JP4992354B2 - 液滴吐出ヘッドの駆動方法及び液滴吐出装置 - Google Patents
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また、『ノズル孔4と、ノズル孔4に連通する吐出室6と、吐出室6の少なくとも一方の壁に形成された振動板5と、駆動電圧の印加により振動板5を静電気力により変形させる電極21とを備え、振動板5を電極21側に吸引させて吐出室6を膨張させる工程と、振動板5の吸引を解除して吐出室6を収縮させ、吐出室6のインクをノズル孔4から吐出させる工程と、吐出室6を収縮させている段階で、振動板5を電極21側に吸引して吐出室6を再び膨張させる工程と、吐出室6のインク103をノズル孔4から吐出させないように、振動板5を元の位置に復帰させて再膨張した吐出室6を収縮させる工程とを備えている。』というものも提案されている(特許文献2)。
一方で、インクジェットヘッドを適用した記録装置等においては、より駆動周波数を上げて動作速度をさらに高めることが求められている。
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたものであり、吐出させる液体をより積極的に加圧して、メニスカスの振動を迅速に抑えるとともに、駆動周波数を高めることのできる液滴吐出ヘッドの駆動方法、及びその駆動方法を用いて液滴吐出ヘッドを駆動する液滴吐出装置を得ることを目的とする。
そのため、液滴を吐出させた後のメニスカスの残留振動を素早く抑制し、液滴吐出後の復帰動作を迅速に行うことができる。これにより、液滴吐出ヘッドの駆動周波数を高めることが可能となる。
そのため、液滴を吐出させた直後に、メニスカスの残留振動と逆位相の振動を積極的に加えて、残留振動を素早く減衰させることができるので、駆動周波数をより高めることができ、高速動作が可能となる。
そのため、液滴を吐出させた後、最初にメニスカスの残留振動が最大となる時点で、残留振動と逆位相の振動を加えることができるので、残留振動を短時間で減衰させることができる。
そのため、第2ステップの後に残っている微小な残留振動を素早く減衰させることができる。
そのため、第2ステップの後、最初にメニスカスの残留振動が最大となる時点で、残留振動と逆位相の振動を加えることができるので、第2ステップの後の残留振動を短時間で減衰させることができる。
そのため、駆動電圧パルスの電圧値を緩やかに低下させたとしても、電圧値を基準値まで低下させるための時間が短くてすむので、電圧値を低下させる際のメニスカスの発生を抑制しつつ、短時間で待機状態に復帰することができる。
そのため、液滴を吐出させた後のインクメニスカスの残留振動を素早く抑制し、高速動作が可能な液滴吐出装置を得ることができる。
そのため、振動板と個別電極の間の空隙の広がりに合わせてコンプライアンスを大きくし、復元力を小さくすることができる。
これにより、空隙が広がることによる静電力の低下をカバーして、空隙が狭い部分と同じ静電力で当接を行い、また、一律に薄くするよりも固有振動数を小さくせずにすみ、低駆動電圧での駆動を行うことができる。
図1は、本発明の実施の形態1に係るインクジェットヘッド(液滴吐出ヘッドの一例)の概略構成を示す分解斜視図である。
図1のインクジェットヘッドは、電極ガラス基板1、キャビティプレート2、ノズルプレート3の3つの基板を貼り合わせた3層構造で構成されている。
電極ガラス基板1の上面にキャビティプレート2が接合され、キャビティプレート2の上面にノズルプレート3が接合される。
以下、各基板の構成について説明する。
これは、電極ガラス基板1とキャビティプレート2を陽極接合する際、両基板の熱膨張係数が近いため、電極ガラス基板1とキャビティプレート2との間に生じる応力を低減することができ、その結果剥離等の問題を生じることなく電極ガラス基板1とキャビティプレート2を強固に接合することができるからである。
電極ガラス基板1の表面には複数の凹部がエッチングにより形成されており、各凹部内には一般にITO(Indium Tin Oxide)からなる個別電極11が形成されている。
個別電極11は、長手方向に上下する階段状の段差構造を有しており、キャビティ基板2の振動板22に対向して配置される。
また、個別電極11は、個別電極配線部12を介して個別電極端子部13に接続されている。
インクキャビティ21は、ノズル31から吐出するインク室であり、それぞれのノズル31に対応して設けられている。
