しかしながら、特許文献1に記載の車両用電源制御装置等の従来の電源制御装置では、バッテリの端子間電圧(又は、バッテリの残存容量)に基づいて、電力を供給する電気負荷である電力供給負荷を設定して制御するため、適切ではない電力供給負荷が設定される場合があった。
例えば、バッテリの端子間電圧が高い(=バッテリの残存容量が多い)場合であっても、発電機から電力が殆ど供給されない状態(例えば、エンジン停止状態、又は、アイドリング状態)で、電力消費量が多い電力供給負荷(=負荷制限をしない状態)に継続して設定される場合には、バッテリの残存容量が減少し、バッテリがあがる虞がある。
特に、バッテリの端子間電圧に基づいて制御する場合には、発電機から電力が供給されていると、バッテリの残存容量が減少しているにも拘わらず、見かけ上、バッテリの端子間電圧が高い状態に維持される虞があり、このような場合には、バッテリがあがる虞が高くなる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、バッテリあがりの可能性を低減することの可能な電源制御装置を提供することにある。
上記目的を達成するために、本発明は、以下の特徴を有している。第1の発明は、エンジンによって駆動される発電機、該発電機によって発生された電力を蓄えるバッテリ、及び、該バッテリ又は前記発電機によって駆動される複数の電気負荷が搭載された車両において、前記複数の電気負荷の中から、前記バッテリ又は前記発電機から電力を供給する電気負荷である電力供給負荷を設定して制御する電源制御装置であって、前記複数の電気負荷は、それぞれ、電力を供給する優先度を示す3段階以上の優先度レベルの内、いずれか1つの優先度レベルが予め設定されており、前記バッテリに蓄積された電力量のレベル、及び、前記発電機によって発生される電力のレベルに基づき、前記3段階以上の優先度レベルの中から1つの優先度レベルを設定し、設定された1つの優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する負荷設定手段と、を備える。
第2の発明は、上記第1の発明において、前記負荷設定手段が、前記発電機によって発生される電力のレベルを、前記車両の車速に基づいて判定する。
第3の発明は、上記第2の発明において、前記負荷設定手段が、前記バッテリに蓄積された電力量のレベルを、前記バッテリの端子間電圧に基づいて判定する。
第4の発明は、上記第3の発明において、前記負荷設定手段が、前記バッテリの端子電圧が予め設定された第1電圧閾値以上となった場合に、予め設定された第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する第1設定手段と、前記第1設定手段によって前記第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、前記車両の車速が予め設定された解除条件を満たすか否かを判定し、該解除条件を満たすと判定された場合に、前記複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷を前記電力供給負荷として設定する第2設定手段と、を備える。
第5の発明は、上記第5の発明において、前記解除条件が、前記車速が予め設定された閾値以上である状態が予め設定された第1時間以上継続したことである。
第6の発明は、エンジンによって駆動される発電機、該発電機によって発生された電力を蓄えるバッテリ、及び、該バッテリ又は前記発電機によって駆動される複数の電気負荷が搭載された車両において、前記複数の電気負荷の中から、前記バッテリ又は前記発電機から電力を供給する電気負荷である電力供給負荷を選択して設定する電源制御装置であって、前記複数の電気負荷が、それぞれ、電力を供給する優先度を示す3段階以上の優先度レベルの内、いずれか1つの優先度レベルが予め設定されており、前記3段階以上の優先度レベルの中から、いずれか1つの優先度レベルを設定し、設定された1つの優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する負荷設定手段と、を備え、前記負荷設定手段が、前記バッテリの端子電圧が予め設定された第1電圧閾値以上となった場合に、予め設定された第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する第1設定手段と、前記第1設定手段によって前記第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、前記車両の車速が予め設定された閾値以上である状態が予め設定された第1時間以上継続したか否かを判定し、前記第1時間以上継続したと判定された場合に、前記複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する第2設定手段と、を備える。
第7の発明は、上記第6の発明において、前記負荷設定手段が、前記バッテリの端子電圧が、前記第1電圧閾値より低く予め設定された第2電圧閾値以下となった場合に、前記第1優先度レベルより高く予め設定された第2優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する第3設定手段を備える。
第8の発明は、上記第7の発明において、前記負荷設定手段が、前記第1設定手段によって第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷に設定された時点から予め設定された第2時間だけ経過するまでに、前記第3設定手段によって第2優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷に設定されることがなかった場合に、前記複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷を、前記電力供給負荷として設定する第4設定手段を備える。
第9の発明は、上記第1の発明において、前記第1優先度レベルが、前記電力供給負荷が該第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷に設定され、且つ、前記エンジンがON状態である場合に、前記発電機によって発生される電力を、前記電力供給負荷によって消費される電力以上とするべく設定されている。
上記第1の発明によれば、バッテリに蓄積された電力量のレベル、及び、発電機によって発生される電力のレベルに基づき、3段階以上の優先度レベルの中から1つの優先度レベルが設定され、設定された1つの優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリあがりの可能性を低減することができる。
ここで、「バッテリに蓄積された電力量のレベル」とは、電力供給負荷を設定する際に参酌されるべき「バッテリに蓄積された電力量の程度」を意味する概念であって、バッテリの残存容量のレベルを意味する概念である。
また、「発電機によって発生される電力のレベル」とは、電力供給負荷を設定する際に参酌されるべき「発電機から供給される電力の程度」を意味する概念であって、発電機からある程度長期間(例えば、1分間以上)に亘って継続的に供給されると推定される電力の平均値のレベルを意味する概念である。
