JP5086759B2 - 乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置 - Google Patents

乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置 Download PDF

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Description

この発明は、エスカレータや動く歩道などの乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に関するものである。
従来の乗客コンベアの運転管理装置は、主枠に設けられて運転時に作動する運動機構と、この運動機構に係合されて運動機構の挙動に応じて連続変位する変位体と、主枠の固定部に設けられて変位体に対応して配置され、変位体の変位量に応じた検出値を出力する検出手段と、乗客コンベアの運転状況を判定する運転状況判定装置と、検出手段の検出値が運転状況判定装置の判定出力に対応した所定値から外れたときに動作して乗客コンベアを異常時制御する制御手段と、を備えている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−321186号公報
この種の乗客コンベアには、踏段鎖の破断を検出する踏段鎖破断検出装置、移動手摺りに異物の挟まりを検出するハンドガードスイッチ、踏段とスカートガードとの間への異物の挟まりを検出するスカートガードスイッチなどの多くの検出装置がある。そして、この種の乗客コンベアにおいては、安全性を第1に考え、これらの検出装置の接点を常閉式とし、これらの検出装置の接点を踏段鎖を循環移動させる駆動機への通電経路にシリーズに接続し、検出装置の中の1つでも作動すれば、その接点が開成して駆動機への通電が遮断され、踏段鎖が瞬時に停止されるような安全機構が採られている。
しかしながら、従来の乗客コンベアの運転管理装置は、検出手段の検出値が運転状況判定装置の判定出力に対応した所定値から外れたときに制御手段が動作し、駆動機が消勢されて踏段鎖を異常時停止させ、あるいは異常時減速させるように構成されているので、従来の乗客コンベアの運転管理装置は乗客コンベアの安全機構に組み込まれるようには構成されておらず、しかも各手段が煩雑な構成となり、低価格化が図れない。
さらに、保守点検時には、検出手段の出力を読み出し、検出手段の出力値から変位体の変位量を算出し、変位体の変位量から踏段鎖の伸びを調整する必要があるか否かを判断しなければならず、作業性が低下する。
この発明は、上記課題を解決するためになされたもので、常開式のa接点と常閉式のb接点とを有するリミットスイッチを用い、乗客コンベアの安全機構に組み込むことができると共に、安全機構の作動前に踏段鎖の調整時期の到来を目視確認できる安価な乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置を得ることを目的とする。
この発明による乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置は、多数の踏段がトラスの乗り口側と降り口側とに設置された一対の鎖車に掛け渡された無端状の踏段鎖に連結され、引っ張り軸がその一端を上記一対の鎖車の一方の鎖車に連結されて他方の鎖車から離反する方向に延設され、圧縮コイルバネが上記引っ張り軸を介して上記一方の鎖車を上記他方の鎖車から離反する方向に付勢するように上記引っ張り軸に装着され、駆動機が上記他方の鎖車を回転駆動することにより上記踏段鎖を循環移動させるように構成された乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置である。そして、筐体、該筐体に出没自在に配設されたプランジャ、該プランジャの先端に設けられたプランジャローラ、該プランジャのストローク量が第1ストローク量を超えると閉成するa接点および該プランジャのストローク量が第1ストローク量より大きな第2ストローク量を超えると開成するb接点を有し、該b接点が上記駆動機への通電経路に直列に接続されるリミットスイッチと、上記引っ張り軸の長さ方向の変位に連動して該引っ張り軸の長さ方向に移動可能に配設され、初期位置から第1距離移動したときに上記プランジャのストローク量が上記第1ストローク量となり、かつ該初期位置から該第1距離より長い第4距離移動したときに上記プランジャのストローク量が上記第2ストローク量となるように、上記プランジャを作動させるスイッチカムと、を備えている。