JP5119781B2 - 無電解めっき促進用多分岐ポリイミド、金属被覆多分岐ポリイミド及びこれらの製造方法 - Google Patents
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Description
特許文献2には、ポリイミド基体の表面に導電回路パターンを形成する金属メッキ膜の作成方法において、予め該ポリイミド基体の表面を、アルカリ性物質共存下で1級アミノ基を有する有機ジスルフィド化合物又は1級アミノ基を有する有機チオール化合物を含む溶液で処理することを特徴とするポリイミド基体への金属メッキ膜形成方法が開示されている。
又非特許文献1では、金属配位能を有するピリジル基を主鎖に有する高分子化合物で鎖状ポリイミドフィルム表面を被覆する方法が検討されている。
好ましくは本発明の第一は、1/2以上から3/2未満のモル比(テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比)のテトラカルボン酸二無水物及びトリアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドのアミノ基に、無電解めっき触媒前駆物質を吸着させることを特徴とする無電解めっき促進用多分岐ポリイミドである。
1)無電解めっき触媒前駆物質は、パラジウム化合物であること。
多分岐ポリイミドから金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法であり、
1)テトラカルボン酸二無水物と、トリアミンを含むジアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドを製造する工程、
2)多分岐ポリイミドのアミノ基に、無電解めっき触媒前駆物質を吸着させて無電解めっき促進用多分岐ポリイミドを製造する工程、
3)無電解めっき促進用多分岐ポリイミドに無電解金属めっきを行い金属被覆多分岐ポリイミドを製造する工程、
からなる金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法である。
好ましくは本発明の第三は、多分岐ポリイミドから金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法であり、
1)1/2以上から3/2未満のモル比(テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比)のテトラカルボン酸二無水物及びトリアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドを製造する工程、
2)多分岐ポリイミドのアミノ基に、無電解めっき触媒前駆物質を吸着させて無電解めっき促進用多分岐ポリイミドを製造する工程、
3)無電解めっき促進用多分岐ポリイミドに無電解金属めっきを行い金属被覆多分岐ポリイミドを製造する工程、
からなる金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法である。
特に本発明により得られる無電解めっき促進用多分岐ポリイミドは、多分岐ポリイミドを出発原料としているために、容易に合成でき、簡便に無電解めっきを行うことが出来、金属被覆ポリイミドを製造することができる。
ニトロ基の還元方法としては、公知の還元法を適宜選択して用いることができ、例えば溶媒中で塩化スズ(II)、ジチオン酸ナトリウムによる還元又は接触還元を行う手法が使用される。接触還元では、触媒としてパラジウム、ラネーニッケル、又は白金を用いることができ、また、分子状水素、ヒドラジン、ギ酸、ギ酸アンモニウムを水素源として用いることができる。特に、触媒にパラジウム化合物を用い、水素源に分子状水素を用いて有機溶剤中で還元反応を行うことが経済的であり好ましい。
1,3,5−トリアミノベンゼン、
などを挙げることができる。
1)テトラカルボン酸二無水物及びトリアミンを含むジアミンとを反応させてポリアミック酸を製造し、その後化学的又は熱的に閉環させてイミド化して、多分岐ポリイミドを得る方法、
2)テトラカルボン酸二無水物及びトリアミンを含むジアミンとを化学的又は熱的に閉環させて多分岐ポリイミドを得る方法、
などを挙げることができる。
反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行わせることが好ましいが、その他の条件下でも用いることができる。
ポリアミック酸の数平均分子量は、好ましくは1×104以上、さらに好ましくは2×104以上が好ましい。
