<第1実施形態>
<全体構成>
図1に示すスロットマシン100は、本体101と、本体101の正面に取り付けられ、本体101に対して開閉可能な前面扉102と、を備える。本体101の中央内部には、(図示省略)外周面に複数種類の図柄が配置されたリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、スロットマシン100の内部で回転できるように構成されている。これらのリール110乃至112はステッピングモータ等の駆動装置により回転駆動される。
本実施形態において、各図柄は帯状部材に等間隔で適当数印刷され、この帯状部材が所定の円形筒状の枠材に貼り付けられて各リール110乃至112が構成されている。リール110乃至112上の図柄は、遊技者から見ると、図柄表示窓113から縦方向に概ね3つ表示され、合計9つの図柄が見えるようになっている。そして、各リール110乃至112を回転させることにより、遊技者から見える図柄の組み合せが変動することとなる。つまり、各リール110乃至112は複数種類の図柄の組合せを変動可能に表示する表示装置として機能する。なお、このような表示装置としてはリール以外にも液晶表示装置等の電子画像表示装置も採用できる。また、本実施形態では、3個のリールをスロットマシン100の中央内部に備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各々のリール110乃至112の背面には、図柄表示窓113に表示される個々の図柄を照明するためのバックライト(図示省略)が配置されている。バックライトは、各々の図柄ごとに遮蔽されて個々の図柄を均等に照射できるようにすることが望ましい。なお、スロットマシン100内部において各々のリール110乃至112の近傍には、投光部と受光部から成る光学式センサ(図示省略)が設けられており、この光学式センサの投光部と受光部の間をリールに設けられた一定の長さの遮光片が通過するように構成されている。このセンサの検出結果に基づいてリール上の図柄の回転方向の位置を判断し、目的とする図柄が入賞ライン上に表示されるようにリール110乃至112を停止させる。
入賞ライン表示ランプ120は、有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ラインは、遊技媒体としてベットされたメダルの数によって予め定まっている。入賞ライン114は5ラインあり、例えば、メダルが1枚ベットされた場合、中段の水平入賞ラインが有効となり、メダルが2枚ベットされた場合、上段水平入賞ラインと下段水平入賞ラインが追加された3本が有効となり、メダルが3枚ベットされた場合、右下り入賞ラインと右上り入賞ラインが追加された5ラインが入賞ラインとして有効になる。なお、入賞ライン114の数については5ラインに限定されるものではなく、また、例えば、メダルが1枚ベットされた場合に、中段の水平入賞ライン、上段水平入賞ライン、下段水平入賞ライン、右下り入賞ラインおよび右上り入賞ラインの5ラインを有効な入賞ラインとして設定してもよく、ベット数に関係なく、一律に同一数の入賞ラインを有効な入賞ラインとして設定してもよい。
告知ランプ123は、例えば、後述する内部抽選において特定の入賞役(具体的には、ボーナス)に内部当選していること、または、ボーナス遊技中であることを遊技者に知らせるランプである。遊技メダル投入可能ランプ124は、遊技者が遊技メダルを投入可能であることを知らせるためのランプである。再遊技ランプ122は、前回の遊技において入賞役の一つである再遊技に入賞した場合に、今回の遊技が再遊技可能であること(メダルの投入が不要であること)を遊技者に知らせるランプである。リールパネルランプ128は演出用のランプである。
ベットボタン130乃至132は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダル(クレジットという)を所定の枚数分投入するためのボタンである。本実施形態においては、ベットボタン130が押下される毎に1枚ずつ最大3枚まで投入され、ベットボタン131が押下されると2枚投入され、ベットボタン132が押下されると3枚投入されるようになっている。以下、ベットボタン132はMAXベットボタンとも言う。なお、遊技メダル投入ランプ129は、投入されたメダル数に応じた数のランプを点灯させ、規定枚数のメダルの投入があった場合、遊技の開始操作が可能な状態であることを知らせる遊技開始ランプ121が点灯する。
メダル投入口141は、遊技を開始するに当たって遊技者がメダルを投入するための投入口である。すなわち、メダルの投入は、ベットボタン130乃至132により電子的に投入することもできるし、メダル投入口134から実際のメダルを投入(投入操作)することもでき、投入とは両者を含む意味である。貯留枚数表示器125は、スロットマシン100に電子的に貯留されているメダルの枚数を表示するための表示器である。遊技情報表示器126は、各種の内部情報(例えば、ボーナス遊技中のメダル払出枚数)を数値で表示するための表示器である。払出枚数表示器127は、何らかの入賞役に入賞した結果、遊技者に払出されるメダルの枚数を表示するための表示器である。貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、および、払出枚数表示器127は、7セグメント(SEG)表示器とした。
スタートレバー135は、リール110乃至112の回転を開始させるためのレバー型のスイッチである。即ち、メダル投入口134に所望するメダル枚数を投入するか、ベットボタン130乃至132を操作して、スタートレバー135を操作すると、リール110乃至112が回転を開始することとなる。スタートレバー135に対する操作を遊技の開始操作と言う。
ストップボタンユニット136には、ストップボタン137乃至139が設けられている。ストップボタン137乃至139は、スタートレバー135の操作によって回転を開始したリール110乃至112を個別に停止させるためのボタン型のスイッチであり、各リール110乃至112に対応づけられている。以下、ストップボタン137乃至139に対する操作を停止操作と言い、最初の停止操作を第1停止操作、次の停止操作を第2停止操作、最後の停止操作を第3停止操作という。なお、各ストップボタン137乃至139の内部に発光体を設けてもよく、ストップボタン137乃至139の操作が可能である場合、該発光体を点灯させて遊技者に知らせることもできる。
メダル返却ボタン133は、投入されたメダルが詰まった場合に押下してメダルを取り除くためのボタンである。精算ボタン134は、スロットマシン100に電子的に貯留されたメダル、ベットされたメダルを精算し、メダル払出口155から排出するためのボタンである。ドアキー孔140は、スロットマシン100の前面扉102のロックを解除するためのキーを挿入する孔である。
ストップボタンユニット136の下部には、機種名の表示と各種証紙の貼付とを行うタイトルパネル162が設けられている。タイトルパネル162の下部には、メダル払出口155、メダルの受け皿161が設けられている。
音孔180はスロットマシン100内部に設けられているスピーカの音を外部に出力するための孔である。前面扉102の左右各部に設けられたサイドランプ144は遊技を盛り上げるための装飾用のランプである。
