JP5143433B2 - コークスの製造方法、及び、銑鉄の製造方法 - Google Patents
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Description
本発明のコークスの製造方法は、炭素含有率(d.a.f.)が85%以上91%以下の石炭と、炭素含有率(d.a.f.)が60%以上85%未満の石炭とを含有する配合炭100質量部に対して、灰分を実質的に含まない石炭(無灰炭)を0.2質量部以上1質量部以下添加した配合炭1を準備する工程と、前記配合炭に対して、前記灰分を実質的に含まない石炭を添加しない配合炭2を準備する工程と、前記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程と、前記配合炭1を前記炭化室にあって前記配合炭2の上部に装入する工程と、前記炭化室に装入された、前記配合炭2と前記配合炭1とを含む原料炭を乾留する工程とを含むことを特徴とする。以下、本発明のコークスの製造方法について説明する。
本工程で用いる炭素含有率(d.a.f.)が85%以上91%以下の石炭や、炭素含有率(d.a.f.)が60%以上85%未満の石炭としては、特に限定されるものではないが、炭素含有率(d.a.f.)が60%以上85%未満の石炭としては、炭素含有率(d.a.f.)が78%以上83%未満の石炭(弱粘結炭、非粘結炭、又は、これらの混合物)であることが好ましい。
本発明で用いる配合炭2は、これを原料炭として得られるコークスの強度が、上述の配合炭1を原料炭として得られるコークスの強度よりも低くなるものであれば、前記無灰炭を添加しないことを除いて、その態様は特に限定されるものではない。具体的には、配合炭2は、前記配合炭1を準備する工程で調整した配合炭そのものであることが好ましい。かかる構成により、配合炭1を用いて得られるコークスと配合炭2を用いて得られるコークスの強度の間に最も差をつけることができる。
本発明のコークスの製造方法において、配合炭1および配合炭2を含んで構成される原料炭の炭化室への装入は、最終的に配合炭2を炭化室の下層に配置し、配合炭1を炭化室の上層に配置して、炭化室内で配合炭1の層が配合炭2の層を押圧するような態様となるように行えばよい。したがって、本工程においては、炭化室内で配合炭2の層を配合炭1の層よりも下方に装入できれば、その実施態様は特に限定されるものではなく、従来から原料炭を炭化室に装入する際に行っている方法を採用することができる。例えば、炭化室の天井部に配置されている装入孔に対応する数のホッパーを搭載した装入車を準備し、各ホッパーに必要量の配合炭2を充填し、これを炭化室上に移動させた後、各ホッパーの下部に設けられたテーブルフィーダーを駆動させて配合炭2を炭化室に自由落下させて行う方法が挙げられる。
本工程においては、炭化室内で配合炭1の層が配合炭2の層よりも上方に装入されるものであれば、その実施方法は特に限定されるものではない。例えば、上記工程で用いた装入車とは別に、該装入車と同数のホッパーを搭載した他の装入車を準備し、各ホッパーに必要量の配合炭1を充填し、上記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程に続いて、これを炭化室上に移動させた後、各ホッパーの下部に設けられたテーブルフィーダーを駆動させて配合炭1を炭化室に自由落下させて行う方法が挙げられる。
本工程における乾留条件は特に制限されるものではなく、コークス炉を使用するコークス製造における通常の乾留条件を採用できる。例えば、好ましくは950℃以上、より好ましくは1000℃以上であって、好ましくは1200℃以下、より好ましくは1050℃以下の温度で、8時間以上、より好ましくは10時間以上、より好ましくは24時間以下、より好ましくは20時間以下乾留する方法が挙げられる。
以上、本発明のコークスの製造方法の実施態様について説明したが、本発明のコークスの製造方法は上記態様に限定されるものではなく、以下の態様であってもよい。
