以下、図を用いて本発明の実施の形態を詳細に説明する。
図1は、本発明が適用された実施形態の電子部品実装装置50を上方から見た平面図であり、図2は、このII部拡大図である。
この図において、電子回路基板1には、装着ヘッド53に取り付けられる図示されないノズルに部品を吸着し、実装していく。又、電子回路基板1は、搬送レール68を備えた基板搬送位置決め部69により、図中左右方向に搬入又搬出され、上記実装に際しては定位置に位置決めされる。
前記搬送レール68を介して互いに対向する位置に、2つの部品供給装置10が配置される。これら部品供給装置10は、電子部品実装装置本体51に対して、分離・連結可能とし、交換可能とされている。
装着ヘッド53は、X軸位置決め部55に取り付けられ、該X軸位置決め部55によって、図中矢印Xにより示される方向に往復移動可能であり(X軸移動)、又位置決め可能である。又、該X軸位置決め部55は、ボールスクリュー62を通したナット、及びボールスクリュー63を通したナットに取り付けられている。従って、該X軸位置決め部55に取り付けられる装着ヘッド53は、サーボモータ65によりボールスクリュー62を回転させ、且つサーボモータ66によりボールスクリュー63を回転させることで、図中矢印Yにより示される方向に往復移動可能であり(Y軸移動)、又位置決め可能である。
このようにX軸移動及びY軸移動を適宜行い、又適宜装着ヘッド53においてノズルを上下動させて(Z軸移動)、図2のII部拡大図に示される該当の部品吸着位置13において部品を吸着し、電子回路基板1へと実装していく。又、特許文献1の技術が適用され、このような実装作業中にも部品供給装置10は、電子部品実装装置本体51に対して分離・連結可能となっている。
図において符号52は、電子部品実装装置本体51の基準点である。後述する部品吸着位置13など、電子部品実装装置50で部品搭載動作を行なうためのプログラムにおける位置は、該基準点52を基準として示される。
図3は、本実施形態における電気駆動方式の部品供給装置10の側面図である。図4は、該部品供給装置10において、テープリール12に巻かれ、実装時に吸着する部品をその長手方向に配列したテープを、該吸着に伴って順次送り出すためのスプロケット・ホイール7周辺の側面図である。図5は、スプロケット・ホイール7が繰り出している治具テープ3の上面図である。この治具テープ3は、スプロケット・ホイール7の回転の所定回転停止位置での停止時の、キャリア・テープ2の停止位置の位置ずれ量(ばらつき)を測定する際に、キャリア・テープ2に代えて用いる、ステンレス製のものである。
まず、図3に示す電気駆動方式の部品供給装置10は、テープリール12に巻かれたキャリア・テープ2の長手方向に配列された部品を順次吸着し、電子回路基板に実装していく電子部品実装装置本体51に対して、該吸着の部品を供給する部品供給装置10において、テープフィーダ11は、部品の供給に伴って、テープリール12に巻かれたキャリア・テープ2を順次繰り出し、部品を順次繰り出す駆動力となる部品供給駆動モータ15を備える。該部品供給駆動モータ15は、パルス・モータとも呼ばれるステッピング・モータが用いられている。
次に、図4において、左方にテープリール12が存在し、右方に部品吸着位置13が存在する。又、キャリア・テープ2は、部品供給に伴い順次、左方のテープリール12から、図中右方へと繰り出される。下方からキャリア・テープ2に接する、部品供給駆動モータ15(図3参照)によって回転駆動されるスプロケット・ホイール7の外周部には、その外側に向けて、等間隔で多数のスプロケットピン7aが形成されている。又、スプロケットピン7aは、スプロケット・ホイール7がキャリア・テープ2に接する位置で、キャリア・テープ2のスプロケット・ホール3a(図5参照)に引っ掛かり、これにより、部品供給駆動モータ15による駆動力が、スプロケット・ホイール7からキャリア・テープ2に及び、キャリア・テープ2が図中右方へと繰り出される。
ここで、スプロケット・ホイール7の所定回転停止位置でのキャリア・テープ2の位置ずれ量を測定する際には、図4において、電子部品実装装置本体51に部品を供給するキャリア・テープ2に代えて、治具テープ3が用いられる。該治具テープ3の長さは、スプロケット・ホイール7の周長より十分長いもので、該スプロケット・ホイール7の回転と共に、テープリール12側から送り込まれるが、通常、該治具テープ3はテープリール12に巻かれているものではない。
