以下、図面に基づいて本発明に係る記録装置および液体噴射装置の一実施形態について、インクジェットプリンタを取り上げて説明する。ここでは、以下に示す順に沿って説明する。
1.インクジェットプリンタの全体構成
2.排紙フレーム変位リンク機構の構成
3.搬送従動ローラ変位リンク機構及びプラテンギャップ変位リンク機構の構成
<1.インクジェットプリンタの全体構成>
まず、図1および図2を参照しつつ、本実施形態に係るインクジェットプリンタ(以下、「プリンタ」という。)1の全体構成について説明する。
ここで、図1はプリンタ1の一部省略側面図であって、後述する第1の搬送経路「マル1」を使用して用紙Pに対して印刷(記録)を行う状態を示したものであり、図2は同プリンタ1の一部省略側面図であって、後述する第2の搬送経路「マル2」を使用して剛性被記録材Gに対して印刷(記録)を行う状態を示したものである。
ここでは、後述する排出従動ローラとしての排紙従動ローラと接触状態で記録される第2被記録材として、後述する被記録材給送装置としての給紙装置2を使用して湾曲姿勢で給送可能な被記録材(例えば、普通紙、ハガキ、封筒などの可撓性のある被記録材)を「用紙P」と記し、また、後述する排出従動ローラとしての排紙従動ローラと非接触状態で記録される第1被記録材として、湾曲姿勢での給送が困難または不可能な被記録材(例えば、CD−R、厚紙ボード紙などの剛性のある被記録材)を「剛性被記録材G」と記し、これらを合わせて「被記録材」と記すことがある。
プリンタ1は、図1に示す如く、装置後方側(図1において紙面右手側)である被記録材搬送経路の上流側に、用紙Pを供給する給紙装置2が設けられ、当該給紙装置2によって用紙Pを傾斜姿勢で堆積保持し、1枚ずつ湾曲させながら下流側に給送して印刷を行ったのちに装置前面側(図1において紙面左手側)から略水平姿勢で排出させる、当該用紙Pを一方方向に給送する第1の搬送経路「マル1」と、図2に示す如く、剛性被記録材Gを装置前面側に配設されている被記録材スタッカ50から略水平に記録ヘッド13に向けて給送して印刷を行ったのちに再び装置前面側に排出させる、当該剛性被記録材Gを往復搬送させる直線状の第2の搬送経路「マル2」とを有している。
また、被記録材スタッカ50は、後に詳述するように、第1の搬送経路「マル1」を利用するときに設定される第2ポジションと、第2の搬送経路「マル2」を利用するときに設定される第1ポジションとをとることができるように変位可能に構成されている。
まず、図1を参照しつつ第1の搬送経路「マル1」を使用した動作に沿って説明する。この場合では、被記録材スタッカ50が第2ポジションをとっている。
給紙装置2は、ホッパ16と側面視D形状の給紙ローラ14を備えている。ホッパ16は、用紙Pを傾斜姿勢で複数枚堆積保持できるようになっており、その上流側に設けられた揺動支点(図示せず)を中心として揺動することにより、給紙ローラ14に向けて圧接および離間動作を行うことができるように構成されている。給紙ローラ14は、回動軸14aを中心として回動可能に構成され、また、その表面が高摩擦材によって形成されており、接触した用紙Pを確実に給送できるようになっている。
ホッパ16にセットされた用紙Pは、該ホッパ16の給紙ローラ14に向けての圧接動作によって押し上げられ、最上位のものが給紙ローラ14に接触する。この接触状態において、給紙ローラ14が回動(図1において時計回り方向)することにより、この最上位の用紙Pが次位以降の用紙Pから分離されて下流側へ給送される。
給紙ローラ14の下流の下方には、用紙ガイド15がほぼ水平に配置され、給紙装置2から給送された用紙Pをガイドして下流側へと案内する。
用紙ガイド15の下流側には、用紙Pの非記録面(すなわち、用紙Pの裏面)側に設けられ、図示しない駆動手段によって回転駆動する搬送駆動ローラ19aと、用紙Pの記録面(すなわち、用紙Pの表面)側に設けられ、前記搬送駆動ローラ19aに接触して従動回転する搬送従動ローラ19bとから構成される搬送ローラ19が配設されている。搬送駆動ローラ19aは、用紙Pの搬送経路と直交する主走査方向(図1において紙面表裏方向)に長い棒状のローラから構成されており、一方の搬送従動ローラ19bは、主走査方向に短く、かつ主走査方向に所定の間隔をもって複数個配設されている。このような構成の搬送ローラ19に挟持されて用紙Pは精密搬送される。
搬送従動ローラ19bは、搬送従動ローラホルダ18の下流側において自由回転可能に軸支されている。この搬送従動ローラホルダ18は、揺動軸18aを中心として揺動可能に構成されており、かつ、付勢手段としてのねじりコイルバネ(図示せず)によって、搬送駆動ローラ19aに向けて常に付勢されている。このような構成により用紙Pを的確に挟持して搬送力を付与することができ、もって当該用紙Pを確実に精密送りすることができる。
搬送従動ローラホルダ18の上流側上方には、当該搬送従動ローラホルダ18を揺動させる手段として、カム回動軸31を中心として回動可能なカム部材36が配設されている。カム回動軸31は後述する搬送従動ローラ変位リンク機構200によって回動制御されており、当該カム回動軸31を回動させてカムフォロア部18bに当該カム部材36を当接させることにより当該搬送従動ローラホルダ18を付勢力に抗して揺動させる。
