ところで、上記ディスプレイ装置では、鏡の前面側に何ら取り付け部材が露出しないようなデザインが望まれるが、上記特許文献1,2のものは、鏡の上下辺、左右辺等を支持レールにて支持する構造であるから、鏡の支持部材(支持フレーム等)が鏡の前面側に露出するため、装置としてのデザイン性に課題がある。
また、薄型ディスプレイ装置に限らず一般的なガラス板の取付構造においても、ガラス板の周縁を固定するもの、或いは、ガラス板の板面側から背面側に貫通する取付部材を設け、当該取付部材によって当該ガラス板を壁面等に固定する構造が多く採用されており、何れもガラス前面側に取付部材が露出する構造であるから、薄型ディスプレイ用のガラス板としては上記特許文献1,2等と同様の課題がある。
また、薄型ディスプレイ装置の前面側に設置する場合、ディスプレイ装置のメンテナンス性を考慮すると、デザイン性のみならず、鏡の着脱の容易性も必要となる。
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、上記ガラス板の前面側に何ら取付部材やフレームが露出せずデザイン性に優れていると共に、着脱等の取り付け作業性に優れた薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造及び取付方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するため本発明は、
第1に、方形フレームの上辺と下辺に各々上向及び下向に高さ調整脚を取り付け、上記方形フレームをこれら高さ調整脚によって取り付け位置の上面と下面に突っ張り状態で立設固定可能とし、上記方形フレームの垂直左右辺間に薄型ディスプレイユニットを垂直に固設し、上記方形フレームの左右対称位置に前後方向に位置調整可能なフックを前向に複数個設置し、少なくとも上記方形フレームの前面側全体を被覆可能な面積を有し、上記薄型ディスプレイユニットの表示画面に対応する領域がハーフミラーとなったガラス板を設け、かつ上記ガラス板の上記薄型ディスプレイユニットの上記表示画面に対向する後面側において、上記複数のフックに対応する位置に当該フックが係合し得る上向溝を具備した溝部材を各々固定し、上記ガラス板の上記後面側を上記方形フレームの前面に宛がい、該ガラス板を下方にスライドさせた状態において上記各溝部材に上記方形フレームの上記フックが各々係合し得るように構成し、上記係合状態において、上記ハーフミラーの上記領域が上記表示画面に対応して位置すると共に、上記ガラス板の上記後面側の周縁部が上記方形フレームの上記前面に密着するように構成したものであることを特徴とする薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造により構成される。
上記ガラス板の後面側の溝部材は、ガラス板の後面に例えば方形枠を設け、当該方形枠に溝部材を設けることができる。このように構成すると、上記ガラス板後面を上記方形フレーム前面に宛がいガラス板を下方にスライドさせるという非常に簡単な操作でガラス板を方形フレーム前面側に固定することができ、このとき、ガラス板の後面側の周縁部が上記方形フレームの前面に密着するから、ガラス板の取付け状態において方形フレーム内への外光の入射を効果的に防止できる。また、ガラス板の前面側及び終縁にはガラス板の取付用のフック或いはフレーム等が露出しないので、非常にデザイン性の高い取付構造を実現し得る。また、ガラス板の垂直方向へのスライド動作のみによりガラス板を方形フレームに固定し得るため、溝部材の上向溝の深さを浅く形成することにより、取付けに伴うガラス板の垂直スライド量を非常に短くすることができる。これにより取り付けた状態でのガラス板の上下辺縁部と取付け位置の上面と下面との隙間を極めて短く形成することができ、デザイン性の高い取付構造を実現し得る。また、ガラス板を取り外すには、ガラス板を方形フレーム前面に沿って上方にスライドして溝部材とフックとの係合を解除すれば良いので、ガラス板の取り外しも極めて容易に行うことができ、薄型ディスプレイユニットのメンテナンス性も良好である。
