JP5140992B2 - 燃料電池システム - Google Patents

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Description

本発明は、電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、アノード側電極に供給された燃料ガスとカソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池を備える燃料電池システムに関する。
燃料電池スタックは、例えば電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有する膜−電極アセンブリ(MEA)とセパレータとを1組の燃料電池セルとして、これを複数組積層した燃料電池セル積層体により構成している。すなわち、各燃料電池セルは、高分子イオン交換膜から成る電解質膜の一方の面にアノード側電極を、他方の面にカソード側電極を、それぞれ配置して、さらに両側にセパレータを設けることにより構成している。そして、このような燃料電池セルを複数組積層し、さらに集電板、絶縁板、エンドプレート等で狭持することにより、高電圧を発生する燃料電池スタックを構成する。
このような燃料電池では、アノード側電極に燃料ガス、例えば水素を含むガスを供給すると共に、カソード側電極に、酸化ガス、例えば空気を供給する。これにより、燃料ガスおよび酸化ガスが電気化学反応に供されて、起電力を発生し、カソード側電極では、水が生成される。
このような燃料電池においては、発電に伴い、カソード側電極からアノード側電極へ窒素や水等の不純物が電解質膜を通過する可能性がある。このように不純物が電解質膜を通過すると、アノード側電極において、不純物の分圧が上昇する一方、水素の濃度が低下して、発電能力が低下する可能性がある。この場合には、例えば燃料電池を搭載した燃料電池車で、運転者の要求に応じて燃料電池から発電電力を取り出す指令が制御部に入力されても、燃料電池からは指令に対応する電力を取り出すことができず、運転が不安定になる可能性がある。
これに対して、特許文献1には、燃料電池システムにおいて、発電量から推定した発電に消費された消費水素量と、燃料電池の温度等から推定したアノード側電極からカソード側電極への透過水素量と、水素ガスが供給される供給流路を流れるガスの流量から推定したアノード側電極に供給された供給水素量とから、カソード側電極からアノード側電極に移動した透過窒素量を推定することが記載されている。そして、透過窒素量の積算量が所定量以上である場合に、アノード側電極側の排出流路に設けた排出弁を開放して、不純物を含むガスを排出し、燃料ガス通路内の燃料ガス量を増加させるとされている。
また、特許文献2には、燃料電池システムにおいて、運転停止からの経過時間と、燃料極の圧力および燃料極圧力の時間微分値とにしたがって、燃料極内に蓄積している不純物の濃度を推定することが記載されている。また、特許文献3には、燃料電池システムにおいて、燃料電池スタックの起動時温度および運転終了時温度と、起動時外気温および運転終了時外気温とから求められる温度比により、水素極中の窒素濃度を推定することが記載されている。
特開2005−327596号公報 特開2006−209996号公報 特開2004−172026号公報
上記の特許文献1に記載された燃料電池システムの場合、場合によっては、アノード側電極における不純物濃度の推定誤差が大きくなる可能性がある。すなわち、燃料電池システムの運転状態としては、例えば、発電運転を行う起動直前状態、起動直後状態、通常運転状態、発電量を要求する状態と発電量を要求しない状態とが間欠的に繰り返される間欠運転等がある。これに対して、起動直後状態においては、カソード側からアノード側へ電解質膜を介して移動する窒素、水等の不純物の透過量は少ない。また、起動直後状態と、起動直前状態と、間欠運転での発電停止状態とでは、燃料電池における発電量が小さいか、または全くない。このように種々の運転状態がある燃料電池システムで、特許文献1に記載された燃料電池システムのように、1つの推定方法によりカソード側からアノード側に移動する透過窒素量を推定しても、実際には影響が少ないか全く影響がないパラメータ、すなわち要素を入れたままで推定することになり、透過窒素量の推定精度の誤差が蓄積される可能性がある。すなわち、場合によっては、アノード側電極における実際の不純物濃度と、不純物濃度の推定値との間の誤差が大きくなる可能性がある。このため、場合によっては、アノード側電極の水素濃度を精度よく推定できない可能性がある。また、1つの推定方法でしかも水素濃度の推定値をリセットしない推定方法により水素濃度を推定する場合、長時間水素濃度を推定する場合に推定に使用する要素の誤差が蓄積される可能性があり、この場合も、アノード側電極の水素濃度を精度よく推定できない可能性がある。
アノード側電極の水素濃度を精度よく推定できないと、必要な水素濃度を得るために、アノード側電極に通じる燃料ガス系排出流路の排出弁を開放して、新たな水素をアノード側電極に供給する場合でも、燃料ガス系排出流路から不純物とともに、過度に多くの未消費の水素も排出してしまう可能性があり、燃料消費率の悪化を招く可能性がある。
これに対して、特許文献2および特許文献3に記載された燃料電池システムの場合には、運転初期時において、燃料極内に蓄積している不純物の濃度を推定するものであり、通常運転や間欠運転等の運転初期時以外の場合で、燃料極に対応するアノード側電極における不純物濃度を推定し、アノード側電極の水素濃度を精度よく推定することは考慮されていない。
本発明は、燃料電池システムにおいて、特定の運転状態に対応して、アノード側電極の水素濃度の推定精度を向上させることを目的とする。
