JP5065747B2 - 半導体パッケージの製造方法及び製造装置 - Google Patents
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近年、半導体パッケージの厚さも多様化しており、樹脂モールドに際して、半導体パッケージの厚さが異なる場合には、それに応じて、金型を数多く保有する必要があった。このように金型を多く保有すると、コスト上の問題がある上、異なる厚さの半導体パッケージを製作する際に、わざわざ金型を交換しなければならないという作業効率の低下の問題も生じていた。
また、最近では半導体素子の大きさとほぼ同じ大きさの半導体パッケージが出現している。このような半導体パッケージは、例えばCSP(Chip Size Package;チップサイズパッケージ)と呼ばれている。このような薄い半導体パッケージを成形する場合、前記配線基板と金型のキャビティ部底面との間にできる空間が狭くなっている為、従来の成型方法では樹脂が通りにくくなっており、未充填をおこして成形不良が発生することになる。
すなわち、本発明は、リードフレームまたはサブストレートに半導体素子及び接続ワイヤが配設された配線基板を、対向する2つの金型のパーティング面に狭持し、前記配線基板を樹脂封止する半導体パッケージの製造方法において、前記2つの金型のうち少なくとも上金型には、該金型のキャビティ凹部底面が上下方向に移動可能となるように可動キャビティを設け、該半導体パッケージを成形する前に予め樹脂封止層の厚さを決定し、該配線基板と該キャビティ凹部底面との間隔が前記樹脂封止層の厚さよりも広くなるような位置に該可動キャビティを配置した後、該樹脂を前記2つの金型のキャビティ内に注入し、該樹脂が硬化する前に、該可動キャビティを該配線基板に接近する方向に移動させて前記樹脂封止層の厚さの位置にして該半導体パッケージを成形することを特徴とする半導体パッケージの製造方法である。
また、薄い樹脂封止がなされた半導体パッケージを成形する場合にも、未充填をおこすことが無く、成形不良が発生することを防止することができる。
また、下金型2が上昇して型締めされたときに接触するパーティング面には、その一例として、キャビティ凹部7内のエアーや封止樹脂に含有するエアーを抜き、成形された半導体パッケージ6でのボイド、ピンホール、樹脂欠けなどの発生を防止する役目をするキャビティ凹部7に通じるエアーベント13も設けられている。
先ず、図1(a)に示すように、可動キャビティ9を初期位置に移動させてブレーキにて位置を保持する(図4のフローチャート中のステップS10)。
所定の温度に加熱された上下金型2、3を型開きし、図1(b)に示すようにパーティング面上に配線基板12を載置する。配線基板12は、完成パッケージ6(図6参照)から樹脂封止層19を欠いた構成、即ち可撓性基材(エポキシ等)のサブストレート4に半導体素子5及び接続ワイヤ11が配設された構成であり、後の工程で半導体素子5及び接続ワイヤ11側がキャビティ凹部7内に収容されるよう載置する(ステップS11)。また、ポット14内に樹脂18が載置される。
次に、上金型3のキャビティ凹部7の底面7a(図1(b)及び図6参照)と配線基板12との間隔を、完成時に要求される半導体パッケージ6の厚さによって決定される樹脂封止層19の厚さ(X)よりやや広い間隔(Y)となるように(図6参照)、上金型3における可動キャビティ9の位置を設定する。ただし、当該位置設定は、前記配線基板のクランプ前に予め行っておいてもよい。
本実施形態では、後述するように、先ず、底面7aと配線基板12との間隔を第2間隔Y(>X)に設定し、樹脂注入後に、底面7aと配線基板12との間隔を第1間隔Xまで縮小することにより、樹脂封止層19の厚さを完成品の厚さとする。ここで、樹脂封止層19の厚さ(第1間隔X)は複数選択することが可能であり、樹脂封止層19の厚さ(第1間隔X)に応じて第2間隔Yを変更することができる。従って、同じ金型1を使用して、2種類以上の異なる厚さを有する半導体パッケージを製造することが可能である。
間隔X及びYは、別々に製造装置に設定しても良いし、XとYとを対応させたテーブルを予め製造装置の記録媒体に格納しておき、Xを入力することによってYが自動的に設定されるようにしても良い。
