント濃度に差を設ければ、トランジスタ特性を調整できる。
例えば、ドリフト領域全体のドーパント濃度を下げると、耐圧は向上されるけれどもオン抵抗は高くなる。しかしながら、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜13のドーパント濃度が第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29のドーパント濃度より小さいトランジスタでは、耐圧を向上できると共に、オン抵抗の上昇を小さくすることができる。
さらに、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29の厚さは10nm以上であることができる。10nm以上の堆積でも、マスク17の縁に盛り上がりが生じる可能性が小さくなる。マスク17の材料がシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層の少なくともいずれかであれば、選択成長を行うことが容易になる。
図3(B)に示されるように、マスク19を除去する。この除去は、例えばフッ酸などのエッチャントを用いて行われる。
続いて、図4(A)に示されるように、ウエルのための第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17b内に、ソースまたはエミッタのための第1導電型半導体領域31a、31bを形成する。第1導電型半導体領域31a、31bは、例えば選択エピタキシャル成長を用いて形成されることができる。第1導電型半導体領域31a、31bは、例えば窒化ガリウム系半導体からなることができる。第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17aは、第1導電型半導体領域31aと第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29、13aとの間に設けられている。第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17bは、第1導電型半導体領域31bと第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29、13aとの間に設けられている。窒化ガリウム系積層体33の表面において、第1導電型半導体領域31aは、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17aによって第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29、13aからアイソレートされている。第1導電型半導体領域31bは、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17bによって第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29、13aからアイソレートされている。
次いで、図4(B)に示されるように、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29と第1導電型半導体領域31a、31bとの間に位置する第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17b上、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29上、および第1導電型半導体領域31a、31b上にゲート絶縁膜35形成する。ゲート絶縁膜35としては、例えばシリコン窒化物、シリコン酸化物、アルミナ等を用いることができる。ゲート絶縁膜35上には、ゲート電極37を形成する。ゲート電極37は、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bの表面伝導率を変調することができ、これにより、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域29と第1導電型半導体領域31a、31bとの間の電気伝導を制御する。
第1導電型半導体領域31a、31b上には、オーミック電極(例えばソース電極、エミッタ電極)39が形成される。オーミック電極39は第1導電型半導体領域31a、31bの各々にオーミック接触を成す。また、オーミック電極39は第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bの各々にオーミック接触を成すことができる。基板11の裏面11bには、オーミック電極(例えばドレイン電極、コレクタ電極)41が形成される。
以上により、縦型トランジスタを製造する方法の主要な工程が説明された。
図2(B)および図3(A)を参照しながら、選択成長について説明する。図3(A)に示されるように、マスク19は、第1の部分19aおよび該第1の部分19aの隣に位置する第2の部分19bを含む。第1の部分19aと第2の部分19bとの間の最小間隔W1は、第1の部分19aのエッジ上の第1の点P1と第2の部分19bのエッジ上の第2の点P2との間の距離により規定される。マスク10のマスク幅M1は、第1の部分19aのエッジ上の第1の点P1と第1の部分19aのエッジ上の第3の点P3との間の距離により規定される。第1、第2および第3の点P1、P2、P3は直線上に位置している。最小間隔W1およびマスク幅はW1/M1≧1を満たすことが好ましい。
条件W1/M1≧1が満されると、結晶成長される部分(原料が消費される部分)の幅W1が、マスク幅(原料が消費されない部分)に比べて大きいので、マスク19の縁に沿った堆積物の盛り上がりがさらに小さくできる。また、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜29が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域17a、17bの各々を囲むように成長されるので、結晶成長される部分(原料が消費される部分)を設けることが容易であり、上記の条件を満足することが容易である。
