JP5024775B2 - 液晶組成物及びそれを用いた液晶素子 - Google Patents

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Description

本発明は、光照射によるメモリ性スイッチング機能を有し、情報の記録、保持などの光書き込み用液晶表示装置や記録媒体として利用することが可能な新規な液晶組成物に関する。
近年、光導電光スイッチング素子と表示素子等の機能素子とを組み合わせた光書き込み型空間変調デバイスが開発され、ライトバルブとしてプロジェクター等に実用化されているほか、光情報処理の分野にもその可能性が検討されている(非特許文献1)。
また、コレステリック液晶よりなる表示素子とアモルファスシリコンよりなる光スイッチング素子とを備えた記録表示媒体や、メモリ性のある液晶素子と有機感光体を積層した画像入力システムであるエルグラフィシステムなどが、光書き込み型の記録表示媒体として研究されている(例えば、非特許文献2)。
このような光書き込み型の記録表示媒体の表示素子に用いる表示材料としては、コレステリック液晶の他にネマチック液晶、ツイストネマチック液晶、スーパーツイスト液晶、スメクチック液晶などの液晶材料や表面安定化強誘電液晶、前述したような液晶材料をポリマー分散化したポリマー分散化液晶、前述したような液晶材料をカプセル化したカプセル化液晶などが知られている。
ところで、このような光書き込み型の記録表示媒体において、メモリ性を有する表示材料より構成した表示素子を備えるものは、記録表示の保持に電力を必要とせずに、表示状態を保持することができる。そのため、デジタル情報を記録表示した後、書き込み装置から切り離しても表示状態が保持されるので、書き込み装置から切り離して持ち歩くことも可能であり、電子ペーパ媒体としても注目されている。
メモリ性を有する表示材料としては、例えば、コレステリック液晶、強誘電液晶やポリマー分散化液晶、カプセル化液晶が存在しており、これらの表示材料を電源と切り離し可能な記録表示媒体などへ応用することが検討されている。
特にコレステリック液晶もしくはコレステリック液晶をカプセル化したコレステリックカプセル化液晶は、選択反射性を持つため、色選択のためのフィルタ等が不要であり、かつ、外部単電極を用いてカラー表示も可能であると言う点から、特に注目されている表示素子材料である。
このコレステリック液晶は、通常、ネマティック液晶に少量の光学活性物質をドーパント(キラルドーパント)として添加して得られるが、そのらせんピッチはキラルドーパントの構造や添加量によって可変である。キラルドーパントは、必ずしも液晶性、あるいはキラルスメクチックC(Sc*)相を示す必要はないが、液晶組成物に添加した場合にその転移点をあまり降下させないものが好ましく、できるだけ少量の添加で充分大きい自発分極を誘起できるものが、液晶組成物としての粘度を低下させ応答の高速化をはかるうえで好都合である。
このような液晶のらせんピッチを制御するために、これまでに多くのキラルドーパントが提案されてきた。例えば、光学活性フェニルピリミジン化合物(特許文献1)、光学活性なハイドロキノンのビスシトロネリック酸エステルまたはテレフタル酸のビスシトロネ
ロールエステル化合物(特許文献2)、光学活性ビフェニルエーテル化合物(特許文献3)、光学活性シアノビフエニル化合物(特許文献4)、光学活性オキサゾリン誘導体(特許文献5)が知られている。
液晶組成物に光学活性物質を添加することにより、液晶分子の逆ツイストを抑えて液晶分子に右回りあるいは左回りのらせん構造を与えられるが、添加される光学活性物質の有するらせんねじり力 H.T.P.(100・μm-1・質量%-1)はその添加濃度『c(質量%)』及びピッチ『P(μm)』を用いて、下記式(I)で定義される。
このH.T.P.が小さいと、必要なピッチを得るために該キラル成分をかなり高い濃度で添加する必要が生じ、他の物質パラメーターに不利な影響を及ぼしてしまう。発明者らは以前、非常に少ない添加量で短いらせんピッチを実現できる(大きなH.T.P.をもつ)光学活性金属錯体キラルドーパント見出した(特許文献6、非特許文献3)。この金属錯体のキラリティは、中心金属の周りに配位子の位置により、Λ体、Δ体の2種類が存在する(非特許文献4)。
この金属錯体のキラリティによって左まわり、右まわりのらせんねじり力が発現し、また置換基の長さや配位子の選択によってもねじり力を弱めたり、場合によってはねじり力を反転させることが可能である。
金属錯体の中には不斉光学的性質(円偏光二色性や旋光性)制御が可能な物質もあることが知られている。例えば、トリスアセチルアセトナトクロム錯体は円偏向の光照射によりアキラル物質からキラル物質に変化する(非特許文献4)。このような金属錯体を液晶ドーパントとして利用できれば、ねじり力の強弱や回転方向が光照射により制御できるので、この機構を利用した新しいメモリ媒体への応用が可能になる。
"液晶空間変調器と情報処理" 液晶 , Vol.2,No.1,'98,p3−p18 H.Yoshida,T.Takizawaら"Reflective Display with Photoconductive Layer and a Bistable, Reflective Cholesteric Mixture" SID '96 APPLICATIONS DIGESTp59 N.Hoshino, Y.Matsuoka, K.Okamoto, and A.Yamagishi., J.Am.Chem.Soc., 125,1718 (2003). 「錯体化学」基礎錯体工学研究会編,P95 液晶 第8巻2004 p26−35. 特開平6−116246号公報 特公平7−64785号公報 特公平7−91207号公報 特公平8−19074号公報 特許第2855346号公報 特開2004−35627号公報