また、押圧軸用ブロック10または押圧軸にブレーキをかけて、樹脂注入時の樹脂圧でキャビティ凹部7が動かないように保持する。
ステップS13において注入圧力を設定した後、図2(b)に示すように、先ず第1段階でポット14内のプランジャー15を上昇させて溶融した樹脂18aをキャビティ内に圧送してキャビティ凹部7内に充填する(ステップS14,S15)。
その後、図3(a)に示すように、前述した動力源で押圧軸用ブロック10および押圧軸を押圧し、上金型3の可動キャビティ9を、要求される樹脂封止層19の厚さや樹脂18の種類等に応じた所定の加圧力により所定の速度で更に微少下降させ圧縮成形する(ステップS16,S17)。即ち、この速度、加圧力ないしそのタイミングを設定することで、例えば成形に最適な樹脂18を選択し、上下金型2、3の加熱温度を一定に制御した状態にしておけば、溶融した樹脂が最も低粘度で、半導体素子5、サブストレート4に応力が掛からない状態で移動させることが可能である。
速度及び圧力は、完成時の樹脂封止層19の厚さ、樹脂18の種類等応じて最適な値を決定し、設定することができる。なお、速度及び圧力は、配線基板12をクランプする前に予め設定しても良い。また、例えば、樹脂封止層19の厚さ及び樹脂の種類と、最適な速度及び圧力とを対応させたテーブルを予め製造装置の記録媒体に格納しておき、樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類を入力すれば、最適な速度及び圧力が自動的に設定されるようにしても良い。
樹脂封止層19の厚さが0.41mm、樹脂の種類をGE−100LFCS GT60とした場合には、速度を0〜0.3mm/s、圧力を3〜18MPaに設定することが可能である。
その後、図1(a)に示すような成形型1の状態に戻し他の半導体パッケーシを圧縮成形開始できるようにして完了する。
(実験例)
図7は、上金型3のキャビティ凹部7の底面7aと配線基板12との間隔を0.2mm以下として樹脂を注入し、半導体パッケージを製造した場合の実験結果である。図7において、「チップ」は図6の半導体素子5に対応する。
同図より、樹脂の未充填箇所(α)が高い頻度で発生することが分かる。また、樹脂封止層19の厚さが0.2mm以下の半導体パッケージを固定金型で製造した場合にも同様の結果になると考えられる。
本実施形態では、配線基板12や樹脂封止層19の厚さに応じて、上金型3のキャビティ凹部7の底面7aと配線基板12との間隔を完成時の樹脂封止層19の厚さより広く任意に設定することができるので、当該間隔が過度に小さく(例えば0.2mm以下)になるのを防止し、これにより樹脂の未充填を防止することができる。
かかる方法は、図6に示すような半導体素子5の大きさとほぼ同じ大きさの半導体パッケージ、例えばCSP(チップサイズパッケージ)などに好適であり、半導体素子5及び接続ワイヤ11などが搭載されたサブストレート4への実質的な成形圧力の影響が低減し、この半導体パッケージ6の耐湿性能や機械的強度性能等についての信頼性は優れたものとなる。
また、可動キャビティ9を任意の位置に設定できるので、厚さの異なる半導体パッケージを成形する際に、金型を半導体パッケージ毎に用意する必要がない。図8(a)に示すように、可動キャビティを用いた本発明の方法では、1個の金型を用いて2以上のx種類の半導体パッケージを製造することができるが、キャビティを固定した場合には、x種類の半導体パッケージの製造にはx個の金型が必要になる。よって、本発明によれば、半導体パッケージの製造コストを大幅に低減することが可能である。さらに、樹脂封止時に薄いサブストレート4に変形が生じたり、また、半導体素子5と回路配線との電気的接続部位(例えばワイヤ接続)に負荷が印加されることを防止でき、隣接する接続ワイヤ11同士が接触することを防止することができる。
そして、上金型3のキャビティ凹部に樹脂フィルム16を配設する場合には、側壁8と可動キャビティ9の間隙から溶解した樹脂18が漏出することがなく、バリのない精度の高い半導体パッケージを成形することができる。
尚、本実施例では一つの半導体素子5及び接続ワイヤ11がサブストレート4上に配設された配線基板12で構成された半導体パッケージ6の製造方法を説明したが、例えば、図示省略するがマトリックス状に配列され複数の半導体素子が配設された配線基板で構成された半導体パッケージ、または、マトリックス状に配列された複数の配線基板を一つのパッケージとして成形した後、ダイシング切断方式により個別化する半導体パッケージであっても何らさしつかえなく製造することができる。