本発明に係る第1の燃料電池システムは、電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、前記アノード側電極に供給された燃料ガスと前記カソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、前記アノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、を備え、前記水素濃度推定手段は、起動直後に、前記燃料電池のアノード側に接続されたアノード側流路から外部への各回のガス排出前の前記アノード側電極の非水素ガス分圧の推定値P NH と、外部へのガス排出前後でのアノード側圧力センサで検出した前記アノード側流路内のアノード側全圧検出値P X ,P X ´と、外部へのガス排出量とから、各回のガス排出後における前記アノード側電極の非水素ガス分圧P NH ´を推定し、各回のガス排出後における前記アノード側電極の前記非水素ガス分圧の推定値P NH ´と外部へのガス排出後の前記アノード側全圧検出値P X ´とから各回の外部へのガス排出後の前記アノード側電極の水素濃度を推定することを、起動直後から前記非水素ガス分圧の推定値P NH ´が低下して予め設定した所定値に達するまで繰り返し行うことを特徴とする燃料電池システムである。
また、本発明に係る第2の燃料電池システムは、電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、前記アノード側電極に供給された燃料ガスと前記カソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、前記アノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、を備え、前記水素濃度推定手段は、前記燃料電池の発電を停止し二次電池または蓄電器から負荷に電力を供給する間欠運転での発電停止時に、前記燃料電池のカソード側に接続されたカソード側流路内の、カソード側圧力センサで検出したカソード側圧力検出値と、前記燃料電池の検出温度に応じて推定されたカソード側流路の飽和水蒸気の分圧分とからカソード側の窒素分圧平均A5を推定し、単位時間当たりの発電電流の検出値とカソード側の窒素分圧平均の推定値A5とから前記アノード側電極の窒素分圧平均A6を推定し、予め設定したアノード側の非水素ガス分圧の初期値P R から、前記燃料電池の検出温度に応じて推定された前記アノード側流路の飽和水蒸気の分圧分を減算した第1分圧分に、前記カソード側電極の窒素分圧平均の推定値A5及び前記アノード側電極の窒素分圧平均の推定値A6から求めたカソード側からアノード側への透過非水素ガス量による透過窒素量の積算値と、前記燃料電池のアノード側に接続されたアノード側流路内の、アノード側圧力センサで検出した前記アノード側流路内のアノード側全圧検出値P X とから求めた透過窒素量による第2分圧分を加算することで前記アノード側電極の非水素ガス分圧P NH を推定し、前記アノード側電極の非水素ガス分圧の推定値P NH と前記アノード側全圧検出値P X とから前記アノード側電極の水素濃度を推定することを特徴とする燃料電池システムである。
また、本発明に係る第3の燃料電池システムは、電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、前記アノード側電極に供給された燃料ガスと前記カソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、前記アノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、を備え、前記水素濃度推定手段は、前記アノード側電極での非水素ガス分圧の推定値P NH が低下し一定の所定値に達した後において、少なくとも前記燃料電池の発電を停止し二次電池または蓄電器から負荷に電力を供給する間欠運転での発電停止開始時に、前記アノード側電極の水素濃度または前記非水素ガス分圧の推定値P NH を、一定の所定値であるリセット値P R にリセットすることを特徴とする燃料電池システムである。
本発明に係る燃料電池システムによれば、アノード側電極の水素濃度の推定方法として、特定の運転状態に対応する、より適切な推定方法を使用することができる。このため、アノード側電極の水素濃度の推定精度を向上させることができる。
以下において、図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1から図8は、本発明の実施の形態を示している。
[燃料電池システムの構成]
図1は、本実施の形態の略構成図である。燃料電池システム10は、燃料電池車に搭載して使用するもので、燃料電池スタック12を有する。この燃料電池スタック12は、複数の燃料電池セルを積層した燃料電池セル積層体とすると共に、燃料電池セル積層体の積層方向両端部に、集電板と、エンドプレートとを設けている。そして、燃料電池セル積層体と集電板とエンドプレートとをタイロッド、ナット等で締め付けている。なお、集電板とエンドプレートとの間に絶縁板を設けることもできる。
図1において各燃料電池セルの詳細図は省略するが、例えば、電解質膜をアノード側電極とカソード側電極とにより狭持して成る膜−アセンブリと、その両側のセパレータとを備えたものとする。また、アノード側電極には燃料ガスである水素ガスを供給可能とし、カソード側電極には酸化ガスである空気を供給可能としている。そして、アノード側電極で発生した水素イオンを、電解質膜を介してカソード側電極まで移動させ、カソード側電極で酸素と電気化学反応を起こさせることにより、水を生成する。アノード側電極からカソード側電極へ図示しない外部回路を通じて電子を移動させることにより起電力を発生する。
また、燃料電池スタック12の内部で、セパレータの近くには、図示しない内部冷媒流路を設けている。この内部冷媒流路に冷媒である冷却水を流すことにより、燃料電池スタック12の発電に伴う発熱により温度が上昇しても、その温度が過度に上昇しないようにしている。
また、酸化ガスである空気を燃料電池スタック12に供給するために、酸化ガス供給流路14を設けている。酸化ガス供給流路14のガスの上流部に、ガス圧縮機であるエアコンプレッサ16を設けており、エアコンプレッサ16で加圧した空気を、加湿器18で加湿するようにしている。エアコンプレッサ16は図示しないモータにより駆動させる。そして、加湿した空気を、燃料電池スタック12のカソード側電極側の酸化ガス内部流路に供給するようにしている。
また、燃料電池スタック12の温度を検出するために、温度検出手段である温度センサ20を設けている。温度センサ20は、燃料電池スタック12の冷却水出口温度の冷却水温度を検出することにより、間接的に燃料電池スタック12の温度を検出する。温度センサ20の検出温度を表す信号は、制御部であるECU(electronic control unit)24に入力する。なお、温度センサにより燃料電池スタック12の温度を直接検出するようにすることもできる。また、酸化ガス供給流路14の加湿器18よりもガス下流側に入口側エアシャットバルブ(エアS/V)である、入口側閉鎖弁22を設けている。入口側閉鎖弁22の開閉は、ECU24により制御する。
また、加湿器18は、燃料電池スタック12から酸化ガス系排出流路26に排出された空気に含まれる水分を、燃料電池スタック12に供給される前の空気に与えて、空気を加湿する役目を果たす。例えば、加湿器18は、多数の中空糸膜の内側と外側とに水分含有量の異なるガスが供給された場合に、水分含有量の多いガス中の水分が中空糸膜を通過するようにして、水分含有量の少ないガスに水分を与える。
また、燃料電池スタック12に供給され、各燃料電池セルで電気化学反応に供された後の酸化ガス系ガスである、空気オフガスは、燃料電池スタック12から酸化ガス系排出流路26を通じて排出され、加湿器18を通過した後、希釈器28に送り込む。希釈器28に送り込んだ空気オフガスは、希釈器28に送り込まれる後述の水素ガス系ガス中の水素濃度を低下させてから大気に排出するようにしている。また、酸化ガス系排出流路26の加湿器18よりもガス上流側に、出口側エアシャットバルブ(エアS/V)である、出口側閉鎖弁30を設けている。出口側閉鎖弁30の開閉は、ECU24により制御する。
一方、燃料ガスである水素ガスを燃料電池スタック12に供給するために、燃料ガス供給流路32を設けている。燃料ガス供給流路32のガス上流部に、燃料ガス供給装置である高圧水素タンクや、改質反応により水素を生成する改質装置等の水素ガス供給装置34を設けている。水素ガス供給装置34から燃料ガス供給流路32に供給された水素ガスは、燃料制御弁36を介して燃料電池スタック12のアノード側電極側の燃料ガス内部流路に供給される。そして、燃料電池スタック12で電気化学反応に供された後の水素ガス系ガスは、燃料ガス系循環経路38を通じて、再度燃料電池スタック12に戻される。なお、アノード側電極から排出される水素ガス系ガスには、未消費の水素、不純物としての水、窒素等が含まれる場合がある。
燃料ガス系循環経路38に水素ガス循環ポンプ40を設けており、水素ガス循環ポンプ40で昇圧した水素ガス系ガスを、水素ガス供給装置34から供給された水素ガスと合流させてから、燃料電池スタック12に再度送り込む。水素ガス循環ポンプ40は図示しないモータにより駆動する。
また、燃料ガス系循環経路38に気液分離器42を設けており、気液分離器42に燃料ガス系排出流路44の上流端を接続している。すなわち、燃料ガス系循環経路38から燃料ガス系排出流路44を分岐させている。また、燃料ガス系排出流路44の途中に排気排水弁であり、電磁弁であるパージ弁46を設けている。パージ弁46の開放により、燃料ガス系排出流路44の上流側から、不純物(窒素、水等)を含むガスを排出させることができる。パージ弁46の駆動は、ECU24からの制御信号により制御される。
なお、図1に図示する構成の場合と異なり、燃料ガス系排出流路44の途中で、燃料電池スタック12と気液分離器42との間等、気液分離器42とは別の部分から燃料ガス系排出流路44を分岐させ、燃料ガス系排出流路44に送られた水素ガス系ガスをパージ弁46を介して希釈器28に送り込むこともできる。
また、燃料電池スタック12から電力を取り出す外部回路には電流センサ48を設けている。電流センサ48は、燃料電池スタック12が発電した電流値を検出するセンサである。検出した電流値はECU24に入力する。また、酸化ガス供給流路14と燃料ガス供給流路32とに第1圧力センサ50と第2圧力センサ52とをそれぞれ設けて、第1圧力センサ50と第2圧力センサ52とにより検出したガスの圧力値を、ECU24に入力している。
ECU24は、アノード側電極の非水素ガス分圧である、NH分圧(non hydrogen分圧)の推定値からアノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、水素濃度推定手段により推定したNH分圧の推定値または水素濃度の推定値に応じて、パージ弁46を開閉するパージ弁制御手段とを有する。
[水素濃度の推定方法]
先ず、本実施の形態において、アノード側電極の水素濃度を推定する方法の基本的考え方を説明する。水素濃度の推定のために、上記のように非水素ガス分圧である、NH分圧を推定する。非水素ガスとしては、窒素を考慮し、状況により、窒素とともに水蒸気も考慮する。図2は、アノード側電極54のNH分圧を推定する際の推定値に対する加算要素と減算要素とを説明するための燃料電池システム10の一部を模式的に示す構成図である。
アノード側電極54のNH分圧を推定するために、加算要素として、図2の矢印イで示すように、水素ガス供給装置34から燃料ガス供給流路32に供給される水素ガス中に含まれる微量な窒素量(供給ガス内窒素量)による分圧と、図2の矢印ロで示すように、カソード側からアノード側、すなわちカソード側電極56からアノード側電極54に電解質膜58を通過する窒素量(透過窒素量)による分圧とを考慮する。また、アノード側電極54のNH分圧を推定するための減算要素として、図2の矢印ハで示すように、アノード側の流路である、燃料ガス系排出流路44のガス上流側の流路からパージ弁46を介して排出される水素ガス系ガスに含まれる窒素量(排出窒素量)による分圧を考慮する。したがって、基準となる時点においてアノード側電極54に存在する窒素量による分圧を考慮して、分圧推定に考慮する条件を最も多くした場合には、アノード側電極54のNH分圧のうち、窒素分圧PNの推定値は、次式で求められる。
