本発明の加熱調理器の一態様は、被加熱物をその底面兼載置台に載置する加熱室と、前記加熱室内部に着脱自在に設けられ、その上面に前記被加熱物とは別の被加熱物を載置する着脱自在な加熱皿と、マイクロ波を発生する高周波供給手段と、前記高周波供給手段が発生したマイクロ波の強い部位の向きを制御して特定の方向にマイクロ波をより集中して放射するアンテナと、マイクロ波による加熱とは異なる熱放射によって、前記加熱皿に載置された被加熱物を加熱する熱供給手段と、前記被加熱物に対する加熱処理を制御する制御手段と、を備え、前記制御手段が、前記加熱室の底面兼載置台に第1の被加熱物が、前記加熱皿に第2の被加熱物が、それぞれ載置されている場合において、前記第1の被加熱物の負荷量の大小を判定し、前記第1の被加熱物の負荷量が大きいほど、前記アンテナのマイクロ波の強い部位を向けるべき方向を前記第1の被加熱物が載置される前記加熱室中央から分散させ、前記第1の被加熱物の負荷量が小さいほど、前記アンテナのマイクロ波の強い部位を向けるべき方向を前記加熱室中央に集中させ、少なくとも前記第1の被加熱物にマイクロ波を放射した後、前記第2の被加熱物を前記熱供給手段によって加熱するよう制御し、前記被加熱物を加熱完了させて運転停止させる、ものを含む。
この構成により、加熱室の底面兼載置台及び加熱皿の両方に被加熱物がそれぞれ載置された状態であっても、その被加熱物の載置された状態に適した加熱処理を実施することができる。
本発明の加熱調理器の一態様は、蒸気によって前記被加熱物を加熱する蒸気供給手段を備え、前記制御手段が、前記第1の被加熱物または前記第2の被加熱物を前記蒸気供給手段によって加熱するよう制御するものを含む。
この構成により、被加熱物の表面にうるおいをもたした状態を維持しつつ、各種熱源からの熱放射によって被加熱物を加熱することができるので被加熱物の内部の温度上昇を促しつつ表面が過度に焦げるのを防止することができる。水蒸気が過熱水蒸気になると表面はカリッと焼かれ、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなり、中身はジューシーな調理を行うことができる
本発明の加熱調理器の一態様は、前記制御手段は、前記第2の被加熱物を前記熱供給手段によって加熱し始めてから所定時間後に前記蒸気供給手段を駆動して蒸気による加熱を追加するよう制御するものを含む。
この構成により、被加熱物の表面を過熱水蒸気で包むことになり、被加熱物の内部の温度上昇を促しつつ表面が過度に焦げるのを防止することができ、表面はカリット焼かれ、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなり中身はジューシーな調理を行うことができる。
本発明の加熱調理器の一態様は、前記制御手段は、前記熱供給手段による前記第2の被加熱物の加熱途中に一時的に前記蒸気供給手段を駆動して蒸気を供給するよう制御するものを含む。
この構成により、被加熱物の表面を過熱水蒸気で包むことになり、被加熱物の内部の温度上昇を促しつつ表面が過度に焦げるのを防止することができ、表面はカリット焼かれ、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなり中身はジューシーな調理を行うことができる。
本発明の加熱調理器の一態様は、前記制御手段は、前記第2の被加熱物を前記熱供給手段で加熱開始する前にマイクロ波の出力を低下させてマイクロ波加熱を継続するとともに、当該マイクロ波の出力を低下させている間、前記蒸気供給手段を駆動して蒸気による加熱を追加するように制御するものを含む。
この構成により、被加熱物の表面にうるおいをもたした状態を維持しつつ、各種熱源からの熱放射によって被加熱物を加熱することができ、被加熱物の細部まで温度上昇を促し、柔らかで滑らかな食感に仕上がるよう調理を行うことができる。
本発明の加熱調理器の一態様は、前記制御手段は、前記熱供給手段による加熱停止後に前記蒸気供給手段を駆動して蒸気による加熱を追加し、被加熱物の加熱を完了させて運転停止するように制御するものを含む。
この構成により、被加熱物の表面を過熱水蒸気で包みこんだ状態で各種熱源からの熱放射によって被加熱物を加熱することができるので被加熱物の内部の温度上昇を促しつつ表面が過度に焦げるのを防止することができ、表面はカリット焼かれ、被加熱物の内部の水分が逃げにくくなり中身はジューシーな調理を行うことができる。
本発明の加熱調理器の一態様は、報知手段を備え、前記制御手段は、前記高周波供給手段からのマイクロ波を一時的に停止させるとともに、当該停止時に前記報知手段を駆動するように制御するものを含む。
この構成により、マイクロ波による加熱を一時的に停止したことを利用者に通知することができ、第一の被加熱物を最適な仕上がり状態でタイミングよく取り出すことができる。
本発明の加熱調理器の一態様は、前記加熱室に熱風を供給する熱風供給手段を備え、前記制御手段は、マイクロ波を照射した後、前記熱供給手段と前記熱風供給手段とを交互に駆動し加熱を追加するように制御するものを含む。
この構成により、重量や体積の大きい被加熱物を焦がしすぎることなく、表面全体を加熱して焼き色を付け、内部まで効果的に加熱することができる。さらに、第一の被加熱物を追加加熱する作用もある。
本発明の加熱調理器の一態様は、前記熱供給手段は、光ヒータを含み、前記制御手段は、前記第2の被加熱物を前記光ヒータによって加熱するよう制御する、ものを含む。
この構成により、加熱皿に載置された被加熱物をより素早く均一に焦げ目を付けて加熱できる。
本発明の加熱調理器の一態様は、前記光ヒータは、蒸気透過型のヒータである、ものを含む。
この構成により、蒸気を透過する性質を持つ光(特に、赤外線光)が被加熱物表面に直接輻射されるようになると、加熱室内の蒸気の多少によらず、加熱皿に載置された被加熱物表面がパリッと仕上がり焦げ目も素早く付けることが可能となる。
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以降説明する本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
まず、本発明の実施の形態の加熱調理器の外観の一例を説明する。図1に、本発明の実施の形態の加熱調理器を前面部(加熱室内を視認するための透光窓70が配置された面)からみた構成例を示す。加熱調理器100の前面には、加熱室11内を視認するための透光窓70と、操作パネル23とが設けられている。操作パネル23には、加熱の開始を指示するスタートスイッチ26、加熱の終了を指示する取り消しスイッチ24、表示部27、予め用意されている調理プログラムを選定するための、またはマニュアル操作を行うためのダイヤル59、が設けられている。このように、加熱室11内を視認しやすい位置に操作パネル23が設けられ、これにより、加熱室11内及び表示部27の表示内容を確認しながらスイッチまたはダイヤルを操作することが容易に行える。
次に、本発明の実施の形態の加熱調理器の内部構造の一例を説明する。図2に、本発明の実施の形態の加熱調理器を左右(加熱調理器の前面部に向かって左右方向)に切断した断面図を、図3に、本発明の実施の形態の加熱調理器の天面の天板を天面方向に切断した断面図を、図4に、光の波長に対する水蒸気の光を吸収する割合を示すグラフを、図5に、本発明の実施の形態の加熱調理器を前後(加熱調理器の前面部から加熱室の奥に向かう方向)に切断した断面図を、それぞれ示す。
図2および図3に示すように、本発明の実施の形態の加熱調理器100は、加熱室11と、蒸気を透過し易い赤外線を発生させる赤外線発生手段20と、係止部17に支持されて加熱室11を上下に区画する加熱皿30と、被加熱物12aである食品を置く加熱室11の底面兼載置台11aよりも下側から高周波を供給する高周波発生手段40と、加熱室11内に蒸気を発生させる蒸気発生手段60と、を備えている。なお、本実施の形態では、蒸気発生手段60を加熱室11内に設けたが、加熱室11外で発生させた蒸気を加熱室11内に供給してもよい。
