以下、本発明の実施の形態について添付図面を参照しながら説明する。
図1は本発明に係る基板実装装置に用いるプリント基板の一例の構成図である。同図を参照すると、折り曲げ部153を境としてプリント基板151と、プリント基板152とに分離可能な一体形成プリント基板(通称「割り基板」)の一例が表示されている。
折り曲げ部153は一例として、いわゆる「ミシン目」をプリント基板151、152の境界に設けたものであり、この折り曲げ部153を境としてプリント基板151、152を折り曲げ、分離することが可能である。
このプリント基板151、152の配線パターンと実装する電子部品は同一なものを想定している。したがって、本発明によれば、プリント基板151、152を連結した状態で電子部品の実装を行うことにより、2枚のプリント基板151、152に対する電子部品の実装を1ラインの処理で完了させることができ、これにより基板実装処理の高効率化を図ることが可能となる。
また、例えば、従来プリント基板151に設けた位置認識用パターン(これについては後述する)を基に、このプリント基板151とテープで接続されたプリント基板152のパターン位置を計算により推定していたが、本発明では一体形成されたプリント基板151、152を用いているため、プリント基板151、152間で相対的な位置ずれは発生しない。したがって、プリント基板151に対するプリント基板152の位置決め精度を従来よりも向上させることが可能となる。
また、プリント基板151、152を両面プリント基板で構成し、そのA面同士が同一パターン、その裏面のB面同士も同一パターンとし、実装する電子部品も同一とするとともに、プリント基板151のA面とプリント基板152のB面とが上となるように一体形成すれば、1ラインでプリント基板の両面の処理を同時に行うことが可能となり、これによりさらに基板実装処理の高効率化を図ることが可能となる。
図2は本発明に係る基板実装装置に用いる両面実装プリント基板の一例の構成図である。同図を参照すると、プリント基板1、2が表示されている。プリント基板1、2は同一形状かつ同一パターンのプリント基板であり、それぞれのプリント基板1、2の基板端面11、21を対向させた状態で配置されている。
これらプリント基板1、2の基板端面11、21には、それぞれ対向する鍵穴形状の切り欠き部12と22、および切り欠き部13と23とが形成されている。
なお、プリント基板1、2についてA面あるいはB面のどちらの面を上にするかは任意に設定が可能である。
図3は本発明に係る基板実装装置に用いる両面実装プリント基板の他の一例の構成図である。同図を参照すると、このプリント基板1、2が図2記載のプリント基板1、2と異なる点は、プリント基板1はB面が上、プリント基板2はA面が上となるよう予め設定されている点であり、その他は図2と同様である。したがって、図2の構成部分と同様の構成部分には同一番号を付し、その説明を省略する。
同図を参照すると、B面はA面の裏面であることを示している。プリント基板1、2の基板端面11、21の中間に仮想回転軸20を設けている。すなわち、プリント基板2(A面)を仮想回転軸20を軸として180度左に回転させたものがプリント基板1(B面)である。
図4は切り欠き部の一例の詳細を示す平面図である。なお同図には一例として図2および図3に示す切り欠き部22が示されているが、切り欠き部23も同様であり、また切り欠き部12、13は切り欠き部22、23を仮想回転軸20を軸として180度左に回転させたものであり、形状および寸法は切り欠き部22、23と同様である。
図4を参照すると、切り欠き部22は円形切り欠き部22aと、直線切り欠き部22bとから構成され鍵穴形状をなしている。また、円形切り欠き部22aは直径がφJであり、直線切り欠き部22bの開口長はKである。
図5は本発明に係る基板連結部材の一例の平面図である。同図を参照すると、基板連結部材は一例として楔31で構成される。楔31は眼鏡形状をなし、両端部に貫通孔32、33を有している。また、貫通孔32側の外周34は一例として8角形に形成されており、突起34a〜34gを有している。同様に、貫通孔33側の外周35も8角形に形成されており、突起35a〜35gを有している。これら両端部は中央部36を介して一体形成されている。なお、貫通孔32側の外周34のもう一つの突起(図示しない34h)は中央部36に吸収されている。同様に、貫通孔33側の外周35のもう一つの突起(図示しない35h)も中央部36に吸収されている。