また、本実施の形態では、下金型2はキャビティ凹部を有しない平坦状のものとしたが、下金型2はキャビティ凹部を有するものであってもよい。
2 下金型
3 上金型
4 サブストレート
5 半導体素子
6 半導体パッケージ
7 キャビティ凹部
7a 底面
8 側壁
9 可動キャビティ
10 押圧軸用ブロック
11 接続ワイヤ
12 配線基板
13 エアーベント
14 ポット
15 プランジャー
16 樹脂フィルム
17 真空用通路
18 樹脂
18a 溶融した樹脂
19 樹脂封止層
Claims (4)
- リードフレームまたはサブストレートに半導体素子及び接続ワイヤが配設された配線基板を対向する2つの金型のパーティング面に狭持し、前記配線基板を樹脂封止する半導体パッケージの製造方法において、
前記2つの金型のうち少なくとも上金型には、該金型のキャビティ凹部底面が上下方向に移動可能となるように可動キャビティを設け、
該半導体パッケージを成形する前に予め樹脂封止層の厚さを決定し、
該配線基板と該キャビティ凹部底面との間隔が前記樹脂封止層の厚さよりも広くなるような位置に該可動キャビティを配置した後、
該樹脂を前記2つの金型のキャビティ内に注入し、該樹脂が硬化する前に、該可動キャビティを該配線基板に接近する方向に移動させて前記樹脂封止層の厚さの位置にして該半導体パッケージを成形し、
前記可動キャビティを所定の加圧力により所定の速度で移動させ、
前記樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類と、前記樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類に適した可動キャビティの速度及び加圧力とを対応させたテーブルを予め記録媒体に格納しておき、前記テーブルを用いて、前記樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類に適した可動キャビティの速度及び加圧力が決定されることを特徴とする、半導体パッケージの製造方法。 - 請求項1にかかる半導体パッケージの製造方法において、前記可動キャビティを有する金型のキャビティ凹部の表面上に樹脂フィルムを配設したことを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
- リードフレームまたはサブストレートに半導体素子及び接続ワイヤが配設された配線基板を対向する2つの金型のパーティング面に狭持し、前記配線基板を樹脂封止する半導体パッケージの製造装置において、
前記2つの金型のうち少なくとも上金型には、該金型のキャビティ凹部底面が上下方向に移動可能となるように可動キャビティを設け、
予め決定された樹脂封止層の厚さに応じて可動キャビティの位置を変更することのできる機構を備え、
該配線基板と該キャビティ凹部底面との隙間が前記樹脂封止層の厚さより広くなるような位置に該可動キャビティを配置した後、
該樹脂を前記2つの金型のキャビティ内に注入し、該樹脂が硬化する前に、該可動キャビティを該配線基板に接近する方向に移動させて前記樹脂封止層の厚さの位置にして該半導体パッケージを成形し、
前記可動キャビティを所定の加圧力により所定の速度で移動させ、
前記樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類と、前記樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類に適した可動キャビティの速度及び加圧力とを対応させたテーブルを予め記録媒体に格納しておき、前記テーブルを用いて、前記樹脂封止層の厚さ及び樹脂の種類に適した可動キャビティの速度及び加圧力が決定されることを特徴とする、半導体パッケージの製造装置。 - 請求項3にかかる半導体パッケージの製造装置において、前記可動キャビティを有する金型のキャビティ凹部の表面上に樹脂フィルムを配設したことを特徴とする半導体パッケージの製造装置。
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