蒸気発生手段60によって、蒸気は次々に供給されて加熱室内を循環するので、被加熱物12aに接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、被加熱物12aの表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、蒸気は、加熱皿30によって区画された空間のうちの上の空間にも循環するため(蒸気のこの循環は加熱皿30の構造によって実現される。加熱皿30の構造については後述する。)、加熱皿30に載置された被加熱物12bの内部の温度上昇を促し中心部に生が残ることなく過度に焦げることを防止することができる。また、表面に適度な湿度を与えることになるので被加熱物12bの表面を蒸気で包むことになり、被加熱物12bの内部の水分が逃げにくくなり、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができることになる。
この加熱調理器100は、二つのアンテナを回転させる方式を用いた電子レンジであり、被加熱物12aである食品を置く加熱室11の底面兼載置台11aよりも下側から高周波を供給する高周波発生手段40を有しており、高周波発生手段40であるマグネトロン41を右側に設けた例である。マグネトロン41から発生した高周波を加熱室11内に導く導波管42と、電波を加熱室11へ放射する回転アンテナ43を設けている。回転アンテナ43は、放射指向性を有する構成である。本実施の形態の加熱調理器100は、回転アンテナ43のうちの少なくとも一方の放射指向性の強い部位を所定の向きに制御して特定の方向にマイクロ波をより集中して放射する構成としている。図5に示す加熱室11の底面兼載置台11aから天面方向に伸びる矢印は、回転アンテナ43から放射されるマイクロ波を表しており、その向きはマイクロ波が放射される方向を、その長さはマイクロ波の強度を示している。図5では、加熱皿の周部付近にマイクロ波が強く放射される場合を示している。具体的にどのように制御しているかについては後述する。
また、図5に示すように、加熱室11の奥の仕切板11cの後方には、連通路14と循環ファン15とヒータ16を有しており、循環ファン15によって加熱室11内の空気を吸い込んでヒータ16により加熱し(図5における加熱室11から循環ファン15に向かう矢印がその空気の流れを表している。)、仕切板11cに設けられている排出孔から加熱された空気を加熱室11内に送ることができるようになっている(図5におけるヒータ16から加熱室11に向かう矢印がその空気の流れを表している。)。
また、図2及び図5に示すように、加熱室11上部には、赤外線発生手段20として赤外線を発生させる複数本(図3に示すように、天井面11bの中央に蒸気を透過して被加熱物を効率よく輻射加熱することができるアルゴンヒータ21a、そのアルゴンヒータ21aの前後両側に遠赤外線を多く放射して被加熱物の表面に焦げ目を付けやすいミラクロンヒータ21b、の合計3本が設けられている。)の管ヒータ21(光ヒータ)を備えており、この各管ヒータ21と、マグネトロン41を制御部で制御し、管ヒータ21が水蒸気に吸収されにくい波長の赤外線を放射して、加熱室11内に存在する水蒸気を透過して被加熱物12b(加熱皿30がない場合は被加熱物12a)に放射して被加熱物の加熱調理をし、また遠赤外線を多く放射し被加熱物の表面に焼き色を付けるよう加熱調理を行う構成としている。なお、アルゴンヒータ21aおよびミラクロンヒータ21bを総称する場合には、管ヒータ21と記すことにする。
複数の波長を発生する管ヒータ21はそれが発生する赤外線の波長が、図4に示すように水蒸気吸収率が低い領域の波長である1.5μm以上1.7μm未満もしくは、2.0μm以上2.3μm未満もしくは、3.4μm以上4.5μm未満のいずれか一つの波長をピークとして発生するように構成してある。
これによって種類の異なる3本のヒータで構成されるの管ヒータ21からは水蒸気吸収率が低い領域の波長である1.5μm以上1.7μm未満もしくは、2.0μm以上2.3μm未満もしくは、3.4μm以上4.5μm未満のいずれか一つの波長をピークとする赤外線が加熱室11内に放射され、この赤外線が水蒸気に吸収されることなくこれを透過して被加熱物12a、12bである食品を効率よく輻射加熱することになる。
その結果、加熱室11に置かれた被加熱物12b(12a)を素早く均一に加熱できる。また、赤外線が被加熱物12b(12a)表面に直接輻射されるようになると被加熱物12b(12a)表面がパリッと仕上がり焼き色を素早く付けることが可能となる。さらに、蒸気が循環して次々に供給される場合には、被加熱物12a、12bに接する領域の蒸気密度がゼロになるわけではなく、被加熱物12a、12bの内部の温度上昇を促しつつ表面が過度に焦げるのを防止することができる。また、被加熱物12b(12a)の表面を蒸気で包むことになるので、被加熱物12b(12a)の内部の水分が逃げにくくなり、表面はカリッと焼かれ、中身はジューシーな調理を行うことができることになる。一方加熱の進行に伴い加熱室内の蒸気量が少なくなった場合においては遠赤外線が被加熱物12b(12a)表面に直接放射されるようになり被加熱物12b(12a)表面に焦げ目を素早く付けることが可能である。
図5に示すように、加熱室11の天井面11bに管ヒータ21は、天井面11bの中央にアルゴンヒータ21aが設けられ、そのアルゴンヒータ21aの前後両側にミラクロンヒータ21bが設けられていて、前述したような所望の波長の赤外線を発生させている。アルゴンヒータ21aは心線がタングステン線であり、透明な管部材22にはアルゴンガスが封入されている。このアルゴンヒータ21aは、ミラクロンヒータ21bと比較して動作の立ち上がりが早いという特徴を持っている。
ミラクロンヒータ21bは、従来から用いられているが、アルゴンヒータ21aより波長が長く、マイカヒータなどに比較して立ち上がりが早いので、被加熱物12a、12bの表面に焦げ色を付けるのに適している。また、コストが安いという特徴がある。
ここで、ミラクロンヒータ21bを電子レンジに搭載する場合、ミラクロンヒータ21bがマイクロ波を吸収し発熱してしまい、使用しているガラス材料を溶かす恐れがあるので、誘電率が比較的低くマイクロ波を吸収しにくい、白色管のミラクロンヒータ21bを採用することが望ましい。
また、加熱室11には、図2及び図5に示すように、加熱室11における互いに対向する立壁11d、11dに係止部17が設けられている。加熱皿30は、この係止部17に支持されて加熱室11を上下に区画するとともに被加熱物12bを載置することができる。なお、加熱皿30によって区画される下の空間を第1の空間、上の空間を第2の空間と称することがある。
加熱皿30は、図6の本発明の実施の形態の加熱調理器における加熱皿の構成図に示すように、全体矩形板状の加熱皿30の左右両辺には樹脂取っ手33が設けられており、加熱室11の係止部17に沿って前後方向へ出し入れ可能となっている。また、加熱皿30の周部には、加熱室11を上下に連通する連通孔31が設けられている。これにより、加熱皿30によって区画した加熱室11の下方において蒸気を発生させ、発生した蒸気を加熱皿30の周部に設けた連通孔31から上方に案内して、加熱皿30の上に載置された被加熱物12bを加熱調理する。図5において、加熱皿30によって区画される下の空間から加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に向かう矢印があるが、この矢印が、上の空間に向かう蒸気の流れを表している。
また、加熱室11の第1の空間に放射されたマイクロ波の一部は、加熱皿30の周部を通過して第2の空間に伝播する。加熱皿30のうち、係止部17に接する樹脂取っ手33以外の箇所は、加熱室11の壁面に接しておらず、当該箇所からマイクロ波が第2の空間に伝播し易い。加熱皿30に設けられた連通孔31もまた、第1の空間から第2の空間へのマイクロ波の伝播を助長する。その結果、第2の空間に伝播したマイクロ波によって、加熱皿30に載置された被加熱物12bが加熱される。特に、図5に示すように、回転アンテナ43のマイクロ波の放射指向性の強い方向を加熱皿30の周部に向けると、回転アンテナ43から放射されたマイクロ波が減衰を最小限に留められた状態で第2の空間にも伝播することになり、加熱皿30に載置された被加熱物12bを効率的に加熱することができる。