1)テトラカルボン酸二無水物及びトリアミンを含むジアミンとを、有機極性溶媒中で、約100℃以下、好ましくは80℃以下、特に0〜50℃の反応温度で反応させてポリアミック酸を製造し、約0〜140℃の低温で酸無水物とアミンなどの脱水剤と触媒のイミド化剤を用いて化学的に閉環してイミド化する方法か、あるいは、140℃〜250℃に加熱して、必要に応じて共沸剤などを加えて、脱水・環化させてイミド化する方法、好ましくは180〜450℃の温度に加熱する方法、
2)テトラカルボン酸二無水物及びトリアミンを含むジアミンとを、有機極性溶媒中で、140℃〜250℃に加熱して、重合、脱水、環化させてイミド化する方法、好ましくは180〜450℃の温度に加熱する方法、
などにより製造することができる。
多分岐ポリイミドを合成した後に、貧溶媒で再沈させて乾燥し、他の可溶な有機極性溶媒へ再投入して溶解させて溶液として用いることも可能である。
反応は、窒素、アルゴン等の不活性ガス中で行わせることが好ましいが、その他の条件下でも用いることができる。
ジアミンは、トリアミン100モル%の場合、1/2以上から3/2未満のモル比(テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比)のテトラカルボン酸二無水物及びトリアミンとを反応させることが好ましい。
1)テトラカルボン酸二無水物を含む溶媒中に、粉体状でも溶媒に溶解していても良いトリアミンを含むジアミンを一度に或いは徐々に、或いは数回に分けて逐次に加える方法、
2)トリアミンを含む溶媒中に、粉体状でも溶媒に溶解していても良いテトラカルボン酸二無水物を一度に或いは徐々に、或いは数回に分けて逐次に加える方法、
などで行うことが好ましい。
トリアミンを含むジアミンとして、ジアミン中トリアミン100モル%の場合には、テトラカルボン酸二無水物とトリアミンの反応により製造される多分岐ポリアミック酸は、その原料であるトリアミンの未反応アミノ基をポリアミック酸の末端基に有する構造をとることを特徴とすることから、用いる酸二無水物とトリアミンのモル比(テトラカルボン酸二無水物/トリアミン)は、3/2未満である必要がある。好ましくはモル比が1/2以上から3/2未満、より好ましくは1/2〜7/5、更に好ましくは、1/2〜1/1、特に好ましくは、製造される多分岐ポリイミド中のアミノ基の量が多くなるために多分岐ポリイミドが無機化合物とを効率良く複合化できるので1/1の場合である。テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比が7/5より大きい場合には多分岐ポリイミド中のアミノ基の量が少なくなるために、無機化合物との複合化が不十分となる場合がある問題がある。また、テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比が1/2より小さい場合にはポリアミック酸の分子量は低いものとなり、耐熱性等の物性が低下する場合があるので好ましくない。
ポリイミド又は多分岐ポリイミドは、ポリイミドなどのプラスチック、ガラス、シリコンウェハー、セラミックス、銅、銀、金などの金属等の基材上に形成して用いることができる。
無電解金属めっきの条件などは、公知の条件を適宜選択して行うことが出来きる。
金属被覆多分岐ポリイミドは、粒状では、導電性バインダーや導電性粒子として、用いることができる。
1)ポリアミック酸溶解溶液として、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられる耐熱性のポリイミドフィルムの片面又は両面の一部又は全部に塗布、印刷などの公知の方法で設け、その後溶液を除去し、加熱又は化学的に閉環してイミド化し、
又は2)ポリイミド溶解溶液として、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられる耐熱性のポリイミドフィルムの片面又は両面の一部又は全部に塗布、印刷などの公知の方法で設け、その後溶液を除去し、
その後無電解めっき触媒前駆物質を吸着させて、さらに無電解メッキを行い、金属被覆多分岐ポリイミドを得ることができる。
特に多分岐ポリイミドを耐熱性のポリイミドフィルムに配線の形状に塗布又は印刷することにより、塗布又は印刷した部分のみ無電解メッキを行い、金属配線多分岐ポリイミドを製造することができる。
1)ポリアミック酸溶解溶液として、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられる耐熱性のポリイミドフィルムを得ることが出来るポリアミック酸の流延物若しくはこれらを加熱乾燥して得られる支持体より剥離可能な自己支持性フィルムの片面又は両面の一部又は全部に塗布、印刷などの公知の方法で設け、加熱又は化学的に閉環してイミド化し、