スプロケット・ホイール7の外周部において、スプロケットピン7aの間隔は、キャリア・テープ2における、又、図5で符号3aで示すような治具テープ3における、スプロケット・ホール3aの間隔と等しくなっている。なお、キャリア・テープ2のものも治具テープ3のものも、スプロケット・ホールは、以下、スプロケット・ホール3aと呼ぶ。
キャリア・テープ2において、又、治具テープ3において、該スプロケット・ホール3aは、テープ長手方向に等間隔に配列されている。
まず、キャリア・テープ2では、通常、スプロケット・ホール3aが1つに対して、部品が埋め込まれる矩形切り込み(部品封入穴)が1つあるいは2つ、テープ長手方向に等間隔で配列されている。この矩形切り込みは、テープ幅方向の辺長が、テープ長手方向の辺長より長い。
ここで、本実施形態において、スプロケット・ホイール7の所定回転停止位置は、部品を1つずつ送り出す度にスプロケット・ホイール7の回転が停止する、この矩形切り込みにある該当の部品が前述の部品吸着位置13に送り出される回転位置である。
次に、治具テープ3では、スプロケット・ホール3aに対する相対的なこの矩形切り込みの位置には、図5に示すように、位置検出用マーク3bとして、小穴が開口されている。又、スプロケット・ホイール7が上記の所定回転停止位置で回転停止すると、1つの位置検出用マーク3bは、カメラ4の直下乃至は略直下の位置になる。
又、スプロケット・ホイール7には、中心6aを中心として、これと一体回転するように、スリット円板6が取り付けられている。該スリット円板6には、中心6aを中心とする円周上に配列されるように、複数のスリットが形成されている。部品を繰り出す際に、スプロケット・ホイール7やスリット円板6の回転が停止する位置毎に、各々が対応するように、これらスリットは形成されている。
又、これらスリットの該回転方向の長さ(以下スリット幅とも呼ぶ)は、複数種類となっている。
例えば、スリット円板6において、すべてのスリットが互いにスリット幅が異なる場合、即ち、スリットの数だけ、スリット幅の種類がある場合、特定回転位置のスリット幅を求めることで、スプロケット・ホイール7やスリット円板6の回転位置を検出し、その絶対位置を検出することができる。しかしながら、この場合、スリット幅の種類が非常に多くなり、この点で現実的ではない。
本実施形態では、2つのセンサ5A及びセンサ5Bを備える。これらセンサ5A及びセンサ5Bは、スリットの有無を、スリット円板6においてスリットが配列される円周上で、互いに異なる位置において検知する。なお、これらセンサ5A及びセンサ5Bは、それぞれ説明の便宜上、センサA、センサBとも称するものとする。
又、これらセンサ5A及びセンサ5Bを用いつつ、スリット円板6又スプロケット・ホイール7の回転中には随時、これらセンサ5A及びセンサ5Bの位置におけるスリット長を認識し、これらスリット長の組み合わせに基づいて、スプロケット・ホイール7の回転の絶対位置を判定するようにしている。これにより、スリット幅の種類を抑えながらも、スプロケット・ホイール7においてスプロケットピン7aがある回転位置の、絶対位置を認識することができるようにしている。
なお、本実施形態では、部品供給駆動モータ15の最小回転量は、スプロケットピン7aの間隔の400分の1程度になっている。この最小回転量は、ステッピング・モータである部品供給駆動モータ15が、1つのパルスで動作する回転量である。
ここで、スプロケット・ホイール7の外周部に、本来等間隔にあるべきスプロケットピン7aの、該外周部における周方向の位置のばらつきなどによって、該スプロケット・ホイール7により位置決めされたキャリア・テープ2又治具テープ3の停止位置は、図4における左右方向にばらつきが存在する。又、該ばらつきによって、部品吸着位置13に繰り出される部品の位置がばらつくことになる。ここで、該ばらつきは、スプロケット・ホイール7外周部の、それぞれのスプロケットピン7aに固有になっている。
本実施形態では、該ばらつきは、テープフィーダ11においてキャリア・テープ2に代えて治具テープ3を通し、図4に示すように、治具テープ3の上方から、カメラ4により撮影された画像に基づいて、測定するようになっている。具体的には、カメラ4により撮影される、治具テープ3上の図5に示すような位置検出用マーク3bの位置により、今回の部品を繰り出したスプロケットピン7aの歯番号に対応する吸着位置の位置ずれ量を補正値として取得する。