第2に、上記各フックは上記方形フレームの外周縁より内側位置に設けられており、かつ上記溝部材は上記ガラス板(ガラス面)の周縁より内側の位置に設けられており、上記ガラス板の上記方形フレームへの取り付け状態において、上記ガラス板(ガラス面)の前面側及び上記周縁に上記フック及び溝部材の何れもが露出しない構成であることを特徴とする上記第1記載の薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造により構成される。
方形フレームの外周縁とは方形フレーム(4)の外周により形成される縁部をいう。ガラス板の周縁とはガラス板(6)の周囲により形成される縁部をいう。このように構成すると、ガラス板の前面側及び終縁にはガラス板の取付用のフック或いはフレーム等が全く露出しないので、非常にデザイン性の高い取付構造を実現し得る。
第3に、上記フックは、上記方形フレームに螺合し得る雄螺子部と、該雄螺子部先端に形成され上記溝部材に係合し得るフック部とから構成され、上記雄螺子部を回転させることにより、上記フック部の上記方形フレームに対する前後位置を調整可能に構成されているものであることを特徴とする上記第1又は2記載の薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造により構成される。
このように構成すると、上記フック部の前後方向位置を容易に調整することができる。従って、例えば上記フック部を上記方形フレームと面一状態に設定し、上記ガラス板の溝部材を、上記ガラス板後面(例えばガラス板後面の方形枠の後面)を上記方形フレーム前面に接触させた状態において、上記フック部に係合可能な位置、即ち、上記ガラス板後面から後方側に突出して設けることにより、上記フック部と上記溝部材の係合状態において、上記ガラス板の後面を上記方形フレームの前面に密着状態とすることができる。
第4に、上記溝部材は上記上向溝が上記ガラス板の後面側よりさらに後方側に位置する状態で取り付けられており、上記フック部の前端位置が上記方形フレームの前面に面一となるように前後方向位置調整した状態において、上記ガラス板の上記上向溝を上記フック部に係合することにより、上記ガラス板の上記後面側の周縁部が上記方形フレームの上記前面に密着するように構成したものであることを特徴とする上記第3記載の薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造により構成される。
このように構成すると、ガラス板の各溝部材が方形フレームの各フックの上面に対応するように当該ガラス板を上記方形フレーム前面に密着した状態から、ガラス板を下方に方形フレームの前面に沿って垂直にスライドするだけで、ガラス板の後面を上記方形フレーム前面に密着させた状態で、ガラス板を方形フレームに取り付けることができる。
第5に、上記ガラス板の後面の周縁に方形枠を固着し、上記溝部材は上記方形枠に取り付けられているものであることを特徴とする上記第1〜4の何れかに記載の薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造により構成される。
このように構成すると、溝部材をガラス板後面の方形枠に容易に固定することができる。
第6に、取り付け位置の上面と下面に方形フレームを設置し、該方形フレームの上辺と下辺の高さ調整脚の高さ調整を行い、これら高さ調整脚により当該方形フレームを上記上面と下面に突っ張り状態で立設固定し、上記方形フレームの垂直左右辺間に薄型ディスプレイユニットを垂直に固設し、上記方形フレームの左右対称位置に前向きに設けられた前後方向位置調整可能フックの前後位置を、これらフックにガラス板の溝部材を係合したとき、上記ガラス板の後面周縁が上記方形フレームの前面に密着する位置に位置調整し、少なくとも上記方形フレームの前面側全体を被覆可能な面積を有し、上記薄型ディスプレイユニットの表示画面に対応する領域がハーフミラーとなった上記ガラス板を用意し、かかるガラス板は上記薄型ディスプレイユニットの表示画面に対向する後面側において、上記複数のフックに対応する位置に当該フックが係合し得る上向溝を具備した溝部材が設けられており、上記ガラス板の上記後面側を上記方形フレームの前面に宛がうと共に上記各フックに上記溝部材を対応させ、該ガラス板を下方にスライドさせることにより上記各溝部材に上記方形フレームの上記フックを各々係合させ、これにより上記ガラス板の上記ハーフミラーの上記領域が上記表示画面に対応して位置すると共に、上記ガラス板の後面側の周縁部を上記方形フレームの上記前面に密着させた状態で上記ガラス板を上記方形フレームの前面側に固定する薄型ディスプレイ用のガラス板取付方法により構成される。
