最上層フィルム厚を測定する方法としては、4点プローブ法あるいは走査型電子顕微鏡(SEM)法の2種類の方法が知られている。4点プローブ法では、ウエハ表面に多数の接触点を設けて伝導率を測定する。SEM法では、ウエハの断面を取って、通常のSEM画像からフィルム厚を求める。4点プローブ法およびSEM法によれば、十分なフィルム測定値を求めることができるが、こうした方法は測定によってウエハを破壊してしまうので、モニタ用のウエハでした実行することができない。
非破壊で測定する試みの一つは、例えば光学的な反射率又は透過率測定を介して、フィルム厚の光学測定値を得ることである。CMP行程中に実状態(in-situ )で光学的に測定することは、通常は行われていない。これは、研磨中のサンプルを異物が覆い隠して、測定値の読みとりに悪影響を与えるためである。ウエハは、ウエハキャリヤと、プラテンの頂部に設けられたパッドと、の間で擦ることによって研磨される。ウエハ表面上に堆積されたフィルムの一部を機械的且つ科学的に除去する作業を効率よく行うために、通常、スラリが使用される。ウエハに接するCMPスラリ及び残留物は、一般に、光学的に不均一且つほぼ不透明である。
この異物(例えばスラリ及びフィルム残留物)は、通常、サンプルの測定を妨げる。研磨工程では、フィルムが完全に又は一定の厚さまでウエハから除去されたタイミングを検出することが望ましい。一般に、フィルムが除去されたタイミングを、エンドポイントと称する。ウエハを研磨しすぎないためには、エンドポイントを検出することが重要である。例えば、銅のCMP処理では、最初、銅フィルムは光学的に不透明である。通常、銅のCMP処理では、3つのエンドポイントが検出される。第一のエンドポイントは、銅フィルムが特定の厚さまで減少したタイミングであり、これは、例えば銅フィルムが光学的に透明になり始めたタイミングである。第二は、銅が完全に除去されて、ライナ下層(例えばTaN又はWN)が露出するタイミングである。最後は、ライナ層が除去されたタイミングである。
フィルムのエンドポイントに到達したら、ウエハ上の他の構造を研磨しないように、或いは工程条件を変化させるために、研磨を停止することができる。CMP処理に伴って沢山の異物(例えばスラリ及び/又はフィルム残留物)が生じるので、ウエハにCMP処理を施している途中で、エンドポイントを正確に判定することは困難である。
CMP処理の途中に実状態(in-situ )での光学測定を行うために様々な方法が提案されてきたが、これらの方法は、いずれも、ウエハを不明瞭にする異物の問題を解決することはできない。米国特許第5,433,651号には、CMP研磨パッド及びプラテンのキャビティ内に設けられた窓を利用した、単一ビームの反射率計が開示されている。ここで開示されている方法は、プラテン/研磨パッド内に形成されたキャビティ内に、CMPスラリ及び残留物が蓄積してしまうという欠点を有している。このスラリ及び残留物は、光学測定を困難にする。欧州特許第96302176.1号に開示されている別の方法では、スラリ及び残留物が蓄積し得るキャビティ内に「ソフト窓(soft window)」を設けることによって、この問題を解決しようと試みている。残念なことに、この窓は、研磨工程及びパッド修正中に傷つけられて、光学測定の質を低下させる。また、ソフト窓を形成するために使用された材料は、通常、測定ビームを散乱させる。
米国特許5,081,796号では、ウエハのエッジ部分の小領域を研磨パッドのエッジから離し、次いで、このパッドの取り除かれた部分に水ジェットを当てて、ビームをウエハのエッジに導入可能としている。しかしながら、この方法は、ウエハのエッジ部分ににおいてしか、フィルムを測定できないと言う欠点を有する。ウエハの表面全体のうち小さな部分しか測定できないので、エンドポイントの測定が、非常に不正確になる。更に、この手続きは、研磨工程に悪影響を及ぼす可能性がある。
上で参照したニクナハッド(Nikoonahad)他による1999年9月15日付けの継続出願願第09/396,143号(代理人整理番号KLA1P011)「自己清浄型光学測定を実行する装置及び方法」には、光学CMP測定を実行するための他の方法が開示されている。この方法は、薄膜の特性を良好に測定することができるが、厚膜の光学測定には適していない。
加えて、フィルムが除去されるまでの所要時間を予測する現在の方法は、正確ではない。つまり、研磨時間は、ウエハによって大きくばらつく傾向がある。したがって、研磨時間の大きなばらつきに対応するために、研磨時間の予測値を大きめに見積もっておく必要がある。このようにすることで、フィルムが十分に除去することができるものの、同然ながら、スループットの低下を引き起こす。
非破壊的に測定する他の方法は、渦電流プローブを利用するものである。ライ(Li)他による米国特許第6,072,313号には、こうした方法の一つが開示されている。この特許は、単にフィルムが変化したかを検出する渦電流プローブに関するものである。具体的には、開示された渦電流プローブは、high−Q調整共振回路を利用している形成される。この方法には、いくつかの欠点が伴う。例えば、high−Q共振回路は、環境の変化に敏感であり、そのため、温度、振動、及びプローブとウエハとの間の距離の変化といった環境条件の変動によって、渦電流プローブによる測定は、悪影響を受ける。加えて、単一の共振周波数での振幅の測定のみが提供される。結局、現在の方法では、測定しようとするテスト用のフィルムについて得られる情報量は、比較的限られたものである。
したがって、フィルムに堆積又は除去工程を施しながら、こうしたフィルムに関する情報を、実状態(in-situ )で測定する手法及び装置が必要とされている。更に具体的には、正確且つ効率的にフィルム厚を測定し、更にフィルムのエンドポイントを検出可能な非破壊的手法及び装置が必要とされている。
次に、本発明の具体的な実施形態について詳しく説明する。これらの具体的な実施形態の例は、添付の図面に例示されている。本発明をこれらの具体的な実施形態と関連付けて説明するが、これは、本発明を、説明する実施形態に限定することを意図するものではない。逆に、添付の請求項によって定義される本発明の趣旨及び範囲内に含むことが可能な代替物、修正物、均等物をもカバーすることが意図される。以下の説明では、本発明の完全な理解を提供するために、多数の具体的な詳細について述べている。本発明は、こうした具体的な詳細の一部又は全部がなくとも、実施することができる。尚、本発明についての詳細がいたずらに不明瞭になることを避けるため、周知の工程動作については詳細に説明していない。