ここで、吸着の度に、カメラ4により撮影し該ばらつきを測定して、該測定結果に従って、装着ヘッド53のノズルの位置を補正しながら部品を吸着するようにしてもよい。しかしながら、この場合には、カメラ4の撮影又測定に時間を要する。
このため、本実施形態では、予め、スプロケット・ホイール7外周部のスプロケットピン7a毎に、カメラ4により撮影し該ばらつきを測定して、該測定結果を部品供給装置10側に保存するようにしている。
次に、図6は、本実施形態において、スプロケット・ホイール7を部品供給駆動モータ15により駆動する機械機構を示す側面図である。
部品供給駆動モータ15が、その回転軸15aを回転させる駆動力は、該回転軸15aに取り付けられた歯車15b、該歯車15bに歯合する中継歯車32、該中継歯車32と一体回転する中継歯車33、該中継歯車33に歯合する中継歯車34、該中継歯車34に歯合する中継歯車35を回転させる。これにより、部品供給駆動モータ15の駆動力は、該中継歯車35と一体回転する、スリット円板6及びスプロケット・ホイール7を回転させるようになっている。
図7は、本実施形態のスプロケット・ホイール7及びスリット円板6周辺の側面図である。
この図に示すように、スプロケット・ホイール7の外周部には、45個のスプロケットピン7aが設けられている。又、これらスプロケットピン7aに対応し、スリット円板6には、45個のスリット6bが形成されている。スリット円板6は、部品供給駆動モータ15によって駆動され回転するスプロケット・ホイール7と一体で回転する。
45個のスリット6bのそれぞれの付近には、これらスリット6bを互いに区別するため、「1」〜「45」の連番が順に刻印されている。これら連番は、後述する歯番号に対応する。又、この図7において示されるように、スリット6bは、いずれも、スリット円板6の外周に設けられた凹部であり、その周方向(回転方向)の長さは複数種類となっている。
図8は、本実施形態における部品供給装置10の制御構成を示すブロック図である。
この図において、電子部品実装装置50の全体的な制御を行なう部品実装動作制御部57は、電子部品実装装置本体51側に設けられ、部品供給装置10における部品実装動作を制御するものである。これに対して、回転動作制御部27、現回転位置検出装置20、モータ回転制御部28、部品供給駆動モータ(M)15は、部品供給装置10側に設けられている。又、現回転位置検出装置20は、センサ5A及びセンサ5Bに加えて、スリット幅測定処理部22、23、回転位置判定処理部25を備えている。
部品を順次吸着し、電子回路基板1に実装していく際、必要な部品を繰り出す必要がある場合、部品実装動作制御部57は、回転動作制御部27に対して、その部品を繰り出す指示をする信号を出力する。すると、回転動作制御部27は、部品を1個繰り出すだけ部品供給駆動モータ15を回転させるための数のパルスを、モータ回転制御部28に対して出力する。モータ回転制御部28は、回転動作制御部27から入力されるパルス数だけ部品供給駆動モータ15を回転させるための、ステッピング・モータの駆動制御を行なう。
ここで、回転動作制御部27が出力する上記のパルスは、スリット幅測定処理部22、23にも入力されている。これらスリット幅測定処理部22、23は、センサ5A及びセンサ5Bからの信号によりスリット有りを検出中に、回転動作制御部27から入力されるパルス数を積算し、積算されたパルス数から、現時点で検出されているスリットの長さ(スリット幅)を求めるようにしている。
なお、センサ5A及びセンサ5Bの出力は、後述する図12に示すように、スリット有りで立ち下がり、スリットなしで立ち上がる。
次に、回転位置判定処理部25は、これらスリット幅測定処理部22、23が求めたスリット長に基づいて、これらスリット長の組み合わせから、前記スプロケット・ホイールの回転の絶対位置を判定するようにしている。該判定の絶対位置は、本実施形態では、スプロケット・ホイール7の外周部にある個々のスプロケットピン7aを区別するために、これらスプロケットピン7aに付される連番として、部品実装動作制御部57に対して出力される。
