JP5024650B2 - 燃料ポンプ - Google Patents
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Description
本発明者により、圧入部を小径円筒部に圧入する際に圧入部が受ける径方向の力と上記距離(L2)との積で定義されるモーメントが大きいほど、収容円板部の凸変形の変形量が大きくなることが分かった。この点に鑑み、上記距離(L2)を2.3mm以下とする本発明によれば、凸変形量を約5μm以下に抑えることができるので、ケーシングとインペラとの間に所定のクリアランスを確保できなくなるといった不良品の発生を低減できる。
さらに、上記距離(L2)が所定の値(例えば約1.5mm)よりも小さくなると、収容円板部の略中央部分がインペラから遠ざかる向きに凹変形することが分かった。このような凹変形が生じると、ポンプ流路にて昇圧される燃料が漏れ出てしまい、十分に昇圧できなくなってしまい、ひいては燃料ポンプの吐出量低下を招いてしまう。この点に鑑み、上記距離(L2)を1.3mm以上とする本発明によれば、凹変形量を約1μm以下に抑えることができるので、燃料ポンプの吐出量低下を抑制できる。
すなわち、収容円板部が凸変形した場合には、凸変形の大きさが大きいほどインペラは軸方向において収容円板部の反対側に大きくずれることとなる。よって、ケーシング圧入後にインペラとケーシングのツバ面との段差を計測すればクリアランスを把握できるため、所定のクリアランスを確保できるように管理することは容易である。
一方、収容円板部が凹変形した場合には、インペラの軸方向位置は、凹変形の大きさに拘わらず収容円板部の収容隅部とインペラとの当接位置で決定される。よって、凹変形によるクリアランスの増加を把握することが困難であり、その大きさが過大であっても不良品として認知することが困難である。
従って、凸変形の大きさに関与する上記距離(L2)の上限値2.3mmは、凸変形量を約5μm以下に抑えることができる値(凸変形許容値)に設定されているのに対し、下限値1.3mmは、凹変形量を約1μm以下に抑えることができる値(凹変形許容値)に設定されている。すなわち、凸変形許容値よりも凹変形許容値の方が小さい値となるように設定されている。
本発明者により、上記距離(L1)が小さいほど、ケーシングの収容円筒部のうち収容円板部の反対側に位置する端面(以下、この端面をツバ面と呼ぶ)のうねり変形量が大きくなることが分かった。これは、ケーシングの圧入部は圧入時にハウジングの小径円筒部から力を受け、その力が収容円筒部に与える影響は距離(L1)が小さいほど大きくなることに起因する。一方、距離(L1)が大きいと圧入部中心部分と収容隅部との距離(L2)も連動して大きくなることに起因して、上述のモーメントが大きくなるので、ツバ面のうねり変形量は大きくなる。
これらの点に鑑み、上記距離(L1)を0.5mm以上1.5mm以下とする本発明によれば、上記ツバ面のうねり変形量を約5μm以下に抑えることができるので、うねり変形により生じる収容円筒部のツバ面とカバーとの隙間を小さくでき、ひいては、燃料ポンプの吐出量低下を抑制できる。
請求項3記載の発明では、小径円筒部に対する圧入部の圧入代を20μm以上70μm以下に設定しているため、ケーシングの凸変形および凹変形をより一層抑制できる。
図2に示す燃料ポンプ10は、例えば図示しない二輪または四輪車両等の燃料タンク内に収容されており、燃料タンクから吸入した燃料をエンジン側に供給するものである。
圧入部212は円筒形状であり、ハウジング11の小径円筒部112の内周面に圧入される。この圧入時には、収容円筒部213のツバ面211を治具により小径円筒部112に向けて軸方向に押し込む。
収容円筒部213は円筒形状であり、ハウジング11大径円筒部111内に位置する。収容円筒部213の内周面はインペラ23の外周面と対向している。