本発明は、該表示素子用液晶混合物の成分として有用な十分ならせんピッチを誘起し、且つ光照射によって誘起CDの光応答性をもつキラルドーパントを含有する液晶組成物と
該液晶組成物を用いたメモリ性液晶素子を提供することを課題とする。
本発明者らは、上述の問題点を改善するため鋭意検討した結果、光応答型CDを誘起する新規な金属錯体を合成し、この金属錯体の光学活性体をキラルドーパントとして用いることで上記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、以下の[1]〜[6]に示される構成要件を備えることを特徴とする。
[1]液晶物質(A)と、光ラセミ化反応を誘起するキラルドーパント(B)と、光不活性なキラルドーパント(C)と、を有する液晶組成物であって、前記キラルドーパント(B)が下記一般式(1)で表され、MがCrである金属錯体であり、前記キラルドーパント(C)が式(1)で表され、MがFe、Co、Ni、Ru、Rh、Os、Ir及びPtの中から選ばれる遷移金属の少なくとも1種である光学活性金属錯体であり、式(1)中、L、Lは各々独立に、またはLとLが一体となって配位子であり、R、Rは炭素数1〜30の分岐していてもよいアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わし、式(1−2)で表される基は、式(1−3)で表されるいずれかの基を表し、式(1−3)中、R、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わすことを特徴とする液晶組成物。
[2]前記液晶組成物がキラルドーパント(B)の誘起CD効果によりコレステリック相を形成することを特徴とする[1]に記載の液晶組成物。
[3]前記キラルドーパント(B)のらせんねじり力(H.T.P.)が、10〜500(100・μm−1・質量%−1)であること特徴とする[1]又は[2]に記載の液晶組成物。
[4]前記一般式(1)における配位子LとLが、前記キラルドーパント(B)の場合、2,4−ペンタンジオン、アセチルアセトナト、ジメチルグリオキシム、ジメチルグリオキシマト(1−)イオン、ジメチルグリオキシマト(2−)イオン、シュウ酸、ピリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸イオン、グリシナト、シアノ基含有化合物、チオシアナトS配位化合物、イソチオシアナトN配位化合物、エチレンジアミンテトラアセタト、マレオニトリルジチオラナト、ニトリロトリアセタナト、オキサラト、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリス(2−アミノエチル)アミン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる光学活性クロム錯体であり、前記キラルドーパント(C)の場合、前記群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする[1]から[3]のいずれかに記載の液晶組成物。
[5]前記一般式(1)における配位子LとLが、アセチルアセトナトであることを特徴とする[4]に記載の液晶組成物。
[6]光ラセミ化反応を誘起するキラルドーパント(B)を0.1〜20質量%含有すること特徴とする[1]から[5]のいずれかに記載の液晶組成物。
以下、本発明を詳細に説明する。本発明の液晶組成物において用いられる液晶物質とし
ては、ネマティック相、およびコレステリック相を示す液晶化合物が挙げられる。
液晶組成物中において、前記一般式(1)で表わされる化合物と混合して使用することのできる液晶物質のうち、ネマチック相を示すホスト液晶化合物の代表例としては、例えば、4,4’−ジメトキシアゾキシベンゼン、N−(4−メトキシベンジリデン)−4’−n−ブチルアニリン、4−シアノ−4’−n−ペンチルビフェニル、4−置換安息香酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4−置換フェニル、4−置換シクロヘキサンカルボン酸4’−置換ビフェニリル、4−(4−置換シクロヘキサンカルボニルオキシ)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換フェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)安息香酸4−置換シクロヘキシル、4,4’−置換ビフェニル、1−(4−置換シクロヘキシル)−4−置換ベンゼン、4,4’−置換ビシクロヘキサン、1−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4−置換ベンゼン、1−(4−置換シクロヘキシル)−2−(4−置換シクロヘキシル)エタン、4,4”−置換ターフェニル、4−(4−置換シクロヘキシル)−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