このような構成により、揺動することによって搬送従動ローラホルダ18は、搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aに接触させた接触状態(図1参照)と、搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aから離間させた離間状態(図2参照)とすることができるようになっている。
搬送ローラ19の下流側近傍には、印刷を行う記録部が構成されている。この記録部には、プラテン28および記録ヘッド13が上下に対向するように配設されている。プラテン28は、主走査方向に長く構成されており、搬送されてきた用紙Pを下側(非記録面側)から支持することができるようになっている。
記録ヘッド13は、キャリッジ10の底部に搭載されている。キャリッジ10は、主走査方向(用紙Pの幅方向)に延在するキャリッジガイド軸12に支持されており、当該キャリッジガイド軸12に沿って往復移動する。また、キャリッジ10は、例えばイエロー、マゼンダ、シアン、ブラックなどの複数のインクカートリッジ11を着脱自在に備えており、キャリッジガイド軸12に沿って往復移動しながら、これらの色のインク滴を記録ヘッド13から吐出することによりカラー印刷を実行することができるように構成されている。
また、キャリッジガイド軸12は後述するプラテンギャップ変位リンク機構300によって、被記録材スタッカ50に連動してプラテン28に対して直交する方向(図1において上下方向)に変位可能に構成されており、被記録材として用紙Pまたは剛性被記録材Gを採用する場合に、その被記録材の厚みに応じて位置を変えることにより、記録ヘッド13とプラテン28との距離(いわゆる、プラテンギャップ。以下、「PG」と示すことがある。)を調整することができるようになっている。
すなわち、記録品質はプラテン28上を搬送される被記録材の記録面と記録ヘッド13との距離であるペーパーギャップによって大きく影響されるので、そのペーパーギャップを考慮して前記プラテンギャップの大きさが設定される。
これにより、用紙Pに対して印刷を行う場合には、キャリッジ10はプラテン28に対してより接近した状態(以下、「Nポジション」と示す。図1参照。)となってPGが比較的小さく設定され、また、剛性被記録材Gに対して印刷を行う場合には、キャリッジ10はプラテン28に対して前記Nポジションより離間した状態(以下、「++ポジション」と示す。図2参照。)となってPGが比較的大きく設定される。なお以下の記載において、キャリッジ10がNポジションである場合に設定されるプラテンギャップを「PGノーマル」と示し、++ポジションである場合に設定されるプラテンギャップを「PG++」と示すことがある。
記録部より下流側は、用紙Pの排出部となっており、排出手段として排出駆動ローラとしての排紙駆動ローラと、排出従動ローラとしての排紙従動ローラとで対となった排出ローラとしての排紙ローラが設けられている。より具体的には、記録ヘッド13とプラテン28との対置位置の下流側近傍に配設され、第1排紙駆動ローラ21aと第1排紙従動ローラ21bとから構成される第1排紙ローラ21と、この第1排紙ローラ21より下流側に配設され、第2排紙駆動ローラ22aと第2排紙従動ローラ22bとから構成される第2排紙ローラ22とが設けられている。なお以下の記載において、第1排紙ローラ21と第2排紙ローラ22を合わせて排紙ローラ(21、22)とし、第1排紙駆動ローラ21aと第2排紙駆動ローラ22aを合わせて排紙駆動ローラ(21a、22a)とし、第1排紙従動ローラ21bと第2排紙従動ローラ22bを合わせて排紙従動ローラ(21b、22b)と示す。
排紙駆動ローラ(21a、22a)は、用紙Pの非記録面(すなわち、用紙Pの裏面)側に配設され、その外周にゴム材が設けられた主走査方向に延在した棒状のローラから構成されており、図示しない駆動手段によって回転制御されている。
一方、排紙従動ローラ(21b、22b)は、用紙Pの記録面(すなわち、用紙Pの表面)側に配設されており、その外周に複数の歯を有する歯付きローラから構成されている。そして、排紙フレーム40において、下方(すなわち、被記録材搬送経路)に向けて突出した状態で、自由回動可能に取り付けられている。
排紙フレーム40は、後述する「リンク機構」としての排紙フレーム変位リンク機構100により被記録材スタッカ50の変位に連動して、被記録材搬送経路内に排紙従動ローラ(21b、22b)が位置した状態であって、当該排紙従動ローラ(21b、22b)を排紙駆動ローラ(21a、22a)に当接させた当接状態(図1参照)と、被記録材搬送経路外に排紙従動ローラ(21b、22b)が位置した状態であって、排紙従動ローラ(21b、22b)を排紙駆動ローラ(21a、22a)から離間させた退避状態(図2参照)とをとることができるように変位可能に構成されている。すなわち、排紙フレーム40は、排紙従動ローラ(21b、22b)を被記録材搬送経路内に位置させるように被記録材搬送経路の直上に位置した接近状態(前記当接状態に対応する状態)と、この接近状態より上方に位置し、排紙従動ローラ(21b、22b)を被記録材搬送経路から退避させた退避状態(前記退避状態に対応する状態)とをとり得るように構成されている。このような構成の排紙ローラ(21、22)によって用紙Pは被記録材スタッカ50に向けて排出される。