マスク幅M1は1μm以上であることができる。マスク幅M1は100μm以下であることができる。マスク幅M1は上記の範囲であることが好適である。マスクが縦型トランジスタのウエル領域のための形状を規定するので、この条件が容易に満足される。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、エピタキシャル成長領域の表面の平坦性を向上できる縦型トランジスタを作製する方法が提供される。
図5は、縦型トランジスタの一例を示す。縦型トランジスタ43は、第1導電型半導体領域45と、第2導電型ウエル領域47と、第1のドリフト領域49と、第2のドリフト領域51と、ゲート絶縁層53と、ゲート電極55とを備える。
第1導電型半導体領域45は、窒化ガリウム系半導体から成る。第2導電型ウエル領域47は、窒化ガリウム系半導体から成っており、また第1導電型半導体領域45を第1のドリフト領域49および第2のドリフト領域51から隔てている。
第1のドリフト領域49は、第1導電型の窒化ガリウム系半導体から成っており、第2導電型ウエル領域47の底面47aを覆っている。第2のドリフト領域51は、窒化ガリウム系半導体から成っており、また第2導電型ウエル領域47の側面47bを覆っている。ゲート絶縁層53は、第2導電型ウエル領域47、第2のドリフト領域51および第1導電型半導体領域45上に設けられている。ゲート電極55は、ゲート絶縁層53上に設けられている。第2のドリフト領域51の厚さDDRIFT2は第2導電型ウエル領域47の深さDWELLより大きい。
この縦型トランジスタによれば、ドリフト領域が、第2導電型ウエル領域47の底面47aを覆うための第1のドリフト領域49と、第2導電型ウエル領域47の側面47bを覆うための第2のドリフト領域51とを含むので、第2導電型ウエル領域47を形成した後に第2のドリフト領域51を形成することができる。これ故に、第2導電型ウエル領域47を形成するために選択成長することなく、第2のドリフト領域51を形成するために選択成長することができる。したがって、縦型トランジスタためのエピタキシャル膜の積層の表面を平坦化できる。
第1のドリフト領域49のキャリア濃度NDRIFT1は第2のドリフト領域51のキャリア濃度NDRIFT2と異なっていれば、これらにより、トランジスタ特性を調整できる。例えば、第1のドリフト領域49のキャリア濃度NDRIFT1が第2のドリフト領域51のキャリア濃度NDRIFT2より小さいトランジスタでは、耐圧を向上できると共に、オン抵抗の上昇を小さくすることができる。
第1導電型半導体領域45の底面45aおよび側面45bは、第2導電型ウエル領域47によって覆われている。ゲート電極55は、第2導電型ウエル領域47の表面伝導率を変調することができるように設けられており、この変調により、第1のドリフト領域51と第1導電型半導体領域45との間の電気伝導を制御する。
第1のドリフト領域49は、導電性支持基体59の表面59a上に設けられている。必要な場合には、窒化ガリウム系半導体からなるバッファ層61を第1のドリフト領域49と導電性基板59との間に設けることが好ましい。導電性支持基体59として、例えば、GaNおよびAlNといったIII族窒化物支持基体、SiおよびSiCといったIV族半導体支持基体を用いることができる。
第1導電型半導体領域45上には、オーミック電極(例えばソース電極、エミッタ電極)57が設けられている。オーミック電極57は第1導電型半導体領域45の各々にオーミック接触を成す。また、オーミック電極57は第2導電型ウエル領域47の各々にオーミック接触を成す。導電性支持基体59の裏面59bには、オーミック電極(例えばドレイン電極、コレクタ電極)63が形成される。
縦型トランジスタ43の一例は、
導電性支持基体59:n−GaN
第1導電型半導体領域45:n+−GaN、
厚さ0.1μm、キャリア濃度n=2×1018cm−3
第1のドリフト領域49:n−−GaN
厚さ5〜10μm、キャリア濃度n=1×1016cm−3
第2のドリフト領域51:n−−GaN
厚さ0.5〜2.0μm、キャリア濃度n=1×1016cm−3
第2導電型ウエル領域47:p−GaN
厚さ0.1〜0.5μm、キャリア濃度p=1×1017cm−3
ゲート絶縁層53:SiN
ゲート電極55:Ni/Au
ソース電極57:Ti/Al
ドレイン電極63:Ti/Al
である。
この構造の縦型トランジスタはMIS型またはMOS型に好適であり、好ましくは導電性基板は第1導電型を有する。また、導電性基板が第2導電型を有するとき、縦型トランジスタは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ構造になる。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、表面の平坦性が改善可能な構造を有する縦型トランジスタが提供される。
(第2の実施の形態)
図6(A)、図6(B)、図7(A)、図7(B)、図8(A)、図8(B)、図9(A)、図9(B)および図10は、本実施の形態に係る縦型トランジスタを作製する方法における工程を示す図面である。図1(A)に示される実施の形態と同様に、導電性基板11を準備する。図6(A)に示されるように、導電性基板11上に第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71を形成する。本実施例では、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71は、第1導電型窒化ガリウム基板上に第1導電型ドリフト層として形成される。必要な場合には、第1導電型ドリフト層の形成に先立って、第1導電型バッファ層73が第1導電型窒化ガリウム基板上に堆積される。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。第1導電型バッファ層73は、例えばn+型窒化ガリウムからなることができる。第1導電型ドリフト層は、n−型窒化ガリウムからなることができる。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71の厚さは、縦型トランジスタ43と同程度の厚さであり、例えば5マイクロメートル〜20マイクロメートル程度である。