−(4−置換フェニル)−4’−置換ビシクロヘキサン、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]−4’−置換ビフェニル、4−[2−(4−置換シクロヘキシル)エチル]シクロヘキシル−4’−置換ベンゼン、4−[2−(4−置換フェニル)エチル]−4’−置換ビシクロヘキサン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−置換ベンゼン、1−(4−置換フェニルエチニル)−4−(4−置換シクロヘキシル)ベンゼン、2−(4−置換フェニル)−5−置換ピリミジン、2−(4’−置換ビフェニリル)−5−置換ピリミジン及び上記各化合物においてベンゼン環が光学的に許容される置換基を有する各種誘導体を挙げることができる。
具体的には、以下の「化17」〜「化33」などが例示できる。尚、「化17」においてnは3〜8の整数、「化18」においてnは4〜8の整数である、「化19」においてnは6〜8の整数、「化20」においてnは3,5〜8,10のうちのいずれかの整数、「化21」においてnは3,5,7,9,10のうちのいずれかの整数、「化22」においてnは3,4,6,7のうちのいずれかの整数、「化23」においてnは3,4,6,8のうちのいずれかの整数、「化24」においてnは2〜4のうちのいずれかの整数、「化25」においてnは2〜7のうちのいずれかの整数、「化26」においてnは3,5のうちのいずれかの整数、「化29」においてnは5,7のうちのいずれかの整数、「化30」においてnは4,6のうちのいずれかの整数、「化31」においてnは4,6,8のうちのいずれかの整数、「化32」においてnは6、「化33」においてnは3,5のうちのいずれかの整数である。
また、コレステリック液晶分子としては、例えば、「化34」〜「化42」などが挙げられる。
本発明に使用できる液晶物質は前記例示物質に限定されるものではなく、また前記例示物質の2種以上もしくはそれ以外の液晶物質をブレンドして使用することも可能である。
本発明に用いられる光ラセミ化反応を誘起するキラルドーパント(B)は、励起光によってラセミ化が進行し、液晶分子のねじれを緩和させる働きをするものである。このようなキラルドーパントの誘起CDを光ラセミ化反応により緩和させて液晶のらせんピッチを変化させ、情報の書き込み、保存を可能にするメモリ表示素子はこれまで発案されていなかった。特に、下記一般式(1)で表されるキラルドーパントが特に優れた特性を発現する。
(式中、L1、L2は各々独立に、またはL1とL2が一体となって配位子であり、R1、R2は炭素数1〜30の分岐していてもよいアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わし、
は、
(式中、R、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わし、または、
(トランス−1,4−シクロヘキシレン基)を表す。)で表される光学活性な金属錯体がキラルドーパントとして好適に用いられる。
上記一般式(1)におけるR1、R2は各々独立して炭素数1〜30の分岐していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基、あるいはカルボキシル基、シアノ基、水素原子またはハロゲン原子を表わし、好ましくは炭素数3〜10の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。
1、R2において、炭素数が30以上になると融点が高くなるため液晶物質に含有させても十分ならせんピッチを誘起できなくなり、炭素数が1未満(置換炭素をもたない)の場合、液晶物質との親和性が不十分となり十分ならせんピッチを誘起できなくなる。
上記アルキル基としては、具体的には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、イソプロピル、t−ブチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、1−メチルプロピル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、5−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、7−メチルオクチル、6−メチルオクチル、5−メチルオクチル、4−メチルオクチル、3−メチルオクチル、2−メチルオクチル、1−メチルオクチル、8−メチルノニル、7−メチルノニル、6−メチルノニル、5−メチルノニル、4−メチルノニル、3−メチルノニル、2−メチルノニル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチル、3,7,11−トリメチルドデシル等が挙げられる。
アルケニル基としては、具体的には、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−ノネニル、12−トリデセニルなどの直鎖状のもの;1−メチル−2−プロペニル、3−メチル−3−ブテニルなどの分岐状のものが挙げられる。
また、アルキニル基としては、具体的には、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、5−ヘキシニル、2−オクチニルなどの直鎖状のもの;1−メチル−2−プロピニルなどの分岐状のもの等が挙げられる。
