JP5015067B2 - 推薬タンクのフィルタ装置 - Google Patents
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Description
また、特にタンク下部にフィルタを装着した場合、下方の配管内で発生した気泡が上昇してフィルタに捕捉され、推薬を流した時に、ロケットエンジンに気泡が流入して、性能を低下させ、或いは損傷を与えるおそれがある。
そのため、推薬中の気泡を効率よく除去する必要がある。
そのため、特許文献1の装置は、宇宙空間等の微小重力環境下で使用される熱制御系ループに接続され、該熱制御系ループの液体内に混入した気泡を除去するための微小重力環境用気泡除去装置において、図3に示すように、樽型をした筒体ケーシング57端部に、上記熱制御系ループ内の気液混合液体を導入して旋回流を与えるべく、その接線方向に気液混合液体導入管58を接続し、上記筒体ケーシング57内軸心部に、分離された気体を吸引すべく、その長さ方向に沿って疎水性の中空糸膜管51を設けると共に、該中空糸膜管51の先端部を閉塞し後端部に吸引手段を設けたものである。
そのため、特許文献2の装置は、図4に示すように、互いに極性の異なる勾配電界発生用電極61,62間に液体63を供給すると、勾配電界発生用電極61,62間に発生された勾配電界64によって、流体容器内の液体63に混入された気泡65が誘電分極され、誘電分極された気泡65に誘電泳動力が作用して、気泡65が弱電界部側へ移動されて、液体63から分離されるので、弱電界部66側に設けられた気体排出口から気体を外部へ排出させ、強電界部67側に設けられた液体排出口から気泡除去液を外部へ排出させるものである。
図5(A)において、71はタンク内の推薬、72はタンク内に封入又は供給された加圧ガス、73は推薬タンク、74は推薬取出部、75はロケットエンジンへの推薬供給管、76は渦防止板、77はフィルタ装置、78はフィルタ取付リングである。
渦防止板76は、推薬71の液面が低いときに、供給管75を中心とする渦の発生を防止する機能を有する。
フィルタ装置77の外周部には、複数のガス抜き穴77bが設けられ、この穴を通してフィルタに捕捉された気泡を上方に逃がす機能を有する。
前記推薬供給管の上端開口より上方のタンク下部に外縁部が水密に固定され、中央部に推薬中のゴミを除去するフィルタを有し、該フィルタの一部にこれを貫通する貫通穴を有するフィルタ板と、
下端が前記貫通穴に水密に取り付けられ、ほぼ鉛直に上方に延び、上端がフィルタ上面から所定の高さに水平に位置する中空筒状のベントポートと、
該ベントポートの上方に所定の隙間を隔てて位置しフィルタ全面を覆うほぼ水平な渦防止板とを備えた、ことを特徴とする推薬タンクのフィルタ装置が提供される。
従って、下方に供給される推薬はすべてフィルタを通過するので、推薬に含まれるゴミを確実に除去して下方に供給できる。
また、中空筒状のベントポートの下端がフィルタの貫通穴に水密に取り付けられ、ほぼ鉛直に上方に延びるので、下方から上昇しフィルタで捕捉された気泡を、ベントポートを通してゴミの混入を回避して確実に上方に逃がすことができる。
従って、これにより、気泡およびゴミによるエンジン性能の低下を防止することができる。
この図において、2Aは燃料タンク、2Bは酸化剤タンク、3はロケットエンジン、4はバルブ(流量制御弁)であり、タンク2A,2B内の推薬1を加圧ガスで加圧し、推薬供給管5を介してロケットエンジン3に供給するようになっている。
なお、本発明はガス加圧式推薬タンクに限定されず、推薬供給管5の途中にポンプを設置し、タンク内の推薬をポンプで排出するポンプ式推薬タンクであってもよい。
この図において、本発明のフィルタ装置10は、フィルタ板12、中空筒状のベントポート14、およびほぼ水平な渦防止板16を備える。
また、フィルタ板12は、中央部に推薬1中のゴミを除去するフィルタ12aを有する。フィルタ12aの外側は、貫通穴のないリング12bである。なお、リング12bは、不可欠ではなく、外縁部を水密に固定できるかぎりで、全面をフィルタ12aとしてもよい。
さらに、フィルタ板12は、フィルタ12aの一部にこれを貫通する貫通穴12cを有する。貫通穴12cの位置は、推薬供給管5の上端開口の真上であるのが好ましいが、それ以外であってもよい。
また、この場合に、貫通穴12cの位置は、山形や円弧面の頂部近傍に設けるのがよい。
この例において、ベントポート14は上方が細い中空テーパ管であり、この中を通過する気泡の上昇速度が上方ほど早くなるようになっている。
また、ベントポート14の内径は、内部を上昇する気泡により推薬1の上昇流が形成される大きさに設定され、ベントポート14の上端からの推薬1の流入をさらに防止している。
この渦防止板16は、推薬1の液面が低いときに、推薬供給管5を中心とする渦の発生を防止する機能を有する。また、渦防止板16とベントポート14の水平な上端との隙間は、そこを通過する推薬1の圧損がフィルタ12aの通過抵抗よりも大きくなるように設定されている。
従って、この構成によって、ベントポート14の上端からの推薬1の流入をさらに防止できる。
一方、ベントポート14と渦防止機構(渦防止板16)との隙間は僅かであるため、圧力損失が大きく、ベントポート先端の方がフィルタよりもヘッドが高いため、ベントポート14に向かう推薬1の流れは発生せず、推薬がベントポートから排出されることはなく、ベントポートからゴミが流れることはない。
従って、本発明の構成により、気泡およびゴミによるエンジン性能の低下を確実に防止することができる。
2A 燃料タンク、2B 酸化剤タンク、
3 ロケットエンジン、4 バルブ、
5 推薬供給管、6 推薬取出部、
10 フィルタ装置、12 フィルタ板、
12a フィルタ、12b リング、12c 貫通穴、
14 ベントポート、16 渦防止板
Claims (4)
- 推薬を内部に保有するタンクと、該タンク下部から下方に延びる推薬供給管とを有し、タンク内の推薬を加圧ガスまたはポンプで排出し、推薬供給管を介して下方に供給する推薬タンクのフィルタ装置であって、
前記推薬供給管の上端開口より上方のタンク下部に外縁部が水密に固定され、中央部に推薬中のゴミを除去するフィルタを有し、該フィルタの一部にこれを貫通する貫通穴を有するフィルタ板と、
下端が前記貫通穴に水密に取り付けられ、ほぼ鉛直に上方に延び、上端がフィルタ上面から所定の高さに水平に位置する中空筒状のベントポートと、
該ベントポートの上方に所定の隙間を隔てて位置しフィルタ全面を覆うほぼ水平な渦防止板とを備えた、ことを特徴とする推薬タンクのフィルタ装置。 - 前記ベントポートの所定の高さは、フィルタ上面から水平な上端までの推薬の静圧がフィルタの通過抵抗よりも大きくなるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の推薬タンクのフィルタ装置。
- 前記ベントポートの内径は、内部を上昇する気泡により推薬の上昇流が形成される大きさに設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の推薬タンクのフィルタ装置。
- 前記渦防止板の所定の隙間は、そこを通過する推薬の圧力損失がフィルタの通過抵抗よりも大きくなるように設定されている、ことを特徴とする請求項1に記載の推薬タンクのフィルタ装置。
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