上記スイッチカムは、上記引っ張り軸の長さ方向の変位に連動して移動し、上記初期位置から上記第4距離より短い第2距離まで移動したときに、上記プランジャローラに当接して上記プランジャを、上記第2ストローク量より少ない所定ストローク量だけ上記筐体内に押し込む第1カム面を有する固定カム部と、上記固定カム部に該固定カム部の移動方向にスライド移動可能に取り付けられ、上記固定カム部が上記第2距離から上記第2距離より長く、かつ上記第4距離より短い第3距離まで移動したときに、上記プランジャローラに押圧されて上記固定カム部の移動に連動する移動が規制され、上記固定カム部が上記第3距離に到達したときに、上記固定カム部に係止され、上記固定カム部が上記第3距離から上記第4距離まで移動したときに、該固定カム部の移動に連動して移動して、上記プランジャローラに当接して上記プランジャを上記第2ストローク量まで上記筐体内に押し込む第2カム面を有する可動カム部と、を備える。
この発明では、プランジャのストローク量が第1ストローク量を超えると閉成するa接点およびプランジャのストローク量が第1ストローク量より大きな第2ストローク量を超えると開成するb接点を有するリミットスイッチを用い、b接点を駆動機への通電経路に直列に接続している。そこで、踏段鎖の破断が発生すると、b接点が開成され、駆動機への通電が遮断され、踏段鎖の循環移動が確実に停止される。
また、踏段鎖の経時的な伸びに連動して移動するスイッチカムが固定カム部と可動カム部とで構成され、スイッチカムがb接点を開成させる第4距離より短い第2距離から第3距離まで移動したときに、可動カム部がプランジャローラに押圧されて、固定カム部の移動に連動した移動が規制される。これにより、可動カム部は固定カム部に対してスライド移動した状態となる。そこで、保守点検時に、可動カム部が固定カム部に対してスライド移動しているか否かを目視確認するだけで、踏段鎖の伸び調整時期の到来を判断できる。そこで、踏段鎖の伸びをタイムリーに調整でき、踏段鎖の経時的な伸びの蓄積に起因する踏段鎖の循環移動の停止の発生を未然に防止できる。
このように、この発明によれば、踏段鎖の破断に起因する踏段鎖の循環移動の停止が確実に実行でき、かつ踏段鎖の経時的な伸びの蓄積に起因する踏段鎖の循環移動の停止の発生を未然に防止できる踏段鎖破断検出装置を簡易な、かつ安価な構成で実現できる。
以下、本願の実施例を図面に基づいて説明する。
図1はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置が設置された乗客コンベアの全体構造を概念的に示す側面図、図2はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置の要部を示す側面図である。図3はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるリミットスイッチの動作を模式的に示す断面図であり、図3の(a)はa接点が開成状態、かつb接点が閉成状態を示し、図3の(b)はa接点およびb接点が閉成状態を示し、図3の(c)はa接点が閉成状態、かつb接点が開成状態を示している。図4はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるリミットスイッチの動作を説明する図である。図5はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるスイッチカムを構成を説明する図であり、図5の(a)は上面図を示し、図5の(b)は側面図を示し、図5の(c)は背面図を示している。図6はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるスイッチカムの動作を説明する図であり、図6の(a)は正常状態を示し、図6の(b)は作動状態を示している。図7はこの発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置の動作を説明する図である。
図1および図2において、乗客コンベアとしてのエスカレータ1は、乗り口から降り口に至るように架設されたトラス2と、トラス2の上端側に配設された駆動機3と、トラス2の上端側に配設された上鎖車4と、トラス2の下端側に配設された下鎖車5と、駆動機3の出力を上鎖車4に伝達する駆動鎖6と、無端状をなし、上鎖車4と下鎖車5とに巻き掛けられて、駆動機3の出力が駆動鎖6を介して伝達されて回転駆動する上鎖車4により循環移動する踏段鎖7と、踏段鎖7に連結された多数の踏段8と、トラス2の間口方向の両縁部に立設されてトラス2の長手方向に沿って踏段8を挟むように配置された一対の欄干9と、一対の欄干9のそれぞれに配設されて、踏段8と同期して移動する一対の移動手摺10と、駆動機3を駆動制御するエスカレータ制御盤11と、踏段鎖7の破断を検出する踏段鎖破断検出装置20と、を備えている。