振動板22は、それぞれのインクキャビティ21の底部に、個別電極11に対向するように配置される。振動板22と個別電極11により、静電アクチュエータが構成される。静電アクチュエータの動作の詳細は、後述の図2で説明する。
共通インク室23には、図示しない外部のインク供給経路を介して、インクが供給される。
共通電極24には、後述のドライバIC309の共通出力端子COMが接続される。
ノズルプレート3には、インク吐出口であるノズル31が所定のピッチで複数設けられている。
各インクキャビティ21の底部には、面外方向に振動可能な振動板22が形成される。
振動板22と、それぞれの振動板22に対向して配置される個別電極11とにより、静電アクチュエータが構成される。
振動板22と個別電極11との間のギャップ開放端部は、ギャップ内に湿気や埃等が進入しないようエポキシ樹脂等の封止剤101で気密に封止されている。
個別電極11に印加する駆動電圧パルスの電圧値により、振動板22が個別電極11に当接する段が異なる。
段差の深い部分で振動板22を個別電極11に当接させるためには、より大きなクーロン力を発生させる必要があるため、個別電極11に印加する駆動電圧パルスの電圧値を大きくする。
一方、段差の浅い部分で振動板22を個別電極11に当接させる場合は、より低い電圧値で十分である。
以下、図3を用いて、本実施の形態1におけるインクジェットヘッドの制御動作を説明する。
図3に示すインクジェットヘッドの制御系は、CPU302aを中心に構成されたインクジェットヘッド制御部302を備えている。
CPU302aには、外部装置303からバス303aを介して印刷情報が供給される。また、内部バス302bを介して、ROM304a、RAM304b、キャラクタジェネレータ304cが接続されている。
制御信号は、論理ゲートアレイ305および駆動パルス発生回路306を介して、印刷情報に対応した駆動制御信号となって、コネクタ307を経由して、ヘッド基板308に形成されたドライバIC309に供給される。
また、ドライバIC309には、印字用の駆動電圧パルスV3、駆動信号DI、制御信号LP、極性反転制御信号REV、基準伝送クロックXSCLやGNDなども供給される。
共通出力端子COMの出力と個別出力端子SEGの出力との電位差が、各ノズル31に対応した各振動板22と、それぞれに対向する個別電極11との間に印加される。
駆動時(インク吐出時)には指定された向きの駆動電位差波形を与え、非駆動時には駆動電位差を与えないようになっている。
図4の縦軸は、個別電極11に印加する電圧、横軸は時間を表す。また、本実施の形態1では、共通出力端子COMの電圧は、GNDとしている。
個別電極11に印加する電圧を低い順に説明すると、振動板22が対向する個別電極11の1段目(最深部11e)に当接する電圧をV1、2段目に当接する電圧をV2、3段目に当接する電圧をV3、4段目(最浅部11d)に当接する電圧をV4、となる。
個別電極11と振動板22の距離が離れる(電極間空隙距離が大きくなる)に従い、高い電圧値となっている。
個別電極11に印加する駆動電圧パルスの電圧値をGNDレベルからV4に上げて、振動板22と個別電極11からなる静電アクチュエータに電荷を充電し、振動板22と個別電極11を最深部11eで当接させる。
(2)時刻t1〜t2
駆動電圧パルスの電圧値をV4に保持して、振動板22を個別電極11の最深部11eで当接させたまま保持する。
(3)時刻t2〜t3
インクキャビティ21内の液体圧力が負圧から正圧に変化したタイミングの時刻t2にて、駆動電圧パルスの電圧値をV2まで下げて、静電アクチュエータの電荷を一部放電させる。
(4)時刻t3〜t4
駆動電圧パルスの電圧値をV2で保持し、振動板22が個別電極11の1段目と2段目に当接している状態を保持する。
振動板22の当接状態は、インク液滴吐出後のノズルでのインクメニスカスが最もインクキャビティ21側に引き込む時刻t4まで保持される。
(5)時刻t4〜t5
駆動電圧パルスの電圧値をGNDレベルまで下げて、振動板22を当接状態から完全に解放する。
(6)時刻t5〜t6
駆動電圧パルスの電圧値をGNDレベルで保持する。
(7)時刻t6〜t7
振動板22の自由振動により、個別電極11と振動板22の空隙が最も遠くなる直前の時刻t6で、電圧値V1の駆動電圧パルスを再度印加し、静電アクチュエータを再度充電して、個別電極11の1段目と振動板22を当接させる。
(8)時刻t7〜t8
駆動電圧パルスの電圧値をV1で保持する。
(9)時刻t8〜t9
駆動電圧パルスの電圧値をGNDレベルまで緩やかに下げて、静電アクチュエータの電荷を緩やかに放電し、振動板22を個別電極11との当接状態から解放する。
