JP5088094B2 - 磁石埋め込み型回転子、この回転子を用いた電動機及びこの電動機を用いた圧縮機 - Google Patents

磁石埋め込み型回転子、この回転子を用いた電動機及びこの電動機を用いた圧縮機 Download PDF

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本発明は、民生機器、産業機器などに使用される電動機や発電機において、回転子鉄心に永久磁石を埋め込み構成された磁石埋め込み型回転子及びこの回転子を用いた電動機に関するもので、この電動機を一体に組込んだエアコンや冷蔵庫、冷凍庫に使用される冷媒の圧縮機に関するものである。
この種の磁石埋め込み型回転子を使用した一般的な電動機は、図6に示すように、固定子10の内周部に、空隙部12をもって回転子11を配置したもので、前記回転子11は、薄板状の珪素鋼板を多数枚積層した回転子鉄心19に、4枚の永久磁石16を略正方形に埋め込み、リベット18で固定し、中心には、回転軸13が取り付けられており、また、各永久磁石16の両端部には磁束短絡防止のための空隙などの非磁性部17が形成されてなるものである。そして、前記各永久磁石16の外側に面した回転子鉄心19の部分が突極部20を構成している。
また、前記固定子10は、例えば、6個の固定子歯部14が60度間隔で形成され、それぞれの固定子歯部14に3相の固定子巻線15が巻回されて構成されている。
この図6に示すような形状の回転子11を使用した電動機の磁束密度分布は、図9に示すように矩形波に近い特性を示し、高調波成分を多く含み電動機回転時に発生する鉄損が多くなり、効率が低下する。
そこで、これを改善するため図7に示す回転子構造のものが提案されている(特許文献1)。
これは、図7に示すように、回転子鉄心19の元の半径よりも小さな半径rの中心点を、回転子11の中心点からずらして回転子鉄心19の外周面24が突極部20の中心部から非磁性部17にかけて空隙長が次第に大きくなるように変化させて構成したものである。この特許文献1によれば、高調波成分を減らして鉄損を低減することにより、磁束密度分布は、図8に示すように正弦波に近い特性を示すとしている。
また、トルクリップルを小さくして、振動・騒音の低減を図ったものとして、図10に示すものが知られている(特許文献2)。
一般に、永久磁石16の端部と回転子鉄心19の外周面24との間には、回転子鉄心19を分割しないようにするため、細長のブリッジ部21で連結されるが、図10(a)に示す第1例では、ブリッジ部21の幅が突極部20側から隣接する2つの非磁性部17における補強リブ部22にかけて次第に狭くなるように非磁性部17の内周面23を鎖線から実線のように変化させて構成したものである。
図10(b)に示す第2例では、回転子鉄心19の外周面24を鎖線から実線のように切り欠いて幅に変化をもたせたものである。
図10(c)に示す第3例では、非磁性部17の内周面23を階段状に切り欠いて構成したものである。
図10(d)に示す第4例では、非磁性部17の内周面23を多角形状に切り欠いて構成したものである。
このような構成により、トルクリップルを小さくして、振動・騒音の低減を図ることができるとしている。
以上のようなブリッジ部21の幅を徐々に変化させるものでは、ブリッジ部21が固定子10と近接するため、永久磁石16の磁束が分散されるという問題があった。すなわち、図7及び図10に示す回転子11の形状では、それぞれの永久磁石16の両端部に非磁性部17が設けられているが、図2(c)に示すように、当該永久磁石16の磁束がブリッジ部21から対向する固定子10を介して隣接する突極部20に漏れ磁束が発生し、この漏れ磁束によりコギングトルクが増加し、結果的に騒音が増加するとともに回転トルクが低下するという問題があった。
このような問題点を解決するため、本出願人は、図11に示すように、磁束密度を集中させるために切欠き部25を設けるとともに、隣接する非磁性部17の間の外周を固定子10側に外周面24と同じ外径まで伸ばして突起部26を形成したものを提案した(特許文献3)。