前面扉102の上部には演出装置160が配設されており、演出装置160の上部には音孔143が設けられている。この演出装置160は、スロットマシン100の左右方向に開閉自在な一対のシャッタ(右シャッタ163a、左シャッタ163b)を備えたシャッタ装置(遮蔽装置)163と、このシャッタ装置163の奥側に配設された、液晶表示装置157(電子画像表示装置)と、を備えている。右シャッタ163a、左シャッタ163bは液晶表示装置157の手前でその表示画面に沿って左右方向に並設されており、互いに外側に開くと液晶表示装置157の表示画面がスロットマシン100正面(遊技者側)に出現する構造となっている。
なお、液晶表示装置157に代えて他の電子画像表示装置、例えば、複数セグメントディスプレイ(7セグディスプレイ)、ドットマトリクスディスプレイ、有機ELディスプレイ、プラズマディスプレイを採用してもよく、更に、リール(ドラム)等の電子画像表示装置以外の表示装置を採用してもよい。
<制御部>
図2を用いて、スロットマシン100の制御部の制御部の回路構成について詳細に説明する。なお、同図は制御部の回路ブロック図を示したものである。スロットマシン100の制御部は、大別すると、遊技の進行を制御する主制御部300と、主制御部300が送信するコマンド信号(以下、単に「コマンド」と呼ぶ)に応じて、主な演出の制御を行う第1副制御部400と、第1副制御部400より送信されたコマンドに基づいて各種機器を制御する第2副制御部500と、によって構成されている。
<主制御部>
まず、スロットマシン100の主制御部300について説明する。主制御部300は、主制御部300の全体を制御する基本回路302を備えており、この基本回路302には、CPU304と、制御プログラムデータ、入賞役の内部抽選時に用いる抽選データ、リールの停止位置等を記憶するためのROM306と、一時的にデータを記憶するためのRAM308と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O310と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ312と、WDT(ウォッチドックタイマ)314を搭載している。なお、ROM306やRAM308については他の記憶装置を用いてもよく、この点は後述する第1副制御部400や第2副制御部500についても同様である。
この基本回路302のCPU304は、水晶発振器314が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。さらには、CPU304は、電源が投入されるとROM306の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ312に送信し、カウンタタイマ312は受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU304に送信する。CPU304は、この割込み要求を契機に各センサ等の監視や駆動パルスの送信を実行する。例えば、水晶発振器314が出力するクロック信号を8MHz、カウンタタイマ312の分周値を1/256、ROM306の分周用のデータを47に設定した場合、割り込みの基準時間は、256×47÷8MHz=1.504msとなる。
主制御部300は、0〜65535の範囲で数値を変動させるハードウェア乱数カウンタとして使用している乱数発生回路316と、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路338を備えており、CPU304は、この起動信号出力回路338から起動信号が入力された場合に、遊技制御を開始する(後述する主制御部メイン処理を開始する)。
また、主制御部300には、センサ回路320を備えており、CPU304は、割り込み時間ごとに各種センサ318(ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、ベットボタン132センサ、メダル投入口141から投入されたメダルのメダル受付センサ、スタートレバー135センサ、ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、ストップボタン139センサ、精算ボタン134センサ、メダル払出装置180から払い出されるメダルのメダル払出センサ、リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、リール112のインデックスセンサ、等)の状態を監視している。
なお、センサ回路320がスタートレバーセンサのHレベルを検出した場合には、この検出を示す信号を乱数発生回路316に出力する。この信号を受信した乱数発生回路316は、そのタイミングにおける値をラッチし、抽選に使用する乱数値を格納するレジスタに記憶する。
メダル受付センサは、メダル投入口134の内部通路に2個設置されており、メダルの通過有無を検出する。スタートレバー135センサは、スタートレバー135内部に2個設置されており、遊技者によるスタート操作を検出する。ストップボタン137センサ、ストップボタン138センサ、および、ストップボタン139は、各々のストップボタン137乃至139に設置されており、遊技者によるストップボタンの操作を検出する。
ベットボタン130センサ、ベットボタン131センサ、および、ベットボタン132センサは、メダル投入ボタン130乃至132のそれぞれに設置されており、RAM308に電子的に貯留されているメダルを遊技への投入メダルとして投入する場合の投入操作を検出する。精算ボタン134センサは、精算ボタン134に設けられている。精算ボタン134が一回押されると、電子的に貯留されているメダルを精算する。メダル払出センサは、メダル払出装置180が払い出すメダルを検出するためのセンサである。なお、以上の各センサは、非接触式のセンサであっても接点式のセンサであってもよい。
リール110のインデックスセンサ、リール111のインデックスセンサ、および、リール112のインデックスセンサは、各リール110乃至112の取付台の所定位置に設置されており、リールフレームに設けた遮光片が通過するたびにLレベルになる。CPU304は、この信号を検出すると、リールが1回転したものと判断し、リールの回転位置情報をゼロにリセットする。
主制御部300は、リール装置110乃至112に設けたステッピングモータを駆動する駆動回路322、投入されたメダルを選別するメダルセレクタ170に設けたソレノイドを駆動する駆動回路324、メダル払出装置180に設けたモータを駆動する駆動回路326、各種ランプ338(入賞ライン表示ランプ120、告知ランプ123、遊技メダル投入可能ランプ124、再遊技ランプ122、遊技メダル投入ランプ129は、遊技開始ランプ121、貯留枚数表示器125、遊技情報表示器126、払出枚数表示器127)を駆動する駆動回路328を備えている。
また、基本回路302には、情報出力回路334(外部集中端子板248)を接続しており、主制御部300は、この情報出力回路334を介して、外部のホールコンピュータ(図示省略)等が備える情報入力回路652にスロットマシン100の遊技情報(例えば、遊技状態)を出力する。
また、主制御部300は、電源管理部(図示しない)から主制御部300に供給している電源の電圧値を監視する電圧監視回路330を備えており、電圧監視回路338は、電源の電圧値が所定の値(本実施例では9v)未満である場合に電圧が低下したことを示す低電圧信号を基本回路302に出力する。
また、主制御部300は、第1副制御部400にコマンドを送信するための出力インタフェースを備えており、第1副制御部400との通信を可能としている。なお、主制御部300と第1副制御部400との情報通信は一方向の通信であり、主制御部300は第1副制御部400にコマンド等の信号を送信できるように構成しているが、第1副制御部400からは主制御部300にコマンド等の信号を送信できないように構成している。
