JP5027477B2 - ジベンゾオキセピノピロール化合物およびその中間体の製造方法ならびに新規中間体 - Google Patents
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- ZNKGVSBQTTWVLO-UHFFFAOYSA-N CN(CC(O)=C1c2ccccc2Cl)C1=O Chemical compound CN(CC(O)=C1c2ccccc2Cl)C1=O ZNKGVSBQTTWVLO-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
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で表される化合物を分子内閉環し、次いで、得られる式[III]:
で表される2級アミン化合物を縮合させ、得られる式[II]:
で表される化合物を分子内閉環し、次いで、得られる式[III]:
で表される2級アミン化合物を縮合させ、得られる式[II]:
で表される化合物を分子内閉環することを特徴とする式[III]:
なお、出発原料である化合物[Ia]および化合物[Ib]において、記号Rで示される炭素数1〜6のアルキル基としては、直鎖状でも分岐状でもよく、とりわけメチル基、エチル基が好ましい。
化合物[II]は化合物[Ia]またはそのカルボキシル基における反応性誘導体と化合物[Ib]とを反応させることにより製造することができる。本反応は一般的なアミド化反応で採用されている方法により実施することができる。例えば、遊離のカルボン酸化合物[Ia]を用いる場合は、縮合剤を用いる方法を採用することができる。また、化合物[Ia]の反応性誘導体を用いる場合は、化合物[Ia]から誘導される反応性誘導体、例えば対応する酸ハライドを化合物[Ib]と反応させる方法が挙げられる。
化合物[III]は化合物[II]を分子内環化することにより製造できる。本反応は化合物[II]に塩基を作用させることにより好適に実施できる。塩基としては、金属水素化物(例えば、水素化カリウム、水素化ナトリウム、水素化リチウムなど)、金属の炭酸塩(例えば、炭酸セシウム、炭酸カリウム、重炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウムなど)、金属アルコキシド(例えば、tert−ブトキシカリウム、tert−ブトキシナトリウム、エトキシカリウム、エトキシナトリウム、メトキシカリウム、メトキシナトリウムなど)、三級アミン(例えば、トリエチルアミン、1,8−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネンなど)などが挙げられる。これらの内、金属アルコキシドが好ましく、なかでもtert−ブトキシカリウムが最も好ましい。塩基の使用量は、化合物[II]1モルに対し、通常0.5モル〜5モル、好ましくは1モル〜1.5モルである。
化合物[IV]は化合物[III]と4−クロロフェノールとを反応させることにより製造できる。本反応は、塩基の存在下に好適に行うことができ、さらに触媒存在下で行なうのが好ましい。
塩基としては、例えば、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N−メチルモルホリン、ピリジン、2,6−ジ−tert−ブチルピリジン、イミダゾール、1−メチルイミダゾールなどの有機塩基、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム、炭酸セシウム、炭酸カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸リチウム、重炭酸カリウム、重炭酸ナトリウム、重炭酸リチウムなどの無機塩基が挙げられる。これらの内、とくに炭酸セシウム、炭酸カリウムが好ましい。塩基の使用量は、化合物[III]1モルに対し、通常0.5モル〜5モル、好ましくは1モル〜2モルである。
4−クロロフェノールの代わりに、4−クロロフェノールと上記の塩基とを先に反応させることにより調製した4−クロロフェノキシ金属塩を用いることもできる。金属塩としては、セシウム塩、カリウム塩、ナトリウム塩、リチウム塩などが挙げられるが、セシウム塩、カリウム塩が好ましい。
4−クロロフェノールの使用量としては、化合物[II]1モルに対し、通常1モル〜5モル、好ましくは1.0モル〜1.5モルである。
なお、化合物[IV]は条件によっては、互変異性体である化合物[IV’]の構造をとりうることがあり、本願発明では、両者を包含するものである。