この特許文献3に示すものは、ブリッジ部21と固定子10との間のギャップが存在するため磁束線の漏れによる出力トルクの低下を防ぐことができ、電動機の出力トルクが増加する。しかし、切欠き部25を設けると、依然として磁束密度の変化が大きく、誘起電圧波形に5次の高調波成分が乗ってしまう結果、コギングトルクが増加してしまうという若干の問題があった。
この若干の問題をさらに改善するために、本出願人は、図12(a)(b)に示すように、回転子鉄心に永久磁石を所定間隔で埋め込んで形成した磁石埋め込み型回転子において、前記複数の永久磁石に対応した前記回転子鉄心における突極部間の外周面に、第1突起部と切欠き部を形成し、前記永久磁石の両端部に磁束短絡防止用の非磁性部を形成し、この非磁性部と前記切欠き部との間のブリッジ部を磁気飽和する程度に狭くし、前記切欠き部に外周面方向へ伸びる第2突起部を形成したものを提案した。(特願2006−118640号)
図2(b)は、第2突起部27を1個形成し、永久磁石16をV字状に配置した例の磁束線の分布を示している。このように第2突起27を形成すると、磁束密度も変化が小さくなり、誘起電圧波形の高調波成分を低減することができるため、出力トルクを増加しつつコギングトルクを低減し、かつ、振動騒音(トルクリップル)を低減させる効果を得られる。
特開2003−37955号公報。 特開2000−217287号公報。 特開2005−354798号公報。
本出願人が、特願2006−118640号で提案した電動機の構造は、通常の電動機に実施した場合には全く問題なく、出力トルクを低減させることなくコギングトルクを低減し、かつ、振動騒音(トルクリップル)を低減させるという目的は充分に達成できるものであるが、冷媒等のガスを圧縮する圧縮機の内部に一体に組み込まれるという特殊な条件下では、若干の問題を生じる場合があることが判明した。
その問題点を説明する前に、電動機を組み込んだ圧縮機30の構造について簡単に説明する。
電動機を組み込んだ圧縮機30の構造は、図4に示すように、密封された筐体31内の上方に電動機33が配置され、下方に圧縮部32が配置されている。この例では、圧縮部32は上ベアリング42aと下ベアリング42bの間に挟まれた上下2段の圧縮部32a、32bからなり、圧縮部32a、32bの間に仕切り板41が設けられている。38は、気液分離器であり、上部の気層部分から前記圧縮部32a、32bに配管40a、40bにてガスが供給される。筐体31内には、停止時に鎖線で示すレベルLまで、圧縮部32a、32bの潤滑と電動機33の冷却のための潤滑油35が封入されている。
この圧縮機30を電動機33で駆動すると、圧縮されたガスは電動機33の空隙部12、固定巻線15等、種々の隙間を通り抜けて上昇し、頂部の吐出口34から吐出される。このとき、圧縮部32からのガスは、圧縮部32a、32b内部の潤滑油35と軸受部の潤滑油とともに、非常に細かい油滴となって電動機33の前記隙間を上昇する。ガスとともに上昇した潤滑油35は、電動機33の上部側に設けられた空間36で分離され、電動機33の外側の固定子10と筐体31の隙間43から筐体31下部へ還流される。但し、この潤滑油35の循環については、圧縮部32a、32bから噴出するガスの圧力や電動機33内の隙間の形状等、種々の要因によって非常に複雑な流れを構成しているものであり、すべてが上述のように循環しているとは限らない。
前述のような上下2段の圧縮部32a、32bを備える圧縮機30では、少なくとも下側の圧縮部32bが潤滑油35中に没する程度の油面レベルが必要である。図5に破線で示したレベルがその下限レベルである。
上側の圧縮部32aは、油面レベルが低下して気中に露出したとしても、ガスの吹き上がりや回転軸13の回転によって潤滑油35が跳ね上げられ、また還流してくる潤滑油35により充分に潤滑される。しかし、油面レベルがこれを下回ると、上側の圧縮部32aに充分な潤滑油が供給されなくなり、焼き付きなど損傷の可能性が急激に増大する。
駆動中は、前述のとおり潤滑油35がガスとともに筐体31内を上昇するため、下部に溜まっている潤滑油35の油面レベルが低下し、冷媒ガスとともに上昇する潤滑油35と還流する潤滑油35とが平衡して回転数が高いほど低い油面レベルで安定する。図5に従来のロータの例として、切欠き部25、第1突起部26及び第2突起部27を有する回転子の電動機33における回転数と油面レベルとの関係を○でプロットしたグラフにより示す。