又は2)ポリイミド溶解溶液として、プリント配線板、フレキシブルプリント基板、TABテープ等の電子部品の素材として用いられる耐熱性のポリイミドフィルムを得ることが出来るポリアミック酸の流延物若しくはこれらを加熱乾燥して得られる支持体より剥離可能な自己支持性フィルムの片面又は両面の一部又は全部に塗布、印刷などの公知の方法で設け、加熱又は化学的に閉環してイミド化し、
その後無電解めっき触媒前駆物質を吸着させて、さらに無電解メッキを行い、金属被覆多分岐ポリイミドを得ることができる。
特に多分岐ポリイミドを耐熱性のポリイミドフィルムに配線の形状に塗布又は印刷することにより、塗布又は印刷した部分のみ無電解メッキを行い、金属配線多分岐ポリイミドを製造することができる。
多分岐ポリイミドは、耐熱性のポリイミドフィルムを得ることが出来るポリアミック酸のドープと共押出することもできる。
金属箔としては、どのような表面粗さでも用いることができるが、表面粗さRzが0.5μm以上であるものが好ましい。また、金属箔の表面粗さRzが7μm以下、特に5μm以下であるものが好ましい。このような金属箔、例えば銅箔はVLP、LP(またはHTE)として知られている。
金属箔の厚さは特に制限はないが、2〜35μm、特に5〜18μmであるものが好ましい。金属箔の厚みが0.5〜5μmのものは、キャリア付き金属箔、例えばアルミニウム箔キャリア付き銅箔、銅箔キャリア付き銅箔が使用できる。
金属箔は特に配線回路用に用いることができる金属箔を好ましく用いることができる。
(1)測定装置: 東ソー製HLC−8220装置を使用した。
(2)測定サンプル: ポリアミック酸溶液を室温、濃度0.3wt/vol%で溶媒(N−メチル−2−ピロリドン、NMP)に溶解させた。
(3)分子量分布測定:上記(2)の測定サンプル0.3mlをGPCカラムShodexKD−806M×2本に注入し、溶媒NMP、温度40℃、1.0ml/分の流速で分析を行った。GPCによる測定は35分間行った。GPCカラムにより分離された溶液中のポリマー濃度は、示差屈折計(RI)で測定した。分子量は、ポリスチレンスタンダードにより換算した。
(4)データ処理:データ処理は、東ソー製HLC−8220装置に付属のソフトを用いた。
2)X線光電子分光分析(XPS):PHI社製1600Sを用いて、X線源:MgKαで行った。
3)電気伝導度測定:三菱化学製ロレスタMCP−T610を用いて、測定プローブ:PSPで行った。
4)フーリエ変換赤外分光(FT−IR)の測定:分析装置:VARIAN社製FTS7000eを用いて、測定方法:顕微ATR法、検出器:MCTで行った。
ディーンスタークトラップと還流管を取り付けた100mL三口フラスコに、3,5−ジヒドロキシアニリン15.8g(126mmoL)と無水N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)250mLを加え、室温で撹拌した。炭酸カリウム30.0g(217mmoL)とトルエン25mLを加えた後、100℃で2時間撹拌した。反応混合物を70℃まで冷却し、p−フルオロニトロベンゼン38.9g(276mmoL)を加えて、再び100℃で7時間撹拌した。トルエンを減圧留去し、反応混合物を1Lの氷水中に注ぎ込むと、黄色の固体が析出した。固体を濾取し、少量の水で洗浄後、減圧乾燥することで目的物が得られた(収量:39.0g,106mmoL,収率:84%)。
得られた化合物は以下の分析を行った。
1)1H−NMR(300MHz,CDCL3):、δ8.25−8.17(m,4H),7.12−7.04(m,4H),6.25(d,2H),6.18(t,1H),404−3.84(br,2H)。
2)融点:180〜182℃。
3)元素分析:C18H13N3O6。
測定値C:58.74%、H:3.53%、N:11.42%。
理論値C:58.86%、H:3.57%、N:11.44%。
500mL二口フラスコに3,5−ジ(4−ニトロフェノキシ)アニリン7.34g(20.0mmoL)と5%Pd/C(427mg)とを加え、無水エタノール400mLを加えた。その後、常圧の水素雰囲気下、室温で13時間撹拌した。反応終了後、触媒を濾別し、溶媒を減圧留去することで目的物が得られた(収量:5.89g,19.2mmoL,収率:96%)。
得られた化合物は以下の分析を行った。
1)1H−NMR(300MHz,CDCL3):δ6.90−6.81(m,4H),6.78−6.60(m,4H),5.98(t,1H),5.87(d,2H),4.20−2.80(br,6H)。
2)融点:177〜178℃。
3)元素分析:C18H17N3O2。
測定値C:70.15%、H:5.39%、N:13.50%。
理論値C:70.34%、H:5.58%、N:13.67%。