N=(基準時にアノード側電極54に存在する窒素量による分圧)+(供給ガス内窒素量による分圧)+(透過窒素量による分圧)−(排出窒素量による分圧)− − − (1)
また、アノード側電極54のNH分圧を推定するために、燃料電池システム10の運転状態に応じて、アノード側電極54の飽和水蒸気の分圧も考慮する。この場合には、図3に示すように、予め分かっているアノード側電極54の飽和水蒸気の分圧と燃料電池スタック12(図1)の温度との関係を表すマップのデータを使用する。すなわち、図3に示すように、アノード側電極54の飽和水蒸気の分圧は、燃料電池スタック12の温度が上昇するのにしたがって上昇することが分かっている。このため、燃料電池スタック12の温度を検出する温度センサ20(図1)の検出値を用いて、アノード側電極54(図2)の飽和水蒸気の分圧PH0を求めることができる。この場合、アノード側電極54のNH分圧の推定値PNHは、窒素分の分圧PNと飽和水蒸気分の分圧PH0との和となる(PNH=PN+PH0)。
このようにして、アノード側電極54のNH分圧の推定値PNHを求めれば、アノード側電極54の全圧、すなわち燃料ガス供給流路32内のガス圧力を検出する第2圧力センサ52による圧力検出値Pxから、NH分圧の推定値PNHを減算して、アノード側電極54の水素分圧PHを求めることができ、水素分圧PHと全圧である第2圧力センサ52の圧力検出値Pxとからアノード側電極54の水素濃度を推定することができる。すなわち、水素濃度は次式で推定できる。
(アノード側電極54の水素濃度)=PH/Px=(Px−PNH)/Px
次に、本実施の形態のアノード側電極54の水素濃度の推定方法をより詳しく説明する。水素濃度は、ECU24の水素濃度推定手段により推定する。このために、ECU24に、上記のように、燃料電池スタック12の温度を検出する温度センサ20の検出値と、第1圧力センサ50からの圧力値と、第2圧力センサ52からの圧力値と、電流センサ48からの電流値とを表す信号を入力している。また、水素濃度推定手段は、入力された信号が表す検出値を条件に応じて使用して、燃料電池システム10の運転状態に応じて異なるNH分圧推定方法によりアノード側電極54のNH分圧を推定し、NH分圧の推定値からアノード側電極54の水素濃度を推定する。すなわち、水素濃度推定手段は、燃料電池システム10の状況である、運転状態に応じて水素濃度の推定方法を変える。
具体的には、図4に示すように、アノード側電極54のNH分圧を推定するために使用する複数種類の要素として、5つの考慮項目を規定する。先ず、窒素分圧に関するものとして、電解質膜58(図2)をカソード側からアノード側に通過する窒素量である、クロスリーク量と呼ばれる透過窒素量と、水素ガス供給装置34から燃料ガス供給流路32(図2)に供給される水素ガス中に含まれる微量な窒素量である、供給ガス内窒素量と、アノード側の流路内からパージ弁46を介して排出される水素ガス系ガスに含まれる窒素量である、排出窒素量とを規定する。また、供給ガス内窒素量を求めることは、供給燃料の純度を求めることに対応する。
また、飽和水蒸気の分圧に関する考慮項目として、燃料電池スタック12の温度を規定する。さらに、エアシャットバルブ(エアS/V)である、入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30(図1参照)との開閉状態を規定する。また、図4では、○印により該当項目を考慮することを、−印により該当項目を考慮しないことを、それぞれ表している。そして、図4の「起動直後」の欄に示すように、燃料電池システム10の起動直後状態、すなわち、燃料電池スタック12の発電を開始した直後の状態では、排出窒素量のみを考慮してNH分圧および水素濃度を推定する。すなわち、図5および図6に示すように、起動直後の状態では、起動開始時の初期分圧P0を基準として、所定時間経過ごとに燃料ガス系排出流路44のガス上流側の流路から窒素ガスを含む水素ガス系ガスを、パージ弁46(図1,2等)を介して排出することにより、NH分圧が徐々に階段状に低下する。このため、排出窒素量に対応する、水素ガス系ガスの排出量であるパージ量から、NH分圧を推定することができる。
次に、図7を使用して、起動直後状態において、水素ガス系ガスの排出後のアノード側電極54のNH分圧PNH’を推定する方法の考え方を説明する。ここで説明の簡略化のために、流路内には水素と窒素とのみが存在するとする。まず、図7の(イ)に示すように、水素ガス系ガスの排出前において、アノード側の流路のガスの全圧をPxとし、図7の(ロ)に示すように、水素ガス系ガスの排出後において、アノード側の流路のガスの全圧をPx’とする。また、アノード側の流路の全容量Lに対して、水素ガス系ガスのガス排出相当分の容量をlAとする。この場合、図7(イ)のガス排出前において、全容量Lに関する水素ガスと窒素ガスとの容量の比は、ガス排出相当分lAにおいてもほぼ変わらない。すなわち、全容量Lに対する窒素ガスの容量(l1+l2)の比である、(l1+l2)/Lは、ガス排出相当分の容量lAに対するガス排出相当分中の窒素ガスの容量l1の比l1/lAとほぼ等しくなる((l1+l2)/L=l1/lA)。また、ガス排出前において、アノード側電極54のNH分圧PNHは、全圧Pxを用いて次式で求められる。
NH=Px×(l1+l2)/L− − − (2)
これに対して、図7(ロ)に示すように、容量lAのガス排出相当分を排出し、すなわちパージして、水素ガス供給装置34から新たにガス排出相当分に見合う容量の水素ガスをアノード側の流路に供給すると、全容量Lに対する窒素ガスの容量l2の比は、l2/Lとなる。このため、ガス排出後において、アノード側電極54のNH分圧PNH’は、全圧Px’を用いて次式で求められる。