冷凍機、冷蔵庫、エアコン等に使用される電動機組込み型の圧縮機では、例えば30〜90rpm(以下、通常回転使用域と呼ぶ)の範囲で駆動されるが、起動直後や急冷などの場合に最大で例えば120rpm程度(以下、高回転使用域と呼ぶ)までの能力が要求される。
ところが、図12(a)(b)に示す、切欠き部25、第1突起部26及び第2突起部27を有する回転子の電動機33では、通常回転使用域では全く問題は生じないが、それを越えて高回転使用域、図5の例では110rpmを越えると油面が下限レベルを下回ってしまい、損傷の危険が増大するという問題点があった。
この油面低下の問題は、回転子11の外周面の形状に原因があった、すなわち、図11や図12(a)(b)に示すような切欠き部25の周方向両端と、第1突起部26と、第2突起部27とを外周方向に急激に立ち上げて凹凸形状を形成した場合、回転子11が回転することで、この凹凸形状により潤滑油35が固定子10と回転子11の隙間で周方向へ移動させることにより遠心力が発生し、この遠心力によって潤滑油35が外周方向へ付勢されることにより、固定子10の隙間や巻線の内部に滞留する潤滑油35の量が増大するためと考えられる。
これに対応する最も簡単な方法として、潤滑油35の封入量を増やすことも考えられるが、油面が高くなると圧縮部32側のロータ端部に設けられたバランサ(図示せず)が潤滑油35と衝突して電動機33への負荷が増大して通常回転使用域では必要電力が増大する。
本発明は、冷媒等のガスを圧縮する圧縮機内に一体に組み込まれる電動機において、発生トルクを可能な限り低減させることなく、コギングトルクを低減し、振動騒音(トルクリップル)を低減させ、かつ、潤滑油の封入量を増大させることなく高回転使用域でも油面が下限レベル以上を維持できる磁石埋め込み型回転子、この回転子を用いた電動機及びこの電動機を組込んだ圧縮機を提供することを目的とするものである。
本願の発明は、上述のような問題点を解決するためになされたもので、回転子鉄心に永久磁石を所定間隔で埋め込んで形成した磁石埋め込み型回転子において、前記複数の永久磁石に対応した前記回転子鉄心における突極部間の外周面に、切欠き部と第1突起部を形成し、前記永久磁石の両端部に磁束短絡防止用の非磁性部を形成し、この非磁性部と前記切欠き部との間のブリッジ部を磁気飽和する程度に狭くし、前記第1突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成することにより第1突起部の縁部から切欠き部に至る部分を回転子の回転方向に対して緩やかに変化させ、回転子11自体の外周面の周方向での形状の変化を緩やかに形成する。また、第2突起部は、第2突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅より大きく形成し、かつ第1突起部より低く形成し、第1突起部の縁部から第2突起部を経て切欠き部に至る部分を回転子の回転方向に対して緩やかに変化させ、回転子11自体の外周面の周方向での形状の変化を緩やかに形成する
本発明は、回転子鉄心に永久磁石を所定間隔で埋め込んで形成した磁石埋め込み型回転子において、前記複数の永久磁石に対応した前記回転子鉄心における突極部間の外周面に、切欠き部と第1突起部を形成し、前記永久磁石の両端部に磁束短絡防止用の非磁性部を形成し、この非磁性部と前記切欠き部との間のブリッジ部を磁気飽和する程度に狭くし、突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成することにより第1突起部の縁部から切欠き部に至る部分を回転子の回転方向に対して緩やかに変化させて形成したので、高回転使用域でも油面が下限レベル以上を維持することができるという効果を有する。また、前記切欠き部に、外周方向へ伸びる第2突起部を形成し、突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成したので、高回転使用域でも油面が下限レベル以上を維持し、かつ、電動機の出力トルクを低減させることなくコギングトルクを低減し、振動騒音(トルクリップル)を低減させることができるという効果を有する。