<副制御部>
次に、スロットマシン100の第1副制御部400について説明する。第1副制御部400は、主制御部300が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第1副制御部400の全体を制御する基本回路402を備えており、この基本回路402は、CPU404と、一時的にデータを記憶するためのRAM408と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O410と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ412を搭載している。基本回路402のCPU404は、水晶発振器414が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。ROM406は、第1副制御部400の全体を制御するための制御プログラム及びデータ、バックライトの点灯パターンや各種表示器を制御するためのデータ等を記憶する。
CPU404は、所定のタイミングでデータバスを介してROM406の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ412に送信する。カウンタタイマ412は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU404に送信する。CPU404は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、第1副制御部400には、音源IC418を設けており、音源IC418に出力インタフェースを介してスピーカ272、277を設けている。音源IC418は、CPU404からの命令に応じてアンプおよびスピーカ272、277から出力する音声の制御を行う。音源IC418には音声データが記憶されたS−ROM(サウンドROM)が接続されており、このROMから取得した音声データをアンプで増幅させてスピーカ272、277から出力する。
また、第1副制御部400には、駆動回路422が設けられ、駆動回路422に入出力インタフェースを介して各種ランプ420(上部ランプ、下部ランプ、サイドランプ144、タイトルパネル162ランプ、等)が接続されている。
また、CPU404は、出力インタフェースを介して第2副制御部500へ信号の送受信を行う。第2副制御部500は、演出画像表示装置157の表示制御を含む演出装置160の各種制御を行う。なお、第2副制御部500は、例えば、液晶表示装置157の表示の制御を行う制御部、各種演出用駆動装置の制御を行う制御部(例えば、シャッタ装置163のモータ駆動を制御する制御部)とするなど、複数の制御部で構成するようにしてもよい。
第2副制御部500は、第1副制御部400が送信した制御コマンドを入力インタフェースを介して受信し、この制御コマンドに基づいて第2副制御部500の全体を制御する基本回路502を備えており、この基本回路502は、CPU504と、一時的にデータを記憶するためのRAM508と、各種デバイスの入出力を制御するためのI/O510と、時間や回数等を計測するためのカウンタタイマ512と、を搭載している。基本回路502のCPU504は、水晶発振器514が出力する所定周期のクロック信号をシステムクロックとして入力して動作する。ROM506は、第2副制御部500の全体を制御するための制御プログラム及びデータ、画像表示用のデータ等を記憶する。
CPU504は、所定のタイミングでデータバスを介してROM506の所定エリアに格納された分周用のデータをカウンタタイマ512に送信する。カウンタタイマ512は、受信した分周用のデータを基に割り込み時間を決定し、この割り込み時間ごとに割り込み要求をCPU404に送信する。CPU504は、この割込み要求のタイミングをもとに、各ICや各回路を制御する。
また、第2副制御部500には、シャッタ装置163のモータを駆動する駆動回路530を設けており、駆動回路530には出力インタフェースを介してシャッタ装置163を設けている。この駆動回路530は、CPU504からの命令に応じてシャッタ装置163に設けたステッピングモータ(図示省略)に駆動信号を出力する。
また、第2副制御部500には、センサ回路532を設けており、センサ回路532には入力インタフェースを介してシャッタセンサ538を接続している。シャッタセンサ538は右シャッタ163a及び左シャッタ163bの位置を検出する。CPU504は、割り込み時間ごとにシャッタセンサ538状態を監視している。
また、第2副制御部500には、VDP534(ビデオ・ディスプレイ・プロセッサー)を設けており、このVDP534には、バスを介してROM506、VRAM536が接続されている。VDP534は、CPU504からの信号に基づいてROM306に記憶された画像データ等を読み出し、VRAM536のワークエリアを使用して表示画像を生成し、演出画像表示装置157に画像を表示する。
<図柄配列>
図3(a)を用いて、上述の各リール110乃至112に施される図柄配列について説明する。なお、同図は、各リール(左リール110、中リール111、右リール112)に施される図柄の配列を平面的に展開して示した図である。各リール110乃至112には、同図の右側に示す複数種類(本実施形態では8種類)の図柄が所定コマ数(本実施形態では、番号0〜20の21コマ)だけ配置されている。また、同図の左端に示した番号0〜20は、各リール110乃至112上の図柄の配置位置を示す番号である。例えば、本実施形態では、左リール110の番号1のコマには「リプレイ」の図柄、中リール111の番号0のコマには「ベル」の図柄、右リール112の番号2のコマには「スイカ」の図柄、がそれぞれ配置されている。
<入賞役の種類>
次に、図3(b)を用いて、スロットマシン100の入賞役の種類について説明する。なお、同図は入賞役(作動役を含む)の種類、各入賞役に対応する図柄組合せ、各入賞役の作動または払出を示している。本実施形態における入賞役のうち、ビッグボーナス(BB1、BB2)および、レギュラーボーナス(RB)はボーナス遊技に移行する役として、また、再遊技(リプレイ)は新たにメダルを投入することなく再遊技が可能となる役として、それぞれ入賞役とは区別され「作動役」と呼ばれる場合があるが、本実施形態における「入賞役」には、作動役である、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技が含まれる。また、本実施形態における「入賞」には、メダルの配当を伴わない(メダルの払い出しを伴わない)作動役の図柄組合せが有効ライン上に表示される場合も含まれ、例えば、ビッグボーナス、レギュラーボーナス、再遊技への入賞が含まれる。
スロットマシン100の入賞役には、ビッグボーナス(BB1、BB2)と、レギュラーボーナス(RB)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)と、再遊技(リプレイ)がある。なお、入賞役の種類は、これに限定されるものではなく、任意に採用できることは言うまでもない。
「ビッグボーナス(BB1、BB2)」(以下、単に、「BB」と称する場合がある)は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。対応する図柄組合せは、BB1が「白7−白7−白7」、BB2が「青7−青7−青7」である。また、BB1、BB2についてはフラグ持越しを行う。すなわち、BB1、BB2に内部当選すると、これを示すフラグが立つ(主制御部300のRAM308の所定のエリア内に記憶される)が、その遊技においてBB1、BB2に入賞しなかったとしても、入賞するまで内部当選を示すフラグが立った状態が維持され、次遊技以降でもBB1、BB2に内部当選中となり、BB1に対応する図柄組み合わせ「白7−白7−白7」、BB2に対応する図柄組み合わせ「青7−青7−青7」が、揃って入賞する状態にある。
「レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)が開始される特殊役(作動役)である。対応する図柄組合せは、「ボーナス−ボーナス−ボーナス」である。なお、RBについても上述のBBと同様にフラグ持越しを行う。但し、(詳細は後述するが)ビッグボーナス遊技(BB遊技)においては、レギュラーボーナス遊技(RB遊技)が内部当選することや、図柄組み合わせが入賞ライン上に表示されること、を開始条件とせずに、ビッグボーナス遊技の開始後からレギュラーボーナス遊技を開始し、1回のレギュラーボーナス遊技を終了した場合には次のレギュラーボーナス遊技をすぐに開始するような自動的にレギュラーボーナス遊技を開始させる設定としてもよい。
「小役(チェリー、スイカ、ベル)」(以下、単に、「チェリー」、「スイカ」、「ベル」と称する場合がある)は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役で、対応する図柄組合せは、チェリーが「チェリー−ANY−ANY」、スイカが「スイカ−スイカ−スイカ」、ベルが「ベル−ベル−ベル」である。また、対応する払出枚数は同図に示す通りである。なお、「チェリー−ANY−ANY」の場合、左リール110の図柄が「チェリー」であればよく、中リール111と右リール112の図柄はどの図柄でもよい。
「再遊技(リプレイ)」は、入賞により次回の遊技でメダル(遊技媒体)の投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出は行われない。なお、対応する図柄組合せは、再遊技は「リプレイ−リプレイ−リプレイ」である。
<遊技状態の種類>
次に、スロットマシン100の遊技状態の種類について説明する。遊技状態とは、抽選などにおいて選択する抽選データの種別を識別するための情報である。本実施形態では、スロットマシン100の遊技状態は、通常遊技と、BB遊技と、RB遊技と、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技と、に大別した。但し、内部当選遊技は、通常遊技に含まれる区分けであってもよい。
<通常遊技>
通常遊技に内部当選する入賞役には、ビッグボーナス(BB)と、レギュラーボーナス(RB)と、再遊技(リプレイ)と、小役(チェリー、スイカ、ベル)がある。「ビッグボーナス(BB)」は、入賞により特別遊技であるビッグボーナス遊技(BB遊技)が開始される特別役(作動役)である。レギュラーボーナス(RB)」は、入賞によりレギュラーボーナス遊技(RB遊技)を開始する特殊役(作動役)である。「再遊技(リプレイ)」は、入賞により次回の遊技でメダルの投入を行うことなく遊技を行うことができる入賞役(作動役)であり、メダルの払出も行われない。「小役」は、入賞により所定数のメダルが払い出される入賞役である。
なお、各々の役の内部当選確率は、通常遊技に用意された抽選データから、各々の役に対応付けされた抽選データの範囲に該当する数値データを、内部抽選時に取得される乱数値の範囲の数値データ(例えば65535)で除した値で求められる。通常遊技に用意された抽選データは、予めいくつかの数値範囲に分割され、各数値範囲に各々の役やハズレを対応付けしている。内部抽選を実行した結果得られた乱数値が、何れの役に対応する抽選データに対応する値であったかを判定し、内部抽選役を決定する。この抽選データは少なくとも1つの役の当選確率を異ならせた設定1〜設定6が用意され、遊技店の係員等はいずれかの設定値を任意に選択し、設定することができる。
通常遊技は、内部抽選の結果が概ねハズレ(ビッグボーナス(BB)、レギュラーボーナス(RB)、再遊技(リプレイ)および小役に当選していない)となる設定、又は、停止表示結果がいずれの役の図柄組合せに該当しないハズレの停止表示結果が概ね導出される設定がされており、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数に満たない遊技状態になっている。よって、遊技者にとっては不利益となる遊技状態である。但し、予め定めた条件を満たした場合(例えば、特定の図柄組み合わせが表示された場合)には、再遊技の内部当選の確率を上昇させる変動をさせてもよい遊技状態であり、この場合、遊技に用いられるメダルの消費が抑えられ、小役の入賞によって所定数のメダルが払い出されることにより、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態になり、遊技者にとっては利益となる遊技状態になる場合がある。
<BB遊技>
BB遊技は、遊技者にとっては利益となる遊技状態になるように設定されている。つまり、BB遊技は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態となる。BB遊技は、本実施形態では、ビッグボーナス(BB)の入賞により開始され、RB遊技(後述する)を連続して繰り返し実行可能になっており、遊技中に予め定められた一の数(例えば、465枚)を超えるメダルが獲得された場合に終了する。但し、BB遊技はRB遊技を複数回数実行可能であればよく、例えば、RB遊技を開始する役(図柄組み合わせは例えば、リプレイ−リプレイ−リプレイ)を設定し、この役が内部当選した場合、または、入賞した場合に、RB遊技を開始するように設定してもよい。さらには、BB遊技は、BB遊技中のRB遊技を除くBB一般遊技を予め定めた回数(例えば、30回)実行した場合、または、BB遊技中に実行したRB遊技の回数が予め定めた回数に達した場合(例えば、3回)に終了するようにしてもよい。
<RB遊技>
RB遊技は、遊技者にとっては利益となる遊技状態になるように設定されている。つまり、RB遊技は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数を超える遊技状態となる。RB遊技は、本実施形態では、レギュラーボーナス(RB)の入賞により開始され、予め定めた一の役が内部当選の確率を上昇させる変動(例えば、「設定1」「通常遊技」に設定された「小役1」の内部当選確率1/15を、予め定めた一の値である内部当選確率1/1.2に上昇させる)をし、予め定めた一の数(例えば、8回)の入賞があった場合に終了する。RB遊技は、予め定めた回数(少なくとも2回)の入賞があった場合(例えば、8回)、または、RB遊技中に実行したRB遊技の回数が予め定めた回数に達した場合(例えば、8回)に終了するようにしてもよい。上述したBB遊技は、RB遊技を複数回数実行可能であるので、一回のRB遊技を行った場合には、BB遊技で得られるメダルの総数よりも少ないメダル数を獲得して終了することとなる。
<ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技>
ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)の内部当選遊技に内部当選する入賞役には、再遊技(リプレイ)と、小役がある。ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)は内部当選することはなく、ビッグボーナス(BB)かレギュラーボーナス(RB)に対応する図柄組み合わせを入賞させることが可能となっている遊技状態である。