本発明のコークスの製造方法において、配合炭1および配合炭2を含んで構成される原料炭の炭化室への装入は、炭化室内で配合炭1の層が配合炭2の層を押圧するような態様となるように行えば、特に限定されるものではない。例えば、図2に示すように、前記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程を、炭化室を長さ方向に仮想的に5等分した場合に、炭化室の中央の3区分の容積を100%とした場合の底部から55〜70%(より好ましくは60〜65%)と、炭化室の両端の各区分の容積を100%とした場合の底部から30〜45%(より好ましくは35〜40%)とに配合炭2を前記炭化室に装入して行い、前記配合炭1を炭化室にあって配合炭2の上部に装入する工程を、配合炭2が装入された後の炭化室の中央の3区分の残り30〜45%(より好ましくは35〜40%)と、炭化室の両端の各区分の残り55〜70%(より好ましくは60〜65%)とに配合炭1を装入して行ってもよい。
上記配合炭1を前記炭化室にあって前記配合炭2の上部に装入する工程において、炭化室に設けられた複数の装入孔から配合炭1を自然落下させた場合には、炭化室内に装入された配合炭1は安息角に従って各装入孔の直下に頂上部を有する凹凸面を形成することとなる。このため、本発明のコークスの製造方法においては、前記配合炭1を装入する工程の後、凹凸面を形成している配合炭1の表面をレベラーによって均す工程を含んで構成されてもよい。
本発明には、本発明のコークスの製造方法により得られるコークスを用いることを特徴とする銑鉄の製造方法が含まれる。本発明の製造方法により得られるコークスは、炭化室内のコークス強度のばらつきが低減されているので、高炉における銑鉄の製造に好適に使用できる。
(無灰炭の調製)
本発明で用いる無灰炭は、図1の装置を用いて、以下の方法により調製した。すなわち、オーストラリア産粘結炭(炭素含有率(d.a.f)84%)と1−メチルナフタレンをタンク1内で混合して(オーストラリア産粘結炭:1−メチルタフタレン=20質量%:80質量%)スラリーを調製した。得られたスラリーを予熱器3で370℃に加温して、抽出槽4内でオーストラリア産粘結炭から可溶成分を抽出した。抽出処理後のスラリーを流量15kg/hで重力沈降槽5に供給し、重力沈降を行って上澄み液と固相成分濃縮液とに分離し、上澄み液を3kg/hの流量でフィルターユニット8に供給し、固相成分濃縮液を12kg/hの流量で重力沈降槽5の底部から固相成分濃縮液受け器6に排出した。上澄み液をフィルターユニット8で濾過した後、上澄み液受け器9に回収し、スプレードライ法により回収液から有機溶媒を蒸発除去して、無灰炭(灰分600ppm)を得た。
表1に示すように、所定の配合炭に上記無灰炭を所定量添加して改質配合炭を調製した。改質配合炭を、幅378mm×長さ121mm×高さ114mmの大きさの缶容器に、所望の密度(720kg/m3及び780kg/m3)となるように充填した。この缶容器4個をさらに鋼製のレトルト(大きさ:幅380mm×長さ430mm×高さ350mm)に並べて入れて、この缶容器を幅方向に加熱できる両面加熱式電気炉に前記レトルトを入れて、配合炭1を乾留した。乾留は、1000℃で10時間の条件で行い、その後、レトルトを電気炉から取り出して約16時間かけて自然放冷した。
得られた強度測定用サンプルを用いて、I型強度を測定した。I型強度試験に用いる装置として、SUS材で作られた円筒状の容器(長さ720mm、円の底面直径132mm)を用い、この容器に前記サンプル200gを入れて、1分間に20回の回転速度で30分間回転させて、合計600回の回転運動による衝撃を加えた。この円筒の回転は、円筒の長さ720mmの真中に当たる360mmのところに回転軸を設け、この回転軸を中心に円筒を回転させて、円筒の底面が直径720mmの円を描くように行った。規定の600回転の回転による衝撃を加えた後、この円筒状の容器からサンプルを取り出し、9.5mmの篩目の篩で分けて篩上の質量を測った。この際、篩に引っかかったものも篩上として質量を測定した。I型強度指数は、以下のようにして算出し、算出した結果を表1に示した。
I型強度指数I600 9.5=100×9.5mm篩上質量(単位:g)/200g
本発明者らは、これまでの知見に基づいて、炭化室内を長さ方向に15等分し、また高さ方向に8分割した場合の、各区分における見掛け充填密度を求めた。その結果を表2に示した。
本発明者らは、これまでの知見に基づいて、無灰炭が添加されない配合炭(本発明で用いる配合炭2に相当)、及び無灰炭が0.5質量部添加された配合炭(本発明で用いる配合炭1に相当)が炭化室内で所定の充填密度を有する場合に得られるコークスの強度を推定した。その結果を表3に示した。
上記表3の結果に基づいて、無灰炭が添加されない配合炭、及び無灰炭が0.5質量部添加された配合炭の見掛け充填密度からコークス強度を算出する換算式を求めた。