次に、図2を参照しつつ第2の搬送経路「マル2」を利用して剛性被記録材Gに対して印刷を行う場合について説明する。この場合には、被記録材スタッカ50を第1ポジションとすることにより、この被記録材スタッカ50の上面である被記録材載置面51を略水平とし、記録ヘッド13下まで連通した直線的な剛性被記録材G用の給排出経路を形成させる。また、後述する排紙フレーム変位リンク機構100によって、被記録材スタッカ50に連動させて排紙フレーム40を退避状態として排紙従動ローラ(21b、22b)を剛性被記録材Gに当接しない位置まで移動させる。これにより、排紙従動ローラ(21b、22b)と剛性被記録材Gとが接触することなく印刷を実行することができる。
また、後述する搬送従動ローラ変位リンク機構200によって、搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aから離間させる。これにより、剛性被記録材Gの搬送従動ローラ19bへの衝突を回避させることができるとともに、搬送ローラ19で当該剛性被記録材Gを挟持して精密送りすることができる。
さらに、後述するプラテンギャップ変位リンク機構300によって、被記録材スタッカ50に連動させてキャリッジ10を++ポジションとすることにより、剛性被記録材Gと記録ヘッド13との接触を回避させることができるとともに、剛性被記録材Gに対応したプラテンギャップを調整することができる。
このように、剛性被記録材Gを直線的に搬送できる状態としたうえで、被記録材スタッカ50に剛性被記録材Gをセットし、被記録材載置面51に沿って記録ヘッド13の下(すなわち、記録部)に向けて当該剛性被記録材Gを差し込み、頭出し動作を行ったのち印刷を行う。このように、剛性被記録材Gと排紙従動ローラ(21b、22b)との接触を回避した状態において印刷を行うことができる。
なお、剛性被記録材GがCD−Rなど直接搬送することができない光記録媒体等である場合には、専用のトレイ(例えば、CD−Rを嵌め込む凹部が形成されたトレイなど)にセットした状態で記録が実行される。
<2.排紙フレーム変位リンク機構の構成>
次に、図3から図8を参照しつつ、被記録材スタッカ50をポジション変位させることにより、排紙フレーム40を当接状態と退避状態との間で変位させる排紙フレーム変位リンク機構100について説明する。
ここで、図3は本実施形態に係る排紙フレーム変位リンク機構100の説明に供する要部側面図であり、図4は図3と同状態を示す要部斜視図であって、被記録材スタッカ50が第2ポジションである状態を示すものである。また、図5は本実施形態に係る排紙フレーム変位リンク機構100の説明に供する要部側面図であり、図6は図5と同状態を示す要部斜視図であって、被記録材スタッカ50が第1ポジションである状態を示すものである。また、図7は被記録材スタッカ50の基端部右近傍に設けられたガイドカバー80の周辺を下流側上方から見た要部斜視図であり、図8は図7と異なる角度から視たガイドカバー80の周辺の要部斜視図である。なお、これら図3から図8は、プリンタ1を装置前面側から視た場合における被記録材スタッカ50の装置右側を示したものであり、さらに図3から図6はプリンタ1を右側方からみた状態を示すものである。
プリンタ1の装置前面に配設されている被記録材スタッカ50は、剛性被記録材Gを略水平な被記録材載置面51上から記録ヘッド13下へ真っ直ぐに給送し、かつ、記録ヘッド13下から被記録材載置面51上へ真っ直ぐに排出させる直線的な給排出経路を形成可能な第1ポジション(図5および図6参照)と、給紙装置2によって給送されて印刷が行われたのちに排出される用紙Pをスタックする、前記第1ポジションより低く位置し、被記録材載置面51が略傾斜姿勢となる第2ポジション(図3および図4参照)とをとり得るように変位可能に構成されている。
排紙フレーム変位リンク機構100は、レリースレバーサブ55と、レリースレバー60と、回動軸63と、リンクフレーム68を有している。被記録材スタッカ50の上流側(すなわち、基端部側)の両側面には、側方に向けて突出した一対の係合軸52が設けられ、この係合軸52の一方がレリースレバーサブ55の内側壁に形成された軸受け部(図示せず)に軸支されている。これにより、被記録材スタッカ50は係合軸52を中心として約90度揺動可能となり、プリンタ1の使用時にとり得る略水平な使用状態と、非使用時にとり得る略垂直な収納状態(図示せず)とをとることができるように構成されている。被記録材スタッカ50が収納状態となることにより、プリンタ1の非使用時における載置面積を少なくすることができる。なお、係合軸52の他方は後述する作動部材90(図9参照)に軸支されている。
係合軸52を軸支するレリースレバーサブ55は、被記録材スタッカ50の第1ポジションと第2ポジションとの変位に追動して装置上下方向に移動可能に構成されている。より具体的には、図7に示すように、レリースレバーサブ55はその外周部に配設されたガイドカバー80の内壁面によってガイドされているとともに、装置前面に向けて突出した上下方向に延びる板状体からなる板金83が、この板金83の対応位置のレリースレバーサブ55に形成された上下方向に延びる溝(図示せず)に嵌め込まれることによってもガイドされている。このような構成により、レリースレバーサブ55は、装置正面側からみた際における装置前後および装置左右方向の位置決めが的確になされるとともに、被記録材スタッカ50の上下方向の移動に確実に追動することができるようになっている。なお、ガイドカバー80の一部を構成し、被記録材スタッカ50とレリースレバーサブ55との間に配設された壁部80bには、図8に示す如く、係合軸52の移動路80aが装置上下方向に延在して形成されている。