踏段鎖破断検出装置20は、その一端が下鎖車5に連結されて、下鎖車5から上鎖車4と離反する方向に延設された引っ張り軸21と、取付腕22aと支持腕22bとからなるL字状に作製され、支持腕22bが引っ張り軸21と直交するように取付腕22aをトラス2に固定して取り付けられ、引っ張り軸21が支持腕22bに穿設された貫通穴に遊嵌状態に挿通されるフランジ22と、支持腕22bの貫通穴から延出する引っ張り軸21の他端側に螺着された調整ナット23と、引っ張り軸21に外嵌状態に装着されて支持腕22bと調整ナット23との間に縮設され、引っ張り軸21および下鎖車5を介して踏段鎖7に所定の張力を付与する圧縮コイルバネ24と、一端が引っ張り軸21の一端と支持腕22bとの間に固着されて、引っ張り軸21の長さ方向に沿って、かつ引っ張り軸21の長さ方向と平行に、引っ張り軸21の他端側に延設された取付板25と、取付板25に固着されて、踏段鎖7の張力の変動により生じる引っ張り軸21の変位に連動して移動するスイッチカム40と、スイッチカム40の移動により踏段鎖7の異常伸びの発生を検出するリミットスイッチ30と、を備えている。
つぎに、リミットスイッチ30の構成について図3を参照しつつ具体的に説明する。
リミットスイッチ30は、筐体31と、筐体31に出没自在に配設されたプランジャ32と、プランジャ32の延出端に固着されたプランジャローラ33と、プランジャ32を延出方向に付勢するように筐体31内に縮設されたスプリング34と、プランジャ32の外周面に配設された接触子35と、筐体31に配設された第1乃至第3端子36〜38と、を備えている。
第1端子36と第2端子37とは、プランジャ32の出没方向に互いに離間して配置され、第3端子38は、プランジャ32の出没方向に関して、第1端子36と第2端子37との両者に重なるように配置されている。そして、第1乃至第3端子36〜38の位置関係は、プランジャ32が押し込まれるストローク量に応じて、接触子35を介しての導通状態が変化するようになっている。
つまり、第1乃至第3端子36〜38は、プランジャ32の筐体31からの延出量が最大である初期状態では、第1端子36と第3端子38とが接触子35を介して導通状態となり、かつ第2端子37と第3端子38とが非導通状態となり、プランジャ32の初期状態からの押し込み量が第1ストローク量となると、第1および第2端子36,37と第3端子38とが接触子35を介して導通状態となり、プランジャ32の初期状態からの押し込み量が第1ストローク量より大きな第2スロトーク量となると、第1端子36と第3端子38とが非導通状態となり、かつ第2端子37と第3端子38とが接触子35を介して導通状態となるように、構成されている。ここで、第2端子37と第3端子38とが、プランジャ32が第1ストローク量を超えて押し込まれると閉成する常開式のa接点を構成し、第1端子36と第3端子38とが、プランジャ32が第1ストローク量より大きな第2ストローク量を超えて押し込まれると開成する常閉式のb接点を構成している。
ここで、リミットスイッチ30の動作について図3および図4を参照しつつ説明する。
まず、プランジャ32は筐体31に出没自在に配設されている。そして、初期状態では、図3に(a)に示されるように、プランジャ32はスプリング34の付勢力により筐体31から最大量、延出されている。この時、第1端子36と第3端子38とが接触子35を介して導通状態となり、かつ第2端子37と第3端子38とが非導通状態となる。即ち、a接点が開成状態となり、b接点が閉成状態となる。
プランジャ32がスプリング34の付勢力に抗して初期状態から第1ストローク量押し込まれると、図3の(b)に示されるように、第1および第2端子36,37と第3端子38とが接触子35を介して導通状態となる。即ち、a接点およびb接点が閉成状態となる。
プランジャ32がスプリング34の付勢力に抗して初期状態から第2ストローク量押し込まれると、図3の(c)に示されるように、第2端子37と第3端子38とが接触子35を介して導通状態となり、かつ第1端子36と第3端子38とが非導通状態となる。即ち、a接点が閉成状態となり、b接点が開成状態となる。