なお、図5は図2に示す全ての構成要素を示しているのではなく、符号とともに一部略記していることを付言しておく。
以下、各図に付した番号に沿って説明する。
区間(1)における時刻t1では、振動板22を個別電極11の最深部11eで当接している。
この区間(1)では、図示しない供給口からインクキャビティ21にインクが流入するとともに、ノズル31においては、振動板22が引き込まれることで生じる圧力変動により、インクメニスカスが待機位置からインクキャビティに引き込まれる。
(3)時刻t3
区間(3)における時刻t3では、振動板22の復元力とインクの圧力により、ノズル31からインク液滴が吐出する。
(4)時刻t4
ノズル31からインク液滴が吐出した後、インクメニスカスは残留振動によりインクキャビティ21側に引き込む。インクメニスカスが最もインクキャビティ21側に引き込む時刻をt4とする。
(5)時刻t5
振動板22を当接状態から完全に解放することにより、振動板22の復元力でインクキャビティ内のインクを押し上げて、インク吐出後にインクキャビティ21側に引き込んだインクメニスカスを強制的に待機位置まで押し戻す。
(6)時刻t5〜t6
区間(6)では、インクキャビティ21内のインクの残留振動に追従させて、振動板22を自由振動させる。
(7)時刻t6
時刻t6では、個別電極11と振動板22の空隙が最も遠くなっている。また、インクメニスカスは、残留振動により待機位置よりもインク吐出方向に突出している。
この時点で、電圧値V1の駆動電圧パルスを再度印加することにより、メニスカスの残留振動の逆位相となる圧力を加えて、インクメニスカスの残留振動を抑制する。
(8)時刻t7
インクメニスカスの残留振動はほぼ安定する。以後は、時刻t8まで駆動電圧パルスの電圧値をV1で保持した後、区間(9)で緩やかに電圧値を下げて、振動板22とインクメニスカスを待機状態に戻す。
区間(9)において、駆動電圧パルスの電圧値を低下させる前の値が、最も低い電圧値レベルのV1であるため、電圧値を緩やかに低下させても、GNDレベルに復帰させるのにさほど時間を要しない。そのため、電圧値を低下させる際のメニスカスの発生を抑制しつつ、短時間で待機状態に復帰することができる。
次に、上記の効果について、従来のインクジェットヘッドの駆動方法との比較の観点から説明する。
従来の駆動電圧パルス波形においては、振動板22の当接を解放する際に、本発明のように静電アクチュエータの電荷を一部解放するのではなく、完全に解放する。その後、振動板22は自由振動する。
振動板22が自由振動し、個別電極11に最も近づいた時点で、再度駆動電圧パルスを印加して、振動板22を再度当接させる。このときの電圧値は、最初のパルスの電圧値よりも低く設定する。
次に、振動板22を所定時間当接させ、インクメニスカスの残留振動を減衰させる。
振動板22を所定時間当接させた後は、電圧値を緩やかに低下させ、振動板22の当接を解放する。
このように、従来の駆動電圧パルス波形は、インク液滴の吐出後に、振動板22を再度個別電極11と当接させて保持し、インクメニスカスの残留振動を自然に減衰させるものである。
これに対し、本発明における駆動電圧パルス波形では、図4〜図5で説明したように、区間(5)や(7)でインクメニスカスの残留振動と逆位相の振動を積極的に加えることにより、残留振動を素早く減衰させることができるので、駆動周波数をより高めることができ、高速動作が可能となるのである。
特許文献2の駆動方法は、インク液滴が吐出されている最中に、逆電圧の駆動電圧パルスを印加して振動板22を再度吸引することにより、インク液滴を途中で切断し、吐出量を制御するものである。
これは、インク液滴の吐出量制御を目的とするものであり、本発明とは目的が異なるものである。また、インクメニスカスの残留振動は、駆動電圧パルスを緩やかに低下させる過程で減衰させるものであり、本発明のように、インクメニスカスの残留振動と逆位相の振動を積極的に加えるものではない。
同じく、駆動電圧パルスの電圧値レベルも、V1〜V4の4レベルに限られるものではなく、段差構造に合わせて適宜設定すればよい。
駆動電圧パルスの電圧値が高ければ、振動板22の振動が大きくなり、インク吐出圧力も増すため、インクキャビティ21内のインク圧力変動を大きくしてインクを強く吐出させたい場合には、駆動電圧パルスの電圧値の変動を、上記の値よりも大きくするように制御することもできる。