かかる取付方法によると、方形フレームにガラス板を非常に容易に取り付けることができ、しかも取付け状態において、ガラス板の後面を方形フレーム前面に密着させて方形フレーム内への外光の入射を防止し得る。しかも、ガラス板の前面側にはなんら取付け用の部材は露出せず、ガラス板のスライド量も短くすることができるので、デザイン性に優れた取付構造を実現し得る。
本発明は上述のように構成したので、ガラス板後面を上記方形フレーム前面に宛がいガラス板を下方にスライドさせるという非常に簡単な操作でガラス板を方形フレーム前面側に固定することができ、ガラス板の取付け時の作業性を向上し得る。
また、ガラス板の取付け時に、ガラス板の後面側の周縁部が上記方形フレームの前面に密着するから、ガラス板の取付け状態において方形フレーム内への外光の入射を効果的に防止できる。
また、ガラス板の前面側及び周縁にはガラス板の取付用のフック或いはフレーム等が露出しないので、非常にデザイン性の高い取付構造を実現し得る。
また、ガラス板の垂直方向へのスライド動作のみによりガラス板を方形フレームに固定し得るため、溝部材の上向溝の深さを浅く形成することにより、取付けに伴うガラス板の垂直スライド量を非常に短くすることができる。これにより取り付けた状態でのガラス板の上下辺縁部と取付け位置の上面と下面との隙間を極めて短く形成することができ、デザイン性の高い取付構造を実現し得る。
また、ガラス板を取り外すには、ガラス板を方形フレーム前面に沿って上方にスライドして溝部材とフックとの係合を解除すれば良いので、ガラス板の取り外しも極めて容易に行うことができ、薄型ディスプレイユニットのメンテナンス性も良好である。
また、方形フレームのフックの前後方向位置の調整も容易に行うことができる。
また、本発明の取付方法によると、方形フレームにガラス板を容易に取り付けることができ、しかもガラス板の取付状態において、ガラス板の後面を方形フレーム前面に密着させて方形フレーム内への外光の入射を防止し得るし、ガラス板の前面側にはなんら取付け用の部材は露出せず、ガラス板のスライド量も短くすることができるので、デザイン性に優れた取付構造を実現し得る。
以下、本発明に係る薄型ディスプレイ用のガラス板の取付構造及び取付方法について詳細に説明する。
図1は本発明に係る取付構造を使用した薄型ディスプレイ装置の分解斜視図、図2(a)は正面図及び同図(b)は側面断面図を示す。尚、以下の説明において、方形フレーム4を中心として、ガラス板6側を前方、方形フレーム4から壁面1方向を後方といい、左右の方向は、図1においてガラス板6から方形フレーム4側を向いた場合の左右方向を用いることとする。
本発明に係る薄型ディスプレイ装置は、壁面1に沿って長方形状の方形フレーム4を天井面(上面)2と床面(下面)3に突っ張り状態で固定し、この方形フレーム4の上半部に薄型ディスプレイユニット5を固定し、かつ上記薄型ディスプレイユニット5の前面側にハーフミラー領域(ハーフミラーの領域)6aを有するガラス板6を固定することにより構成されている(図1、図2参照)。
上記方形フレーム4は、断面略正方形の直線状アルミフレーム杆を長方形状に組み立て、各コーナ部においてDブラケットD1により固定することにより構成されており(図3(a)参照)、上記フレーム杆は両端部中央に雌螺子孔45が形成されると共に(図5(a)参照)、各面の長手方向全体に断面T字型の縦溝46が形成されており(図5(a)(b)参照)、当該縦溝46を利用して任意の位置にL型アングル16或いはDブラケットD1等をボルト及びナットBにより固定し得るように構成されている(図5(a)参照)。