図3から図6に戻り、レリースレバーサブ55には、摺動溝55aを形成する壁が一体成形されている。この摺動溝55aにはレリースレバー60のボス部60aが嵌め込まれており、このボス部60aが摺動溝55aに沿って摺動することにより、レリースレバー60をレリースレバーサブ55に連動させて回動軸63を中心として回動させる。また、レリースレバー60は、前記したガイドカバー80の内壁面によってガイドされており、これによりボス部60aの摺動溝55aからの離脱が規制されている。
回動軸63は、断面D形状に形成されており、レリースレバー60に形成された同形の軸受け穴に嵌め込まれることにより、当該レリースレバー60の回動と同一量、同一方向に回動する。この回動軸63の他端は、リンクフレーム68に嵌め込まれており、レリースレバー60の回動をリンクフレーム68に伝達できるように構成されている。このような構成により、レリースレバー60の回動は回動軸63を介してリンクフレーム68へ伝達され、当該リンクフレーム68をレリースレバー60と同一方向に同一量だけ回動させることができる。すなわち、リンクフレーム68は、レリースレバー60に対して回動不能に構成されており、もって、リンクフレーム68とレリースレバー60とを同期して回動させることができるようになっている。
また、回動軸63の両端、すなわちレリースレバー60との係合部近傍およびリンクフレーム68との係合部近傍には、当該回動軸63を貫通させる円形状の穴が形成された円形リング64が配設されており、回動軸63を回動可能に支持しつつ位置決めしている。なお、回動軸63は本実施形態のように断面D形状に限られるものではなく、3角形状、4角形状などの角形状等の断面非円形形状であって、レリースレバー60の回動をリンクフレーム68にそのまま伝達することができる形状であれば限定することなく使用できる。
リンクフレーム68は、排紙フレーム40の下流側で、係合軸69を介して当該排紙フレーム40と回動可能に係合している。これにより、リンクフレーム68が回動軸63を中心として回動することによって、排紙フレーム40を当接状態と退避状態とで状態変位させている。
また、排紙フレーム40は、板状のフレームから構成されており、その上方に設けられた付勢バネ45によって斜め上流側下方に向けて、すなわち当接状態となるよう付勢されている。これにより、排紙フレーム40の上流側端部(自由端部)が後述する係合突起71に確実に係合し、当該排紙フレーム40を的確に当接状態に位置決めさせることができる。すなわち、排紙フレーム変位リンク機構100が作用した場合において、排紙フレーム40を退避状態とすることができる。
また、サイドフレーム70には、排紙フレーム40の当接状態と退避状態との間の変位をガイドするガイド斜面73が形成されている。このガイド斜面73は、排紙フレーム40の当接状態と退避状態との間の変位の際にリンクフレーム68と排紙フレーム40との係合部である係合軸69がとり得る軌跡と略同一に形成されている。また、排紙フレーム40には、このガイド斜面73に対して摺動する、側面J字型の突起41が一体成形されている。
このような構成により、排紙フレーム40が変位する場合にJ字型突起41がガイド斜面73に沿って摺動することにより、当該排紙フレーム40を当接状態の姿勢を維持したまま、当接状態と退避状態との間で変位させることができる。従って、この排紙フレーム40に取り付けられている排紙従動ローラ(21b、22b)を被記録材搬送経路から確実に退避させてCD−Rなどの剛性被記録材Gに当接しない高さ位置まで移動させることができる。
なお、本実施形態では、排紙フレーム40を当接状態の姿勢である略水平姿勢を維持したまま退避状態とする構成について説明するが、退避状態の姿勢はこれに限定されるものではなく、排紙従動ローラ(21b、22b)を被記録材の搬送経路から退避させて剛性被記録材Gと接触することがない姿勢であればなんら限定されるものではない。従って、例えば排紙フレーム40の上流側を係合軸69より、より一層上方に退避させる構成とすることもできる。
さらに、サイドフレーム70には、排紙フレーム40の当接状態における、位置決めのための係合突起71が形成されている(図5参照)。この係合突起71は、排紙フレーム40の上流側端部が当接する突起部71aと、排紙フレーム40を下側から支持して、高さ位置を決するフレーム載置部71bを有している。
このような構成により、排紙フレーム40の上流側端部が係合突起71と係合することによって上流側の位置決めがなされる。そして、排紙フレーム40は、付勢バネ45によって上流側下方に向けて付勢されているため、この係合突起71と確実に、かつ安定に係合して位置決めがなされ、当接状態の姿勢を的確に維持することができるようになっている。また、排紙フレーム40の下流側は、上述したように係合軸69においてリンクフレーム68と係合しており、これにより当接状態および退避状態での高さ位置が位置決めされる。
