JP5109483B2 - 光拡散フィルム - Google Patents
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Description
粒子を配合した光拡散フィルムとして、特許文献1には、少なくとも透明樹脂(a)およびガラス繊維(b)からなり、少なくとも片面の表面十点平均粗さ(Rz)が3μm以上100μm以下で、かつ凹凸の平均間隔(Sm)が0.1μm以上、5μm以下である光拡散フィルムおよび、片面の表面十点平均粗さ(Rz)が3μm以上100μ以下で、かつ凹凸 の平均間隔(Sm)が0.1μm以上50μm以下であり、反対面の表面十点平均粗さ(Rz)が3μm未満、または凹凸の平均間隔(Sm)が50μm以上である光拡散フィルムが開示されている。
(1)少なくとも一方の表面に複数の畝状凸レンズ部を有するフィルムを含んで成り、少なくとも一組の隣接する畝状凸レンズ部の曲率が互いに異なっている、光拡散フィルム。
(2)前記畝状凸レンズ部の頂は円弧状に湾曲しており、該湾曲部の曲率半径の平均値Xrは0.1μm以上であり、該湾曲部の曲率半径の標準偏差σrはXrに対してσr/Xr=0.05〜0.8であり、且つ畝状凸レンズ部の高さと畝状凸レンズ部間の間隔との比(アスペクト比)の平均値が0.1〜4.0である、光拡散フィルム。
(3)畝状凸レンズ部間の間隔の平均値Xpが0.2〜40μmであり、且つ畝状凸レンズ部間の間隔の標準偏差σpがXpに対してσp/Xp=0.1〜0.9である、前記の光拡散フィルム。
(4)全光線透過率が75%以上で、且つヘイズが70%以上である、前記の光拡散フィルム。
(5)前記畝状凸レンズ部の上に積層され且つ前記畝状凸レンズ部の形状に対応するように褶曲している薄膜層をさらに含み、薄膜層側の表面が前記畝状凸レンズ部の形状の浮き出しで起伏している前記の光拡散フィルム。
(6)平板状の透明基材の少なくとも一方の表面に薄膜を形成して積層体を得る工程、および該積層体を面内の少なくとも一つの軸方向に収縮させて薄膜を褶曲させる工程を含む、前記の光拡散フィルムの製造方法。
(7)前記の光拡散フィルムを備える照明装置。
(8)前記の光拡散フィルムを備える液晶表示装置。
2,12:第二層(薄膜)
本発明の光拡散フィルムは、少なくとも一方の表面に複数の畝状凸レンズ部を有するフィルムを含んでなり、少なくとも一組の隣接する畝状凸レンズ部の曲率が互いに異なっているものである。なお、畝状凸レンズ部の曲率は、畝の長手方向に垂直な断面の形状の頂の曲率を意味する。
本発明の光拡散フィルムは、各畝状凸レンズ部の頂の曲率が互いに異なっているので、畝状凸レンズから出射される光の集光特性(集光される方向)が隣接する畝状凸レンズ間で異なり、その結果、フィルムから出射される光が広く拡散するようになる。図1は、隣接する畝状凸レンズ部の曲率を互いに異ならせることにより付与される拡散特性(実線)と、隣接する畝状凸レンズ部の曲率は同一であるが、畝のピッチ、高さをランダムにすることによって付与される拡散特性(破線)とを示した図である。隣接する畝状凸レンズ部の曲率を互いに異ならせることにより付与される拡散特性の方が、輝度の角度依存性が小さく、高い輝度領域が広いことが分かる。
また、該湾曲部の曲率半径の標準偏差σrは、Xrに対して(σr/Xr=)0.05〜0.8であることが好ましく、0.1〜0.6であることがより好ましい。なお、本発明における標準偏差は、標本標準偏差である。Xrおよびσr/Xrがこの範囲内にあると、各畝状凸レンズ部の集光方向の分布が適度な広がりとなるので、視野角度の拡大と輝度向上とのバランスが良好となる。
さらに、畝状凸レンズ部の高さと畝状凸レンズ部間の間隔との比(=高さ/間隔 =アスペクト比)の平均値は、好ましくは0.1〜4.0、より好ましくは0.5〜2.0である。
