JP5032853B2 - 車体後部構造 - Google Patents
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Description
この補強構造は、図11(a)に示すように、サポート部材109と、一対の圧縮緊張バー101(タンクロアフレーム)とで略Y字が形成されている。サポート部材109は、車体Bの幅方向の略中央に配置されて、車体Bの前後方向に延びている。このサポート部材109は、その後端がクロスサポート部材106(リアフロアエンドクロスメンバ)に接続されるとともに、その前端がレシービングブラケット110に接続されている。ちなみに、クロスサポート部材106は、リアフレーム102の後端側に接続されている。
圧縮緊張バー101は、それぞれの後端が車体Bの中央寄りでレシービングブラケット110に接続されるとともに、サイドシル105まで略V字状に延びたそれらの先端がサイドシル105と接続されている。
そして、車体後部構造の全体としての変位−荷重特性は、リアフレームが示す荷重の最大値に、タンクロアフレームが維持する前記荷重を加えたものを荷重の最大値として示すこととなる。
したがって、この車体後部構造は、従来の補強部材を備える車体後部構造と比較して、後面衝突時に大きな荷重が入力されてもその荷重を負担することができる。
したがって、この車体後部構造は、その軽量化、および製造コストの低減を図ることができる。
この車体後部構造によれば、簡単な構造でタンクロアフレームの断面変形を抑制することができる。
また、このような車体後部構造においては、前記タンクロアフレームは、燃料タンクから離れる方向に曲げ変形するように設定されており、例えば、燃料タンク側が凹となる形状を有するように構成することができる。この車体後部構造によれば、前記タンクロアフレームが燃料タンクにより確実に干渉を起こさない方向に曲げ変形させることができる。
また、このような車体後部構造においては、前記タンクロアフレームは、曲げ変形するきっかけを燃料タンク側に有していてもよい。
また、このような車体後部構造においては、前記タンクロアフレームは、その中立軸が燃料タンク側に凹となるように変曲点が設定されていてもよい。
また、このような車体後部構造においては、前記タンクロアフレームは、その断面形状、および前記タンクロアフレームを形成する板の厚さが長手方向に一定であって、その延びる方向を変位させるように外形を形成することで変曲点が設定されていてもよい。
また、このような車体後部構造においては、前記タンクロアフレームは、このタンクロアフレームを形成する板の厚さの分布、およびこのタンクロアフレームを形成する板の材料の強度を長手方向に変化させることで変曲点が設定されていてもよい。
また、このような車体後部構造においては、前記タンクロアフレームは、長手方向に沿って延びるリブを有するとともに、このリブの配置によって変曲点が設定されていてもよい。
なお、図3(a)から(h)に示す断面は、タンクロアフレームの中立軸に直交する断面を表している。また、以下の説明において、上下左右の方向については、通常の状態で接地している車両(自動車)の上下左右の方向を基準とする。
ここでは、まず実施形態に係る車体後部構造Sを含む全体的な車体構造について説明する。
図1(a)に示すように、タンクロアフレーム1は、それぞれの後端側がリアフロアクロスメンバ10の車幅方向の略中央に接続されている。そして、タンクロアフレーム1のそれぞれは、リアフロアクロスメンバ10側から車体Bの両側に向かって略V字状に延びるとともに、それぞれの前端側が各サイドシル5に接続されている。具体的には、タンクロアフレーム1の先端側は、ミドルフロアクロスメンバ3が接続される各サイドシル5部分の近傍に接続されている。つまり、本実施形態でのタンクロアフレーム1とリアフレーム2とは、車体Bの左右に一対で配置されている。
図3(b)に示すタンクロアフレーム1は、対向する側壁1a同士の間で上壁1bと下壁1cとの間を繋ぐように中壁1dが形成されたものである。
図3(c)に示すタンクロアフレーム1は、図3(b)に示すタンクロアフレーム1における中壁1dを2枚に変更したものである。
図3(d)に示すタンクロアフレーム1は、図3(b)に示すタンクロアフレーム1において、対向する側壁1a同士の間を繋ぐ横壁1eがさらに形成されたものである。
図3(e)に示すタンクロアフレーム1は、図3(c)に示すタンクロアフレーム1において、対向する側壁1a同士の間を繋ぐ横壁1eがさらに形成されたものである。
なお、ここでの側壁1a、上壁1b、下壁1c、中壁1d、および横壁1eは、その板厚が、タンクロアフレーム1の長手方向に一定となるように形成されている。そして、断面形状は、タンクロアフレーム1の長手方向に一定(同じ形状)となっている。
ちなみに、中壁1d、および横壁1eを備えたタンクロアフレーム1では、荷重が入力された際の断面変形が、より確実に抑制される。その結果、このタンクロアフレーム1は、最大曲げ強度に達した後に荷重が急激に低下しない。
図3(f)に示すタンクロアフレーム1は、側壁1aのそれぞれに1つずつリブ1fが形成されたものである。
図3(g)に示すタンクロアフレーム1は、側壁1aのそれぞれに2つのリブ1fが並ぶように形成されたものである。
図3(h)に示すタンクロアフレーム1は、上壁1bおよび下壁1cのそれぞれに2つのリブ1fが並ぶように形成されたものである。
ちなみに、リブ1fを備えたタンクロアフレーム1でも、図3(a)から(e)に示すタンクロアフレーム1と同様に、断面変形が抑制されることで、最大曲げ強度に達した後に荷重が急激に低下しない。また、リブ1fを備えたタンクロアフレーム1は、図3(a)から(e)に示すタンクロアフレーム1と比較して軽量化を図ることができる。
このようなタンクロアフレーム1は、充填材が配置される一部の区間で断面変形を抑制することができる。
なお、充填材が配置される好ましい位置としては、断面形状の局部的な変形が生じ易い箇所が挙げられる。具体的には、例えば、タンクロアフレーム1の端部15(図1(b)参照)、中央部16(図1(b)参照)、変曲点17(図4(b)等参照)等が挙げられる。また、図示しないが、タンクロアフレーム1が2部材以上を結合して形成されたものである場合には、その結合部が挙げられる。