一方、貫通孔32の直径はφC、外周34の対角線の長さはD、貫通孔33の直径はφE、外周35の対角線の長さは外周34と同様でD、楔31の中央部36の幅はF、貫通孔32、33間の距離はGである。
長さの関係は、J<D、かつC>Eであるところに特徴がある。具体的に説明すると、プリント基板2の切り欠き部22の円形切り欠き部22aの直径Jは楔31の外周34、35の対角線の長さDよりやや短く形成されている。
すなわち、楔31の右側端部を円形切り欠き部22aに嵌め込んだとき、楔31の突起35a〜35gの先端が円形切り欠き部22aに食い込む程度の長さにJおよびDは設定されている。楔31の左側端部についても同様である。
一例として、貫通孔32の直径φC=1.5mm、外周34の対角線の長さD=3.7mm、貫通孔33の直径φE=1.2mm、外周35の対角線の長さD=3.7mm、楔31の中央部36の幅F=2.30mm、貫通孔32、33間の距離G=5.6mm、円形切り欠き部22aの直径φJ=3.6mm、直線切り欠き部22bの開口長K=2.4mmである。
また、楔31の突起34a〜34gの位置と、突起35a〜35gの位置とが左右対称に形成されていないことも本発明の特徴である。これは楔31の貫通孔32の直径と、貫通孔33の直径とが同一に形成されていないことと同期している。
これは、後述するが、プリント基板1を左側、プリント基板2を右側に位置決めし、楔31で両者を一旦連結して電子部品の実装を行った後、プリント基板1,2を切り離し、プリント基板1を裏返して右側、新規のプリント基板を左側に位置決めして再度楔31で両者を連結することを考慮したものである。すなわち、プリント基板1は最初左側に、次いで右側に位置決めされることになる。
すなわち、プリント基板1の円形切り欠き部22aについて観察すると、プリント基板1が左側に位置決めされたときは楔31の左側の突起34a〜34gと接触するが、右側に位置決めされたときは楔31の右側の突起35a〜35gと接触することになる。したがって、楔31の突起34a〜34gおよび突起35a〜35gの位置が左右対称に形成されていたとすると、プリント基板1を裏返した際プリント基板1の円形切り欠き部22aの壁面に楔31の突起34a〜34gおよび突起35a〜35gが2度同じ位置に点接触することになり、これが楔31のいわゆる「がたつき」発生の一因となりうる。これを防止するため、楔31の突起34a〜34gおよび突起35a〜35gの位置は左右非対称に形成されている。
図6はプリント基板に楔を嵌め込んだ状態の一例の平面図である。同図はプリント基板1、2に楔31を嵌め込み両者を連結した状態を示している。
楔31の左右外周34、35は多角形に形成され、その対角線の長さDは切り欠き部22の円形切り欠き部22aの直径Jよりわずかに長く設定されているため、楔31を切り欠き部22に嵌め込んで固定することが可能となる。
一方、貫通孔32側の突起34a〜34gの位置は貫通孔33側の突起35a〜34gの位置と異なるよう形成されるため、2度にわたる楔31の嵌め込みで、プリント基板1、2の切り欠き部22の円形切り欠き部22aの壁面の同じ位置に傷が付くのを防止することが可能となる。
次に、貫通孔32の直径と貫通孔33の直径が異なるよう形成されている理由について説明する。楔31は、治具上にプリント基板1、2を位置決めした状態で、治具上に予め位置決めして設けられたピンをその貫通孔32、33に通すことにより、プリント基板1、2間に嵌め込まれる。
これをプリント基板1について観察すると、最初プリント基板1は左側に位置決めされて、楔31の左側の突起34a〜34gがプリント基板1の円形切り欠き部22に嵌め込まれる。次に、プリント基板1は180度軸回転された後、右側に位置決めされて、楔31の右側の突起35a〜35gがプリント基板1の円形切り欠き部22に嵌め込まれる。ここで、プリント基板1を180度軸回転させた後、楔31が誤って左右逆向きにプリント基板1の円形切り欠き部22に嵌め込まれたとすると、プリント基板1の円形切り欠き部22には楔31の左側の突起34a〜34gが2度続けて嵌め込まれることになる。
そこで楔31が誤って左右反対に嵌め込まれるのを防止するために、楔31の貫通孔32の直径と貫通孔33の直径とが異なるよう形成されている。もちろん、この貫通孔32、33の直径に対応させて、この貫通孔32、33に通すピンの直径も異なるよう形成されている。