還流管を備えた300mL三口フラスコにトリ(4−ニトロフェニル)アミン1.52g(4.00mmol)と5%Pd/C(200mg)を加え、アルゴン置換を行った。ジオキサン(50mL)とエタノール(25mL)を加え、80℃で撹拌しながらヒドラジン一水和物(8.0mL)を3時間かけて滴下し、更に80℃で20時間撹拌した。触媒を濾別した後、反応混合物を氷水(400mL)に加えた。得られる灰色の固体を濾取し、水で洗浄後に減圧乾燥することで目的物が得られた(収量:1.02g,3.51mmol,収率:88%)。
(分析結果)
1)1H−NMR(300MHz,DMSO−d6):6.62−6,54(m,6H),6.46−6.40(m,6H),4.68(br,6H)。
2)元素分析:C18H18N4。
測定値C:74.33%、H:6.16%、N:19.13%。
理論値C:74.46%、H:6.25%、N:19.30%。
50mLフラスコに塩化パラジウム3.54g(20.0mmol)と塩化ナトリウム2.34g(40.1mmol)とを加え、水(20mL)を加えた。混合物を120℃で加熱攪拌し、溶媒を蒸発させることで目的物が定量的に得られた。
(多分岐ポリアミック酸Aの合成)
滴下漏斗を備えた100mL三口フラスコに、3,5−ジ(4−アミノフェノキシ)アニリン(3.32mmol)と無水N,N−ジメチルアセトアミド(以下、DMAcと略す。)を加えた。室温で攪拌しながら3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(3.32mmol)を6時間かけて徐々に添加した。混合物を室温で終夜攪拌することで、2.5重量%の多分岐ポリアミック酸AのDMAc溶液を得た。多分岐ポリアミック酸AのGPC分析より、数平均分子量は3.7×104であった。
(多分岐ポリイミドフィルムAの合成)
合成例5(多分岐ポリアミック酸Aの合成)で合成した2.5重量%多分岐ポリアミック酸AのDMAc溶液を減圧濃縮することで、10重量%多分岐ポリアミック酸AのDMAc溶液を調整した。ガラス基板に10重量%多分岐ポリアミック酸AのDMAc溶液をスピンコート法により塗布した。続いて、焼成炉を用いて大気中350℃で焼成することで、ガラス基板上に多分岐ポリイミドフィルムAを形成した。FTIR−ATR分析より、多分岐ポリイミドのカルボニル基に起因する吸収が1714cm−1に観察された。
(多分岐ポリアミック酸Bの合成)
テトラカルボン酸二無水物として3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物の代わりにピロメリット酸二無水物を使用した以外は合成例5と同様に反応を行うことで、対応する多分岐ポリアミック酸BのDMAc溶液を得た。多分岐ポリアミック酸BのGPC分析より、数平均分子量は2.3×104であった。
(多分岐ポリイミドフィルムBの合成)
2.5重量%の多分岐ポリアミック酸として合成例7(多分岐ポリアミック酸Bの合成)で合成した2.5重量%多分岐ポリアミック酸BのDMAc溶液を用いた以外は合成例6と同様にして、ガラス基板上に多分岐ポリイミドフィルムBを形成した。FTIR−ATR分析より、多分岐ポリイミドのカルボニル基に起因する吸収が1719cm−1に観察された。
(多分岐ポリアミック酸Cの合成)
トリアミンとして3,5-ジ(4−アミノフェノキシ)アニリンの代わりにトリ(4−アミノフェニル)アミンを使用した以外は合成例5と同様に反応を行うことで、対応する多分岐ポリアミック酸CのDMAc溶液を得た。多分岐ポリアミック酸CのGPC分析より、数平均分子量は3.0×104であった。
(多分岐ポリイミドフィルムCの合成)
2.5重量%の多分岐ポリアミック酸として合成例9(多分岐ポリアミック酸Cの合成)で合成した2.5重量%多分岐ポリアミック酸CのDMAc溶液を用いた以外は合成例6と同様にして、ガラス基板上に多分岐ポリイミドフィルムCを形成した。FTIR−ATR分析より、多分岐ポリイミドのカルボニル基に起因する吸収が1711cm−1に観察された。
(多分岐ポリアミック酸Dの合成)
滴下漏斗を備えた200mL三口フラスコに、3,5−ジ(4−アミノフェノキシ)アニリン(1.38mmol)、1,4−フェニレンジアミン(4.15mmol)と無水DMAcを加えた。室温で攪拌しながら3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物(5.53mmol)を6時間かけて徐々に添加した。混合物を室温で終夜攪拌することで2.5重量%の多分岐ポリアミック酸DのDMAc溶液を得た。多分岐ポリアミック酸DのGPC分析より、数平均分子量は4.0×104であった。
(多分岐ポリイミドフィルムDの合成)