前記樹脂としては、スチレン系樹脂、アクリル系樹脂、メタクリル系樹脂、有機酸ビニルエステル系樹脂、ビニルエーテル系樹脂、ハロゲン含有樹脂、オレフィン系樹脂、脂環式オレフィン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリアミド系樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂、ポリスルホン系樹脂(例えば、ポリエーテルスルホン、ポリスルホンなど)、ポリフェニレンエーテル系樹脂(例えば、2,6−キシレノールの重合体など)、セルロース誘導体(例えば、セルロースエステル類、セルロースカーバメート類、セルロースエーテル類など)、シリコーン樹脂(例えば、ポリジメチルシロキサン、ポリメチルフェニルシロキサンなど)などが挙げられる。
前記薄膜層は有機物質または無機物質で形成されている。
薄膜層を構成する無機物質としては、金属酸化物や金属窒化物などの金属化合物、非金属酸化物や非金属窒化物などの非金属化合物などが挙げられ、具体的には、アルミニウム、珪素、マグネシウム、パラジウム、白金、亜鉛、錫、ニッケル、銀、銅、金、アンチモン、イットリウム、インジウム、ステンレス鋼、クロム、チタン、タンタル、ジルコニウム、ニオブ、ランタン、セリウム、等の金属若しくは非金属;またはこれらの酸化物や窒化物;又はそれらの混合物が挙げられる。これらのうち、可視光を透過する無機物質を選択することが好ましく、その具体的な例としてITO、In2O3、SnO2、SiO2、CuI、TiO2、ZrO2等が挙げられる。これらのうち、薄膜の柔軟性という観点からSiO2が好ましい。
熱可塑性樹脂としては、前記畝状凸レンズ部を有するフィルムに用いることができるものとして例示したものと同様のものを挙げることができる。また、有機薄膜には、前記畝状凸レンズ部を有するフィルムに用いる樹脂同様に配合剤を含んでいてもよい。
有機薄膜としては、微細な畝状凸レンズ部のアスペクト比の制御が容易な場合があるため、硬化性樹脂薄膜を用いることが好ましい。
本発明の光拡散フィルムの好適な製造方法は、平板状の透明基材の少なくとも一方の表面に薄膜を形成して積層体を得る工程、及び該積層体を面内の少なくとも一つの軸方向に収縮させて薄膜を褶曲させる工程を含むものである。
本発明の製造方法に用いる透明基材は、薄膜を積層させた後に、面内の少なくとも一つの軸方向に収縮させることができるものであれば特に限定されない。例えば、透明基材自身が加熱などの手段によって収縮するものであってもよいし、一軸延伸させたときに延伸方向に直交する方向が収縮するものであってもよい。
延伸処理する方法としては、ロール側の周速の差を利用して縦方向に一軸延伸する方法;テンター延伸機を用いて横方向に一軸延伸する方法等の一軸延伸法;固定するクリップの間隔を開いての縦方向の延伸と同時に、ガイドレールの広がり角度により横方向に延伸する同時二軸延伸法や、ロール間の周速の差を利用して縦方向に延伸した後、その両端部をクリップ把持してテンター延伸機を用いて横方向に延伸する逐次二軸延伸法などの二軸延伸法;横又は縦方向に左右異なる速度の送り力若しくは引張り力又は引取り力を付加できるようにしたテンター延伸機を用いてフィルムの幅方向に対して任意の角度θの方向に連続的に斜め延伸する方法;などが挙げられる。
延伸倍率は、使用する透明基材の引張り特性に応じて、所望する畝状凸レンズ部のアスペクト比になるように適宜選択すればよい。
次に、透明基材の少なくとも一方の表面に薄膜を形成する。薄膜の収縮率は、透明基材を収縮させる条件下において、透明基材の収縮率の20%以下であることが好ましく、10%以下であることがさらに好ましい。薄膜の収縮率が大きすぎると微細な畝状凸レンズ部が形成しない場合がある。
薄膜としては、前述のごとく、無機薄膜及び有機薄膜がある。
無機薄膜を形成する方法は、特に制限されず、真空蒸着、イオンプレーティング、スパッタリング、CVD(化学蒸着)等の蒸着法;スピンコート法、ディッピング法、ロールコート法、スプレー法、ベーパー法、グラビアコータやブレードコータなどのコータ法、スクリーン印刷法、インクジェット法等の塗布法;無電解めっき法、電解めっき法などが挙げられる。