なお、基板連結部材(楔31)の厚さはプリント基板1および2の厚さよりも薄くすることが望ましい。その理由は、半田印刷時の半田マスクをプリント基板1、2に密着しやすくするためである。
また、基板連結部材(楔31)の材質は、プリント基板と同様の材質(一例として、ガラスエポキシ材)で構成することが可能であるが、他の樹脂あるいは金属で構成することも可能である。また、第2実施例の基板連結部材(楔31)は一体成型可能な形状であるため、板金の連続抜打ちにより、高精度にかつ大量に生産することが可能である。また、基板連結部材の反復使用が可能である。
また、第2実施例ではプリント基板の切り欠き部12、13、22、23の一例として、基板連結部材(楔31)の突起との接触部分が円形の内壁となるものを挙げたが、これに限定されるものではなく、その接触部分が平面状の内壁、すなわち切り欠き部が多角形であってもよい。
また、第2実施例ではプリント基板を2枚連結する例について説明したが、これに限定されるものではなく、3枚以上連結することも可能である。すなわち、図2および図3を参照すると、プリント基板1および2の片方の辺だけに切り欠き部12、13、22、23が設けられているが、これを両方の辺に設けることにより3枚以上の連結が可能となる。
また、基板の連結にテープを用いた場合は、基板連結精度の向上は図れないものの、両面プリント基板の電子部品の実装の効率化を図ることは可能である。
また、特許文献1に記載のテープ貼付の場合は、前述したように、1枚目のプリント基板でパターン位置を認識および測定し、その結果から2枚目のプリント基板のパターン位置を推定している。
これに対し、本発明では基板連結部材を用いることにより、2枚のプリント基板間の位置決め精度を従来のテープ貼付の場合に比べて向上させることができる。
その理由は、テープ貼付により連結された2枚のプリント基板のテープ貼付部分を持ち上げて、その2枚のプリント基板を治具から取り外すと、テープに伸びが発生するが、本発明のように基板連結部材で2枚のプリント基板を連結した場合はこのような伸びは発生しないためである。また、基板連結部材の両端がプリント基板の切り欠き部に食い込む構成であるため、「がたつき」が発生しないためである。
つぎに、プリント基板の位置認識用パターンについて説明する。図7は位置認識用パターンの一例が設けられた2枚のプリント基板の一例の平面図、図8は位置認識用パターンの他の一例が設けられた2枚のプリント基板の一例の平面図である。
図7を参照すると、プリント基板1の上端の左右に、一例として黒丸で表示された位置認識用パターン141、142が設けられ、同プリント基板1の下端の右に、一例として黒丸で表示された位置認識用パターン143が設けられている。この位置認識用パターン141〜143は位置認識装置で認識が可能であれば黒丸ではなく他の形状もしくは他の色で構成することも可能である。また、位置認識用パターンの数も3個に限定されるものではなく、個数は任意である。
ラインでのプリント基板1、2への電子部品の実装に際し、ライン上にてCCD(Charge Coupled Device )等の位置認識装置を用いてこの位置認識用パターン141〜143の位置を認識し、位置認識用パターン141と位置認識用パターン142とを結んだ線でX軸、位置認識用パターン142と位置認識用パターン143とを結んだ線でY軸を作成し、これらの軸を基準にしてプリント基板1、2内部の半田印刷位置および電子部品搭載位置を求め、その位置に合わせて半田印刷、電子部品の搭載等を行う。
本発明ではプリント基板1、2が、一例として楔31で連結されているため、プリント基板1の位置認識用パターン141〜143の位置認識を行うだけで、プリント基板2内の半田印刷位置および電子部品搭載位置も従来よりも高精度に検出することが可能となり、これにより半田印刷精度および電子部品搭載位置精度の向上を図ることが可能となる。
図8を参照すると、プリント基板1の上端の左に、一例として黒丸で表示された位置認識用パターン144が設けられている。一方、プリント基板2の上端の右に、一例として黒丸で表示された位置認識用パターン145が設けられ、下端の右に黒丸で表示された位置認識用パターン146が設けられている。
