JP5092552B2 - 燃料電池用触媒層の製造方法及び燃料電池 - Google Patents

燃料電池用触媒層の製造方法及び燃料電池 Download PDF

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Description

本発明は、燃料電池用触媒層の製造方法及び燃料電池に関し、特に、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素とが反応しやすい形態の燃料電池用触媒層を製造可能な、燃料電池用触媒層の製造方法、及び、当該製造方法によって製造された触媒層を備える燃料電池に関する。
燃料電池は、電解質層(以下、「電解質膜」という。)と、電解質膜の両側にそれぞれ配置される電極(アノード及びカソード)とを備える膜電極構造体(以下、「MEA(Membrane Electrode Assembly)」ということがある。)における電気化学反応により発生した電気エネルギーを、MEAの両側にそれぞれ配設される集電体を介して外部に取り出す装置である。燃料電池の中でも、家庭用コージェネレーション・システムや自動車等に使用される固体高分子型燃料電池(以下、「PEFC(Polymer Electrolyte Fuel Cell)」という。)は、低温領域での運転が可能である。また、PEFCは、高いエネルギー変換効率を示し、起動時間が短く、かつシステムが小型軽量であることから、電気自動車の動力源や携帯用電源として注目されている。
PEFCの単セルは、電解質膜と、少なくとも触媒層を備えるアノード及びカソードと、を含み、その理論起電力は1.23Vである。PEFCでは、アノードに水素含有ガスが、カソードに酸素含有ガスが、それぞれ供給される。アノードへと供給された水素は、アノードの触媒層(以下、「アノード触媒層」という。)に含まれる触媒上でプロトンと電子に分離し、水素から生じたプロトンは、アノード触媒層及び電解質膜を通ってカソードの触媒層(以下、「カソード触媒層」という。)へと達する。一方、電子は、外部回路を通ってカソード触媒層へと達し、かかる過程を経ることにより、電気エネルギーを取り出すことが可能になる。そして、カソード触媒層へと達したプロトン及び電子と、カソード触媒層へと供給される酸素とが反応することにより、水が生成される。
このように、PEFCから電気エネルギーを取り出すには、アノード触媒層に含まれる触媒上へ水素が供給され、当該触媒上における電気化学反応により生じたプロトンがカソード触媒層に含まれる触媒上へと移動し、カソード触媒層に含まれる触媒上へと供給された酸素とプロトン及び電子とが反応する必要がある。したがって、PEFCの発電性能を向上させるためには、水素又は酸素と、触媒と、プロトン伝導性物質の界面(厳密には電子、プロトンと水素または酸素が供給される触媒上の場所であり、以下「三相界面」と記載する)を増加させることが重要であり、当該三相界面における触媒の表面積を見積もる方法の一つとして、サイクリックボルタンメトリーの水素の脱離時の電荷量から触媒の電気化学的表面積(ECSA)を測定する方法があり、このECSAを増加させることが重要である。さらに、アノード触媒層の三相界面で生じたプロトンが、カソード触媒層へと伝導されやすい形態とすることも重要である。
PEFCの発電性能を向上させることを目的とした技術は、これまでにいくつか開示されてきている。例えば、特許文献1には、触媒金属と、前記触媒金属を担持する導電性担体と、プロトン導電性部材とを含有する触媒層を含む電極において、前記触媒層は疎水性粒子担持親水性粒子を含有することを特徴とする電極が開示され、さらに、当該電極を用いてなる燃料電池も開示されている。そして、特許文献1に開示されている技術によれば、触媒層に親水性粒子表面に疎水性粒子を担持させた疎水性粒子担持親水性粒子を含むことにより、電極の親水性と疎水性とを最適化することができる、としている。さらに、疎水性粒子担持親水性粒子を含む特許文献1の電極を用いた燃料電池は、反応ガスの拡散性を均一化させることができ、これにより高い発電効率を得ることができるだけでなく、触媒層内の水分量を最適な状態で保持できることにより広範囲な加湿条件に対応することができる、としている。
また、特許文献2には、液体媒体中の1種類以上の触媒物質と1種類以上のプロトン伝導性ポリマーの混合物を含んでなり、その液体媒体が水系であって本質的に有機物成分を含まないことを特徴とするインクが開示されている。さらに、特許文献2には、水系又は有機系の液体媒体中で1種類以上の触媒と1種類以上のプロトン伝導性ポリマーを混合し、次いで必要により有機物媒体を本質的に水系の媒体に移行させることを特徴とする上記インクを作成する方法が開示されている。
特開2005−174835号公報 特開平8−259873号公報
しかし、特許文献1に開示されている技術によって製造される電極、及び、特許文献2に開示されている技術によって製造されるインクは、プロトンが伝導され難いか、又はプロトンと酸素とが反応し難く、これらの技術によって製造された触媒層を備える燃料電池の発電性能を向上させ難いという問題があった。