また、加熱皿30の底面兼載置台には、高周波発生手段40によって発せられる高周波を吸収して発熱する例えばフェライトゴムのような電波吸収発熱体32を設けるのが望ましい。これにより、加熱皿30の上に載置された被加熱物12bを下側から加熱することになり、被加熱物12bを上下両面から加熱調理することができる。なお、電波吸収発熱体32に接する加熱皿30の下面を未塗装とすることにより、熱伝導率が向上し、調理時間を短縮することができる。さらに、回転アンテナ43のマイクロ波の放射指向性の強い方向を加熱皿30に向ければ、加熱皿30を効率的に昇温させることができる。
続いて、回転アンテナの具体的な構成、及び回転アンテナの制御方法について説明する。図7に、本発明の実施の形態の加熱調理器における、回転アンテナ付近の詳細な構成図(正面から見た断面図)を、図8に、図7のB−B’における加熱調理器の断面図を、それぞれ示す。
図7に示すように、加熱調理器100は、代表的なマイクロ波発生手段であるマグネトロン41から放射されたマイクロ波を伝送する導波管42と、導波管42の上部に接続され幅方向寸法(約410mm)が奥行き方向寸法(約315mm)より大きい形状の加熱室11と、代表的な被加熱物である食品(図示せず)を載置するため加熱室11内に固定され、セラミックやガラスなどの低損失誘電材料からなるためにマイクロ波が容易に透過できる性質の載置台11aと、加熱室11内の載置台11aより下方に形成されるアンテナ空間37と、導波管42内のマイクロ波を加熱室11内に放射するため、導波管42からアンテナ空間37にわたり、加熱室11の幅方向に対して対称位置に取り付けられた二つの回転アンテナ38、39と、回転アンテナ38、39を回転駆動できる代表的な駆動手段としてのモータ61、62と、モータ61、62を制御して回転アンテナ38、39の向きを制御する制御部160(後述する図17に記載。)と、各回転アンテナ38、39の回転の原点を検出する原点検出機構を構成するフォトインタラプタ36と、加熱室11内の温度分布を検出する温度分布検出手段である赤外線センサ10と、を有する。
また、回転アンテナ38、39は、導波管42と加熱室底面兼載置台との境界面に設けられた直径約30mmで略円形の結合孔43、44を貫通する直径約18mmで略円筒状の導電性材料から成る結合部45、46と、結合部45、46の上端にかしめや溶接などで電気的に接続されて一体化され、概ね垂直方向よりも水平方向に広い面積を有する導電性材料から成る放射部47、48とを備える。
また、回転アンテナ38,39は、結合孔43、44の中心が回転駆動の中心となるようにモータ61、62のシャフト49、50に嵌合された構成としている。放射部47、48は回転の方向に対して形状が一定ではないために放射指向性がある構成としている。
回転アンテナ38、39の回転の中心は加熱室11内の中心から略等距離に配置する。この構成により、アンテナが一つの構成では通常は加熱しにくい加熱室内の中央付近を、回転アンテナ38、39の放射指向性の強い部分を中央付近に向けることにより加熱可能とするものである。
放射部47、48は同一の形状で、放射部上面51、52が略四辺形にRを有する形状で、そのうち対向する2辺には加熱室底面兼載置台側に曲げられた放射部曲げ部53、54を有し、その2辺の外側へのマイクロ波の放射を制限する構成である。加熱室底面兼載置台と放射部上面51、52までの距離は約10mm程度とし、放射部曲げ部53、54は、それよりも約5mm程度低い位置に引き下げられている。
そして、残る2辺は結合部45、46から端部までの水平方向の長さが異なり、結合部の中心からの長さが75mm程度の端部55、56、結合部の中心からの長さが55mm程度の端部57、58を構成している。また端部の幅方向の寸法はいずれも80mm以上としている。この構成において回転アンテナ38、39は、結合部45、46から端部57、58の方向への放射指向性を強くすることができる。
この構成において一般的な食品を均一に加熱する場合は、従来の電子レンジと同様、特に置き場所にこだわる必要はなく、回転アンテナ38、39も従来同様に一定回転させてよい。一方、集中加熱する場合、例えば加熱室11内の中央付近を加熱する場合、制御部160は、図9の本発明の実施の形態の加熱調理器による回転アンテナの向きの一例に示すように、回転アンテナ38、39の端部57、58を、加熱室11の幅方向の略中央かつ奥行き方向の略中央という所定の向きに向けるように制御する。
回転アンテナ38、39の端部57、58が加熱室11の幅方向の略中央かつ奥行き方向の略中央を向くとき、端部57、58の方向への放射指向性が強いので、特に端部57、58の方向からマイクロ波が放射されその方向に位置する食品を集中的に加熱することができる。
また、加熱室11内の左側付近を加熱する場合、制御部160は、図10の本発明の実施の形態の加熱調理器による回転アンテナの向きの一例に示すように、回転アンテナ38、39の端部57、58を、左向き(加熱室11をドア64側から見て左側)に向けるように制御する。
同様に、加熱室11内の右側付近を加熱する場合、制御部160は、図11の本発明の実施の形態の加熱調理器による回転アンテナの向きの一例に示すように、回転アンテナ38、39の端部57、58を、右向き(加熱室11をドア64側から見て右側)に向けるように制御する。
また、加熱室11内の前方中央付近を加熱する場合、制御部160は、図12の本発明の実施の形態の加熱調理器による回転アンテナの向きの一例に示すように、回転アンテナ38、39の端部57、58を、加熱室11の幅方向の略中央かつ奥行き方向の前方(加熱室11内の中央前方付近)に向けるように制御する。
また、加熱室11内の後方中央付近を加熱する場合、制御部160は、図13の本発明の実施の形態の加熱調理器による回転アンテナの向きの一例に示すように、回転アンテナ38、39の端部57、58を、加熱室11の幅方向の略中央かつ奥行き方向の後方(加熱室11内の中央後方付近)に向けるように制御する。
以上のように、本実施の形態の加熱調理器100は、局所的に加熱したい場所に応じて回転アンテナの向きを制御するものであり。回転アンテナ38、39を所定の向きに向けるためには、モータ61、62としてステッピングモータを用いるとか、あるいは一定回転のモータであっても基準位置を検出して通電時間を制御するなどの手段が考えられる。
本実施の形態の加熱調理器では、モータ61、62としてステッピングモータを用いており、各モータのシャフト49、50にそれぞれ原点検出機構を設けている。図14に、図7のD−D’における加熱調理器の断面図を示す。原点検出機構は、図14に示すように、シャフトを中心軸とする円板36aと、フォトインタラプタ36とにより構成される。円板36aには、矩形状のスリット36bが設けられている。
円板36aは、回転アンテナ38、39を回転させるモータのシャフト49、50の軸にそれぞれ共通に取り付けられていて、発光素子と受光素子とを備えたフォトインタラプタ36の光路を遮るように回転するものである。
この構成により、スリット36bがフォトインタラプタ36の光路を通過するときは、前記光路を遮るものが無いので、スリットの通過時点を検出することができる。従って、スリット36bの位置を回転アンテナ38、39の原点と設定しておくことで、各モータに取り付けられたフォトインタラプタ36により回転アンテナの原点を検出することができるものである。
また、制御部は、原点検出機構で検出できる原点を基準として、回転アンテナ38、39の指向性の強い部分を局所加熱箇所に集中させるときの回転アンテナ38、39の角度(停止位置)を予め記憶しているアンテナ角度記憶部を有している。回転アンテナ38、39の動作を制御して局所加熱を実行する際には、アンテナ角度記憶部の情報が参照される。
次に、図15に示す、本発明の実施の形態の加熱調理器における赤外線センサ10の構成図を参照して、本実施の形態の加熱調理器が備える温度検出手段について説明する。この温度検出手段は、基板109上に一列に並んで設けられた複数の赤外線検出素子103と、基板109全体を収納するケース108と、ケース108を赤外線検出素子103が並んでいる方向と垂直に交わる方向に移動させるステッピングモータ101と、を備えるものである。
基板109上には、赤外線検出素子103を封入する金属製のカン105と、赤外線検出素子の動作を処理する電子回路110とが設けられている。また、カン105には赤外線が通過するレンズ104が設けられている。また、ケース108には、赤外線を通過させる赤外線通過孔106と、電子回路110からのリード線を通過させる孔107とが設けられている。