次いで、図6(A)に示されるように、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75を第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71上に形成する。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。本実施例では、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75は、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71上にエピタキシャルに成長される。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75は、例えばp型窒化ガリウムからなることができる。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75の厚さD4は、縦型トランジスタに要求される特性によって異なるが、例えば0.1マイクロメートル〜1マイクロメートル程度である。
さらに、図6(A)に示されるように、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77を第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75上に形成する。別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。本実施例では、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77は、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75上にエピタキシャルに成長される。別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77は、例えばn型窒化ガリウムからなることができる。別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77の厚さD5は、縦型トランジスタに要求される特性によって異なるが、例えば0.01マイクロメートル〜9.5マイクロメートル程度である。
図6(B)に示されるように、引き続く工程では、縦型トランジスタのキャリア供給領域(例えば、ソースまたはエミッタ)のためのマスク79を形成する。マスク79は、例えば第1の部分79aおよび第2の部分79bを有する。マスク79の作製は、マスク79がキャリア供給領域のためのパターンを有する点を覗いて、マスク19の作製と同様に行うことができる。
この後に、図7(A)に示されるように、マスク79を用いて第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77および第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75をエッチングする。このエッチング80により、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77がエッチングされると共に、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75も部分的にエッチングされる。この結果、マスク79a、79bのパターンに従って複数の第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bと、エッチングされた第1導電型窒化ガリウム系半導体膜75aが形成される。このエッチングは、例えば塩素ガスといったエッチングガスを用いてドライエッチングにより行われることが好ましい。エッチングの深さH2は、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77の厚さD5より大きく、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77の厚さD5および第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75の厚さD4の和より小さい。
図7(B)に示されるように、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77および第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75をエッチングした後に、マスク79を用いて別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81を選択的に成長する。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81は、マスク79上には実質的に成長されることなく、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75aおよび第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bの側面上に堆積される。本実施例では、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81は、第2導電型ウエル領域の一部として、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75a上に形成される。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。第2導電型ドリフト層は、p型窒化ガリウムからなることができる。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81は、エッチングの深さH2に合わせての厚さD6になるように成長される。