回転子は、薄板状の珪素鋼板を多数枚積層した回転子鉄心と、4枚の永久磁石と、中心の回転軸と、外周近くの4箇所の固定用リベットとで構成されている。
前記回転子鉄心は、基本的には所定半径を有し、前記永久磁石は、中心点を通るX軸とY軸にを中心とした略V字状に埋め込まれ、これらの永久磁石のV字の間に対応する外周面側が突極部を構成している。また、これらの永久磁石の両端部には、磁束短絡防止のための空隙などの非磁性部が形成され、隣接する2つの非磁性部の間は、補強リブ部となっている。この補強リブ部に連続する回転子鉄心の外周面側は、第1突起部が形成され、この第1突起部の両側の外周面部分は、切欠き部となっており、この切欠き部に第2突起部が形成されており、第1突起部の縁部から第2突起部を経て切欠き部に至る部分を回転子の回転方向に対して緩やかに変化させて形成する。
以下、本発明の実施例を図面に基づき説明する。
図1において、回転子11は、薄板状の珪素鋼板を多数枚積層した回転子鉄心19と、8枚の永久磁石16と、中心の回転軸13と、外周近くの4箇所の固定用リベット18とで構成されている。
前記回転子鉄心19は、半径R(例えば30.0mm)とすると、前記永久磁石16は、長手D1(例えば15.5mm)×短手D2(例えば2.5mm)の大きさで、中心点Oを通るX軸とY軸上の中心点Oからの距離がA(例えば14.48mm)の位置から両側にV字状に外周面24に向かって斜めに配置するように埋め込まれ、前記X軸とY軸上を中心とする両側略22°に対応する外周面24側が突極部20を構成している。
また、これらの永久磁石16の外周面側の端部には、磁束短絡防止のための空隙などの非磁性部17が形成されている。隣接する非磁性部17との中心(X軸、Y軸に対してそれぞれ45°)に位置する回転子鉄心19の外周面24側は、第1突起部26が形成され、この第1突起部26の両側の外周面24部分は、切欠き部25となっており、この切欠き部25に、第2突起部27が形成されている。この第1突起部26の縁部から第2突起部27を経て切欠き部25に至る部分は、図1(b)に示すように、前記第1突起部の起端側の周方向幅が先端側の周方向幅に比べて約2.5倍に形成され、第2突起部の起端側の周方向幅が先端側の周方向幅よりも大きく形成されている。かつ、起端側の隅と先端側の角は円弧により緩やかに変化するように形成されている。
固定子は、図6と同様の構成で、例えば、6個の固定子歯部14が60度間隔で形成され、それぞれの固定子歯部14に3相の固定子巻線15を集中的に巻回した集中巻き固定子として構成されている。
前記回転子11をさらに具体的数値をもって詳細に説明すると、前記突極部20の部分は、軸線(X軸、Y軸)を中心にした中心角θ(例えば22°)が半径R=30.00mmで、この両端のH点を変曲点として第1突起部26まで半径rとなるような切欠き部25が形成される。この半径rの中心点Pは、例えばX軸からP1(例えば12.13mm)、Y軸からP2(例えば3.59mm)の地点とする。このようにして非磁性部17と切欠き部25との間のブリッジ部21は、磁気飽和して磁束が通過しにくくなるように、回転子鉄心19の打ち抜き加工や固定子10の組み立て加工に支障のない範囲で可能な限り幅の狭い、例えば0.5mm程度又はそれ以下の幅に形成される。
前記第1突起部26の縁部から第2突起部27を経て切欠き部25に至る部分は、回転子の回転方向に対して緩やかに変化させて形成されており、頂部が円周面24より低く設定される。また、コギングトルクを低減し、かつ、振動騒音(トルクリップル)を低減させる効果は、突極部20に近い方がより大きい。
次に、上述の実施例のように構成された回転子11(図1)と従来例の回転子11の実験データの比較による作用効果を説明する。
まず、図2(a)に示すように、上述の実施例のように構成された回転子11の磁束線の分布は、切欠き部25、第1突起部26、第2突起部27が立ち上がった従来例(図2(b))と比べてほとんど変わらず、磁束密度の変化、誘起電圧波形の高調波成分の低減、出力トルクの増加、コギングトルクの低減、振動騒音(トルクリップル)の低減という効果にはほとんど影響を与えていないことが判る。