この構成により、ステッピングモータ101が回転運動することで、ケース108を、赤外線検出素子103が一列に並んでいる方向とは垂直方向に移動させることができる。
図16は、図7のC−C’断面における赤外線温度検出スポットを説明する図であり、図17は、本発明の実施の形態における赤外線温度検出スポットを説明するための加熱調理器の断面図(正面図)である。図17に示すように、本実施の形態の加熱調理器100は、制御部160による制御のもと、温度検出手段のステッピングモータ101が往復回転動作することにより、加熱室11内のほぼ全ての領域の温度分布を検出することができるものである。
具体的には、例えば、まず図16中のA1〜A4の領域の温度分布を、温度検出手段が有する一列に並んだ温度検出素子103(例えば、赤外線センサ)が同時に検出する。次に、ステッピングモータ101が回転動作しケース108が移動するとき、温度検出素子103がB1〜B4の領域の温度分布を検出する。さらに、ステッピングモータ101が回転動作してケース108が移動するとき、温度検出素子103がC1〜C4の領域の温度分布を検出し、同様に、D1〜D4の領域の温度分布が検出される。
また、上述の動作に続けて、ステッピングモータ101が逆回転することで、D1〜D4の領域側から、C1〜C4、B1〜B4、A1〜A4の順に、温度分布を検出する。温度分布検出手段は、以上の動作を繰り返すことで、加熱室11内の全体の温度分布を検出することができる。
続いて、本発明の実施の形態の加熱調理器による、マイクロ波により加熱処理時における一連の処理を説明する。図18に、本発明の実施の形態の加熱調理器の構成を示す機能ブロック図を示す。
加熱調理器100は、高周波発生部40(図2における、マグネトロン41、導波管42、及び回転アンテナ43により構成される。)と、熱風供給部80(図5における、連通路14、循環ファン15、及びヒータ16により構成される。)と、輻射熱供給部20(図3における管ヒータ21に相当する。)と、蒸気供給部60(図2における蒸気発生手段60に相当する。)と、操作パネル23(図1における操作パネル23に相当する。)と、赤外線センサ10(図7における赤外線センサ10に相当する。)と、電源部170と、加熱調理器100全体を制御する制御部160とを備えている。
制御部160は、図示しないCPU(Central Processing Unit)とROM(Read Only Memory)とを備えている。CPUは、ROMに格納されているプログラム及びデータに従って制御を行う。制御部160による制御には、高周波発生部40、熱風供給部80、輻射熱供給部20、蒸気供給部60のいずれか一つまたは複数へ電源部170からの給電量を優先して確保する制御が含まれる。この制御により、高周波発生部40、熱風供給部80、輻射熱供給部20、蒸気供給部60のいずれか一つまたは複数が駆動し、被加熱物12a、12bを加熱する。
次に、本発明の実施の形態の加熱調理器による処理の流れを説明する。図19に、本発明の実施の形態の加熱調理器による加熱処理のフローチャートを示す。
まず、制御部は、操作パネルによって、上下加熱調理のための操作、特に、被加熱物の状態を通知する操作、加熱処理に対する条件を指示する操作、及び加熱処理の開始を指示する操作を受け付ける(ステップ101)。被加熱物の状態を通知する操作には、被加熱物の重量、形状、個数、などを入力する操作が含まれる。この操作は、利用者が被加熱物の重量、形状、個数を測定し、その測定した数値を入力する構成でもよいが、好ましくは、加熱調理器に付随するレシピブックに記述されているあるレシピの識別番号を操作パネルのダイヤルにて指定する。このレシピブックには、レシピ毎に、調理に必要な素材のグラム数、個数、大きさなどが取り決められているため、制御部は、レシピの識別番号を指示する操作を受け付けることによって、被加熱物の状態を認識することができる。なお、本発明の実施の形態の被加熱物の状態を通知する操作は、必須ではなく、加熱室内に設けられた各種センサ(図示せず)によって被加熱物の重量、形状、個数を測定し、その測定した数値を入力値とする構成であってもよい。
また、加熱処理に対する条件としては、主に、被加熱物を載置する場所、場所毎の被加熱物に対する加熱方法、が挙げられる。被加熱物を載置する場所は、具体的には、1.加熱室の底面兼載置台のみ、2.加熱皿のみ、あるいは、3.加熱室の底面兼載置台及び加熱皿、を指示する条件である。
また、場所毎の被加熱物に対する加熱方法には、加熱室の底面兼載置台に載置された被加熱物、及び加熱皿に載置された被加熱物に対する加熱方法(高周波による加熱、熱風による加熱、輻射熱による加熱、蒸気による加熱、各加熱方法による加熱温度、各加熱方法による加熱時間など)を指示する条件である。これらの条件は、利用者が操作パネルによって入力する構成でもよいが、好ましくは、レシピの識別番号を指示する操作を受け付けることによって、当該レシピの識別番号毎に規定されている、各加熱方法の順序、加熱温度及び加熱時間などを参照する。
本発明の実施の形態では、被加熱物は、3.加熱室の底面兼載置台及び加熱皿に載置され、加熱室の底面兼載置台にはマイクロ波による加熱を要する被加熱物を、加熱皿には輻射熱による加熱を要する被加熱物を、それぞれ載置する場合を説明する。その他の加熱方法は従来からよく知られているものと同じであり、説明は省略する。
制御部は、操作パネルによって受け付けた被加熱物の状態を通知する操作によって検出した被加熱物の状態(場合によっては加熱室内に設けられた各種センサによって検出させてもよい)を基に、マイクロ波によって加熱しようとする加熱室の底面兼載置台に載置された被加熱物の負荷量を特定する(ステップ102)。具体的には、制御部は、被加熱物の重量、形状、個数と、その重量、形状、個数を有する被加熱物の負荷量と、を対応付けたテーブルをROMに記憶しており、そのテーブルを参照して、操作パネルによって受け付けた、または各種センサによって検出した加熱物の状態に対応する負荷量を特定する。なお、制御部は、レシピや操作部に記載されている識別番号を指示する操作を受け付けることによって被加熱物の状態を通知される場合がある。この場合にも同様に、各レシピや操作部に記載されている識別番号と、そのレシピに必要とされる被加熱物の負荷量と、を対応付けたテーブルをROMに記憶しておき、そのテーブルを参照して、操作パネルによって受け付けたレシピの識別番号に対応する負荷量を特定する。
制御部は、被加熱物の負荷量を特定すると、その負荷量の大小を判定し(ステップ103)、回転アンテナ38、39の端部57、58を向けるべき方向を決定し、回転アンテナ38、39を決定した方向に回転する。制御部は、加熱室の底面兼載置台に載置された被加熱物の負荷量が大きいほど(ステップ104、Y)、回転アンテナ38、39の端部57、58を向けるべき方向を被加熱物が載置される加熱室中央から分散させ加熱皿に集中させる(ステップ105)、被加熱物の負荷量が小さいほど(ステップ104、N)、回転アンテナ38、39の端部57、58を向けるべき方向を加熱室中央に集中させる(ステップ106)。
なお、マイクロ波による加熱時、蒸気供給部60からスチームを供給して、加熱室の底面兼載置台に載置された被加熱物または加熱皿に載置された被加熱物を併用加熱するようにしてもよい。これにより、被加熱物の表面にうるおいをもたした状態で被加熱物を加熱することができる。
この処理によって、加熱室の底面兼載置台11aに載置された第1の被加熱物の負荷量が大きい場合には回転アンテナ38、39の放射指向性の強い部位が被加熱物に向けられないことになるが、回転アンテナ38、39の放射指向性のそれほど強くない部位は被加熱物に向けられており負荷量が大きいため、その部位から放射されたマイクロ波は効率よく吸収され当該被加熱物を充分加熱することができる。他方、回転アンテナ38、39の放射指向性の強い部位が向けられた方向には被加熱物が存在しておらず、従って、回転アンテナ38、39から放射されるマイクロ波は、最小限の減衰をもって加熱皿30に到達し加熱皿を昇温させることができる、さらには、最小限の減衰をもって加熱皿30の周部を通過し加熱皿30に載置された被加熱物12bを加熱することができる。