この方法によれば、ウエル領域のためのマスク79を用いて第2導電型および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77、75をエッチングして複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bを形成した後に、マスク79を用いて別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81を選択的に成長するので、別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81が第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bの各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体が堆積されるがないので、マスク79の縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。
図8(A)に示されるように、引き続く工程では、縦型トランジスタのウエル領域のためのマスク83を形成する。マスク83は、例えば第1の部分83aおよび第2の部分83bを有する。マスク83の作製は、マスク83がウエル領域のためのパターンを有する点を除いて、マスク79の作製と同様に行うことができる。
この後に、図8(B)に示されるように、マスク83を用いて第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81、75aおよび第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71をエッチングする。このエッチング85により、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81、75aがエッチングされると共に、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71も部分的にエッチングされる。この結果、マスク83a、83bのパターンに従って複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87bと、エッチングされた第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71aが形成される。第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87aは第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87bから離れている。第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87aは、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77aと、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77aの側面を覆う第2導電型窒化ガリウム系半導体領域81aと、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77aの底面を覆う第2導電型窒化ガリウム系半導体領域75bとを含む。また、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87bは、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77bと、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77bの側面を覆う第2導電型窒化ガリウム系半導体領域81bと、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77bの底面を覆う第2導電型窒化ガリウム系半導体領域75cとを含む。このエッチング85は、例えば塩素ガスといったエッチングガスを用いてドライエッチングにより行われることが好ましい。エッチングの深さH3は、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75の厚さD4および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77の厚さD5の和より大きく、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜77の厚さD5、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75の厚さD4および第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71の厚さD1の和より小さい。第1導電型窒化ガリウム系半導体領域81a、81bは、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bの側面77cを覆っている。また、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域75b、75cは、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bの底面77dを覆っている。