電気抵抗率は、電気伝導率の逆数であるから、本発明にしたがってこれらの量の一方を決定することで、両方が決定される。簡単にするために、本明細書では、サンプルの電気伝導率を決定する実施形態を参考に、本発明を説明するが、門発明に基づいて電気抵抗率を決定するために、これらの実施形態を変形して実施する方法は、当業者にとっては自明である。更に、当業者にとって、複素電気コンダクタンス、抵抗、シート伝導、又はシート抵抗を決定するために、これらの実施形態を変形して実施する方法は自明である。例えば、電気抵抗は、説明した装置を使用して電気抵抗率を測定し、任意の従来手段でサンプルの直線寸法を別個に測定し、抵抗を決定するために、測定された抵抗率を測定された直線寸法で割ることで決定できる。請求項及び要約において、「コンダクタンス」という用語は、伝導率、抵抗率、コンダクタンス、抵抗、シート伝導、又はシート抵抗を示す広範な意味において使用されている。
請求項を含めた本明細書全体を通して、「交流電圧」という用語は、例えば、正弦、方形、又は鋸歯波形のような電圧も含めて、時間とともに周期的に変化する任意の電圧を示すものとして使用されている。
大まかに言えば、本発明のいくつかの実施形態は、渦電流測定及び/又は光学測定を、実状態(in-situ )で実行する改良されたメカニズムを提供する。つまり、本発明の渦電流を測定するための装置及び手法は、それ自体で、或いは本発明の光学装置およびそのための手法と組み合わせて用いることができる。同様に、渦電流を測定する本発明の装置および手法とは関係なく、本発明の光学装置及び手法だけを使用することも可能である。
最初に新しい渦電流システムを参照すると、図1は、本発明の一実施形態による、渦電流測定デバイス又はプローブ102を有する化学機械研磨(CMP)システム100を示す図である。図中に示すように、渦電流プローブ102は、パッド106の下の研磨プラテン110内に取り付けられる。CMP100は、更に、ウエハ(図示は省略)を取り付けることが可能なウエハキャリヤ104を含む。当業者にとっては周知なことであるが、プラテン110及びパッド106は、ウエハキャリヤと相対的に移動し、これにより、取り付けられたウエハを研磨する。このように移動することで、渦電流プローブ102は、ウエハ、ウエハキャリヤ、及び/又はプラテン110がウエハキャリヤ110と相対的に移動したときの空き領域(free space:ウエハからもウエハキャリアからもはずれた領域)での測定値を得ることができる。下で説明するように、ウエハキャリヤ及び/又は空き領域の渦電流プローブ測定値は、ウエハの渦電流プローブ測定値の校正に利用可能であり、これにより、環境の影響を最小化することができる。
渦電流プローブ102は、好ましくは、プロセッサ108に結合され、これは、本明細書で説明するデータ信号を生成し(例えば、下で説明するコンダクタンス関数及び関連するフィルム厚を示す信号と、下で説明する伝導率又は抵抗率の値及び関連する厚さの値を示す信号と)、関連するメモリにデータを格納(及びメモリから格納データを検索)するためのソフトウェアをプログラムされた多目的デジタルコンピュータを含む。当然ながら、渦電流プローブ102を制御し、プローブ102によって測定された信号を分析するために、ハードウェア及び/又はソフトウェアの任意の最適な組み合わせを利用することができる。
この渦電流プローブ回路は、任意の最適な方法で実施することができる。大まかに言えば、渦電流プローブは、検出コイルと、検出コイル上で交流電圧を発生させる交流電源と、検出コイル上のインピーダンス又はインピーダンスの変化を測定するインピーダンスメータとを含む。このインピーダンスメータは、検出コイルインピーダンスの実際及び架空の成分を測定する任意の最適なメータの形態にすることができる。或いは、このインピーダンスメータは、図2を参照しながら説明するように、検出コイル、基準コイル、及び同期検出器に結合されるブリッジを含むことができる。
図2は、本発明の一実施形態による、渦電流プローブ回路200の簡略化された等価回路を示す説明図である。渦電流プローブ回路200は、プローブヘッド203内に取り付けられた差動プローブコイル202を含む。差動コイル202は、サンプル近くに位置する検出コイル202bと、サンプルから離れて位置する基準コイル202aとを含む。一実施形態において、プローブヘッド203は、CMPシステムのプラテン内に取り付けられる(図示は省略)。渦電流プローブ回路200は、更に、差動プローブコイル202に結合されたインピーダンスブリッジ204を含む。このインピーダンスブリッジ204は、差動プローブコイル202のI及びQ差分値を測定するために、同期検出ブロック250にも接続される。この差動プローブコイル202は、更に、電力増幅器206及びブリッジ204を通じて、周波数発生器(frequency source)208によって駆動される。
起動される時、周波数発生器208は、1KHz乃至少なくとも100MHz内の選択された周波数で、差動プローブコイル202において交流電圧を生成する。差動プローブコイル202(及び関連する電気回線)が、周波数発生器208にとって50オームの負荷となる代表的なケースにおいて、周波数発生器208は、差動プローブコイル202において約5ボルトの最高最低振幅を有する正弦波電圧を生成することができる。このプローブの空間分解能を増加させ、より小さなサンプル領域のコンダクタンスを測定可能にするために、差動プローブ202の直径を小さくし、差動プローブコイル202における交流電圧を大きくすればよい。加えて、交流電圧周波数は、任意の適切な要素に基づいて選択しても良い。例えば、この周波数は、異なるフィルム厚、材料組成、プローブ対キャリヤの距離、及び/又はプローブサイズに関して選択することができる。走査の周波数、或いはいくつかの併発する別個の周波数も、渦電流プローブ上で選択的に生成することができる。