このように、図4に示されるように、プランジャ32の押し込み量が第1ストローク量未満ではa接点が開成状態、b接点が閉成状態となり、プランジャ32の押し込み量が第1ストローク量以上、第2ストローク量未満ではa接点およびb接点が共に閉成状態となり、プランジャ32の押し込み量が第2ストローク量以上ではa接点が閉成状態、b接点が開成状態となる。
なお、第1および第2ストローク量は第1乃至第3端子36〜38の位置関係を調整することにより適宜設定することができるが、ここでは、第1ストローク量が1.0mm、第2ストローク量が2.5mmに設定されたリミットスイッチ30を用いている。
つぎに、スイッチカム40の構成について図5および図6を参照しつつ具体的に説明する。このスイッチカム40は取付板25に取り付けられ、引っ張り軸21の長さ方向の変位に連動して引っ張り軸21に長さ方向に移動する。そして、スイッチカム40の移動方向をスイッチカム40の長さ方向とする。また、スイッチカム40の一端側および他端側は、引っ張り軸21の長さ方向の一端側および他端側に一致する。
スイッチカム40は、引っ張り軸21の長さ方向と平行な底部42、底部42からの高さが一端側に向かって漸次高くなる傾斜面に形成された第1カム面43、および第1カム面43から一端側に連設され、底部42からの高さが一定の第1平坦面44を有し、取付板25に固着される固定カム部41と、第1平坦面44上に引っ張り軸21の長さ方向に摺動移動可能に配設され、底部42からの高さが一端側に向かって漸次高くなる傾斜面に形成された第2カム面46、および底部42からの高さが一定の第2平坦面47を有する可動カム部45と、を備えている。そして、第2カム面46の傾斜角度θ2は第1カム面43の傾斜角度θ1より大きくなっている。また、第2平坦面47の底部42からの高さは第1平坦面44の底部42からの高さより高くなっている。
係合突起50は、断面T字状をなし、可動カム部45の底面から突設されて他端側から一端に至るように延設されている。ガイド穴51は、係合突起50の先端面の一端側に開口し、穴方向を可動カム部45の底面に直交するように凹設されている。係止片52がガイド穴51に出没自在に配設され、ばね53が係止片52を延出する方向に付勢するようにガイド穴51内に配設されている。そして、係止片52の鍔部52aがガイド穴51の係止部51aに当接し、係止片52のそれ以上の延出が阻止されている。また、係止片52の先端面52bは、その延出量が他端から一端に徐々に小さくなる傾斜面に形成されている。
ガイド溝55は、係合突起50の外形形状に適合する断面T字状をなし、固定カム部41の第1平坦面44に開口し、第1平坦面44の他端側から一端に至るように凹設されている。係止穴56は、係止片52の外形形状に適合する内形形状をなし、ガイド溝55の底面の一端側に開口し、穴方向を第1平坦面44に直交するように凹設されている。さらに、係止解除穴57が、固定カム部41の一端面と係止穴56とを連通するように形成されている。ばね58が係合突起50を他端側に付勢するようにガイド溝55内に張設されている。
このように構成された可動カム部45は、固定カム部41の一端外方から係合突起50をガイド溝55に嵌め入れられて、固定カム部41の長さ方向に摺動移動可能に取り付けられている。
そして、図6の(a)に示されるように、可動カム部45は、ばね58の付勢力により、係合突起50が係止部59に当接して、他端側へのそれ以上の移動を阻止されている。この時、第2カム面46の下端が第1カム面43の上端に一致している。また、係止片52がばね53を収縮させてガイド穴51内に押し込まれている。
また、可動カム部45が、ばね58の付勢力に抗して一端側に、ガイド穴51が係止穴56の真上までスライド移動すると、係止片52がばね53の付勢力によりガイド穴51から延出する。これにより、図6の(b)に示されるように、係止片52が係止穴56内に挿入され、可動カム部45が固定カム部41に係止され、可動カム部45の移動が阻止された作動状態となる。
なお、係止解除穴57から係止片52の先端面52bを押圧し、係止片52をガイド穴51内に押し込んで係止片52と係止穴56との係合を解除すると、可動カム部54がばね58の付勢力により他端側に引っ張られる。これにより、可動カム部45がガイド溝55に案内されて他端側にスライド移動し、係止部59に当接し、図6の(a)に示される初期状態に復帰する。
つぎに、このように構成された踏段鎖破断検出装置20の動作について図2および図7を参照しつつ説明する。
