JP5017227B2 - ノルボルネン系付加重合体、それを用いた光学材料 - Google Patents

ノルボルネン系付加重合体、それを用いた光学材料 Download PDF

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Description

本発明は、冷却流延製膜法に適用可能なノルボルネン系付加重合体、それを用いた光学材料に関するものである。
近年、液晶表示装置のフィルムとして、セルロースアシレート系フィルムとノルボルネン系重合体フィルムが主に用いられている。これらのフィルムのコストは、素材自体のコストのみならず、フィルム製造(製膜)方法の生産性に依存する。
セルロースアシレートフィルムを製膜する方法は、冷却流延製膜法が一般的となっている(特許文献1)。この方法はセルロースアシレートの高濃度溶液を流延し、ほとんど乾燥せずに直ちに冷却することによってフィルムに自己支持性をもたせ、ダイから剥離して乾燥する方法である。この方法では、乾燥の初期から両面乾燥を行うため、フィルムの乾燥が極めてはやい。従って毎分百数十mという高速製膜ができる。すなわちフィルムの生産性にすぐれている。
一方、ノルボルネン系重合体、特に炭化水素のみからなる環状オレフィン系重合体を製膜する代表的方法として、溶融製膜法があげられる(特許文献2)。この手法は、製膜速度が毎分十数m程度と低く、上記の高速製膜に比べ生産性がきわめて劣る。極性基を含有する環状オレフィン系重合体において、溶液製膜する手法も見られるが、上記のような高速製膜可能な製膜方法に関する記述はみられない(特許文献3、4)。
特開2004−98512号公報 特許第3846567号公報 特開2001−354755号公報 国際公開第04/049011号パンフレット
冷却流延製膜法の適用条件は、ポリマー溶液(ドープ)が冷却されたときにゲル化(固化)することとされている。この冷却ゲル化能は、特定のポリマーのみに見られる性質であるため、冷却流延製膜法への適用例はあまり知られていない。特に環状オレフィン系重合体への適用例は皆無である。特許文献3,4に見られるような一般的な環状オレフィン系重合体には冷却ゲル化能はなく、したがって高速製膜は困難である。
本発明の目的は、冷却流延製膜法に適用可能な環状オレフィン系重合体、特にノルボルネン系付加重合体、それを用いた光学材料、偏光板および画像表示装置を提供することである。
本発明者は、上記の課題を解決すべく、ノルボルネン系付加重合体に冷却ゲル化能を発現させるべく取り組んだ。まず、ポリマー間でネットワークを形成させるように水素結合を導入したノルボルネン系付加重合体に注目した。その中でも、重合体に水酸基を含有するアミド基を導入することで、ノルボルネン系付加重合体も冷却ゲル化能を発現できることを見出した。即ち、下記手段により、上記課題は解決された。
<1>
下記一般式(1A)で表される繰り返し単位と下記一般式(1B)で表される繰り返し単位とを、重合体中、50〜100モル%の割合で含むノルボルネン系付加重合体であって、一般式(1A)で表される繰り返し単位の総モル数xと一般式(1B)で表される繰り返し単位の総モル数yの比率が、0.03≦y/(x+y)≦0.50であり、質量平均分子量が100,000〜700,000であるノルボルネン系付加重合体。
Figure 0005017227


(一般式(1A)中、R は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。L は単結合、または2価の連結基を表す。mは0または1、nは1〜3の整数、rは1〜3の整数を表す。なお、rが2以上の場合は、複数あるR は同一でも異なっていてもよい。AはCOOR またはOCOR を表し、R は置換基を表す。なお、nが2以上の場合は、複数あるL およびAは同一でも異なっていてもよい。)
Figure 0005017227


(一般式(1B)中、R は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。R およびR は、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリール基を表し、このうち少なくともひとつが水酸基を含有するアルキル基もしくはアリール基である。L は単結合、または2価の連結基を表す。pは0または1、qは1〜3の整数を表す。sは1〜3の整数を表す。なお、sが2以上の場合は、複数あるR は同一でも異なっていてもよい。qが2以上の場合は、複数あるR およびR は同一でも異なっていてもよい。)
<2>
前記一般式(1B)において、全てのR が水素原子であり、pが0であり、かつqが1である<1>記載のノルボルネン系付加重合体。
<3>
前記一般式(1B)において、R およびR のうち少なくとも1つがヒドロキシエチル基である<1>または<2>記載のノルボルネン系付加重合体。
<4>
前記m、pが0であり、かつn、qが1である<1>〜<3>のいずれか1項に記載のノルボルネン系付加重合体。
<5>
全てのL 、およびL が単結合であり、全てのR 、およびR が水素原子であり、全てのAがCOOR であり、かつ全てのR が炭素数1〜4のアルキル基である<1>〜<4>のいずれか1項に記載のノルボルネン系付加重合体。
<6>
<1>〜<5>のいずれか1項に記載のノルボルネン系付加重合体を含む光学材料。
<7>
前記光学材料が、薄膜、フィルムまたはシート形状である<6>記載の光学材料。
<8>
ReとRthが下記の範囲である<7>記載の光学材料。
(1) 0≦Re≦100nm
(2) 0≦Rth≦400nm
(上記式中、ReおよびRthは、波長590nmにおける面内のレターデーション(Re)および厚さ方向のレターデーション(Rth)を表す。)
本発明は上記<1>〜<8>に関するものであるが、参考のためその他の事項についても記載した。
1. 少なくとも一つの下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含むノルボルネン系付加重合体。
Figure 0005017227
(一般式(1B)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。RおよびRは、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリール基を表し、このうち少なくともひとつが水酸基を含有するアルキル基もしくはアリール基である。Lは単結合、または2価の連結基を表す。pは0または1、qは1〜4の整数を表す。sは1〜3の整数を表す。なお、sが2以上の場合は、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。qが2以上の場合は、複数あるRおよびRは同一でも異なっていてもよい。)
2. 前記一般式(1B)において、全てのRが水素原子であり、pが0であり、かつqが1である上記1記載のノルボルネン系付加重合体。
3. 前記一般式(1B)において、RおよびRのうち少なくとも1つがヒドロキシエチル基である上記1または2記載のノルボルネン系付加重合体。
4. 前記一般式(1B)で表される繰り返し単位と、さらに少なくとも一つの下記一般式(1A)で表される繰り返し単位とを含む上記1〜3のいずれかに記載のノルボルネン系付加重合体。
Figure 0005017227
(一般式(1A)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Lは単結合、または2価の連結基を表す。mは0または1、nは1〜4の整数、rは1〜3の整数を表す。なお、rが2以上の場合は、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。AはCOORまたはOCORを表し、Rは置換基を表す。なお、nが2以上の場合は、複数あるLおよびAは同一でも異なっていてもよい。)
5. 前記一般式(1A)で表される繰り返し単位の総モル数xと一般式(1B)で表される繰り返し単位の総モル数yの比率が、0.03≦y/(x+y)≦0.50である上記4記載のノルボルネン系付加重合体。
6. 前記m、pが0であり、かつn、qが1である上記4または5記載のノルボルネン系付加重合体。
7. 全てのL、およびLが単結合であり、全てのR、およびRが水素原子であり、全てのAがCOORであり、かつ全てのRが炭素数1〜4のアルキル基である上記4〜6のいずれかに記載のノルボルネン系付加重合体。
8. 上記1〜7のいずれかに記載のノルボルネン系付加重合体を含む光学材料。
9. 前記光学材料が、薄膜、フィルムまたはシート形状である上記8記載の光学材料。
10. ReとRthが下記の範囲である上記9記載の光学材料。
(1) 0≦Re≦100nm
(2) 0≦Rth≦400nm
(上記式中、ReおよびRthは、波長590nmにおける面内のレターデーション(Re)および厚さ方向のレターデーション(Rth)を表す。)
本発明のノルボルネン系付加重合体は、側鎖に水酸基を含有するアミド基を導入することで、冷却ゲル化能を発現でき、冷却流延製膜法に適用可能であり、生産性が極めて良好となる。また、本発明のノルボルネン系付加重合体からなるフィルムは、0≦Re≦100nm、かつ0≦Rth≦400nmに制御することができ、光学特性に優れる。
本発明のノルボルネン系付加重合体は、少なくとも一つの下記一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む。
Figure 0005017227
一般式(1B)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。RおよびRは、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリール基を表し、このうち少なくともひとつが水酸基を含有するアルキル基もしくはアリール基である。Lは単結合、または2価の連結基を表す。pは0または1、qは1〜4の整数を表す。sは1〜3の整数を表す。なお、sが2以上の場合は、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。qが2以上の場合は、複数あるRおよびRは同一でも異なっていてもよい。
該ノルボルネン系付加重合体中、一般式(1B)で表される繰り返し単位は複数種類存在してもよい。
なお、本発明のノルボルネン系付加重合体は、主鎖中にエチレン性オレフィンを繰り返し単位として含有すると、ガラス転移点が低下するのみならず、フィルムのRthが低減するため、高いRthのフィルムが得られなくなる。したがって、本発明のノルボルネン系付加重合体は、エチレン性オレフィンを繰り返し単位として、含有しないものが好ましい。
は水素原子または置換基を表し、置換基の例として後述のRと同様のものがあげられ、これらの中でも水素原子または炭素数1〜6のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、水素原子が最も好ましい。