広く知られているように、プローブで測定されるサンプルの深さは差動プローブコイル202における交流電圧周波数に応じて変化するので、多層構造を有するサンプルの中から所望の薄い層を選択的に測定することが可能である。この差動コイル電圧周波数は、差動コイルによる電磁場がサンプル内の望ましい深さまで延長されるように選択される。
検出コイル202bの下端部とサンプル205との間の一定の分離に関して、検出コイル202bにおける交流電圧に応じて検出コイル202bにおいて生じる交流電圧の振幅は、サンプル205のコンダクタンスによって変化する。差動増幅器210は、差動プローブコイル202に接続されており、基準コイル202aと検出コイル202bとからの信号の間の差分を増幅する。基準コイル202aと検出コイル202bとの間の差分を取り出すことで、環境の変化によってこれらのコイルに生じた差分は、こうした変化が理論上は両方のコイルに均等に影響を与えるため、減少させることが可能である。代わりに、単一のプローブコイルを使用しても良い。この差動信号は、同相成分及び直角位相成分を含む。差動増幅器210の出力は、第1のミキサ214に、周波数発生器208からの交流電圧出力と共に入力される。増幅器210の出力は、最初に90度の位相シフトを施された交流電圧と共に、第2のミキサ216にも入力される。ミキサ214の出力は、ローパスフィルタ218に入力され、ミキサ216の出力は、ローパスフィルタ220へ出力される。これらのローパスフィルタの出力は、差動プローブコイル202の分離した同相(I)及び直交(Q)成分となる。これらの信号は、次に、アナログデジタル変換器222及び224にそれぞれ送られ、デジタルI及びQ値が生成される。代替方法を用いてI及びQ値を検出しても良い。
伝導薄膜に高い感度を提供するために、増幅器210は、高利得(10,000乃至50,000程度)を提供するように選択することが望ましい。信号飽和を回避するために、こうした高利得は、検出コイル202bの近くにサンプルが存在しない時、ブリッジ電圧出力が事実上ゼロに近くなるように、ブリッジ回路204が正確に平衡を保っている場合のみ使用できる。二つのコイルが電気的に同一になるような差動プローブコイル組立体202を構築することは、現在のところ困難であるため、固定ブリッジ要素204又はプローブコイル202のインピーダンスを調整する必要がある。固定ブリッジ又はプローブコイルのインピーダンスは、任意の適切なインピーダンス調整メカニズムによって平衡にすることができる。例えば、一方のプローブコイル又は一方のブリッジ抵抗204に、可変抵抗を直列で追加することができる。この架空のインピーダンス条件は、一方のプローブコイル202又は一方のブリッジレジスタ204に小さな電気容量を配置することで平衡にすることができる。ここで説明したブリッジ回路を平衡化するために使用する抵抗及び容量素子は、手動で調整される別個のコンポーネントの形態にすることが可能であり、或いは、コンピュータ制御下で又は閉ループ制御回路を介して、ブリッジ回路を動的に平衡化するために使用できる電気的な可変抵抗及び可変容量ダイオード又はバラクタ(varactor)といった能動素子に置き換えても良い。当然ながら、二つのコイルが電気的に同一であるように差動プローブコイル組立体202を構築することが可能になれば、固定ブリッジ要素204又はプローブコイル202のインピーダンスを調整する必要はなくなることになる。
したがって、同期検出ブロック250からの出力信号は、好ましくは差動プローブコイル202における誘導電圧の同相成分および直角位相成分の両方の振幅を示すデジタル信号であり、図1のプロセッサ108において、(下で説明する形で)本発明による処理を施される。要するに、差動プローブコイル202における誘導電圧の同相及び直角位相成分は、交流相互誘導型ブリッジを使用して測定される。代替の渦電流回路は、マロリ他による1993年6月25日付けの米国特許第5,552,704号において説明されている。
ブリッジの設計によって、測定中、プローブには、環境の変化に対するある程度の保護が提供される。つまり、ブリッジは、変化する環境条件に比較的影響されない。一部の好適な実施形態において、各コイルは、更に環境の影響を最小化し且つ信号対雑音比を向上させるコンダクタンスエポキシ又は高透過性フェライト材料といった材料のコアに巻き付けられる。他の好適な実施形態において、各コイルは、アクリル材料のコアに巻き付けられる。差動プローブ及びブリッジの設計によって、更に、基準コイル202aに比べ、検出コイル202bでの好感度インピーダンス測定が提供される。つまり、サンプルによって影響される検出コイル202bの絶対インピーダンスを取得することができる。換言すれば、定量化可能な測定が行われる。
下で説明するように、絶対インピーダンス値は、絶対厚さ値と直接的に相関させることができる。したがって、正確な除去速度も、決定することができる。これまでの渦電流プローブ法では、厚さが変化したことのみを判断可能で、厚さがどれだけ変化したかを判断することはできない。つまり、従来方法は、環境によって生じた変化から当該エリアを分離することができない。したがって、従来方法では、広範な校正と工程及びサンプルの演繹的知識とが必要になる。
加えて、プローブ203は、小さなスポットサイズを得るために、容易に縮小できる。したがって、差動プローブのサイズが減少する時、差動プローブによって、小さいが有益な信号を依然として検出することができる。
上述のように、本発明の渦電流測定手法は、様々なタイプの実状態(in-situ )用途で利用することができる。例えば、渦電流プローブは、化学機械研磨(CMP)ツール内に統合することができる。この用途において、渦電流プローブは、一つ以上のエッチング層での一つ以上のエンドポイントを検出するために利用される。別の例として、渦電流プローブは、堆積ツール内に統合することができる。この場合、渦電流プローブは、堆積層のフィルム厚を検出するために利用される。
最初のCMP用途に戻ると、渦電流プローブを使用してCMPを施しているサンプルのフィルム厚を判断する手法が提供される。こうしたメカニズムは、温度、及びプローブとサンプルとの間の距離を判断するために使用することもできる。大まかに言えば、テスト中のサンプルと、サンプルキャリヤと、空き領域との位相及び振幅の測定値が得られる。このサンプルキャリヤ及び/又は空き領域の測定値は、テスト中のサンプルから得られた測定の校正に利用することができる。大まかに言えば、このサンプルキャリヤ及び/又は空き領域(又はオープンコイル)の測定値は、サンプルのフィルム圧の測定値内の利得及び誤差を補正するために使用される。