ここで、被記録材スタッカ50を第2ポジション(図3、図4参照)から第1ポジション(図5、図6参照)へと変位させることによる排紙フレーム40の当接状態から退避状態への状態変位について説明する。
被記録材スタッカ50が図3及び図4に示す如く第2ポジションをとることにより、排紙フレーム40は排紙従動ローラ(21b、22b)を排紙駆動ローラ(21a、22a)に当接させた当接状態となっている。なお、被記録材スタッカ50の第2ポジションにおける姿勢は、係合軸52が図8に示す如くガイドカバー80に形成された移動路80aの下端部に位置づけられるとともに、装置本体側から下向きに突出した突起部(図示せず)が当該被記録材スタッカ50の内部であって係合軸52より上流側に設けられた板バネ(図示せず)に当接することによって保たれるように構成されている。
このような状態から被記録材スタッカ50を一旦、係合軸52を中心として装置本体側に回動(図3において時計回り方向)させて略垂直姿勢としたのち、上方に持ち上げる。これにより、レリースレバーサブ55が追動して上方に移動し、レリースレバー60のボス部60aが、レリースレバーサブ55の摺動溝55aに沿って位置55cから位置55dに向けて摺動する。これに伴ってレリースレバー60が回動軸63を中心として回動(図3において時計回り方向)する。
レリースレバー60の回動は、回動軸63を介してリンクフレーム68へ伝達され、当該リンクフレーム68を同方向に同一量だけ回動させる。これにより、リンクフレーム68に係合している排紙フレーム40が付勢バネ45の付勢力に抗して下流側上方に持ち上げられる。このとき、排紙フレーム40の上流側のJ字型突起41がガイド斜面73に沿って同様に下流側上方に持ち上げられることにより、当該排紙フレーム40を当接状態の姿勢を保持したまま退避状態へと変位させることができる。
そして、被記録材スタッカ50を下流側に回動させて被記録材載置面51を略水平姿勢とすることにより、図5および図6に示す如く被記録材スタッカ50が第1ポジションとなり、排紙フレーム40が排紙従動ローラ(21b、22b)を排紙駆動ローラ(21a、22a)から離間させた退避状態となる。
このように、被記録材スタッカ50が第1ポジションである場合には、排紙フレーム40を退避状態とすることができるので、この排紙フレーム40に取り付けられている排紙従動ローラ(21b、22b)を被記録材搬送経路から退避させて剛性被記録材Gと当接しない高さ位置まで移動させることができる。従って、排紙従動ローラ(21b、22b)と剛性被記録材Gとが接触することなく印刷を行うことができるので、これらが接触することによる不具合を確実に回避することができる。
次に、被記録材スタッカ50を第1ポジション(図5、図6参照)から第2ポジション(図3、図4参照)へと変位させることによる排紙フレーム40の退避状態から当接状態への状態変位について同様に説明する。
まず、被記録材スタッカ50を、係合軸52を中心として装置本体側に回動(図5において時計回り方向)させて略垂直姿勢としたのち、下方に押し下げる。これにより、レリースレバーサブ55が追動して下方に移動し、レリースレバー60のボス部60aが、レリースレバーサブ55の摺動溝55aに沿って位置55dから位置55cに向けて摺動する。これに伴ってレリースレバー60は、回動軸63を回動中心として回動(図5において反時計回り方向)する。
このレリースレバー60の回動は、回動軸63を介してリンクフレーム68へ伝達され、当該リンクフレーム68を同方向に同一量だけ回動させる。これにより、リンクフレーム68に係合している排紙フレーム40が上流側下方に押し下げられる。このとき、排紙フレーム40の上流側のJ字型突起41がガイド斜面73に沿って同様に上流側下方に押し下げられるとともに、当該排紙フレーム40の上流側端部が係合突起71と係合して、当接状態に位置決めされる。なお、上述したように排紙フレーム40は付勢バネ45によって当接状態に向けて付勢されているため、確実に係合突起71と係合させることができ、もって正確に当接状態に位置決めすることができる。
そして、被記録材スタッカ50を下流側に回動させることにより、図3および図4に示す如く被記録材スタッカ50が第2ポジションとなり、排紙フレーム40は排紙従動ローラ(21b、22b)を排紙駆動ローラ(21a、22a)に当接させた当接状態となる。
このように、被記録材スタッカ50が第2ポジションである場合には、排紙フレーム40を当接状態とすることができるので、給紙装置2から給送されて印刷の行われた用紙Pを確実に排出させることができるとともに、排出された用紙Pを確実に被記録材スタッカ50上にスタックすることができる。
また、被記録材スタッカ50の両サイドに設けられた係合軸52には、図8に示す如くピニオン85が回動可能に取り付けられており、さらに、装置本体側の対応位置にはラック86が形成されている。このような構成により、被記録材スタッカ50のポジション変位を、当該被記録材スタッカ50の平行状態を維持したまま行うことができる。すなわち、被記録材スタッカ50を第1ポジションと第2ポジションとの間で変位させる場合に、ピニオン85がラック86とかみ合いながら移動するため、当該被記録材スタッカ50の左右端部を同期して同一量だけ移動させることができる。従って、例えば被記録材スタッカ50が非平行となって移動させにくくなるなどの不具合を生じることがないようになっている。