これは、プリント基板1と2との両者に位置認識用パターン144〜146を設けた場合の一例である。本発明は、プリント基板1に対するプリント基板2の位置認識精度を従来よりも向上させることができる。本実施例のように、位置認識用パターンをプリント基板1、2に分散させ、位置認識用パターンの左右の間隔(位置認識用パターン144と145の間隔)をさらに広げることにより、X軸の傾き精度が向上するので、図7に示す位置認識用パターン141〜143による位置認識よりもさらに精度の高い位置認識を得ることが可能となる。
また、本発明の第2実施例によれば、一方のプリント基板のA面と、他方のプリント基板のB面とを基板連結部材で接続し、1つのラインでプリント基板のA面とB面の処理を同時に行うことにより、両面プリント基板の電子部品の実装の効率化を図ることが可能となる。
また、基板連結部材として嵌合部材を使用することにより、テープのような伸びが発生せず、また基板連結部材の両端部を多角形状とすることによりプリント基板との連結に「がたつき」が発生しないため、プリント基板の連結精度を向上させることができ、これによりA面プリント基板とB面プリント基板の相互間の位置決め精度を向上させることが可能となる。また、基板連結部材は嵌合部材であるため反復使用が可能となる。
図2にプリント基板の一部に切り欠き部22を設ける例を示したが、これに限定されるものではない。図9はプリント基板の他の一例を示す部分平面図である。同図を参照すると、プリント基板3の切り欠き部22は第2の基板(以下、「捨て基板」と表示する)42上に形成されている。捨て基板42は支持部41を介してプリント基板3と一体化されている。捨て基板42を支持部41で折り曲げ切り離し、あるいは捨て基板42の支持部41を切断して捨て基板42を切り離すことが可能である。
第3実施例のプリント基板によれば、基板実装が終了し、基板連結部材を外した後は捨て基板42をプリント基板に残さないようにすることが可能となり、これにより基板スペースの削減を図ることが可能となる。
図10はプリント基板の他の一例を示す平面図である。同図を参照すると、プリント基板4、5が表示されているが、両者は同一形状をなしており、プリント基板4はB面、プリント基板5はA面が上となるよう載置されている。
一例として、プリント基板4について説明する。プリント基板4の両端上部には一対の基板連結部43がプリント基板4と一体に設けられ、両端下部には基板連結部43と嵌合が可能な形状の一対の切り欠き部22が設けられている。なお、同図には便宜上、プリント基板4と5の間に仮想回転軸20が、プリント基板5の中心に仮想中心点25が表示されている。
同図に示すように左側にプリント基板4をB面が上となるように載置し、仮想回転軸(縦軸)20を軸としてプリント基板4を180度回転させ、さらに仮想中心点25を中心としてプリント基板4を180度回転させれば、プリント基板4はA面が上となり、図10のプリント基板5の位置に収まる。このようにすれば、プリント基板4の基板連結部43がプリント基板5の切り欠き部22と嵌合し、プリント基板5の基板連結部43がプリント基板4の切り欠き部22と嵌合する。
第4実施例のプリント基板によれば、基板連結部43がプリント基板と一体化されるため、基板連結部を別個に備える必要がなくなり、したがって、基板連結部材をプリント基板に嵌め込みかつプリント基板から取り外す処理を削除することが可能となる。
基板連結部材として図5に両端が8角形であるものを表示したが、これに限定されるものではない。両端を3角形以上の多角形で構成することが可能である。
また、一般に“ルーローの多角形”と称されているが、この多角形を基板連結部材の両端に採用することも可能である。“ルーローの多角形”とは、辺が丸みを帯びたおにぎり型、たとえばロータリーエンジンのローターの形状を有する多角形のことをいう。
また、基板連結部材の両端を円または楕円で構成することも可能であり、左右対称(貫通孔の形状も含む)に構成することも可能である。
第5実施例によれば、基板連結部材として広範囲な多角形あるいは円または楕円を用いることが可能となる。
第6実施例は基板連結部材およびプリント基板の他の一例に関するものである。図11は基板連結部材およびプリント基板の他の一例の平面図である。同図を参照すると、プリント基板6、7が表示されているが、両者は同一形状をなしており、プリント基板6はB面、プリント基板7はA面が上となるよう載置されている。
一方、このプリント基板6、7を連結する基板連結部材として三角形の楔51が用いられる。三角形の楔51は2個の三角形部材の一角を向かい合わせて一体化したものであり、その一角は他方の三角形に吸収されている。