化合物[V]は化合物[IV]を分子内環化することにより製造できる。本分子環化反応は脱水性溶媒中で好適に実施することができる。脱水性溶媒としては、例えば、硫酸、リン酸、ポリリン酸などが挙げられ、ポリリン酸、とくに粘度が調整できることから、リン酸と五酸化二リンから調製したポリリン酸が好ましい。リン酸の使用量は、化合物[IV]1kgに対し、通常1kg〜100kg、好ましくは3kg〜30kgである。五酸化二リンの使用量は、化合物[IV]1モルに対し、通常1モル〜10モル、好ましくは1モル〜3モルである。反応温度は通常20℃〜250℃、好ましくは120℃〜200℃である。反応時間は反応温度、原材料の使用量などにもよるが、通常10時間〜48時間、好ましくは15時間〜25時間。反応液を常法による後処理(例えば、中和、抽出、洗浄、乾燥、濃縮など)により取り出された化合物[V]を晶析精製できるが、濃縮物のままを次工程に用いてもよい。
化合物[VI]は化合物[V]の炭素―炭素二重結合を還元することにより製造できる。本還元反応は、白金やパラジウムなどの貴金属触媒の存在下に接触還元することにより実施できるが、低級アルコールまたはアンモニア中に、アルカリ金属またはアルカリ土類金属を作用させる方法などを用いることが好ましい。なかでも、低級アルコールまたはアンモニア中にアルカリ金属またはアルカリ土類金属を作用させる方法が好ましく、さらに好ましくは、低級アルコール中にマグネシウムを作用させる方法、アンモニア中に、リチウムまたはナトリウムを作用させる方法であり、最も好ましくは、メタノールまたはエタノール中にマグネシウムを作用させる方法である。低級アルコールまたはアンモニアの使用量としては、化合物[V]1kgに対して、通常4L〜100Lであり、好ましくは、5L〜30Lである。アルカリ金属またはアルカリ土類金属の使用量としては、化合物[V]1モルに対し、通常2モル〜25モル、好ましくは4モル〜7モルである。反応温度は通常0℃〜100℃、好ましくは40℃〜70℃である。反応時間は反応温度、原材料の使用量等にもよるが、通常1時間〜48時間、好ましくは4時間〜10時間である。化合物Vの精製は、反応液を常法による後処理(例えば、中和、抽出、洗浄、乾燥、濃縮、クロマトグラフィーなど)により行なうことができ、特に精製することなしに次工程に用いることができる。
化合物[VII]は化合物[VI]のカルボニル基を還元することにより製造することができる。本還元反応は還元剤の存在下に好適に実施できる。還元剤としては、例えば、LiAlH4、NaAlH2(OCH2CH2OCH3)2、LiAlH(t−BuO)3、AlH3、B2H6、BH3・THF、BH3・OEt2、NaBH4/BF3・THF、KBH4/BF3・THF、LiBH4/BF3・THF、NaBH4/(CH3)2SO4、NaBH4/H2SO4などが用いられる。還元剤の量は通常、化合物[VI]1モルに対して1〜5モルである。反応溶媒は、通常ジエチルエーテル、tert−ブチルメチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ジグライム、テトラヒドロフランなどのエーテル溶媒が挙げられ、好ましくはテトラヒドロフランである。溶媒の使用量は、化合物[VI]1kgに対し、通常1L〜100L、好ましくは3L〜30Lである。反応温度は、通常−80℃〜100℃である。
(2−クロロフェニル)酢酸(144g,844mmol)のトルエン(430ml)溶液に、N,N−ジメチルホルムアミド(0.3ml)加え、30〜50℃で、窒素雰囲気下で塩化チオニル(105g,883mmol)を30分間で滴下し、還流まで徐々に加熱した。反応終了後、トルエンを減圧留去後、得られた(2−クロロフェニル)アセチルクロライド溶液をサルコシンエチルエステル塩酸塩(129g,840mmol)、N,N−ジメチルアミノピリジン(10g)、テトラヒドロフラン(630ml)、トリエチルアミン(290ml)の混合溶液に0〜20℃で30分間かけて滴下し、終夜撹拌した。反応終了後、反応液に水(300ml)とトルエン(500ml)を加え、攪拌分液した。得られたトルエン層を水(300ml)、10%塩酸(200ml)、水(200ml)、5%重曹水(200ml)と食塩水(200ml)で順次洗浄し、無水硫酸マグネシウムで乾燥後、ろ過、濃縮を行い、油状物化合物[II]を163g得た。見かけ収率:71.8%。
エチル 2−(2−(2−クロロフェニル)−N−メチルアセタミド)アセテート[II]の1H−NMRデータ(ppm in CDCl3):1.28(3H,t,J=7Hz),3.10(3H,s),3.88(2H,s),4.16(2H,s),4.20(2H,q,J=7Hz),7.20〜7.24(2H,m),7.36〜7.39(2H,m).
