JP5005283B2 - 防振マウントの製造装置 - Google Patents

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Description

本発明は、例えば自動車のエンジンマウントとして用いられる防振マウントの製造工程において、ハウジングの端部を折り曲げて、マウント本体の外周縁をかしめるようにした装置に関する。
従来より、この種の製造装置としては、特許文献1に記載のものが広く知られている。このものでは、図8に模式的に示すように、マウント本体a(ブッシュ本体)を円筒状のハウジングb(外筒金具)に嵌め込み、そのハウジングbの軸心c方向一側(図の上側)の端部に、その端部の曲げ形状に対応したローラdの加工面を押し当てて、これを転動させつつハウジングbの端部に沿って周回させる。これによりハウジングbの端部を漸次、軸心c方向に押圧し、ローラdの加工面に沿って半径方向内方に折り曲げて、マウント本体aの端部外周縁をかしめることができる。
特許第2510897号公報(第1頁,図4)
ところで、前記のようにハウジングの端部に沿ってローラを周回させるようにした場合、そのローラの周回中心とハウジングの軸心とがずれていると、かしめの状態が部位により異なるものとなってしまい、接合強度が低下する虞れがある。
すなわち、通常、防振マウントのかしめ装置においては台上の治具にその上方からマウント本体及びハウジング(ワーク)を載置すると、それらの軸心が上方のかしめユニットにおけるローラの周回中心線と略合致するようになるが、例えば、治具の精度やセットの仕方によってワークが傾いた場合、実際にかしめの行われれるハウジングの上端部において、その中心(ハウジングの軸心)がローラの周回中心からずれてしまう。
特にエンジンマウントの場合は、マウント本体及びハウジングにそれぞれ車体側、エンジン側への連結部が設けられており、それら連結部同士の相対的な位置関係が決められていることがあるが、マウント本体及びハウジングにはそれぞれ寸法公差があるので、その連結部同士の相対位置関係を決めれば、公差の分は中心がずれることになり、そうして心ずれした状態で治具にマウント本体の軸心を合わせるとすれば、心ずれの分だけハウジングの軸心がローラの周回中心からずれることは避けられない。
斯かる点に鑑みて、本発明の目的とするところは、前記の如くかしめる際にハウジングの軸心をローラの周回中心に合わせるための構成に工夫を凝らして、該ハウジングの端部におけるかしめの状態をできるだけ均一化し、これにより接合強度を安定的に確保することにある。
前記の目的を達成するために、本発明では、マウント本体及びハウジングを相互に位置決めし且つ一体に変位可能に保持しておき、そのハウジングの一側の端部にローラを接触させて周回させることにより、その周回中心にハウジングの軸心を合わせるようにしたものである。
具体的に、請求項1の発明は、マウント本体を円筒状のハウジングに軸心方向の一側から嵌め入れて、該ハウジングの一側の端部にローラを押し当てて転動させつつ、この端部に沿って周回させることにより、当該端部を折り曲げてマウント本体の外周縁をかしめるようにした防振マウントの製造装置を前提とする。
そして、前記マウント本体及びハウジングを相互に嵌め合わされた状態で位置決めして保持する保持具と、この保持具によって保持されたハウジングの軸心方向一側に離間して、前記ローラを転動自在に且つ前記ハウジングの軸心の周りに周回可能に保持してなるかしめユニットと、前記保持具を、前記ハウジングの軸心に直交する任意の方向に変位可能に支持する、装置フレーム側に取り付けられた支持と、を備えるとともに、
前記かしめユニット及び支持の少なくとも一方を相互に接近するように移動させ、ハウジングの一側端部に接触させたローラを転動させつつ周回させることで、このローラの周回中心にハウジングの軸心を合わせる調心手段と、こうしてローラの周回中心にハウジングの軸心を合わせた状態で、前記保持具の支持に対する変位を規制する変位規制手段と、そうして保持具の変位を規制した状態で前記支持とかしめユニットとを接近させながら、ローラを転動及び周回させて、ハウジングの一側端部を折り曲げる曲げ加工手段と、を備え、前記保持具は、前記支持台の上方に離間するように、該支持台にばね部材によって取り付けられており、前記保持具の上方に離間して前記かしめユニットが配置されている構成とする。
前記の構成により、防振マウントの製造工程においてマウント本体をハウジングに嵌め入れて、保持具により位置決めして保持すると、まず調心手段により、保治具を支持する支持とかしめユニットとが互いに接近されて、ハウジングの一側の端部にかしめユニットのローラが接触し、このローラが転動しつつハウジングの端部に沿って周回することで、その周回中心にハウジングの軸心が合わされる。
その状態で変位規制手段により、ハウジングを保持する保持具の支持に対する変位が規制され、該ハウジングの軸心がローラの周回中心に合致する状態に保たれたまま、曲げ加工手段によって支持とかしめユニットとがさらに接近されて、ハウジングの端部がローラにより加圧される。そして、そのローラが転動及び周回することによって、当該端部が漸次、折り曲げられることになる。
つまり、防振マウントのハウジングにおいてローラにより折り曲げられる端部の位置をそのローラ自体によって修正し、この端部の中心(ハウジングの軸心)をローラの周回中心に合わせることにより、該ハウジングの端部におけるかしめの状態を周方向に略均一化して、接合強度を安定的に確保することができる。
また、このようなレイアウトでは、かしめユニットの下方に離間する保治具に上方からマウント本体及びハウジングを容易にセットすることができる。そして、そうしてセットされたマウント本体及びハウジングと前記かしめユニットとが接近して、ハウジングの上端部にローラが接触したとき、このハウジング上端部とローラとは、ばね部材の付勢力によって適度の接触状態に保たれることになり、該ローラによるハウジングの端部の心合わせがスムーズに行われる。
ここで、前記防振マウントにおいて、マウント本体には、荷重の支持側及び被支持側のいずれか一方に連結される連結部が、また、ハウジングには、前記支持側及び被支持側の他方に連結される連結部がそれぞれ設けられている場合に、前記保治具には、前記マウント本体及びハウジングのそれぞれの連結部に各々係合する位置決めのための係合部を設けることが好ましい(請求項2の発明)。
そうすれば、マウント本体及びハウジングのそれぞれの連結部同士の相対的な位置関係を保持具によって正確に決めることができる。このことは、エンジンルーム内のスペースに余裕の少ない自動車のエンジンマウント等において好適である。一方で、そうしてマウント本体及びハウジングの連結部同士の相対位置関係を決めると、マウント本体やハウジングの寸法公差の分だけ、それらの中心がずれることになるから、このような場合に、前記した発明の作用が特に有効なものとなる。
すなわち、一般的に、ハウジングの連結部は、その軸心上には設けられないので、保持具においてハウジングの連結部の位置を決めると、このハウジングの寸法公差の分は軸心の位置がずれることになる。よって、仮にマウント本体の連結部がその軸心上に設けられていて、ここを前記ハウジングの連結部とローラの周回中心との双方に位置決めできるとしても、それだけではハウジングの軸心をローラの周回中心に合わせることはできないのである。
前記のような防振マウントの製造装置において、好ましいのは、前記かしめユニットに3つ以上のローラを、それらの共通の周回経路となる円周上において互いに周方向に離間させて設けることである(請求項3の発明)。こうすれば、同一の円周上に配置した3つ以上のローラによって、その円周の中心、即ちローラの周回中心にハウジングの端部の中心を合わせることができる。
その場合に、より好ましいのは、前記3つ以上のローラを、それぞれの転動軸線が周回中心線に直交する平面上にて半径方向に延びるように配置するとともに、各ローラの加工面を、前記周回中心線に近づくほど小径となる先窄まり状とすることである(請求項4の発明)。こうすれば、各ローラの先窄まりの加工面に接触するハウジングの端部が、その加工面の回転に連れて自然にローラの周回する円周上に近づくように移動するので、そのハウジングの軸心をローラの周回中心線にスムーズに合わせることができる
り好ましいのは、そうしてハウジングの心合わせをした後に、そのハウジングを保持する保持具を下方に押圧し、ばね部材の付勢力に抗して支持台に当接させることにより、当該保持具の支持に対する変位を規制することである(請求項の発明)。こうすれば、簡単な構成によって保持具の変位を規制し、これに保持されているハウジングの軸心をローラの周回中心に合致した状態に保つことができる
以上のように、本発明に係る防振マウントの製造装置によると、防振マウントのハウジングにおいてローラにより直接、折り曲げられる端部の位置をそのローラ自体により修正して、当該端部におけるハウジングの軸心をローラの周回中心に合わせることにより、防振マウントのハウジングの端部におけるマウント本体のかしめの状態を周方向に略均一化して、接合強度を安定的に確保することができる。
以下、本発明の実施形態を図面に基いて説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
図1〜7は、本発明に係るロールかしめ装置(防振マウントの製造装置)の実施形態を示す。この装置は、自動車用エンジンマウントの製造工程でそのワークWをかしめるためのものであり、図1、2に全体の構成を概略的に示すように、左右一対のサイドフレーム1,1と、その上下方向の中間部位において昇降可能に設けられた昇降テーブル2(支持台)と、この昇降テーブル2上に配置されてワークWを保持する保持具3と、この保持具3の上方に離間してフレーム1の上部に配置されたかしめユニット4と、を備えている。