熱可塑性樹脂からなる有機薄膜の形成方法としては、(1)透明基材を構成する樹脂と、薄膜を構成する樹脂とを共押出する方法;(2)熱可塑性樹脂を薄膜に成形し、これを透明基材に貼り合わせる方法;(3)透明基材の表面に熱可塑性樹脂を含有する溶液を塗布し乾燥する方法等が挙げられる。
硬化性樹脂からなる有機薄膜の形成方法は、特に限定されない。硬化性樹脂からなる有機薄膜は、例えば、透明基材面に硬化性樹脂の組成物を塗布し、硬化することによって得られる。なお、前記硬化性樹脂の組成物には作業性を良好にする観点から溶剤を含んでいても良い。硬化性樹脂薄膜を形成する際、透明基材のガラス転移温度より5℃以上低い温度で熱処理することが望ましい。薄膜形成の際に高い温度がかかると、透明基材がアニールされ、設計どおりに収縮しなくなるおそれがある。
本発明の製造方法においては、透明基材表面に薄膜を形成する前に、薄膜の褶曲を引き起こさせるための構造(褶曲誘起構造)を透明基材の表面に形成してもよいし、また透明基材表面に薄膜を形成した後で且つ該基材を収縮させる前に、該薄膜の褶曲を引き起こさせるための構造(褶曲誘起構造)を薄膜に形成してもよい。
褶曲誘起構造は一定間隔の位置に形成されることが好ましい。褶曲誘起構造の間隔は、所望する畝状凸レンズ部の頂点間の距離とは直接に関係無いので、所望の畝状凸レンズ部の頂点間の距離よりも狭くても、広くても良いが、畝状凸レンズ部の頂点間の所望距離の0.05倍〜100倍の褶曲誘起構造の間隔にすることが好ましい。
式〔2):ΔM=(M0−M1)/M0×100 (M0:主たる収縮方向に直交する方向の収縮前の長さ、M1:主たる収縮方向に直交する方向の収縮後の長さ)
式〔3〕:ΔL>0
式〔4〕:−(ΔL×0.3)≦ΔM≦ΔL
式〔5〕:−(ΔL×0.2)≦ΔM≦(ΔL×0.2)
それにより、得られる光拡散フィルムの異方拡散性を強くすることができる。
ある所定の厚さのフィルム基材や薄膜を如何に精密に均一に作成したとしても、薄膜及びフィルム基材の収縮率、薄膜及びフィルム基材の厚さ、並びに薄膜及びフィルム基材の密着度には、統計的確率で分布が生じる。この収縮率や厚さ等の統計的確率による分布によって、褶曲の度合いに統計的確率で分布が生じる。本発明の製造方法は、この統計的確率で生じる分布を利用して、畝状凸レンズ部の頂の曲率を異ならしめたのである。
畝状凸レンズ部の頂の曲率半径は、基材フィルム及び薄膜の材質、厚さ等の材料構成、及び薄膜層の成膜、基材フィルムの延伸、収縮等の製造条件に大きく依存している。例えば、σr/Xrを小さくするためには、前記材料構成及び製造条件の変動(例えば、厚さムラや延伸ムラ)を小さくすれば良く、逆にσr/Xrを大きくするためには、前記変動を大きくすれば良い。つまり、前記材料構成及び製造条件を調整することにより、Xr、σr/Xrを制御することが可能となる。
畝状凸レンズ部間の距離、バラツキは、薄膜の材質、厚さ等の材料構成、及び基材フィルムの延伸、収縮等の製造条件に大きく依存している。例えば、Xpを小さくするためには、無機薄膜を用いる、若しくは薄膜の厚さを薄くすれば良く、逆にXpを大きくするためには、有機薄膜を用いる、若しくは薄膜の厚さを厚くすれば良い。また、σp/Xpを小さくするためには、基材フィルムの収縮の一軸性を高く(例えば、延伸倍率の異なる二軸延伸で、延伸倍率の差を大きくする)し、前記褶曲誘起構造を用いればよく、逆にσp/Xpを大きくするためには、基材フィルムの収縮の一軸性を低く(例えば、延伸倍率の異なる二軸延伸で、延伸倍率の差を小さくする)すれば良い。つまり、前記材料構成及び製造条件を調整することにより、Xp、σp/Xpを制御することが可能となる。
照明装置には、光源の背後に光反射素子を備えていてもよい。前記光反射素子は、光を反射することができる素子である。具体的には、反射性金属膜や白色膜を備えた反射板が挙げられる。