すなわち、バッテリに蓄積された電力量のレベルに加えて、発電機によって発生される電力のレベルに基づいて、3段階以上の優先度レベルの中から1つの優先度レベルが設定されるため、より適正な優先度レベルを設定することができるのである。
例えば、バッテリに蓄積された電力量のレベルが高い(=バッテリの残存容量が多い)場合であっても、発電機によって発生される電力のレベルが低い(=発電機から電力が殆ど供給されない)場合には、発電機によって発生される電力のレベルが高い場合と比較して、優先度レベルを高く設定して、電気負荷の消費電力を抑制することができるので、バッテリあがりの可能性を低減することできる。
上記第2の発明によれば、発電機によって発生される電力のレベルが、車両の車速に基づいて判定されるため、簡素な構成で発電機によって発生される電力のレベルを適正に判定することができる。
すなわち、車速が高い状態にある場合には、発電機によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定されるのである。これに対して、例えば、発電機によって発生される電力を検出して、検出された電力に基づいて、「発電機によって発生される電力のレベル」を判定すると、いわゆる「空ぶかし」等でエンジンの回転数が一時的に上がった場合であって、「発電機によって発生される電力のレベル」が高いと判定してしまい、適正な判定が困難となるのである。
上記第3の発明によれば、バッテリに蓄積された電力量のレベルが、バッテリの端子間電圧に基づいて判定されるため、簡素な構成で判定を行うことができる。
上記第4の発明によれば、バッテリの端子電圧が、予め設定された第1電圧閾値以上となった場合に、予め設定された第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が、電力供給負荷として設定され、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速が予め設定された解除条件を満たすか否かが判定され、解除条件を満たすと判定された場合に、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、利便性を確保すると共にバッテリあがりの可能性を更に低減することできる。
すなわち、バッテリの端子電圧が、予め設定された第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となった場合に、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷を、電力供給負荷として設定するのではなく、一旦、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が、電力供給負荷として設定される。そこで、ユーザにとって優先度の高い電気負荷に対しては、早期に電力が供給されるため、利便性を確保することができる。
そして、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速が予め設定された解除条件(例えば、車速が15km/時以上の状態が2秒以上継続すること)を満たすか否かが判定され、解除条件を満たすと判定された場合(=バッテリが充分に充電され、且つ、発電機によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定された場合)に、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリが充分に充電され、且つ、発電機によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定されるので、バッテリあがりの可能性を更に低減することできるのである。
上記第5の発明によれば、解除条件が、車速が予め設定された閾値以上である状態が予め設定された第1時間以上継続したことであるため、閾値及び第1時間をそれぞれ適正な値に設定することによって、適正な解除条件を設定することができる。
上記第6の発明によれば、バッテリの端子電圧が、予め設定された第1電圧閾値(例えば、12.0V)以上となった場合に、予め設定された第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が、電力供給負荷として設定され、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速が、予め設定された閾値(例えば、15km/時)以上である状態が予め設定された第1時間(例えば、2秒)以上継続したか否かが判定され、第1時間以上継続したと判定された場合に、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷に設定されるため、利便性を確保すると共にバッテリあがりの可能性を確実に低減することできる。
すなわち、バッテリの端子電圧が、予め設定された第1電圧閾値(例えば、12.0V)以上となった場合に、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷を、電力供給負荷として設定するのではなく、一旦、予め設定された第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が、電力供給負荷として設定される。そこで、ユーザにとって優先度の高い電気負荷に対しては、早期に電力が供給されるため、利便性を確保することができる。
そして、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速が、予め設定された閾値(例えば、15km/時)以上である状態が予め設定された第1時間(例えば、2秒)以上継続したか否かが判定され、第1時間以上継続したと判定された場合(=バッテリが充分に充電され、且つ、発電機によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定された場合)に、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリあがりの可能性を確実に低減することできるのである。
上記第7の発明によれば、バッテリの端子電圧が、第1電圧閾値(例えば、12.0V)より低く予め設定された第2電圧閾値(例えば、10.4V)以下となった場合に、第1優先度レベルより高く予め設定された第2優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の30%)が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリあがりの可能性を低減することできる。
すなわち、バッテリの端子電圧が、第2電圧閾値(例えば、10.4V)以下となった場合には、バッテリに蓄積された電力量が低下されていると推定されるので、例えば、電力供給負荷を必要最小限の電気負荷(例えば、全電気負荷の30%)に制限することによって、バッテリあがりの可能性を低減することできるのである。