次に図3は、コギングトルクの特性図であり、図3(a)は、本発明による起端側の幅が広く形成された突起部26、27を有する回転子11の実験データ、図3(b)は本出願の先願による略矩形の第1、第2突起部26、27を有する回転子11の実験データ、図3(c)は切欠き部25も突起部26、27も有しない回転子11の実験データである。なお、(a)(b)と(c)とでは、縦軸のトルクTのスケールが相違し、1目盛が(a)(b)は0.02Nm、(c)は0.1Nmである。
まず、図3(c)の切欠き部25も突起部26、27も有しない回転子11の場合、−0.4Nmから+0.4Nmの大きな変動が36°周期で繰り返されている。
これに対して図3(b)の略矩形の突起部26、27を有する回転子11の場合は、−0.03Nmから+0.03Nmの細かい変動が30°周期で繰り返されている。
(c)と(b)を比較すると、(b)はコギングトルクの振幅が1/10以下に低減されているだけではなく、(c)が30°の1周期に上下に各1ピークであるのに対して、(b)では30°の1周期に上下に各5ピークを有し、実質的に5倍の周波数となっている。振幅が低減され周波数が上がっているということはそれだけ滑らかに回転しているということであり、騒音や振動も小さいということである。
次に、図3(a)と図3(b)を比較すると、(a)は振幅が僅かに低減されているのに対して、30°の1周期に上下に各4ピークとなっている。周波数は若干下がっているが、振幅の低減も考慮し、(c)と比較すれば、発生トルクを可能な限り低減させることなく、コギングトルクを低減し、振動騒音を低減させるという目的は充分に達成されている。
以上の実施例による電動機33を用いた圧縮機を駆動すると、図11や図12(a)(b)に示す従来の立ち上がった形状の切欠き部25、第1突起部26、第2突起部27を有する回転子11に比べて、固定子10と回転子11の隙間おける潤滑油35の移動が緩やかになることにより、潤滑油35に与えられる遠心力が小さくなり、固定子10の隙間や巻線の内部に滞留する潤滑油35が減少する。その実験データを図5に●でプロットした回転数と油面レベルの関係としてグラフに示す。これを見て判るように、110rpmを越える高回転使用域においても、充分な油面高さを維持することができる。
以上の実施例では、切欠き部25に第1突起部26と第2突起部27を設けて、第1突起部26の縁部から第2突起部27を経て切欠き部25に至る部分を回転子の回転方向に対して緩やかに変化させて形成したが、本発明はこれに限られるものではなく、特許文献3に記載のように第2突起部27を設けずに、第1の突起部27だけを設け、第1突起部の起端側の周方向幅を先端側の周方向幅よりも大きく形成するように形成しても良い。
以上の実施例では、図1(b)に示すように、前記第1突起部の起端側の周方向幅を先端側の周方向幅に比べて約2.5倍に形成し、第2突起部の起端側の周方向幅を先端側の周方向幅よりも大きく形成するようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、第1突起部26の形状は、図1(c)に示すように図1(b)に仮想的に示した台形に内接する半円形状に形成してもよいし、図1(d)に示すように起端側の幅を更に広く(例えば4倍)形成してもよい。このように起端側の幅を広くすると起端部から先端側へかけて回転子11の外周形状変化がより緩やかになる。しかし、起端側の幅は無制限に広げることはできない。何故なら、第1突起部26の周方向両側には、ブリッジ部21が隣接しており、このブリッジ部21は磁気飽和する程度に狭くする必要があるからである。また、さらに、図1(e)に示すように、回転方向の面だけを傾斜させるように起端側の幅を広くするようにしてもよい。
以上の実施例では、回転子11における永久磁石16を、90度間隔でV字型に8個配置した例を示したが、これに限られるものではなく、60度間隔で12個配置したり、45度間隔で16個配置したりするなど、適宜設定できる。また、固定子10についても前記実施例に限られるものではない。
以上の実施例では、回転子11自体の外周面の形状の変化を緩やかにに形成するようにしたが、本発明はこれに限られるものではなく、切欠き部25を非磁性体のモールドで埋めることによって外周面を略円状に形成するようにしてもよい。