NH’=Px’×l2/L− − − (3)
起動直後状態に関するこれらの関係から明らかなように、ガス排出後において、NH分圧PNH’は、ガス排出前後での全圧Px、Px’と、ガス排出前におけるNH分圧PNHと、ガス排出容量lAと、アノード側の流路の全容量Lとから推定できる。例えば、ガス排出後におけるNH分圧PNH’は次式により推定できる。
NH’=Px’×PNH/Px×(1−lA/L)− − − (4)
また、図5、図6に示すNH分圧の初期値であるP0は、例えば、設定初期時には、アノード側の流路のガス全圧である、第2圧力センサ52(図1)による検出値が窒素分圧に等しい、すなわち、アノード側の流路に窒素が100%存在するとして、第2圧力センサ52の検出値を使用したり、燃料電池システム10の運転を停止し放置した後の、後述する推定方法により推定した起動直前のNH分圧の推定値を使用することができる。そしてこのようにして推定したNH分圧PNH’と、第2圧力センサ52による圧力検出値Pxとから、上記のようにアノード側電極54の水素濃度を、(Px−PNH)/Pxとして推定できる。
このように起動直後状態において、水素ガス系ガスの排出を繰り返すことにより、NH分圧が、図5、図6に示すように階段状に低下し、NH分圧が一定の所定値であるリセット値PRに達すると、それ以後は後述する間欠運転の発電停止状態になるまでの間、通常運転状態に移行する。この通常運転状態においても、パージ弁46(図1,2)を介しての水素ガス系ガスの排出を行うが、ガス排出の時間間隔を、起動直後の場合に比べて大幅に長くする。そして、NH分圧の推定値の平均値がリセット値PRとほぼ等しくなるようにする。また、この場合には、図4の「通常運転(NH分圧=PR)」の欄に示すように、NH分圧を推定するために、透過窒素量と、供給ガス内の窒素量と、排出窒素量と、燃料電池スタック12の温度とを考慮する。
より詳しくは、上記のアノード側電極54の水素濃度の推定方法の基本的考え方にしたがって、図2の矢印イで示すように、水素ガス供給装置34から燃料ガス供給流路32に供給される水素ガス中に含まれる微量な窒素量(供給ガス内窒素量)による分圧と、図2の矢印ロで示すように、カソード側からアノード側に窒素が電解質膜58を通過することにより増加するアノード側での窒素量(透過窒素量)による分圧とを、NH分圧の推定値の加算要素とする。また、図2の矢印ハで示すように、アノード側の流路内からパージ弁46を介して排出する水素ガス系ガスに含まれる窒素量(排出窒素量)による分圧を、NH分圧の推定値の減算要素とする。そして、これらの加算要素と減算要素とをバランスさせて、NH分圧の平均値がリセット値PRとほぼ等しくなるように、アノード側の流路からのガス排出量を制御する。この場合には、次式が成立する。
(供給ガス内窒素量)+(透過窒素量)=(排出窒素量)− − − (5)
また、この場合、アノード側の窒素分圧の平均値を、次のようにして推定することもできる。ここで、水素ガス供給装置34による供給ガス中の窒素濃度をA1とし、燃料電池スタック12での消費水素量をA2とし、電解質膜58の窒素ガスの透過係数をA3とし、全燃料電池セルの発電有効面積をA4とする。また、燃料電池スタック12のカソード側電極56の窒素分圧平均をA5とし、同じくアノード側電極54の窒素分圧平均をA6とし、燃料電池セルを構成するセパレータ60(図2)の全枚数をA7とする。また、パージ量であるガス排出量をA8とし、アノード側電極54を含むアノード側の流路の全圧をA9とする。このようにA1〜A9を規定すると、上記の(5)式より次式が成立する。
A1×A2+A3×A4×(A5−A6)×A7=A8×(A6/A9)− − − (6)
そして、(6)式を変形して、アノード側電極54の窒素分圧平均A6を次式により推定できる。
A6=(A1×A2+A3×A4×A5×A7)/(A8/A9+A3×A4×A7)− − − (7)
ここで、窒素分圧平均A6以外の要素A1〜A5,A7〜A9は、ECU24に入力された検出値または既知の値を使用して求めることができる。例えば、消費水素量A2は、単位時間当たりの発電電流の検出値から求めることができる。また、電解質膜58の透過係数A3も予め実験等により求めることができる。また、発電有効面積A4およびセパレータの全枚数A7は、設計値を既知の値として使用できる。
また、カソード側電極56の窒素分圧平均A5は、カソード側の流路の全圧を検出する第1圧力センサ50の圧力検出値と、上記の図3に示したのと同様に温度に対応するものとして求めるカソード側の流路の飽和水蒸気の圧力と、大気中の窒素の割合(0.792等)とから求めることができる。また、ガス排出量は、ECU24によるパージ弁46の開放時間や、排出流量等により求めることができる。
そして、アノード側電極54の窒素分圧平均の推定値A6と、アノード側電極54の飽和水蒸気分圧との和を、アノード側電極54のNH分圧平均PNHとして推定できる。飽和水蒸気分圧は、上記の図3に示したように、燃料電池スタック12の温度の検出値に対応して求めることができる。そして、アノード側電極54のNH分圧平均PNHと、アノード側の流路の全圧である、第2圧力センサ52の圧力検出値Pxとから、上記のように、アノード側電極54の水素濃度を、(PX−PNH)/PXとして推定できる。
なお、図5において、通常運転でNH分圧推定値がリセット値PRに達した場合、NH分圧推定値が時間の経過にかかわらず、一定のリセット値PRで推移するように示しているが、これはNH分圧推定値の平均値を示している。実際には、図8に例示するように、所定時間経過毎にガスが排出(パージ)されるまでの間、窒素がカソード側からアノード側へ電解質膜58を通過することにより、アノード側電極54のNH分圧が上昇し、水素ガス系ガスがパージ弁46を介して排出されることでアノード側電極54のNH分圧がリセット値PRよりも低下する。そして、NH分圧の平均値が、リセット値PRとほぼ等しくなるようにしている。また、リセット値PRは、制御が多少ばらついても、燃料電池システム10を設計的に安定して運転できる適切な値を規定する。