ここで、図9は、スリット円板6の第1例において、各歯番号のスプロケットピン7aと、センサ5A及びセンサ5Bそれぞれで検出されるスリット幅Lとの対応表である。又、図10は、該第1例における、センサ5Aのスリット幅に対するセンサ5Bのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表であり、図11は、センサ5Bのスリット幅に対するセンサ5Aのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表である。図12は、該第1例における、スプロケットピン7aの歯番号が「45」から「2」までの動作を示すタイムチャートである。
まず、以下の説明において、スプロケット・ホイール7の回転量や、スリット円板6の回転量は、これら回転と同時に送り出される、キャリア・テープ2又は治具テープ3の送り量Lによってあらわす。スリット円板6に形成されたスリット幅(スリット長)も、該スリット幅だけスリット円板6を回転させる際(回転量)、該回転と同時に送り出される、キャリア・テープ2又は治具テープ3の送り量Lによってあらわす。
又、スプロケット・ホイール7においてスプロケットピン7aが引っ掛けられるスプロケット・ホール3aの、キャリア・テープ2又は治具テープ3における間隔は4mmとする。従って、部品を1つ送り出す際に、キャリア・テープ2が送り出される送り量L、スプロケット・ホイール7の回転量や、スリット円板6の回転量は、いずれも4mmとなる。
そして、スプロケット・ホイール7の外周部に形成されるスプロケットピン7aには、順に、歯番号を付する。この歯番号の順は、部品を繰り出す際の、スプロケット・ホイール7の正回転に対して、昇順であっても、降順であってもよく、特に限定されるものではない。スリット円板6の第1例及び第4例では、この歯番号の順は昇順であり、第2例及び第3例では降順になっている。
又、スプロケット・ホイール7の回転の現位置は、キャリア・テープ2又は治具テープ3のスプロケット・ホール3aに引っ掛かっている、スプロケットピン7aの歯番号で表わすものとする。そして、センサ5Aで検出中のスリットは、該検出中にスプロケット・ホール3aに引っ掛かっているスプロケットピン7aと同じ歯番号となるように、スリット円板6の全スリットには、順に、歯番号を付する。なお、該センサ5Aとは取付け位置が異なるセンサ5Bでは、該検出中、別の歯番号のスリットを検出することになる。
又、以下において、センサ5A及びセンサ5Bを用いてスリット幅を求める際、そのセンサ5A又はセンサ5Bで検出中のスリットは、上述のように、該検出中のスリットに付された歯番号で表わすものとする。以下に説明する種々の表についても、各センサ5A又はセンサ5Bで検出中のスリットは、該検出中のスリットに付された歯番号で表わすものとする。
図9〜図12において、まず、スリット円板6の第1例では、スリット幅は、0.1mm間隔で0.5mmから1.9mmまで、合計15種類となっている。スプロケット・ホイール7の外周部には、スプロケットピン7aが合計45個形成されており、外周部は、4×45=180mmとなる。
これら45個のスプロケットピン7aには、歯番号として、順に1〜45の番号を付する。そして、センサ5A及びセンサ5Bそれぞれで検出される、スリットの歯番号の組み合わせ、スリット幅Lの組み合わせは、図9に示すとおりとなる。なお、スリット幅Lの組み合わせは、スリットの種類の組み合わせとなり、又、センサ5Aで検出中のスリットの歯番号は、スプロケット・ホイール7の回転の現位置を示す歯番号ともなる。
ここで、スリットを読み取りのタイミング間隔として、センサ5A及びセンサ5Bの配置間隔は、スプロケットピン7aが、6.5個分となっている。従って、センサ5Aに対して、センサ5Bは、6.5個分先の歯番号のスリット幅を読み取るものとなる。但し、図9、図10の一覧表では、便宜上、6個分先の歯番号のスリット幅を読み取るものとしている。
次に、図10では、「A」の項として、センサ5Aで検出される、0.5mmから1.9mmまでのスリット幅Lの種類毎に、「数」の項として、1枚のスリット円板6に出現する回数が、「B」の項として、その時にセンサ5Bが検出するスリット幅Lの種類が示されている。
図11では、「B」の項として、センサ5Bで検出される、0.5mmから1.9mmまでのスリット幅Lの種類毎に、「数」の項として、1枚のスリット円板6に出現する回数が、「A」の項として、その時にセンサ5Aが検出するスリット幅Lの種類が示されている。