このサンプルキャリヤは、通常、サンプルを取り囲む(プラスチックで覆われた)伝導材料によって形成され、このサンプルキャリヤの組成及び厚さは、一定の状態を維持すると考えられる。したがって、サンプルキャリヤの測定は、サンプルの測定を継続的に校正するための安定した基準点を提供する。基準の測定は、プローブからキャリヤまでの距離を判断するメカニズムも提供する(例えば、パッド圧の測定として)。当然ながら、任意の適切な基準部材を使用可能であり、この基準部材は、任意の測定可能位置に置くことができる。例えば、伝導材料のスラグを、ウエハキャリヤの裏側に取り付けることができる。空き領域の測定は、検出回路の変化(例えばコイル温度その他の変化)を感知するメカニズムを提供する。
図3Aは、本発明の一実施形態による、図2の渦電流プローブ(例えば実際又は架空の成分)の出力を時間の関数とするグラフを示す図である。このプローブは、ウエハと、ウエハキャリヤと、空き領域との全体で、連続して繰り返し測定値を得るように、ウエハ及びウエハキャリヤと相対的に移動する。好ましくは、このプローブは、ウエハ全体を容易に移動するように配置される。図3Aを参照すると、サンプルキャリヤの測定ピーク信号値は、データ点234、434、及び634に表示されている(この例において、各データ点は、1msである)。空き領域(又はオープンコイル)のピーク信号値は、データ点212、412、及び612に表示されている。サンプルの中心点のピーク信号値は、データ点310、510、及び710に表示されている。
(例えばキャリヤに関する)基準ベクトルは、以下のように定めることができる。
REF(I,Q)=(Ri −OCi ,Rq −OCq ) [1]
Ri は、サンプルキャリヤ信号のI成分であり、Rq は、サンプルキャリヤ信号のQ成分である。同様に、OCi は、オープンコイル又は空き領域のI成分であり、OCq は、オープンコイル又は空き領域のQ成分である。次に、ウエハベクトルは、以下のように定めることができる。
WAF(I,Q)=(Wi −OCi ,Wq −OCq ) [2]
Wi は、ウエハ信号のI成分であり、Wq は、ウエハ信号のQ成分である。
サンプル及び基準の測定値を比較すれば、温度及びプローブ対キャリヤ距離による変化(及びその他の変化)は、最終的な校正振幅及び位相値から、大部分を取り除くことができる。例えば、温度の変化により、キャリヤ信号のピーク信号は、経時的にドリフトし低下する。こうした温度変化によって生じる信号の変化は、オープンコイル及び基準信号におけるドリフトを通知することで、ウエハピーク信号から差し引くことができる。同様に、プローブ対キャリヤ距離における変化によって、オープンコイル及びキャリヤピーク信号の間の差分に変化が生じる。こうした信号の変化も、ウエハ信号において補正することができる。
測定値は、差分コイル及びブリッジ装置により迅速に取得されるため、校正振幅及び位相値は、CMP工程中に「オンザフライ(on-the-fly)」で迅速に生成することができる。これらの校正値は、その後、分析し、サンプルに関する様々な特性を容易に判断することができる。
図3Bは、本発明の一実施形態による、図2の渦電流プローブの校正振幅出力を時間の関数とするグラフを示す図である。振幅の値(垂直軸)は、厚さ値に容易に変換し、フィルム厚を時間の関数として生成することができる。例えば、既知の厚さ値を有するサンプルは、厚さの直線関数を電圧の関数として生成するために、渦電流プローブにより測定することができる。或いは、渦電流プローブにより測定されるサンプルの厚さは、4点プローブ等の任意の適切な測定システムにより決定することができる。振幅/厚さ対電圧のグラフは、既知のフィルム厚値及び組成を有する多数のサンプルに関して生成することができる。したがって、未知の厚さを有するサンプルからの測定電圧値は、厚さ対電圧のグラフを介して、厚さ値と相関させることができる。
多数の位置(例えば、キャリヤ位置、多数のウエハ位置、及びオープンコイル位置)での位相及び振幅の両方を測定することにより、大量の情報が提供される。例えば、異なる測定ベクトル(例えば、基準、ウエハ、及びオープンコイルベクトル)は、画像で例示することができる。例えば、フィルム圧の変化は、プローブコイルインピーダンスを、キャリヤ及びコイル測定値と併せて調査することで、プローブ対サンプル距離の変化と温度の影響とから分離することができる。図3Cは、測定ベクトル(I対Q)それぞれのグラフである。様々な環境条件により、ベクトルは、グラフ内において特定の形でドリフトする。図中に示すように、温度変化により、ベクトルは、起点に向かって移動する。対照的に、プローブ対キャリヤ距離の増加により、キャリヤ信号の振幅は減少する。測定ベクトル方向は、材料の組成によっても影響を受ける。例えば、鉄類と非鉄類は、容易に区別することができる。
温度及び/又はプローブ対サンプル距離の値における変化は、CMPシステム内の問題を示す可能性がある。例えば、プローブ対キャリヤ距離の大幅な減少は、CMPシステムのパッドに交換が必要なことを示す可能性がある。別の例として、温度の大幅な上昇は、CMPシステムが過熱しており、修正処置が必要なことを示す可能性がある。温度変化は、エンドポイントを予測するために使用することもできる。例えば、銅が除去されるにつれて、銅の摩擦係数は変化し、この変化の結果、パッド及びスラリと擦れる銅によって生成される熱の量は変化する。こうした温度の変化は、その後、エンドポイントと直接的に相関させることができる。