およびRは、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリール基を表し、このうち少なくともひとつが水酸基を含有するアルキル基もしくはアリール基である。
水酸基を含有するアルキル基もしくはアリール基としては、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基、ヒドロキシブチル基、ヒドロキシシクロペンチル基、ヒドロキシシクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状もしくは環状のヒドロキシアルキル基;ジヒドロキシメチル基、ジヒドロキシエチル基、ジヒドロキシプロピル基、ジヒドロキシプロピル基などのジヒドロキシアルキル基;ヒドロキシフェニル基などのモノヒドロキシフェニル基;2,4−ジヒドロキシフェニル基などのジヒドロキシフェニル基;2,4,6−トリヒドロキシフェニル基などのトリヒドロキシフェニル基などがあげられるが、これに限定はされない。これらの中でも、モノヒドロキシアルキル基もしくはジヒドロキシアルキル基が好ましく、ヒドロキシエチル基もしくはジヒドロキシプロピル基がさらに好ましく、ヒドロキシエチル基がもっとも好ましい。
上記の水酸基を含有するアルキルもしくはアリール基が、RもしくはRの一方である場合、もう一方は水素または置換もしくは無置換の炭素数1〜12の炭化水素基である。この炭化水素基として、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチルなどがあげられる)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から6の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル基、シクロペンチル基)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から10の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から10のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)〕、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から10の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から10の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から10のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から10の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から10の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から12の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル)などがあげられる。これらの炭化水素基は、無置換でも置換されていてもよい。
これらのうち、水素または無置換の炭素数1〜6のアルキルもしくはアリール基が好ましく、水素、メチル基、エチル基、ブチル基、フェニル基がさらに好ましく、水素がもっとも好ましい。
は後述のLと同様であり、好ましくは単結合もしくはアルキレン基であり、より好ましくは単結合もしくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合である。
pは0または1の整数を表し、後述のmと同様の理由により、好ましくは0である。qは1〜4の整数を表し、後述のnと同様の理由により、好ましくは1〜2であり、より好ましくは1である。
前記一般式(1B)において、全てのRが水素原子であり、pが0であり、かつqが1であることが好ましい。
一般式(1B)で表される具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
Figure 0005017227
本発明の一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む重合体を適当な溶剤に溶かしたとき、アミド基に加えて水酸基を有するために、重合体同士が水素結合を形成し、ゲルを形成することができる。
本発明のノルボルネン系付加重合体は、前記一般式(1B)の繰り返し単位を必須成分として含むが、少なくとも一つの下記一般式(1A)で表される繰り返し単位をさらに含むことが好ましい。
Figure 0005017227
一般式(1A)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。Lは単結合、または2価の連結基を表す。mは0または1の整数、nは1〜4の整数を表す。rは1〜3の整数を表す。なお、rが2以上の場合は、Rは同一でも異なっていてもよい。AはCOORまたはOCORを表し、Rは置換基を表す。
該ノルボルネン系付加重合体中、一般式(1A)で表される繰り返し単位は複数種類存在してもよい。
は水素原子または置換基を表し、置換基の例としては、アルキル基〔直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルキル基を表す。それらは、アルキル基(好ましくは炭素数1から30のアルキル基、例えばメチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、t−ブチル、n−オクチル、エイコシル、2−クロロエチル、2−シアノエチル、2―エチルヘキシル)、シクロアルキル基(好ましくは、炭素数3から30の置換または無置換のシクロアルキル基、例えば、シクロヘキシル、シクロペンチル、4−n−ドデシルシクロヘキシル)、ビシクロアルキル基(好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5から30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル)、更に環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中のアルキル基(例えばアルキルチオ基のアルキル基)もこのような概念のアルキル基を表す。〕、アルケニル基[直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。それらは、アルケニル基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のアルケニル基、例えば、ビニル、アリル、プレニル、ゲラニル、オレイル)、シクロアルケニル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3から30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、2−シクロペンテン−1−イル、2−シクロヘキセン−1−イル)、ビシクロアルケニル基(置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、好ましくは、炭素数5から30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基である。例えば、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル)を包含するものである。]、アルキニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換または無置換のアルキニル基、例えば、エチニル、プロパルギル、トリメチルシリルエチニル基)、アリール基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリール基、例えばフェニル、p−トリル、ナフチル、m−クロロフェニル、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル)、ヘテロ環基(好ましくは5または6員の置換もしくは無置換の、芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、更に好ましくは、炭素数3から30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。例えば、2−フリル、2−チエニル、2−ピリミジニル、2−ベンゾチアゾリル)、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、カルボキシル基、アルコキシ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルコキシ基、例えば、メトキシ、エトキシ、イソプロポキシ、t−ブトキシ、n−オクチルオキシ、2−メトキシエトキシ)、アリールオキシ基(好ましくは、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基、例えば、フェノキシ、2−メチルフェノキシ、4−t−ブチルフェノキシ、3−ニトロフェノキシ、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ)、シリルオキシ基(好ましくは、炭素数3から20のシリルオキシ基、例えば、トリメチルシリルオキシ、t−ブチルジメチルシリルオキシ)、アシルオキシ基(好ましくはホルミルオキシ基、炭素数2から30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基、例えば、ホルミルオキシ、アセチルオキシ、ピバロイルオキシ、ステアロイルオキシ、ベンゾイルオキシ、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ)、アルコキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基、例えばメトキシカルボニルオキシ、エトキシカルボニルオキシ、t−ブトキシカルボニルオキシ、n−オクチルカルボニルオキシ)、アリールオキシカルボニルオキシ基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基、例えば、フェノキシカルボニルオキシ、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ)、アミノ基(好ましくは、アミノ基、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6から30の置換もしくは無置換のアニリノ基、例えば、アミノ、メチルアミノ、ジメチルアミノ、アニリノ、N−メチル−アニリノ、ジフェニルアミノ)、メルカプト基、アルキルチオ基(好ましくは、炭素数1から30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基、例えばメチルチオ、エチルチオ、n−ヘキサデシルチオ)、アリールチオ基(好ましくは炭素数6から30の置換もしくは無置換のアリールチオ、例えば、フェニルチオ、p−クロロフェニルチオ、m−メトキシフェニルチオ)、ヘテロ環チオ基(好ましくは炭素数2から30の置換または無置換のヘテロ環チオ基、例えば、2−ベンゾチアゾリルチオ、1−フェニルテトラゾール−5−イルチオ)、スルファモイル基(好ましくは炭素数0から30の置換もしくは無置換のスルファモイル基、例えば、N−エチルスルファモイル、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル、N,N−ジメチルスルファモイル、N−アセチルスルファモイル、N−ベンゾイルスルファモイル、N−(N‘−フェニルカルバモイル)スルファモイル)、スルホ基、アルキル及びアリールスルフィニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルフィニル基、例えば、メチルスルフィニル、エチルスルフィニル、フェニルスルフィニル、p−メチルフェニルスルフィニル)、アルキル及びアリールスルホニル基(好ましくは、炭素数1から30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6から30の置換または無置換のアリールスルホニル基、例えば、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−メチルフェニルスルホニル)、アシル基(好ましくはホルミル基、炭素数2から30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4から30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2―ピリジルカルボニル、2―フリルカルボニル)、アリールオキシカルボニル基(好ましくは、炭素数7から30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基、例えば、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−t−ブチルフェノキシカルボニル)、アルコキシカルボニル基(好ましくは、炭素数2から30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基、例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、t−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル)、シリル基(好ましくは、炭素数3から30の置換もしくは無置換のシリル基、例えば、トリメチルシリル、t−ブチルジメチルシリル、フェニルジメチルシリル)が挙げられ、これらの中でも、水素原子または炭素数1〜10のアルキル基がより好ましく、水素原子またはメチル基がさらに好ましく、水素原子が最も好ましい。
Aは、OCORもしくはCOORであるが、ポリマー間で水素結合しやすくゲル化能が向上することから、好ましくはCOORである。
は置換基であり、例として前述のRと同様のものがあげられ、これらの中でもアルキル基が好ましく、炭素数1〜4の直鎖アルキル基がさらに好ましく、メチル基、エチル基、またはブチル基がもっとも好ましい。
は、単結合または2価の連結基(好ましくは、置換されていてもよいアルキレン、アルケニレン、アルキニレン、アリーレンおよびこれらの2価基を2つ以上組み合わせて得られる基であり、2つ以上の組み合わせにより構成される際、さらに他の2価の連結基で連結されていても良い)であり、好ましくは単結合もしくはアルキレン基であり、より好ましくは単結合もしくは炭素数1〜3のアルキレン基であり、さらに好ましくは単結合もしくはメチレンであり、最も好ましくは単結合である。
mは、0または1を表し、製造上の簡便さから、好ましくは0である。nは1〜4の整数を表すが、製造上の簡便さから、好ましくは1〜2、さらに好ましくは1である。
本発明における一般式(1A)の具体例を以下に示すが、これに限定されない。
Figure 0005017227
本発明の一般式(1A)と(1B)の繰り返し単位を含む重合体を適当な溶剤に溶かしたとき、アシルオキシ基もしくはエステル基とアミド基を有するために、重合体同士が水素結合を形成し、ゲルを形成することができる。
前記一般式(1A)で表される繰り返し単位の総モル数xと一般式(1B)で表される繰り返し単位の総モル数yの比率が、0.03≦y/(x+y)≦0.50の関係式を満たすことが好ましい。y/(x+y)<0.03である、すなわちアミド基の量が少ないと冷却ゲル化能(剥ぎ取り性)が低くなる傾向がある。一方、y/(x+y)>0.50である、すなわちアミド基の量が多いと溶媒に完全に溶解しない傾向がある。両者の性質を共に満たすには、0.03≦y/(x+y)≦0.50を満たすことが好ましい。好ましくは0.05≦y/(x+y)≦0.50であり、さらに好ましくは0.05≦y/(x+y)≦0.40であり、最も好ましくは0.10≦y/(x+y)≦0.40である。この範囲にx、yを設定するには、公知の手法で、その程度を適宜調整することで可能である。
y/(x+y)、すなわちアミド基の比率は、NMRやIRなどの分光学的な手法で測定できる。たとえば、ポリマーの13C−NMRを測定し、アシルオキシ基もしくはエステル基とアミド基のカルボニル炭素の積分値からアミド基の比率を求めることができる。
本発明では、前記m、pが0であり、かつn、qが1であるノルボルネン系付加重合体が好ましい。
また、全てのL、およびLが単結合であり、全てのR、およびRが水素原子であり、全てのAがCOORであり、かつ全てのRが炭素数1〜4のアルキル基であるノルボルネン系付加重合体も好ましい。
本発明のノルボルネン系付加系重合体は、前記一般式(1B)で表される繰り返し単位のみ、または、前記一般式(1A)および一般式(1B)で表される各繰り返し単位のみからなってもよいが、下記一般式(1C)で表される繰り返し単位を含有することもできる。下記一般式(1C)で表される繰り返し単位を含む場合は、重合体中、1〜50モル%の割合が望ましい。
Figure 0005017227
、R、R、Rはそれぞれ独立に水素原子、ハロゲン原子、炭素数1〜10のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシル基、カルボキシル基のいずれかを表す。また、可能な場合には互いに連結して5〜7員環を形成してもよいが、5または6員の環であることがより好ましい。また、炭素環であっても複素環であってもよい。tは0または1の整数を表し、より好ましくは0である。
このような一般式(1C)で表される具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されない。
一般式(1C)に示す繰り返し単位を任意の割合で導入することで、フィルムの物性(透湿性や波長分散、弾性率)をコントロールすることが可能である。
Figure 0005017227

一般式(1B)で表される繰り返し単位を含む本発明のノルボルネン系付加系重合体の具体例を以下に示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下の重合体の( )の右の数値は、共重合比(モル%)を示す。
Figure 0005017227
Figure 0005017227
Figure 0005017227

本発明の重合体は文献既知の方法を参考に合成することができる。例えば、Bull.Chem.Soc.Jpn.,48,3641−3644(1975)に記載の方法、およびJ.Chem.Soc.Perkin Trans.,2,17−22(1974)に記載の方法などが挙げられるが本発明の重合体の製造方法はこれらの方法に限定されない。
本発明のノルボルネン系付加系重合体は、以下の重合触媒による重合方法で得ることもできる。
[Pd(CHCN)][BF、ジ−μ−クロロ−ビス−(6−メトキシビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン−エンド−5σ,2π)−Pd(以下、「I」と略す)とメチルアルモキサン(MAO)、IとAgBF、IとAgSbF、[(η−アリル)PdCl]とAgSbF、[(η−アリル)PdCl]とAgBF、[(η−クロチル)Pd(シクロオクタジエン)][PF]、[(η−クロチル)Ni(シクロオクタジエン)][B((CF]、[NiBr(NPMe)]とMAO、Ni(オクトエート)とMAO、Ni(オクトエート)とB(CとAlEt、Ni(オクトエート)と[phC][B(C]とAli−Bu、Co(ネオデカノエート)とMAO等の周期律表8族のNi、Pd.Co等のカチオン錯体またはカチオン錯体を形成する触媒を用いて、シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等の脂環式炭化水素溶媒、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素溶媒、トルエン、ベンゼン、キシレン等の芳香族炭化水素溶媒、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素溶媒、酢酸エチル、酢酸ブチル、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールジメチルエーテル、ニトロメタン等の極性溶媒から選ばれた溶媒中で−20〜100℃の範囲で特定の環状オレフィン化合物を(共)重合することにより得ることができる。
また、マクロモレキュールス(Macromolecules)、1996年、29巻、2755ページ、マクロモレキュールス(Macromolecules)、2002年、35巻、8969ページ、国際公開第2004/7564号パンフレットに記載の方法も好適に用いられる。
本発明の重合体は、高分子反応により得ることもできる。例えば、重合体のエステル基をヒドロキシ含有アミンと反応させることで、得る手法がある。この場合、適宜反応条件を調整することで、その導入率xを調整できる。
Figure 0005017227

本発明のノルボルネン系付加重合体は、テトラヒドロフランを溶媒とするゲル・パーミエションクロマトグラムで測定されるポリスチレン換算の質量平均分子量が100,000〜700,000で、好ましくは100,000〜450,000であり、より好ましくは100,000〜400,000である。ポリスチレン換算の質量平均分子量が100,000未満であると、フィルム作製時の剥ぎ取り性が不十分で、破壊強度が不十分となることがあり、ポリスチレン換算の質量平均分子量が700,000を超えると、シートとしての成形加工性が低下し、またキャストフィルム等とするときに溶液粘度が高くなり、扱い難くなることがある。
本発明のノルボルネン系付加重合体の好ましいガラス転移温度は、走査型示差熱量計(DSC)の測定において100〜400℃、好ましくは、150〜380℃、さらに好ましくは200〜350℃であり、100℃未満であると、光学材料として使用するときに熱変形を生じ易くなる。また、400℃を超えると、熱による成形加工を行う場合、重合体が熱分解することがある。