合計45個のスプロケットピン7aに対して、スリット幅Lの種類は、合計15種類となっている。従って、スリット円板6の第1例では、スリット幅Lの各種類は、スリット円板6上のスリット配列において、2〜4回出現することになる。そして、センサ5A及びセンサ5Bで検出されるスリット幅Lの種類の組み合わせにより、45個のスプロケットピン7aを区別し、いずれの歯番号のスプロケットピン7aが、キャリア・テープ2又は治具テープ3に接しているか識別するようになっている。
例えば、図12のタイムチャートでは、センサ5A及びセンサ5Bでは、スリット幅の検出タイミングが、スプロケットピン7aの6.5個分だけずれており、センサ5Aに対してセンサ5Bは、便宜上6個分先の歯番号のスリット幅を読み取ることになる。
すると、この図12において、歯番号「45」のスプロケットピン7aが、キャリア・テープ2又は治具テープ3に接し、これに対応し、センサ5Aが歯番号「45」のスリット幅(1.6mm)を読み取っている際、センサ5Bは、歯番号「6」のスリット幅(1.3mm)を読み取ることになる。歯番号「1」のスプロケットピン7aが、キャリア・テープ2又は治具テープ3に接し、これに対応し、センサ5Aが歯番号「1」のスリット幅(0.5mm)を読み取っている際、センサ5Bは、歯番号「7」のスリット幅(1.7mm)を読み取ることになる。
なお、図9〜図11の対応表においても、センサ5Aが歯番号「45」のスリット幅(1.6mm)を読み取っている際には、センサ5Bは、歯番号「6」のスリット幅(1.3mm)を読み取ることが示されている。センサ5Aが歯番号「1」のスリット幅(0.5mm)を読み取っている際には、センサ5Bは、歯番号「7」のスリット幅(1.7mm)を読み取ることになる。
ここで、本実施形態の作用を説明すると、部品供給装置10において部品を繰り出した際の、吸着位置の位置ずれ量は、スプロケットピン7aの歯番号毎にカメラ4を用いて予め測定し、部品供給装置10側に保存しておく。吸着位置の位置ずれ量は、スプロケット・ホイール7のスプロケットピン7a毎に固有となっている。
又、実際の生産時には、今回の部品を繰り出したスプロケットピン7aの歯番号を識別し、該歯番号に従って、上記のように部品供給装置10側に保存されている吸着位置の位置ずれ量を読み出し、該ずれ量に従った補正をしつつ、部品を吸着する。
そして、ここで、カメラ4による測定の際にも、又、実際の生産の際にも、部品を繰り出した時の、スプロケット・ホイール7のスプロケットピン7aの歯番号は、以下のように認識する。
部品を繰り出す際、キャリア・テープ2を送り出すように、回転動作制御部27は、該送り出しに必要な回転量だけ回転するように、モータ回転制御部28に対してパルス信号を出力する。該パルス信号は、該回転量に比例する数のパルスが連続する信号である。
すると、該モータ回転制御部28は、該パルス信号に応じて部品供給駆動モータ15を駆動し、部品供給駆動モータ15が、該パルス信号で示される必要な回転量だけスプロケット・ホイール7を回転する。
スプロケット・ホイール7が回転すると、スリット円板6も回転し、センサ5A及びセンサ5Bは、それぞれスリットの有無を検知し、これをスリット幅測定処理部22、23に出力する。
スリット幅測定処理部22、23は、センサ5Aやセンサ5Bからの信号によりスリット有りを検出中、回転動作制御部27から入力されるパルス数を積算することで、スリット幅Lを求めることができる。
回転位置判定処理部25は、これらスリット幅測定処理部22、23から入力されるスリット幅Lの組み合わせにより、キャリア・テープ2に接しているスプロケット・ホイール7のスプロケットピン7aの歯番号を認識する。回転位置判定処理部25には、図9に示した表が記憶され、この表を用いて、検出されたスリット幅Lの組み合わせから、スプロケット・ホイール7の回転の現位置を示す歯番号を認識することができる。
回転位置判定処理部25は、センサ5A及びセンサ5Bに亘り検出される3つ目の立ち下がりエッジまでに、現在の歯番号を認識することができ、該エッジの後、部品は正規の吸着位置まで送り出され、部品供給駆動モータ15が停止する。
該回転位置判定処理部25は、該認識の歯番号の通知の信号と共に、次の部品の繰り出しが完了すると、該完了の信号を部品実装動作制御部57に出力する。これにより、部品実装動作制御部57は、部品を繰り出した時の、スプロケット・ホイール7のスプロケットピン7aの歯番号を認識することができる。この後には、繰り出した部品の吸着位置の位置ずれ量を、カメラ4を用いて測定したり、あるいは、実際の生産時には、今回の部品を繰り出したスプロケットピン7aの歯番号に対応する吸着位置の位置ずれ量を補正値として読み出して、該ずれ量に従った補正をしつつ、部品を吸着したりすることになる。