図9(A)に示されるように、エッチング85の後に、マスク83を用いて別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜89を選択的に成長する。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜89は、マスク79上には実質的に成長されることなく、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81a、81b、75b、75cの側面および第1導電型窒化ガリウム系半導体領域71a上に堆積される。本実施例では、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜89は、ドリフト領域の一部として、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71a上に形成される。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜89は、例えば有機金属気相成長法で成長されることができる。第1導電型ドリフト層は、n型窒化ガリウムからなることができる。第1導電型窒化ガリウム系半導体膜89は、エッチングの深さH3に合わせての厚さD7になるように成長される。
マスク83を用いて別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81、75aおよび第1導電型窒化ガリウム系半導体膜71をエッチングして複数の第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87bを形成した後に、マスク83を用いて第1導電型窒化ガリウム系半導体膜89を選択的に成長するので、第1導電型窒化ガリウム系半導体膜89が第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87bの各々を囲むように成長される。これ故に、孤立した領域に半導体が堆積されるがないので、マスク83の縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。
次いで、図9(B)に示されるように、マスク83を除去する。この除去は、例えばフッ酸などのエッチャントを用いて行われる。
ウエルのための第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87bによって、ソースのための第1導電型半導体領域77a、77bが囲まれている。第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87aは、第1導電型半導体領域77aと第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89、71aとの間に設けられている。第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87bは、第1導電型半導体領域77bと第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89、71aとの間に設けられている。窒化ガリウム系積層体91の表面において、第1導電型半導体領域77aは、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87aによって第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89、71aからアイソレートされている。第1導電型半導体領域77bは、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87bによって第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89、71aからアイソレートされている。
次いで、図10に示されるように、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89と第1導電型半導体領域77a、77bとの間に位置する第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87b上、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89上、および第1導電型半導体領77a、77b上にゲート絶縁膜93形成する。ゲート絶縁膜93としては、例えばシリコン窒化物、シリコン酸化物、アルミナ等を用いることができる。ゲート絶縁膜93上には、ゲート電極95を形成する。ゲート電極95は、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87bの表面伝導率を変調することができ、これにより、第1導電型窒化ガリウム系半導体領域89と第1導電型半導体領域77a、77bとの間の電気伝導を制御する。
第1導電型半導体領域77a、77b上には、オーミック電極(例えばソース電極、エミッタ電極)39が形成される。オーミック電極39は第1導電型半導体領域77a、77bの各々にオーミック接触を成す。また、オーミック電極39は第2導電型窒化ガリウム系半導体領域87a、87bの各々にオーミック接触を成すことができる。基板11の裏面11bには、オーミック電極(例えばドレイン電極、コレクタ電極)41が形成される。
以上により、縦型トランジスタを製造する方法の主要な工程が説明された。
図6(B)および図7(A)を参照しながら、キャリア供給領域(ソースまたはエミッタ)のための選択成長について説明する。図7(A)に示されるように、マスク79は、第1の部分79aおよび該第1の部分79aの隣に位置する第2の部分79bを含む。第1の部分79aと第2の部分79bとの間の最小間隔W2は、第1の部分79aのエッジ上の第1の点Q1と第2の部分79bのエッジ上の第2の点Q2との間の距離により規定される。マスク79のマスク幅M2は、第1の部分79aのエッジ上の第1の点Q1と第1の部分79aのエッジ上の第3の点Q3との間の距離により規定される。第1、第2および第3の点Q1、Q2、Q3は直線上に位置している。最小間隔W2およびマスク幅M2はW2/M2≧1を満たすことが好ましい。