電界放出形走査電子顕微鏡(S−4700、日立製作所製)にて、フィルム表面に形成された構造を撮影した。走査電子顕微鏡像を画像解析ソフト(SoftImagingSystem製、AnlySIS)を用いて、2次元高速フーリエ変換し、空間周波数のパワースペクトル分布を求め、周期性を強く示す方向を読み取った。この方向にウルトラミクロトームを用いて切断し、その断面を走査型電子顕微鏡(日立製作所製、S−4700)で写真撮影した。
この断面写真撮影をフィルム幅方向および流れ方向に少なくとも10cm以上離れた3箇所の点で行った。走査型電子顕微鏡写真像から、畝状凸レンズ部頂点間距離を30点計測し、平均値および標準偏差を求めた。
曲率半径については、畝状凸レンズ部の頂の湾曲している部分を画像処理にてフィッテングし、30点全ての曲率半径を測定し、平均値および標準偏差を求めた。
濁度計(日本電色製 NDH2000型)を使用し、JIS−K−7105に準拠し測定した。
スポット径2mmのコリメート光を光拡散フィルムの法線方向から入射し、周期性を強く示す方向およびそれに直交する方向についての出射光の角度と輝度との関係を輝度計(BM−7、トプコン社製)を用いて測定した。
クロスニコル配置の二枚の直線偏光板に、冷陰極管と導光板で構成される面状光源の光を透過させ、輝度計(BM−7、トプコン社製)を用いて透過光の正面輝度(A)を測定した。
パラレル配置の二枚の直線偏光板に、冷陰極管と導光板で構成される面状光源の光を透過させ、輝度計(BM−7、トプコン社製)を用いて透過光の正面輝度(B)を測定した。
次に光拡散フィルムを二枚の直線偏光板(クロスニコル配置)の間に挟むように重ねた。それに、冷陰極管と導光板で構成される面状光源の光を透過させ、輝度計(BM−7、トプコン社製)を用いて透過光の正面輝度(C)を測定した。
偏光解消度は下記の式で定義される。
偏光解消度〔%〕=(輝度(C)−輝度(A))/輝度(B)×100
偏光解消度が小さいほど、透過する光の偏光状態を変化させないこと(非偏光解消性)を示している。
光拡散フィルムを5cm角に切断し、60℃×85%RH環境下に500時間放置した。光拡散フィルムの外観を観察し、そりの状態を評価した。
内寸幅300mm、内寸長さ240mm、内寸深さ18mmの乳白色プラスチック製ケースの底に、反射フィルムを貼着して反射板とした。反射板から4mm離して、直径4mm、長さ360mmの冷陰極管8本を、冷陰極管の中心軸間の距離を25mmとして配置した。電極部近傍をシリコーンシーラントで固定し、インバーターを取り付けた。
光拡散板を冷陰極管中心軸と光拡散板の冷陰極管に近い側の面との距離が14mmになるように設置した。反射偏光子(DBEF−M、住友スリーエム製)および光拡散フィルムを光の拡散方向がケースの幅方向になるように積層して、照明装置を作製した。
管電流6mA、管電圧330Vrmsを印加して冷陰極管を点灯した。幅方向に出射する光の出射角度と輝度との関係を輝度計(BM−7、トプコン製)を用いて測定した。
脂環式オレフィンポリマー(ZEONOR1420、ガラス転移温度136℃、日本ゼオン社製)のペレットを、窒素を流通させた熱風乾燥機中にて、100℃で4時間乾燥した。 このペレットを、50mmφのスクリューを備えたTダイ式フィルム溶融押出成形機に供給し、溶融樹脂温度260℃で押出して、幅650mm、厚さ188μmのフィルムを成形し、続いて両端から25mmずつをトリミングして幅600mmの基材フィルムを得た。
製造例1において、延伸倍率を、フィルム幅方向に2.0倍、フィルム流れ方向に1.0倍に変えた以外は製造例1と同様の方法によって、幅1000mmの延伸フィルム(2)を得た。
製造例1で得た幅600mmの基材フィルムを、縦一軸延伸装置を用い145℃の温度で縦方向に1.7倍に延伸した。次いで、この縦延伸フィルムをテンター延伸(横一軸延伸)装置に送り150℃で、フィルム幅方向に2.2倍、フィルム流れ方向に1.0倍に延伸し、延伸フィルム(3)を得た。
ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(NKエステル AD−TMP、新中村化学製)90.0質量部、光開始剤(イルガキュアー907、チバガイギー製)10.0質量部、および酢酸ブチル900.0質量部を均一になるまで撹拌し、次いで1μmのフィルタで濾過して、紫外線硬化性樹脂溶液を調製した。
製造例1で得た延伸フィルム(1)をコロナ放電処理して表面改質した。該フィルムに、製造例4で作製した紫外線硬化性樹脂溶液を、グラビアコーターを用いて、乾燥膜厚が0.4μmになるように塗布し、80℃で5分間乾燥させ、次いで、超高圧水銀ランプを用いて紫外線を照射(積算光量400mJ/cm2)し、塗膜を硬化させて、積層フィルムを得た。
次いで、積層フィルムを、140℃の温風を循環させた乾燥機を通過させて、積層フィルムを収縮させて、光拡散フィルム1を得た。図7に示すように、光拡散フィルム1の表面には複数の畝状凸レンズ部が形成され、紫外線硬化性樹脂で形成された薄膜が畝状凸レンズ部の形状に対応するように褶曲して積層され、薄膜層側表面は畝状凸レンズ部の形状が浮き出し起伏していた。畝状凸レンズ部は、畝の長手方向が一方向にほぼ揃い、畝の短手方向に強い周期性を示すものであった。また、少なくとも一組の隣接する畝状凸レンズ部の曲率が互いに異なっていた。
畝状凸レンズ部の間隔の平均値(Xp)は1.8μm、標準偏差(σp)は0.66μm、σp/Xpは0.367であった。
また、畝状凸レンズ部の平均アスペクト比は0.5であった。
光拡散フィルム1は、高い光線透過率、光拡散性を有し、かつ透過光の偏光を維持する特性を有するフィルムであることが確認された。
また、光拡散フィルム1の出射光異方拡散性評価の結果を図8に示した。実線は強い周期性を示す方向の角度依存性、点線は周期性の弱い方向の角度依存性を示している。光拡散フィルム1は強い周期性を示す方向に回折及び散乱を示し、それと直交する方向には全く散乱しないことがわかる。
光拡散フィルム1を60℃×85%RH環境下に500時間放置したが、そりは全く見られなかった。
該照明装置の幅方向角度−出射光輝度の分布を測定した結果(実線)を図11に示した。該照明装置は、幅方向に対して光を拡散する特性を示し、広い範囲に亘り高い輝度を示すことがわかる。
また、作製した液晶表示装置を白表示にした際の正面輝度は480cd/m2であり、良好な表示特性を示すことが確認された。
製造例1で得た延伸フィルム(1)を製造例2で得た延伸フィルム(2)に替え、ワイヤーバーコーターを用いて紫外線硬化性樹脂溶液を乾燥膜厚が3.8μmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法によって、光拡散フィルム2を得た。
光拡散フィルム2の表面には複数の畝状凸レンズ部が形成され、紫外線硬化性樹脂で形成された薄膜が畝状凸レンズ部の形状に対応するように褶曲して積層され、薄膜層側表面は畝状凸レンズ部の形状が浮き出し起伏していた。畝状凸レンズ部は、畝の長手方向が一方向にほぼ揃い、畝の短手方向に強い周期性を示すものであった。また、少なくとも一組の隣接する畝状凸レンズ部の曲率が互いに異なっていた。
畝状凸レンズ部の間隔の平均値(Xp)は32.0μm、標準偏差(σp)は3.84μm、σp/Xpは0.12であった。また、畝状凸レンズ部の平均アスペクト比は0.6であった。
光拡散フィルム2の出射光異方拡散性評価の結果を図9に示した。実線は強い周期性を示す方向の角度依存性、点線は周期性の弱い方向の角度依存性を示している。該フィルムは強い周期性を示す方向に散乱を示し、それと直交する方向には全く散乱しないことがわかる。
光拡散フィルム2を60℃×85%RH環境下に500時間放置したが、そりは全く見られなかった。
該照明装置の幅方向角度−出射光輝度の分布を測定した結果(破線)を図11に示した。実施例2の照明装置は、幅方向に対して光を拡散する特性を示し、広い範囲に渡り高い輝度を示すことがわかる。
また、液晶表示装置の正面輝度(白表示時)は440cd/m2であり、良好な表示特性を示すことが確認された。