また、プリント基板6、7にはこの三角形の楔51を嵌め込むための三角形の切り欠き部61〜64が形成されている。三角形の切り欠き部61〜64は三角形の楔51を嵌め込んだとき、「がたつき」がほとんど発生しない寸法に構成されている。
第6実施例によれば、三角形の楔51および三角形の切り欠き部61〜64は、第2実施例の楔31(図5参照)および切り欠き部22(図4参照)に較べ、斜め切り欠き部を有しており、連結が強固となる。
第7実施例は基板連結部材およびプリント基板の他の一例に関するものである。図12〜図15は基板連結部材をプリント基板に嵌め込む手順の一例を示す説明図である。
図12には基板連結部材の他の一例として楔52が表示されている。この楔52の多角形の形状および貫通孔の形状は第2実施例(図5参照)と同様であるが、楔52をその中央で折り曲げ切断するための切り込み部(Vカット)53が形成されている点および楔52の表面に半田付けが可能である点が第2実施例と異なる。
一方、プリント基板、一例として右側のA面プリント基板8には第2実施例(図4参照)と同様の切り欠き部22が形成されているが、プリント基板8にこの切り欠き部22を囲む淵部81が設けられる点が第2実施例と異なる。また、淵部81の表面も楔52と同様に半田付けが可能に形成されている。なお、図示しないが、左側のB面プリント基板にもA面と同様の切り欠き部22および淵部81が形成される。
図13はA面プリント基板8とB面プリント基板9の切り欠き部22、12に楔52を嵌め込んだ状態を示している。
図14はA面プリント基板8とB面プリント基板9の切り欠き部22、12に楔52を嵌め込んだ後に、プリント基板8の淵部81と楔52の右半分52aを半田付け82した状態を示している。
図15は半田付け82後、楔52をその切り込み部53で折り曲げて切断し、さらに楔52の左半分52bをプリント基板9から除去した状態を示している。
なお、楔52の材質は、半田付けが可能な金属で構成される。
第7実施例によれば、プリント基板8とプリント基板9を分離する際に、プリント基板8から楔52aを抜き取る必要がなくなるという効果がある。また、プリント基板8の切り欠き部22は楔52aで閉塞されるため、切り欠き部22のないプリント基板と同様に取り扱うことが可能となる。一方、プリント基板9の楔52bは抜き取られる。これは次回のA面の電子部品の実装に備えるためである。
第8実施例はプリント基板の実装方法に関するものである。まず、本発明に係るプリント基板の実装方法の一例の概要について説明する。図16は本発明に係るプリント基板の実装方法の一例の概要を示す図である。
同図を参照すると、まず、予めB面のみ電子部品の実装が完了したプリント基板2を所定枚数(一例として50枚)用意する(ステップS21)。
次に、両面とも電子部品の実装がなされていない新規のプリント基板1一枚をB面を上にして載置し、その右隣に前述のB面のみ電子部品の実装が完了したプリント基板2一枚をA面を上にして載置し、さらに楔31で両プリント基板1、2を連結する(ステップS22)。
この2枚一組のプリント基板1、2を順次搬送ラインに投入し、片面のみの電子部品の実装を行う。
その電子部品の実装が終了すると、プリント基板2は両面とも電子部品の実装が完了したので、搬送ラインから下ろし、楔31を外し、プリント基板1と切り離す(ステップS23)。
プリント基板1とプリント基板2とを切り離し後、両面とも電子部品の実装が完了したプリント基板2の電子部品の実装の検査が行われる。その検査は、次に示すステップS24の処理が行われている間に行うことが可能である。
次に、B面の電子部品の実装が終了したプリント基板1一枚を裏返し、A面を上にして載置し、その左隣に両面とも電子部品の実装が行われていないプリント基板15一枚のB面を上にして載置し、両基板1、15を楔31で連結し、搬送ラインに再投入する(ステップS24)。以下、ステップS22、S23、S24の工程を所定回数(本実施例ではあと49回)繰り返す。
このように、プリント基板1、2のA面とB面を連結して電子部品の実装を行うことにより、A面とB面の電子部品の実装を1回のライン搬送で行うことが可能となり、これにより基板実装処理の高効率化を図ることが可能となる。