但し、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)に内部当選した次遊技から、再遊技の内部当選の確率を変動させてもよく、例えば、再遊技の内部当選の確率を上昇させる変動をさせて、ビッグボーナス(BB)およびレギュラーボーナス(RB)対応する図柄組み合わせが入賞するまでの間は、獲得するメダルの総数が、投入したメダルの総数とほぼ同じとなる遊技状態とし、通常遊技と比べると遊技者にとっては利益となる遊技状態としてもよい。なお、BB遊技、RB遊技は両者とも遊技者にとって利益となる遊技状態であるため、総じて、ボーナス遊技、又は、特別遊技と称する場合がある。
<主制御部メイン処理>
図4を用いて、主制御部300のCPU304が実行する主制御部メイン処理について説明する。なお、同図は主制御部メイン処理の流れを示すフローチャートである。上述したように、主制御部300には、電源が投入されると起動信号(リセット信号)を出力する起動信号出力回路(リセット信号出力回路)338を設けている。この起動信号を入力した基本回路302のCPU304は、リセット割込によりリセットスタートしてROM306に予め記憶している制御プログラムに従って図4に示す主制御部メイン処理を実行する。
電源投入が行われると、まず、S1で各種の初期設定を行う。この初期設定では、CPU304のスタックポインタ(SP)へのスタック初期値の設定、割込禁止の設定、I/O310の初期設定、RAM308に記憶する各種変数の初期設定、WDT314への動作許可及び初期値の設定等を行う。
S2ではメダル投入・スタート操作受付処理を実行する。ここではメダルの投入の有無をチェックし、メダルの投入に応じて入賞ライン表示ランプ120を点灯させる。なお、前回の遊技で再遊技に入賞した場合は、前回の遊技で投入されたメダル枚数と同じ数のメダルを投入する処理を行うので、遊技者によるメダルの投入が不要となる。また、スタートレバー135が操作されたか否かのチェックを行い、スタートレバー135の操作があればS3へ進む。
S3では投入されたメダル枚数を確定し、有効な入賞ラインを確定する。S4では乱数発生回路316で発生させた乱数を取得する。S5では、現在の遊技状態に応じてROM306に格納されている入賞役抽選テーブルを読み出し、これとS4で取得した乱数値とを用いて内部抽選を行う。内部抽選の結果、いずれかの入賞役に内部当選した場合、その入賞役の内部当選フラグをONにする。S6では内部抽選結果に基づき、リール停止データを選択する。
S7では全リール110乃至112の回転を開始させる。S8では、ストップボタン137乃至139の受け付けが可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリール110乃至112の何れかをS6で選択したリール停止制御データに基づいて停止させる。リールの停止制御は、基本的には、内部当選した入賞役がある場合は、その入賞役に対応する図柄組み合わせが表示されることは許容し、ハズレ等の場合はいずれの役に対応する図柄組み合わせも表示されないように、いわゆる引き込み・蹴飛ばしといったリールの停止制御を行う。
全リール110乃至112が停止するとS9へ進む。S9では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、何らかの入賞役に対応する絵柄組合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン上に「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、フラグ持ち越しの場合を除き、内部当選フラグをリセットする。
S10では払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを入賞ライン数に応じて払い出す。S11では遊技状態制御処理を行う。遊技状態制御処理では、通常遊技、BB遊技、RB遊技、内部当選遊技、の各遊技状態の移行に関する処理を行い、それらの開始条件、終了条件の成立により、遊技状態を移行する。こうして本実施形態では、停止表示された図柄の組み合わせに基づいて遊技者に特典を付与している。以上により1ゲームが終了する。以降S2へ戻って上述した処理を繰り返すことにより遊技が進行することになる。
<第1副制御部400の処理>
図5を用いて、第1副制御部400の処理について説明する。なお、図5(a)は、第1副制御部400のCPU404が実行するメイン処理のフローチャートである。図5(b)は、第1副制御部400のコマンド受信割込処理のフローチャートである。図5(c)は、第1副制御部400のタイマ割込処理のフローチャートである。
まず、図5(a)のS11では、各種の初期設定を行う。電源投入が行われると、まずS11で初期化処理が実行される。この初期化処理では、入出力ポートの初期設定や、RAM408内の記憶領域の初期化処理等を行う。S12では、タイマ変数が10以上か否かを判定し、タイマ変数が10となるまでこの処理を繰り返し、タイマ変数が10以上となったときには、S13の処理に移行する。
S13では、タイマ変数に0を代入する。S14では、コマンド処理を行う。コマンド処理では第1副制御部400のCPU404は、主制御部300からコマンドを受信したか否かを判別する。S15では、演出制御処理を行う。例えば、S14で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する処理を行う。この処理には、例えば、演出データをROM406から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行うことが含まれる。
S16では、S15の処理結果に基づいて音制御処理を行う。例えば、S15で読み出した演出データの中に音源IC418への命令がある場合には、この命令を音源IC418に出力する。S17では、S15の処理結果に基づいてランプ制御処理を行う。例えば、S15で読み出した演出データの中に各種ランプ420への命令がある場合には、この命令を駆動回路422に出力する。
S18では、S15の処理結果に基づいて第2副制御部500に制御コマンドを送信する設定を行う情報出力処理を行う。例えば、S15で読み出した演出データの中に第2副制御部500に送信する制御コマンドがある場合には、この制御コマンドを出力する設定を行い、S12へ戻る。
次に、図5(b)を用いて、第1副制御部400のコマンド受信割込処理について説明する。このコマンド受信割込処理は、第1副制御部400が、主制御部300が出力するストローブ信号を検出した場合に実行する処理である。コマンド受信割込処理のS21では、主制御部300が出力したコマンドを未処理コマンドとしてRAM408に設けたコマンド記憶領域に記憶する。
次に、図5(c)を用いて、第1副制御部400のCPU404によって実行する第1副制御部タイマ割込処理について説明する。第1副制御部400は、所定の周期(本実施形態では2msに1回)でタイマ割込を発生するハードウェアタイマを備えており、このタイマ割込を契機として、タイマ割込処理を所定の周期で実行する。
S22では、図5(a)に示す第1副制御部メイン処理におけるS12において説明したRAM408のタイマ変数記憶領域の値に、1を加算して元のタイマ変数記憶領域に記憶する。従って、S12において、タイマ変数の値が10以上と判定されるのは20ms毎(2ms×10)となる。S23では、S18で設定された第2副制御部500への制御コマンドの送信や、演出用乱数値の更新処理等を行う。