図1(b)に示すように、この車体後部構造Sでは、後面衝突時の荷重Fがバンパビーム8に入力されると、荷重Fは、リアフレーム2からサイドシル5側に伝達されるとともに、リアフロアエンドクロスメンバ6、スペアパンフレーム9、リアフロアクロスメンバ10、およびタンクロアフレーム1を介して、サイドシル5側に伝達される。つまり、荷重Fは、リアフレーム2方向と、スペアパンフレーム9方向とに分散される。この際、スペアパンフレーム9は、従来の車体後部構造(例えば、特許文献1参照)のサポート部材109(図11(b)参照)と異なって、水平となるように配置されているので、スペアパンフレーム9方向への荷重Fの分散成分は、スペアパンフレーム9を介してタンクロアフレーム1に効率よく伝達される。その結果、車体後部構造Sでは、荷重Fの分散が効果的に行われる。
このときタンクロアフレーム1は、前記したように、断面変形が抑制されているので、図2に示すように、その変位−荷重特性は、荷重が最大値を迎えた後であっても、荷重が急激に低下せずに、変位が増加しながらも所定の荷重が維持される。
そして、本実施形態に係る車体後部構造Sの全体としての変位−荷重特性と、従来の車体後部構造における全体としての変位−荷重特性とを比較すると、本実施形態に係る車体後部構造Sは、従来の車体後部構造よりも、荷重の最大値が(L3−L1´)ぶん大きくなる。
したがって、本実施形態に係る車体後部構造Sは、従来の補強部材を備える車体後部構造と比較して、後面衝突時に大きな荷重が入力されてもその荷重を負担することができる。
したがって、本実施形態に係る車体後部構造Sは、その軽量化、および製造コストの低減を図ることができる。
以下に適宜図面を参照しながら説明する他の実施形態において、前記実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。
さらに具体的にいうと、タンクロアフレーム1は、燃料タンクT側が凹となる形状を有している。そして、このようなタンクロアフレーム1は、図4(b)に示すように、その中立軸18が燃料タンクT(図4(a)参照)側で、つまり上側で凹となるように、その長手方向に2箇所の変曲点17を有している。
また、タンクロアフレーム1の材質を長手方向に変えて配置することで、長手方向に強度の異なる部分を形成して中立軸18に変曲点17を設けるものであってもよい。また、上壁1bまたは下壁1cの少なくともいずれかに、リブを部分的に形成し、またはリブの高さや幅を変化させることで、タンクロアフレーム1の中立軸18に変曲点17を形成するものであってもよい。ちなみに、このリブは、タンクロアフレーム1の長手方向に沿って延びるように形成されたものが望ましい。
1a 側壁
1b 上壁
1c 下壁
1d 中壁
1e 横壁
1f リブ
15 端部
16 中央部
17 変曲点
18 中立軸
B 車体
S 車体後部構造
T 燃料タンク
Claims (9)
- 車体の後部の両側に配置され、前方のサイドシルより上方にオフセットするリアフレームと、
前記各リアフレームに渡し掛けられて接続されるリアフロアクロスメンバと、
前記各リアフレームの後端に渡し掛けられるリアフロアエンドクロスメンバと前記リアフロアクロスメンバとの間で前後方向に延びて接続されるとともにリアフロアパネルの後部に凹設されたスペアタイヤ収納用のスペアパンに配置されるスペアパンフレームと、
を備え、
このリアフレームおよび燃料タンクよりも下方に配置されるタンクロアフレームが前記リアフロアクロスメンバの中央から前方に向けて略V字状に開き、前記サイドシルに接続して車体の左右に一対で配置され、
前記スペアパンフレームおよび前記タンクロアフレームの両方が前記リアフロアクロスメンバを介し水平に配置された車体後部構造であって、
前記リアフレームは、前記タンクロアフレームと比較して、変位Sに対する荷重Fの比(F/S)が大きくなるような変位−荷重特性を有し、かつその最大曲げ強度は、前記タンクロアフレームの最大曲げ強度より大きい変位で発生し、前記タンクロアフレームは、その最大曲げ強度に達した後に急激に荷重が低下しないように断面変形が抑制され、燃料タンクから離れる方向に曲げ変形するように設定されていることを特徴とする車体後部構造。 - 前記タンクロアフレームが中空部材で形成されており、前記断面変形の抑制は、前記タンクロアフレームの側壁の板厚を、上下壁の板厚よりも厚くして行ったことを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームが中空部材で形成されており、前記断面変形の抑制は、前記タンクロアフレームの内部側に、リブ、板、および充填材の少なくともいずれかを配置して行ったことを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームは、燃料タンク側が凹となる形状を有することを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームは、曲げ変形するきっかけを燃料タンク側に有することを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームは、その中立軸が燃料タンク側に凹となるように変曲点が設定されていることを特徴とする請求項1に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームは、その断面形状、および前記タンクロアフレームを形成する板の厚さが長手方向に一定であって、その延びる方向を変位させるように外形を形成することで変曲点が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームは、このタンクロアフレームを形成する板の厚さの分布、およびこのタンクロアフレームを形成する板の材料の強度を長手方向に変化させることで変曲点が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の車体後部構造。
- 前記タンクロアフレームは、長手方向に沿って延びるリブを有するとともに、このリブの配置によって変曲点が設定されていることを特徴とする請求項6に記載の車体後部構造。
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