この方形フレーム4の上辺4aの左右位置の上記雌螺子孔45に突っ張り用の高さ調整脚8,8がその円錐形脚部8a,8aを上向きにした状態で雄螺子部8bを以って螺合されており(図5(a))、下辺4bの左右位置の上記雌螺子孔45に下向きに突っ張り用の高さ調整脚8,8がその円錐形脚部8a,8aを下向きにした状態で雄螺子部8bを以って螺合されている(図3参照)。
上記天井面2と床面3の設置位置には、上記高さ調整脚8の脚部8aを嵌合し得る一対の円形凹部9a,9aが左右端部に形成された固定板9が面ファスナー等により各々固定されており(図6(a)(b)参照)、上記上下辺側の高さ調整脚8,8の脚部8a,8aを、各々天井面2及び床面3の固定板9,9の円形凹部9a,9aに各々嵌合し、上記各高さ調整脚8の雄螺子部8bを回転させることにより、上記上辺側の脚部8a,8aを上方に移行させ、同じく下辺側の脚部8a,8aの雄螺子部8bを回転させることにより、上記下辺側の脚部8a,8aを下方に移行させ、これにより上記4つの高さ調整脚8の脚部8aによって上記方形フレーム4を上記天井面2と床面3の間に突っ張り状態で垂直に立設固定する(図2(b)、図3(b)参照)。
上記高さ調整脚8は、図4に示すように、雄螺子部8bと先端の円形脚部8aとから構成され、上記雄螺子部8bをフレーム4の上辺4a部分又は下辺4b部分の雌螺子孔45に螺合し、雄螺子部8bを回転させることにより上下方向の高さ調整を行い、固定ナット8cを締め付けることにより当該高さ位置に円形脚部8aを固定し得るように構成している。
上記方形フレーム4には、薄型ディスプレイユニット5をフレーム4の上半部に固定するための上下取付用水平フレーム11,12が設けられている。上記上取付水平フレーム11は上辺4aに平行に上辺4aに近接した上部において、DブラケットD2により固定されており、上記下取付水平フレーム12は上記フレーム4の上下方向の略中央位置に、上記方形フレーム4の垂直左右フレーム4c,4dの外側からボルトBにて水平に固定されている(図3(a)参照)。
上記薄型ディスプレイユニット5は、上記上下取付用水平フレーム11,12間のスペースに取り付けられる。このディスプレイユニット5は、上記方形フレーム4と同一のアルミフレーム杆を用いた方形フレーム14によって構成されている。この方形フレーム14の後面はその全体が黒色遮蔽ボード13により遮蔽されており(図5(b))、液晶ディスプレイ等のディスプレイ5’の四隅に対応する当該ボード13の4箇所にディスプレイ(表示画面)係合用フック20が4箇所に固定されている(図3(a)参照)。そして上記ディスプレイ5’は左右辺に固定されたL型アングル10,10の係合孔10’に上記フック20を挿入することで、上記黒色遮蔽ボード13前面側に上記ボード13に平行に固定されている(図3(b)、図5(a)(b)参照)。当該遮蔽ボード13上には上記ディスプレイ5’に画像を表示するための各種画像表示用回路基板5aが装着されている(図3(a)参照)。
この薄型ディスプレイユニット5はその方形フレーム14を上記上下取付水平フレーム11,12間に嵌合装着した状態で、フレーム14の四隅をDブラケットD3により上記上下取付水平フレーム11,12に固定されている(図3(a)参照)。
かかる固定状態において、上記方形フレーム14の前面14aは、上記方形フレーム4の前面44に面一状態となり、かつ上記表示画面5’は、上記フレーム14の前面14aより若干前側に位置するように構成されている(図3(b)、図5(b)参照)。
上記方形フレーム4には、前後方向位置調整可能なフック15が垂直左辺4cの上方、中央、下方に3個、垂直右辺4dの上方、中央、下方に3個(計6箇所)が左右対称位置に設けられている。これらのフック15は図4に示すようにL型アングル16の一面16aを上記垂直左右辺4c,4dの各縦溝にボルト及びナットBにて固定し、上記アングル16の他面16bを上記ディスプレイ5’と平行の水平面に位置させ、当該他面16bに設けた雌螺子孔16b’に雄螺子部15aを以って螺合されている(図6(b)参照)。よって、上記各フック15は上記方形フレーム4の垂直左右辺4c,4dの内側位置に設けられており、上記方形フレーム4の外周から外側には露出しないように構成されている。従って、後述のガラス板6を上記方形フレーム4に固定した場合においても、ガラス板6のガラス面の周縁より内側位置に存在し、上記各フック15は、ガラス板6の周縁からも露出しないように構成されている。