上記第8の発明によれば、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)に設定された時点から第2時間(例えば、160秒)だけ経過するまでに、第2優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の30%)に設定されることがなかった場合に(=バッテリの端子電圧が、第2電圧閾値(例えば、10.4V)以下となることがなかった場合に)、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるので、利便性を確保することができる。
すなわち、バッテリの端子電圧が、第1電圧閾値(例えば、12.0V)以上となり、第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が電力供給負荷として設定された時点から第2時間(例えば、160秒)以上経過しても、バッテリの端子電圧の低下が発生しない(=第2電圧閾値(ここでは、10.4V)以下とはなっていないので、バッテリは充分に充電された状態にあると推定できるので、複数の電気負荷に含まれる全ての電気負荷を、電力供給負荷として設定することによって利便性を確保することができるのである。
上記第9の発明によれば、第1優先度レベルが、電力供給負荷が第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)に設定され、且つ、エンジンがON状態である場合に、発電機によって発生される電力が、電力供給負荷によって消費される電力以上とするべく設定されているため、バッテリあがりの可能性を更に低減することできる。
すなわち、バッテリの端子電圧が、第1電圧閾値(例えば、12.0V)以上となって、電力供給負荷が第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)に設定された状態では、エンジンがON状態であれば、バッテリが放電されることがないので、バッテリあがりの可能性を更に低減することできるのである。
以下、図面を参照して本発明に係る電源制御装置の実施形態について説明する。図1は、本発明に係る電源制御装置の構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本発明に係る電源制御ECU(Electronic Control Unit)1(=電源制御装置に相当する)は、周辺機器としての入力機器2及び出力機器3と接続されている。電源制御ECU1は、入力機器2と通信可能に接続されると共に、出力機器3に対して駆動電力を供給可能に接続されている。また、電源制御ECU1、入力機器2及び出力機器3は、自動車等の車両に搭載されている。
また、電源制御ECU1は、機能的に、電圧判定部11、車速判定部12、優先度設定部13、及び、電力供給部14を備えている。なお、電源制御ECU1は、電源制御ECU1の適所に配設されたマイクロコンピュータに、電源制御ECU1の適所に配設されたROM(Read Only Memory)等に予め格納された制御プログラムを実行させることにより、当該マイクロコンピュータを、電圧判定部11、車速判定部12、優先度設定部13、電力供給部14等の機能部として機能させる。
更に、入力機器2は、オルタネータ21、バッテリ22、電圧センサ23、及び、車速センサ24を備えている。また、出力機器3(複数の電気負荷に相当する)は、第1電気負荷31、第2電気負荷32、及び、第3電気負荷33を備えている。
ここで、図1を参照して、電源制御ECU1の周辺機器について説明する。まず、入力機器2について説明する。オルタネータ(alternator)21(発電機に相当する)は、車両に搭載されたエンジンによって駆動され、交流電力を発生すると共に、発生した交流電力を、整流器等を介して直流電力に変換して、バッテリ22等に直流電力を供給する。また、オルタネータ21によって生成された電力は、電源制御ECU1及び出力機器3へも供給可能に構成されている。ここでは、発電機がオルタネータ21である場合について説明するが、発電機が直流電力を発生するダイナモ(dynamo)である形態でも良い。
バッテリ22は、オルタネータ21によって発生された電力を蓄えると共に、電源制御ECU1からの指示に従って、出力機器3へ電力を供給する。
電圧センサ23(負荷設定手段の一部、第1設定手段の一部、及び、第3設定手段の一部に相当する)は、バッテリ22の端子電圧を検出するセンサであって、検出された端子電圧の値を示す信号を電源制御ECU1(ここでは、電圧判定部11等)へ出力する。
車速センサ24(負荷設定手段の一部、及び、第2設定手段の一部に相当する)は、車両の車速を検出するセンサであって、電源制御ECU1(ここでは、車速判定部12等)に対して、車速の値を示す信号を出力する。
次に、出力機器3について説明する。出力機器3を構成する第1電気負荷31、第2電気負荷32、及び、第3電気負荷33は、それぞれ、電力を供給する優先度を示す3段階以上(ここでは、3段階)の優先度レベルの内、いずれか1つの優先度レベルが予め設定されている。ここでは、優先度レベルとして、「高レベル」、「中レベル」、「低レベル」の3段階が設定されており、第1電気負荷31、第2電気負荷32及び第3電気負荷33には、それぞれ、「高レベル」、「中レベル」及び「低レベル」が設定されている場合について説明する(図5参照)。
ここでは、電気負荷として、3個の電気負荷(第1電気負荷31、第2電気負荷32、及び、第3電気負荷33)が、電源制御ECU1に接続されている場合について説明するが、4個以上の電気負荷が接続されている形態でも良い。また、各電気負荷に、3段階の優先度レベルの内、いずれか1つの優先度レベルが設定されている場合について説明するが、4段階以上の優先度レベルが設定されている形態でも良い。
次に、図1に戻って、電源制御ECU1の機能構成について説明する。電圧判定部11(負荷設定手段の一部、第1設定手段の一部、及び、第3設定手段の一部に相当する)は、電圧センサ23からの端子電圧の値を示す信号に基づいて、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルを評価する機能部である。ここでは、図3を用いて後述するように、電圧判定部11は、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルが、高レベルであるか低レベルであるか(以下の説明においては、「電圧レベル」という)を判定する。
なお、「バッテリ22に蓄積された電力量のレベル」とは、電力を供給する電気負荷を設定する際に参酌されるべき「バッテリ22に蓄積された電力量の程度」を意味する概念であって、バッテリの残存容量のレベルを意味する概念である。ここでは、電圧判定部11が、電圧センサ23からの端子電圧の値を示す信号に基づいて、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルを判定する場合について説明するが、電圧判定部11が、バッテリ22の残存容量(SOC:必要に応じて特開2002−199505号公報等を参照)等に基づいて、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルを判定する形態でも良い。