そこで本発明は、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素が反応しやすい形態の燃料電池用触媒層を製造可能な、燃料電池用触媒層の製造方法、及び、当該製造方法によって製造された触媒層を備える燃料電池ことを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段をとる。すなわち、
第1の本発明は、電解質樹脂と担体との質量比Pと、触媒金属の電気化学的表面積(ECSA)との関係を調べ、電気化学的表面積(ECSA)の最大値Xを導出する、最大値導出工程と、最大値導出工程後に、触媒金属が担体に担持された触媒金属担持担体と、電解質樹脂とを、電気化学的表面積(ECSA)が0.8X以上X以下となる質量比Pで混合することにより、第1インク状物質を作製する、第1インク作製工程と、第1インク作製工程によって作製された第1インク状物質と、電解質樹脂とを混合することにより、第2インク状物質を作製する、第2インク作製工程と、第2インク作製工程によって作製された第2インク状物質、を用いて作製した触媒インクを塗布する、塗布工程と、を備えることを特徴とする、燃料電池用触媒層の製造方法である。
本発明において、「電解質樹脂」とは、PEFCに備えられる電解質膜を構成する樹脂として使用可能な、プロトンを伝導するポリマー(プロトン伝導性ポリマー)を意味する。電解質樹脂の具体例としては、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基のうち一種を有するポリマー(例えば、Nafion等(「Nafion」及び「ナフィオン」は米国デュポン社の登録商標。以下において、単に「Nafion」又は「ナフィオン」ということがある。)のほか、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするポリマー等を挙げることができる。さらに、「担体」とは、アノード触媒層及び/又はカソード触媒層(以下、単に「触媒層」ということがある。)において、触媒金属が過度に凝集することを抑制すること等を目的として用いられる電子伝導性物質を意味する。担体の具体例としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、及び、カーボンナノチューブ等に代表される炭素材料のほか、炭化ケイ素等に代表される炭素化合物等を挙げることができる。さらに、「電気化学的表面積(ECSA)」とは、触媒金属と電解質樹脂との界面における、プロトンと電子が到達可能な触媒金属の表面積を意味する。さらに、「触媒金属」とは、燃料電池内で生じる電気化学反応の触媒として機能し得る物質を意味する。触媒金属の具体例としては、Ptのほか、Co、Ru、Ir、Au、Ag、Cu、Ni、Fe、Cr、Mn、V、Ti、Mo、Pd、Rh、Wからなる群より選択される1以上の金属とPtとを有するPt合金等を挙げることができる。さらに、「触媒金属担持担体と、電解質樹脂とを、電気化学的表面積(ECSA)が0.8X以上X以下となる質量比Pで混合することにより、第1インク状物質を作製する」とは、例えば、電気化学的表面積(ECSA)が0.8X以上X以下となる上記質量比Pの値が、0.5以上1.1以下である場合には、質量比Pの値が0.5以上1.1以下となるような分量比の触媒金属担持担体と電解質樹脂とを純水等の溶媒中で混合することにより、第1インク状物質を作製することを意味する。さらに、「第2インク状物質、を用いて作製した触媒インク」とは、塗布工程で使用される触媒インクを作製する際に、第2インク状物質が原料として用いられることを意味する。塗布工程の具体的な形態例としては、触媒インクとしての第2インク状物質を塗布する形態のほか、第2インク状物質に炭素数3以下のアルコール(例えば、エタノール等)を添加し遠心攪拌等により混合して作製される触媒インクを塗布する形態等を挙げることができる。
上記第1の本発明において、電解質樹脂がフッ素系の電解質樹脂であり、担体が炭素材料であり、触媒金属がPtであることが好ましい。
ここに、「フッ素系の電解質樹脂」とは、含フッ素高分子を骨格として少なくともスルホン酸基、ホスホン酸基、及びリン酸基のうち一種を有するポリマーを意味し、フッ素系の電解質樹脂の具体例としては、Nafion等を挙げることができる。さらに、「炭素材料」の具体例としては、カーボンブラック、ケッチェンブラック、及び、カーボンナノチューブ等を挙げることができる。
第2の本発明は、電解質膜と、電解質膜の一方の側に配設される第1触媒層と、電解質膜の他方の側に配設される第2触媒層とを備える膜電極構造体と、膜電極構造体の一方の側及び他方の側にそれぞれ配設される集電体と、を備え、第1触媒層及び/又は第2触媒層が、上記第1の本発明にかかる燃料電池用触媒層の製造方法によって製造されていることを特徴とする、燃料電池である。