なお、本実施例ではプリント基板への電子部品の実装を50組単位で行う場合について述べたが、プリント基板の検査を、一例として20組のプリント基板への電子部品の実装が終了するまで待ち、20組分終了した時点でその20組のプリント基板の検査をまとめて行うようにすることも可能である。これにより、その20組のプリント基板の検査を、残りの30組のプリント基板の電子部品の実装が行われている間に行うことが可能となり、検査の時間を別途確保する必要がなくなるため、全体としてプリント基板への電子部品の実装に要する時間を削減することが可能となる。
次に、プリント基板の実装方法の一例の具体例について説明する。図17〜図24は本発明に係るプリント基板の実装方法の一例を示す模式図、図25〜図26は同実装方法の一例を示すフローチャートである。なお、一例として、50組単位の電子部品の実装を行う場合について説明するが、単位となる組数はこれに限定するものではなく任意の組数の設定が可能である。
まず、B面のみ電子部品の実装が完了したプリント基板を所定枚数(一例として50枚)用意する(図25のステップS1)。
各プリント基板を裏返し、そのA面を上にしてトレイ91の右側に配置し(これをプリント基板2とする)、トレイ91の左側に新規のプリント基板をB面を上にして(これをプリント基板1とする)配置し、プリント基板間に基盤連結部材(楔31)を嵌め込む(図25のステップS2および図17)。これを所定組数(本実施例では50組)作成する。
なお、図17にはトレイ91はプリント基板1、2を並べたものよりやや大きい寸法のものが示されているが、これに限定されるものではなく、大きさは任意である。以下の工程においては、一例として、トレイ91の大きさがプリント基板1、2を並べたものよりやや小さい寸法になっている。
次に、50組のプリント基板1、2をトレイ91に載置した状態で、トレーマガジン92に収納する(図25のステップS3および図18)。
ここで、トレーマガジン92の構造について簡単に説明する。図18はトレーマガジン92の一例の縦断面図である。同図に示すように、トレーマガジン92は楔31で連結したプリント基板1、2をトレイ91に載置したまま積み重ねるよう構成されている。具体的には、トレーマガジン92は内側の両端部にレール段溝95が設けられており、そのレール段溝95に各連結済みプリント基板1、2をトレイ91ごと挿入する。
このレール段溝95は、いわゆる「キャタピラ」形状のコンベアに形成されており、この「キャタピラ」が回転することにより、レール段溝95に挿入された連結済みプリント基板1、2が順次上から下へ搬送される。
トレーマガジン92では、最下部の連結済みプリント基板1、2がトレイ91から分離され、搬送ライン93に順次載置される(図25のステップS4および図19)。また、プリント基板1、2と分離されたトレイ91もトレーマガジン92から除去される。
次に、搬送ライン93ではCCD(Charge Coupled Device )等の位置認識装置を用いて、プリント基板1、2上の位置認識用パターン141〜146の位置を認識し、その位置に基づきプリント基板の半田印刷部分および電子部品実装部等の位置を計算する(図25のステップS5)。
本発明では、前述したように、プリント基板1、2の連結位置精度が向上するため、プリント基板1、2の一方のみならず両方に設けた位置認識用パターンに基づきプリント基板の半田印刷部分および電子部品実装部等の位置を計算することが可能となる。
次に、搬送ライン93にて、連結済みプリント基板1、2の半田印刷部分に順次クリーム状半田101が印刷される(図25のステップS6および図20)。
次に、連結済みプリント基板1および2の半田印刷部分のクリーム状半田101に電子部品(一例として、電子部品102〜104)のピン102a、102b、103a、103b、104a、104bが順次載置される(図26のステップS7および図21)。
次に、連結済みプリント基板1、2を高温(一例として260度C)に加熱して半田を溶解し(この処理を「リフロー」と称する)、電子部品102〜104をプリント基板1、2上に固着する(図26のステップS8および図22)。
次に、電子部品102〜104を固着済みのプリント基板の組をラインから取り除きながら、プリント基板1、2の実装処理が所定組(一例として20組)終了したか否かを監視し(図26のステップS9)、所定組(一例として20組)終了していない場合はそのまま監視を継続し(図26のステップS9にて“N”の場合)、所定組(一例として20組)終了した場合は次のステップに進む(図26のステップS9にて“Y”の場合)。