−マウントMの構造−
ここで、エンジンマウントの一例を図3に示すと、この実施形態のマウントMは、図示しないブラケットにより車体側(荷重の支持側及び被支持側のいずれか一方)に連結される連結金具A(連結部)と、この連結金具Aの外周を離間して取り囲む円筒状のハウジングHとを備えている。連結金具Aは、ハウジングHの下端側(軸心Cの方向の他側)から突出した状態で、該ハウジングHに対しその軸心C方向に変位可能なように、ゴム弾性体Rによって連結されている。このゴム弾性体Rと連結金具Aとによって、エンジンマウントMの本体部(マウント本体)が構成される。
前記連結金具Aの下端面には、車体側ブラケットの取付ボルトが螺入されるボルト孔a1が開口しており、このボルト孔a1の軸心(図ではハウジングの軸心Cと合致)が概略マウント本体の軸心になる。一方、ハウジングHの上端側(軸心C方向の一側)の外周には板状のブラケット部h1(連結部)が突設されており、その厚み方向に貫通する孔部h2に図示しないボルトが挿入されて、エンジン側(支持側及び被支持側の他方)に連結されるようになっている。
図示の如くゴム弾性体Rは、下側に向かって窄んだ円錐状とされて、ハウジングHの上部内周と連結金具Aの上部外周とを連結しており、その上部には円筒状の補強金具r1が埋め込まれている。この補強金具r1には上端から半径方向外方に折り曲げられて延び、ゴム弾性体Rの外周面から突出するフランジが設けられており、このフランジがハウジングHの上端面における内周寄りの部位に重ね合わされている。
また、前記ゴム弾性体Rは上方に開口する中空部を有しており、その中空部の開口を閉ざすようにして、ハウジングHに上方からオリフィス盤OとゴムダイヤフラムDとが取り付けられている。このダイヤフラムDの外周寄りの部位は相対的に厚肉に形成されて、オリフィス盤Oの外周全体を覆っており、そこにも円筒状の補強金具d1が埋め込まれている。この補強金具d1には下端から半径方向外方に折り曲げられて延び、ダイヤフラムDの外周面から突出するフランジが設けられており、このフランジが前記ゴム弾性体Rの補強金具r1のフランジに上方から重ね合わされている。
そうしてハウジングHの上端に重ね合わされた2つのフランジは、該ハウジングHの上端外周側において全周に亘って上方に延出する延出部(図に破線で示す)を内周側に折り曲げてなる円環状の折曲部h3によって、上方からかしめられている。すなわち、この例ではエンジンマウントMのハウジングHの上端部を折り曲げて、マウント本体の外周縁(補強金具r1のフランジ)をかしめるようにしており、その際に、ダイヤフラムDの外周縁(補強金具d1のフランジ)も一緒にかしめるようにしている。
また、そうしてハウジングH上端にかしめられたダイヤフラムDによりゴム弾性体Rの中空部が閉ざされて液室w1とされ、この液室w1がオリフィス盤Oによって下方の主液室と上方の副液室とに区画されている。これら主液室及び副液室は、オリフィス盤Oの外周寄りの部位に螺旋状に形成されたオリフィスo1によって互いに連通されており、その内部を流通する液体の抵抗によって振動を減衰させるようになっている。
尚、図には液封入タイプのマウントMを示したが、これに限らず、例えば図のものからオリフィス盤OとダイヤフラムDとを取り去った構造の液封入タイプでないマウントがワークWであってもよい。
−昇降ユニット−
前記のようなマウントMのワークW(かしめる前のもの)を載せて上昇、下降する昇降テーブル2は、装置フレーム下部のベース板5に取り付けられた送り機構6によって移動される。すなわち、送り機構6は、左右のサイドフレーム1,1の下部を橋渡しするように架設されたベース板5を貫通して、上下に直線的に延びるシャフト60(ねじ軸)と、そのベース板5の上面に回転可能に配置されたナット61(ボールナット)と、を備えたボールねじからなり、そのナット61の外周には歯付プーリが一体的に設けられている。
前記ナット61(歯付プーリ)には歯付ベルト62が巻回されており、このベルト62は、装置後方に配設された電動サーボモータ63側の歯付プーリ64(図2にのみ示す)にも巻回されている。そして、そのモータ63の作動により歯付ベルト62を介してナット61が回転されると、これに応じてシャフト60が軸方向(上下方向)に移動するようになっている。このようなサーボモータ63の作動によるシャフト60の送り制御は、後述するが、図2に模式的に示すコントローラ70によって行われる。