ここに、「電解質膜」とは、上記電解質樹脂を備える固体高分子膜を意味する。さらに、「集電体」は、アノード側の集電又はカソード側の集電を行うことが可能な、電子伝導性物質を意味し、平板型のPEFCにおけるセパレータ等を例示することができる。本発明の燃料電池における集電体は、上記セパレータを構成し得る材料により形成することができる。
第1の本発明によれば、第1インク作製工程により、ECSAが0.8X以上X以下の第1インク状物質が作製され、当該第1インク状物質と電解質樹脂とを混合することにより、第2インク状物質が作製される。すなわち、第1の本発明では、第1インク作製工程によって、含有される触媒金属の多くが電気化学反応の触媒として利用し得る形態とされ、続く第2インク作製工程によって、インク状物質内に電解質樹脂の凝集体が配置され、触媒金属上で発生したプロトンが伝導されやすい形態とされる。したがって、第1の本発明によれば、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素が反応しやすい形態の燃料電池用触媒層を製造可能な、燃料電池用触媒層の製造方法を提供できる。
さらに、第1の本発明において、電解質樹脂をフッ素系の電解質樹脂とし、担体を炭素材料とするとともに、触媒金属をPtとすることにより、上記効果が顕著になる。
第2の本発明によれば、上記第1の本発明にかかる燃料電池用触媒層の製造方法によって製造された触媒層が、燃料電池に備えられるので、燃料電池のプロトン伝導性能を向上させることができる。したがって、第2の本発明によれば、発電性能を向上させることが可能な燃料電池を提供できる。
燃料電池では、電気化学反応により生じた電気エネルギーを取り出している。そのため、燃料電池の発電性能を向上させるには、多くの電気化学反応を生じさせること、すなわち、三相界面における触媒金属の表面積を大きくすることが重要であり、さらに、当該三相界面で生じたプロトンが伝導されやすい形態とすることが重要である。
これまでに、燃料電池の発電性能を向上させること等を目的とした研究はいくつか行われてきているが、従来の方法により製造した燃料電池用触媒層では、プロトンが生じやすい形態にするとプロトンが伝導され難い形態になり、プロトンが伝導されやすい形態にするとプロトンが生じ難い形態になりやすいという問題があった。それゆえ、プロトンが生じやすく、かつ、プロトンが伝導されやすい形態の燃料電池用触媒層を製造可能な、燃料電池用触媒層の製造方法の開発が望まれている。
本発明はかかる観点からなされたものであり、その第1の要旨は、ECSAが大きい形態のインク状物質を作製した後に、当該インク状物質に電解質樹脂の凝集体を配置することによって、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素が反応しやすい形態の燃料電池用触媒層を製造可能な、燃料電池用触媒層の製造方法を提供することにある。加えて、本発明の第2の要旨は、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素が反応しやすい形態の燃料電池用触媒層が備えられる形態とすることで、発電性能を向上させることが可能な燃料電池を提供することにある。
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について具体的に説明する。なお、以下の説明では、触媒金属としてPtが、担体としてカーボンブラック(以下、「C」と表記することがある。)が、電解質樹脂としてNafionが用いられる形態を主に例示するが、本発明は当該形態に限定されるものではない。以下の説明において、触媒金属担持担体を「Pt/C」と表記することがある。
1.燃料電池用触媒層の製造方法
図1は、本発明の燃料電池用触媒層の製造方法(以下、「本発明の製造方法」という。)の形態例を示すフローチャートである。図2は、質量比Pと触媒金属1g当たりのECSAとの関係を示す概念図である。図3は、CV測定(サイクリックボルタンメトリ(cyclic voltammetry)測定)によって得られる波形の形態例を示す図である。図4は、触媒金属担持担体の凝集体の形態例を示す概念図である。図4(a)は、第1インク作製工程で作製される第1インク状物質の形態例を示す概念図であり、図4(b)は、第2インク作製工程で作製される第2インク状物質の形態例を示す概念図である。
図1に示すように、本発明の製造方法は、最大値導出工程(工程S1)と、第1インク作製工程(工程S2)と、第2インク作製工程(工程S3)と、塗布工程(工程S4)と、を備えている。
<最大値導出工程S1>
工程S1は、インク状物質に含有される電解質樹脂(Nafion)と担体(C)との質量比Pと、当該インク状物質に含有される触媒金属(Pt)の電気化学的表面積(ECSA)との関係を調べ、ECSAの最大値Xを導出する工程である。質量比PとECSAとの間には、図2で示すような関係が認められる。したがって、複数の質量比Pに対応するECSAを調べ、図2に示すような曲線を作成することにより、ECSAの最大値Xを導出することができる。質量比Pに対応するECSAは、CV測定(サイクリックボルタンメトリ(cyclic voltammetry)測定)によって得られる波形から導出可能な、水素脱離領域の面積(図3にYで示す部位の面積)とすることができる。