エスカレータ1においては、初期状態では、調整ナット23の締着力が調整され、所定の張力が踏段鎖7に付与されるように圧縮コイルバネ24の収縮量が調整されている。そして、スイッチカム40が初期位置から第1距離および第4距離移動したときに、プランジャ32がそれぞれ第1ストローク量および第2ストローク量押し込まれるように、リミットスイッチ30およびスイッチカム40の位置が調整されている。この時、プランジャローラ33は、図7の(a)に示されるように、固定カム部41の底部42および第1カム面43に対して離間する初期位置に位置している。また、図示していないが、この踏段鎖破断検出装置20の第1端子36と第3端子38と(b接点)が、ハンドガードスイッチ、スカートガードスイッチなどの他の検出装置のb接点とともに、駆動機3への通電経路に直列に接続されている。
このエスカレータ1の運行により、踏段鎖7に経時的に伸びが発生する。この踏段鎖7が伸びると、圧縮コイルバネ24が伸長し、引っ張り軸21が他端側(図2中左方向)に変位する。これにより、下鎖車5がフランジ22側に移動され、踏段鎖7に付与される所定の張力が確保される。この踏段鎖7の伸びに連動して、引っ張り軸21が自身の長さ方向に沿って他端側に変位する。同様に、取付板25に取り付けられたスイッチカム40が、引っ張り軸21の長さ方向に沿って引っ張り軸21の他端側に移動する。
そして、スイッチカム40が移動し、プランジャローラ33が、第1カム面43に当接する。この時、プランジャローラ33は、図7の(b)に示されるように、底部42からの初期高さh1を維持している。スイッチカム40がさらに移動すると、第1カム面43がプランジャローラ33を押し上げつつ移動する。これにより、プランジャローラ33の底部42からの高さが徐々に高くなる。
そして、図7の(c)に示されるように、スイッチカム40が初期位置から第1距離d1だけ移動すると、プランジャローラ33の底部27からの高さがh2となる。この時、プランジャ32の押し込み量(h2−h1)が第1ストローク量に達し、a接点が閉成する。
そして、スイッチカム40が初期位置から第2距離d2(d1<d2<d4)だけ移動すると、図7の(d)に示されるように、プランジャローラ33が第1カム面43から離れ、第2カム面46に当接する。スイッチカム40がさらに移動すると、プランジャローラ33が可動カム部45を押圧し、固定カム部41のみが移動する。この時、プランジャローラ33の底部42からの高さが保持され、プランジャ32の押し込み量は維持される。
そして、スイッチカム40(固定カム部41)が初期位置から第3距離d3(d2<d3<d4)だけ移動すると、係止片52が係止穴56に挿入され、図7の(e)に示されるように、可動カム部45の固定カム部41に対する移動が阻止される。これにより、可動カム部45が固定カム部41と一体に移動可能となる。
そして、スイッチカム40が第3距離d3からさらに移動すると、図7の(f)に示されるように、第2カム面46がプランジャローラ33を押し上げつつ移動する。これにより、プランジャローラ33の底部42からの高さが徐々に高くなる。
そして、図7の(g)に示されるように、スイッチカム40が初期位置から第4距離d4だけ移動すると、プランジャローラ33の底部42からの高さがh3となる。この時、プランジャ32の押し込み量(h3−h1)が第2ストローク量に達し、b接点が開成する。スイッチカム40が第4距離d4からさらに移動すると、プランジャローラ33は第2カム面46から第2平坦面47に乗り上げ、プランジャ32の押し込み量が第2ストローク量を超える値に保持される。リミットスイッチ30のb接点が開成すると、駆動機3への通電経路が瞬時に遮断され、踏段鎖7の循環移動が停止される。これにより、エスカレータ1が緊急停止される。
エスカレータ1が緊急停止されると、保守作業者は、作動した検出装置を特定し、保守点検することになる。ここで、作動した検出装置はa接点が閉成状態となっていることから、各検出装置のa接点の閉成状態を確認するだけで、作動した検出装置を特定することができる。
ここで、踏段鎖7が破断した場合には、引っ張り軸21が圧縮コイルバネ24の付勢力を放勢する方向に移動し、b接点が速やかに開成される。従って、踏段鎖7の破断時には、踏段鎖7の循環移動が確実に、かつ瞬時に停止され、二次災害の発生が抑制される。
また、保守点検時、作業者がスイッチカム40を目視点検し、可動カム部45が固定カム部41に対して変スライド移動していれば、踏段鎖7の伸び調整時期の到来と判断し、可動カム部45が固定カム部41に対してスライド移動していなければ、踏段鎖7の伸び調整時期ではないと判断できる。そして、踏段鎖7の伸び調整時期の到来と判断すれば、調整ナット23の締着力を調整し、所定の張力が踏段鎖7に付与されるように圧縮コイルバネ24の収縮量を調整する。そして、リミットスイッチ30およびスイッチカム40の位置を再調整する。