<第2副制御部500の処理>
図6を用いて、第2副制御部500の処理について説明する。なお、図6(a)は、第2副制御部500のCPU504が実行するメイン処理のフローチャートである。図6(b)は、第2副制御部500のコマンド受信割込処理のフローチャートである。図6(c)は、第2副制御部500のタイマ割込処理のフローチャートである。図6(d)は、第2副制御部500の画像制御処理のフローチャートである。
まず、図6(a)のS31では、各種の初期設定を行う。電源投入が行われると、まずS31で初期化処理が実行される。この初期化処理では、入出力ポート初期設定や、RAM508内の記憶領域の初期化処理等を行う。S32では、タイマ変数が10以上か否かを判定し、タイマ変数が10となるまでこの処理を繰り返し、タイマ変数が10以上となったときには、S33の処理に移行する。
S33では、タイマ変数に0を代入する。S34では、コマンド処理を行う。コマンド処理では第2副制御部500のCPU504は、第1副制御部400のCPU404からコマンドを受信したか否かを判別する。S35では、演出制御処理を行う。例えば、S34で新たなコマンドがあった場合には、このコマンドに対応する処理を行う。この処理には、例えば、演出データをROM506から読み出す等の処理を行い、演出データの更新が必要な場合には演出データの更新処理を行うことが含まれる。S36では、S35の処理結果に基づいてシャッタ制御処理を行う。例えば、S35で読み出した演出データの中にシャッタ装置163の制御に関わるシャッタ制御の命令がある場合には、この命令に対応するシャッタ制御を行う。S37では、S35の処理結果に基づいて画像制御処理を行う。例えば、S35で読み出した演出データの中に画像制御の命令がある場合には、この命令に対応する画像制御を行い(詳細は後述する)、S32へ戻る。
次に、図6(b)を用いて、第2副制御部500のコマンド受信割込処理について説明する。このコマンド受信割込処理は、第2副制御部500が、第1副制御部400が出力するストローブ信号を検出した場合に実行する処理である。コマンド受信割込処理のS41では、第1副制御部400が出力したコマンドを未処理コマンドとしてRAM508に設けたコマンド記憶領域に記憶する。
次に、図6(c)を用いて、第2副制御部500のCPU504によって実行する第2副制御部タイマ割込処理について説明する。第2副制御部500は、所定の周期(本実施形態では2msに1回)でタイマ割込を発生するハードウェアタイマを備えており、このタイマ割込を契機として、タイマ割込処理を所定の周期で実行する。
S42では、図6(a)に示す第2副制御部メイン処理におけるS32において説明したRAM508のタイマ変数記憶領域の値に、1を加算して元のタイマ変数記憶領域に記憶する。従って、S32において、タイマ変数の値が10以上と判定されるのは20ms毎(2ms×10)となる。S43では、演出用乱数値の更新処理等を行う。
次に、図6(d)を用いて、第2副制御部500のメイン処理におけるS37の画像制御処理について説明する。同図は、画像制御処理の流れを示すフローチャートを示した図である。S51では、画像データの転送指示を行う。ここでは、CPU504は、まず、VRAM536の表示領域Aと表示領域Bの描画領域の指定をスワップする。これにより、描画領域に指定されていない表示領域に記憶された1フレームの画像が演出画像表示装置157に表示される。次に、CPU504は、VDP534のアトリビュートレジスタに、位置情報等テーブルに基づいてROM座標(ROM506の転送元アドレス)、VRAM座標(VRAM536の転送先アドレス)などを設定した後、ROM506からVRAM536への画像データの転送開始を指示する命令を設定する。VDP534は、アトリビュートレジスタに設定された命令に基づいて画像データをROM506からVRAM536に転送する。その後、VDP536は、転送終了割込信号をCPU504に対して出力する。
S52では、VDP534からの転送終了割込信号が入力されたか否かを判定し、転送終了割込信号が入力された場合はS53に進み、そうでない場合は転送終了割込信号が入力されるのを待つ。S53では、演出シナリオ構成テーブルおよびアトリビュートデータなどに基づいて、パラメータ設定を行う。ここでは、CPU504は、S51でVRAM536に転送した画像データに基づいてVRAM536の表示領域AまたはBに表示画像を形成するために、表示画像を構成する画像データの情報(VRAM536の座標軸、画像サイズ、VRAM座標(配置座標)など)をVDP534に指示する。VDP534はアトリビュートレジスタに格納された命令に基づいてアトリビュートに従ったパラメータ設定を行う。
S54では、描画指示を行う。この描画指示では、CPU504は、VDP534に画像の描画開始を指示する。VDP534は、CPU504の指示に従ってフレームバッファにおける画像描画を開始する。S55では、画像の描画終了に基づくVDP534からの生成終了割込み信号が入力されたか否かを判定し、生成終了割込み信号が入力された場合はS56に進み、そうでない場合は生成終了割込み信号が入力されるのを待つ。S56では、RAM508の所定の領域に設定され、何シーンの画像を生成したかをカウントするシーン表示カウンタをインクリメント(+1)して処理を終了する。
<シャッタ装置>
次に、シャッタ装置163の構成について説明する。図7は右シャッタ163aの分解斜視図及びその駆動装置の説明図である。なお、左シャッタ163bも同様の構成である。右シャッタ163aは、透明な板状の本体部材1631と、本体部材1631の表面に設けられた画像シート1632と、画像シート1632の表面に設けられた透明シート1633と、を備える。
本体部材1631の周縁にはラック歯1631が形成され、ステッピングモータ1635の出力軸に設けられたピニオンがラック歯1631に噛合する。しかしてステッピングモータ1635を駆動することにより、右シャッタ163aが不図示の案内レールに案内されて左右に移動することになる。本実施形態の場合、右シャッタ163a、左シャッタ163bにそれぞれ駆動源としてモータ1635を設けて、互いに独立して移動可能とした構成を想定するが、駆動源を共通とし、互いに連動して移動可能としてもよい。また、本実施形態では、ラック−ピニオン機構を採用しているが、ボールネジ機構やベルト伝動機構等、他の種類の機構を採用してもよい。
本体部材1631と画像シート1632と透明シート1633とは、積層されて一体化され、画像シート1632の表面を表示面として、画像シート1632に印刷された画像を表示する表示体として機能する。本実施形態の場合、画像シート1632の一部にはレンチキュラ画像が形成された領域1632aが設けられており、また、透明シート1633の、領域1632aに対応する領域1633aには、レンチキュラレンズが形成されている。しかして、領域1632aと領域1633aとによりレンチキュラ部1634を形成している。
なお、本実施形態では、画像シート1632及び透明シート1633の一部によりレンチキュラ部1634を形成したが、全域に渡ってレンチキュラ部を形成してもよい。また、画像シート1632を省略して本体部材1631の表面に直接画像を印刷してもよい。また、本体部材1631は透明としたが、半透明、非透明のいずれの部材でもよい。
<合成画像>