前記送り機構6のシャフト60の上端は、ロードセル65を介して、昇降テーブル2の主板20の下面に接合されている。この主板20は、平面視で矩形状の本体部とその左右両側に繋がる台形状部とからなる異形の6角形状であり、図4に拡大して示すように、その本体部の4隅には、それぞれ下方に延びるように連結柱21,21,…が取り付けられている。各連結柱21,21,…の下端はそれぞれ、主板20の下方に所定の間隔を空けて並設された矩形状の副板22の4隅に締結されている。この副板22の中央部には厚み方向に貫通する大径の丸穴22aが開口し、ここに前記送り機構6のシャフト60の上部が挿通されている。
また、昇降テーブル2の主板20における左右の台形状部をそれぞれ貫通して、上下に伸びるようにガイドシリンダ23,23が配設されている。この左右のガイドシリンダ23,23は、それぞれの外筒23a,23aが前記主板20に貫通状態で固定されており、この各外筒23a,23aにそれぞれ摺動自在に内挿された内筒23b,23bの下端が前記ベース板5の上面に締結される一方、各内筒23b,23bの上端はそれぞれ、フレーム1,1の上部に架設された支持板8の下面に締結されている。
斯かる構成により、送り機構6のサーボモータ63が作動して、シャフト60が上下に移動すると、その上端に連結された昇降テーブル2(主板20)が左右のガイドシリンダ23,23に案内されて、上下に平行移動するようになる。この昇降テーブル2が最下位置付近にあるときに、その上の保治具3は、ワークWをセットしやすいように作業者の腰くらいの高さに位置付けられる。一方、最上位置付近ではワークWの上部にかしめユニット4のローラ40,40,…が当接し、それをかしめるようになる。
−保持具−
前記のような昇降テーブル2の上方に離間して、ワークWの載置される載置板30が配設され、その上面に配設された治具31と共に保持具3を構成している。前記図4の他、図5にも示すように、載置板30は、この例では略矩形状であり、その4隅からそれぞれ下方に延びるように円柱状の脚部30a,30a,…が設けられている。この脚部30a,30a,…は、それぞれ、昇降テーブル2の主板20を貫通する丸穴20a,20a,…に遊嵌状態で挿入されて、コイルばね24,24,…を介して副板22に対し支持されている。
すなわち、前記載置板30の脚部30a,30a,…には、それぞれ、前記主板20の丸穴20a,20a,…を貫通した下方にて拡径部が形成され、この拡径部よりも下側の部位にコイルばね24,24,…の上部が外挿されている。このコイルばね24,24,…の下部は、昇降テーブル2の副板22の上面4隅にそれぞれ上方に向けて突設されたピンに外挿されている。
斯かる構成により載置板30は、コイルばね24,24,…の付勢力によって昇降テーブル2の主板20の上方に離間した状態(正確には主板20の本体部上面略中央部に配設された当接部材20bからも離間した状態)で、そのコイルばね24,24,…の伸縮により上下動可能に支持されるとともに、各脚部30aの外周面と主板20の丸穴20aの内周面との間に隙間があることで、水平方向の任意の向きに変位可能になっている。
そのように昇降テーブル2に対して変位可能に支持された載置板30上に、ワークWの種類に応じて準備される位置決め用の治具31が配設されている。この治具31は、前記図5に示すように、ハウジングHの下端部を支持するとともに、該ハウジングHのブラケット部h1に形成された孔部h2に嵌入されるハウジング側係合ピン(係合部)31aと、連結金具Aのボルト孔a1に嵌入される本体側係合ピン31b(係合部)と、を備え、該連結金具A及びブラケット部h1の相対的な位置関係を決めるようになっている。
そうして連結金具AとハウジングHのブラケット部h1との相対的な位置関係を正確に決めるのは、スペースに余裕の少ない自動車のエンジンルーム内でエンジンが揺れたときに、周囲の部材との干渉を防止する上で重要なことである。また、本体側係合ピン31bは、その軸心が、後述するカシメユニット4におけるローラ40,40,…の周回中心線Zと合致するように位置付けられており、この係合ピン31bが連結金具Aのボルト孔a1に嵌入されることで、このボルト孔a1の軸心、即ちマウント本体の軸心が前記ローラ40,40,…の周回中心と合致するようになっている。
−かしめユニット−
再び図1、2を参照すると、上述の如くワークWのセットされる治具31の真上には、所定の間隔を空けてかしめユニット4が配設されている。この実施形態のかしめユニット4は、上下方向に延びる共通の周回中心線Zの周りを3つのかしめローラ40,40,…がそれぞれ転動しながら周回するように構成されており、それら3つのローラ40,40,…をそれぞれハウジングHの上端部に押し当てて、転動させつつ周回させることにより、そこに折曲部h3(図3参照)を形成するためのものである。