本発明のノルボルネン系付加重合体の好ましい引張弾性率は、好ましくは1200MPa以上、さらに好ましくは1500MPa以上である。引張弾性率が低い場合はフィルムの自己支持性が不足し、偏光板などの光学材料としての取り扱いが難しくなることがある。
本発明のノルボルネン系付加重合体は、過酸化物、イオウ、ジスルフィド、ポリスルフィド化合物、ジオキシム化合物、テトラスルフィド等を含むシランカップリング剤等の架橋剤を、本発明の重合体100質量部に対して0.05〜5質量部を添加し、熱等により架橋体に変換することもできるし、直接、光、電子線により架橋体に変換することもできる。
[重合体の物性]
(冷却ゲル化能の判別)
本発明のノルボルネン系付加重合体は冷却ゲル化能を有する。冷却ゲル化能を有する重合体を判別するには、レオメーター等で粘弾性を測定することでできる。これは重合体のドープを冷却し、ある温度で急激な粘度の上昇がみられる温度を有することである。しかし、本発明の目的は、高速製膜可能な重合体を判別することであるから、実際に冷却流延製膜を検討して判定することが好ましい。小スケールで簡易的にテストすることもできる。実際に冷却された金属板で重合体のドープを少量スケールで流延製膜し、剥ぎ取り性を確認することができる。例えば、重合体をメチレンクロライド/メタノール/ブタノール/水などの混合溶媒に溶解させ、得られたドープを0℃〜−40℃で設定されたSUS板上でアプリケーターを用いて、流延製膜を行う。このフィルムの剥ぎ取りを行い、SUS板上に剥ぎ残りがなければ、高速製膜可能と判断できる。
[重合体フィルム]
本発明の光学材料は、本発明のノルボルネン系付加重合体を用いてなることを特徴とし、該光学材料は、薄膜、フィルムまたはシート形状であることが好ましい。以下、フィルムを例にとり説明する(以下、本発明のフィルムということがある)。
本発明のフィルムは、本発明のノルボルネン系付加重合体をフィルムに含有するものをいう。該重合体を用いて作製されたフィルムは、液晶表示素子の基板、導光板、偏光フィルム、位相差フィルム、液晶バックライト、液晶パネル、OHP用フィルム、透明導電性フィルム等をはじめとする光学用途のフィルムに適する。
[重合体フィルムの製造方法]
本発明のフィルムは、本発明のノルボルネン系付加重合体を含有し、該重合体を原料として製膜することで作製することができる。製膜は、面状の優れたフィルムを得ることのできる溶液製膜方法を用いることが好ましい。本発明のフィルムを製造する方法及び設備は、従来セルローストリアセテートフィルム製造に供するのと同様の溶液流延製膜方法及び溶液流延製膜装置が用いられる。溶解機(釜)から調製されたドープを貯蔵釜で一旦貯蔵し、ドープに含まれている泡を脱泡して最終調製をする。
特開2000−301555号、特開2000−301558号、特開平7−032391号、特開平3−193316号、特開平5−086212号、特開昭62−037113号、特開平2−276607号、特開昭55−014201号、特開平2−111511号、及び特開平2−208650号の各公報に記載のセルロースアシレート製膜技術を本発明では応用できる。以下に溶液製膜方法について記述する。
(溶媒)
本発明の溶液流延製膜方法に用いられるドープを調製するための溶媒は、公知のいずれの溶媒をも用いることができる。特には、メチレンクロライド(ジクロロメタン)などのハロゲン化炭化水素類、酢酸メチルなどのエステル類、エーテル類、アルコール類(例えば、メタノール,エタノール,n−ブタノールなど)、ケトン類(例えば、アセトンなど)などが好ましく用いられるが、これらに限定されるものではない。また、これら溶媒を複数混合させた溶媒からドープを調製し、そのドープからフィルムを製膜することもできる。特に、本発明においてはメチレンクロライドを主溶媒とした混合溶媒、例えばメチレンクロライド/メタノール/ブタノール/水、を用いることが好ましい。
(添加剤)
本発明のフィルムは、前記重合体以外の添加剤を含有していてもよく、かかる添加剤は、フィルムを作製する工程のいずれの段階で添加されてもよい。添加剤は、用途に応じて選択することができ、例えば、可塑剤、劣化防止剤、紫外線防止剤、レターデーション(光学異方性)調節剤、微粒子、剥離促進剤、赤外吸収剤、など)などが挙げられる。これらの添加剤は、固体でもよく油状物でもよい。添加する時期は溶液流延法によるフィルム作製の場合、ドープ調製工程中のいずれかの時期に添加してもよいし、ドープ調製工程の最後の調製工程に添加剤を添加し調製する工程を加えて行ってもよい。各素材の添加量は機能が発現する限りにおいて特に限定されない。また、フィルムが多層から形成される場合、各層の添加物の種類や添加量が異なってもよい。
フィルム劣化防止の観点から、劣化(酸化)防止剤が好ましく用いられる。例えば、2,6−ジ−t−ブチル,4−メチルフェノール、4,4’−チオビス−(6−t−ブチル−3−メチルフェノール)、ペンタエリスリチル−テトラキス[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネートなどのフェノール系あるいはヒドロキノン系酸化防止剤を添加することができる。さらに、トリス(4−メトキシ−3,5−ジフェニル)ホスファイト、トリス(ノニルフェニル)ホスファイト、ビス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイトなどのリン系酸化防止剤をすることが好ましい。酸化防止剤の添加量は、重合体100質量部に対して、0.05〜5.0質量部を添加する。
偏光板又は液晶等の劣化防止の観点から、紫外線吸収剤が好ましく用いられる。紫外線吸収剤としては、波長370nm以下の紫外線の吸収能に優れ、かつ良好な液晶表示性の観点から、波長400nm以上の可視光の吸収が少ないものが好ましく用いられる。本発明に好ましく用いられる紫外線吸収剤の具体例としては、例えばヒンダードフェノール系化合物、オキシベンゾフェノン系化合物、ベンゾトリアゾール系化合物、サリチル酸エステル系化合物、ベンゾフェノン系化合物、シアノアクリレート系化合物、ニッケル錯塩系化合物などが挙げられる。これらの紫外線防止剤の添加量は、ノルボルネン系重合体に対して質量割合で1ppm〜1.0%が好ましく、10〜1000ppmがさらに好ましい。
フィルム面のすべり性を改良するためには、微粒子(マット剤)が好ましく用いられる。これを用いることで、フィルム表面に凹凸を付与し、すなわちフィルム表面の粗さを増加させることで(マット化)、フィルム同士のブロッキングを減少させることができる。フィルム中、又はフィルムの少なくとも片方の面上に微粒子が存在することにより、偏光板加工時の偏光子(偏光膜)とフィルム間の密着性が著しく向上する。本発明に使用するマット剤は、無機微粒子であれば、平均粒径0.05μm〜0.5μmの微粒子であり、好ましくは0.08μm〜0.3μm、より好ましくは0.1μm〜0.25μmである。微粒子は、無機化合物としては二酸化ケイ素、シリコーン及び二酸化チタンが好ましく、高分子化合物としてはフッ素樹脂、ナイロン、ポリプロピレン及び塩素化ポリエーテルが好ましいが、さらに好ましくは二酸化ケイ素であり、特に好ましくは有機物により表面処理されている二酸化ケイ素である。
フィルムの剥離抵抗を小さくするため、剥離促進剤が好ましく用いられる。好ましい剥離剤としては燐酸エステル系の界面活性剤、カルボン酸あるいはカルボン酸塩系の界面活性剤、スルホン酸あるいはスルホン酸塩系の界面活性剤、硫酸エステル系の界面活性剤が効果的である。また上記界面活性剤の炭化水素鎖に結合している水素原子の一部をフッ素原子に置換したフッ素系界面活性剤も有効である。剥離剤の添加量はノルボルネン系重合体に対して0.05〜5質量%が好ましく、0.1〜2質量%がさらに好ましく、0.1〜0.5質量%が最も好ましい。
(ドープの調製)
前述した固形分(ポリマー及び添加剤)を前述したメチレンクロライド系溶媒に仕込んだ後に、公知のいずれかの溶解方法により溶解させドープを調製する。このドープは濾過により異物を除去することが一般的である。濾過には濾紙、濾布、不織布、金属メッシュ、焼結金属、多孔板などの公知の各種濾材を用いることが可能である。濾過することにより、ドープ中の異物,未溶解物を除去することができ、製品フィルム中の異物による欠陥を軽減することができる。
また、一度調製したドープを加熱して、さらに溶解度の向上を図ることもできる。加熱には静置したタンク内で撹拌しながら加熱する方法、多管式、静止型混合器付きジャケット配管等の各種熱交換器を用いてドープを移送しながら加熱する方法などがある。また、加熱工程の後に冷却工程を実施することもできる。また、装置の内部を加圧することにより、ドープの沸点以上の温度に加熱することも可能である。これらの処理を行うことにより、微小な未溶解物を完全に溶解することができ、フィルムの異物の減少、濾過の負荷軽減をはかることができる。
本発明において、ドープの固形分の質量百分率(ドープ固形分濃度)は、15質量%〜30質量%が好ましく、より好ましくは20質量%〜25質量%である。15質量%未満であると、ドープの固形分濃度が低すぎるため、ドープから形成されるゲル膜が好ましいフィルム応力を有するまでに長時間必要になりコスト高になる場合がある。また、固形分濃度が低すぎるとドープを流延した際に、ゲル膜が形成されない場合もある。また、30質量%を超えると、ドープの粘度が高くなりすぎてビードのレベリング効果(平滑化)が発現しにくくなり、均一なフィルムの形成が困難になる場合がある。
(溶液流延製膜方法)
溶液流延製膜方法については多くの文献に記載がある。最近の溶液流延製膜法では、ドープを支持体上へ流延してから、支持体上の成形フィルムを剥離するまでに要する時間を短縮して、制膜工手の生産性を向上させることが課題になっている。例えば、特公平5−17844号公報には、高濃度ドープを冷却ドラム上に流延することにより、流延後、剥ぎ取りまでの時間を短縮することが提案されている。本発明における製膜では、このドラム製膜法を用いることが好ましい。以下にドラム製膜法を説明する。
図1は本発明に係る溶液流延製膜方法を実施するために用いられるフィルム製膜ライン10の概略図を示している。また、図2及び図3にフィルム製膜ライン10の要部概略図を示した。ミキンシングタンク11内には、前述した方法で調製されたドープ12が仕込まれて、撹拌翼13で撹拌されて均一になっている。ドープ12は、ポンプ14により濾過装置15に送られて不純物が除去される。その後に、一定の流量で流延室20内に設置されている流延ダイ21に送られる。流延ダイ21は、回転ドラム22上に配置している。回転ドラム22は、図示しない駆動装置により回転駆動する。回転ドラム22上に流延ダイ21からドープ12を流延して流延ビード23を形成する。なお、本発明において流延ビード23が回転ドラム22上に着地した位置を着地線(図2参照、なお図は、フィルムの走行方向に対して直交方向から示しているので点で記されている)22aと称する。流延ビード23は、支持体である回転ドラム22上でゲル化が進行してゲル膜24となる。ゲル膜24が回転ドラム22の走行に伴って移動すると、冷却されることによりさらにゲル化が進行する。ゲル膜24が剥取線(図2参照)22bに達すると、剥取ローラ25により回転ドラム22から剥ぎ取られ、フィルム26となる。なお、回転ドラム22の回転方向と逆向きに乾燥風19を送風機(図示しない)から送風することがより好ましい。