制御部は、回転アンテナ38、39を回転させた後高周波供給部40に給電してマイクロ波の放射を開始させる(ステップ107)。その後、制御部が特定した、ある第1、第2の被加熱物の組み合わせの中での第1所定の時間(これは特定された第1、第2の被加熱物の組み合わせ毎にその組み合わせの中での第1、第2の被加熱物の重量、形状、個数等によって予め記憶されている)になるまで(ステップ108、Y)、上記の回転アンテナ38、39によるマイクロ波の放射を継続する。これによって第1の被加熱物が主体的に加熱されるとともに、加熱皿30及び当該加熱皿上の第2の被加熱物が予備加熱される。
制御部は、第1の所定時間に達したと判断すると(ステップ108、Y)、加熱皿30に載置された被加熱物を加熱するために輻射熱供給部20に給電して輻射熱による加熱を開始させる(ステップ109)。その後、時間が経過して予め定めた第2の所定時間(これも特定された第1、第2の被加熱物の組み合わせ毎にその組み合わせの中での第1、第2の被加熱物の重量、形状、個数等によって予め記憶されており、第1の被加熱物の加熱が完了する時間である)になると(ステップ110、Y)、輻射熱による加熱を停止する(ステップ111)。
このように、この加熱調理器では、加熱室の底面兼載置台11aに載置された第1の被加熱物の負荷量が大きい場合においても、輻射熱による加熱を開始するときには既に加熱皿30の温度は負荷量が小さいときに比べ若干低いものの充分昇温されており、さらに、加熱皿30に載置された被加熱物もマイクロ波による照射によって予熱されているため、第一の加熱物と第二の加熱物を別々に加熱した場合の加熱時間の合計と比べて両者を同時期に加熱した場合の方が加熱時間を短縮することができる。
また、加熱室の底面兼載置台に載置された被加熱物の負荷量が小さい場合にも、輻射熱による加熱を開始するときには、従来のように、加熱皿にのみ被加熱物を載置して輻射熱による被加熱物の加熱とマイクロ波による加熱皿の昇温とを同時期に開始する場合と比べれば、加熱皿30は充分加熱されていると言え、第一の加熱物と第二の加熱物を別々に加熱した場合の加熱時間の合計と比べて両者を同時期に加熱した場合の方が加熱時間を短縮することができる。
制御部は、上記の回転アンテナ38、39によるマイクロ波の放射を停止した後、輻射熱による加熱を所定の時間、継続する(ステップ112)。なお、この所定の時間も特定された第1、第2の被加熱物の組み合わせ毎にその組み合わせの中での第1、第2の被加熱物の重量、形状、個数等に応じて第2の被加熱物の加熱が完了する時間で、あらかじめ記憶されており、レシピの識別番号を指示する操作を受け付けたときに参照した加熱時間によって、特定されるが、加熱調理器による調理開始前に使用者が操作パネルによって入力された加熱時間で特定されるようにしてもよい。
なお、加熱時、蒸気供給部60からスチームを供給して、加熱室の底面兼載置台に載置された被加熱物または加熱皿に載置された被加熱物を併用加熱するようにしてもよい。これにより、被加熱物の表面にうるおいをもたした状態で被加熱物を加熱することができる。さらに、加熱皿に載置された被加熱物に対してグリル調理やオーブン調理を行う場合が考えられる。グリル調理を行う場合にはスチームによる加熱を併用することで、表面が過度に焦げるのを防止しつつ被加熱物の中身をジューシーに仕上げることができる。一方、オーブン調理の場合スチームを併用することで内部の火通りを良くし、被加熱物の表面をパリッと、中身をジューシーに仕上げることができる。
そして、制御部は、輻射熱による加熱を所定の時間継続すると(ステップ112、Y)、輻射熱による加熱を停止し(ステップ113)、一連の加熱処理を停止する。
以上、従来の加熱調理器では、加熱室の底面兼載置台に被加熱物が載置されている場合には、加熱皿を充分昇温させることができなかったが、本発明の実施の形態の加熱調理器によれば、加熱室の底面兼載置台に被加熱物が載置されている場合にも、効果的に加熱皿を昇温させることができる。さらに、輻射熱による加熱の対象となる、加熱皿に載置されている被加熱物を輻射熱による加熱前にマイクロ波によって加熱しておくことができる。このことは、加熱室の底面兼載置台と加熱皿とにそれぞれ別の被加熱物を載置した状態で加熱処理を開始し完了させるという、これまでの加熱調理器にはなかった新たな調理方法、すなわち加熱皿によって区切られる上下の空間を一度の処理によって加熱するという上下加熱を実現することができる。
また、加熱室の底面兼載置台に載置される被加熱物の形状、重さ、個数などの状態に応じて回転アンテナの向きを制御することによって、加熱室の底面兼載置台に載置される被加熱物へのマイクロ波の放射、または、加熱皿または加熱皿の周部へのマイクロ波の放射、を好適に切り替えることができる。
また、加熱皿に載置された被加熱物を輻射熱によって加熱する前に上述のように加熱皿または加熱皿に載置された被加熱物をマイクロ波によって加熱しておくことによって、第1の加熱物と第2の加熱物を別々に加熱した場合の加熱時間の合計と比べて両者を同時期に加熱した場合の方が時間を短縮することができる。
また、加熱調理器に付随するレシピブックに従って加熱室の底面兼載置台及び加熱皿に適量の被加熱物を載置すれば、レシピを特定する識別情報を入力するだけで上下加熱処理を加熱調理器に行わせることができる。この結果、利用者は、上下加熱に伴う煩雑な入力操作から解放される。
ここで、さらに、本発明の実施の形態の加熱調理器による上下加熱処理の例について説明する。図20から図26に、本発明の実施の形態の加熱調理器による、上下加熱処理時の各熱源の駆動状況を表すタイムチャートを示す。
図20のタイムチャートでは、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。なお、このとき、加熱皿30に載置された被加熱物12bもまた、加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に伝播するマイクロ波によって加熱される。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、高周波発生手段40への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t2の間加熱する。そして、輻射熱による加熱を所定の時間t2継続すると、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aへの給電を停止して、輻射熱による加熱を終了する。
図20のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、水分を多く含む被加熱物を加熱室11の底面兼載置台に載置し、表面への重点的な加熱を必要とする被加熱物を加熱皿30に載置する場合の調理に向いている。例えば、加熱室11の底面兼載置台にソースを載置し、ソースをかけるべきハンバーグを加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。この調理方法によって、二つの被加熱物(例えば、ソースとハンバーグ)を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱による加熱)と、が一連の処理によって行うことができる。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていてハンバーグの下面を加熱しており、ヒータ21b、21aによる上方からの加熱では加熱しにくいハンバーグ下面も上面と同様良好な加熱が可能となる。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、また、上下同時に加熱調理をしていても上下両食品とも良好に仕上げることができ、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。