上記一般式中の配位子L1とL2としては、キラリティを発現する配位子であれば特に限定されるものではなく、好ましくは、例えば2,4−ペンタンジオン(Hacac)、アセチルアセトナト(acac)、ジメチルグリオキシム(H2dmg)、ジメチルグリオキシマト(1−)イオン(Hdmg)、ジメチルグリオキシマト(2−)イオン(dmg)、シュウ酸(H2ox)、ピリジン(py)、2,2’−ビピリジン(bpy)、1,10−フェナントロリン(phen)、1,2−プロパンジアミン(pn)、1,3−プロパンジアミン(tn)、ジエチレントリアミン(dien)、エチレンジアミン(en)、エチレンジアミン四酢酸(H4edta)、エチレンジアミン四酢酸イオン(Hedta,edta)、グリシナト(gly)、シアノ基含有化合物(CN-)、チオシアナトS配位化合物(SCN-)、イソチオシアナトN配位化合物(NCS-)、エチレンジアミンテトラアセタト(edta)、マレオニトリルジチオラナト(mnt)、ニトリロトリアセタナト(nta)、オキサラト−O(ox)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(cyclam)、トリス(2−アミノエチル)アミン(tren)及びそれらの誘導体等が選ばれる。それらの中でも、好ましくは2,4−ペンタンジオン(Hacac)、アセチルアセトナト(acac)、シュウ酸(H2ox)、グリシナト(gly)、シアノ(CN-)、チオシアナトS配位(SCN-)、イソチオシアナトN配位(NCS-)であり、さらに好ましくはアセチルアセトナト(acac)である。
本発明のキラルドーパント(B)とホスト液晶の組み合わせは、キラルドーパント(B)の励起光の波長と液晶分子の吸収波長が異なる組み合わせが好ましい。例えば、本発明の前記式(1)であらわされるアセチルアセトナトクロム錯体の光ラセミ化誘起光は389nm近傍であるので液晶分子のUV吸収が350nm以上に無い液晶の選択が好ましく、励起光がホストによって吸収されないようにする必要がある。
本発明のキラルドーパント(B)のらせんねじり力(H.T.P.)は、10〜500(100・μm-1・質量%-1)の範囲が好ましく、50〜500(100・μm-1・質量%-1)の範囲が更に好ましい。H.T.P.が10(100・μm−1・質量%-1)未満では光ラセミ化効果が小さく液晶組成物のらせんピッチの変化がわずかであり、500(100・μm-1・質量%-1)を超えるとキラルドーパントの合成が困難になる。
上記一般式(1)で表されるキラルドーパントは液晶組成物中に0.01質量%〜20質量%、好ましくは0.1質量%〜5質量%未満となる添加量が好ましく、0.01質量%未満では十分ならせんねじり力を誘起することができず、20質量%を超えるとコストが高くなるので不適である。
本発明に用いられる光不活性なキラルドーパント(C)としては、光照射でH.T.P.に影響がないものであれば、特に制限はなく、例えば、光学活性フェニルピリミジン化合物、光学活性なハイドロキノンのビスシトロネリック酸エステル、テレフタル酸のビスシトロネロールエステル化合物、光学活性ビフェニルエーテル化合物、光学活性シアノビフエニル化合物、光学活性オキサゾリン誘導体、光学活性金属錯体のように既知の様々なキラルドーパントが適用できる。少ない添加量でらせんピッチを制御できた方が諸特性への影響も少ないのでH.T.P.の大きいキラルドーパントが好ましい。
特に、一般式(1)と類似の構造を持つ下記一般式(2)であらわされるキラルドーパントが特に好適に使用することができる。
(式中、MはFe、Co、Ni、Ru、Rh、Os、Ir及びPtの中から選ばれる遷移金属の少なくとも1種、L1、L2は各々独立に、またはL1とL2が一体となって配位子であり、R1、R2は炭素数1〜30の分岐していてもよいアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わし、
は、
(式中、R、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わし、または、
(トランス−1,4−シクロヘキシレン基)を表す。)で表される光学活性な金属錯体がキラルドーパントとして好適に用いられる。
上記一般式(1)におけるR1、R2は各々独立して炭素数1〜30の分岐していてもよいアルキル基、アルケニル基、アルキニル基もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基、あるいはカルボキシル基、シアノ基、水素原子またはハロゲン原子を表わし、好ましくは炭素数3〜
10の直鎖若しくは分岐状のアルキル基、アルケニル基またはアルキニル基である。
1、R2において、炭素数が30以上になると融点が高くなるため液晶物質に含有させても十分ならせんピッチを誘起できなくなり、炭素数が1未満(置換炭素をもたない)の場合、液晶物質との親和性が不十分となり十分ならせんピッチを誘起できなくなる。