加えて、サンプル全体の変化(研磨速度、温度、及びその他の変化)も、研磨中に判断することが可能であり、(例えば均一性を維持するために)工程をオンザフライで調整するのに利用できる。例えば、サンプルの一部が、サンプルの残りの部分より低速度で研磨されている時、研磨パラメータを調整し、研磨速度が遅いサンプル部分の研磨速度を増やすことができる。この調整手法は、研磨システムの特定の校正に応じて変化する。例えば、サンプルキャリヤの裏側に空気袋を取り付け、パッドに対する背圧をサンプルに及ぼすことができる。圧力は、特定のサンプル部分の裏側に位置する一つ以上の袋の空気量を増加させることで、特定のサンプル部分で増加させることができる。したがって、サンプル全体で均一にフィルムを除去することができる。他のタイプのCMPシステムでは、圧力を制御するために、単にウエハの裏側に空気穴又は負圧穴を提供する。こうした構成において、空気又は負圧の量は、研磨速度の不均一性のレベルに基づいて、特定のサンプル部分で、単純に増減される。
時間履歴とサンプル全体での空間的に多様な測定(例えば厚さの放射測定)を使用することで、エンドポイントの決定に関して、より完全な範囲及び優れた信頼性の水準が得られる。時間履歴を使用することで、研磨速度を判断し、残りの厚さを判断してエンドポイントを決定することができる。放射状の不均一性も、エンドポイント及び/又は研磨速度の予測において、決定し、明らかにすることができる。したがって、エンドポイント予測において、相対的に高い信頼性の水準が得られる。
様々な工程パラメータ(例えば、温度変化、プローブ対サンプル距離、研磨速度、及びその他)をモニタリングする本発明の手法は、任意の適切な従来のモニタリング手法と統合することができる。例えば、モータ電流、トルク、及びモータ超音波をモニタリングする手法は、本発明の手法と併せて使用し、CMP工程の動作パラメータを更に正確に調整することができる。
報告された研磨速度の変化は、フィルムのエンドポイントに達するまでに要する時間を予測するのにも使用できる。例えば、図3Dは、3種類のサンプル部分に関する3種類の研磨速度を例示ししている。各サンプル部分に関するエンドポイントの違いは、矢印375によって表されている。これにより、3種類のサンプル部分すべてに関して、エンドポイントに達するのに十分な長さの研磨時間を選択することができる(つまり最長の研磨時間)。
いくつかの渦電流測定分析手法は、マロリ他による1993年6月25日付けの米国特許「5,552,704」において詳細に説明されている。この特許は、プローブとサンプルとの間の分離の測定又は知識を必要とせずに、渦電流プローブを使用してサンプル上でコンダクタンス測定を実行する方法及び装置について全般的に説明している。次に、この渦電流分析手法について、図4を参考に説明する。最初に、(オペレーティングプロセッサ108によって)ルックアップテーブルデータが生成され、このデータは、未知の伝導率を有するサンプル上でのその後の測定において使用するために、ルックアップテーブルとして(メモリ108に)格納される。
ルックアップテーブルデータを生成するために、既知の伝導率を有する多数のサンプル(Nサンプル)それぞれに関して、渦電流測定が最初に実行され、対応する多数のリフトオフ曲線(Nリフトオフ曲線)が生成される。8種類のこうしたリフトオフ曲線が、図4に表示されている。
各リフトオフ曲線は、差動コイル202において交流電圧を生成し、z軸線に沿った多数のプローブ位置それぞれに関して、差動コイル202において誘導される差分交流電圧の同相成分および直角位相成分を両方とも測定することによって生成される。サンプルとプローブとの間の(z軸線に沿った)分離は、測定する必要、或いはその他の方法で知る必要はない。
通常は、少数(25等)のコイル電圧ペア(各ペアは、同相差分電圧および直角位相差分電圧を含む)が、各サンプルに関して測定される。各コイル電圧ペアは、サンプルに関するz軸線に沿って、異なるプローブ位置で測定される。各サンプルに関して、測定されたコイル差分電圧ペアのセットが処理され、リフトオフカーブが決定される。
具体的には、一定のサンプルに関して、プロセッサ108は、いくつかのプローブ位置それぞれでの同期検出ブロック250からの出力信号(差動コイル202電圧ペアを示す)を処理し、このデータに最も適合する多項関数(「同相」電圧対「直角位相」電圧の関数)を決定する。この関数は、サンプルに関するリフトオフ曲線を決定する。
こうしたリフトオフ曲線の例は、図4の「A」の曲線である。リフトオフ曲線Aは、既知の抵抗としてスクエア当たり0.0216オームを有するサンプルを測定することで得られた多数の検出コイル電圧ペア(例えば、七種類の検出コイル電圧ペア)を処理することで決定される。リフトオフ曲線Rは、Y=(K)−(L)X+(M)X2 の形態の多項関数のグラフであり、Yは、ボルトを単位とする直角位相電圧であり、Xは、ボルトを単位とする同相電圧であり、K、L、及びMは、定数である。プロセッサ108は、この二次多項関数を測定電圧ペアに最も適合するものとして特定する。
ほとんどの場合、25個(又は25個程度の数)の検出コイル電圧ペアは、十分な精度で各リフトオフ曲線を特徴付けるのに十分である。測定が行われる(z軸線に沿った)プローブ位置の範囲は、サンプルの伝導率に比例し(伝導率の大きなサンプルでは、一般に、大きなプローブ対サンプル分離が必要)、プローブ半径にも依存する。(通常のサンプルに関する)経験則として、リフトオフ曲線を決定するために必要な差動プローブ対サンプル分離は、駆動コイル半径の50%にほぼ等しい。非常に大きなプローブ対サンプル分離に関する検出コイル電圧は、リフトオフ曲線の決定に有意な貢献をしないデータの不必要な処理を避けるため、切り捨てること(或いは測定を避けること)を選択した。
図4の例を参照すると、リフトオフ曲線Aないし曲線Hのそれぞれは、上述の曲線Aを決定するために利用したものと同じ処理によって決定される(異なる既知の抵抗を有する8種類のサンプルそれぞれに関して一つのリフトオフ曲線Aないし曲線H)。曲線Aないし曲線Hに関連する(スクエア当たりのオームを単位とする)サンプルの抵抗は、それぞれ、0.0216、0.0263、0.0525、0.0699、0.081、0.16、0.2597、及び0.39である。
基準リフトオフ曲線のセット(例えば図4に示す曲線Aないし曲線H)を決定した後、プロセッサ108は、「交差」電圧ペアのセットを決定し、各交差電圧ペアは、種類の異なる基準リフトオフ曲線の一つと「選択」曲線(例えば円弧又は別の多項関数のグラフにすることが可能)とのX−Y電圧空間における交差を表しており、Xは、同相電圧を表し、Yは、直角位相電圧を表す。こうした「選択曲線」の一つ(円弧V)は、図2に表示されている。選択曲線Vは、X=0ボルト及びほぼY=0.8ボルトを中心とする半円である。或いは、起点(Y=0ボルト、X=0ボルト)を中心とする円弧等、別の選択曲線を利用しても良い。リフトオフ曲線Aに沿った点A1の「X,Y」座標は、「選択」曲線Vに関するこうした交差電圧ペアの例となる。