以上説明したように、プリンタ1は、被記録材スタッカ50を変位させることにより排紙従動ローラ(21b、22b)を保持した排紙フレーム40を当接状態と退避状態との間で変位させる排紙フレーム変位リンク機構100を備えている。そのため、被記録材スタッカ50を第2ポジションとすることにより排紙フレーム40を当接状態として第1の搬送経路「マル1」を使用した用紙Pに対する印刷を行うことができ、また、被記録材スタッカ50を第1ポジションとすることにより排紙フレーム40を退避状態として第2の搬送経路「マル2」を使用した剛性被記録材Gに対する印刷を行うことができる。このように多種類の被記録材に対して確実に印刷を行うことができる。
また、第2の搬送経路「マル2」を使用し、例えばCD−R等に対して印刷を行う場合においては、排紙フレーム40は被記録材スタッカ50の変位に連動して退避状態となっているため、CD−R等に排紙従動ローラ(21b、22b)が当接することなく印刷を行うことができる。
また、ユーザーは被記録材スタッカ50のポジションを変位させることのみで排紙フレーム40を対応する状態に変位させることができるので、その操作が極めて容易であり、操作ミスを生じるおそれがないとともに、装置構成を簡易なものとすることができる。
<3.搬送従動ローラ変位リンク機構及びプラテンギャップ変位リンク機構の構成>
次に、搬送従動ローラ変位リンク機構及びプラテンギャップ変位リンク機構について説明する。
ここで、図9は本実施形態における搬送従動ローラ変位リンク機構200及びプラテンギャップ変位リンク機構300の説明に供する要部斜視図であり、図10は搬送従動ローラ変位リンク機構200の説明に供する要部斜視図であり、図11はプラテンギャップ変位リンク機構300の説明に供する要部斜視図であり、図12から図14は搬送従動ローラ変位リンク機構200及びプラテンギャップ変位リンク機構300の動作説明に供する要部側面図である。
なお、被記録材スタッカ50のポジションに着目した場合、図9、図10及び図12は第2ポジションである場合を示し、図11、図13及び図14は第1ポジションである場合を示すものである。さらに、ここで説明する搬送従動ローラ変位リンク機構200及びプラテンギャップ変位リンク機構300は、上述した排紙フレーム変位リンク機構100とは反対側である、プリンタ1を装置前面側から視た場合における被記録材スタッカ50の装置左側に配設されている。すなわち、これらの図9から図14はプリンタ1を左側方から視たものである。
プリンタ1は、図9に示すように、操作部としての操作レバー32を操作することにより搬送従動ローラホルダ18を揺動させて搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aから離間させる搬送従動ローラ変位リンク機構200、及び被記録材スタッカ50のポジションに連動してキャリッジガイド軸12を変位させることにより、当該キャリッジガイド軸12に支持されているキャリッジ10に搭載された記録ヘッド13とプラテン28との距離であるプラテンギャップ(PG)を調整するプラテンギャップ変位リンク機構300を備えている。
まず、図9及び図10を参照しつつ、搬送従動ローラ変位リンク機構200について説明する。ここで、図9はプリンタ1の要部斜視図であって搬送従動ローラ変位リンク機構200及びプラテンギャップ変位リンク機構300を示したものであり、図10は図9と異なる角度からみたプリンタ1の要部斜視図であって搬送従動ローラ変位リンク機構200を示し、プラテンギャップ変位リンク機構300を省略したものである。
搬送従動ローラ変位リンク機構200は、操作部として装置前面左側(被記録材スタッカ50の左側)に設けられた操作レバー32と、第3伝達部品33と、第4伝達部品34を有している。
操作レバー32は、揺動軸32aを中心として約90度、揺動可能に構成されている。この操作レバー32には、その上流側の本体部32cに形成された係合部33aを介して棒状の第3伝達部品33が取り付けられている。また、第3伝達部品33には、係合部33bを介して第4伝達部品34が取り付けられており、当該第4伝達部品34には前記したカム回動軸31が固定されて取り付けられている。なお、操作レバー32は図示しない付勢部材(例えば、ゴム材)により上流側(装置本体部側)に向けて弱く付勢されており、これにより不要な揺動が規制されるようになっている。
このような構成により、操作レバー32の操作によって第3伝達部品33及び第4伝達部品34を介してカム回動軸31を回動させることによって搬送従動ローラホルダ18を付勢力に抗して揺動させ、搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aから離間させることができる。
すなわち、操作レバー32の操作部32bを上流側(装置奥手側)に回動させた場合には、上述した付勢手段により搬送従動ローラホルダ18を接触状態として搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aに接触させることができる(図1参照)。また、操作レバー32の操作部32bを下流側(装置手前側)に回動させた場合には、搬送従動ローラホルダ18を付勢力に抗して揺動させることで離間状態とし、搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aから離間させることができる(図2参照)。