実施例1で得られた化合物[II](163g、0.604mol)をトルエン(400ml)とテトラヒドロフラン(100ml)に溶解させ、0〜20℃でtert−ブトキシカリウム(70.6g、0.63mol)を分割添加した。反応液を室温で終夜攪拌後、水(200ml)を少しずつ流入した。分液後、有機層を水(50ml)で抽出し、水層を合わせた。合わせた水層に35%塩酸を滴下し、pH約3に調整した後、析出した固体をろ過、乾燥して、3−(2−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピロール−2(5H)−オン[III]を107.0g得た。(2−クロロフェニル)酢酸[Ia]からの通算収率は56.7%である。
3−(2−クロロフェニル)−4−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピロール−2(5H)−オン[III]の1H−NMRデータ(ppm in DMSO−d6):2.87(3H,s),3.95(2H,s),7.22〜7.46(4H,m),11.27(1H,s).
実施例2で得られた化合物[III](20.0g,89.6mmol)、4−クロロフェノール(17.3g,134mmol)、炭酸セシウム(59.3g,182mmol)、ヨウ化銅(I)(0.34g,1.9mmol)、N,N−ジメチルグリシン塩酸塩(0.94g,6.7mmol)、ジグライム(190ml)との混合物を窒素雰囲気中、内温114〜116℃で50分間加熱後、HPLCにより原料の消失を確認した。反応マスを約10℃までに冷却、水(190ml)を徐々に流入した。得られた水溶液をトルエンで洗浄後、35%塩酸水でpHを7〜8に調整した。析出した固体をろ過、水洗浄、減圧乾燥して、固体の3−(2−(4−クロロフェノキシ)フェニル)−4−ヒドロキシ−1−メチル−1H−ピロール−2(5H)−オン[IV]が16.6g得られた。収率58.8%。
上記化合物[IV]の1H−NMRデータ(ppm in CDCl3):3.02(3H,s),3.82(2H,s),6.83(2H,d,J=9Hz),6.99〜7.02(1H,m),7.25〜7.33(3H,m),8.07(1H,s),8.12(1H,m).
実施例3で得た化合物[IV](11.5g,36.5mmol)と105%リン酸(35.0g)を混合し、160℃で17時間加熱した。原料が残留していたため、五酸化二リン(7.9g)を加え、160℃で10時間加熱した。反応マスに水(100ml)と酢酸エチル(100ml)を順次流入した。析出した少量の生成物[VI]をろ過、回収し、ろ液を分液した。酢酸エチル層を水(50ml)、5%重曹水(100ml)と水(100ml)で順次洗浄後、減圧濃縮して、黄色固体の生成物[V]が上記の回収分と合わせて9.90g得られた。粗収率91.2%。
5−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール−1−オン[V]の1H−NMRデータ(ppm in DMSO−d6):3.09(3H,d,J=2Hz),4.61(2H,d,J=4Hz),7.30〜7.60(6H,m),8.04(1H,t−like,J=ca.3Hz).
実施例4で得られた5−クロロ−2,3−ジヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール−1−オン[V]をJournal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,(1994),vol.XXXIV,No.9,845−869に記載の方法に準じて、無水メタノール中、マグネシウムを用いて還元することにより5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール−1−オン[VI]を得る。
実施例5で得られた5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール−1−オン[VI]をJournal of Labelled Compounds and Radiopharmaceuticals,(1994),vol.XXXIV,No.9,845−869に記載の方法に準じて、LiAlH4を用いて還元することにより、トランス−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール[VII]を得る。
(HPLC測定条件)
カラム:Inertsil ODS−2,4.6mmx150mm、カラム温度:35℃、移動層:A液;0.1%トリフルオロ酢酸水、B液;アセトニトリル。
B液濃度(グラジェント、v/v):20%から70%までに20分間、70%で5分間。
流速:1ml/min。検出:UV220nm。
保持時間:11.2min(シス異性体10.6min)。
トランス−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール(化合物[VII])の1H−NMRデータ(ppm in CDCl3):2.56(3H,s)、3.08〜3.18(2H,m)、3.19〜3.28(2H,m)、3.64(2H,m)、7.05〜7.20(7H,m).
実施例6で得られたトランス−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロールを99.5%エタノールに溶解させ、マレイン酸のエタノール溶液を室温で滴下する。析出する固体をろ過、乾燥して、トランス−5−クロロ−2,3,3a,12b−テトラヒドロ−2−メチル−1H−ジベンゾ[2,3:6,7]オキセピノ[4,5−c]ピロール マレエートを得る。mp.141℃
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