本実施形態の場合、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各レンチキュラ部1634により、瞳を表現した合成画像を現出させる。以下、図8(a)乃至(d)を参照して説明する。図8(a)乃至(d)はシャッタ163を正面から見た図である。図8(a)は右シャッタ163a及び左シャッタ163bを開放位置に位置させた状態を示す。この状態では右シャッタ163a及び左シャッタ163bは、液晶表示装置157の表示画面を覆わず、また、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの表示面が互いに離間して連続していない(非連続位置)。右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各レンチキュラ部1634からは無地の画像が現出している。
図8(b)は右シャッタ163a及び左シャッタ163bを開放位置から、互いに近接する方向(以下、この方向を閉方向といい、逆方向を開方向という。)に移動させた状態を示す。この状態では右シャッタ163a及び左シャッタ163bは、液晶表示装置157の表示画面を部分的に覆っており、また、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの表示面が互いに離間して連続していない(非連続位置)。右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各レンチキュラ部1634には、薄めを開けた瞳の画像が半分ずつ現出しており、図8(a)の状態から画像が変化している。
図8(c)は、図8(b)の状態から更に閉方向に右シャッタ163a及び左シャッタ163bを移動させた状態を示す。この状態では右シャッタ163a及び左シャッタ163bが液晶表示装置157の表示画面を覆う面積が大きくなっているが、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの表示面が互いに離間して連続してはいない(非連続位置)。右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各レンチキュラ部1634には、瞳の開け具合が大きくなった画像が半分ずつ現出しており、図8(b)の状態から画像が変化している。
図8(d)は、図8(c)の状態から更に閉方向に右シャッタ163a及び左シャッタ163bを移動させ、右シャッタ163a及び左シャッタ163bを閉鎖位置に位置させた状態を示す。この状態では右シャッタ163a及び左シャッタ163bが液晶表示装置157の表示画面を覆っており、また、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの表示面が互いに離間して連続している(連続位置)。そして、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各レンチキュラ部1634には、瞳を開いた画像が半分ずつ現出しており、図8(c)の状態から画像が変化していると共に、これらが組み合わされて瞳が開いた一つの画像(合成画像)が表示されている。
さて、この合成画像は、第1に特定の視認角度(本実施形態の場合、シャッタ163を正面視)から見ないと見えない。加えて、右シャッタ163a及び左シャッタ163bが図8(d)に示す閉鎖位置にないと見えない。つまり、例えば、図8(a)乃至(c)の状態では、遊技者が姿勢を変化させて視認角度を変えれば、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの半分ずつの画像は見えるが、両者が一体となった図8(d)に示す合成画像は見えない。
こうして本実施形態では、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの位置関係を合成画像が現出される条件とすることで、遊技者が姿勢を変化させて視認角度を異ならせたとしても、合成画像がより見えづらくして、レンチキュラによる演出効果を向上することができる。また、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各画像の組合せで一つの合成画像が形成されるので、意外性ある演出ができる。なお、本実施形態では、レンチキュラ部1634を右シャッタ163a及び左シャッタ163bの一部としたが、全面に設けて右シャッタ163a及び左シャッタ163b全面により合成画像が現出するようにしてもよい。
更に、本実施形態では、図8(a)乃至(d)に示したように、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの移動に伴って、それぞれのレンチキュラ部1634が表示する画像が変化して見える(瞳の開閉)ようにレンチュキュラ画像が形成されているため、動画像的に画像を見せることができ、演出効果を高めて遊技者の注意をシャッタ装置163に引き付けることができる。
右シャッタ163a及び左シャッタ163bを閉鎖位置に位置させて、合成画像を遊技者に見せる作動条件としては、例えば、液晶表示装置157により、特定の演出画像の表示を開始するときが挙げられる。このとき、図8(d)の状態から図8(e)に示すように、右シャッタ163a及び左シャッタ163bを開方向に移動させる一方、液晶表示装置157には、レンチキュラ部1634により現出させた合成画像と同じ電子画像を表示することにより、シャッタ装置136と液晶表示装置157とで連続性ある演出を行うことができ、演出効果を高めて遊技者の注意をシャッタ装置163及び液晶表示装置157に引き付けることができる。
また、右シャッタ163a及び左シャッタ163bは、入賞役の内部抽選結果等、遊技に関する抽選の抽選結果に基づいて移動することが望ましい。そして、上記作動条件としては、特定の入賞役(ボーナス等)に内部当選した場合等、遊技者に有利な抽選結果となった場合が挙げられる。こうすることで、合成画像の現出と抽選結果とに一定の関係を持たせて、合成画像により抽選結果を示唆することが可能となる。なお、遊技者に有利な抽選結果となった場合に相対的に高い確率で合成画像を現出させ、遊技者に不利な抽選結果となった場合に相対的に低い確率で合成画像を現出させるようにしてもよい。
<閉鎖位置(連続位置)の例>
合成画像が、より明瞭に現出されるためには、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各端面が図9(a)に示すように互いに当接することが望ましい。しかし、互いの端面を当接するようにすると、当接時の衝撃により右シャッタ163a及び左シャッタ163bの駆動機構に悪影響を与える場合がある。したがって、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各端面が図9(b)に示すように微量Dだけ離間していてもよく、この場合も、閉鎖位置(連続位置)に含まれる。微量Dは例えば1mm以下である。また、図9(c)に示すように、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの移動軌道は、互いに奥行き方向にずれていてもよく、この場合、正面から見る限りにおいては右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各表示面が連続しているので連続位置(閉鎖位置)に含まれる。
<第2実施形態>
上記第1実施形態では、合成画像として瞳の画像が現出するようにしたが、遊技結果に関わる情報を合成画像として現出するようにしてもよい。例えば、図10に示すように、合成画像として「大当たり」との文字が現出するようにしてもよい。このような遊技結果に関わる情報としては、入賞役の内部抽選結果等、遊技に関する抽選の抽選結果を挙げることができ、抽選結果そのものを示す情報のほか、抽選結果を示唆する情報であってもよい。