なお、カメラ4を用いて、繰り出した部品の吸着位置の位置ずれ量を測定する際には、2mm送りで、全てのスプロケット・ホイール7のスプロケットピン7aの補正値、又全てのスプロケットピン7a間の補正値を測定し、部品供給装置10側に記憶させる。
なお、電源投入時には、まず、センサ5A及びセンサ5Bがいずれもスリットなしを検出するまで、部品供給駆動モータ15を逆回転する。部品供給駆動モータ15のこの逆回転は、キャリア・テープ2をテープリール12に巻き戻す回転方向である。又、正回転は、テープリール12からキャリア・テープ2を繰り出す回転方向である。
そして、該逆回転後、これらセンサ5A及びセンサ5Bに亘り2つ目の立ち上がりエッジまで、部品供給駆動モータ15を正回転駆動することで、現回転位置検出装置20は、キャリア・テープ2に接しているスプロケットピン7aの歯番号を認識することができる。該認識の後には、電源投入時の最初の位置まで、スプロケット・ホイール7の回転位置を戻すように、部品供給駆動モータ15を回転駆動するようにしてもよい。このような動作により、生産開始時には、キャリア・テープ2に接しているスプロケットピン7aの歯番号を認識し、該歯番号に応じた補正値を取り込んだ制御が可能となる。
以上に説明したスリット円板6の第1例と同様に、スリット円板6の第2例において、図13は、各歯番号のスプロケットピン7aと、センサ5A及びセンサ5Bそれぞれで検出されるスリット幅Lの対応表である。又、図14は、センサ5Aのスリット幅に対するセンサ5Bのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表であり、図15は、センサ5Bのスリット幅に対するセンサ5Aのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表である。図16は、センサ5A及びセンサ5Bのスリット幅の組み合わせのブロック分けを示す割り当て表である。
スリット円板6の第2例では、スリット幅は、0.1mm間隔で0.8mmから2.2mmまで、合計15種類となっている。スプロケット・ホイール7の外周部には、スプロケットピン7aが合計45個形成されており、外周部は、4×45=180mmとなる。この第2例では、スプロケット・ホイール7に対するスリット円板6の機械的な取り付けが逆回転になっているため、図13は、これに応じて、歯番号は降順となっている。
次に、スリット円板6の第3例において、図17は、各歯番号のスプロケットピン7aと、センサ5A及びセンサ5Bそれぞれで検出されるスリット幅Lの対応表である。又、図18は、センサ5Aのスリット幅に対するセンサ5Bのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表であり、図19は、センサ5Bのスリット幅に対するセンサ5Aのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表である。図20は、センサ5A及びセンサ5Bのスリット幅の組み合わせのブロック分けを示す割り当て表である。
スリット円板6の第3例では、スリット幅は、0.1mm間隔で0.5mmから1.9mmまで、合計15種類となっている。スプロケット・ホイール7の外周部には、スプロケットピン7aが合計45個形成されており、外周部は、4×45=180mmとなる。この第3例では、スプロケット・ホイール7に対するスリット円板6の機械的な取り付けが逆回転になっているため、図17は、これに応じて、歯番号は降順となっている。
続いて、スリット円板6の第4例において、図21は、各歯番号のスプロケットピン7aと、センサ5A及びセンサ5Bそれぞれで検出されるスリット幅Lの対応表である。又、図22は、センサ5Aのスリット幅に対するセンサ5Bのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表であり、図23は、センサ5Bのスリット幅に対するセンサ5Aのスリット幅の組み合わせを示す割り当て表である。図24は、センサ5A及びセンサ5Bのスリット幅の組み合わせのブロック分けを示す割り当て表である。
スリット円板6の第4例では、スリット幅は、0.1mm間隔で0.5mmから1.9mmまで、合計15種類となっている。スプロケット・ホイール7の外周部には、スプロケットピン7aが合計60個形成されており、外周部は、4×60=240mmとなる。