条件W2/M2≧1が満されると、結晶成長される部分(原料が消費される部分)の幅W1が、マスク幅(原料が消費されない部分)に比べて大きいので、さらに、マスク79の縁に沿った堆積物の盛り上がりが小さくできる。また、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81が第1導電型窒化ガリウム系半導体領域77a、77bの各々を囲むように成長されるので、結晶成長される部分(原料が消費される部分)を設けることが容易であり、上記の条件を満足することが容易である。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、エピタキシャル成長領域の表面の平坦性を向上できる縦型トランジスタを作製する方法が提供される。
マスク幅M2は1μm以上であることが好適である。マスク幅M2は100μm以下であることが好適である。マスク79が縦型トランジスタのキャリア供給領域(例えば、ソースまたはエミッタ)の形状を規定するので、この条件が容易に満たされる。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81の厚さは10nm以上であることができる。マスク79を用いると、10nm以上の堆積を行ってもマスクの縁に盛り上がりが生じる可能性が小さくなる。マスク79、83の材料がシリコン酸化物層およびシリコン窒化物層の少なくともいずれかであれば、選択成長を行うことが容易になる。
第2導電型窒化ガリウム系半導体膜75のドーパント濃度は、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜81のドーパント濃度と異なることができる。ドーパント濃度に差を設けることができるので、電界強度分布を変更することにより、トランジスタ特性を調整できる。
図11は、縦型トランジスタの一例を示す。縦型トランジスタ101は、複数の第1の第2導電型ウエル領域103と、複数の第1導電型半導体領域105と、複数の第2の第2導電型ウエル領域107と、第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域109と、ゲート絶縁層111と、ゲート電極113とを備える。第1の第2導電型ウエル領域103の各々は、導電性支持基体115上に設けられており、また窒化ガリウム系半導体から成る。第1導電型半導体領域105は、第1の第2導電型ウエル領域103上にそれぞれ設けられており、また窒化ガリウム系半導体から成る。第1の第2導電型ウエル領域103の各々は、第1導電型半導体領域105の底面105bを覆っている。第2の第2導電型ウエル領域107の各々は、第1の第2導電型ウエル領域103の側面103aおよび第1導電型半導体領域105の側面105aをそれぞれ覆うように設けられている。第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域109は、第1の第2導電型ウエル領域103と導電性支持基体115との間に設けられると共に、第2の第2導電型ウエル領域105間に設けられている。ゲート絶縁層111は、第2の第2導電型ウエル領域107、第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域109および第1導電型半導体領域105上に設けられている。ゲート電極113は、ゲート絶縁層111上に設けられている。
この縦型トランジスタ101によれば、ウエル領域117が、第1導電型半導体領域105の側面05aを覆うための第2の第2導電型ウエル領域107と、第1導電型半導体領域105の底面105bおよび第2の第2導電型ウエル領域107の底面107aを覆うための第1の第2導電型ウエル領域103とを含むので、第1導電型半導体領域105を形成した後に第2の第2導電型ウエル領域107を形成することができる。これ故に、第1導電型半導体領域105を形成するために選択成長することなく、第2の第2導電型ウエル領域107のためのエピタキシャル膜を成長するために選択成長することができる。したがって、縦型トランジスタためのエピタキシャル膜の積層の表面を平坦化できる。
第1の第2導電型ウエル領域103のドーパント濃度NW1は第2の第2導電型ウエル領域107のドーパント濃度NW2と異なる。縦型トランジスタ101では、ウエル領域117が第1および第2の第2導電型ウエル領域103、107から構成されるので、第2の第2導電型ウエル領域107の厚さD8を第1の第1導電型半導体領域105の深さD9より大きくできる。第1の第2導電型ウエル領域103と第2の第2導電型ウエル領域107と間にドーパント濃度の差を設けることができる。これらにより、トランジスタ特性を調整できる。また、エピタキシャル膜の表面を平坦化することができる。
第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域109は、第2導電型ウエル領域117の底面117aを覆っている。ウエル領域117は、第2導電型窒化ガリウム系半導体から成っており、また第1導電型半導体領域105を第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域109から隔てている。
縦型トランジスタ101では、第1導電型窒化ガリウム系ドリフト領域109は、導電性支持基体115上に設けられた第1のドリフト領域119aと、ウエル領域117間に設けられた第2のドリフト領域119bとを含む。第1のドリフト領域119aは、第1の第2導電型ウエル領域103の底面117aを覆っており、第2のドリフト領域119bは、第2の第2導電型ウエル領域107の側面117bを覆っており、第2のドリフト領域119bの厚さD10は第2の第2導電型ウエル領域の深さD8より大きい。
縦型トランジスタ101では、ウエル領域117に加えて、ドリフト領域109が第1および第2のドリフト領域119a、119bから構成されるので、第2のドリフト領域119bの厚さD10を第2導電型ウエル領域117の深さより小さくできると共に、第1のドリフト領域119aと第2のドリフト領域119bと間にドーパント濃度を設けることができる。これらにより、トランジスタ特性を調整できる。また、エピタキシャル膜の表面を平坦化することができる。
第1のドリフト領域119aのキャリア濃度NDRIFT1は第2のドリフト領域119bのキャリア濃度NDRIFT2と異なっていることができる。例えば、第1のドリフト領域119aのキャリア濃度NDRIFT1が第2のドリフト領域119bのキャリア濃度NDRIFT2より小さいトランジスタでは、耐圧を向上できると共に、オン抵抗の上昇を小さくすることができる。