(実施例1)
コンピューター上で、炭化室内を高さ方向で2分割した。そして、高さ方向の下部1/2の領域に、配合炭2(無灰炭無添加の配合炭)を装入することとした。また、炭化室内において残りの領域に、配合炭1(無灰炭を0.5質量部添加した配合炭)を装入することとした。
コンピューター上で、炭化室内を高さ方向で8分割、長さ方向で5分割(図2参照)した。そして、長さ方向の両端部各1/5の部分であって、かつ高さ方向の下部3/8の領域と、長さ方向の中央部3/5の部分であって、かつ高さ方向の下部5/8の領域(図2の空白部)に、配合炭2(無灰炭無添加の配合炭)を装入することとした。また、炭化室内において残りの領域(図2の斜線部)に、配合炭1(無灰炭を0.5質量部添加した配合炭)を装入することとした。
コンピューター上で炭化室内を分割することなく、配合炭2(無灰炭無添加の配合炭)のみを炭化室内に装入することとした以外は実施例1と同様にして、各マトリックスから排出されるコークスの強度を上記式に従ってシミュレートした。その結果を表6に示した。
Claims (5)
- 炭素含有率(d.a.f.)が85%以上91%以下の石炭と、炭素含有率(d.a.f.)が60%以上85%未満の石炭とを含有する配合炭100質量部に対して、灰分を実質的に含まない石炭を0.2質量部以上1質量部以下添加した配合炭1を準備する工程と、
前記配合炭100質量部に対して、前記灰分を実質的に含まない石炭を添加しない配合炭2を準備する工程と、
前記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程と、
前記配合炭1を前記炭化室にあって前記配合炭2の上部に装入する工程と、
前記炭化室に装入された、前記配合炭2と前記配合炭1とを含む原料炭を乾留する工程と
を含み、
前記灰分を実質的に含まない石炭として、炭素含有率(d.a.f.)が60%以上95%未満の石炭から有機溶媒を用いて抽出して得られる可溶成分を用いることを特徴とするコークスの製造方法。 - 前記有機溶媒として、2環芳香族化合物を主成分とする有機溶媒を用いる請求項1に記載のコークスの製造方法。
- 前記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程を、前記炭化室を長さ方向に5等分した場合に、前記炭化室の中央の3区分の容積を100%とした場合の底部から55〜70%と、前記炭化室の両端の各区分の容積を100%とした場合の底部から30〜45%とに前記配合炭2を前記炭化室に装入して行い、前記配合炭1を前記炭化室にあって前記配合炭2の上部に装入する工程を、前記配合炭2が装入された後の前記炭化室の中央の3区分の残部30〜45%と、前記炭化室の両端の各区分の残部55〜70%とに前記配合炭1を装入して行う請求項1または2に記載のコークスの製造方法。
- 炭素含有率(d.a.f.)が85%以上91%以下の石炭と、炭素含有率(d.a.f.)が60%以上85%未満の石炭とを含有する配合炭100質量部に対して、灰分を実質的に含まない石炭を0.2質量部以上1質量部以下添加した配合炭1を準備する工程と、
前記配合炭100質量部に対して、前記灰分を実質的に含まない石炭を添加しない配合炭2を準備する工程と、
前記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程と、
前記配合炭1を前記炭化室にあって前記配合炭2の上部に装入する工程と、
前記炭化室に装入された、前記配合炭2と前記配合炭1とを含む原料炭を乾留する工程と
を含み、
前記配合炭2を炭化室の下部に装入する工程を、前記炭化室を長さ方向に5等分した場合に、前記炭化室の中央の3区分の容積を100%とした場合の底部から55〜70%と、前記炭化室の両端の各区分の容積を100%とした場合の底部から30〜45%とに前記配合炭2を前記炭化室に装入して行い、前記配合炭1を前記炭化室にあって前記配合炭2の上部に装入する工程を、前記配合炭2が装入された後の前記炭化室の中央の3区分の残部30〜45%と、前記炭化室の両端の各区分の残部55〜70%とに前記配合炭1を装入して行うことを特徴とするコークスの製造方法。 - 請求項1から4のいずれか1項に記載のコークスの製造方法により得られるコークスを用いることを特徴とする銑鉄の製造方法。
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