2.5重量%の多分岐ポリアミック酸として合成例11(多分岐ポリアミック酸Dの合成)で合成した2.5重量%多分岐ポリアミック酸DのDMAc溶液を用いた以外は合成例6と同様にして、ガラス基板上に多分岐ポリイミドフィルムDを形成した。FTIR−ATR分析より、多分岐ポリイミドのカルボニル基に起因する吸収が1711cm−1に観察された。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−1の合成)
合成例6で調整したガラス基板上に形成した多分岐ポリイミドフィルムAを、少量の塩化ナトリウムを含む1.0×10−3mol・dm−3のテトラクロロパラジウム酸ナトリウム含有水溶液(pH4.3)に室温で3分間浸漬した。次いでポリイミドフィルムを基板から剥離し、30分間水洗した後に風乾し、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−1を得た。XPSによる表面分析より、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドフィルムA−1には表面原子濃度0.38%のパラジウムが付着していることが判明した。
(銅被覆多分岐ポリイミドA−1の作成)
実施例1の無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−1に無電解銅めっきを施した。その結果、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−1の表面に斑無く銅薄膜が形成した銅被覆多分岐ポリイミドA−1を得た。銅被覆多分岐ポリイミドA−1の表面抵抗は、9.8×10−1 Ω/□を示した。得られた銅被覆多分岐ポリイミドAは、ニチバン(株)製セロハンテープを用いて引き剥がしテストを行ったところ、ポリイミドフィルムから銅が剥離することはなく良好な密着性を示した。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−2の合成)
合成例6で調整したガラス基板上に形成した多分岐ポリイミドフィルムAを基板から剥離し、塩化スズ・2水和物(2.0g)、濃塩酸(1mL)、水(50mL)からなる溶液に40℃で2分間浸漬した。次いで、40℃の水に10秒間浸漬し、更に塩化パラジウム(25mg)、濃塩酸(0.25mL)、水(50mL)からなる溶液に40℃で2分間浸漬した。その後、ポリイミドフィルムを流水で軽く洗浄した後に風乾し、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−2を得た。XPSによる表面分析より、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−2には表面原子濃度0.92%のパラジウムが付着していることが判明した。
(銅被覆多分岐ポリイミドA−2の作成)
無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドA−2を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドA−2を得た。表面抵抗は1.5×100Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−1の合成)
多分岐ポリイミドフィルムとして多分岐ポリイミドフィルムBを用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−1を得た。XPSによる表面分析より、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−1には表面原子濃度0.73%のパラジウムが付着していることが判明した。
(銅被覆多分岐ポリイミドB−1の作成)
無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−1を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドB−1を得た。表面抵抗は1.8×10−1Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−2の合成及び銅被覆多分岐ポリイミドB−2の作成)
多分岐ポリイミドフィルムとして多分岐ポリイミドフィルムBを用いた以外は、実施例3と同様にして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−2を得た。続いて、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドB−2を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドB−2を得た。表面抵抗は1.6×100Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−1の合成)