車速判定部12(負荷設定手段の一部、第2設定手段の一部、及び、第4設定手段の一部に相当する)は、車速センサ24からの車速の値を示す信号に基づいて、オルタネータ21によって発生される電力のレベルを評価する機能部である。ここでは、図4を用いて後述するように、車速判定部12は、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが、電力を供給する電気負荷を制約する必要が有るレベルであるか否か(=後述する「解除判定値」)を判定する。
なお、「オルタネータ21によって発生される電力のレベル」とは、電力を供給する電気負荷を設定する際に参酌されるべき「オルタネータ21から供給される電力の程度」を意味する概念であって、オルタネータ21からある程度長期間(例えば、1分間以上)に亘って継続的に供給されると推定される電力の平均値のレベルを意味する概念である。ここでは、車速判定部12が、車速センサ24からの車速の値を示す信号に基づいて、オルタネータ21によって発生される電力のレベルを評価する場合について説明するが、車速判定部12が、オルタネータ21の発生電力、又は、エンジンの回転速度等に基づいて、オルタネータ21によって発生される電力のレベルを評価する形態でも良い。
優先度設定部13(負荷設定手段の一部、第1設定手段の一部、第2設定手段の一部、第3設定手段の一部、及び、第4設定手段の一部に相当する)は、電圧判定部11によって判定された電圧レベル及び車速判定部12によって判定された解除判定値に基づいて、3段階の優先度レベルの中から1つの優先度レベルを設定(図5(a)参照)し、設定された1つの優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、バッテリ22(又はオルタネータ21)から電力を供給する電気負荷である電力供給負荷として設定する(図5(b)参照)機能部である。
電力供給部14は、第1電気負荷31、第2電気負荷32、及び、第3電気負荷33の内、優先度設定部13によって設定された電力供給負荷に対して、バッテリ22(又はオルタネータ21)から電力を供給する機能部である。
図2は、図1に示す電源制御ECU1の動作の一例を示すフローチャートである。まず、電圧判定部11によって、図3を用いて後述するバッテリ電圧判定処理(=「電圧レベル」が高レベルであるか低レベルであるかを判定する処理)が行われる(S101)。次に、車速判定部12によって、図4を用いて後述する車速判定処理(=解除判定値を判定する処理)が行われる(S103)。そして、優先度設定部13によって、ステップS101において判定された電圧レベル及びステップS103において判定された解除判定値に基づいて、図5を用いて後述する優先度設定処理(=3段階の優先度レベルの中から1つの優先度レベルを設定する処理)が行われる(S105)。
次に、電力供給部14によって、ステップS105において設定された優先度レベルが、前回設定された優先度レベルと相違しているか否かの判定が行われる(S107)。前回設定された優先度レベルと同一であると判定された場合(S107でNo)には、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。前回設定された優先度レベルと相違すると判定された場合(S107でYes)には、電力供給部14によって、ステップS105において設定された優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷に対して、バッテリ22(又はオルタネータ21)から電力を供給される(ステップS109)。そして、処理がステップS101に戻され、ステップS101以降の処理が繰り返し実行される。
図3は、図2に示すフローチャートのステップS101において実行されるバッテリ電圧判定処理の内容を示すグラフである。図3に示すグラフの横軸は、電圧センサ23によって検出されたバッテリ22の端子電圧であり、縦軸は、電圧レベルである。電圧判定部11は、バッテリ22の端子電圧が12.0V(第1閾値電圧に相当する)以上である場合には、電圧レベルが「高レベル」であると判定する。また、電圧判定部11は、バッテリ22の端子電圧が10.4V(第2閾値電圧に相当する)以上である場合には、電圧レベルが「低レベル」であると判定する。
そして、電圧判定部11は、バッテリ22の端子電圧が10.4V以下の状態から上昇している場合には、バッテリ22の端子電圧が12.0V以上となった時点で、電圧レベルが「高レベル」であると判定する。逆に、バッテリ22の端子電圧が12.0V以上の状態から低下している場合には、電圧判定部11は、バッテリ22の端子電圧が10.4V以下となった時点で、電圧レベルが「低レベル」であると判定する。
このように、電圧判定部11が、図3に示すいわゆる「ヒステリシス」を描くグラフを介して電圧レベルを判定することによって、バッテリ22の端子電圧が、閾値(ここでは、10.4V及び12.0V)の近傍で変動した場合であっても、安定的に電圧レベルを判定することができる。
ここでは、第1閾値電圧及び第2閾値電圧が、それぞれ、10.4V及び12.0Vである場合について説明するが、この値に限定されるものではない。ただし、第2閾値電圧は、第1閾値電圧未満の値に設定される。
図4は、図2に示すフローチャートのステップS103において実行される車速判定処理の一例を示す詳細フローチャートである。なお、以下の処理を全て車速判定部12によって実行される。まず、電圧判定部11によって判定された電圧レベルが「低レベル」であるか否かの判定は行われる(S201)。「低レベル」であると判定された場合(S201でYes)には、解除判定値が、負荷制限を解除することができないことを示す「1」に設定され、車速カウンタVC、計時フラグ、及び、計時カウンタTCが、それぞれ、「0」、「OFF」、「0」に初期化され(S203)、処理が図2に示すステップS105へリターンされる。
ここで、車速カウンタVCは、電圧レベルが「高レベル」であって、且つ、車速が予め設定された閾値(ここでは、15km/時)以上である状態の継続時間をカウントするカウンタである。計時フラグは、計時カウンタTCのカウントを実行させるか否かを設定するフラグである。計時カウンタTCは、電圧レベルが「高レベル」である状態の継続時間をカウントするカウンタである。
「高レベル」であると判定された場合(S201でNo)には、車速が予め設定された閾値(ここでは、15km/時)以上であるか否かの判定が行われる(S205)。15km/時以上であると判定された場合(S205でYes)には、車速カウンタVCが1だけインクリメントされ(S209)、処理がステップS211に進められる。15km/時未満であると判定された場合(S205でNo)には、車速カウンタVCが「0」に初期化され(S207)、処理がステップS211に進められる。