次に、図5に示す、間欠運転での発電停止状態において、アノード側電極54のNH分圧と水素濃度とを推定する方法を説明する。この場合には、図4の「間欠運転の発電停止時」の欄に示すように、アノード側電極54のNH分圧を推定するために、透過窒素量と、燃料電池スタック12の温度とを考慮する。ここで、「間欠運転の発電停止時」とは、燃料電池スタック12の発電による電力を供給し充電する二次電池またはキャパシタ等の蓄電器の充電量が所定の充電量に達した場合に、燃料電池スタック12の発電を停止して、二次電池または蓄電器の放電により電力を、車両を駆動するための走行モータ等の負荷に供給する状態である。すなわち、発電停止時には、水素ガス循環ポンプ40とエアコンプレッサ16との駆動を停止して、燃料電池スタック12が発電しないようにする。また、パージ弁46によるガス排出も行わない。また、二次電池または蓄電器の充電量が所定量まで低下すると、再度燃料電池スタック12を発電し、燃料電池スタック12から二次電池または蓄電器に電力を供給し、これを繰り返す運転を間欠運転とする。
そして、間欠運転の発電停止時には、水素ガス供給装置34から燃料電池スタック12へ水素ガスが供給されないため、NH分圧の推定方法に使用する考慮項目、すなわち要素として、図4に示す供給ガス内窒素量を考慮する必要がない。また、この場合には、アノード側の流路から水素ガス系ガスがパージ弁46を介して排出されないため、排出窒素量も考慮する必要がない。したがって、アノード側電極54の窒素分圧PNの推定値は、次式で求められる。
N=(発電停止初期にアノード側電極54に存在する窒素量による分圧)+(カソード側からアノード側への透過窒素量による分圧)− − − (8)
ここで、発電停止開始時のアノード側電極54のNH分圧の推定値と、これに基づくアノード側電極54の水素濃度とは、それぞれリセット値PRと、PRから求められる水素濃度とを使用する。すなわち、間欠運転での発電停止開始時において、アノード側電極54のNH分圧の推定値を一定の所定値であるリセット値PRに毎回リセットする。また、アノード側電極54の水素濃度を、リセット値PRに対応する一定の所定値に毎回リセットする。そして、上記の発電停止初期にアノード側電極54に存在する窒素量による分圧としては、リセット値PRから、飽和水蒸気の分圧分を減算したものを使用する。また、透過窒素量による分圧は、リセット値PRに基づいて演算により求められる発電停止初期にアノード側電極54に存在する窒素量と、次式により求められるカソード側からアノード側に移動する透過窒素量を利用した透過窒素量の積算値と、アノード側の流路における全圧である第2圧力センサ52(図1)の圧力検出値とから推定する。
(カソード側からアノード側への透過窒素量)=A3×A4×(A5−A6)×A7− − − (9)
ここで、電解質膜58(図2)の窒素ガスの透過係数をA3とし、全燃料電池セルの発電有効面積をA4とし、燃料電池スタック12のカソード側電極56(図2)の窒素分圧平均をA5とし、同じくアノード側電極54の窒素分圧平均をA6とし、セパレータ60の全枚数をA7とする。
また、間欠運転の発電停止時のNH分圧を推定するために、飽和水蒸気の分圧を考慮する。飽和水蒸気の分圧は、上記の図3に示したように、燃料電池スタック12の温度と飽和水蒸気の分圧との関係を表すマップのデータを利用して、燃料電池スタック12の温度の検出値から求めることができる。このようにして求めた飽和水蒸気の分圧と、アノード側電極54の窒素分圧PNとの推定値の和を、間欠運転の発電停止時のNH分圧の推定値PNHとして推定する。また、NH分圧の推定値PNHから、アノード側電極54の水素濃度を推定することもできる。
図5から明らかなように、間欠運転の発電停止時のNH分圧の推定値PNHは時間の経過にしたがって上昇する。そして、車両が走行を再開する等において、二次電池または蓄電器の充電量が所定値に低下する等により、通常運転状態に移行する。この場合、NH分圧の推定値PNHは、リセット値PRよりも上昇しているので、通常運転でNH分圧の推定値PNHがリセット値PRに達した場合よりも短い時間間隔で、アノード側の流路内からパージ弁46を介して水素ガス系ガスを排出し、アノード側電極54のNH分圧を早期に低下させる。この場合にNH分圧を推定するために、図4の「通常運転(NH分圧>PR)」の欄に示すように、起動直後状態の場合と同様に、考慮項目として排出窒素量のみを考慮する。この場合も、上記の起動直後状態の場合と同様に、NH分圧の推定値PNHからアノード側電極54の水素濃度を推定できる。
そして、通常運転でNH分圧の推定値PNHがリセット値PRに達した場合には、再びNH分圧の平均値が、リセット値PRとほぼ等しくなるように、パージ弁46による排出量を制御する。この場合のNH分圧の推定は、図4の「通常運転(NH分圧=PR)」の欄に示すように、考慮項目として透過窒素量と、供給ガス内窒素量と、排出窒素量と、燃料電池スタック12の温度とを考慮して行う。この場合も、NH分圧の推定値からアノード側電極54の水素濃度を推定できる。
また、車両のイグニッションキーをオフして、運転を停止した放置中においては、図4の「運転停止(放置中)」の欄に示すように、NH分圧推定のための考慮項目はなく、アノード側電極54のNH分圧を推定しない。ただし、実際には、図5に破線αで示すように、カソード側からアノード側への電解質膜58(図2)を介しての透過窒素量が蓄積されて、アノード側電極54のNH分圧は上昇する。
そして、放置後に、車両の走行を再開させるため、イグニッションキーをオンして、燃料電池スタック12の発電を開始する直前である起動直前状態においては、図4の「起動直前」の欄に示すように、NH分圧の推定のために、透過窒素量と、燃料電池スタック12の温度とを考慮し、場合により、すなわち、本実施の形態のように入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30(図1)とを設ける場合には、入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30との開閉状態を考慮する。