第1導電型半導体領域105の側面105aおよび底面105bは、第2導電型ウエル領域117によって覆われている。ゲート電極113は、第2導電型ウエル領域117の表面伝導率を変調することができるように設けられており、この変調により、第2のドリフト領域119bと第1導電型半導体領域105との間の電気伝導を制御する。
第1のドリフト領域109aは、導電性支持基体115の表面115a上に設けられている。必要な場合には、窒化ガリウム系半導体からなるバッファ層121を第1のドリフト領域119aと導電性基板115との間に設けることが好ましい。導電性支持基体115として、例えば、GaNおよびAlNといったIII族窒化物支持基体、SiおよびSiCといったIV族半導体支持基体を用いることができる。
第1導電型半導体領域105上には、オーミック電極(例えばソース電極、エミッタ電極)121が設けられている。オーミック電極121は第1導電型半導体領域105の各々にオーミック接触を成す。また、オーミック電極121は第2導電型ウエル領域107の各々にオーミック接触を成す。導電性支持基体115の裏面115bには、オーミック電極(例えばドレイン電極、コレクタ電極)123が形成される。
縦型トランジスタ101の一例は、
導電性支持基体115:n−GaN
第1のドリフト領域119a:n−−GaN
厚さ5〜10μm、キャリア濃度n=1〜3×1016cm−3
第2のドリフト領域119b:n−−GaN
厚さ0.5〜2μm、キャリア濃度n=1〜3×1016cm−3
第2導電型ウエル領域103:p−GaN
厚さ0.1〜0.5μm、キャリア濃度p=1〜5×1017cm−3
第2導電型ウエル領域107:p−GaN
厚さ0.1〜0.5μm、キャリア濃度p=1〜5×1017cm−3
第1導電型半導体領域105:n+−GaN
厚さ0.01〜0.05μm、キャリア濃度n=1〜8×1018cm−3
ゲート絶縁層111:SiN
ゲート電極113:Ni/Au
ソース電極121:Ti/Al
ドレイン電極123:Ti/Al
である。
この構造の縦型トランジスタはMIS型またはMOS型に好適であり、好ましくは導電性基板は第1導電型を有する。また、導電性基板が第2導電型を有するとき、縦型トランジスタは絶縁ゲートバイポーラトランジスタ構造になる。
以上説明したように、本発明の実施の形態によれば、表面の平坦性が改善可能な構造を有する縦型トランジスタが提供される。
引き続き実験例を説明する。図12(A)に示されるようなマスクパターンを用いて、縦型トランジスタのウエル領域を形成する。マスク125は、第1のマスク領域125aと、第1のマスク領域125aの隣に位置する第2のマスク領域125bと、開口領域125cとを有する。第1のマスク領域125aと第2のマスク領域125bとの間の最小間隔W11は、第1のマスク領域125aのエッジ上の第1の点R1と第2のマスク領域125bのエッジ上の第2の点R2との間の距離により規定される。マスク125のマスク幅M11は、第1のマスク領域125aのエッジ上の第1の点R1と第1のマスク領域125aのエッジ上の第3の点R3との間の距離により規定される。第1、第2および第3の点R1、R2、R3は直線上に位置している。マスク領域のエッジに沿って堆積物の盛り上がりは、図13に示されるようにシンボルSTEPで表される。図12(C)は、図12(A)に示されたI−I線に沿った断面を示す。図12(C)において、半導体領域127はマスク125を用いて既にエッチングされている。
半導体領域127には、GaN基板と、GaN基板上に形成された積層体とを含む。第1導電型窒化ガリウム系半導体領域(例えば、GaN基板、GaN基板上に形成されたn+−GaNバッファ層、該バッファ層上に形成されたn−−GaNドリフト層を含む)上に第2導電型窒化ガリウム系半導体膜(例えば、p−GaNウエル層)が形成される。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜上には、マスク125(互いに隔置された複数のマスク部分を有する)が設けられている。第2導電型窒化ガリウム系半導体膜のエッチングにより、孤立した第2導電型窒化ガリウム系半導体領域のアレイが形成される。このマスクを用いて、第2導電型窒化ガリウム系半導体領域上に、別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜(n−−GaNドリフト層)を選択的に成長する。
(実施例1)
p−GaNウエル領域の平面形状はサイズ縦20μm、横20μmの正方形である。マスク部分の幅M1は20μmである。ウエル領域は、60μmピッチで配列されている。マスク部分の間隔(最小間隔)W1は40μmである。W1/M1=2である。エッチングの深さは0.7μmである。マスクは50nm〜100nmの範囲内の厚さのシリコン酸化物からなる。p−ウエル領域を形成した後に、ドリフト領域のためのn−GaNを選択成長する。盛り上がり量は、0.14μmである。この程度の盛り上がりでは、選択エピタキシャル工程の後のプロセスに対する障害が非常に小さい。例えば、この程度の段差があっても、ソース領域、ソース電極およびゲート電極を形成することができる。ソース領域は、本実施の形態に示されるようなマスクを用いたエピタキシャル選択成長、イオン注入、他のマスクを用いたエピタキシャル選択成長を用いることができる。
作製された縦型MISトランジスタは、下記の特性を有する:
耐圧:1.2kV
オン抵抗:1.0mΩcm2
である。
図12(B)に示されるようなマスクパターンを用いて、縦型トランジスタのウエル領域を形成する。マスク129は、第1のマスク領域129aと、第1のマスク領域129aの隣に位置する第2のマスク領域129bと、開口領域129cとを有する。第1のマスク領域129aと第2のマスク領域129bとの間の最小間隔W21は、第1のマスク領域129aのエッジ上の第1の点R1と第2のマスク領域125bのエッジ上の第2の点R2との間の距離により規定される。マスク129のマスク幅M21は、第1のマスク領域129aのエッジ上の第1の点R1と第1のマスク領域129aのエッジ上の第3の点R3との間の距離により規定される。第1、第2および第3の点R1、R2、R3は直線上に位置している。図12(B)に示されたII−II線に沿った断面も、図12(C)に示された形状と同じ形状を有する。