次に、所定組(一例として20組)の連結済みプリント基板1、2から基板連結部材(楔31)を外し、プリント基板1、2を分離する(図26のステップS10および図23)。
続いて、残りの30組のプリント基板1、2の電子部品の実装処理が上述した20組のプリント基板1、2と同様に行われるが、その30組のプリント基板1、2の処理が行われている間に、この20組のプリント基板1、2のうちの両面の実装処理が完了したプリント基板2の検査を行う(図26のステップS11)。
次に、いままで左側に載置されていたプリント基板1を裏返して、A面を上にしてトレイ91の右側に載置し、新規のプリント基板10を、B面を上にして左側に載置し、プリント基板間に基板連結部材(楔31)を嵌め込む(図26のステップS12および図24)。これを、所定数(本実施例では新たに20組)作成する。
次に、新たな20組のプリント基板10、1をトレイ91に載置した状態で、トレーマガジン92に収納する(図25のステップS13および図18)。
以後、ステップS4〜S12、S13の処理を各プリント基板の組について繰り返す。
以上の手順により、プリント基板の電子部品の実装が連続して行われる。
本実施例では最初に50組のプリント基板を作成し、これをトレーマガジンに投入し、50組のうちの20組の電子部品の搭載が終了した時点で、プリント基板を切り離し、片面しか電子部品の搭載が終了していないプリント基板20枚を両面とも電子部品を搭載していないプリント基板20枚と連結し、20組の連結基板を作成し、これをトレ−マガジンに収納するようにしている。
なお、最初に50組のプリント基板の組を投入すること、および20組の電子部品の搭載が終了した時点で、プリント基板を切り離すことは一例であり、本発明はこれらの組数に限定されるものではない。本発明ではこれらの組数を任意に設定することが可能である。
トレーマガジン92は常時回転しており、50組のプリント基板のうちの1組が搬送ライン93に投入されるたびに、他の1組のプリント基板がトレーマガジン92に投入されるのが理想的である。このようにすれば、搬送ライン93上には連続して、かつ等間隔にプリント基板の組が配置されることになり、プリント基板への電子部品の搭載を効率良く行うことが可能となる。
なお、第8実施例では連結済みプリント基板1、2の片面のリフローが完了した後、一旦プリント基板1、2を切り離し(図26のステップS10参照)、反対面については別々に処理したが(同図のステップS12参照)、片面のリフローが完了した後、プリント基板1、2を切り離さないで、これをそのまま裏返し、再度同様の処理(図25のステップS13〜図26のステップS12まで)を行うことも可能である。
しかし、後者の場合、プリント基板1、2を2度続けてリフローすることになり、プリント基板1、2に実装された電子部品が2度続けて高温にさらされることになり好ましくない。
これに対し、本発明では、プリント基板一組の片面のリフローが終了後、プリント基板を切り離し、反対面のリフローは個別に行う構成であるため、プリント基板上の電子部品が2度続けて高温にさらされるのを防止することが可能となる。
第8実施例によれば、プリント基板のA面とB面とを連結して電子部品の実装を行う構成であるため、プリント基板のA面とB面の電子部品の実装を同時に行うことが可能となる。したがって、プリント基板の電子部品の実装を1ラインの処理で完了させることができ、これにより両面プリント基板の電子部品の実装の効率を上昇させることが可能となる。
また、プリント基板1、2を基板連結部材(楔31)で連結する構成であるため、テープのような伸びが生じることはなく、したがって、テープ貼付の場合のようなプリント基板1、2間の相対的なずれに起因する半田印刷および部品載置の位置ずれは発生しない。これにより、プリント基板の半田印刷および部品載置の位置ずれを従来よりも減少させることが可能となる。
また、プリント基板のA面とB面とを連結して電子部品を実装する利点がもう1つ存在する。例えば、A面の配線密度が大きく、B面の配線密度が小さいプリント基板を考える。従来のようにプリント基板のA面およびB面の電子部品の実装を、別々のラインで同一時間をかけて同一枚数行う場合、配線密度が大きいA面の電子部品の実装は配線密度が小さいB面に比べ時間を要する。
一例として、プリント基板一枚のA面の電子部品の実装時間を30秒、プリント基板一枚のB面の電子部品の実装時間を20秒とする。したがって、50枚のプリント基板の実装を行う場合、プリント基板のA面の実装に要する総時間は1500秒となるのでこれを基準とする。