プロセッサ108が選択曲線に沿って交差電圧ペアのセットを決定した後、プロセッサ108は、本発明の方法における次のステップを実施し、これは、各交差電圧ペアに関連する既知の伝導率と選択曲線との関数関係を決定することである(下では「コンダクタンス関数」と呼ぶ)。このコンダクタンス関数は、基準リフトオフ曲線のいずれにも関連しない伝導率値を含め、選択曲線の各点に関する伝導率値を決定する。例えば、選択曲線V上の点Zは、(リフトオフ曲線Bに関連する)スクエア当たり0.0263オームより大きく、(リフトオフ曲線Cに関連する)スクエア当たり0.0525オームより小さい(選択曲線Vに関するコンダクタンス関数からプロセッサ108によって決定される)固有の伝導率に対応する。好適な実施形態の一クラスにおいて、プロセッサ108は、選択曲線上の多数の異なる点それぞれに関してコンダクタンス関数によって決定された伝導率値を、ルックアップテーブルとしてメモリ108に格納する。こうした各伝導率値は、対応するインデックス電圧ペアによってインデックス化されたメモリ位置にアクセスすることで、格納されたルックアップテーブルから取り出すことができる。
説明した方法を変更したものにおいては、各測定サンプルの既知のコンダクタンス(伝導率ではない)を、「選択」曲線上の交差電圧ペアに関連づけるコンダクタンス関数、或いは、各測定サンプルの既知の抵抗又は抵抗率を、「選択」曲線上の交差電圧ペアに関連づける「抵抗関数」又は「抵抗率関数」を、上述のコンダクタンス関数の代わりに決定及び処理することができる。便宜上、「コンダクタンス関数」という表現は、本明細書(請求項を含む)において、こうしたコンダクタンス関数、抵抗関数、又は抵抗率関数、或いは、測定サンプルのセットそれぞれにおける既知のコンダクタンス、伝導率、抵抗、抵抗率、シート抵抗、又はシート伝導を、「選択」曲線上の交差電圧ペアに関連づける任意の関数、及び(測定サンプルのセットそれぞれにおける既知のコンダクタンスを、「選択」曲線上の交差電圧ペアに関連づける)狭義のコンダクタンス関数を示す広範な意味において使用される。
渦電流プローブは、好ましくは、プラテン内に位置するが、サンプルキャリヤの裏側の中に位置しても良い。この配置において、このキャリヤは、基準信号を提供しなくなる。したがって、温度センサも、好ましくは、測定サンプル信号を任意の温度変化に関して校正できるように、このキャリヤに取り付けられる。(プラスチックに覆われた)基準金属スラグも、既知のサンプルに関する基準信号が得られるように、周期的にプローブを通り過ぎて移動するような配置にすることができる。この構成においては、ブリッジプローブ設計によっても、共振器プローブ設計と比較して、相対的に小さなスポットサイズの測定が可能になる。
このCMPシステムは、渦電流プローブに加え、任意の適切な光学測定デバイスを含むこともできる。渦電流測定デバイスは、厚膜で良好に機能し、光学測定デバイスは薄膜で更に良好に機能するため、渦デバイスと光学デバイスとを組み合わせることで、広範囲のフィルム厚を測定することができる。図5は、本発明の一実施形態による、組み合わせ渦電流及び光学測定デバイス500を示す側面図である。図中に示すように、組み合わせ測定デバイス500は、CMPツール内に統合される。例示する実施形態においては、光ファイバ測定デバイス504及び(例えば上述のような)渦電流プローブ502が、ハウジング510に収納されている。ハウジング510は、渦電流信号及び光学信号を十分に透過させる材料によって形成される。例えば、このハウジングは、ガラスによって形成される。
光デバイスは、正確な光学測定値が得られるように、任意の方法でCMPツール内に統合することができる。例えば、渦電流プローブコイルは、光学素子に巻き付けることができる。好ましくは、光学測定デバイスは、渦電流プローブシステムと分離して、プラテン内に配置される。或いは、渦電流プローブは、上述のように、ウエハの裏側に配置することができる。一実施形態においては、自己清浄型対物レンズが、光学測定デバイスのために、CMPのプラテン及びパッドの中に挿入される。光学測定は、CMP動作中に自己清浄型対物レンズを通じて行われる。自己清浄型対物レンズのいくつかの実施形態は、ニクナハッド他による1999年9月15日付けの上述の同時系属米国特許出願第09/396,143号「自己清浄型光学測定を実行する装置及び方法」、及びニクナハッド他による2000年4月24日付けの第09/556,238号「化学機械研磨中にキラー粒子を検出する装置及び方法」において説明されている。
図6は、本発明の一実施形態による、自己清浄型の対物レンズを有する一つ以上の測定システム(図示は省略)を取り入れた化学機械研磨(CMP)装置600の断面を示す図である。様々な成分の寸法は、本発明の自己清浄型対物レンズをより明瞭に示すために、各種成分の寸法を誇張して示している。図中に示すように、CMP装置600は、サンプルホルダ601と、穴608を有したパッド607及びプラテン206とを備えている。サンプルホルダ601は、パッド607及びプラテン606に対してサンプル602を保持するように構成される。スラリ604は、サンプル602と、プラテン606の頭部を構成するパッドと、の間に設けられる。サンプルがパッド607に対して移動すると、スラリ604は、サンプル602を機械的且つ又は化学的に研磨するように機能する。もちろん、任意の適切な研磨剤を利用して良い。
パッド607及びプラテン606の穴608には、自己清浄型の対物レンズが取り付けられる。図6の自己清浄型の対物レンズは、光学素子610と、流動流体623とを備えている。自己清浄型と対物レンズの流動流体613は、任意の適切なメカニズムを用いて生成することができる。図中に示すように、自己清浄型の対物レンズは、光学素子610とサンプル表面602との間に一定の流体の流れを生成する流体ポンプ612と、流体出口614とを更に備えている。或いは、流動流体613を生成する単一デバイス内に、流体ポンピングシステムを導入しても良い。最後の例としては、視野領域の周囲にリング上の穴を形成し、この視野領域の中心にポンプから流体を供給することとしても良い。この流体は、その後、リング上の穴を通じて排出される。