回転ドラム22には、図3に示すように支持体回転軸(以下、回転軸と称する)40,41が取り付けられ、それら回転軸40,41には軸受け42,43が取り付けられており、図示しない流延装置本体に設置されて回転駆動する。回転軸40と回転ドラム22と回転軸41とは、それら内部に媒体の流路(図示しない)が設けられている。その流路に不凍性熱媒体である冷却用媒体(以下、冷媒と称する)44が冷媒供給装置45から供給されることにより、回転ドラム22が冷却される。なお、本発明において回転ドラム22の表面温度が10℃以下とすることが好ましく、より好ましくは−5℃以下、最も好ましくは−20℃以下まで冷却することである。しかしながら、本発明はそれらの温度範囲に限定されるものではない。
冷媒44には、グリコール系冷媒,フッ素系冷媒,アルコール系冷媒などが用いられ、最も好ましくはフロリナート(登録商標)FC−77,HFE7100,コールドブライン(登録商標)FP60を用いることであるが、それら冷媒に限定されるものではない。また、本発明に用いられる回転ドラムの冷却方法は、必ずしも図3に示したように冷媒を通液させる方法に限定されるものではない。
さらに、本発明に用いられる回転ドラム22は、低温脆性材料を用いて作製されたものを用いると低温冷却した際に、設備の衝撃、繰り返し荷重に対する体力が低下することを防止できるためより好ましい。具体的には、SUS材,SLA材,STPL材などを用いて作製されたものが好ましいがこれらに限定されるものではない。
図2に示すように流延ダイ21には、ビード背面23b側にガス供給装置27に接続されたガス管路27aが取り付けられていることが好ましい。ビード背面23bにガス管路27aを通してガス(以下、第1ガスとも称する)28を送風することで、ビード背面23bのガス濃度を低下させ、露点を下げることができる。これにより、回転ドラム22の表面の結露を防止することができ、フィルム26の面状品質を損なうことが抑制される。さらに、結露した回転ドラム22表面に結露が生じている場合、ゲル膜24を形成すると着地線22aから剥取線22bの間でゲル膜24が回転ドラム22から脱落し、連続運転に支障をきたす。本発明によれば、回転ドラム22表面の結露を防止できるので、ゲル膜24の脱落も防止できる。なお、ガス28は、窒素ガス,ヘリウムガスなど(通常、不活性ガスと呼ばれるもの)フィルムの特性に影響を及ぼさないものを用いることが好ましい。
また、露点が回転ドラム22の表面温度より1℃以上低くなるようにガス28をガス供給装置27で温度調整した後に送風することが好ましい。なお、回転ドラム22表面の温度の測定は公知のいずれの装置を用いても良い(温度計の図示は省略している)。この温度差が1℃未満であると工程条件のわずかな変動によって、結露が発生してしまう。さらに、ガス28の風速を0.5m/s以上2m/s以下の範囲とすることが好ましい。風速が0.5m/s未満では流延ビード23近傍のガス濃度を低下させる効果が少ない。また、風速が2m/sより大きいと流延ビード23に風ムラが発生する場合があり、フィルムの面状品質が低下することがある。また、第1ガス28の温度は、30℃〜50℃の範囲であることが好ましい。しかしながら、本発明においてガス(第1ガス)の風速,温度は、他の実験条件を変更することにより、前述した範囲に限定されるものではない。
回転ドラム22表面に流延されたドープ12は冷却ゲル化によりゲル膜24の強度(フィルム強度)が増加して、さらに剥ぎ取りまでの間で乾燥が促進されることによってもゲル膜24の強度(フィルム強度)が増加する。剥取時におけるゲル膜24の延伸による応力(フィルム応力)が45万Pa未満では、フィルムとしての強度が不足し、剥ぎ取りに必要な自己支持性が得られない場合がある。本発明において、延伸による応力値としては45万Pa以上が好ましく、より好ましくは60万Pa以上であり、最も好ましくは75万Pa以上である。なお本発明において、フィルムの延伸による応力値は、ロードセルを用いた延伸により測定した値を用いる。
また、ゲル膜24をフィルム26として剥ぎ取る際、回転ドラム22の周速度(V0)と剥取ローラ25の周速度(V1)との速度比V1/V0を1.001≦(V1/V0)≦1.5の範囲とすることが好ましく、より好ましくは、1.002≦(V1/V0)≦1.3であり、最も好ましくは、1.005≦(V1/V0)≦1.2の範囲にすることである。(V1/V0)の比を前述した範囲にすることで、フィルム26に加わる延伸力が増加し、剥ぎ取りが安定になる。速度比が1.001未満ではフィルムの延伸力が不足して、剥取線22bが上昇し、フィルムを均一に剥ぎ取ることが困難になる。また、速度比が1.5より大きいと揮発分の高い剥取直後のフィルム(軟膜フィルム)は急激な延伸により耳端部からの「ちぎれ」や「ツレシワ」といった問題が発生する場合がある。なお、本発明において速度比(V1/V0)は前述した範囲に限定されるものではない。
回転ドラム22と剥取ローラ25とのクリアランスC1を狭くすると、延伸速度が大きくなるため、延伸力が増加して、剥ぎ取りが安定する。しかしながら、クリアランスC1が1mm未満であると、フィルムカスといった異物が挟まることでフィルムが切断してしまう場合がある。また、クリアランスC1が100mmより大きいとフィルムの延伸力を増加する効果が低減し、剥ぎ取り位置が上昇し、剥取が不安定になる場合がある。そこで、本発明において、クリアランスC1は、1mm≦C1≦100mmの範囲であることが好ましいが、この範囲に限定されるものではない。なお、本発明においてクリアランスC1とは、回転ドラム22と剥取ローラ25とを同一面に配置したとき、それぞれの中心を結ぶ線aが、それぞれ外周と交わる交点の間隔を意味している。また、剥取ローラ25は、回転ドラム22の基準線(基準線とは、図示したように回転ドラムの中心から鉛直上方の線を意味している)bと中心線aとの角度Dが45°〜180°が好ましく、より好ましくは60°〜120°の位置に配置されていることである。
回転ドラム22からゲル膜24の剥ぎ取りを容易にするために、回転ドラム22の表面張力とドープ12の表面張力との差が、3×10−2(N/m)以上であると回転ドラム22が溶媒で濡れにくくなり、ゲル膜24と回転ドラム22との接触面積が少なくなる。これにより、剥ぎ取り時の剥離抵抗を低下できるため、剥ぎ取りが安定する。本発明において表面張力の測定方法は、公知のいずれの方法も用いることが可能である。また、本発明において、表面張力の差は前述したものに限定されるものではない。
図2に示した剥取線22bとビード着地線22aとの間の回転ドラム22上にはゲル膜24が存在していない。本発明では、この面を無ゲル膜面22cと称する。前述したように回転ドラム22は、その内に冷媒を供給して冷却している。そのため、この無ゲル膜面22cの表面温度が露点に達していると、この面に結露が生じる場合がある。また、回転ドラム22は無端で走行しているため水滴や凝縮溶媒が付着している面にドープ12が流延されると、製膜されるフィルムの面状の悪化を招くおそれが生じる。そこで、前記無ゲル膜面22cに送風機29を用いてガス(以下、第2ガスとも称する)30を吹き付け、無ゲル膜面22cの温度を流延ビード23近傍の露点より1℃以上高くすることで水滴、液化溶媒の付着を防止することができる。なお、前記ガス(第2ガス)30の温度は50℃〜100℃、風速は2m/s〜10m/sの範囲であることが好ましいが、本発明はそれらの範囲に限定されるものではない。
図3に示したように回転軸40,41の内部にも冷媒44が通液されている。そのため、回転軸40,41及び軸受け42,43近傍の大気が冷却されて露点に達すると、その大気中に含まれている水蒸気が凝縮して水滴が生じる。また、流延室20内には、ドープ12から揮発した気化溶媒も含まれており、それら気化溶媒も液化して回転軸40,41及び軸受け42,43に付着する場合もある。付着が激しくなると、回転不良が生じ、連続フィルム製膜に支障をきたすおそれもある。そこで、本発明では、回転軸40,41及び軸受け42,43近傍に送風機46,47を設けてガス(以下、第3ガスとも称する)48,49をそれぞれ回転軸40,41及び軸受け42,43に送風することで、回転軸40,41及び軸受け42,43に結露が生じることを防止することが可能となる。なお、送風するガス48,49は、回転軸40,41近傍の温度が露点以下とならない温度であれば特に限定されないが、具体的には20℃〜30℃の範囲が好ましい。また、風速は2m/s〜10m/sの範囲であることが好ましいがこの範囲に限定されるものではない。また、本発明において送風機の実施形態は図3に示したものに限定されない。例えば図3では、回転軸40,41それぞれに送風機46,47を設置しているが、1台の送風機を用いて回転軸40,41の両軸にガスを送風しても良い。
本発明に係る溶液流延製膜方法を行う際に、流延室20内に流延ダイ21及び回転ドラム22等が備えられていると、流延ビード23にランダムな風があたる事が抑制され、面状が均一なフィルム26が得られるために好ましい。しかし、流延室内で結露が生じると、ゲル膜24表面に水滴などが付着してフィルムの表面にスジなどの欠陥が生じるおそれもある。液体が回転軸40,41、軸受け42,43(図3参照)などに付着して凝結すると、回転ドラム24の回転数の制御が困難になる場合もある。また、全く動かなくなる場合さえある。そこで、流延室20内に気化溶媒を凝縮して回収する回収装置31を備えていることが好ましい。
回収装置31は、流延室20内の大気に含まれている水蒸気やゲル膜24中の溶媒が気化した気化溶媒を凝縮させる凝縮面31aを備えている。凝縮面31aの温度は、ドープ12を構成している溶媒の種類などにより規定され特に限定されるものではない。しかしながら、本発明においては、フィルム26の表面温度より1℃以上低くすることが好ましく、より好ましくはフィルム26の表面温度より1℃〜20℃低くすることが好ましい。温度差が1℃未満であると流延している工程の条件がわずかに変動した際に、フィルム26表面に水滴などの液体が付着するおそれがある。また、20℃より低くするとコストの点で不利である。なお、本発明において、フィルム表面温度とは、図2に示した測定点26aの近傍に非接触式の温度計32を用いて測定することが好ましいが、温度測定方法はそれに限定されるものではない。また、温度計32で測定された温度に基づいて回収装置31がその凝縮面31aの温度を調整することがより好ましい。
フィルム26を更に乾燥させるため、流延室20の下流側にテンタ室60と乾燥室61とが設置されている(図1参照)。テンタ室60のテンタ乾燥機62によりフィルムの幅方向を延伸しながら乾燥すると、フィルム26の面状を均一にするために好ましい。さらに、多数のローラ63が配置されている乾燥室61にフィルム26が送り込まれる。フィルム26は、それらローラ63に巻きかかりながら搬送されながら乾燥される。さらに、冷却室64でフィルム26は室温程度まで冷却することが好ましい。その後に巻取機65で巻き取ることが好ましい。なお、本発明において巻き取られる前に、耳切りが行われたり、ナーリングが付与されたりしても良い。また、本発明にかかる溶液流延製膜方法に用いられるフィルム製膜ライン10は、図1ないし図3に示したものに限定されるものではない。