ステップS207、又は、ステップS209の処理が終了した場合には、計時フラグが「ON」であるか否かの判定が行われる(S211)。計時フラグが「ON」であると判定された場合(S211でYes)には、計時カウンタTCが1だけインクリメントされ(S215)、処理がステップS217に進められる。計時フラグが「OFF」であると判定された場合(S211でNo)には、計時カウンタTCが「0」に初期化され(S213)、処理がステップS217に進められる。
ステップS213、又は、ステップS215の処理が終了した場合には、電圧レベルが「低レベル」から「高レベル」に変化したか否かの判定が行われる(S217)。「高レベル」に変化したと判定された場合(S219でYes)には、計時フラグが「ON」に設定され(S219)、処理がステップS221に進められる。
ステップS217でNoの場合、又は、ステップS219の処理が終了した場合には、車速カウンタTCが2秒(第1時間に相当する)以上であるか否かの判定が行われる(S221)。2秒以上であると判定された場合(S221でYes)には、処理がステップS225に進められる。2秒未満であると判定された場合(S221でNo)には、計時カウンタTCが160秒(第2時間に相当する)以上であるか否かの判定が行われる(S223)。160秒以上であると判定された場合(S221でYes)には、処理がステップS225に進められる。160秒未満であると判定された場合(S221でNo)には、処理が図2に示すステップS105へリターンされる。ステップS221でYes、又は、ステップS223でYesの場合には、解除判定値が、負荷制限を解除することができることを示す「0」に設定され(S225)、処理が図2に示すステップS105へリターンされる。
なお、ここでは、第1時間及び第2時間がそれぞれ2秒及び160秒である場合について説明したが、これらの値に限定されるものではない。また、第1時間は、車速センサ24によって検出される車速信号にノイズが混入した場合に、動作が不安定となることを防止するために設定される時間である。そこで、車速が確実に閾値(ここでは、15km/時)以上であると判定することが可能であれば、短時間(例えば、0.5秒)に設定しても良い。一方、第2時間は、優先度レベルを「高レベル」から「中レベル」へ一段階だけ緩和しても、バッテリ22が充分に充電されており、バッテリ22の電圧レベルが「高レベル」に維持されることを判定するための時間である。そこで、第2時間は、ユーザが「中レベル」の優先度レベルを許容できる範囲で長い時間に設定することが好ましい。
図5は、図2に示すフローチャートのステップS105において実行される優先度設定処理、及び、ステップS109において実行される電力供給処理の一例を説明する図表である。図5(a)は、図2に示すフローチャートのステップS101において判定された電圧レベル及びステップS103において判定された解除判定値と、3段階の優先度レベルの中から設定される1つの優先度レベルと、の関係の一例を示す図表である。
図5(a)に示すように、電圧レベルが「低レベル」(図6、図7で示すタイミングチャートでは、便宜上、「低レベル」を「1」で表す)であり、且つ、解除判定値が解除不可であることを示す「1」である場合には、優先度レベルが「高レベル」(図6、図7で示すタイミングチャートでは、便宜上、「高レベル」を「2」で表す)に設定される。また、電圧レベルが「高レベル」(図6、図7で示すタイミングチャートでは、便宜上、「高レベル」を「0」で表す)であり、且つ、解除判定値が解除不可であることを示す「0」である場合には、優先度レベルが「中レベル」(図6、図7で示すタイミングチャートでは、便宜上、「中レベル」を「1」で表す)に設定される。更に、電圧レベルが「高レベル」であり、且つ、解除判定値が解除可であることを示す「1」である場合には、優先度レベルが「低レベル」(図6、図7で示すタイミングチャートでは、便宜上、「低レベル」を「0」で表す)に設定される。
図5(b)は、図2に示すフローチャートのステップS105において設定される優先度レベルと、図1に示す電気負荷の内、電力が供給される電気負荷(=電力供給負荷)との関係の一例を示す図表である。ここでは、図1に示す出力機器3の内、第1電気負荷31、第2電気負荷32及び第3電気負荷33に対して、3段階の優先度レベルの内、それぞれ、「高レベル」、「中レベル」及び「低レベル」が設定されている場合について説明する。
図5(b)に示すように、図2に示すフローチャートのステップS105において優先度レベルが「高レベル」に設定された場合には、優先度レベルが「高レベル」に設定された第1電気負荷31に対して電力が供給され、第2電気負荷32及び第3電気負荷33に対しては、電力が供給されない。また、図2に示すフローチャートのステップS105において優先度レベルが「中レベル」に設定された場合には、「中レベル」以上の優先度レベルに設定された第1電気負荷31及び第2電気負荷32に対して電力が供給され、第3電気負荷33に対しては、電力が供給されない。更に、図2に示すフローチャートのステップS105において優先度レベルが「低レベル」に設定された場合には、全ての電気負荷(ここでは、第1電気負荷31、第2電気負荷32及び第3電気負荷33)に対して電力が供給される。
なお、ここでは、「中レベル」の優先度レベルが設定されている状態(=図1に示す第1電気負荷31及び第2電気負荷32に対して電力が供給され、第3電気負荷33に対して、電力が供給されない状態)では、エンジンがON状態である場合には、図1に示すオルタネータ21によって発生される電力は、電力供給負荷(ここでは、図1に示す第1電気負荷31及び第2電気負荷32)によって消費される電力以上となるように、各電気負荷の優先度レベルが設定されている。
図6、図7は、図1に示す電源制御ECU1の動作の一例を示すタイミングチャートである。図6は、図4に示す車速カウンタVCを介して、車速Vが閾値(ここでは、15km/時)以上である状態が第1時間(ここでは、2秒)以上継続したと判定されて解除判定値が、負荷制限を解除することができることを示す「0」に設定される場合の一例を示すタイミングチャートである。
図6の横軸は、時間であって、図6には、上から順に、バッテリ電圧VB、充電電力P3、消費電力P2、発生電力P1、車速V、解除判定値、電圧レベル、車速カウンタVC、及び、優先度レベルが記載されている。バッテリ電圧VBは、図1に示す電圧センサ23から出力されるバッテリ22の端子間電圧である。発生電力P1は、図1に示すオルタネータ21によって発生される電力である。消費電力P2は、電気負荷(=図1に示す出力機器3)によって消費される電力である。充電電力P3は、発生電力P1から消費電力P2を引いた差(P3=P1−P2)であって、正の場合(P1>P2)には、オルタネータ21からバッテリ22に供給される電力を示し、負の場合(P1<P2)には、バッテリ22に蓄積された電力量の単位時間あたりの減少量を示す。