<第1インク作製工程S2>
ECSAが0.8X以上X以下となる質量比Pの範囲を、P1≦P≦P2とするとき(図2参照)、工程S2は、P1≦P≦P2となる分量比の触媒金属担持担体(Pt/C)及び電解質樹脂(Nafion)を、溶媒(例えば、純水等)の中で混合・分散することにより、第1インク状物質を作製する工程である。工程S2における混合方法の具体例としては、遠心攪拌等を挙げることができ、分散方法の具体例としては、スターラー等を用いた攪拌や超音波ホモジナイザーによる分散等を挙げることができる。なお、攪拌を強力に行うことで分散方法とすることもできる。Pt/CのCとNafionとの質量比Pが、P1≦P≦P2のとき、当該インク状物質のECSAは0.8X以上X以下となるので、工程S2によれば、多くの触媒金属(Pt)と電解質樹脂(Nafion)とが接触した形態の第1インク状物質を作製できる。
P1≦P≦P2の場合に、ECSAが0.8X以上X以下となり、質量比PがP1未満の場合や質量比PがP2を超えるとECSAが減少する理由を、図4(a)を参照しつつ説明する。複数の触媒金属(Pt)1、1、…が担体(C)2、2、…に担持された触媒金属担持担体(Pt/C)3、3、…と電解質樹脂(Nafion)4とが分散された溶媒(純水)内において、触媒金属担持担体3、3、…は、Pt/Cが数個集まった一次凝集体がさらに集まった二次凝集体10(以下「凝集体10」という事がある。)の形態で存在し、凝集体10には、細孔5が備えられる。
質量比PがP1未満であることにより、純水中に分散された電解質樹脂4が少ない場合には、触媒金属1、1、…と接触し得る電解質樹脂4が少ないため、ECSAが小さくなる。一方、質量比PがP1以上P2以下であることにより、純水中に分散された電解質樹脂4が適切な量である場合、純水中においていわゆるミセル状で存在する電解質樹脂4は、その大きさが小さく、細孔5の中へ入り込むことができるので、電解質樹脂4と接触する触媒金属1、1、…を増やすことができる。それゆえ、P1≦P≦P2の時に、ECSAが0.8X以上X以下になると考えられる。他方、質量比PがP2を超えることにより、純水中に分散された電解質樹脂4が多くなると、電解質樹脂4が凝集状態で存在しやすくなり、細孔5の中へ入り込むことが困難になる。それゆえ、P>P2となると、電解質樹脂4と接触する触媒金属1、1、…が減り、ECSAが低下すると考えられる。
以上より、工程S2によれば、多くのPtがNafionと接触するので、ECSAが大きい(プロトンが生じやすい)第1インク状物質を作製できる。ただし、上述のように、工程S2の溶媒中に含まれるNafionは小さいので、Pt上に配置されるNafionは厚さが薄い。それゆえ、工程S2によって作製された第1インク状物質を塗布して触媒層を作製しても、プロトンの伝導経路として機能するNafionが薄く、プロトンが伝導されやすい形態とすることは難しい。そこで、本発明では、当該工程S2の後に後述する工程S3が備えられる形態とし、この問題点を改善している。
なお、工程S2では、純水等の溶媒中でPt/CとNafionとを超音波ホモジナイザー等を用いて分散した後、スターラー等を用いて12時間以上攪拌すると、多くのNafionが上記細孔5の中へ入り込み、ECSAが大きい第1インク状物質を作製できるので好ましい。また、疎水性のPt/Cの場合は、Pt/CとNafionとを混合し、分散する際に用いられる溶媒は、親水性の溶媒(例えば、純水等)とすることができる。純水の中でPt/CとNafionとを混合し、分散すると、Nafionの親水基が純水側へ向くとともに、疎水基がPt/C側へ向き、Pt/Cの細孔内にNafionが配置されやすくなる結果、ECSAが大きい第1インク状物質を作製しやすくなると考えられる。またPt/Cが親水性の場合は、それに応じた溶媒を選択することができる。
本発明の製造方法において、電解質樹脂がNafionであり、担体がCであり、触媒金属がPtである場合、P1=0.5、P2=1.1である。
<第2インク作製工程S3>
工程S3は、上記工程S2で作製された第1インク状物質と、電解質樹脂(Nafion)とを、溶媒(例えば、純水等)の中で混合することにより、第2インク状物質を作製する工程である。工程S3における混合方法の具体例としては、遠心攪拌等を挙げることができる。
上述のように、上記工程S2によって、ECSAが大きい第1インク状物質が作製され、かかる第1インク状物質と電解質樹脂(Nafion)とを工程S3で混合する。工程S3によれば、図4(b)で示すように、凝集体10の外側表面に、プロトンの伝導経路として機能する電解質樹脂(Nafion)の凝集体が配置された、第2インク状物質を作製できる。ここで、「凝集体10の外側」とは、細孔5の内側以外の部位を意味する。