<第3実施形態>
レンチキュラは視認角度によって見える画像が異なるという性質を有している。このため、遊技者の視認角度が、スロットマシン100の設計者が予定している視認角度と異なると、現出すべき画像が現出せず、演出効果が低下する。そこで、本実施形態では遊技者の視認角度を予定している視認角度に促す仕組みを提供する。
図11は、シャッタ装置163の正面側にカバー部材164を設けて遊技者の視認角度を規制する例である。同図において、カバー部材164は、その水平断面図として示されている。カバー部材164は、筒状をなし、その正面側の開口部は背面側の開口部よりも小さく、その内壁はテーパ状になっている。しかして、図11(a)に示すように、カバー部材164の正面側の開口部からシャッタ装置163を覗くと左シャッタ163b等が見えるが、図11(b)に示すように、カバー部材164の正面側の開口部からずれて右シャッタ163a或いは左シャッタ163bを覗こうとしても、カバー部材164に邪魔されて右シャッタ163a或いは左シャッタ163bが見えなくなる。このようにカバー部材164を設けて右シャッタ163a或いは左シャッタ163bが見える遊技者の視認角度を規制することで、遊技者の視認角度を予定している視認角度に促すことができる。
図12は、遊技者に特定の視認角度で右シャッタ163a及び左シャッタ163bを見るように促す案内報知をする例を示す。同図の例では、液晶表示装置157に「演出を楽しむために頭の中心を遊技台の中心に合わせてください」と表示されている。この表示により、遊技者に右シャッタ163a及び左シャッタ163bを特定の視認角度で見ること(本実施形態では正面視すること)を促すことができる。
この案内報知は、例えば、所定の条件が成立した場合に実行することができる。例えば、10分毎、30分毎等、規定時間単位で定期的に実行する場合が挙げられる。また、スロットマシン100の非遊技状態の時間(図4のS11の処理後、メダル投入までの経過時間)が規定時間以上となった場合に実行する場合が挙げられる。
また、この案内報知は音で行ってもよく、更に、電子画像の表示以外に、スロットマシン100に貼り付けた印刷物による表示であってもよい。
<第4実施形態>
レンチキュラは視認角度によって見える画像が異なるという性質を有している。この性質を利用して、レンチキュラ画像の形成の仕方によって、シャッタ装置163に動作不良が生じていることを示す表示をレンチキュラにより現出させることができる。これにより、例えば、スロットマシン100の出荷時における最終動作チェックや、店舗における不具合発生の発見に役立てることができる。
図13(a)及び(b)は右シャッタ163a及び左シャッタ163bの閉鎖位置の位置ずれ時に、点検を促す表示が現出される例である。図13(a)は第2副制御部500の制御上、右シャッタ163a及び左シャッタ163bを閉鎖位置に制御し、実際に右シャッタ163a及び左シャッタ163bが適正な位置に位置した例であり、合成画像が現出している。図13(b)は、第2副制御部500の制御上、右シャッタ163a及び左シャッタ163bを閉鎖位置に制御したが、実際には適正な閉鎖位置から右側にずれている例です。このとき、左シャッタ163bのレンチキュラ部1634には「点検」との文字が現出しており、動作不良の発生を示している。ここでは閉鎖位置を基準としたが、他の位置を基準としてもよい。
このように、第2副制御部500が右シャッタ163a及び左シャッタ163bを予め定めた位置に移動するよう制御した場合に、右シャッタ163a及び左シャッタ163bが前記予め定めた位置と位置ずれがある場合に、位置ずれが生じていることを示す画像が見えるように、レンチキュラ画像が形成されていることで、動作不良チェックを簡易なものとすることができる。
図14(a)及び(b)は、同様の考え方により、右シャッタ163a及び左シャッタ163bが、予め定めた範囲を超えた位置に移動した場合に点検を促す表示が現出される例である。図14(a)は、右シャッタ163a及び左シャッタ163bが開放位置に位置しており、これが右シャッタ163a及び左シャッタ163bの移動範囲の最外位置である。図14(b)は、右シャッタ163a及び左シャッタ163bが開放位置を越えて開方向に移動した状態を示し、右シャッタ163a及び左シャッタ163bの各レンチキュラ部1634には「点検」との文字が現出しており、動作不良の発生を示している。こうして動作不良チェックを簡易なものとすることができる。
<第5実施形態>
上記各実施形態では、本発明をスロットマシンに適用した例を説明したが、本発明はパチンコ機、パチロット等にも適用することができるし、アレンジボール遊技機、じゃん球遊技機、スマートボール等にも適用することができる。パチンコ機に適用する場合、シャッタ装置163は、例えば、図柄の組み合わせを変動可能に表示する表示装置の開閉に利用することができる。
<レンチキュラの他の適用例>
<ボタンへの適用>
ベットボタン130乃至132等のボタンの周面(側面)にレンチキュラを設けて、押圧時と非押圧時とで、異なる画像が現出するようにしてもよい。図15(a)乃至(c)はボタンにレンチキュラを設けた例を示す説明図である。
図15(a)は、ボタン1の周面(側面)2に設けたレンチキュラが表示する画像の変化を示す。同図左側が非押圧時、同図右側が押圧時を示し、非押圧時ではボタン1の突出量が多く、押圧時ではボタン1の突出量が少なくなっている。そして、非押圧時では周面2に「PUSH!」との画像が現出しており、押圧時では周面2に「GO!」との画像が現出し、ボタン1に対する操作によって画像が変化している。
図15(b)は非押圧時のボタン1の鉛直断面図であり、図15(c)は押圧時のボタン1の鉛直断面図である。これらに示すように、ボタン1の非押圧時と押圧時とで、周面2に対する遊技者の視認角度がa°からb°に変わるので、レンチキュラにより現出する画像を変化させることができる。
<基板ケースへの適用>
スロットマシンの制御部を構成する電気回路基板を収納する基板ケースの封止構造にレンチキュラを適用することができる。図16(a)は基板ケース10の正面図である。基板ケース10は、第1ケース部材と第2ケース部材とを合わせた透明又は半透明の中空体であり、内部に電気回路基板(不図示)を収納する。基板ケース10は、異常検知片11が取り付けられている。異常検知片11は、これを取り外さなければ第1ケース部材と第2ケース部材とを分離できないよう、両者に係合する。
図16(b)は異常検知片11の斜視図であり、その胴部にレンチキュラ部11aが形成されている。また、その胴部の両側部には、のこぎり状の挿入規制部11bが形成されており、第1ケース部材と第2ケース部材とのいずれか一方にはこの挿入規制部11bに対応したのこぎり状の挿入規制部10aが形成されている(図16(c))。
しかして、図16(a)に示すように異常検知片11が基板ケース10の正規の装着位置に装着されていると、基板ケース10の正面視で、レンチキュラ部11aから「正常」との文字が現出するように、レンチキュラ画像が形成されている。一方、異常検知片11を取り外した後、再び装着しようとすると、挿入規制部10a、11bにより元の位置に装着しずらく、図16(c)に示すようにずれた位置に装着され易い。ずれた位置に装着されると、それによる視認角度の変化によって、図16(c)に示すようにレンチキュラ部11aから「異常」との文字が現出するように、レンチキュラ画像を形成することで、基板ケース10が開封されたことを簡易に判別することができる。