電圧レベルは、電圧判定部11によって図2に示すフローチャートのステップS101において判定される「電圧レベル」である(図3参照)。解除判定値は、車速判定部12によって図4に示すフローチャートにおいて判定される判定値であって、負荷制限を解除することが可能か否かを示す判定値である。車速カウンタVCは、電圧レベルが「高レベル」であって、且つ、車速が予め設定された閾値(ここでは、15km/時)以上である状態の継続時間をカウントするカウンタである。優先度レベルは、優先度設定部13によって、図2に示すフローチャートのステップS105において設定される優先度レベルであって、3段階の優先度レベルの中から設定される1つの優先度レベルである。
ここでは、図6に示すように、初期状態から時刻T16までは、アイドリング状態(エンジンがON状態であって、車速=「0」の状態)であって、初期状態(図6の左端)では、バッテリ電圧VBが第1閾値電圧(=12.0V)以上であり、優先度レベルが「低レベル(0)」に設定されており、且つ、解除判定値が、「可(=0)」に設定されている場合について説明する。
初期状態(図6の左端)では、バッテリ22が放電状態である(充電電力P3が負である:消費電力P2>発生電力P1)ため、バッテリ電圧VBが低下し、時刻T11で、第2閾値電圧(=10.4V)以下となる。そこで、電圧判定部11によって、電圧レベルが「低レベル」であると判定され、時刻T12で、電圧レベルが「高レベル」を示す「0」から「低レベル」を示す「1」に変化する(図3参照)。その結果、車速判定部12によって解除判定値が、「1(=不可)」に設定され(図4のステップS203)、優先度レベルが「高レベル(2)」に設定される(図5(a)参照)。
次に、応答遅れ時間ΔT1だけ経過した、時刻T13で、「高レベル(2)」の優先度レベルに設定された電気負荷に対してのみ電力を供給するべく、電力供給部14によって制御され(図5(b)参照)、その結果、消費電力P2が減少し、充電電力P3が増大し、バッテリ電圧VBが増大する。そして、時刻T14で、バッテリ電圧VBが第1閾値電圧(=12.0V)以上となり、電圧判定部11によって、電圧レベルが「高レベル」であると判定されると共に、優先度設定部13によって優先度レベルが「中レベル(=1)」に設定され(図5(a)参照)、応答遅れ時間(ここでは、2sec)だけ経過した、時刻T15で、電圧レベルが「低レベル」を示す「1」から「高レベル」を示す「0」に変化する(図3参照)と共に、優先度レベルが「高レベル」を示す「2」から「中レベル」を示す「1」に変化する。
そして、時刻T16において車速Vが増大し始め(=加速し始め)、時刻T18において、予め設定された閾値(ここでは、15km/時)以上となり、車速判定部12によって、車速カウンタVCのカウントが開始される。次に、時刻T19において、車速判定部12によって、車速カウンタVCのカウント値が第1時間(ここでは、2秒)に到達し、解除判定値が、「0(=可)」に設定され(図4に示すフローチャートのステップS225参照)、優先度設定部13によって、優先度レベルが「低レベル(=0)」に設定されて(図5(a)参照)、優先度レベルが「中レベル」を示す「1」から「低レベル」を示す「0」に変化する。
図7は、図4に示す計時カウンタTCを介して、電圧レベルが「高レベル」となった時点からの経過時間が第2時間(ここでは、160秒)以上継続したと判定されて解除判定値が、負荷制限を解除することができることを示す「0」に設定される場合の一例を示すタイミングチャートである。図7の横軸は、時間であって、図7には、上から順に、バッテリ電圧VB、充電電力P3、消費電力P2、発生電力P1、車速V、解除判定値、電圧レベル、計時フラグ、計時カウンタTC、及び、優先度レベルが記載されている。
すなわち、図7には、図6に示す車速カウンタVCに換えて、計時フラグ及び計時カウンタTCが記載されている。計時フラグは、計時カウンタTCのカウントを実行させるか否かを設定するフラグである。計時カウンタTCは、電圧レベルが「高レベル(=0)」である状態の継続時間をカウントするカウンタである。
ここでは、図7に示すように、エンジンはアイドリング状態(エンジンがON状態であって、車速=「0」の状態)であって、初期状態(図7の左端)では、バッテリ電圧VBが第1閾値電圧(=12.0V)以上であり、優先度レベルが「低レベル(0)」に設定されており、且つ、解除判定値が、「可(=0)」に設定されている場合について説明する。また、時刻T24までの変化は、図6に示すタイミングチャートの時刻T14までの変化と同様であるのでその説明を省略する。なお、時刻T21〜T24は、図6に示すタイミングチャートの時刻T11〜T14にそれぞれ対応している。
時刻T24で、バッテリ電圧VBが第1閾値電圧(=12.0V)以上となり、電圧判定部11によって、電圧レベルが「高レベル」であると判定されると共に、優先度設定部13によって優先度レベルが「中レベル(=1)」に設定され(図5(a)参照)、応答遅れ時間(ここでは、2sec)だけ経過した、時刻T25で、電圧レベルが「低レベル」を示す「1」から「高レベル」を示す「0」に変化する(図3参照)と共に、計時フラグが「OFF」を示す「1」から「ON」を示す「0」に変化し(図4に示すフローチャートのステップS219参照)、計時カウンタTCのカウントが開始され(図4に示すフローチャートのステップS215参照)、優先度レベルが「高レベル」を示す「2」から「中レベル」を示す「1」に変化する。
そして、時刻T25から第2時間(ここでは、160秒)経過した時刻T26で、計時カウンタTCのカウント値が第2時間(ここでは、160秒)に到達し、解除判定値が、「0(=可)」に設定され(図4に示すフローチャートのステップS225参照)、優先度設定部13によって、優先度レベルが「低レベル(=0)」に設定されて(図5(a)参照)、優先度レベルが「中レベル」を示す「1」から「低レベル」を示す「0」に変化する。
このようにして、バッテリ22に蓄積された電力量のレベル、及び、オルタネータ21によって発生される電力のレベルに基づき、3段階の優先度レベルの中から1つの優先度レベルが設定され、設定された1つの優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリあがりの可能性を低減することができる。
すなわち、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルに加えて、オルタネータ21によって発生される電力のレベルに基づいて、3段階の優先度レベルの中から1つの優先度レベルが設定されるため、より適正な優先度レベルを設定することができるのである。
例えば、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルが高い(=バッテリの残存容量が多い)場合であっても、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが低い(=オルタネータ21から電力が殆ど供給されない)場合には、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが高い場合と比較して、優先度レベルを高く設定して、電気負荷の消費電力を抑制することができるので、バッテリあがりの可能性を低減することできる。