また他の例として加熱室11の底面兼載置台に野菜の煮物を載置し、塩さばを加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。この調理方法によって、二つの被加熱物(例えば、野菜の煮物と塩さば)を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)で加熱室11の底面兼載置台に載置した野菜の煮物から大量の蒸気が放出し、加熱皿30に載置された塩さばの表面で結露する。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていて塩さばの下面を加熱しており、また塩さば自体も加熱皿の周部を通過したマイクロ波によってあたたまっているので、被加熱物表面の結露水は温水となって表面の塩分を洗い流し減塩効果をもたらす。ヒータ21b、21aによる上方からの加熱が加わり塩さばの上下面とも良好な加熱が可能となる。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、また、上下同時に加熱調理をしていても上下両食品とも良好に仕上げることができ、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。
図21のタイムチャートでは、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。なお、このとき、加熱皿30に載置された被加熱物12bもまた、加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に伝播するマイクロ波によって加熱される。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、高周波発生手段40への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t2の間加熱する。そして、輻射熱による加熱を所定の時間t2継続すると、ミラクロンヒータ21bへの給電を継続する一方でアルゴンヒータ21aへの給電を停止し、代わりに、蒸気発生手段60への給電を開始する。そして、ミラクロンヒータ21bによる輻射熱及び蒸気による加熱を所定の時間t3継続すると、ミラクロンヒータ21bと蒸気発生手段60への給電を停止して、輻射熱及び蒸気による加熱を終了する。
図21のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、水分を多く含む被加熱物を加熱室11の底面兼載置台に載置し、表面への重点的な加熱を必要とし、かつ、表面へのうるおいを必要とする被加熱物を加熱皿30に載置する場合の調理に向いている。例えば、加熱室11の底面兼載置台に八宝菜を載置し、鶏のから揚げを加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。この調理方法によって、二つの被加熱物(例えば、鶏のから揚げと八宝菜)を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱及び蒸気による加熱)と、が一連の処理によって定格電力内で行うことができる。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。また、加熱室11の底面兼載置台に載置された水分を多く含む被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)を開始すると被加熱物の温度上昇に伴い被加熱物自体から大量の蒸気が発生し、所定の時間t1が終了するころには加熱室内は蒸気が充満する、次に加熱皿30に載置された被加熱物をアルゴンヒータ21aおよびミラクロンヒータ21bにより輻射加熱を開始する。なお、アルゴンヒータから放射される波長の赤外線は、蒸気を透過し易い波長であるため、アルゴンヒータによる加熱が蒸気によって妨げられないので被加熱物を直接効率よく加熱できる。また、ミラクロンヒータ21bを用いて加熱室内に充満した蒸気自体をあたためて雰囲気の温度で加熱して蒸し焼きにすることができる。
所定の時間t2が終了する頃には管ヒータ21によって熱せられ被加熱物近傍の加熱室雰囲気温度は100℃以上になり蒸気は過熱水蒸気となる。この時点で過熱水蒸気は被加熱物の表面に水分を与えるのではなく表面を乾燥しさらに焼き色を付けるよう作用するようになる、またミラクロンヒータ21bから放射する遠赤外線が蒸気に遮られることなく被加熱物を輻射加熱し表面を焦がし始める。アルゴンヒータ21aへの加熱を停止し、代わりに蒸気発生手段60への給電を開始し、ミラクロンヒータ21bによる輻射熱及び蒸気による加熱を所定の時間t3継続する。蒸気発生手段から供給された蒸気はミラクロンヒータにより熱せられ過熱水蒸気となって被加熱物の周りを取り囲み加熱するのでミラクロンヒータによる輻射加熱のみで加熱するよりも被加熱物表面全体を均一に効率よく加熱し、部分的な焦げを防いで美しい焼き色に、また全体がカリットした好ましい食感に仕上げることができる。
図22のタイムチャートでは、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。なお、このとき、加熱皿30に載置された被加熱物12bもまた、加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に伝播するマイクロ波によって加熱される。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、高周波発生手段40への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t2の間加熱する。そして、輻射熱による加熱を所定の時間t2継続すると、アルゴンヒータ21aへの給電を停止し、高周波発生手段40とミラクロンヒータ21bとに交互に給電を開始すると同時に、蒸気発生手段60に給電を開始する。高周波発生手段40、ミラクロンヒータ21b及び蒸気発生手段60による加熱を所定の時間t3継続する。交互に給電される高周波発生手段40とミラクロンヒータ21bによる加熱、及び蒸気発生手段60による加熱を所定の時間t3継続すると、高周波発生手段40、ミラクロンヒータ21b及び蒸気発生手段60への給電を停止して、輻射熱及び蒸気による加熱を終了する。
図22のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、水分を多く含む被加熱物を加熱室11の底面兼載置台に載置し、表面への重点的な加熱を必要とし、かつ、表面へのうるおいを必要する被加熱物を加熱皿30に載置する場合の調理に向いている。例えば、加熱室11の底面兼載置台に八宝菜を載置し、鶏のから揚げを加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。この調理方法によって、二つの被加熱物(例えば、鶏の照り焼きと温野菜)を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱及び蒸気による加熱)と、が一連の処理によって定格電力内で行うことができる。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていて加熱皿上の被加熱物の下面を加熱している。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。また、加熱室11の底面兼載置台に載置された水分を多く含む被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)を開始すると被加熱物の温度上昇に伴い被加熱物自体から大量の蒸気が発生し、所定の時間t1が終了するころには加熱室内は蒸気が充満する、次に加熱皿30に載置された被加熱物をアルゴンヒータ21aおよびミラクロンヒータ21bにより輻射加熱を開始する。アルゴンヒータから放射される波長の赤外線は、蒸気を透過し易い波長であるため、アルゴンヒータによる加熱が蒸気によって妨げられないので被加熱物を直接効率よく加熱できる。また、ミラクロンヒータ21bを用いて加熱室内に充満した蒸気自体をあたためて雰囲気の温度で加熱して蒸し焼きにすることができる。