また、操作レバー32の本体部32cは、後述する作動部材90の内側に形成された空間部に配設されている。このような構成により、被記録材スタッカ50が第2ポジションにある場合には操作レバー32の操作が規制され、もって、搬送従動ローラ変位リンク機構200の動作が規制されて搬送従動ローラホルダ18が接触状態で維持されるようになっている。そして、被記録材スタッカ50が第1ポジションとなることに伴って作動部材90が上方に移動した場合にのみ操作レバー32を操作することができるようになっている。
次に、図9及び図11を参照しつつ、プラテンギャップ変位リンク機構300について説明する。ここで、図11はプリンタ1の要部斜視図であり、プラテンギャップ変位リンク機構300を示し、搬送従動ローラ変位リンク機構200及びガイドカバー96の一部を省略して示したものである。
プラテンギャップ変位リンク機構300は、被記録材スタッカ50から側方に突出した係合軸52を軸支する作動部材90と、第1伝達部品91と、第2伝達部品92と、回転体93を有している。
作動部材90は、互いに平行に設けられた被記録材スタッカ50側の第1側部90aと外側の第2側部90bを有しており、下流側からみた場合に上に凸となる「U」字型に配設されている。そして、第1側部90aに前記係合軸52が軸支された構成となっており、被記録材スタッカ50に連動(追動)して装置上下方向に変位することができるようになっている。また、被記録材スタッカ50と作動部材90との間に配設され、図11においてはその一部を省略して示してあるガイドカバー96の壁部96bには、係合軸52の移動路96aが装置上下方向に延在して形成されている。なお、作動部材90は、ガイドカバー96の内面に沿って装置前後方向及び装置左右方向への不要な動きが規制されている。
また、作動部材90の第2側部90bには、係合部91aを介して側面視「V」字型の第1伝達部品91が揺動支点91bを支点として揺動可能に取り付けられている。なお、揺動支点91bはガイドカバー96に揺動可能に軸支されている。また、第1伝達部品91には、係合部92aを介して直線形状の第2伝達部品92が取り付けられ、さらに、当該第2伝達部品92には所定の遊びをもった係合部93aを介して回転体93が取り付けられている。回転体93は、偏心ブッシュ部94を介して、自らの回動中心から偏った位置でキャリッジガイド軸12を支持した構成となっている。
このような構成により、被記録材スタッカ50の変位によって、作動部材90、第1伝達部品91及び第2伝達部品92を介して回転体93を回動させることにより、当該回転体93の回動中心から偏った位置で支持されているキャリッジガイド軸12を装置上下方向に変位させることができるようになっている。これにより、PGを調整することができる。
すなわち、被記録材スタッカ50が第2ポジションである場合には、キャリッジガイド軸12を垂直下方向(すなわち、プラテン28に接近する方向)に変位させてキャリッジ10をNポジションとすることでプラテンギャップをPGノーマルに調整し、また、被記録材スタッカが第1ポジションである場合には、キャリッジガイド軸12を垂直上方向(すなわち、プラテン28から離間する方向)に変位させてキャリッジ10を++ポジションとすることでプラテンギャップをPG++に調整している。
このように被記録材に応じてプラテンギャップを調整することによって、被記録材の厚みによらず当該被記録材の記録面と記録ヘッド13との距離(ペーパーギャップ)を適宜調整することができ、もって良好な印刷品質を得ることができる。また、被記録材が厚みのあるCD−R等の剛性被記録材Gである場合にはPG++に設定することにより、当該剛性被記録材Gと記録ヘッド13との接触を回避することができる。
なお、回転体93の近傍にはセンサー(図示せず)が設けられており、当該回転体93の回転を検知することでキャリッジ10のポジションを認識することができるようになっている。
ここで、搬送従動ローラ変位リンク機構200及びプラテンギャップ変位リンク機構300の動作について、図12から図14を参照しつつ説明する。ここで、図12から図14は搬送従動ローラ変位リンク機構200、プラテンギャップ変位リンク機構300及び被記録材スタッカ50を示すものである。また、説明の便宜上、被記録材スタッカ50の動作を基に説明し、かつ、被記録材スタッカ50を第2ポジション(図12参照)から第1ポジション(図13、図14参照)に変位させる場合について説明し、プリンタ1の全体状態においては図1及び図2を適宜参照する。
図12に示す如く被記録材スタッカ50が第2ポジションである場合には、キャリッジ10をNポジションとするようにキャリッジガイド軸12が維持されており、また、搬送従動ローラホルダ18は接触状態に維持されている(図1参照)。なお、上述したように排紙フレーム40は当接状態となっている。
また、操作レバー32は作動部材90により操作が規制されている。すなわち、作動部材90が操作レバー32の本体部32cを上方から規制しており、これにより操作レバー32の回動が規制されている。従って、操作レバー32を操作して搬送従動ローラ変位リンク機構200を作用させることができず、もって、被記録材スタッカ50が第2ポジションである場合には、搬送従動ローラホルダ18は搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aに接触させた接触状態に維持される。