本発明の製造方法において、工程S3によって作製された第2インク状物質に含まれる、電解質樹脂と担体との質量比PをP3とするとき、P3の値は特に限定されるものではない。ただし、プロトンの伝導性能を向上させ得る形態の第2インク状物質とする観点から、P2≦P3とすることが好ましい。他方、ガス拡散性を高くするという観点から、P3の上限値が決定される。なお、本発明の製造方法において、電解質樹脂がNafionであり、担体がCであり、触媒金属がPtである場合、P3=1.4程度とすることにより、ECSAが大きく(プロトンが生じやすく)、かつ、プロトンが伝導されやすい形態の第2インク状物質を作製できる。
<塗布工程S4>
工程S4は、上記工程S3で作製された第2インク状物質を用いて作製される触媒インクを塗布することにより、燃料電池用触媒層(以下、単に「触媒層」という。)を形成する工程である。ここで、Pt/CとNafionとを純水中で混合・分散することにより作製された第1インク状物質と、Nafionとを、上記工程S3において純水中で混合することにより、第2インク状物質が作製されている場合、当該第2インク状物質をそのまま塗布すると、電解質膜又は拡散層から剥がれやすい形態の触媒層が形成されやすい。これは、上記形態の工程S2及び工程S3を経て作製された第2インク状物質は、純水の表面張力により、塗布される第2インク状物質の粒の大きさが大きくなるためと考えられる。剥がれやすい形態の触媒層が燃料電池に備えられると、触媒層と電解質膜との接触界面における接触抵抗、又は、触媒層と拡散層との接触界面における接触抵抗が増大するため、燃料電池の発電性能が低下する。そこで、上記工程S2において、Pt/CとNafionとを純水中で混合・分散することにより第1インク状物質が作製され、上記工程S3において、第1インク状物質とNafionとを純水中で混合することにより第2インク状物質が作製されている場合には、当該第2インク状物質に、炭素数3以下のアルコール(例えば、エタノール等)を添加して作製した触媒インクを塗布して触媒層を形成することが好ましい。このようにすれば、塗布される触媒インクの粒の大きさが小さくなるので、触媒インクを均一に塗布することが容易になり、電解質膜や拡散層から剥がれ難い形態の触媒層を形成できる。
本発明において、触媒インクの原料として第2インク状物質が用いられていれば、工程S4の形態は特に限定されない。工程S4の形態例としては、電解質膜に第2インク状物質(又は上記触媒インク)を塗布して触媒層を形成する形態、拡散層に第2インク状物質(又は上記触媒インク)を塗布して触媒層を形成する形態のほか、テフロンシート(「テフロン」は米国デュポン社の登録商標。以下同じ。)等の基材上に第2インク状物質(又は上記触媒インク)を塗布して触媒層を形成する形態等を挙げることができる。さらに、第2インク状物質又は触媒インクを塗布する方法の具体例としては、刷毛塗りやスプレー塗布のほか、スクリーン印刷、キャスト法等を挙げることができる。
このように、上記工程S1〜S4を備える本発明の製造方法によれば、ECSAが大きく、かつ、触媒金属担持担体の外側に電解質樹脂の凝集体が配置された形態の触媒層が製造されるので、本発明によれば、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素が反応しやすい形態の触媒層を製造可能な、燃料電池用触媒層の製造方法を提供できる。
2.燃料電池
図5は、本発明の燃料電池の形態例を概略的に示す断面図であり、単セルの一部を拡大して示している。図5の紙面左右方向が、集電体の積層方向である。以下、図5を参照しつつ、本発明の燃料電池について具体的に説明する。なお、以下の説明では、Nafionを含有する電解質膜(Nafion膜)が備えられる形態を例示するが、本発明の燃料電池は当該形態に限定されるものではない。本発明の燃料電池は、ポリオレフィンのような炭化水素を骨格とするポリマーを含有する電解質膜が備えられる形態とすることも可能である。
図5に示すように、本発明の燃料電池100は、電解質膜(Nafion膜)51と、当該電解質膜51の一方の側に形成されるアノード触媒層52a及び他方の側に形成されるカソード触媒層53aとを備えるMEA54と、アノード触媒層52a側に配設されるアノード拡散層52b及びカソード触媒層53a側に配設されるカソード拡散層53bと、アノード拡散層52b側に配設される集電体(セパレータ)55及びカソード拡散層53b側に配設される集電体(セパレータ)56と、を備えている。アノード52は、アノード触媒層52a及びアノード拡散層52bを備え、カソード53は、カソード触媒層53a及びカソード拡散層53bを備えている。そして、アノード触媒層52a及びカソード触媒層53aには、Pt/C及びNafionが含有され、アノード拡散層52b及びカソード拡散層53bは、例えばカーボンペーパーにより構成されている。一方、セパレータ55のアノード拡散層52b側の面には、反応ガス流路57、57、…が備えられ、セパレータ56のカソード拡散層53b側の面には、反応ガス流路58、58、…が備えられている。