本発明の溶液流延製膜方法は、剥ぎ取る際のフィルム応力が大きいため20μm〜120μmの範囲の厚さに製膜されたフィルム(薄手のフィルム)の製膜方法に最も適している。
図1では、1種類のドープを単層で流延した形態を示したが、本発明は図示した形態に限定されるものではない。例えば、流延ダイの上流側にフィードブロックを取り付け、多数のドープをそのフィードブロックに送り込み、フィードブロック内で、それらのドープを合流させて流延する共流延法などにも適用することが可能である。また、図では回転ドラム22を支持体とした図示した。しかしながら、本発明は図示した形態に限定されずに、例えば回転ローラによって無端走行する流延ベルト上にドープを流延する溶液流延製膜方法にも適用することが可能である。
[フィルム延伸]
前記溶液流延製膜法にて作製したフィルムを、さらに延伸処理する場合は、剥離のすぐ後の未だフィルム中に溶剤が十分に残留している状態で行うのが好ましい。延伸の目的は、(1)しわや変形のない平面性に優れたフィルムを得るため及び、(2)フィルムの面内レターデーションを大きくするために行う。(1)の目的で延伸を行うときは、比較的高い温度で延伸を行い、延伸倍率も1%からせいぜい10%までの低倍率の延伸を行う。2から5%の延伸が特に好ましい。(1)と(2)の両方の目的、あるいは(2)だけの目的で延伸する場合は、比較的低い温度で、延伸倍率も5から150%で延伸する。
フィルムの延伸は、縦あるいは横だけの一軸延伸でもよく同時あるいは逐次2軸延伸でもよい。VA液晶セルやOCB液晶セル用位相差フィルムの複屈折は、幅方向の屈折率が長さ方向の屈折率よりも大きくなることが好ましい。従って幅方向により多く延伸することが好ましい。
本発明のでき上がり(乾燥後)のフィルムの厚さは、使用目的によって異なるが、通常20から500μmの範囲であり、30〜150μmの範囲が好ましく、特に液晶表示装置用には40〜110μmであることが好ましい。
(フィルムの光学特性)
本発明のフィルムの好ましい光学特性は、フィルムの用途により異なる。以下に、フィルムの厚みを80μmとして換算した、面内レターデーション(Re)及び厚さ方向レターデーション(Rth)の、各用途における好ましい範囲を示す。
偏光板保護フィルムとして使用する場合:Reは、0nm≦Re≦5nmが好ましく、0nm≦Re≦3nmがさらに好ましい。Rthは、0nm≦Rth≦50nmが好ましく、0nm≦Rth≦35nmがさらに好ましく、0nm≦Rth≦10nmが特に好ましい。
位相差フィルムとして使用する場合:位相差フィルムの種類によってReやRthの範囲は異なり、多様なニーズがあるが、0nm≦Re≦100nm、0nm≦Rth≦400nmであることが好ましい。TNモードなら0nm≦Re≦20nm、40nm≦Rth≦80nm、VAモードなら20nm≦Re≦80nm、80nm≦Rth≦400nmがより好ましく、特にVAモードで好ましい範囲は、30nm≦Re≦75nm、120nm≦Rth≦250nmであり、一枚の位相差膜で補償する場合は、50nm≦Re≦75nm、180nm≦Rth≦250nm、2枚の位相差膜で補償する場合は、30nm≦Re≦50nm、80nm≦Rth≦140nmである。これらはVAモードの補償膜として黒表示時のカラーシフト、コントラストの視野角依存性の点で好ましい態様である。なお、上記Re,Rthは、波長590nmで測定した値である。
本発明のフィルムは、共重合比率、添加剤の種類及び添加量、延伸倍率、剥離時の残留揮発分などの工程条件を適宜調節することで所望の光学特性を実現することができる。
本明細書において、Re(λ)、Rth(λ)は各々、波長λにおける面内のレターデーションおよび厚さ方向のレターデーションを表す。Re(λ)はKOBRA 21ADHまたはWR(王子計測機器(株)製)において波長λnmの光をフィルム法線方向に入射させて測定される。測定波長λnmの選択にあたっては、波長選択フィルターをマニュアルで交換するか、または測定値をプログラム等で変換して測定するができる。
測定されるフィルムが1軸または2軸の屈折率楕円体で表されるものである場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)のフィルム法線方向に対して法線方向から片側50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて全部で6点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記において、法線方向から面内の遅相軸を回転軸として、ある傾斜角度にレターデーションの値がセ゛ロとなる方向をもつフィルムの場合には、その傾斜角度より大きい傾斜角度でのレターデーション値はその符号を負に変更した後、KOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
尚、遅相軸を傾斜軸(回転軸)として(遅相軸がない場合にはフィルム面内の任意の方向を回転軸とする)、任意の傾斜した2方向からレターデーション値を測定し、その値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基に、以下の式(1)及び式(2)よりRthを算出することもできる。
Figure 0005017227
注記:
上記のRe(θ)は法線方向から角度θ傾斜した方向におけるレターデーション値をあらわす。式(1)におけるnxは面内における遅相軸方向の屈折率を表し、nyは面内においてnxに直交する方向の屈折率を表し、nzはnx及びnyに直交する方向の屈折率を表す。
Figure 0005017227
測定されるフィルムが1軸や2軸の屈折率楕円体で表現できないもの、いわゆる光学軸(optic axis)がないフィルムの場合には、以下の方法によりRth(λ)は算出される。
Rth(λ)は前記Re(λ)を、面内の遅相軸(KOBRA 21ADHまたはWRにより判断される)を傾斜軸(回転軸)としてフィルム法線方向に対して−50度から+50度まで10度ステップで各々その傾斜した方向から波長λnmの光を入射させて11点測定し、その測定されたレターデーション値と平均屈折率の仮定値及び入力された膜厚値を基にKOBRA 21ADHまたはWRが算出する。
上記の測定において、平均屈折率の仮定値はポリマーハンドブック(JOHN WILEY&SONS,INC)、各種光学フィルムのカタログの値を使用することができる。平均屈折率の値が既知でないものについてはアッベ屈折計で測定することができる。主な光学フィルムの平均屈折率の値を以下に例示する:セルロースアシレート(1.48)、シクロオレフィンポリマー(1.52)、ポリカーボネート(1.59)、ポリメチルメタクリレート(1.49)、ポリスチレン(1.59)である。これら平均屈折率の仮定値と膜厚を入力することで、KOBRA 21ADHまたはWRはnx、ny、nzを算出する。この算出されたnx,ny,nzよりNz=(nx−nz)/(nx−ny)が更に算出される。
[重合体フィルムの物性]
本発明のフィルムを偏光板の保護フィルムとして用いる場合は、光弾性の値が0.5×10−13〜9.0×10−13[cm/dyn]であり、透湿度の値(但し、フィルムの厚みを80μmとして換算した値)が180〜435[g/cm24h]であるのが好ましい。光弾性の値は、0.5×10−13〜7.0×10−13[cm/dyn]であるのがより好ましく、0.5×10−13〜5.0×10−13[cm/dyn]であるのがさらに好ましい。また、透湿度の値(但し、フィルムの厚みを80μmとして換算した値)は、180〜400[g/cm24h]であるのがより好ましく、180〜350[g/cm24h]であるのがさらに好ましい。本発明のフィルムが上記特性を有すると、偏光板の保護フィルムとして用いた場合に、湿度の影響による性能の低下を軽減することができる。
[偏光板]
本発明の偏光板は、本発明のフィルムと偏光膜とを少なくとも有する。通常、偏光板は、偏光膜およびその両側に配置された二枚の保護フィルムを有する。両方または一方の保護フィルムとして、本発明のフィルムを用いることができる。他方の保護フィルムは、通常のセルロースアセテートフィルム等を用いてもよい。偏光膜には、ヨウ素系偏光膜、二色性染料を用いる染料系偏光膜やポリエン系偏光膜がある。ヨウ素系偏光膜および染料系偏光膜は、一般にポリビニルアルコール系フィルムを用いて製造する。本発明のフィルムを偏光板保護フィルムとして用いる場合、フィルムは後述の如き表面処理を行い、しかる後にフィルム処理面と偏光膜を接着剤を用いて貼り合わせる。使用される接着剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール等のポリビニルアルコール系接着剤や、ブチルアクリレート等のビニル系ラテックス、ゼラチン等が挙げられる。偏光板は偏光膜およびその両面を保護する保護フィルムで構成されており、さらに該偏光板の一方の面にプロテクトフィルムを、反対面にセパレートフィルムを貼合して構成される。プロテクトフィルムおよびセパレートフィルムは偏光板出荷時、製品検査時等において偏光板を保護する目的で用いられる。この場合、プロテクトフィルムは、偏光板の表面を保護する目的で貼合され、偏光板を液晶板へ貼合する面の反対面側に用いられる。また、セパレートフィルムは液晶板へ貼合する接着層をカバーする目的で用いられ、偏光板を液晶板へ貼合する面側に用いられる。本発明のフィルムの偏光膜への貼り合せ方は、偏光膜の透過軸とフィルムの遅相軸を一致させるように貼り合せることが好ましい。
(フィルムの表面処理)
本発明では、偏光膜と保護フィルムとの接着性を改良するため、フィルムの表面を表面処理することが好ましい。表面処理については、接着性を改善できる限りいかなる方法を利用してもよいが、好ましい表面処理としては、例えばグロー放電処理、紫外線照射処理、コロナ処理および火炎処理が挙げられる。ここでいうグロー放電処理とは、低圧ガス下でおこる、いわゆる低温プラズマのことである。本発明では大気圧下でのプラズマ処理も好ましい。その他、グロー放電処理の詳細については、米国特許第3462335号、米国特許第3761299号、米国特許第4072769号および英国特許第891469号明細書に記載されている。放電雰囲気ガス組成を放電開始後にポリエステル支持体自身が放電処理を受けることにより容器内に発生する気体種のみにした特表昭59−556430号公報に記載された方法も用いられる。また真空グロー放電処理する際に、フィルムの表面温度を80℃〜180℃にして放電処理を行う特公昭60−16614号公報に記載された方法も適用できる。
表面処理の程度については、表面処理の種類によって好ましい範囲も異なるが、表面処理の結果、表面処理を施された保護フィルムの表面の純水との接触角が、50°未満となるのが好ましい。前記接触角は、25°以上45°未満であるのがより好ましい。保護フィルム表面の純水との接触角が上記範囲にあると、保護フィルムと偏光膜との接着強度が良好となる。