上記アルキル基としては、具体的には、例えばメチル、エチル、n−プロピル、n−ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、n−ノニル、n−デシル、n−ウンデシル、n−ドデシル、n−トリデシル、n−テトラデシル、n−ペンタデシル、イソプロピル、t−ブチル、2−メチルプロピル、1−メチルプロピル、1−メチルプロピル、3−メチルブチル、2−メチルブチル、1−メチルブチル、4−メチルペンチル、3−メチルペンチル、2−メチルペンチル、1−メチルペンチル、5−メチルヘキシル、4−メチルヘキシル、3−メチルヘキシル、2−メチルヘキシル、1−メチルヘキシル、6−メチルヘプチル、5−メチルヘプチル、4−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、2−メチルヘプチル、1−メチルヘプチル、7−メチルオクチル、6−メチルオクチル、5−メチルオクチル、4−メチルオクチル、3−メチルオクチル、2−メチルオクチル、1−メチルオクチル、8−メチルノニル、7−メチルノニル、6−メチルノニル、5−メチルノニル、4−メチルノニル、3−メチルノニル、2−メチルノニル、1−メチルノニル、3,7−ジメチルオクチル、3,7,11−トリメチルドデシル等が挙げられる。
アルケニル基としては、具体的には、例えば2−プロペニル、3−ブテニル、3−ペンテニル、4−ヘキセニル、6−ヘプテニル、7−オクテニル、8−ノネニル、12−トリデセニルなどの直鎖状のもの;1−メチル−2−プロペニル、3−メチル−3−ブテニルなどの分岐状のものが挙げられる。
また、アルキニル基としては、具体的には、例えば2−プロピニル、3−ブチニル、5−ヘキシニル、2−オクチニルなどの直鎖状のもの;1−メチル−2−プロピニルなどの分岐状のもの等が挙げられる。
上記一般式中の配位子L1とL2としては、キラリティを発現する配位子であれば特に限定されるものではなく、好ましくは、例えば2,4−ペンタンジオン(Hacac)、アセチルアセトナト(acac)、ジメチルグリオキシム(H2dmg)、ジメチルグリオキシマト(1−)イオン(Hdmg)、ジメチルグリオキシマト(2−)イオン(dmg)、シュウ酸(H2ox)、ピリジン(py)、2,2’−ビピリジン(bpy)、1,10−フェナントロリン(phen)、1,2−プロパンジアミン(pn)、1,3−プロパンジアミン(tn)、ジエチレントリアミン(dien)、エチレンジアミン(en)、エチレンジアミン四酢酸(H4edta)、エチレンジアミン四酢酸イオン(Hedta,edta)、グリシナト(gly)、シアノ基含有化合物(CN-)、チオシアナトS配位化合物(SCN-)、イソチオシアナトN配位化合物(NCS-)、エチレンジアミンテトラアセタト(edta)、マレオニトリルジチオラナト(mnt)、ニトリロトリアセタナト(nta)、オキサラト−O(ox)、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン(cyclam)、トリス(2−アミノエチル)アミン(tren)及びそれらの誘導体等が選ばれる。それらの中でも、好ましくは2,4−ペンタンジオン(Hacac)、アセチルアセトナト(acac)、シュウ酸(H2ox)、グリシナト(gly)、シアノ(CN-)、チオシアナトS配位(SCN-)、イソチオシアナトN配位(NCS-)であり、さらに好ましくはアセチルアセトナト(acac)である。
本発明において用いられる光学活性金属錯体は、中心金属の周りにΛ体、Δ体の2種類のキラリティを有する化合物である(「錯体化学」基礎錯体工学研究会編,P95)。
本発明において使用する有機色素はその用途に適したものであれば、いずれのものでも用いることができる。コレステリック相中に分散した色素は誘起CD効果によりモニター波長を制御することが可能となる。
また、本発明の液晶組成物は、メロシアニン系、スチリル系、アゾ系、アゾメチン系、アゾキシ系、キノフタロン系、アントラキノン系及びテトラジン系等の二色性色素を添加してゲストホスト(GH)モード用の液晶組成物としても使用することができる。
光メモリ性を制御するには、光照射によりラセミ化をキラル化合物と光不活性なキラル化合物を適量混合した混合キラルドーパントとして用いればよいわけであるが、それぞれの捩れの向きの組み合わせ、添加量、H.T.P.大きさの組み合わせによって、光照射時のメモリ性や高速応答性、および調光コントラストなどを制御することが可能である。
本発明の液晶組成物は使用される液晶表示素子の目的に応じて、上記化合物の他、しきい値電圧、ネマティックレンジ、Δn、誘電率異方性、粘度等を調整する目的で、本発明の目的を害さない範囲で他の化合物を適当量含有することができる。
本発明の液晶組成物は、それ自体慣用な方法で調整される。一般には、種々の成分を高い温度で互いに溶解させる方法がとられている。また、本発明の液晶組成物は、適当な添加物によって意図する用途に応じた改良がなされ、最適化される。このような添加物は、当業者によく知られており、文献等に詳細に記載されている。
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれら実施例によりなんら限定されるものではない。
[評価] 合成した化合物の同定は,1H-NMRあるいは飛行時間型(TOF:Time of Flight)質量分析計(MS)測定により行った。
ε値 (mol-1dm3cm-1):金属錯体エナンチオマーのε値は以下の手順に従って測定した。3.0mlのクロロホルムを加えて、予め秤量しておいた錯体を完全に溶解させ、マイクロシリンジで10.0μlを量り、厚さ10mmの石英セル内に3.0mlのメタノールと共に加えてUVを測定した。εは次式を用いて算出した。ここでAは吸光度、Lはセル長 (cm)、Cはモル濃度
(mol/l)である。