より詳しくは、予めECU24により、イグニッションキーオフ時の燃料電池スタック12の温度と、車両放置時間と、カソード側からアノード側への透過窒素量によるアノード側電極54の分圧との関係を表すマップのデータを記憶させておく。すなわち、イグニッションキーオフ時の燃料電池スタック12の温度が高いほど、透過窒素量によるアノード側電極54の分圧が低くなることが分かっている。また、車両放置時間が長くなるほど、透過窒素量によるアノード側電極54の分圧が高くなることが分かっている。このような関係があるマップのデータをECU24に予め記憶させておく。そして、イグニッションキーのオフ時点での燃料電池スタック12の検出温度をECU24により記憶させておくとともに、車両放置後再度イグニッションキーをオンした時点で、タイマーによる車両放置時間の測定値と、ECU24に記憶させた燃料電池スタック12のイグニッションキーオフ時の検出温度とから、マップのデータを使用して、透過窒素量によるアノード側電極54の分圧を推定する。
また、上記の図3に示した関係を利用したマップのデータに基づいて、イグニッションキーオン時の燃料電池スタック12の検出温度からアノード側電極54の飽和水蒸気分圧を推定し、飽和水蒸気分圧の推定値と、透過窒素量によるアノード側電極54の分圧の推定値との和を、起動直前におけるNH分圧の推定値として求める。また、NH分圧の推定値と、第2圧力センサ52の圧力検出値とから、上記のように、アノード側電極54の水素濃度を推定できる。図5においては、起動直前におけるアノード側電極54のNH分圧の推定値をP0として示している。起動を開始したならば、NH分圧の推定値P0を基準として、再び起動直後のNH分圧と水素濃度との推定を開始する。
なお、このように、起動直前においては、透過窒素量によるアノード側電極54の分圧を推定するために、マップのデータを利用している。このように起動直前において、上記の間欠運転の発電停止時のように、上記の(9)式の関係を利用して透過窒素量によるアノード側電極54の分圧を推定しない理由は、車両の放置時間は、例えば5日間等の長期間に及ぶ場合があり、長期間における透過窒素量の積算値を一時に計算するのでは、ECU24に過度の負担がかかるためである。
また、起動直前のNH分圧の推定は、入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30との開閉状態により、カソード側からアノード側へ移動する窒素の透過量が変化する。すなわち、放置中において入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30とが開放されている場合には、カソード側の窒素の分圧は、大気中の窒素濃度による比較的高い分圧とほぼ等しくなる。このため、カソード側からアノード側へ移動する透過窒素量は多くなる。これに対して、放置中において入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30とが閉鎖されている場合には、カソード側からアノード側へ移動する透過窒素量は少ない。このため、入口側閉鎖弁22と出口側閉鎖弁30との開閉状態に応じて、イグニッションキーオフ時の燃料電池スタック12の温度と、車両放置時間と、カソード側からアノード側へ移動する透過窒素量によるアノード側電極54の分圧との関係を表すマップとして、異なるマップのデータを使用して、アノード側電極54の窒素分圧を推定する。
このような本実施の形態の燃料電池システムによれば、アノード側電極54の水素濃度を推定する水素濃度推定手段は、運転状態に応じて水素濃度の推定方法を変えるので、運転状態で実際には影響が少ないか全く影響がない要素を無視する等の、運転状態に応じて水素濃度の推定方法に使用する複数種類の要素の重みを変える等により、水素濃度の推定方法として、運転状態に対応する、より適切な推定方法を使用できる。このため、特定の運転状態に対応して、アノード側電極54の水素濃度の推定精度を向上させることができる。この結果、アノード側電極54の水素濃度の推定精度が悪い場合に比べて、アノード側電極54の水素濃度を高くするために、アノード側の流路内から不純物とともに水素を過度に排出することを少なくして、水素の無駄な排出を少なくできる。このため、燃料電池システム10を搭載した燃料電池車において、航続距離をより有効に長くできる。
また、水素濃度推定手段は、状況に応じて水素濃度の推定方法を、水素濃度およびNH分圧の推定値を一定の所定値にリセットして推定する推定方法に変えるため、長時間水素濃度を推定する場合でも、水素濃度の推定誤差が蓄積されることを少なくして、水素濃度の推定精度を向上させることができる。
また、本実施の形態の場合、水素濃度推定手段は、NH分圧推定方法によりアノード側電極54のNH分圧を推定し、NH分圧の推定値から水素濃度を推定し、NH分圧推定方法は、燃料電池システム10の運転状態に応じて、窒素分圧と水蒸気分圧とによりアノード側電極54のNH分圧を推定する。このため、アノード側電極54の窒素分圧や窒素濃度を考慮し、水蒸気分圧を考慮しないでアノード側電極54の水素濃度を推定する場合に比べて、推定精度をより向上させることができる。
なお、上記の各実施の形態の場合と異なり、アノード側電極54の水素濃度を検出する水素濃度検出センサを用いて、水素濃度検出センサによる検出結果に基づく推定と、上記の実施の形態のように、演算による水素濃度の推定とを、運転状態等の状況に応じて切り替えることもできる。例えば、応答性の低い水素濃度検出センサを使用する場合、過渡時、すなわち、ガス量や電力量の変化量が相対的に大きくなる場合には水素濃度検出センサを使用して水素濃度を推定し、定常時、すなわち、ガス量や電力量の変化量が相対的に小さい場合には演算を使用して水素濃度を推定するようにすることもできる。