(接着剤)
ポリビニルアルコールからなる偏光膜と、表面処理された本発明のフィルムとを貼合する際には、水溶性ポリマーを含有する接着剤を用いることが好ましい。前記接着剤に好ましく使用される水溶性ポリマーとしては、N−ビニルピロリドン、アクリル酸、メタクリル酸、マレイン酸、アクリル酸β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸β−ヒドロキシエチル、ビニルアルコール、メチルビニルエーテル、酢酸ビニル、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミド、ビニルイミダゾールなどエチレン性不飽和モノマーを構成要素として有する単独重合体もしくは重合体、またポリオキシエチレン、ボリオキシプロピレン、ポリ−2−メチルオキサゾリン、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースゼラチン、などが挙げられる。本発明では、この中でもPVAおよびゼラチンが好ましい。接着剤層厚みは、乾燥後に0.01〜5μmが好ましく、0.05〜3μmがより好ましい。
(反射防止層)
偏光板の、液晶セルと反対側に配置される保護フィルムには反射防止層などの機能性膜を設けることが好ましい。特に、本発明では保護フィルム上に少なくとも光散乱層と低屈折率層がこの順で積層した反射防止層または保護フィルム上に中屈折率層、高屈折率層、低屈折率層がこの順で積層した反射防止層が好適に用いられる。
(光散乱層)
光散乱層は、表面散乱および/または内部散乱による光拡散性と、フィルムの耐擦傷性を向上するためのハードコート性をフィルムに寄与する目的で形成される。従って、ハードコート性を付与するためのバインダー、光拡散性を付与するためのマット粒子、および必要に応じて高屈折率化、架橋収縮防止、高強度化のための無機フィラーを含んで形成される。光散乱層の膜厚は、ハードコート性を付与する観点並びにカールの発生および脆性の悪化抑制の観点から、1〜10μmが好ましく、1.2〜6μmがより好ましい。
(反射防止層の他の層)
さらに、ハードコート層、前方散乱層、プライマー層、帯電防止層、下塗り層や保護層等を設けてもよい。
(ハードコート層)
ハードコート層は、反射防止層を設けた保護フィルムに物理強度を付与するために、透明支持体の表面に設ける。特に、透明支持体と前記高屈折率層の間に設けることが好ましい。ハードコート層は、光および/または熱の硬化性化合物の架橋反応、または、重合反応により形成されることが好ましい。硬化性官能基としては、光重合性官能基が好ましく、また加水分解性官能基含有の有機金属化合物は有機アルコキシシリル化合物が好ましい。
(帯電防止層)
帯電防止層を設ける場合には体積抵抗率が10−8(Ωcm−3)以下の導電性を付与することが好ましい。吸湿性物質や水溶性無機塩、ある種の界面活性剤、カチオンポリマー、アニオンポリマー、コロイダルシリカ等の使用により10−8(Ωcm−3)の体積抵抗率の付与は可能であるが、温湿度依存性が大きく、低湿では十分な導電性を確保できない問題がある。そのため、導電性層素材としては金属酸化物が好ましい。
[画像表示装置]
本発明のフィルム、該フィルムからなる位相差フィルム、該フィルムを用いた偏光板は、画像表示装置、とくに様々な表示モードの液晶セル、液晶表示装置に用いることができる。TN(Twisted Nematic)、IPS(In−Plane Switching)、FLC(Ferroelectric Liquid Crystal)、AFLC(Anti−ferroelectric Liquid Crystal)、OCB(Optically Compensatory Bend)、STN(Supper Twisted Nematic)、VA(Vertically Aligned)およびHAN(Hybrid Aligned Nematic)のような様々な表示モードが提案されている。このうち、OCBモードまたはVAモードに好ましく用いることができる。
以下に実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り、適宜、変更することができる。従って、本発明の範囲は以下に示す具体例に限定されるものではない。
なお、下記実施例7、実施例14、実施例21、及び実施例28は、「実施例」とあるのを「参考例」と読み替えるものとする。
以下の実施例、比較例において、各種測定は以下のように行った。
(1)分子量:ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC、東ソー株式会社製、商品名:HLC−8020/カラム4本:東ソー株式会社製、商品名:TSKguardcolumn SuperHZ−H、TSKgel SuperHZM−H、TSKgel SuperHZ4000、TSKgel SuperHZ2000)を用い、テトラヒドロフラン(THF)溶媒を用い、標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)を求めた。なお、Mnは数平均分子量を表す。
(2)重合体分子構造:超伝導核磁気共鳴吸収装置(NMR、Bruker社製、商品名:AVANCE400)を用い、重メチレンクロライド中で1HNMRもしくは13CNMRを測定した。
(3)モノマー純度、エンド/エキソ比率:ガスクロマトグラフ装置(GC、島津製作所製、商品名:GC−2010、カラム管:DB17 30m 0.25φ)を用い、純度を求めた。
(4)Re,Rth:位相差測定装置(王子計測機器(株)製、商品名:KOBRA 21ADH)を用い、波長590nmで、前述の手法により測定した。
[ノルボルネン系化合物の合成]
(合成例1:M−1の合成)
ジシクロペンタジエン(和光純薬社製)10940g、酢酸アリル(和光純薬社製)17720gとヒドロキノン(和光純薬社製)10gをオートクレーブに仕込み、空隙を窒素置換した。密閉系で内温180℃で9時間攪拌した(回転速度=300rpm)。残存物を精密蒸留(カラム長さ=120cm、カラム充填物=Propak、還流比=10/1、圧力=10mmHg、トップ温度=89℃)に付して、無色透明なM−1を得た。純度99.9%、エンド/エキソ比率83/17であった。
(合成例2:M−2の合成)
ジシクロペンタジエン(和光純薬社製)12480g、アクリル酸メチル(和光純薬社製)16240gとヒドロキノン(和光純薬社製)10gをオートクレーブに仕込み、空隙を窒素置換した。密閉系で内温210℃で4時間攪拌した(回転速度=300rpm)。残存物を精密蒸留(カラム長さ=120cm、カラム充填物=Propak、還流比=10/1、圧力=10mmHg、トップ温度=85℃)に付して、無色透明なM−2を得た。純度99.7%、エンド/エキソ比率45/55であった。
(合成例3:M−3の合成)
合成例2においてアクリル酸メチルをアクリル酸エチル(和光純薬社製)とする以外は、合成例2と同様に行い、無色透明なM−3を得た。純度99.5%、エンド/エキソ比率45/55であった。
Figure 0005017227
(合成例4:M−4の合成)
特開2005−263714号公報の実施例1を参考に、M−2よりM−4を合成した。純度98.2%、エンド/エキソ比率は45/55であった。
(合成例5:M−5の合成)
ヨーロピアンポリマージャーナル2002年38巻2077ページを参考に、N−4−ヒドロキシフェニルーアクリルアミドを合成し、これをジャーナルオブオルガノメタリックケミストリー2003年680巻263ページを参考に、シクロペンタジエンと反応させた。エンド/エキソ比率74/26であった。
Figure 0005017227
[触媒の合成]
(合成例6:S−1の合成)
[Pd(C)Cl](アルドリッチ社製)とトリシクロヘキシルホスフィン(ストレム社製)を用い、J.Am.Chem.Soc.,118,6225−6234(1996)を参考にS−1を合成した。
Figure 0005017227
[ノルボルネン系付加重合体の合成]
(実施例1:P−1(97/3)の合成)
精製トルエン200mLとモノマーM−2(198g)とモノマーM−4(7.3g)を反応容器に仕込んだ。次いでトルエン6mLに溶解した触媒S−1(87mg)とトリブチルアリルスズ(アルドリッチ社製)167μL、塩化メチレン3mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)316mgを反応容器に投入した。加熱を開始し100℃で18時間300rpmで攪拌した。なお、この間反応溶液の粘度の上昇とともに、トルエンを適宜追加した。得られた反応溶液を、過剰のメタノール中に投入し、重合物を沈殿させた。沈殿を採取し、メタノールで洗浄した。得られた重合体を110℃で6時間真空乾燥した。白色固体175gを得た。
得られたポリマーをテトラヒドロフランに溶解し、ゲルパーミエーションクロマトグラフにより(ポリスチレン換算)、質量平均分子量(Mw)と数平均分子量(Mn)を測定した。その結果、Mn=98200、Mw=192200だった。
このサンプル0.3gをメチレンクロライド20mLに溶解させ、ベンゾイルクロライド(和光純薬社製)4mLとのピリジン3.8mL(和光純薬社製)を添加し、1時間反応させた。これをメタノール中に再沈殿し、吸引ろ過し、真空乾燥した。これを1HNMR測定したところ、もとのヒドロキシエチル基は全て消失し、ベンゾイル化されていた。メチルエステル基とベンゾイル基の積分比率を求めたところ、97/3であった。この重合体をP−1(97/3)として、下記のように表記する。
(実施例2:P−1(87/13)の合成)
実施例1のモノマーをM−2(198g)およびM−4(35.3g)に変えた以外は、実施例1と同様に合成し、ポリマーを得た。分子量と共重合比は下記の通りであった。この重合体をP−1(87/13)とする。
(実施例3:P−1(52/48)の合成)
実施例1のモノマーをM−2(103g)およびM−4(122.5g)に変えた以外は、実施例1と同様に合成し、ポリマーを得た。分子量と共重合比は下記の通りであった。この重合体をP−1(52/48)とする。
(実施例4:P−2(85/15)の合成)
実施例1のモノマーをM−2(181g)およびM−5(48g)に変えた以外は、実施例1と同様に合成し、ポリマーを得た。分子量と共重合比は下記の通りであった。この重合体をP−2(85/15)とする。
(実施例5:P−3(82/18)の合成)
実施例1のモノマーをM−3(191g)およびM−4(46g)に変えた以外は、実施例1と同様に合成し、ポリマーを得た。分子量と共重合比は下記の通りであった。この重合体をP−3(82/18)とする。
(実施例6:P−4(85/15)の合成)
実施例1のモノマーをM−1(198g)およびM−4(38g)に変えた以外は、実施例1と同様に合成し、ポリマーを得た。分子量と共重合比は下記の通りであった。この重合体をP−4(85/15)とする。
(実施例7:P−9(51/49)の合成)