このように、この実施の形態によれば、常開式のa接点と常閉式のb接点とを有するリミットスイッチ30と、踏段鎖7の伸びに連動して移動するスイッチカム40と、を用いているので、エスカレータの安全機構に組み込める踏段鎖破断検出装置20を簡易、かつ安価な構成で構築できる。そこで、スイッチカム40が初期位置から第4距離d4だけ移動すれば、b接点が開成し、踏段鎖7の循環移動を停止させるように構成されているので、踏段鎖7が破断しても、踏段鎖7の循環移動が速やかに停止される。
ここで、b接点を開成するプランジャ32の第2スロトーク量は2.5mm程度であり、保守点検時に、プランジャ32の位置を目視して踏段鎖7の伸び調整時期の到来を判断することは極めて困難である。そこで、可動カム部45がない場合には、プランジャ32の位置やスイッチカム40の位置を計測して踏段鎖7の伸び調整時期の到来を判断しなければならず、煩雑な作業となる。
この踏段鎖破断検出装置20では、スイッチカム40の移動量が第4距離d4に到達するに先だって、可動カム部45が固定カム部41に対してスライド移動するようになっているので、可動カム部45のスライド移動の有無で、踏段鎖7の伸び調整時期の到来を簡易に、かつ確実に認識できる。従って、保持点検時に、作業者が可動カム部45のスライド移動の有無を目視確認するだけで、踏段鎖7の伸び調整時期の到来を判断できる。これにより、踏段鎖7の伸びをタイムリーに調整でき、踏段鎖7の経時的な伸びの蓄積に起因する踏段鎖7の循環移動の停止の発生を未然に防止できる。また、過度の張力がかかった状態で踏段鎖7の循環移動が継続することが未然に防止され、駆動軸などの軸受に過大な負荷がかかって、寿命を短くするような事態を未然に防止できる。
また、エスカレータ1では、踏段鎖7の循環移動に伴って揺動が生じる。この揺動は引っ張り軸21を介してスイッチカム40に伝達され、スイッチカム40に伝達される。
そこで、スイッチカム40が第4距離d4の間近まで移動した状態で、引っ張り軸21が揺動により他端側に変位すると、プランジャローラ33が第2平坦面47に乗り上げ、エスカレータ1を緊急停止させる事態になる。この踏段鎖破断検出装置20では、可動カム部45のスライド移動の有無で、踏段鎖7の伸び調整時期の到来を簡易に、かつ確実に認識できるので、スイッチカム40が第4距離d4間近まで移動するまでに、踏段鎖7の伸びを確実に調整でき、揺動に起因するエスカレータ1の緊急停止の発生を未然に防止できる。
また、引っ張り軸21が揺動で一端側に変位すると、可動カム部45は固定カム部41に対してスライド移動量が少なくなる方向に移動しようとする。この踏段鎖破断検出装置20では、スイッチカム40が第3距離d3だけ移動すると、係止片52が係止穴56に嵌入し、可動カム部45がスライド移動状態を保持して固定カム部41に係止されるので、引っ張り軸21が揺動で一端側に変位しても、目視にて踏段鎖7の伸び調整時期の到来を確実に認識できる。
ここで、第1乃至第4距離d1〜d4の設定方法の一例を説明する。
まず、スイッチカム40の移動距離は踏段鎖7の伸びに相当しており、第4距離(d4)は、踏段鎖7に発生する伸びの許容値に基づいて設定されるものであり、例えば12.5mmに設定される。また、第3距離d3は、引っ張り軸21の揺動量によって設定される。一般的に引っ張り軸21の揺動量は1〜2mm程度であるので、第3距離d3は10.3mmに設定すればよい。これにより、プランジャローラ33が揺動により第2平坦面47に乗り上げる事態になる前に、踏段鎖7の伸び調整時期の到来を把握して、踏段鎖7の伸びを調整できる。
また、第2距離d2は、踏段鎖7に発生する伸びに余裕がある状態で、踏段鎖7の伸びを調整できるように設定すればよく、例えば9.0mmに設定すればよい。また、第1距離d1は、b接点が開成してエスカレータ1を緊急停止させた検出装置を特定するためのものであり、第4距離d4より短ければよく、例えば第2距離d2と等しくしてもよい。
そして、第1および第2ストローク量と第1乃至4距離d1〜d4とから、第1および第2カム面43,46の傾斜角度θ1,θ2が設定される。
なお、上記実施の形態では、エスカレータに適用するものとして説明しているが、本発明は、エスカレータに限らず、動く歩道などの乗客コンベアに適用しても同様の効果が得られる。