流体ポンプ612には、流量率を調整するための制御弁(図示は省略)を設けることとしても良い。同様に、流体出口614に負圧を発生させて、流体出口614に流れ込む流量率を制御することとしても良い。例えば、流量率は、スラリの種類、研磨速度、流体リザーバのサイズ、光学素子の構成、光の波長、スラリの濃度、工程に及ぼす影響の程度等に応じて変更しても良い。図中に示すように、パッド607とサンプル602との間に設けられたスラリ604は、流動流体613によって、サンプル602の視野表面から実質的に排除される。
自己清浄型の対物レンズに近接してサンプルが存在する時期を判断するセンサ(図示は省略)を、流体ポンプ612に設けることとしても良い。センサは、圧力や光学的な入力又はその他の入力を用いて、サンプルの位置を検出することができる。そして、自己清浄型の対物レンズの近く又は頭部にサンプルが存在する場合には、流動流体を調整することとしても良い。こうすれば、自己清浄型の対物レンズ付近のスラリを過度に希釈することなく、光学通路上の異物を排除することができる。これにより、スラリが希釈されてサンプルを効果的に研磨できなくなることが防止される。
一つ以上の測定信号616は、光学素子610及び流動流体613を通じて、反射、検出、及び分析されるサンプル602に対して送られる。次いで、サンプル602から、一つ以上の検出可能信号618が反射される。自己清浄型対物連巣の流体613によって、信号通路からスラリが排除されるので、多の実状態(in-situ )測定システムのように、スラリ604によって測定及び検出可能信号616及び618が大きく歪められる事態は生じない。
任意の適切なタイプ及び数の光学測定デバイスを、自己清浄型対物レンズ600と併せて使用することができる。具体的な例として、反射率計システム、偏光解析器、緩衝計システム、及び光音響システムを使用することができる。光学測定デバイスは、様々な方法で構成することができる。反射率計は、多数の入射ビーム角度又は単一のビーム角度を使用して反射率を測定することができる。加えて、反射率計は、様々な波長又は単一の波長での反射率を測定することができる。同様に、偏光解析器は、多数の角度、単一の角度、多数の波長、及び単一の波長の任意の組み合わせにおいて測定を行うように構成することができる。
いくつかの反射率測定装置及び反射率分析手法は、ノートン(Norton)他による米国特許5,747,813号及びワング(Wang)他による1999年4月22日付けの米国特許出願第09/298,077号において説明されている。偏光解析装置及び方法のいくつかの実施形態は、ピウォンカ−コーレ(Piwonka−Corle)他による米国特許第5,910,842号において説明されている。光音響システム及び方法は、ニクナハッド他による1998年2月24に付けの米国特許出願第09/028,417号において説明されている。
この光学測定デバイスは、エンドポイント時間を予測するために利用することができる。エンドポイントが近い時には、反射率の下落が存在することが分かっている。図7は、反射率値をフィルム厚の関数とする四種類のグラフを示している。図中に示すように、フィルムが完全に除去される時に生じる反射率の下落が存在する。例えば、厚さ1000オングストロームの銅層を除去する前に下落が存在し、別の下落は、1000オングストロームの銅及び300オングストロームのTaNの両方を除去する前に存在する。様々なフィルム厚および組成と動作条件とに関して、多数の反射率曲線を生成し、反射率の低下後、どのくらいの時間でエンドポイントが発生するかを決定することができる。例えば、エンドポイントは、低下の5秒後に発生する場合がある。この場合、エンドポイントに到達した状態を確保するために、予測される5秒よりも多少長く(例えば10秒間)研磨を行うことができる。好ましくは、反射率は、より容易に低下を感知できるように、いくつかの入射角で測定される。
この反射率の下落は、エンドポイントに到達するまでの時間を予測するための容易に特定可能な目印を提供する。この予測手続きは、研磨開始からエンドポイントまでの研磨時間全体に関する従来の予測に対する改良を意味する。研磨工程全体を通じて、同じ速度で研磨工程が進む可能性は低いため、合計研磨時間の予測は、正確に行われる可能性は低い。対照的に、下落後の残り研磨時間を予測することは、エンドポイントに到達するまでのこうした短い時間量において、速度が大幅に変化する可能性が低いため、エンドポイント時間の正確な表示となる可能性が高い。渦電流プローブにより研磨速度の変化を判断する上述の手法も、エンドポイントの決定のために、反射率の下落と共に使用することができる。つまり、ウエハ全体での研磨速度の変化を補うために、余分な時間を追加することができる。例えば、最も研磨が遅いウエハの部分がエンドポイントに到達する状態を確保するために、余分な時間を追加することができる。
多数の入射角を得るために、任意の適切な光学測定デバイスを利用することができる。多数の入射角を有する光学システムのいくつかの実施形態は、ニクナハッドによる上述の同時系属米国特許出願第09/396,143号及び第09/556,238号において説明されている。
測定は、渦電流プローブ502と光学プローブ504との両方によって行い、フィルム厚測定の精度を最適化することができる。つまり、両方のプローブによって測定を行い、広範なフィルム厚で最適な結果を得る。例えば、渦及び光学プローブは、合わせることで、あらゆる種類の金属化エンドポイントを提供する。渦電流プローブ測定は、200乃至400A以上といった厚いフィルムの測定に対する感度が高いことが分かっている。更に、光学測定は、厚さ約400A乃至500A以下の最上層Cuに対する感度が高いことが分かっている。したがって、渦電流プローブ測定は、厚膜測定に利用可能であり、光学プローブは、薄膜測定に利用される。加えて、渦電流プローブは、サンプル上の下層のフィルムパターンに対する感度が相対的に低いと思われる。