一方、プリント基板のB面の実装に要する総時間は1000秒であり、A面の実装に比べ500秒短くなる。したがって、プリント基板のB面の実装を1500秒かけて行うとすると、個々のプリント基板間に「何も処理しない時間」(500/49秒)が発生し、処理効率が低下する。
これに対し、本発明によれば、プリント基板のA面とB面とを連結して電子部品の実装を1ラインで同時に行うため、「何も処理しない時間」は発生しない。また、A面の電子部品の実装時間30秒およびB面の電子部品の実装時間20秒は従来と同様に必要であるものの、ラインにプリント基板を2枚単位で並べることになるため、1枚ずつ並べるのに比べ、並べるのに要する時間を半減させることが可能となる。同様に、プリント基板の位置認識についても2枚単位で行うため、従来1枚単位に位置認識していたのに比べ、位置認識に要する1枚当たりの時間は半減する。
さらに、A面処理のプログラムとB面処理のプログラムを一体化した新たなプログラムを作成すれば、A面とB面の電子部品の実装時間の合計時間(上記一例の場合は50秒)を減少させることも可能となる。
第9実施例は基板連結部材の取り付け治具に関するものである。図27は基板連結部材の取り付け治具の一例の斜視図である。同図を参照すると、基板連結部材の取り付け治具110は基台111と、基台111上に設けられたピンベース112と、ピンベース112上に設けられたピン113、114と、基台111上かつピンベース112より下方に設けられたピンベース115と、ピンベース115上に設けられたピン116、117と、プリント基板の位置決め部材131〜134とを含んで構成される。
このピン113、114、116、117の取り付け位置は、図2および図3に示すプリント基板1、2の切り欠き部12、22、13、23に嵌め込む基板連結部材(楔31)の貫通孔32、33の位置に対応させてある。したがって、ピン113、116の直径と、ピン114、117の直径とは異なる。
図28は治具を用いてプリント基板に基板連結部材(楔31)を嵌め込んだ場合の一例を示す斜視図である。同図に示すように、まずプリント基板1、2を基台111に載置して、位置決め部材131〜134を用いて(位置決め部材131〜134間にプリント基板1、2を嵌め込んで)位置合わせを行い、次に基台111上のピン113、114、116、117に基板連結部材(楔31)を嵌め込む。
第9実施例によれば、治具110を用いることにより、基板連結部材(楔31)をプリント基板1,2間の所定位置に嵌め込むことが容易となる。
第10実施例は基板連結部材の取り外し治具に関するものである。図29は基板連結部材の取り外し治具の一例の縦断面図である。同図を参照すると、基板連結部材の取り外し治具120は基台121と、座金122と、ピン123と、座金124と、ピン125と、支持部材126とを含んで構成される。支持部材126は基台121の表面に取り付けられている。なお、同図には便宜上基板連結部材(楔31)の平面図も表示されている。
基台121の裏面に座金122、124が取り付けられている。座金122、124は環状に形成され、その取り付け位置は楔31の両端の多角形部の位置に対応している。座金122、124の図示しない開口部にはそれぞれピン123、125が嵌合されている。座金122、124の直径(外径)は楔31の両端の多角形部を押圧するのに十分な長さに設定され、ピン123、125の直径はそれぞれ楔31の貫通孔32、33に嵌め込むのに十分な長さに設定されている。したがって、ピン123とピン125の直径は異なる。
いま、楔31はプリント基板1、2間に連結されているものとする。取り外し治具120のピン123、125の位置を楔31の貫通孔32、33に合わせ、取り外し治具120を下降させると、取り外し治具120のピン123、125が楔31の貫通孔32、33に挿入され、かつ取り外し治具120の座金122、124が楔31の両端の多角形部を押圧するため、楔31がプリント基板1、2から外れる。この取り外し治具120の下降は支持部材126を下降させることにより行うが、人力によるものでもよいし、支持部材126の上端部に接続した図示しない制御部の制御によるものでもよい。
第10実施例によれば、治具120を用いることにより、正確にかつ容易にプリント基板1、2から基板連結部材(楔31)を取り外すことが容易となる。