本発明は、切欠き部に、外周方向へ伸びる突起部を形成するとともに、回転子の外周面形状を、回転子の回転方向に対して緩やかに変化させて形成したので、高回転使用域でも油面が下限レベル以上を維持することができ、エアコンや冷蔵庫、冷凍庫に使用される冷媒の圧縮機に有用である。
本発明による実施例の回転子11の全体の平面図である。 図1(b)の切欠き部25の部分拡大図である。 図1(b)の他の形状の実施例を示す部分拡大図である。 図1(b)の他の形状の実施例を示す部分拡大図である。 図1(b)の他の形状の実施例を示す部分拡大図である。 本発明の回転子の磁束線分布図である。 従来の回転子の磁束線分布図である。 切欠き部、突起部がない回転子の磁束線分布図である。 本発明の回転子のコギングトルクの特性図である。 従来の回転子のコギングトルクの特性図である。 切欠き部、突起部がない回転子のコギングトルクの特性図である。 電動機を一体に内蔵した冷媒の圧縮機を示す説明断面図である。 回転子の外周の形状による油面高さの特性図であり、●は本発明の実施例、○は切欠き部と突起部を有する従来例の特性図である。 磁石埋め込み型回転子を使用した一般的な電動機の説明図である。 従来の磁石埋め込み型回転子の説明図である。 図7の磁石埋め込み型回転子特性図である。 図6の磁石埋め込み型回転子特性図である。 従来の他の磁石埋め込み型回転子の説明図である。 切欠き部25と第1突起部26を形成した従来例を示す図である。 切欠き部25と第1突起部26と第2突起部27を形成した回転子の従来例を示す図である。 切欠き部25と第1突起部26と第2突起部27を形成した回転子の他の従来例を示す図である。
符号の説明
10…固定子、11…回転子、12…空隙部、13…回転軸、14…固定子歯部、15…固定子巻線、16…永久磁石、17…非磁性部、18…リベット、19…回転子鉄心、20…突極部、21…ブリッジ部、22…補強リブ部、23…内周面、24…外周面、25…切欠き部、26…第1突起部、27…第2突起部、30…圧縮機、31…圧縮機の筐体、32…圧縮部、32a、32b…圧縮部、33…電動機、34…吐出口、35…潤滑油、36…筐体上部の空間、38…気液分離器、40a、40b…配管、41…仕切り板、42a…上ベアリング、42b…下ベアリング、43…固定子と圧縮機の筐体との隙間。

Claims (3)

  1. 回転子鉄心に永久磁石を所定間隔で埋め込んで形成した磁石埋め込み型回転子において、前記複数の永久磁石に対応した前記回転子鉄心における突極部間の外周面に、切欠き部とこの切欠き部から回転子の外周側へ突出した第1突起部を形成し、前記永久磁石の両端部に磁束短絡防止用の非磁性部を形成し、この非磁性部と前記切欠き部との間のブリッジ部を磁気飽和する程度に狭くし、前記第1突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成し、前記切欠き部の端部側に回転子の外周側へ突出した第2突起部を形成し、かつ第2突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成し、前記第2突起部は第1突起部より低く形成することを特徴とする磁石埋め込み型回転子。
  2. 回転子鉄心に永久磁石を所定間隔で埋め込んで形成した磁石埋め込み型回転子を用いた電動機において、前記複数の永久磁石に対応した前記回転子鉄心における突極部間の外周面に、切欠き部とこの切欠き部から回転子の外周側へ突出した第1突起部を形成し、前記永久磁石の両端部に磁束短絡防止用の非磁性部を形成し、この非磁性部と前記切欠き部との間のブリッジ部を磁気飽和する程度に狭くし、前記第1突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成し、前記切欠き部の端部側に回転子の外周側へ突出した第2突起部を形成し、かつ第2突起部の起端側の周方向幅を先端側周方向幅よりも大きく形成し、前記第2突起部は第1突起部より低く形成することを特徴とする磁石埋め込み型回転子を用いた電動機。
  3. 密閉容器の内部に配置した圧縮部と、この圧縮部における吸入口から吸入した冷媒ガスを圧縮して吐出口から吐出する駆動源としての請求項記載の電動機とを具備したことを特徴とする圧縮機。
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