すなわち、図6に拡大して示すように、3つのローラー40,40,…は、共通の周回中心線Zの周りに互いに周方向に離間して(図の例では略等間隔に離間して)、それぞれの転動軸線x,x,…が水平面(周回中心線Zに直交する平面)上において半径方向に延びるように配置されている。各ローラ40には、その転動軸線xの方向で周回中心線Zに近い側(周回中心線Zを中心とする内周側)に、当該周回中心線Zに近づくに連れて小径となる先窄まりの加工面40aが形成される一方、反対側には支軸40bが延びていて、これが軸支部材41により回転自在に支持されている。
前記ローラ40,40,…の軸支部材41,41,…は、それぞれ周回中心線Zに対し半径方向に延びるブロック状の連結部材42,42,…を介して、円筒部材43に連結されており、この円筒部材43と一体に周回中心線Zの周りを周回するようになっている。その円筒部材43の上部と各連結部材42,42,…の上部とがそれぞれドーナツ状の回転盤44の下面に固定されており、それらが一体となって周回中心線Zの周りに回転することで、ローラ40,40,…が共通の経路(円周)上を周回するようになっている。
前記のような構成のかしめユニット4は、装置の天井部から吊り下げられるようにして設けられている。すなわち、図1、2に示すように装置の天井部には、サイドフレーム1,1の上端部間を橋渡しするように天板9が架設され、それを貫通する状態で固定されたスリーブ45にベアリングを介して回転筒46が回転自在に支持されている。この回転筒46は、図2に断面で示すようにスリーブ45に内挿されて上下両方に突出しており、その下方の突出部が相対的に大径とされている。
そうしてスリーブ45を介して天板9に取り付けられた回転筒46の下端が、前記かしめユニット4の回転盤44の上面に溶接により固定される一方、スリーブ45の上端から上方に突出する回転筒46の上端部には一体に回転するようにギヤ47が取り付けられている。このギヤ47は、装置後方に配設された電動モータ48の出力ギヤ49(図2にのみ示す)と噛み合っており、電動モータ48の出力を受けて回転筒46を、即ちかしめユニット4を回転させるようになっている。このような電動モータ48の作動によるかしめユニット4の回転制御も、コントローラ70によって行われる。
−ワーク押さえ機構−
前記のようにかしめユニット4を回転させる回転筒46には、図2に示すように、ワーク押さえ機構のシャフト50が軸方向に進退可能に内挿されている。すなわち、図示の如く回転筒46の中空部の下端はかしめユニット4の回転盤44の中心孔に連通し、さらにその下方の円筒部材43内にも連通しており、それらを貫通して、即ちローラ40,40…の周回中心線Zに沿って上下方向に、前記シャフト50が延びている。このシャフト50の下端には、図6や図7にも示すように、ワークWの上部を押さえるための押さえ治具51が配設され、一方、シャフト50の上端には、それを上下方向に移動させるエアシリンダ52のロッドが連結されている。
前記エアシリンダ52は、装置の天板9に対してブラケット53により固定されていて、図示しないが、電磁切替バルブを介して高圧エア供給ラインに接続されている。そして、詳しくは後述するが、昇降テーブル2が最上位置付近にあって、その上の保持具3により保持されたワークWの上部にカシメユニット4のローラ40,40,…が接触しているときに(図7参照)、前記エアシリンダ52の作動によりシャフト50が下降すると、その下端の押さえ治具51が、前記ローラ40,40,…の接触部位よりも内方でワークWの上部(ダイヤフラムDの上面外周寄りの部位)を下方に押圧する。
そうして上方からワークWが押圧されると、これを保持する保持具3、即ち治具31及び載置板30がコイルばね24,24,…を押し縮めながら下方に変位し、その載置台30の下面が昇降テーブル2の上面(正確にはその上の当接部材20bの上面)に押し付けられて、それ以上の下方への変位が阻止されるとともに、接触面の摩擦によって水平方向への変位も規制され、これによりワークWのかしめユニット4に対する相対的な位置が保たれるようになる。つまり、前記のシャフト50、押さえ治具51及びエアシリンダ52によって、かしめる際にワークWを押さえ付けて、その変位を規制するための押さえ機構が構成されている。
−かしめ装置の作動制御−
前記のようなエアシリンダ52の作動、即ちワーク押さえ機構の作動制御も、前記したかしめユニット4や送り機構6の制御と同様にコントローラ70によって行われる。すなわち、コントローラ70は、図2に模式的に示すように、昇降ユニット2の送り機構6のサーボシリンダ63に内蔵されたエンコーダからの信号と、該送り機構6のシャフト60(ねじ軸)の上端が接続されているロードセル65からの信号と、を少なくとも入力し、これらの信号に応じて、前記かしめユニット4の電動モータ48、ワーク押さえ機構のエアシリンダ52及び送り機構6のサーボシリンダ63の作動を制御する。