(実施例2)
縦型トランジスタでは、エッチングされたp型GaNウエル領域の平面形状は直径20μmの円形である。マスク部分の幅M1は20μmである。ウエル領域は、50μmピッチで配列されている。マスク部分の間隔(最小間隔)W1は30μmである。W1/M1=1.5である。エッチングの深さは0.7μmである。マスクは50nm〜100nmの範囲内の厚さのシリコン窒化物からなる。孤立したp型ウエル領域のアレイを形成した後に、ドリフト領域のためのn−GaNを選択成長する。盛り上がり量は、0.14μmである。この程度の盛り上がりでは、選択エピタキシャル工程の後のプロセスに対する障害が非常に小さい。例えば、この程度の段差があっても、ソース領域、ソース電極およびゲート電極を形成することができる。
作製された縦型MISトランジスタは、下記の特性を有する:
耐圧:1kV
オン抵抗:1.6mΩcm2
である。
(実施例3)
n+−GaNソース領域の平面形状はサイズ縦5μm、横5μmの正方形である。マスク部分の幅M1は5μmである。ソース領域は、30μmピッチで配列されている。マスク部分の間隔(最小間隔)W1は25μmである。W1/M1=5である。エッチングの深さは0.06μmである。マスクは50nm〜100nmの範囲内の厚さのシリコン酸化物からなる。ソース領域を形成した後に、ドリフト領域のためのp−GaNを選択成長する。
作製された縦型MISトランジスタは、下記の特性を有する:
耐圧:1.2kV
オン抵抗:1.8mΩcm2
である。
図14(A)に示されるようなマスクパターンを用いて、縦型トランジスタのウエル領域を形成する。マスク131は、マスク領域131aと、第1の開口領域131bと、第1のマスク領域131bの隣に位置する第2の開口領域131cとを有する。このマスクは、ドリフト領域のための半導体ではなく、ウエル領域のための半導体を選択成長するために用いられる。縦型トランジスタでは、エッチングされたn型GaNドリフト領域の平面形状は一辺30μmの正方形である。マスク部分の幅M31は30μmである。ウエル領域は、50μmピッチで配列されている。マスク部分の間隔(最小間隔)W31は20μmである。W31/M31=0.67である。エッチングの深さは0.7μmである。マスクは50nm〜100nmの範囲内の厚さのシリコン窒化物からなる。p型ウエル領域のための孤立した凹部のアレイを形成した後に、ウエル領域のためのp−−GaNを選択成長する。この結晶成長は、図14(B)に示されるように、孤立した比較的小さいな開口になされる。このとき、盛り上がり量は0.8μmにもなる。
図15は、様々なマスク比W1/M1と、盛り上がり量との関係を示す図面である。このマスク比が1以上になると、盛り上がり量(マスク領域との段差)がマスク比に対してあまり大きな依存性を示さない。これ故に、最小間隔W1およびマスク幅はW1/M1≧1を満たすことが好ましい。
好適な実施の形態において本発明の原理を図示し説明してきたが、本発明は、そのような原理から逸脱することなく配置および詳細において変更され得ることは、当業者によって認識される。本発明は、本実施の形態に開示された特定の構成に限定されるものではない。例えば、本実施例では、第1のドリフト領域のキャリア濃度NDRIFT1が第2のドリフト領域のキャリア濃度NDRIFT2と異なっているけれども、本発明はこれに限定されない。また、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜のドーパント濃度は、第2導電型窒化ガリウム系半導体膜のドーパント濃度と異なっているけれども、本発明はこれに限定されない。さらに、第1のドリフト領域のキャリア濃度NDRIFT1が第2のドリフト領域のキャリア濃度NDRIFT2と異なっているけれども、本発明はこれに限定されない。したがって、特許請求の範囲およびその精神の範囲から来る全ての修正および変更に権利を請求する。
11…導電性基板、13、13a…第1導電型窒化ガリウム系半導体膜、15…第1導電型バッファ層、17…第2導電型窒化ガリウム系半導体膜、17a、17b…第2導電型窒化ガリウム系半導体領域、19、19a、19b…マスク、21…マスク膜、27…レジストマスク、29…別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜、31a、31b…第1導電型半導体領域(ソースまたはエミッタ)、39…オーミック電極(ソース電極、エミッタ電極)、41…オーミック電極(例えばドレイン電極、コレクタ電極)、P1、P2、P3…マスク上の点、W1、W2…最小間隔、M1、M2…マスク幅、43…縦型トランジスタ、45…第1導電型半導体領域、47…第2導電型ウエル領域、49…第1のドリフト領域、51…第2のドリフト領域、53…ゲート絶縁層、55…ゲート電極、57…ソース電極、59…導電性支持基体、63…ドレイン電極、71、71a…第1導電型窒化ガリウム系半導体膜、73…第1導電型バッファ層、75、75a…第2導電型窒化ガリウム系半導体膜、77、77a、77b…別の第1導電型窒化ガリウム系半導体膜、77c…第1導電型窒化ガリウム系半導体領域の側面、77d…第1導電型窒化ガリウム系半導体領域の底面、79、79a、79b…マスク(ソースまたはエミッタ)、81…別の第2導電型窒化ガリウム系半導体膜、83、83a、83b…マスク、87a、87b…第2導電型窒化ガリウム系半導体領域、93…ゲート絶縁膜、95…ゲート電極、101…縦型トランジスタ、105…第1導電型半導体領域、103…第2導電型ウエル領域、107…第2導電型ウエル領域、111…ゲート絶縁層、113…ゲート電極、115…導電性支持基体、119a…第1のドリフト領域、119b…第2のドリフト領域、121…ソース電極、123…ドレイン電極