多分岐ポリイミドフィルムとして多分岐ポリイミドフィルムCを用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−1を得た。XPSによる表面分析より、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−1には表面原子濃度0.36%のパラジウムが付着していることが判明した。
(銅被覆多分岐ポリイミドC−1の作成)
無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−1を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドC−1を得た。表面抵抗は6.5×10−1Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−2の合成及び銅被覆多分岐ポリイミドC−2の作成)
多分岐ポリイミドフィルムとして多分岐ポリイミドフィルムCを用いた以外は、実施例3と同様にして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−2を得た。続いて、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドC−2を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドC−2を得た。表面抵抗は4.8×10−1Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−1の合成)
多分岐ポリイミドフィルムとして多分岐ポリイミドフィルムDを用いた以外は、実施例1と同様にして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−1を得た。XPSによる表面分析より、無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−1には表面原子濃度0.27%のパラジウムが付着していることが判明した。
(銅被覆多分岐ポリイミドD−1の作成)
無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−1を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドD−1を得た。表面抵抗は3.6×10−1Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−2の合成及び銅被覆多分岐ポリイミドD−2の作成)
多分岐ポリイミドフィルムとして多分岐ポリイミドフィルムDを用いた以外は、実施例3と同様にして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−2を得た。無電解めっき促進用多分岐ポリイミドとして無電解めっき促進用多分岐ポリイミドD−2を用いた以外は、実施例2と同様にして銅被覆多分岐ポリイミドD−2を得た。表面抵抗は7.5×100Ω/□を示し、セロハンテープによる剥離も見られなかった。
(ポリイミドフィルムA)
3,3’,4,4’−ビフェニルカルボン酸二無水物と等モル量のp−フェニレンジアミンとをN,N−ジメチルアセトアミド溶媒中、室温で反応させることで10重量%のポリアミック酸溶液を調整した。この溶液をガラス基板上にスピンコートし、次いで350℃で焼成することでポリイミドフィルムAを得た。
ガラス基板上に形成した直鎖ポリイミドフィルムAを、少量の塩化ナトリウムを含む1.0×10−3mol・dm−3のテトラクロロパラジウム酸ナトリウム含有水溶液(pH4.3)に室温で3分間浸漬した。次いでポリイミドフィルムを基板から剥離し、30分間水洗した後に風乾し、無電解めっき促進用ポリイミドフィルムAをえた。XPSによる表面分析より、無電解めっき促進用ポリイミドフィルムAには表面原子濃度0.18%のパラジウムが付着しており、多分岐ポリイミドフィルムを用いた場合よりも少ないことが判明した。
比較例1で調整した無電解めっき促進用ポリイミドフィルムAに無電解銅めっきを施した結果、無電解めっき促進用ポリイミドフィルムAの表面に僅かに銅薄の形成が見られるのみであった。
実施例2,4,6,7,9,10,12,13及び比較例2で実施した無電解銅めっきは、下記組成の無電解銅めっき液にポリイミドを室温で0.5〜3分間浸漬することで行った。