A=ε LC
Δε値:Δε値はCD測定により次式に従って各エナンチオマーのΔε値を算出した。ここでΘは楕円率 (deg)、Cはモル濃度 (mol/l)である。
Δε=Θ/33C
光応答性:誘起CDの光応答性についてはキセノンランプを光源として、光照射した後の試料のCDスペクトルの測定を行った。
H.T.P.:らせんねじり力 H.T.P.[100・μm-1・質量%-1]は、式[I]に基づき25℃の雰囲気において、らせんピッチP25と光学活性化合物の添加量から導かれる。P25は、偏光顕微鏡観察によるカノくさび(Cano`s wedge)法により求めた。
[合成例] 以下の方法によりキラルドーパントであるジベンゾイルエタナト化合物を合成した。
[配位子−1]4’-ヒドロキシアセトフェノン(4’-hidroxyacetophenone) (MW=136.15) 5.04g (36.7mmol) を2-ブタノン 200ml中でカリウム-t-ブトキシド(potassium-t-butoxide)(MW=112.21) 4.13g (36.7mmol), 1-ブロモオクタン(1-bromooctane )(MW=193.12, d=1.12g/ml) 6.35ml(36.7mmol) と共に24時間80℃で還流した。熱時濾過を行い、濾液を常温まで冷ました後ジクロロメタンと水を加え攪拌し、有機層を分取した。硫酸マグネシウム下で10分攪拌した後硫酸マグネシウムを除去した。溶液を蒸留し、黄色油状物質4’-オクチルオキシアセトフェノン(4’-octyloxyacetophenone)(MW=248.37) 7.93g (31.9mol)を収率86.9%で得た。
1H−NMR(CDC13)0.86(m,OCH2)(CH26CH3),1.23-1.81(m,O CH2(CH2)6CH3),2.54(s,COCH3),4.00(t,OCH2(CH26CH3),7.27(s,ArH)
窒素雰囲気中で15分間攪拌したナトリウムハイドレート(sodium hydrate )(FW=23.99)2.3g (94.5mmol) にジメトキシエタン (DME) 100mlを加えさらに10分間攪拌した。これに上記4’-オクチルオキシアセトフェノン(4’-octyloxyacetophenone)4.70g (18.9mmol), メチル4’-オクチルオキシベンゾエート(Methyl 4’-octyloxybenzoate )5.00g (18.9mmol) を少量ずつ加え、24時間82℃で還流した。常温まで冷ました後溶液を氷水の入ったビーカーに徐々に加え、12N塩酸で中和した。ジエチルエーテルで抽出して水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し濾過した。溶液を蒸留し、THF/メタノール中で再結晶して淡黄色粉末4.92g(10.2mmol)を収率54.0%で得た。
粉末試料のTOF-MS測定の結果、分子量はMw=480であり、目的の配位子(2C8) 1-(4’-オクチルオキシフェニル)-3-(4”-オクチルオキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン(1-(4’-octyloxyphenyl)-3-(4”-octyloxyphenyl)-propane-1,3-dione)が得られた。
[配位子−2]3’, 4’-ジヒドロキシアセトフェノン(3’, 4’-dihidroxyacetophenone) (MW=152.15) 5.00g (32.9mmol) を2-ブタノン200ml中でカリウム-t-ブトキシド(potassium-t-butoxide) 7.37g (65.7mmol), 1-ブロモオクタン(1-bromooctane)11.3ml (65.7mmol) と共に24時間80℃で還流した。熱時濾過を行い、濾液を常温まで冷ました後ジクロロメタンと水を加え攪拌し、有機層を分取した。硫酸マグネシウム下で10分攪拌した後硫酸マグネシウムを除去した。溶液を蒸留し、ヘキサン/エタノール溶媒による再結晶の結果白色粉末3’,4’-ジオクチルオキシアセトフェノン(3’,4’-dioctyloxyacetophenoe)(MW=376.58) 8.96g (23.8mmol) を収率72.3%で得た。
1HNMR (CDCl3) 0.86 (m, OCH2)(CH2)6CH3),1.15-1.93(m,OCH2(CH2)6CH3),(s,COCH3),4.00(t, OCH2(CH2)6CH3), 7.27(d, ArH)
窒素雰囲気中で15分間攪拌したナトリウムハイドレート(sodium hydrate) 1.27g (53.1mmol) にDME 100mlを加えさらに10分間攪拌した。これに、3’, 4’-ジオクチルオキシアセトフェノン(3’, 4’-dioctyloxyacetophenone )5.00g (13.3mmol), メチル4’-オクチルオキシベンゾエート(Methyl 4’-octyloxybenzoate)3.51g (13.3mmol) を少量ずつ加え、24時間82℃で還流した。常温まで冷ました後溶液を氷水の入ったビーカーに徐々に加え、12N塩酸で中和した。ジエチルエーテルで抽出して水で洗浄した後、有機層を硫酸マグネシウムで脱水し濾過した。溶液を蒸留し、エタノール/ヘキサン中で再結晶して淡黄色粉末5.74g(9.43mmol) を収率70.9%で得た。粉末試料のTOF-MS測定の結果、分子量はMw=609であり、目的の配位子1-(3’, 4’-ジオクチルオキシフェニル)-3-(4”-オクチルオキシフェニル)-プロパン-1,3-ジオン(1-(3’, 4’-dioctyloxyphenyl)-3-(4”-octyloxyphenyl)-propane-1,3-dione) (3C8) が得られた。