所定の時間t2が終了する頃には管ヒータ21によって熱せられ被加熱物近傍の加熱室雰囲気温度は100℃以上になり蒸気は過熱水蒸気となる。この時点で過熱水蒸気は被加熱物の表面に水分を与えるのではなく表面を乾燥しさらに焼き色を付けるよう作用するようになる、またミラクロンヒータ21bから放射する遠赤外線が蒸気に遮られることなく被加熱物を輻射加熱し表面を焦がし始める。照り焼きや浸け焼きはしょう油やみりん、砂糖など焦げやすい調味材料に浸しているため急激に焦げやすくなる。そこで、アルゴンヒータ21aへの加熱を停止し、ミラクロンヒータの出力を低減して代わりに蒸気発生手段60と高周波発生手段への給電を開始し、焦げすぎを防ぎつつ被加熱物の内部温度が上昇するようミラクロンヒータ21bによる輻射熱及び蒸気による加熱及びマイクロ波による加熱を所定の時間t3継続する。蒸気発生手段から供給された蒸気はミラクロンヒータにより熱せられ過熱水蒸気となって被加熱物の周りを取り囲み加熱するのでミラクロンヒータによる輻射加熱のみで加熱するよりも被加熱物表面全体を均一に効率よく加熱し、部分的な焦げを防いで美しい焼き色に仕上げることができる。またマイクロ波を放射するので加熱皿に載置された被加熱物を底面から加熱することができ、内部の火の通り肉部分も十分加熱することができる。さらに、加熱室底面載置台に載置された被加熱物の温度が降下するのを防ぐことができる。
なお、アルゴンヒータによる加熱と蒸気による加熱とを併用しても、アルゴンヒータから放射される波長の電波は、蒸気を透過し易い波長であるため、アルゴンヒータによる加熱が蒸気によって妨げられない。
図23のタイムチャートでは、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、高周波発生手段40へ給電する電力量を小さくして高周波発生手段40から放射されるマイクロ波の出力を小さくするとともに、その小さくした電力量分を蒸気発生手段60へ給電する。高周波発生手段40及び蒸気発生手段60に給電している所定の時間t2が経過すると、高周波発生手段40及び蒸気発生手段60への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t3の間加熱する。そして、ミラクロンヒータ21b及びアルゴンヒータ21aによる加熱を所定の時間t3継続すると、ミラクロンヒータ21b及びアルゴンヒータ21aへの給電を停止して、輻射熱による加熱を終了する。
図23のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、水分を多く含む被加熱物を加熱室11の底面兼載置台に載置し、表面への重点的な加熱を必要とし、かつ、表面への重点的な加熱の前にその表面を湿らせることを必要する被加熱物を加熱皿30に載置する場合の調理に向いている。例えば、加熱室11の底面兼載置台に野菜あんかけを載置し、焼きそばを加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。この調理方法によって、二つの被加熱物(例えば、野菜あんかけと焼きそば)を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱及び蒸気による加熱)と、が一連の処理によって定格電力内で行うことができる。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていて加熱皿上の被加熱物の下面を加熱している。さらに、蒸気が加熱皿30に載置された被加熱物表面に入り込み水分を付加している。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。加熱皿30に載置された焼きそばは素材がでんぷん質でありでんぷんの加熱(α化)には水分と熱の両方が不可欠である。両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30に載置された焼きそばは蒸気により十分に水分が付加されておりでんぷんの加熱(α化)には絶好のコンディションとなっている。ミラクロンヒータ21b及びアルゴンヒータ21aによる加熱を所定の時間t3継続すると焼きそば麺はふっくらと柔らかく、滑らかでのど越しよい状態に加熱ができ、表面は適度な焼き色が付いて焼きそばらしいパリッとした食感に仕上がる。ミラクロンヒータ21b及びアルゴンヒータ21aへの給電を停止して、輻射熱による加熱を終了する。なお、アルゴンヒータによる加熱と蒸気による加熱とを併用しても、アルゴンヒータから放射される波長の電波は、蒸気を透過し易い波長であるため、アルゴンヒータによる加熱が蒸気によって妨げられない。
図24のタイムチャートでは、まず、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。なお、このとき、加熱皿30に載置された被加熱物12bもまた、加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に伝播するマイクロ波によって加熱される。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、一旦、高周波発生手段40への給電を停止し、本発明の加熱調理器に備わる操作パネル23やブザーなどの報知手段に報知表示や報知音などを出力させ、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12aの取り出しを促す。この後、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12aが取り出されると(例えば、加熱室11の底面兼載置台に設けられた圧力センサによって被加熱物12aの取り出しを検出したり、加熱室11のドア64の開閉を検出すると)、高周波発生手段40に給電を再度開始し、高周波発生手段40から所定の時間t2の間マイクロ波を放射することによって、加熱皿30を加熱する。加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12aを取り出す状況としては、被加熱物12aの負荷量が小さく短期間のマイクロ波の放射によって充分加熱することができる場合、または被加熱物が火の通りやすい材料で短時間のマイクロ波で充分加熱することができる場合、加熱皿30に載置された被加熱物12bの底面(加熱皿30に接する面)を充分加熱することが望まれる場合、などが考えられる。一旦被加熱物12aを取り出すことにより、高周波発生手段40から放射されるマイクロ波を最も効率良く加熱皿30に照射することができるため、短期間に加熱皿30を昇温させることができる。なお、上述した被加熱物12aの取り出しは必ずしも必須ではなく、所定の時間t1が経過した後、回転アンテナ38、39の向きを制御して当該回転アンテナ38、39から被加熱物12aに直接放射されない向きにマイクロ波を放射することによって、被加熱物12aを取り出さなくても加熱皿30を昇温させることができる。
高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t2が経過すると、高周波発生手段40への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t3の間加熱する。そして、ミラクロンヒータ21b及びアルゴンヒータ21aによる加熱を所定の時間t3継続すると、ミラクロンヒータ21b及びアルゴンヒータ21aへの給電を停止して、輻射熱による加熱を終了する。
図24のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、負荷量の小さい被加熱物を加熱室11の底面兼載置台に載置する場合や被加熱物が火の通りやすい材料で短時間のマイクロ波で充分加熱することができる場合、底面への重点的な加熱を必要する被加熱物を加熱皿30に載置する場合の調理に向いている。例えば、加熱室11の底面兼載置台に葉物のゆで野菜を載置し、焼き魚を加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。また、回転アンテナ38、39の向きを制御して当該回転アンテナ38、39から被加熱物12aに直接放射されない向きにマイクロ波を放射することによって、二つの被加熱物を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱及び蒸気による加熱)と、が一連の処理によって定格電力内で行うことができる。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていて加熱皿上の被加熱物の下面を加熱している。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。なお、アルゴンヒータによる加熱と蒸気による加熱とを併用しても、アルゴンヒータから放射される波長の電波は、蒸気を透過し易い波長であるため、アルゴンヒータによる加熱が蒸気によって妨げられない。