燃料電池100の作動時には、反応ガス流路57、57、…を介してアノード52へ水素含有ガスが供給されるとともに、反応ガス流路58、58、…を介してカソード53へ酸素含有ガスが供給される。反応ガス流路57、57、…を介して供給された水素含有ガスは、アノード触媒層52aに含有されるPtへと達し、当該Pt上でプロトンと電子に分離する。アノード触媒層52aで生じたプロトンは、アノード触媒層52a及び電解質膜51を経てカソード触媒層53aへと達する一方、電子は、外部回路を経由してカソード触媒層53aへと達する。そして、カソード触媒層53aへと移動してきたプロトン及び電子と、反応ガス流路58、58、…を介してカソード触媒層53aへと供給された酸素含有ガスとが、カソード触媒層53aに含有されるPt上で反応することにより、水が生成される。なお、燃料電池100の作動時には、セパレータ55、56に備えられる熱媒体流路(不図示)内を流れる熱媒体によって、上記電気化学反応が進行し得る温度(例えば80℃前後の温度)に維持される。
ここで、アノード触媒層52a及びカソード触媒層53aは、上記本発明の製造方法によって製造されている。以下に、本発明の燃料電池100の製造工程例を概説する。
燃料電池100に備えられるMEA54は、例えば、上記工程S3で作製された第2インク状物質にエタノールを添加して作製される触媒インクを、電解質膜51の一方の側及び他方の側にそれぞれスプレー塗布して、電解質膜51の一方の側にアノード触媒層52aを、他方の側にカソード触媒層53aをそれぞれ形成させることにより、作製される。こうしてMEA54を作製したら、続いて、一対のカーボンペーパー(アノード拡散層52b及びカソード拡散層53b)の間にMEA54を配置し、これらを熱圧着する等の工程を経ることにより、アノード拡散層52bとMEA54とカソード拡散層53bとを備える積層体を作製できる。そして、当該積層体の一方の側及び他方の側にそれぞれセパレータ55、56を配設することで、燃料電池100を製造できる。
このように、燃料電池100には、本発明の製造方法によって製造されたアノード触媒層52a及びカソード触媒層53aが備えられている。上述のように、本発明の製造方法によって製造される触媒層は、ECSAが大きく、かつ、触媒金属担持担体の外側に電解質樹脂の凝集体が配置されている。そのため、プロトンが伝導されやすく、かつプロトンと酸素が反応しやすい形態とされている。すなわち、燃料電池100の作動時には、アノード触媒層52aのPt上でプロトンが生じやすく、かつ、当該Pt上で生じたプロトンが電解質膜51へと伝導されやすい。そして、電解質膜51からカソード触媒層53aへと伝導されたプロトンが、当該カソード触媒層53aに含有されるPt上へと伝導されやすく、プロトンと酸素が反応しやすい。したがって、燃料電池100によれば、発電性能を向上させることが可能になる。
本発明の燃料電池に関する上記説明では、電解質膜51に触媒インクを塗布することにより形成されるアノード触媒層52a及びカソード触媒層53aが備えられる形態を例示したが、本発明の燃料電池は当該形態に限定されるものではない。本発明の燃料電池にアノード拡散層及びカソード拡散層が備えられる場合には、アノード拡散層及びカソード拡散層のそれぞれの表面に、例えば、上記工程S3で作製された第2インク状物質にエタノールを添加して調整された触媒インクをスプレー塗布する等の方法により、アノード触媒層及びカソード触媒層を形成してもよい。このようにしてアノード触媒層及びカソード触媒層を形成した場合には、アノード触媒層付きアノード拡散層と、カソード触媒層付きカソード拡散層との間に、電解質膜を配置して、これらを熱圧着する等の工程を経ることにより、一対のセパレータによって狭持される積層体を作製できる。
また、本発明の燃料電池に関する上記説明では、触媒インクをスプレー塗布することによってアノード触媒層52a及びカソード触媒層53aが形成される形態を例示したが、本発明は当該形態に限定されるものではない。本発明の製造方法によってアノード触媒層及びカソード触媒層を製造する場合に採り得る、触媒インクの他の塗布方法としては、刷毛塗りやスクリーン印刷のほか、キャスト法等を例示することができる。
また、本発明の燃料電池に関する上記説明では、アノード触媒層52a及びカソード触媒層53aが本発明の製造方法によって製造されている形態を例示したが、本発明の燃料電池は当該形態に限定されるものではなく、アノード触媒層又はカソード触媒層のみが、本発明の製造方法によって製造されていてもよい。ただし、上述のように、本発明の製造方法によれば、プロトンが生じやすく、かつ、プロトンが伝導されやすい形態の触媒層を製造できる。それゆえ、燃料電池の発電性能を容易に向上させ得る構成とする観点から、アノード触媒層及びカソード触媒層が本発明の製造方法によって製造されていることが好ましい。