また、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが、車両の車速Vに基づいて判定されるため、簡素な構成でオルタネータ21によって発生される電力のレベルを適正に判定することができる。
すなわち、車速Vが高い状態にある場合には、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定されるのである。これに対して、例えば、オルタネータ21によって発生される電力を検出して、検出された電力に基づいて、「オルタネータ21によって発生される電力のレベル」を判定すると、いわゆる「空ぶかし」等でエンジンの回転数が一時的に上がった場合であって、「オルタネータ21によって発生される電力のレベル」が高いと判定してしまい、適正な判定が困難となるのである。
更に、バッテリ22に蓄積された電力量のレベルが、バッテリ22の端子間電圧(=バッテリ電圧)VBに基づいて判定されるため、簡素な構成で判定を行うことができる。
加えて、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、予め設定された第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となった場合に、予め設定された第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷が、電力供給負荷として設定され、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速Vが予め設定された解除条件を満たすか否かが判定され、解除条件を満たすと判定された場合に、出力機器3に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、利便性を確保すると共にバッテリあがりの可能性を更に低減することできる。
すなわち、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、予め設定された第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となった場合に、出力機器3に含まれる全ての電気負荷を、電力供給負荷として設定するのではなく、一旦、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が、電力供給負荷として設定される。そこで、ユーザにとって優先度の高い電気負荷に対しては、早期に電力が供給されるため、利便性を確保することができる。
そして、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速Vが予め設定された解除条件(ここでは、車速Vが15km/時以上の状態が2秒以上継続すること)を満たすか否かが判定され、解除条件を満たすと判定された場合(=バッテリ22が充分に充電され、且つ、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定された場合)に、出力機器3に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリ22が充分に充電され、且つ、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定されるので、バッテリあがりの可能性を更に低減することできるのである。
また、解除条件が、車速Vが予め設定された閾値(ここでは、15km/時)以上である状態が予め設定された第1時間(ここでは、2秒)以上継続したことであるため、閾値及び第1時間をそれぞれ適正な値に設定することによって、適正な解除条件を設定することができる。
更に、バッテリの端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、予め設定された第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となった場合に、予め設定された第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が、電力供給負荷として設定され、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速Vが、予め設定された閾値(例えば、15km/時)以上である状態が予め設定された第1時間(ここでは、2秒)以上継続したか否かが判定され、第1時間以上継続したと判定された場合に、出力機器3に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷に設定されるため、利便性を確保すると共にバッテリあがりの可能性を確実に低減することできる。
すなわち、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが(=バッテリ電圧)VB、予め設定された第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となった場合に、出力機器3に含まれる全ての電気負荷を、電力供給負荷として設定するのではなく、一旦、予め設定された第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が、電力供給負荷として設定される。そこで、ユーザにとって優先度の高い電気負荷に対しては、早期に電力が供給されるため、利便性を確保することができる。
そして、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷が設定された場合に、車両の車速Vが、予め設定された閾値(ここでは、15km/時)以上である状態が予め設定された第1時間(ここでは、2秒)以上継続したか否かが判定され、第1時間以上継続したと判定された場合(=バッテリ22が充分に充電され、且つ、オルタネータ21によって発生される電力のレベルが継続的に高いと推定された場合)に、出力機器3に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリあがりの可能性を確実に低減することできるのである。
加えて、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、第1電圧閾値(ここでは、12.0V)より低く予め設定された第2電圧閾値(ここでは、10.4V)以下となった場合に、第1優先度レベルより高く予め設定された第2優先度レベル(ここでは、「高レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の30%)が、電力供給負荷として設定されるため、バッテリあがりの可能性を低減することできる。
すなわち、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、第2電圧閾値(ここでは、10.4V)以下となった場合には、バッテリ22に蓄積された電力量が低下されていると推定されるので、例えば、電力供給負荷を必要最小限の電気負荷(例えば、全電気負荷の30%)に制限することによって、バッテリあがりの可能性を低減することできるのである。