より具体的にコントローラ70は、まず、送り機構6によって昇降テーブル2を最上位置付近まで上昇させ、その上のワークWの上部(ハウジングHの上端)にかしめユニット4のローラ40,40,…を接触させた状態で、該かしめユニット4を回転させてそのローラ40,40,…を各々転動させつつ、ハウジングHの上端部に沿って周回させることにより、該ローラ40,40,…の周回中心線ZにハウジングHの軸心Cを合わせる調心制御部70a(調心手段)を備えている。
また、コントローラ70は、前記のようにしてローラ40,40,…の周回中心線ZにハウジングHの軸心Cを合わせた上で、押さえ治具51によりワークWを押さえ付けて、その変位を規制する変位規制制御部70bを備えており、この変位規制制御部70bと前記押さえ治具51を含むワーク押さえ機構とによって、変位規制手段が構成されている。
さらに、コントローラ70は、前記のようにワークWの変位を規制したまま、昇降テーブル2をさらに上昇させるとともに、かしめユニット4を回転させて、ローラ40,40,…をハウジングHの上端部に沿って周回させることにより、当該端部の外周側延出部(図3に破線で示す)を内周側に折り曲げて、折曲部h3を形成する曲げ加工制御部70c(曲げ加工手段)を備えている。その際、曲げ加工制御部70cは、ロードセル65からの信号に基づいてワークWに作用する軸心方向の荷重を検出する。
尚、前記調心制御部70a、変位規制制御部70b及び曲げ加工制御部70cは、いずれもコントローラ70によって所定の制御プログラムが実行されることにより、具現化されるものであり、換言すれば、コントローラ70は、前記各制御部70a〜70cをソフトウエアプログラムの形態で備えている。また、コントローラ70は、図示は省略するが、タッチパネルディスプレーを備えた操作盤を介して作業者の操作入力を受け入れるとともに、このディスプレーに装置の作動状態に関する情報を表示するようになっている。
−マウントの製造手順−
次に、エンジンマウントの製造手順について説明する。この実施形態のマウントMでは、まず、連結金具A及び補強金具r1を金型にセットするとともに、ゴム弾性体R及びゴム層となる所定量の未加硫ゴム組成物も金型にセットし、それらを加熱及び加圧してマウント本体を加硫一体化成形する。この際、連結金具A及び補強金具r1にはゴムとの接触部位に加硫接着剤を塗布しておく。
そうして得られたマウント本体(ゴム弾性体R及び連結金具A)をハウジングHに対し上方から嵌め入れ、その上にオリフィス盤O及びダイヤフラムDを載せて、ハウジングHの上端面における内周寄りの部位にゴム弾性体Rの補強金具r1及びダイヤフラムDの補強金具d1のそれぞれのフランジを重ね合わせる。こうして得られたワークWを、図1、2及び5等に示すように、最下位置付近にある昇降テーブル2上の保持具3に、即ち載置板30上の治具31にセットする。
そのように昇降テーブル2が最下位置付近にあるときには、その上の保持具3は作業者の腰くらいの高さに位置しており、上方のかしめユニット4との間隔も十分に大きいから、ワークWのセットは容易である。そして、図5に示すように、ハウジングHのブラケット部h1の孔部h2には、治具31のハウジング側係合ピン31aが嵌め入れられ、一方、連結金具Aのボルト孔a1には治具31の本体側係合ピン31bが嵌め入れられることで、連結金具A及びブラケット部h1の相互の位置関係が予め決められたものになる。
このとき、連結金具Aの軸心、即ちマウント本体の軸心は、かしめユニット4におけるローラ40,40,…の周回中心線Zに合致するとともに、ハウジングHのブラケット部h1との相対的な位置関係が決まることになるから、少なくとも該ハウジングHの寸法公差の分、その軸心Cは前記周回中心線Zからずれることになる。よって、仮にそのままの状態でかしめが行われると、そのかしめの状態がハウジングHの上端部において周方向に異なるものとなってしまい、接合強度が低下する虞れがある。
これに対し、この実施形態のロールかしめ装置では、まず、コントローラ70の調心制御部70aによる送り機構6の作動制御によって、昇降テーブル2がその最上位置付近の予め設定した高さまで上昇して一旦、停止する。このとき、保持具3に保持されたワークWの上部(ハウジングHの上端部)は、かしめユニット4の3つのローラ40,40,…の加工面40a,40a,…に接触する一方、該保持具3(載置台30及び治具31)を昇降テーブル2上に離間するように保持するコイルばね24,24,…は適度に圧縮されて、その付勢力によりハウジングHの上端部とローラ40,40,…とが適度の接触状態に保たれるようになる。