製造例2で得た延伸フィルム(2)を製造例3で得た延伸フィルム(3)に替え、紫外線硬化性樹脂溶液を乾燥膜厚を1.5μmになるように塗布した以外は実施例1と同様の方法によって、光拡散フィルム3を得た。
光拡散フィルム3の表面には複数の畝状凸レンズ部が形成され、紫外線硬化性樹脂で形成された薄膜が畝状凸レンズ部の形状に対応するように褶曲して積層され、薄膜層側表面は畝状凸レンズ部の形状が浮き出し起伏していた。畝状凸レンズは、図4のごとく、畝が複雑に曲がり、周期性の強い方向と弱い方向との差が小さいものであった。また、少なくとも一組の隣接する畝状凸レンズ部の曲率が互いに異なっていた。
畝状凸レンズ部の間隔の平均値(Xp)は5.4μm、標準偏差(σp)は4.48μm、σp/Xpは0.830であった。また、畝状凸レンズ部の平均アスペクト比は3.7であった。
光拡散フィルム3は光拡散フィルム1または2と同様に、高い光線透過率、光拡散性を有し、かつ透過光の偏光を維持する特性を有するフィルムであることが確認された。
光拡散フィルム3の出射光異方拡散性評価の結果を図10に示した。実線は強い周期性を示す方向の角度依存性、点線は周期性の弱い方向の角度依存性を示している。光拡散フィルム3は周期性を強く示す方向に強い散乱を示し、それに直交する方向には弱い散乱を示すことがわかる。
次に、光拡散フィルム3を60℃×85%RH環境下に500時間放置したが、そりは全く見られなかった。
該照明装置の幅方向角度−出射光輝度の分布を測定した結果(点線)を図11に示した。実施例3の照明装置は、幅方向に対して光を拡散する特性を示し、広い範囲に渡り高い輝度を示すことがわかる。
また、液晶表示装置の正面輝度(白表示時)は430cd/m2であり、良好な表示特性を示すことが確認された。
ステンレス製反応器に、脱イオン水300質量部、ポリビニルアルコール分散剤0.05質量部、スチレン100質量部およびジビニルベンゼン5質量部を入れ、減圧脱気し、次いで撹拌して、エマルジョンを得た。このエマルジョンを均質機を用いて安定化し、別に脱気されたオートクレーブに移し71℃に昇温した。
その後、過酸化ベンゾイル0.015質量部、およびメチルメタクリレート3質量部をオートクレーブに入れ、5時間重合を行って、ポリマービーズの分散液を得た。得られたポリマービーズ分散液を濾別、洗浄、乾燥し、次いで篩別(50μm以上の粒子を除去)することによりポリマービーズを得た。得られたポリマービーズは粒子径が5.8μmであった。
次いで、アクリル樹脂(ダイヤナールBR102、三菱レイヨン製)10質量部、前記ポリマービーズ10質量部、および酢酸ブチル80質量部を混合、攪拌して、アクリル樹脂溶液を調製した。
光拡散フィルム4は、全光線透過率が68%、ヘイズが88%、偏光解消度が83.9%であった。光拡散フィルム4に直線偏光を入射しても、出射光は自然光になってしまう特性を有していた。
光拡散フィルム4の出射光異方拡散性評価の結果を図12に示した。実線と破線は光拡散フィルム4の面内で互いに直交する方向の輝度の角度依存性を示すものであるが、実線と破線とはほぼ重なってしまっている。光拡散フィルム4は、すべての方向に対して均一に散乱する等方散乱性を示すことがわかる。
光拡散フィルム4を60℃×85%RH環境下に500時間放置したところ、フィルム端部にそりが生じていた。
該照明装置の幅方向角度−出射光輝度の分布を測定した結果(実線)を図14に示した。比較例1の照明装置は、正面の輝度のみが高い特性を有するものであることがわかる。
また、液晶表示装置の正面輝度(白表示時)は380cd/m2であった。反射偏光子から出た直線偏光が光拡散フィルム4によって偏光が解消してしまっているので、液晶パネルにおいて光が吸収され表示装置の正面に光が十分出てこなくなっていることがわかる。
8mm×8mm×60mmのSUS製シャンクにろう付けされた寸法1mm×1mm×1mmの直方体単結晶ダイヤモンドの一面に、集束イオンビーム加工装置SMI3050(セイコーインスツルメンツ製)を用いてアルゴンイオンビームを用いた集束イオンビーム加工を行い、長さ1mmの辺に平行にピッチ30.0μm、深さ9.0μmの断面波形の溝を彫り込み、切削工具を作製した。