また、本発明の燃料電池に関する上記説明では、アノード拡散層52b及びカソード拡散層53bが備えられる形態の燃料電池100を例示したが、本発明の燃料電池は当該形態に限定されるものではなく、アノード拡散層及び/又はカソード拡散層が備えられない形態とすることも可能である。アノード拡散層及び/又はカソード拡散層が備えられない場合には、電解質膜に第2インク状物質(又は上記触媒インク)を塗布する等の方法によって、アノード触媒層及び/又はカソード触媒層を形成できる。
以下、実施例を参照しつつ、本発明について具体的に説明する。なお、以下の説明において、Pt/C100質量部に対してPtが21質量部である(79質量部のCに21質量部のPtが担持されることにより、100質量部のPt/Cが構成される)触媒金属担持担体を、「21%Pt/C」と表記し、Pt/C100質量部に対してPtが30質量部である触媒金属担持担体を、「30%Pt/C」と表記する。
1.燃料電池の作製
1.1.実施例1
0.8gの21%Pt/Cと、24gの純水と、5.5gのナフィオン分散溶液(DE1020、和光純薬工業株式会社製)とを遠心攪拌により混合し、さらに、超音波ホモジナイザーで1時間に亘って分散した後、スターラーで12時間に亘って攪拌することにより、第1インク状物質を作製した。第1インク状物質における、NafionとCとの質量比Pは、1.0であった。次に、このようにして作製した第1インク状物質と、2.2gのナフィオン分散溶液(DE1020、和光純薬工業株式会社製)と、6gのエタノールとを遠心攪拌により混合して第2インク状物質を作製した。その後、当該触媒インクを電解質膜(Nafion117)の一方の面へスプレー塗布することにより、実施例1にかかるカソード触媒層を形成した。
一方、1.0gの30%Pt/Cと、3gの純水と、7gのエタノールと、7gのプロピレングリコールと、4gのナフィオン分散溶液(DE2020、和光純薬工業株式会社製)とを、超音波ホモジナイザーで1時間に亘って分散することにより、アノード触媒層用の触媒インクを作製し、当該触媒インクを、テフロン膜(ニトフロンフィルムNo.900UL、日東電工株式会社製)の上へ塗布して触媒層を形成した。そして、この触媒層を、実施例1にかかるカソード触媒層が形成された上記電解質膜の他方の面へ、転写法によって120℃で熱圧着してアノード触媒層を形成することにより、実施例1にかかるMEAを作製した。その後、一対のカーボンペーパーの間に実施例1にかかるMEAを配置し、100℃で熱圧着することにより、実施例1にかかる積層体を作製した。そして、実施例1にかかる積層体の両側に、カーボンセパレータを配設することにより、実施例1にかかる燃料電池を作製した。
1.2.比較例1
0.8gの21%Pt/Cと、24gの純水と、5.5gのナフィオン分散溶液(DE1020、和光純薬工業株式会社製)とを遠心攪拌により混合し、さらに、超音波ホモジナイザーで1時間に亘って分散した後、スターラーで12時間に亘って攪拌することにより、NafionとCとの質量比Pが1.0の第1インク状物質を作製した。そして、この第1インク状物質に6gのエタノールを添加して作製した触媒インクを、電解質膜(Nafion117)の一方の面へスプレー塗布することにより、比較例1にかかるカソード触媒層を形成した。
一方、比較例1にかかるカソード触媒層が形成された上記電解質膜の他方の面へ、上記実施例1にかかるアノード触媒層の形成方法と同様の方法で、アノード触媒層を形成することにより、比較例1にかかるMEAを作製した。その後、一対のカーボンペーパーの間に比較例1にかかるMEAを配置し、100℃で熱圧着することにより、比較例1にかかる積層体を作製した。そして、比較例1にかかる積層体の両側に、カーボンセパレータを配設することにより、比較例1にかかる燃料電池を作製した。
1.3.比較例2
0.8gの21%Pt/Cと、24gの純水と、7.7gのナフィオン分散溶液(DE1020、和光純薬工業株式会社製)とを遠心攪拌により混合し、さらに、超音波ホモジナイザーで1時間に亘って分散した後、スターラーで12時間に亘って攪拌することにより、NafionとCとの質量比Pが1.4の第1インク状物質を作製した。そして、この第1インク状物質に6gのエタノールを添加して作製した触媒インクを、電解質膜(Nafion117)の一方の面へスプレー塗布することにより、比較例2にかかるカソード触媒層を形成した。
一方、比較例2にかかるカソード触媒層が形成された上記電解質膜の他方の面へ、上記実施例1にかかるアノード触媒層の形成方法と同様の方法で、アノード触媒層を形成することにより、比較例2にかかるMEAを作製した。その後、一対のカーボンペーパーの間に比較例2にかかるMEAを配置し、100℃で熱圧着することにより、比較例2にかかる積層体を作製した。そして、比較例2にかかる積層体の両側に、カーボンセパレータを配設することにより、比較例2にかかる燃料電池を作製した。
2.発電性能評価