[光ラセミ化キラルドーパントの合成]
乳鉢にトリスアセチルアセトナトクロム(III) Cr(acac)3 (0.100 mole) と2C8H 0.4045g (0.100 mole)の粉末を加えよくすりつぶした後に四フッ化エチレン樹脂容器にいれ、12時間160℃に保った。その後、クロロホルムに溶かして乾固した。1:4(v/v)アセトニ
トリル/ヘキサン溶液に溶かし、シリカゲルカラムで溶出した。得られた組成品をさらにHPLCカラムでクロロホルム/メタノール溶液で溶出して精製した。得られた化合物は淡黄色の固体であった。TOF-MS測定で質量を求めた結果、730であり、[Cr(acac)2(2C8)]を得た。
得られた錯体は光学分割用カラムCERAMOSPHERE CHIRAL RU-1 (SHISEIDO)を用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によって光学分割した。分割後のピークのCDスペクトル、MSの結果、目的の錯体を得たことが確認された。HPLCによる光学分割により分取したエナンチオマーのε値 26500(340nm)、Δε値 -15.0(Δ体)、17.0(Λ体)の試料を得た。更にヘキサンに溶解させた光学活性体試料を無偏向の光照射後にCD測定を行いCDの光応答性について調べた。その結果、光照射の時間に伴って錯体のラセミ化が確認された(図1)。
[光不活性キラルドーパントの合成]
ビスアセチルアセトナトジアセトニトリルルテニウム(II)過塩素酸塩[Ru(acac)2(CH3CN)2]ClO40.259g (0.397mmol), Zn 1.00g (15.3mmol)をエタノール 100mlに加えよく攪拌した。色が赤く変わってきたら蒸留水10mlに溶かした炭酸水素カリウム(potassium hydrogen carbonate) 0.0591g (0.590mmol)を加え加熱し始めた。さらにその後、配位子−2(3C8)0.246g(0.397mmol)を加え24時間80℃で還流した。常温まで溶液を冷ました後セライトで濾過しZnを除去した。溶液を乾固後クロロホルム/蒸留水で抽出し、クロロホルム層に蒸留水10mlに溶かした硝酸銀(silver nitrate )0.0681g (0.401mmol)を加え3時間70℃で還流した。溶液を濾過し、クロロホルム/蒸留水による抽出で有機層を分取、乾固した。得られた赤紫色油状物質に少量のベンゼンを加え、展開溶媒をベンゼンとするシリカゲルカラムクロマトグラフィーで精製を行い、[Ru(acac)2(3C8)]を得た。
TOF-MS測定の結果は、分子量Mw=907であった。光学分割した試料について評価した結果、目的の錯体を得られた。HPLCによる光学分割により分取したエナンチオマーのε値 30500(357nm)、Δε値 -16.6(Δ体)、16.1(Λ体)の試料を得た。更にヘキサンに溶解させた光学活性体試料を無偏向の光照射後にCD測定を行いCDの光応答性について調べた結果、光照射によるCD変化は確認されなかった。
ホスト液晶物質としてネマチック液晶 ZLI1132(平均分子量263.2,融点72℃、メルクジャパン製)を使用した。ZLI1132にΔ−[Cr(acac)2(2C8)]およびΛ−[Cr(acac)2(2C8)]それぞれを0.25質量%になるように加え、さらに少量のクロロホルムを加えて攪拌した。その後エバポレーターで約60℃にて溶媒を除き、均一に溶けた液晶組成物を得た。
無配向石英セルに試料を注入し25℃においてCD測定を行った結果、コレステリック相の形成に伴い大きなCDが誘起された(図2)。Λ-[Cr(acac)2 2C8]/ZLIの試料について389nmのUV光を0〜25分照射して、CD測定を行った。その結果、UVによって錯体はラセミ化し、それに伴って大きなCD変化が確認された(図3)。また、カノくさび法でH.T.P.を見積もりUV照射後の変化を確認した。光学顕微鏡イメージを図4に示す。1時間UV照射したことにより、H.T.P.はβ=45.1から11.5[100・μm-1・質量%-1]に変化していた。
ネマチック液晶 ZLI1132(100mg)に左巻きで光活性なキラルドーパントΔ-[Cr(acac)22C8] (3.5mg)を実施例1と同様の方法で均一な液晶混合物を調整した後、さらに左巻きで光不活性なキラルドーパントΔ−[Ru(acac)2(3C8)](4.0mg)と色素N-ノニルアクリジン オレンジ イオダイド(N-nonylacridine orange iodide)(0.1mg)を添加して、100℃で混合し、液晶組成物を得た。
無配向石英セルに試料を注入し25℃においてCD測定を行った結果、光照射によってらせんの左巻きが減少していることが確認できた(図5)。すなわち誘起CDの減少する系が構築できた。