また、リミットスイッチは、図3に示されるリミットスイッチ30の構成に限定されるものではなく、a接点がプランジャのストローク量が第1ストローク量を超えると閉成し、b接点がプランジャのストローク量が第1ストローク量より大きな第2ストローク量を超えると開成するように構成されていればよい。
この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置が設置された乗客コンベアの全体構造を概念的に示す側面図である。 この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置の要部を示す側面図である。 この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるリミットスイッチの動作を模式的に示す断面図である。 この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるリミットスイッチの動作を説明する図である。 この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるスイッチカムを構成を説明する図である。 この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置に適用されるスイッチカムの動作を説明する図である。 この発明の一実施の形態に係る乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置の動作を説明する図である。
符号の説明
1 エスカレータ(乗客コンベア)、2 トラス、3 駆動機、4 上鎖車、5 下鎖車、7 踏段鎖、8 踏み段、20 踏段鎖破断検出装置、21 引っ張り軸、24 圧縮コイルバネ、30 リミットスイッチ、31 筐体、32 プランジャ、33 プランジャローラ、35 接触子、36 第1端子(b接点)、37 第2端子(a接点)、38 第3端子、40 スイッチカム、41 固定カム部、43 第1カム面、45 可動カム部、46 第2カム面。

Claims (1)

  1. 多数の踏段がトラスの乗り口側と降り口側とに設置された一対の鎖車に掛け渡された無端状の踏段鎖に連結され、引っ張り軸がその一端を上記一対の鎖車の一方の鎖車に連結されて他方の鎖車から離反する方向に延設され、圧縮コイルバネが上記引っ張り軸を介して上記一方の鎖車を上記他方の鎖車から離反する方向に付勢するように上記引っ張り軸に装着され、駆動機が上記他方の鎖車を回転駆動することにより上記踏段鎖を循環移動させるように構成された乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置であって、
    筐体、該筐体に出没自在に配設されたプランジャ、該プランジャの先端に設けられたプランジャローラ、該プランジャのストローク量が第1ストローク量を超えると閉成するa接点および該プランジャのストローク量が第1ストローク量より大きな第2ストローク量を超えると開成するb接点を有し、該b接点が上記駆動機への通電経路に直列に接続されるリミットスイッチと、
    上記引っ張り軸の長さ方向の変位に連動して該引っ張り軸の長さ方向に移動可能に配設され、初期位置から第1距離移動したときに上記プランジャのストローク量が上記第1ストローク量となり、かつ該初期位置から該第1距離より長い第4距離移動したときに上記プランジャのストローク量が上記第2ストローク量となるように、上記プランジャを作動させるスイッチカムと、を備え、
    上記スイッチカムは、
    上記引っ張り軸の長さ方向の変位に連動して移動し、上記初期位置から上記第4距離より短い第2距離まで移動したときに、上記プランジャローラに当接して上記プランジャを、上記第2ストローク量より少ない所定ストローク量だけ上記筐体内に押し込む第1カム面を有する固定カム部と、
    上記固定カム部に該固定カム部の移動方向にスライド移動可能に取り付けられ、上記固定カム部が上記第2距離から上記第2距離より長く、かつ上記第4距離より短い第3距離まで移動したときに、上記プランジャローラに押圧されて上記固定カム部の移動に連動する移動が規制され、上記固定カム部が上記第3距離に到達したときに、上記固定カム部に係止され、上記固定カム部が上記第3距離から上記第4距離まで移動したときに、該固定カム部の移動に連動して移動して、上記プランジャローラに当接して上記プランジャを上記第2ストローク量まで上記筐体内に押し込む第2カム面を有する可動カム部と、
    を備えたことを特徴とする乗客コンベアの踏段鎖破断検出装置。
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