上記フック(前後方向位置調整可能フック)15は上記雄螺子部15aと該雄螺子部15aの先端に回転自在に設けられた円形フック部15bと、上記雄螺子部15aに螺合されたナットNにより構成されており、上記雄螺子部15aを回転させて上記円形フック部15bの前後方向位置を調整し、調整位置にて上記ナットNを締め付けることにより、当該調整位置にて上記円形フック部15bの前後方向位置を位置決めできるように構成されている。上記円形フック部15bは上記雄螺子部15aの先端に抜け止め状態で回動自在に軸着されており、軸着部を含む前向椀状部15cと該椀状部15c周縁部から垂直方向に延出された鍔部15dとから構成されており、かかる鍔部15d(前後幅T1)が後述の溝部材18の上向溝部18aに係合し得るように構成されている(図6(a)(b)参照)。
このフック部15は、その円形フック部15bの前端位置(先端)15d’が、上記方形フレーム4の垂直左右辺4c,4dの前面44に一致するように、上記雄螺子部15aを回転させてその前後方向位置を調整する(図6(a)参照)。
上記ガラス板6は、上記方形フレーム4の前面側全体を被覆可能な面積(本実施形態では方形フレーム4の外周縁により形成される面積と略同一の面積)を有しており、上記方形フレーム4に取り付けた際、上記薄型ディスプレイユニット5のディスプレイ5’に対応する部分にハーフミラー領域6aが形成されている(図1参照)。そして、このガラス板6を上記方形フレーム4に取り付けることにより、前面側から見ると、通常はガラス板6全面が鏡として機能し、上記薄型ディスプレイユニット5を動作状態としてそのディスプレイ5’に映像を写すと、上記ハーフミラー領域6aを介して上記ガラス板6前面側から上記映像を見ることができるようになっている。
このガラス板6の構成は、例えばその後面側に反射膜を形成してガラス面全体を鏡とし、上記領域6aのみ上記反射膜に透過性を設けてハーフミラー領域としても良いし、ガラス面全体をハーフミラーとし、上記ガラス板6の後面側において上記ハーフミラー領域6a以外の部分に遮光フィルムを貼着することにより、上記表示画面5’に映像を表示していない状態において、上記ガラス板6の前面全体が鏡として機能するように構成しても良い。
上記ガラス板6の後面には、ガラス板の後面周縁に沿って、上記方形フレーム4と相似形状の所定前後方向厚の方形枠17(例えば木製の方形枠)が固着されている。この方形枠17の各辺の幅T2は上記方形フレーム4の各辺の幅T3より太く形成されており、従って上記方形枠17の左右垂直辺17a,17bにおける上記各フック15に対応する前方位置には、上記フック15の円形フック部15bが係合し得る円弧形上向溝18aを有する溝部材18が固定ボルトBにて固定されている(図4)。よって、上記溝部材18は、上記フック15に対応して、上記方形枠17後面の上部の左右に2個、中央部の左右に2個、下部の左右に2個の計6個が設けられている(図1参照)。また、上記溝部材18は上記ガラス板6のガラス面の周縁よりも内側位置に各々設けられている。従って、上記ガラス板6の上記方形フレーム4への取り付け状態において、上記ガラス面の前面側及び周縁に上記フック15及び溝部材18の何れもが露出しないように構成されている。
この溝部材18の上記円弧形上向溝18aは、上記フック15の円形フック部15bの鍔部15dが係合し得る上下幅T4を有しており(図6(a)参照)、従って、上記溝部材18の上向溝18a内に上記フック15の鍔部15dを係合すると、上記上向溝18aの深さ(上下方向幅)T4に対応するガラス板6の水平移動(ストローク)により上記上向溝18a内に上記鍔部15dを係合することができる(図6(b)参照)。