(無電解銅めっき液の調合組成)
・硫酸銅五水和物:3.0g、酒石酸ナトリウムカリウム四水和物:14.0g、水酸化ナトリウム:4.0g、37%ホルマリン:10mL、水:100mL。
Claims (8)
- 1/2以上から3/2未満のモル比(テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比)のテトラカルボン酸二無水物及びトリアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドのアミノ基に、無電解めっき触媒前駆物質を吸着させることを特徴とする無電解めっき促進用多分岐ポリイミドであって、
前記トリアミンは一般式(1)に示すトリアミンであり、
前記一般式(1)で表されるトリアミンをジアミン中20〜100モル%を含み、
前記無電解めっき触媒前駆物質は、パラジウム化合物を含む無電解めっき促進用多分岐ポリイミド。
- 請求項1又は請求項2に記載の無電解めっき促進用多分岐ポリイミドに、無電解金属めっきを行うことを特徴とする金属被覆多分岐ポリイミド。
- 多分岐ポリイミドから金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法であり、
1)テトラカルボン酸二無水物と、トリアミンを含むジアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドを製造する工程、
2)多分岐ポリイミドのアミノ基に、無電解めっき触媒前駆物質を吸着させて無電解めっき促進用多分岐ポリイミドを製造する工程、
3)無電解めっき促進用多分岐ポリイミドに無電解金属めっきを行い金属被覆多分岐ポリイミドを製造する工程、
からなり、
前記トリアミンは一般式(1)に示すトリアミンであり、
前記一般式(1)で表されるトリアミンをジアミン中20〜100モル%を含み、
前記無電解めっき触媒前駆物質は、パラジウム化合物を含む金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法。
- 多分岐ポリイミドから金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法であり、
1)1/2以上から3/2未満のモル比(テトラカルボン酸二無水物/トリアミンのモル比)のテトラカルボン酸ニ無水物及びトリアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドを製造する工程、
2)多分岐ポリイミドのアミノ基に、無電解めっき触媒前駆物質を吸着させて無電解めっき促進用多分岐ポリイミドを製造する工程、
3)無電解めっき促進用多分岐ポリイミドに無電解金属めっきを行い金属被覆多分岐ポリイミドを製造する工程、
からなり、
前記トリアミンは一般式(1)に示すトリアミンであり、
前記一般式(1)で表されるトリアミンをジアミン中20〜100モル%を含み、
前記無電解めっき触媒前駆物質は、パラジウム化合物を含む金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法。
- 前記テトラカルボン酸二無水物と、トリアミンを含むジアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドを製造する工程は、多分岐ポリイミドを与えるポリアミック酸溶解溶液又はポリイミド溶解溶液を、耐熱性のポリイミドフィルムの片面又は両面の一部又は全部に、塗布又は印刷する方法を含む請求項4又は5記載の金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法。
- 多分岐ポリイミドを与えるポリアミック酸溶解溶液又はポリイミド溶解溶液を、耐熱性のポリイミドフィルムに配線の形状に塗布又は印刷することにより、塗布又は印刷した部分のみ無電解めっきを行なう請求項6記載の金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法。
- 前記テトラカルボン酸二無水物と、トリアミンを含むジアミンとを反応させて得られる多分岐ポリイミドを製造する工程は、耐熱性のポリイミドフィルムを得ることが出来るポリアミック酸の流延物若しくはこれらを加熱乾燥して得られる支持体より剥離可能な自己支持性フィルムの片面又は両面の一部又は全部に、多分岐ポリイミドを与えるポリアミック酸溶解溶液又はポリイミド溶解溶液を塗布又は印刷する方法を含む請求項4又は5記載の金属被覆多分岐ポリイミドの製造方法。
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