このような状態から被記録材スタッカ50を一旦、係合軸52を中心として装置本体部側に回動(図12において反時計回り方向)させて略垂直姿勢としたのち、上方に持ち上げる。これにより、作動部材90も追動して上方に持ち上げられるとともに、第1伝達部品91が揺動支点91bを中心として上流側(図12において反時計回り方向)に揺動する。この第1伝達部品91の動きに連動して第2伝達部品92を介して回転体93が上流側(図12において反時計回り方向)に回転し、この回転体93の回動中心から偏った位置で偏心ブッシュ94を介して軸支されているキャリッジガイド軸12を上方(すなわち、キャリッジ10をプラテン28から離間させる方向)に変位させ、キャリッジ10を++ポジションへと変位させる。そして、被記録材スタッカ50を下流側に回動させることにより、図13に示す状態とすることができる。
このように、被記録材スタッカ50を第2ポジションから第1ポジションに変位させることにより、キャリッジ10をNポジションから++ポジションへと変位させて、プラテンギャップをPGノーマルからPG++に切り換えることができる。すなわち、被記録材スタッカ50が第1ポジションである場合には、プラテンギャップをPG++に設定することができる。なお、上述したように、被記録材スタッカ50が第1ポジションとなることによって、排紙フレーム40は退避状態となる。
なお、被記録材スタッカ50の第1ポジションは、図11に示す如く、係合軸52がガイドカバー96に形成された移動路96aの最上部に位置づけられるとともに、ネジリバネ97によって回転体93を反時計回り方向に付勢することによって保たれている。また、この第1ポジションにおける被記録材スタッカ50の略水平な姿勢は、ガイドカバー96に一体形成された被係止部96cに、被記録材スタッカ50に一体形成された係止部50cが係合することによって保持されている。
また、図13に示す如く、被記録材スタッカ50に連動して作動部材90が持ち上げられることにより、操作レバー32の規制が解除される。すなわち、操作レバー32の操作は、被記録材スタッカ50が第1ポジションである場合にのみ可能となるように構成されている。
次に、操作レバー32を操作して、搬送従動ローラ変位リンク機構200を作用させる場合について説明する。
図13に示す如く、被記録材スタッカ50が第1ポジションにある状態において、揺動軸32aを中心として操作レバー32を下流側である装置手前側(図13において時計回り方向)に揺動させる。これにより、第3伝達部品33を介して第4伝達部品34がカム回動軸31を中心として回動し、図14に示す状態とすることできる。このカム回動軸31の回動によって、上述したようにカム部材36がカムフォロア部18bに当接して搬送従動ローラホルダ18が付勢力に抗して揺動し離間状態に変位する。このようにして搬送従動ローラ19bを搬送駆動ローラ19aから離間させることができる(図2参照)。
また、図14に示す如く、被記録材スタッカ50が第1ポジションであり、かつ操作レバー32が装置手前側に揺動した状態(すなわち、搬送従動ローラホルダ18が離間状態である状態)から被記録材スタッカ50を第2ポジションに向けて変位させた場合には、一気に図12に示す状態となり、作動部材90の下降に伴って操作レバー32が装置本体部側に強制的に揺動して搬送従動ローラ変位リンク機構200を介して搬送従動ローラホルダ18を接触状態に変位させるとともに、プラテンギャップ変位リンク機構300を介してキャリッジ10がNポジションに移動してプラテンギャップがPGノーマルに設定される。
以上説明したように、プリンタ1は被記録材スタッカ50のポジションに連動させて排紙フレーム40、プラテンギャップ及び搬送従動ローラホルダ18の状態を変位させることができるように構成されている。
すなわち、被記録材スタッカ50が第2ポジションである場合には、図1に示す如く排紙フレーム40を当接状態とし、キャリッジ10をNポジションに位置させることでプラテンギャップをPGノーマルに設定し、さらに搬送従動ローラホルダ18を接触状態とする。
また、被記録材スタッカ50が第1ポジションである場合には、図2に示す如く排紙フレーム40を退避状態とし、キャリッジ10を++ポジションに位置させることでプラテンギャップをPG++に設定し、さらに搬送従動ローラホルダ18を離間状態とすることができる。
従って、ユーザーは被記録材スタッカ50及び操作レバー32を操作することで印刷の目的に応じて排紙フレーム40、プラテンギャップ及び搬送従動ローラホルダ18を最適な状態に設定することができ、操作性が極めて高い。
次に、プラテンギャップ変位リンク機構300の他の実施形態について、図15を参照しつつ説明する。なお、同様な機能をする部材については図11と同一の符合を付し、説明を省略する。
この形態においては、図示するように作動部材90、第1伝達部材91及び第2伝達部材92の形状が先の実施形態(図11参照)と異なっている。このような形状とすることにより、図示しない部材との調整がスムーズとなり、より効率的にプラテンギャップ変位リンク機構300を動作させることができる。