実施例1にかかる燃料電池、比較例1にかかる燃料電池、及び、比較例2にかかる燃料電池を、それぞれ80℃に維持し、各燃料電池のアノード側に、80℃フル加湿(相対湿度100%。以下同じ。)の水素を、カソード側に80℃フル加湿の空気を、背圧0.1MPaでそれぞれ供給することにより、上記各燃料電池を作動させ、発電性能(IV特性)及びセル抵抗を調べた。電流密度が0.2[A/cm]の時における、セル電圧[V]の結果を、図6に併せて示す。また、電流密度が0.2[A/cm]の時における、セル抵抗[mΩ]の結果を、図7に折れ線グラフで示す。
3.ECSA評価
上記発電性能評価を行った後、実施例1にかかる燃料電池に備えられるカソード触媒層、比較例1にかかる燃料電池に備えられるカソード触媒層、及び、比較例2にかかる燃料電池に備えられるカソード触媒層のそれぞれに対してCV測定を行った。そして、水素脱離領域の面積(図3にYで示す部位の面積)を導出することにより、触媒金属(Pt)1g当たりのECSAを調べた。結果を図7に棒グラフで示す。
4.結果
図7に示すように、実施例1にかかる燃料電池は、電流密度が0.2[A/cm]の時におけるセル抵抗が最も低かった。ここで、電子伝導とプロトン伝導のうち、より抵抗の大きい方の値が、セル抵抗として検出される。Nafion量のみに差を設けた、比較例1にかかる燃料電池の結果と比較例2にかかる燃料電池の結果を比較すると、プロトンの伝導経路として機能するNafion量の多い比較例2にかかる燃料電池の方が、Nafion量の少ない比較例1にかかる燃料電池よりもセル抵抗が少なかった。それゆえ、比較例1にかかる燃料電池及び比較例2にかかる燃料電池では、プロトン伝導の抵抗が、セル抵抗として検出されたと考えられる。そして、カソード触媒層の製造方法のみを変えた実施例1にかかる燃料電池のセル抵抗と、比較例2にかかる燃料電池のセル抵抗とを比較すると、実施例1にかかる燃料電池の方が、比較例2にかかる燃料電池よりもセル抵抗が低かった。したがって、セル抵抗の比較より、本発明の製造方法によれば、プロトンの伝導性能を向上させ得ることが確認された。
一方、図7に示すように、実施例1にかかる燃料電池に備えられるカソード触媒層は、ECSAが最も大きかった。したがって、本発明の製造方法によれば、ECSAが大きい触媒層を製造可能であることが確認された。他方、図6に示すように、実施例1にかかる燃料電池は、電流密度が0.2[A/cm]の時におけるセル電圧が最も大きかった。したがって、本発明の製造方法により製造された触媒層が備えられる形態とすることで、燃料電池の発電性能を向上可能であることが確認された。
本発明の製造方法の形態例を示すフローチャートである。 質量比PとECSAとの関係を示す概念図である。 CV測定によって得られる波形の形態例を示す図である。 触媒金属担持担体の凝集体の形態例を示す概念図である。 本発明の燃料電池の形態例を概略的に示す断面図である。 セル電圧の結果を示す図である。 セル抵抗及びECSAの結果を示す図である。
符号の説明
1 触媒金属
2 担体
3 触媒金属担持担体
4 電解質樹脂
5 細孔
10 凝集体
51 電解質膜
52 アノード
52a アノード触媒層(第1触媒層)
52b アノード拡散層
53 カソード
53a カソード触媒層(第2触媒層)
53b カソード拡散層
54 MEA(膜電極構造体)
55、56 セパレータ(集電体)
57、58 反応ガス流路
100 燃料電池

Claims (3)

  1. 電解質樹脂と担体との質量比Pと、触媒金属の電気化学的表面積との関係を調べ、前記電気化学的表面積の最大値Xを導出する、最大値導出工程と、
    前記最大値導出工程後に、前記触媒金属が前記担体に担持された触媒金属担持担体と、前記電解質樹脂とを、前記電気化学的表面積が0.8X以上X以下となる前記質量比Pとなるように混合することにより、第1インク状物質を作製する、第1インク作製工程と、
    前記第1インク作製工程によって作製された前記第1インク状物質と、前記電解質樹脂とを混合することにより、第2インク状物質を作製する、第2インク作製工程と、
    前記第2インク作製工程によって作製された前記第2インク状物質、を用いて作製した触媒インクを塗布する、塗布工程と、を備えることを特徴とする、燃料電池用触媒層の製造方法。
  2. 前記電解質樹脂がフッ素系の電解質樹脂であり、前記担体が炭素材料であり、前記触媒金属がPtであることを特徴とする、請求項1に記載の燃料電池用触媒層の製造方法。
  3. 電解質膜と、前記電解質膜の一方の側に配設される第1触媒層と、前記電解質膜の他方の側に配設される第2触媒層とを備える膜電極構造体と、前記膜電極構造体の一方の側及び他方の側にそれぞれ配設される集電体と、を備え、
    前記第1触媒層及び/又は前記第2触媒層が、請求項1又は2に記載の燃料電池用触媒層の製造方法によって製造されていることを特徴とする、燃料電池。
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