図25のタイムチャートでは、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。なお、このとき、加熱皿30に載置された被加熱物12bもまた、加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に伝播するマイクロ波によって加熱される。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、一旦、高周波発生手段40への給電を停止し、本発明の加熱調理器に備わる操作パネル23やブザーなどの報知手段に報知表示や報知音などを出力させ、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12aの取り出しを促す。この後、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12aが取り出されると(例えば、加熱室11の底面兼載置台に設けられた圧力センサによって被加熱物12aの取り出しを検出したり、加熱室11のドア64の開閉を検出すると)、高周波発生手段40に給電を再度開始し、高周波発生手段40から所定の時間t2の間マイクロ波を放射することによって、加熱皿30を加熱する。加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12aを取り出す状況としては、被加熱物12aの負荷量が小さく短期間のマイクロ波の放射によって充分加熱することができる場合、加熱皿30に載置された被加熱物12bの底面(加熱皿30に接する面)を充分加熱することが望まれる場合、などが考えられる。一旦被加熱物12aを取り出すことにより、高周波発生手段40から放射されるマイクロ波を最も効率良く加熱皿30に照射することができるため、短期間に加熱皿30を昇温させることができる。なお、上述した被加熱物12aの取り出しは必ずしも必須ではなく、所定の時間t1が経過した後、回転アンテナ38、39の向きを制御して当該回転アンテナ38、39から被加熱物12aに直接放射されない向きにマイクロ波を放射することによって、被加熱物12aを取り出さなくても加熱皿30を昇温させることができる。
高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t2が経過すると、高周波発生手段40への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t3の間加熱する。そして、輻射熱による加熱を所定の時間t3継続すると、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aへの給電を一時的に停止し、代わりに、その間、蒸気発生手段60へ給電する。蒸気による加熱を一時的に行った後、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を再度開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aによる加熱を所定の時間t4継続すると、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aへの給電を停止して、輻射熱による加熱を終了する。
図25のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、負荷量の小さい被加熱物を加熱室11の底面兼載置台に載置する場合や被加熱物が火の通りやすい材料で短時間のマイクロ波で充分加熱することができる場合、底面への重点的な加熱を必要する被加熱物を加熱皿30に載置する場合の調理に向いている。また、短期間の蒸気による加熱によって、管ヒーター21が駆動して100℃以上の環境に蒸気を投入することで過熱水蒸気になり被加熱物を包み込んで加熱するので被加熱物表面を均一に焼き色を付けることができ、焦がさずに被加熱物の内部温度を上げることができる。また、回転アンテナ38、39の向きを制御して当該回転アンテナ38、39から被加熱物12aに直接放射されない向きにマイクロ波を放射することによって、二つの被加熱物を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱及び蒸気による加熱)と、が一連の処理によって定格電力内で行うことができる。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていて加熱皿上の被加熱物の下面を加熱している。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。なお、アルゴンヒータによる加熱と蒸気による加熱とを併用しても、アルゴンヒータから放射される波長の電波は、蒸気を透過し易い波長であるため、アルゴンヒータによる加熱が蒸気によって妨げられない。
図26のタイムチャートでは、まず、高周波発生手段40に給電を開始し、高周波発生手段40から所定の時間t1の間マイクロ波を放射することによって、加熱室11の底面兼載置台に載置される被加熱物12a及び加熱皿30を加熱する。なお、このとき、加熱皿30に載置された被加熱物12bもまた、加熱皿30の周部を通過して加熱皿30によって区画される上の空間に伝播するマイクロ波によって加熱される。高周波発生手段40がマイクロ波の放射を開始した後所定の時間t1が経過すると、高周波発生手段40への給電を停止してミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aに給電を開始し、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aからの輻射熱により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t2の間加熱する。そして、輻射熱による加熱を所定の時間t2継続すると、ミラクロンヒータ21bとアルゴンヒータ21aへの給電を停止し、代わりに、熱風供給部80への給電を開始して、熱風により加熱皿30に載置された被加熱物を所定の時間t3の間加熱する。そして、熱風による加熱を所定の時間t3継続すると、熱風供給部80への給電を一時的に停止し、代わりに、その間、蒸気発生手段60へ給電する。蒸気による加熱を一時的に行った後、熱風供給部80に給電を再度開始し、熱風供給部80による加熱を所定の時間t4継続すると、熱風供給部80への給電を停止して、熱風による加熱を終了する。
図26のタイムチャートに示すように各熱源を駆動させる調理方法は、加熱皿30に載置する被加熱物の重量、体積が大きい場合(つまり、熱風による加熱に適した大きさである場合)の調理に向いている。例えば、加熱室11の底面兼載置台に煮込み料理を載置し、骨付き肉を加熱皿30に載置する場合などの調理に向いている。また、熱風による加熱で加熱室が100℃以上の環境に蒸気を短期間投入することで過熱水蒸気になり被加熱物を包み込んで加熱するので骨付き肉の温度上昇しにくい骨周りの内部温度を上げることができ、また、被加熱物表面に均一に焼き色を付けることができる。さらに、煮込み料理の追加加熱も同時にできる。なお、熱風による加熱工程t3、t4中に熱風とマイクロ波を交互に加熱するようにしてもよい。この調理方法によって、二つの被加熱物(例えば、煮込み料理と骨付き肉)を加熱室内に載置し調理を開始すれば、加熱室11の底面兼載置台に載置された被加熱物への加熱(マイクロ波による加熱)と、加熱皿30に載置された被加熱物への加熱(輻射熱、熱風及び蒸気による加熱)と、が一連の処理によって定格電力内で行うことができる。しかも両ヒータ21b、21aによる加熱開始時にはすでに加熱皿30はある程度の温度に加熱されていて加熱皿上の被加熱物の下面を加熱している。このため、従来の加熱調理器のように、ある熱源から別の熱源へ切り替えて加熱を行う場合に被加熱物を取り替える必要がなく、加熱調理に伴う利用者の利便性を向上させることができる。