また、上記溝部材18は上記方形枠17の後面17’に対して奥部方向(後面方向)に突出するように取り付けられている。よって、上記上向溝18aは上記後面17’より後面側に突出して位置するように構成されている(図6(a)参照)。一方、上記フック15の円錐形フック部15はその前端15d’が上記方形フレームの垂直左右辺4c,4dの前面44に一致するように、上記前面44に面一状態となるようにその前後方向位置が調節される(図6(a)参照)。よって、上記ガラス板6の方形枠17の後面17’を、上記方形フレーム4の上記各フック15の上方に上記上向溝18aが各々対応するように上記方形フレーム4の前面44に宛がい、上記方形枠17の後面17’を上記方形フレーム4の前面44に圧着(密着)すると、上記溝部材18の上向溝部18aが上記方形フレーム4の前面44より後方側に入り込み、各上向溝部18aが丁度上記フックの円形フック部15の鍔部15dの上方位置に対応して位置するように構成されている。
従って、上記位置から上記前面44に圧着(密着)した状態で、上記ガラス板16を下方にスライドさせることにより、各鍔部15dを対応する各上向溝18aに挿入係合させることができる(図6(b)参照)。また、上記ガラス板16の溝部材18と上記フック15を係合した図6(b)の状態において、上記ガラス板16の方形枠17の後面17’はその全周に亘り上記方形フレーム4の前面44に密着することになる(図6(b)参照)。よって上記ガラス板16の上記取り付け状態において、ガラス板16の周縁から方形フレーム4内部に外部の光が入射することを効果的に防止することができる。
本発明は上述のように構成されているので、次に、上記本発明に係る薄型ディスプレイ用のガラス板取付構造を使用したガラス板の取付方法を説明する。
まず、取り付け位置としての壁面1の天井面(上面)2と床面(下面)3に各々固定板9を面ファスナーで固定する。
次に、方形フレーム4を天井面2と床面3との間に、壁面2に沿って配置し、上下辺4a,4bの高さ調整脚8,8の脚部8a,8aを上記固定板9の左右の円形凹部9a,9a内に挿入し、かかる状態で、上記脚8,8の雄螺子部8b,8bを回転させて高さ調整及び水平調整を行い、当該方形フレーム4を上記天井面2と床面3との間に突っ張り状態で左右方向には水平に立設固定する。
次に、上記方形フレーム4の中央部に下取付水平フレーム12を水平に取り付け、該フレーム12の左右端部を上記方形フレーム4の外側からボルトBにて固定することで、当該下取付水平フレーム12を固定する。
その後、上記方形フレーム4の垂直左右辺4b,4c間において、上記下取付水平フレーム12上に薄型ディスプレイユニット5を載置し、当該ユニット5の方形フレーム14の下辺の左右下端部をDブラケットD3により上記下取付水平フレーム12に固定する。さらに、上記ディスプレイユニット5の方形フレーム14の上辺上に上取付水平フレーム11を載置し、当該上取付水平フレーム11の下部両端をDブラケットD2にて上記方形フレーム4の垂直左右辺4c,4d内側に固定すると共に、上記薄型ディスプレイユニット5の方形フレーム14の上辺の両端部をDブラケットD3にて上記上取付水平フレーム11に固定する。これにより、上記方形フレーム4内に薄側ディスプレイユニット5を上記壁面1及び方形フレーム4の垂直左右辺4c,4dに平行に固定することができる。
このとき、上記方形フレーム4のフック15の鍔部15dの前端15d’の位置が上記方形フレーム4の前面44に面一となるように、各フック15の雄螺子部15aを回転させることにより、前後方向に位置調整を行う。全てのフック15の位置調整が終了したら各フック15のナットNを締め付けて各フック15の前後方向位置を当該位置にて固定する(図6(a))。
即ち、上記方形フレーム4の左右対称位置に前向きに設けられた前後方向位置調整可能フック15の前後位置を、これらフック15にガラス板6の溝部材18を係合したとき、上記ガラス板6の後面周縁が上記方形フレーム4の前面44に密着する位置に位置調整する。
次に、ガラス板6の表面にガラス吸盤を吸着させて同ガラス板6を持ち上げ、上記ガラス板6の後面を上記方形フレーム4の前面に宛がう。このとき、上記ガラス板6の左右縁部と上記方形フレーム4の左右縁部を合わせると共に、上記ガラス板6の各溝部材18が上記方形フレーム4の各フック15の直上に位置するように位置合わせを行い、上記ガラス板6の後面の方形枠17の後面17’が上記方形フレーム4の前面44に密着するように当該ガラス板6を上記方形フレーム4に宛がう。