以上に説明したスリット円板6の第2例〜第4例についても、センサ5A及びセンサ5Bそれぞれで検出されるスリット幅Lの組み合わせにより、スプロケット・ホイール7の外周部に形成された、全てのスプロケットピン7aを互いに識別することができ、これにより、スプロケット・ホイール7の回転の絶対位置を識別することができる。
ここで、スリット円板6において、それぞれの歯番号のスプロケットピン7aに対応させて、いずれのスリット幅Lのスリットとするか、スリット円板6のスリット設定は、種々の手法が考えられる。本願発明はこれを限定するものではなく、センサ5A及びセンサ5Bで検出されるスリット幅Lの組み合わせが、異なる歯番号同士で重複しなければよい。
例えば、スリット幅が合計15種類で、スプロケット・ホイール7の外周部にはスプロケットピン7aが合計45個形成されている場合、以下のようにスリット円板6のスリット設定を行なうことができる。
1.スリット幅Lが全部で15種類あるため、3つずつの5ブロックに分ける。例えば、スリット円板6の第2例〜第4例では、それぞれ、図16、図20、図24に示すように、3つずつの5ブロックに分ける。
2.センサAとセンサBの間隔は6.5あるので、センサAのスリット幅Lに対して6つずつずらしてセンサBのスリット幅Lをセットしながら、割り当て表を作成する。
3.センサAで検出される歯番号「1」から「6」に対して、スリット幅Lを割り当てていく。
4.センサAで検出される歯番号「7」からは、上記の2で作成した割り当て表を見て埋めていく。
5.次に来る歯番号の確認を行い(正転方向、逆転方向)、重複があればブロック内の3つの順序を変更して、重複のないようにする。
なお、以上において、スリット円板6の回転時に、スリット円板6に形成されているスリットの円周方向の長さを認識するセンサは、センサ5A及びセンサ5Bとして、2つ備えるものである。しかしながら、本発明はこのようなものに限定されるものではなく、1つであってもよく、3つ以上備えるようにしてもよい。又、このようなセンサの、スリットが配列される円周上における、配置位置について、複数備える場合には、相互の配置間隔についても、本発明は限定するものでない。
センサが1つでも、複数でも、センサの位置において検出されるスリット幅によって、複数備える場合には、検出されたスリット幅の組み合わせによって、スリット円板6やスプロケット・ホイール7の回転の絶対位置を求めることが可能である。
又、本発明は、スリット円板6におけるスリットの形態や、該スリットの有無を検出するセンサの形態についても、具体的に限定するものではない。
前述の実施形態では、図7のスリット6bのように、スリットは、スリット円板6の外周に形成した凹部であったが、スリット円板6に扇形窓を形成したものでもよい。凹部でも扇形窓でも、その検出は、光透過型のセンサを用いることができるが、スリット円板6が金属であれば、近接スイッチを該センサとして用いることも可能である。
あるいは、スリット円板6に扇形スリットを印刷し、これを光反射型のセンサを用いて検出するようにしてもよい。該印刷が磁性インクによるものであれば、磁気センサを用いて、印刷された扇形スリットを検出することも可能である。
なお、本実施形態において、治具テープ3の位置検出用マーク3bの形態については、特に限定されるものではない。該治具テープ3の位置検出用マーク3bは、カメラ4による撮影によってその位置や、位置ずれを求めることができるものであればよい。例えば、治具テープ3の位置検出用マーク3bの形状は、小穴の開口に限定されるものではなく、十文字などの模様の印刷であってもよい。又、本実施形態において、位置検出用マーク3bは、治具テープ3に設けているが、キャリア・テープ2に設けるようにしてもよい。
しかしながら、スプロケット・ホイール7の所定回転停止位置でのキャリア・テープ2の位置ずれ量を測定する際、本実施形態のように、キャリア・テープ2に代えて、専用の治具テープ3を用いることで、該測定の精度や安定性を向上することができる。特に、本実施形態では、治具テープ3は、ステンレス製であるので、経年変化が少なく、該測定の精度や安定性を維持し易くなる。又、治具テープ3をステンレス製とした場合には、位置検出用マーク3bは、カメラ4の撮影による認識がし易いものが容易に形成できる面で、本実施形態のような小穴の開口は有効である。