そして、その状態で前記調心制御部70aにより電動モータ48が作動されて、かしめユニット4が回転することにより、3つのローラ40,40,…はそれぞれハウジングHの上端部に沿って転動しながら、周回する。そうすると、前記のようにローラ40,40,…の加工面40a,40a,…に対し適度の接触状態とされているハウジングHの上端部は、その加工面40a,40a,…の先窄まり形状に従って自然にローラ40,40,…の周回経路である円周上に近づくようになる。つまり、当該ハウジングHの軸心Cがローラ40,40,…の周回中心線Zに近づくことになる。
そうしてローラ40,40,…の周回中心線ZにハウジングHの軸心Zが合わされた状態で、変位規制制御部70bによるエアシリンダ52の作動制御が行われ、押さえ治具51が下降してワークWを下方に押圧する。これにより、該ワークWの載置されている載置板30がコイルばね24,24,…の付勢力に抗して下方に変位し、その下面が昇降テーブル2の主板20(当接部材20b)の上面に押し付けられて、その変位が規制されるようになる。つまり、前記のようにワークWのハウジングHの軸心Cがローラ40,40,…の周回中心線Zに合致した状態に保たれる。
その上で、曲げ加工制御部70cによる前記電動モータ48及びサーボモータ63の作動制御によって、昇降テーブル2がさらに上昇するとともに、かしめユニット4が回転されて、そのローラ40,40,…が各々ハウジングH上端外周の延出部(図3に破線で示す)を所定の力で押圧しながら、当該ハウジングHの上端部に沿って転動しつつ周回するようになる。これにより延出部は漸次、ハウジングHの内周側に折り曲げられて折曲部h3を形成し、ダイヤフラムDの補強金具d1及びゴム弾性体Rの補強金具r1のそれぞれのフランジをかしめる。
尚、前記曲げ加工制御部70cは、前記のようにハウジングH上端外周の延出部を折り曲げる際に、ロードセル65からの信号に基づいてワークWに作用する軸心方向の荷重を検出し、この検出値に応じて、例えば過荷重がかからないようにサーボモータ63の制御を行うことができる。
そして、前記のようにしてハウジングHの上端に折曲部h3が形成されて、これによりダイヤフラムDの補強金具d1及びゴム弾性体Rの補強金具r1のそれぞれのフランジがかしめられることで、ハウジングH内のゴム弾性体Rがしっかりと固定されるとともに、その上に固定されたダイヤフラムDによってゴム弾性体Rの中空部が閉ざされる。この閉ざされた中空部に封入孔d2(図3参照)から所定量の液体を注入した後、該封入孔d2を密閉すれば、液封マウントMが完成する。
したがって、この実施形態に係るロールかしめ装置によると、エンジンマウントMの本体部であるゴム弾性体R及び連結金具Aの一体成形品を、円筒状のハウジングHに上方から嵌め入れて、両者を相互に位置決めした状態で保持具3により保持するとともに、このハウジングHにおいてローラ40,40,…により直接、折り曲げられる上端部の位置をそのローラ40,40,…自体により修正して、当該端部の中心(ハウジングHの軸心C)をローラ40,40,…の周回中心線Zに合わせ、そうして心の合った状態で押さえ付けてかしめるようにしたから、このかしめの状態をハウジングHの上端部において周方向に略均一化し、接合強度を安定的に確保することができる。
特にこの実施形態では、かしめユニット4に3つのローラ40,40,…を備え、それらを周回経路である円周上に等間隔に配置するとともに、その各々の加工面40a,40a,…を前記周回中心線Zに向かって窄まる形状としたから、ハウジングHの上端部を前記ローラ40,40,…の先窄まり状の加工面40a,40a,…に沿ってスムーズに移動させて、その軸心Cを周回中心線Zに近づけることができる。
しかも、その際に前記ハウジングHの上端部は、保持具3と昇降テーブル2との間のコイルばね24,24,…によって、適度な付勢力でローラ40,40,…の加工面40a,40a,…に押し付けられ、それらが適度の接触状態に保たれるから、そのローラ40,40,…の加工面40a,40a,…に沿ってハウジングHの上端部をスムーズに移動させることができる。
尚、本発明に係る防振マウントの製造装置の構成は、前記実施形態のものに限定されず、その他の種々の構成をも包含する。例えば前記の実施形態では、かしめユニット4に3つのローラ40,40,…を備え、これらを周回経路である円周上に等間隔に配置しているが、必ずしも等間隔でなくてよいし、ローラ40,40,…は1つ、2つ、或いは3つ以上であってもよい。
また、前記かしめユニット4では、ローラ40,40,…を、それぞれの転動軸線xが周回中心線Zに直交するように配置しているが、これに限るものではない。但し、ローラ40の転動軸線xと周回中心線Zとのなす角度が45°以下になると、ローラ40に加わるスラスト荷重が大きくなり過ぎるので、それは45°よりも大きい方がよく、60°以上であることが好ましい。同様に、ローラ40の加工面40amp形状も、前記実施形態のような先窄まりのものには限定されない。