本発明の実施の形態の燃料電池システムの基本構成を示す図である。 本発明の実施の形態において、アノード側電極のNH分圧を推定する際の加算要素と減算要素とを説明するための燃料電池システムの一部を模式的に示す構成図である。 燃料電池スタックの温度とアノード側電極の飽和水蒸気分圧との関係を示す図である。 アノード側電極のNH分圧の推定方法において、運転状態とNH分圧の推定のための考慮項目との関係を示す図である。 本発明の実施の形態において、各種の運転状態とアノード側電極のNH分圧推定値との関係の1例を、起動直後から起動直前までの時間の経過にしたがって示す図である。 図5の起動直後状態において、発電開始からの時間と、アノード側電極のNH分圧およびアノード側の流路内からのガス排出量(パージ量)との関係を示す図である。 図5の起動直後状態において、アノード側電極のNH分圧を推定する際の考え方を説明するための、パージ前(イ)とパージ後(ロ)とでの、アノード側流路の全容量に対する水素と窒素との容量の関係を示す模式図である。 図5の通常運転状態で、アノード側電極のNH分圧の推定値がリセット値に達した場合において、アノード側の流路内からのガス排出量(パージ量)と実際のNH分圧との時間経過の1例を示す図である。
符号の説明
10 燃料電池システム、12 燃料電池スタック、14 酸化ガス供給流路、16 エアコンプレッサ、18 加湿器、20 温度センサ、22 入口側閉鎖弁、24 ECU、26 酸化ガス系排出流路、28 希釈器、30 出口側閉鎖弁、32 燃料ガス供給流路、34 水素ガス供給装置、36 燃料制御弁、38 燃料ガス系循環経路、40 水素ガス循環ポンプ、42 気液分離器、44 燃料ガス系排出流路、46 パージ弁、48 電流センサ、50 第1圧力センサ、52 第2圧力センサ、54 アノード側電極、56 カソード側電極、58 電解質膜、60 セパレータ。

Claims (3)

  1. 電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、前記アノード側電極に供給された燃料ガスと前記カソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    前記アノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、を備え、
    前記水素濃度推定手段は、起動直後に、前記燃料電池のアノード側に接続されたアノード側流路から外部への各回のガス排出前の前記アノード側電極の非水素ガス分圧の推定値P NH と、外部へのガス排出前後でのアノード側圧力センサで検出した前記アノード側流路内のアノード側全圧検出値P X ,P X ´と、外部へのガス排出量とから、各回のガス排出後における前記アノード側電極の非水素ガス分圧P NH ´を推定し、各回のガス排出後における前記アノード側電極の前記非水素ガス分圧の推定値P NH ´と外部へのガス排出後の前記アノード側全圧検出値P X ´とから各回の外部へのガス排出後の前記アノード側電極の水素濃度を推定することを、起動直後から前記非水素ガス分圧の推定値P NH ´が低下して予め設定した所定値に達するまで繰り返し行うことを特徴とする燃料電池システム。
  2. 電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、前記アノード側電極に供給された燃料ガスと前記カソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    前記アノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、を備え、
    前記水素濃度推定手段は、前記燃料電池の発電を停止し二次電池または蓄電器から負荷に電力を供給する間欠運転での発電停止時に、前記燃料電池のカソード側に接続されたカソード側流路内の、カソード側圧力センサで検出したカソード側圧力検出値と、前記燃料電池の検出温度に応じて推定されたカソード側流路の飽和水蒸気の分圧分とからカソード側の窒素分圧平均A5を推定し、単位時間当たりの発電電流の検出値とカソード側の窒素分圧平均の推定値A5とから前記アノード側電極の窒素分圧平均A6を推定し、予め設定したアノード側の非水素ガス分圧の初期値P R から、前記燃料電池の検出温度に応じて推定された前記アノード側流路の飽和水蒸気の分圧分を減算した第1分圧分に、前記カソード側電極の窒素分圧平均の推定値A5及び前記アノード側電極の窒素分圧平均の推定値A6から求めたカソード側からアノード側への透過非水素ガス量による透過窒素量の積算値と、前記燃料電池のアノード側に接続されたアノード側流路内の、アノード側圧力センサで検出した前記アノード側流路内のアノード側全圧検出値P X とから求めた透過窒素量による第2分圧分を加算することで前記アノード側電極の非水素ガス分圧P NH を推定し、前記アノード側電極の非水素ガス分圧の推定値P NH と前記アノード側全圧検出値P X とから前記アノード側電極の水素濃度を推定することを特徴とする燃料電池システム。
  3. 電解質膜の両側に存在するアノード側電極およびカソード側電極を有し、前記アノード側電極に供給された燃料ガスと前記カソード側電極に供給された酸化ガスとの電気化学反応により発電する燃料電池と、
    前記アノード側電極の水素濃度を推定する水素濃度推定手段と、を備え、
    前記水素濃度推定手段は、前記アノード側電極での非水素ガス分圧の推定値P NH が低下し一定の所定値に達した後において、少なくとも前記燃料電池の発電を停止し二次電池または蓄電器から負荷に電力を供給する間欠運転での発電停止開始時に、前記アノード側電極の水素濃度または前記非水素ガス分圧の推定値P NH を、一定の所定値であるリセット値P R にリセットすることを特徴とする燃料電池システム。
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