ZLI1132(100mg)にΔ−[Cr(acac)(3C8)](0.2mg)を添加し、実施例1と同様の方法で均一な混合物を調製した後、右巻きで光不活性なΛ−[Ru(acac)(3C8)](0.4mg)とN−ノニルアクリジン オレンジ イオダイド(N−nonylacridine orange iodide)(0.1mg)を加えて、実施例2と同様にして試料を作成、評価した。その結果、光照射によってらせんの右巻きの優勢が確認できた(図6)。すなわち誘起CDの増大する系が構築できた。
ZLI1132(100mg)にΔ−[Cr(acac)(3C8)](0.14mg)を添加し、実施例1と同様の方法で均一な混合物を調製した後、Δ−[Ru(acac)(3C8)](0.2mg)とN−ノニルアクリジン オレンジ イオダイド(N−nonylacridine orange iodide)(0.1mg)を添加して、実施例2と同様にして試料を作成、評価した。その結果、光照射によって左巻きが消失し、右巻きが現れた(図7)。すなわち誘起CDの反転する系が構築できた。
本発明の光応答性のキラルドーパント含有の液晶組成物は、キラルドーパントの光ラセミ化反応によるはじめてのメモリ性を機能させる液晶組成物である。また、このキラルドーパントは大きならせんねじり力を有するため少量の添加で非常に大きい自発分極を誘起できることから、液晶組成物の粘性を増加させるなどの障害がなく、従来の高分子液晶などと比較して極めて早い応答性を併せ持つ。
光書き込み型の記録表示媒体は、記録表示の保持に電力を必要とせずに、表示状態を保持することができるので、デジタル情報を記録表示した後、書き込み装置から切り離しても表示状態が保持されるので、書き込み装置から切り離して持ち歩くことも可能であり、電子ペーパ媒体などへの応用が期待できる。
光学活性なCr(III)錯体のヘキサン溶液中での光ラセミ化反応を示すグラフ。 実施例1で調製の液晶組成物の誘起CD効果を示すグラフ。 実施例1で調製の液晶組成物に光照射したときのCD変化を示すグラフ。 実施例1で調製の液晶組成物の光未照射および光照射試料の図面代用偏光顕微鏡像。 実施例2で調製の液晶組成物の光照射による誘起CDの変化を示すグラフ。 実施例3で調製の液晶組成物の光照射による誘起CDの変化を示すグラフ。 実施例4で調製の液晶組成物の光照射による誘起CDの変化を示すグラフ。

Claims (6)

  1. 液晶物質(A)と、光ラセミ化反応を誘起するキラルドーパント(B)と、光不活性なキラルドーパント(C)と、を有する液晶組成物であって、前記キラルドーパント(B)が下記一般式(1)で表され、MがCrである金属錯体であり、前記キラルドーパント(C)が式(1)で表され、MがFe、Co、Ni、Ru、Rh、Os、Ir及びPtの中から選ばれる遷移金属の少なくとも1種である光学活性金属錯体であり、式(1)中、L、Lは各々独立に、またはLとLが一体となって配位子であり、R、Rは炭素数1〜30の分岐していてもよいアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わし、式(1−2)で表される基は、式(1−3)で表されるいずれかの基を表し、式(1−3)中、R、R、R、Rは炭素数1〜30のアルキル基、もしくはアルコキシ基、炭素数2〜30のアルカノイルオキシ基、アルコキシカルボニル基、アルコキシアルキル基、もしくはアルコキシアルコキシ基、または炭素数3〜30のアルコキシアルカノイルオキシ基を表わすことを特徴とする液晶組成物。


  2. 前記液晶組成物がキラルドーパント(B)の誘起CD(circular dichroism:円偏光二色性)効果によりコレステリック相を形成することを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
  3. 前記キラルドーパント(B)のらせんねじり力(H.T.P.:Herical Twisting Power)が、10〜500(100・μm−1・質量%−1)であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶組成物。
  4. 前記一般式(1)における配位子LとLが、前記キラルドーパント(B)の場合、2,4−ペンタンジオン、アセチルアセトナト、ジメチルグリオキシム、ジメチルグリオキシマト(1−)イオン、ジメチルグリオキシマト(2−)イオン、シュウ酸、ピリジン、2,2’−ビピリジン、1,10−フェナントロリン、1,2−プロパンジアミン、1,3−プロパンジアミン、ジエチレントリアミン、エチレンジアミン、エチレンジアミン四酢酸、エチレンジアミン四酢酸イオン、グリシナト、シアノ基含有化合物、チオシアナトS配位化合物、イソチオシアナトN配位化合物、エチレンジアミンテトラアセタト、マレオニトリルジチオラナト、ニトリロトリアセタナト、オキサラト、1,4,8,11−テトラアザシクロテトラデカン、トリス(2−アミノエチル)アミン及びそれらの誘導体からなる群より選ばれる光学活性クロム錯体であり、前記キラルドーパント(C)の場合、前記群より選ばれる少なくとも1種であることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の液晶組成物。
  5. 前記一般式(1)における配位子LとLが、アセチルアセトナトであることを特徴とする請求項4に記載の液晶組成物。
  6. 光ラセミ化反応を誘起するキラルドーパント(B)を0.1〜20質量%含有することを特徴とする請求項1から5のいずれかに記載の液晶組成物。
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