このとき、上記各フック15の直上に上記溝部材18の上向溝部18aが位置しているので、次に、上記ガラス板6を上記方形フレーム4の前面44に密着した状態のまま下方にスライドさせることにより、上記各溝部材18の上向溝18a内に上記方形フレーム4の各フック15の鍔部15dを各々係合させることができる。このとき、上記フック15の鍔部15dが上向溝18aの深さT4分当該上向溝18aに入り込むことになるので、上記ガラス板16の垂直方向の最小ストロークは略T4に相当する量(例えばT4=約5mm)となる。
このように上記ガラス板6を約5mm下方にスライドし、各フック15の上部が上記上向溝18a内に係合すると、上記ガラス板6を上記方形フレーム4の前面44に固定することができる。
このとき、上記ガラス板6のハーフミラー領域6aがディスプレイ5’に対応して位置すると共に、上記ガラス板6の後面側の周縁部(方形枠17の後面17’)を上記方形フレーム4の前面44に全周に亘り密着させた状態で上記ガラス板6を上記方形フレーム4の前面側に固定することができる。
本発明は以上のように、ガラス板6後面(方形枠17後面17’)を上記方形フレーム4前面44に宛がいガラス板6を下方にスライドさせるという非常に簡単な操作でガラス板6を方形フレーム4前面側に固定することができ、ガラス板6の取付け時の作業性を向上し得る。
また、ガラス板6の取付け時に、ガラス板6の後面(方形枠17後面17’)側の周縁部が上記方形フレーム4の前面44に密着するから、ガラス板6の取付け状態において方形フレーム4内への外光の入射を効果的に防止できる。これにより、ガラス板6前面側から方形フレーム4内部が透視し難くなり、ガラス板6の前面側の鏡としての機能を向上し得る。
また、ガラス板6の前面側及び周縁にはガラス板の取付用のフック或いはフレーム等が露出しないので、非常にデザイン性の高い取付構造を実現し得る。尚、図6(a)(b)の方形枠17及びガラス板6の外周にはアルミニウム製の薄い化粧枠21が設けられているが、これはガラス板6を方形フレーム4に取り付けるための部材ではなく、ガラス板6のデザイン性を高めるためのものである。よって、デザイン的にガラス板6そのものの外周縁を残したい場合は、上記化粧枠21は無くてもよい。
また、ガラス板6の垂直方向へのスライド動作のみによりガラス板6を方形フレーム4に固定し得るため、溝部材18の円弧形上向溝18aの深さを浅く形成することにより、取付けに伴うガラス板6の垂直スライド量(T4)を非常に短くすることができる。これにより取り付けた状態でのガラス板6の上下辺縁部と取付け位置の上面(天井面2)と下面(床面3)との隙間を極めて短く形成することができ、デザイン性の高い取付構造を実現し得る。
また、ガラス板6を取り外すには、ガラス板6を方形フレーム4前面44に沿って上方にスライドして溝部材18とフック15との係合を解除し、前方(手前側)に移動すれば良いので、ガラス板6の取り外しも極めて容易に行うことができ、薄型ディスプレイユニット5のメンテナンス性も向上させることができる。
また、方形フレーム4の各フック15の前後方向位置の調整も容易に行うことができる。
また、本発明の取付構造は、薄型ディスプレイの大きさに拘わらず適用することができ、家庭用の小型ディスプレイ(例えば浴室用、洗面所用の鏡の後面にディスプレイを配置する場合等)、或は商業ビルのロビー等に設置する大型ディスプレイ等の何れの場合にも適用が可能である。
また、本発明の取付方法によると、方形フレーム4にガラス板6を容易に取り付けることができ、しかもガラス板6の取付状態において、ガラス板6の後面(方形枠17の後面17’)を方形フレーム4前面44に全周に亘り密着させて方形フレーム4内への外光の入射を防止し得るし、ガラス板6の前面側にはなんら取付け用の部材は露出せず、ガラス板6のスライド量も短くすることができるので、デザイン性、メンテナンス性に極めて優れた取付構造を実現し得る