実施例1のモノマーをノルボルネン(アルドリッチ社製)92gおよびM−4(240g)に変えた以外は、実施例1と同様に合成し、ポリマーを得た。分子量と共重合比は下記の通りであった。この重合体をP−9(51/49)とする。
Figure 0005017227
(実施例8〜14)
実施例1〜7で得られた重合体をメチレンクロライド/メタノール/ブタノール/水(83/16/0.6/0.4質量比率)に溶解させ、固形分濃度22%とした。これを加圧ろ過した。得られたドープをA3大の−5℃、−10℃、−20℃で設定されたSUS板上でアプリケーター(クリアランス800μm)を用いて、流延製膜した。これを10秒間放置し、フィルムの剥ぎ取り性テストを行った。重合体の種類、SUS板の温度、剥ぎ取り性の結果を表1の実施例8〜14に示す。
(比較例1:P−5の合成)
精製トルエン6000mLとモノマーM−1(1190g)を反応容器に仕込んだ。次いでトルエン100mLに溶解したパラジウムアセチルアセトナート(東京化成社製)480mgとトリシクロヘキシルフォスフィン(ストレム社製)460mg、塩化メチレン100mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)2560mgを反応容器に投入した。加熱を開始し90℃で6時間300rpmで攪拌した。なお、この間反応溶液の粘度の上昇とともに、トルエンを適宜追加した。得られた反応溶液を、過剰のメタノール中に投入し、重合物を沈殿させた。沈殿を採取し、メタノールで洗浄した。得られた重合体を110℃で6時間真空乾燥した。白色固体1130g(収率95%)を得た。Mn=105600、Mw=350400だった。この重合体をP−5とする。
(比較例2:P−6の合成)
精製トルエン550mLとモノマーM−2(550g)を反応容器に仕込んだ。次いでトルエン20mLに溶解した触媒S−1(239mg)とトリブチルアリルスズ(アルドリッチ社製)460μL、塩化メチレン20mLに溶解したジメチルアニリニウム・テトラキスペンタフルオロフェニルボレート(ストレム社製)868mgを反応容器に投入した。加熱を開始し100℃で18時間300rpmで攪拌した。なお、この間反応溶液の粘度の上昇とともに、トルエンを適宜追加した。得られた反応溶液を、過剰のメタノール中に投入し、重合物を沈殿させた。沈殿を採取し、メタノールで洗浄した。得られた重合体を110℃で6時間真空乾燥した。白色固体516g(収率94%)を得た。Mn=102400、Mw=219700だった。この重合体をP−6とする。
(比較例3:P−7の合成)
比較例2のモノマーをM−3(600g)に変えた以外は、比較例2と同様に合成し、ポリマー450g(収率75%)を得た。Mn=100400、Mw=208600だった。この重合体をP−7とする。
(比較例4:P−8の合成)
特開2002−20435号公報を参考に、P−8を合成した。Mn=53000、Mw=128000だった。
Figure 0005017227
(比較例5〜8)
比較例1〜4で合成したポリマーを上記と同様にドープを作製し、剥ぎ取り性テストを行った。結果を表1の比較例5〜8に記す。
Figure 0005017227
OH含有アミド基割合=OH含有アミド基含有ユニットのモル数/全ユニットの総モル数
溶解性評価:
完全に溶解し、ドープが透明(◎)
溶解はしているがドープが完全に透明でない(○)
溶解しない(×)
剥ぎ取り性評価:
剥ぎ残りなし(◎)
剥ぎ残りが生じたが、フィルム面積の1%以下(○)
剥ぎ残りがフィルム面積の1%より大きくあり(×)
上記の結果から、本発明の重合体は冷却ゲル化能を有することがわかる。一方、本発明外の重合体は、冷却ゲル化能を有さない。
(実施例15:高速流延製膜)
メチレンクロライド/メタノール/ブタノール/水(83/16/0.6/0.4質量比率)の混合溶媒に、P−1(87/13)26.8質量部、トリフェニルフォスフェート(TPP)2.1質量部、ビフェニルジフェニルフォスフェート(BDP)1.1質量部、イルガノックス1010(IRG1010:チバガイキー社製)0.13質量部を添加し、公知の方法により調製した。固形分濃度は23質量%であった。なお、本発明において溶質の質量部とは、混合溶媒を100質量部とした場合の質量比を意味している。
図1のフィルム製膜ライン10を用いてフィルムの製膜を行った。流延ダイ23にはコートハンガー型ダイを用いた。また、支持体である回転ドラム22の表面粗さが0.04Sになるように鏡面仕上げをした。回転ドラム22に冷媒供給装置45から冷媒を供給することで、その表面温度を−5℃に保持した。また、周速度の比(V1/V0)を1.1とするために、回転ドラムの周速度V0(流延速度)を100m/minとし、剥取ローラ25の周速度V1を110m/minとした。回転ドラム22と剥取ローラ25とのクリアランスC1は、5mmとした。また、第1ガス28は風速1m/s,温度35℃、第2ガス30は風速5m/s,温度80℃、第3ガス48,49は風速5m/s,温度25℃としたものを吹き付けた。
前述した条件に設定した後に、30℃のドープ12を乾燥後のフィルム26の膜厚が80μmとなるように回転ドラム22上に流延した。剥ぎ取り時にゲル膜24を目視で観察したところ、剥ぎ残り、剥取位置の上昇は全く見られなかった。さらに、このフィルム26をテンタ乾燥機62で135℃,3分間乾燥した後に、135℃の乾燥ゾーン61で10分間乾燥した後、80℃の冷却室64で1分間冷却した。最後に、巻取機65で巻き取った。さらに、目視でフィルム26の表面を観察したところ、極めて平滑性が良いことが分かった。この製膜を48時間連続で行ったが、ドラム上に剥ぎ残りは全く見られなかった。
(実施例16〜21:高速流延製膜)
P−1(97/3)、P−1(52/48)、P−2(85/15)、P−3(82/18),P−4(85/15)、P−9(51/49)を実施例15と同様に製膜した。いずれの場合も、フィルムの平滑性はよく、48時間連続製膜を行ったが、ドラム上に剥ぎ残りは全く見られなかった。
(比較例9:高速流延製膜)
P−5を実施例15と同様に流延製膜を試みたが、ドラムから剥ぎ取りが出来ず、流延製膜出来なかった。
(比較例10〜11:高速流延製膜)
P−6、P−7を実施例15と同様に流延製膜を試みたが、ドラムから剥ぎ取りが出来ず、流延製膜出来なかった。
(実施例22〜28)
実施例15〜21で得られたP−1(87/13)、P−1(97/3)、P−1(52/48)、P−2(85/15)、P−3(82/18)、P−4(85/15)、P−9(51/49)のフィルムの波長590nmにおけるレターデーションを測定した。フィルムの厚みは、デジタルマイクロメーターで任意の部分を3点測定し、その平均値dをとった。これを以下の数式により、フィルム厚み80μmのRe、Rthを求めた。結果を、以下の表2に示す。
Re=実測Re/d×80
Rth=実測Rth/d×80
Figure 0005017227
以上のように本発明の重合体は、高速流延製膜可能である。一方、本発明外の重合体は高速流延製膜不能である。また、本発明の重合体からなるフィルムは、0≦Re≦100nm、かつ0≦Rth≦400nmに制御することができ、優れた光学特性を有する。
本発明に係る溶液製膜方法に用いられるフィルム製膜ラインの概略図である。 図1に示したフィルム製膜ラインの要部拡大概略図である。 図1に示したフィルム製膜ラインの要部拡大概略図である。
符号の説明
10 フィルム製膜ライン
11 ミキシングタンク
12 ドープ
13 撹拌翼
14 ポンプ
15 濾過装置
19 乾燥風
20 流延室
21 流延ダイ
22 回転ドラム
22a 着地線
22b 剥取線
22c 無ゲル膜面
23 流延ビード
23b 流延ビード背面
24 ゲル膜
25 剥取ローラ
26 フィルム
27 ガス供給装置
27a ガス管路
28,30,48,49 ガス
29 送風機
31 回収装置
31a 凝縮面
32 温度計
40,41 支持体回転軸
42,43 軸受け
44 冷媒
45 冷媒供給装置
60 テンタ室
61 乾燥室
62 乾燥機
63 ローラ
64 冷却室
65 巻取機
C1 クリアランス

Claims (8)

  1. 下記一般式(1A)で表される繰り返し単位と下記一般式(1B)で表される繰り返し単位とを、重合体中、50〜100モル%の割合で含むノルボルネン系付加重合体であって、一般式(1A)で表される繰り返し単位の総モル数xと一般式(1B)で表される繰り返し単位の総モル数yの比率が、0.03≦y/(x+y)≦0.50であり、質量平均分子量が100,000〜700,000であるノルボルネン系付加重合体。
    Figure 0005017227


    (一般式(1A)中、R は水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。L は単結合、または2価の連結基を表す。mは0または1、nは1〜3の整数、rは1〜3の整数を表す。なお、rが2以上の場合は、複数あるR は同一でも異なっていてもよい。AはCOOR またはOCOR を表し、R は置換基を表す。なお、nが2以上の場合は、複数あるL およびAは同一でも異なっていてもよい。)
    Figure 0005017227


    (一般式(1B)中、Rは水素原子または炭素数1〜6のアルキル基を表す。RおよびRは、水素原子、置換もしくは無置換の炭素数1〜12のアルキル基もしくはアリール基を表し、このうち少なくともひとつが水酸基を含有するアルキル基もしくはアリール基である。Lは単結合、または2価の連結基を表す。pは0または1、qは1〜の整数を表す。sは1〜3の整数を表す。なお、sが2以上の場合は、複数あるRは同一でも異なっていてもよい。qが2以上の場合は、複数あるRおよびRは同一でも異なっていてもよい。)
  2. 前記一般式(1B)において、全てのRが水素原子であり、pが0であり、かつqが1である請求項1記載のノルボルネン系付加重合体。
  3. 前記一般式(1B)において、RおよびRのうち少なくとも1つがヒドロキシエチル基である請求項1または2記載のノルボルネン系付加重合体。
  4. 前記m、pが0であり、かつn、qが1である請求項1〜3のいずれか1項に記載のノルボルネン系付加重合体。
  5. 全てのL、およびLが単結合であり、全てのR、およびRが水素原子であり、全てのAがCOORであり、かつ全てのRが炭素数1〜4のアルキル基である請求項1〜4のいずれか1項に記載のノルボルネン系付加重合体。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載のノルボルネン系付加重合体を含む光学材料。
  7. 前記光学材料が、薄膜、フィルムまたはシート形状である請求項記載の光学材料。
  8. ReとRthが下記の範囲である請求項記載の光学材料。
    (1) 0≦Re≦100nm
    (2) 0≦Rth≦400nm
    (上記式中、ReおよびRthは、波長590nmにおける面内のレターデーション(Re)および厚さ方向のレターデーション(Rth)を表す。)
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