また、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)に設定された時点から第2時間(ここでは、160秒)だけ経過するまでに、第2優先度レベル(ここでは、「高レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の30%)に設定されることがなかった場合に(=バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、第2電圧閾値(ここでは、10.4V)以下となることがなかった場合に)、出力機器3に含まれる全ての電気負荷が、電力供給負荷として設定されるので、利便性を確保することができる。
すなわち、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となり、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)が電力供給負荷として設定された時点から第2時間(ここでは、160秒)以上経過しても、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBの低下が発生しない(=第2電圧閾値(ここでは、10.4V)以下とはなっていないので、バッテリ22は充分に充電された状態にあると推定できるので、出力機器3に含まれる全ての電気負荷を、電力供給負荷として設定することによって利便性を確保することができるのである。
更に、第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)が、電力供給負荷が第1優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)に設定され、且つ、エンジンがON状態である場合に、オルタネータ21によって発生される電力P1が、電力供給負荷によって消費される電力P2以上とするべく設定されているため、バッテリあがりの可能性を更に低減することできる。
すなわち、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBが、第1電圧閾値(ここでは、12.0V)以上となって、電力供給負荷が第1優先度レベル(ここでは、「中レベル」)以上の優先度レベルに設定された電気負荷(例えば、全電気負荷の60%)に設定された状態では、エンジンがON状態であれば、バッテリ22が放電されることがないので、バッテリあがりの可能性を更に低減することできるのである。
なお、本発明に係る電源制御装置は、上記実施形態に係る電源制御ECU1に限定されず、下記の形態でも良い。
(A)本実施形態においては、電源制御ECU1が、機能的に、電圧判定部11、車速判定部12、優先度設定部13、電力供給部14等を備える場合について説明したが、電圧判定部11、車速判定部12、優先度設定部13、及び、電力供給部14の内、少なくとも1の機能部が、電気回路等のハードウェアによって構成されている形態でも良い。
(B)本実施形態においては、電源制御ECU1が、負荷の制限を緩和する場合に、2段階に分けて緩和する場合(図6、図7参照)について説明したが、電源制御ECU1が、負荷の制限を緩和する場合に、1段階で緩和する形態でも良いし、3段階以上で緩和する形態でも良い。
(C)本実施形態においては、電源制御ECU1が、負荷の制限を緩和する場合に、まず、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBに基づいて緩和し、次いで、車速Vに基づいて緩和する場合について説明したが、電源制御ECU1が、負荷の制限を緩和する場合に、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VB及び車速Vに基づいて緩和する形態であれば良い。例えば、1段階目の緩和条件も、2段階目の緩和条件も、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VB及び車速Vに基づいて設定されている形態でも良い。具体的には、1段階目の緩和条件が、例えば、バッテリ電圧VBが11.0V以上且つ車速Vが10km/時以上であって、2段階目の緩和条件が、例えば、バッテリ電圧VBが12.0V以上且つ車速Vが15km/時以上である形態でも良い。
(D)本実施形態においては、電源制御ECU1が、負荷の制限を行う場合に、1段階で制限する場合(図6、図7参照)について説明したが、電源制御ECU1が、負荷の制限を行う場合に、2段階以上に分けて制限する形態でも良い。例えば、電源制御ECU1が、負荷の制限を行う場合に、2段階に分けて制限する形態でも良い。
(E)本実施形態においては、電源制御ECU1が、バッテリ22の端子電圧(=バッテリ電圧)VBに基づいて制限を行う場合(図6、図7参照)について説明したが、電源制御ECU1が、バッテリ電圧VBに換えて(又は、加えて)車速Vに基づいて、制限を行う形態でも良い。例えば、電源制御ECU1が、バッテリ電圧VBが10.4V以下であり、且つ、車速が5m以下である場合に、制限を行う形態でも良い。
(F)本実施形態においては、電源制御ECU1が、優先度設定部13によって設定された電力供給負荷に対してバッテリ22(又はオルタネータ21)から電力を供給する電力供給部14を備える場合について説明したが、電源制御ECU1が、他のECU等(例えば、負荷の電力供給を制御する電力制御ECU)に対して、優先度設定部13によって設定された優先度レベルを出力する形態でも良い。
図8は、図1に示す電源制御ECU1とは別の実施形態に係る電源制御ECU1Aの一例を示すブロック図である。図8に示すように、電源制御ECU1Aは、電源制御ECU1と比較して、優先度設定部13に換えて優先度設定部13Aを備え、電力供給部14を備えていない点で相違している。また、出力機器3に換えて出力機器3Aが配設され、出力機器3Aは、図1に示す出力機器3と比較して、第1電気負荷31、第2電気負荷32及び第3電気負荷33と、電源制御ECU1Aとの間に、電気負荷制御ECU34が介設されている点で相違している。そこで、以下の説明においては、相違する構成である優先度設定部13A、及び、電気負荷制御ECU34を中心に説明する。
優先度設定部13Aは、電圧判定部11によって判定された電圧レベル及び車速判定部12によって判定された解除判定値に基づいて、3段階の優先度レベルの中から1つの優先度レベルを設定(図5(a)参照)し、設定された1つの優先度レベル情報を電力制御ECU4に対して出力する機能部である。また、電気負荷制御ECU34は、優先度設定部13Aから出力された優先度レベル以上の優先度レベルに設定された電気負荷を、バッテリ22(又はオルタネータ21)から電力を供給する電気負荷である電力供給負荷として設定し、設定された電力供給負荷に対して電力を供給するECUである。
また、図8に示す実施形態では、第1電気負荷31、第2電気負荷32及び第3電気負荷33と、電源制御ECU1Aとの間に、1つのECU(電気負荷制御ECU34)が介設されている場合について説明したが、各負荷と電源制御ECU1Aとの間に、各負荷の電力の供給を制御するECUがそれぞれ介設されている形態でも良い。