別の実施形態において、高速エッチング中は、一エンドポイント手法が利用され、低速エッチング中は、別の手法が利用される。図8Aないし図8Bは、相対的に高速なエッチングを表している。図8Aは、サンプルの3つの層、つまり二酸化珪素層802、Ta層804a、及びCu層806aを示している。エッチング前、Cu層806aは、通常、Ta下層804aと比較して、相対的に大きな厚さを有する。
図8Bは、相対的に高速でCuをエッチングした後の結果を示している。当業者には周知であるように、この結果として、かなりの起伏があるCu層806aが生じる。例えば、Cu層806aは、高位点808においては約1000Aになる可能性がある。Cu層806aは、ここから、領域810a及び810bの厚さゼロまで、徐々に少なくなる場合がある。Cu層806のエンドポイントが正確に検出されない場合は、図8Cに示すように、障壁層のTa804bも、領域810a及び810bに沿って、エッチングされる恐れがある。つまり、Ta層804において、ディッシング又は浸食が発生する恐れがある。ディッシング及び浸食は、Cuエンドポイントが正確に検出されなかった時に発生する望ましくない効果である。解決策として、ディッシングが発生する前にCu層806の相対的に大きな厚さ808(図8B)を正確に検出するために、渦電流プローブを利用することができる。
対照的に、相対的に低速のエッチングが利用される時、Cu層858は、図8Dに示すように、より均等にエッチングされる。例えば、Cu層は、最高点858において、約200Aになる可能性がある。この場合は、相対的に小さいCu厚(例えば200A)において発生するCuエンドポイントを正確に測定するために、光学プローブを利用することができる。
上述の測定プローブの組み合わせは、他の任意の適切な実状態(in-situ )ツールにおいて利用することができる。例えば、両ツールは、堆積ツール内で利用することができる。図9は、本発明の一実施形態による、組み合わせ渦電流及び光学プローブを有するマルチチャンバ堆積ツール900を示す図である。
図中に示すように、堆積ツール900は、第1のチャンバ902aと、第2のチャンバ902bとを有する。当然ながら、任意の数及びタイプのチャンバを使用することができる。第1のチャンバ902aは、サンプル904に第1の層を堆積させるのに使用することが可能であり、次いで、第2のチャンバ902bは、サンプル904に第2の層を堆積させるのに使用する。大まかに言えば、サンプル904は、第1のチャンバ902a内で第1の材料906aの上に取り付けられる。第1の材料906aは、サンプルに蒸着する(908a)。
図中に示すように、渦電流プローブ914aは、サンプル904の裏側に取り付けることができる。渦電流プローブ914aは、好ましくは、サンプルの裏側を通じて、第1の層の厚さを測定できる。加えて、光学エミッタ916a及び検出器918aを、第1のチャンバ902a内に取り付けることができる。エミッタ916aは、サンプルに向けて信号を放射し、信号はサンプル904で反射され、検出器918aに向かう。
第2のチャンバ902は、同様に構成することができる。図中に示すように、第2のチャンバ902bも、サンプル904に蒸着させる第2の材料906bを含む(908b)。第2のチャンバ902bは、更に、渦電流プローブ914b及び光学エミッタ/検出器916b及び918bを含む。
この光学エミッタ/検出器はオプションであり、堆積ツールは、渦電流プローブのみを含むこととしても良い。好ましくは、渦電流プローブにより、上述の校正手法及び/又はマロリの特許が実施される。
各チャンバに渦電流プローブを取り付けるのではなく、単一の渦電流プローブを、トランスファモジュール910内に取り付けることとしても良い。図中に示すように、渦電流プローブ912は、サンプル904の付近に配置される。したがって、サンプルがチャンバ間を移動する際に、フィルム厚を測定することができる。フィルム厚が不十分であると判断された場合は、フィルムの再適用のために、サンプルをチャンバに戻すことができる。当然ながら、各プローブは、フィルム厚の決定のために、更に、処理デバイス(図示せず)に結合される。
上述の発明について、明瞭な理解の目的で、ある程度詳細に説明したが、添付の請求項の範囲内で、特定の変更及び修正を実行できることは明らかである。なお、本発明の工程及び装置の両方を実施する多数の代替方法が存在する。
例えば、光学測定は、除去されているフィルムによって校正しても良い。銅を大幅に研磨した後、依然として光学的に不透明である時、これは、事実上、理想的な銅鏡であるように思える。この銅鏡は、その後、湾曲しているファイバ等、環境条件の変化を調整するために利用することができる。加えて、反射率値の低い物体を、光学通路内に周期的に配置し、校正用の低反射率基準を提供することができる。
上述の渦電流プローブ手法は、単に、サンプルの存在を検出するために使用することもできる。キャリヤ、パッド、又はプラテン内にピエゾセンサを埋め込み、研磨の力学を決定することもできる。例えば、サンプルがキャリヤを滑り落ちる時、異なる音が生成されるため、ピエゾセンサによって、この滑りを検出することができる。別の例として、この光学システムは、軌道プラテン内の内視鏡型装置内に取り付けることもできる。加えて、コンダクタンスポリマ接点をパッド内に取り付け、シート抵抗等、サンプルの様々な電気的測定値を非破壊的に得ることができる。
光学及び渦電流プローブセンサは、自己校正を提供するために、共に使用することもできる。例えば、光学プローブは、金属鏡面を基準として使用することで校正することができる。金属は、金属層がほとんど取り除かれ、依然として光学的に不透明である時、適切な鏡状の表面となる。このポイントは、渦電流プローブによって決定することができる。加えて、光学測定デバイスを使用して、フィルムが取り除かれた時期を判断し、その後、フィルム抵抗率測定ではなく、基板抵抗率測定を行うために、渦電流プローブを校正することができる。
したがって、本実施形態は、制限的ではなく例示的なものと考えられ、本発明は、本明細書で述べた詳細に制限されず、前記特許請求の範囲及び均等物の中で変形することが可能である。
本発明は、同一参照符号が同一構成要素を示す添付図面を用いた以下の詳細な説明から容易に理解されよう。