寸法50mm×50mm、厚さ10mmのステンレス鋼SUS430の表面に、厚さ100μmのニッケル−リン無電解メッキを施し、精密微細加工機(ナガセインテグレックス製、超精密微細加工機NIC200)と上記の切削工具を用いて、ニッケル−リン無電解メッキ面に、ピッチ30.0μm、高さ9.0μmの断面波形の畝状凸部を有する金属モールドを得た。
畝状凸レンズ部の頂の曲率半径の平均値(Xr)は5.50μm、標準偏差(σr)は0であった。畝状凸レンズ部間の間隔の平均値(Xp)は30.0μm、標準偏差(σp)は1.45μ、σp/Xpは0.048であった。また、畝状凸レンズ部の平均アスペクト比は0.3であった。また、隣接する畝状凸レンズ部の曲率はすべて同じになっていた。
光拡散フィルム5を60℃×85%RH環境下に500時間放置したところ、フィルム端部でそりが生じていた。
該照明装置の出射光の角度−輝度分布を測定した結果(破線)を図14に示した。
液晶表示装置の正面輝度(白表示時)は435cd/m2であったが、実施例の光拡散フィルムにくらべ散乱角度が狭かった。
Claims (8)
- 少なくとも一方の表面に複数の畝状凸レンズ部を有する熱可塑性樹脂製のフィルムと前記畝状凸レンズ部の上に積層され且つ前記畝状凸レンズ部の形状に対応するように褶曲している薄膜層とを含んで成り、
少なくとも一組の隣接する畝状凸レンズ部の曲率が互いに異なっており、
薄膜層側の表面が前記畝状凸レンズ部の形状の浮き出しで起伏しており、
該薄膜層が、硬化性樹脂、可視光を透過する無機物質、またはフィルムを構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも20℃以上高いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂で構成されている、光拡散フィルム。 - 前記畝状凸レンズ部の頂は円弧状に湾曲しており、
該湾曲部の曲率半径の平均値Xrは0.1μm以上であり、
該湾曲部の曲率半径の標準偏差σrはXrに対してσr/Xr=0.05〜0.8であり、且つ
畝状凸レンズ部の高さと畝状凸レンズ部間の間隔との比の平均値が0.1〜4.0である、請求項1に記載の光拡散フィルム。 - 畝状凸レンズ部間の間隔の平均値Xpが0.2〜40μmであり、且つ
畝状凸レンズ部間の間隔の標準偏差σpがXpに対してσp/Xp=0.1〜0.9である、請求項2に記載の光拡散フィルム。 - 全光線透過率が75%以上で、且つヘイズが70%以上である、請求項1〜3のいずれかに記載の光拡散フィルム。
- 熱可塑性樹脂からなる熱収縮性を有する平板状の透明基材を得、
該透明基材の少なくとも一方の表面に、硬化性樹脂からなる薄膜、可視光を透過する無機物質からなる薄膜、または透明基材を構成する熱可塑性樹脂のガラス転移温度よりも20℃以上高いガラス転移温度を有する熱可塑性樹脂からなる薄膜を形成し、次いで
該透明基材を面内の少なくとも一つの軸方向に熱収縮させ、薄膜を褶曲させることを含む、 請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルムの製造方法。 - 熱収縮性を有する平板状の透明基材は原反フィルムを延伸することによって得、且つ
透明基材の熱収縮は薄膜の収縮率が透明基材の収縮率の20%以下になるようにして行うものである、 請求項5に記載の光拡散フィルムの製造方法。 - 請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルムを備える照明装置。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の光拡散フィルムを備える液晶表示装置。
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