さらに、前記実施形態では、昇降テーブル2の上方にかしめユニット4を固定しているが、これに限るものではなく、固定したテーブルに対してかしめユニットを接近、離隔させるように構成してもよい。
以上、説明したように、本発明は、防振マウントの製造工程においてハウジングの端部を折り曲げて、マウント本体の外周縁をかしめる際に、そのハウジングの軸心をローラの周回中心に合わせることによって、かしめの状態を均一化し、接合強度を安定的に確保することができるので、有用である。
本発明の実施形態に係るロールかしめ装置の全体構成を示す正面図である。 同ロールかしめ装置を向かって右側から見た部分断面図である。 エンジンマウントの一例を示す縦断面図である。 昇降テーブルを前方斜め下方から見た斜視図である。 保持具の構成を示す拡大部分断面図である。 かしめユニットを前方斜め下方から見た斜視図である。 保持具により保持したワークをかしめユニットによりかしめる様子を前方斜め上方から見た斜視図である。 従来のロールかしめ装置によるかしめの概念図である。
M,W マウント(ワーク)
A 連結金具(マウント本体の連結部)
C ハウジングの軸心
H ハウジング
h1 ブラケット部(ハウジングの連結部)
R ゴム弾性体(マウント本体)
x ローラの転動軸線
Z ローラの周回中心線
1 サイドフレーム(装置フレーム)
2 昇降テーブル(支持台)
20 主板
22 副板
24 コイルば
3 保持具
30 載置台
31 治具
31a ハウジング側係合ピン(係合部)
31b 本体側係合ピン(係合部)
4 かしめユニット
40 ローラ
40a 加工面
50 シャフト(変位規制手段)
51 押さえ治具(変位規制手段)
53 エアシリンダ(変位規制手段)
70 コントローラ
70a 調心制御部(調心手段)
70b 変位規制制御部(変位規制手段)
70c 曲げ加工制御部(曲げ加工手段)

Claims (5)

  1. マウント本体を円筒状のハウジングに軸心方向の一側から嵌め入れて、該ハウジングの一側の端部にローラを押し当てて転動させつつ、この端部に沿って周回させることにより、当該端部を折り曲げてマウント本体の外周縁をかしめるようにした防振マウントの製造装置において、
    前記マウント本体及びハウジングを相互に嵌め合わされた状態で位置決めして保持する保持具と、
    前記保持具によって保持されたハウジングの上方に離間して、前記ローラを転動自在に且つ前記ハウジングの軸心の周りに周回可能に保持してなるかしめユニットと、
    前記保持具を、前記ハウジングの軸心に直交する任意の方向に変位可能に支持する、装置フレーム側に取り付けられた支持と、
    前記かしめユニット及び支持の少なくとも一方を相互に接近するように移動させ、ハウジングの端部に接触させたローラを転動させつつ周回させることで、このローラの周回中心にハウジングの軸心を合わせる調心手段と、
    前記調心手段によってローラの周回中心にハウジングの軸心を合わせた状態で、前記保持具の支持に対する変位を規制する変位規制手段と、
    前記変位規制手段によって保持具の変位を規制した状態で、前記支持とかしめユニットとを接近させながらローラを転動及び周回させて、ハウジングの端部を折り曲げる曲げ加工手段と、を備え
    前記保持具は、前記支持台の上方に離間するように、該支持台にばね部材によって取り付けられており、
    前記保持具の上方に離間して前記かしめユニットが配置されていることを特長とする防振マウントの製造装置。
  2. マウント本体には、荷重の支持側及び被支持側のいずれか一方に連結される連結部が、また、ハウジングには、前記支持側及び被支持側の他方に連結される連結部が、それぞれ設けられ、
    保治具は、前記マウント本体及びハウジングのそれぞれの連結部に各々係合する位置決めのための係合部を有することを特徴とする請求項1に記載の防振マウントの製造装置。
  3. かしめユニットには、3つ以上のローラが共通の周回経路となる円周上において互いに周方向に離間して設けられていることを特徴とする請求項1又は2のいずれかに記載の防振マウントの製造装置。
  4. かしめユニットの各ローラは、それぞれの転動軸線が周回中心線に直交する平面上にて半径方向に延びるように配置され、
    前記各ローラの加工面は、前記周回中心線に近づくほど小径となる先窄まり状とされていることを特長とする請求項3に記載の防振マウントの製造装置。
  5. 変位規制手段は、保持具を下方に押圧し、ばね部材の付勢力に抗して支持台に当接させるものであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の防振マウントの製造装置。
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