インク吐出圧力の要求値は、インクの粘度や気温、インク残量等によって変動する。例えば、インク残量が少なくなるとインク排圧が低下するため、インク残量をセンサにより検知してインクジェットヘッドの制御系に通知し、これに基づき駆動電圧パルスの電圧値を制御することも可能である。
さらには、図4では正方向のみの駆動電圧パルス波形を示したが、インクジェットヘッドの制御系の回路構成により逆方向の駆動電圧パルスを印加する場合であっても、同様の駆動方法を用いることができる。
図7は、本発明の実施の形態2に係るインクジェットヘッドの側断面図である。
図7に示すインクジェットヘッドは、図2と同様の構成を有するが、振動板22の長手方向の構造が異なっている。その他の構造は実施の形態1と同様であるため、説明を省略する。
具体的には、個別電極11に対抗している面は平面状に形成されるとともに、インクキャビティ21側の面は、個別電極11の最深部11eに対応する部分の板厚が最も薄く、最浅部11dに対応する部分の板厚が最も厚く形成されている。
これにより、空隙が広がることによる静電力の低下をカバーして、空隙が狭い部分と同じ静電力で当接を行い、また、一律に薄くするよりも固有振動数を小さくせずにすみ、低駆動電圧での駆動を行うことができる。
図8は、本発明の実施の形態3に係るインクジェットプリンタ(液滴吐出装置の一例)の構成を示すものである。
図8のインクジェットプリンタは、記録紙801を副走査方向Yに向けて搬送するプラテン802と、このプラテン802にインクノズル面が対峙しているインクジェットヘッド(図示せず)と、このインクジェットヘッドを主走査方向Xに向けて往復移動させるためのキャリッジ803と、インクジェットヘッドの各ノズルにインクを供給するインクタンク804とを有している。
プラテン802から主走査方向Xに外れた位置には、ノズルキャップ805が配置されており、このノズルキャップ805はインクポンプ806を介して廃インク回収部807に連通している。
インクジェットヘッド及びその駆動方法は、実施の形態1〜2で説明した構造及び駆動方法を用いることができる。
例えば、光スイッチ、ミラーデバイス、レーザプリンタのレーザ操作ミラーの駆動部等においても、実施の形態1〜2で説明した駆動方法を適用することが可能である。
Claims (5)
- 液滴を吐出するノズル孔に連通する吐出室と、
前記吐出室の底部に形成され、段差構造を有する振動板、前記振動板に所定のギャップを介して対向配置され、前記振動板の段差構造に対応した段差構造を有する個別電極、を有する静電アクチュエータと、
前記アクチュエータに電圧を印加して静電気力を発生させる駆動手段と、を備え、
前記振動板の段差構造は、前記個別電極の最深部に対応する部分の板厚を最も薄く形成し、前記個別電極の最浅部に対応する部分の板厚を最も厚く形成しており、
前記駆動手段により前記静電アクチュエータに電圧を印加し、前記振動板と前記個別電極の最深部の一部とを当接させる第1ステップと、
前記静電アクチュエータの電荷を一部放電させ、前記振動板と前記個別電極の最深部の一部との当接を解放し、液滴を前記ノズル孔より吐出させる第2ステップと、
前記第2ステップの後に発生したメニスカスの残留振動が減衰し、前記メニスカスが最も引き込むまでの間、前記一部放電時の電圧値で保つ第3ステップと、を有することを特徴とする液滴吐出ヘッドの駆動方法。 - 前記第3ステップの後、電圧を下げ、前記振動板と前記個別電極との当接を解放する第4ステップと、
前記第4ステップの後の前記振動板の振動により、前記振動板と前記個別電極の間隔が最も開く時点の直前に、前記一部放電時の電圧値より小さい電圧値で再度電圧を印加し、前記振動板と前記個別電極の最浅部の一部とを当接させる第5ステップと、を有することを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。 - 前記個別電極の最深部は、前記個別電極の長辺方向の中央部にあることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
- 前記個別電極の段差構造は、前記個別電極の長辺方向について、端部から中央部にいくにしたがい振動板との対向によりできる空隙が広がっていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法。
- 前記駆動手段は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドの駆動方法を用いて前記液滴吐出ヘッドを駆動することを特徴とする液滴吐出装置。
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