収容円板部214は円板形状であり、インペラ23のうち圧入部212の側の底面と対向するように配置されている。収容円板部214は、軸受部材30が圧入される貫通孔215と、昇圧流路57を構成する溝61を有する。また、収容円板部214のうち貫通孔215を有する部分の板厚は、溝61を有する部分の板厚より大きくなるように形成されている。
また、圧入部212の外周面219上のうち軸方向における圧入部中心部分221と、収容円板部214のインペラ対向面216の距離L2は、1.3mm以上2.3mm以下に設定されている。
従って、インペラ23の大径化と燃料ポンプ10の外径寸法L5の小型化との両立を図るべく収容円筒部213の肉厚寸法L8を薄肉化した場合であっても、収容円板部214の凹凸変形を最小限に抑制でき、溝61の中から外に漏れ出てしまう燃料の量を最小限に抑えることができる。よって、インペラ23の大径化による燃料ポンプ10の吐出量増大と、燃料ポンプ10の外径寸法L5の小型化との両立を図ることができる。
これによれば、収容円板部214が凸変形した場合には、凸変形の大きさが大きいほどインペラ23は軸方向において収容円板部214の反対側に大きくずれることとなる。よって、ケーシング圧入後にインペラとケーシングのツバ面との段差を計測すればクリアランスを把握できるため、所定のクリアランスを確保できるように管理することは容易である。
一方、収容円板部214が凹変形した場合には、インペラ23の軸方向位置は、凹変形の大きさに拘わらずケーシング21の収容隅部218とインペラとの当接位置で決定される。よって、凹変形によるクリアランスの増加を把握することが困難であり、その大きさが過大であっても不良品として認知することが困難であるが、本実施形態によれば凸変形許容値よりも凹変形許容値の方が小さい値となっているため、認知されない状態の不良品の発生を低減できる。
上記実施形態では、ケーシング21の圧入部212は、圧入部212の外周面が全周に亘って圧入されているが、圧入部212の外周部が部分的に圧入されるように構成してもよい。
上記実施形態ではケーシング21の材質をアルミニウム製としているが、他の金属であってもよく、また、樹脂製であってもよい。
このように、本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能である。
Claims (5)
- 回転して燃料を昇圧するインペラと、
大径円筒部、および前記大径円筒部の内径よりも小さい内径の小径円筒部を同軸上に有するハウジングと、
前記小径円筒部の内周面に圧入される圧入部、前記大径円筒部内に位置して前記インペラの外周面と対向する収容円筒部、前記インペラのうち前記圧入部の側の底面と対向する収容円板部を有するケーシングと、
前記収容円筒部のうち前記収容円板部の反対側に位置する端面と当接し、前記インペラを前記収容円板部の反対側から覆うカバーと、
を備え、
前記収容円板部の前記インペラ側の面と前記収容円筒部の内周面との突き合わせ部分である収容隅部と、前記圧入部の外周面上のうち軸方向における前記収容円筒部側の端部である圧入隅部との距離(L1)は0.5mm以上1.5mm以下であり、
前記圧入部の外周面上のうち軸方向における中心部分と、前記収容円板部の前記インペラ側の面との距離(L2)は1.3mm以上2.3mm以下であり、
前記ケーシングを前記ハウジングに圧入するときの前記収容円板部の前記インペラ側の面の変形許容値は、反インペラ方向の値がインペラ方向の値より小さい燃料ポンプ。
- 前記圧入部の軸方向長さ(L3)は2mm以上2.5mm以下である請求項1記載の燃料ポンプ。
- 前記小径円筒部に対する前記圧入部の圧入代は20μm以上70μm以下である請求項1または2記載の燃料ポンプ。
- 前記収容円筒部の内径寸法(L4)が32mm以上35mm以下である請求項1から3のいずれか1項記載の燃料ポンプ。
- 前記ケーシングの材質がアルミニウムである請求項1から4のいずれか1項記載の燃料ポンプ。
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