JP4990470B2 - かみそり刃およびその製造方法 - Google Patents

Description

【０００１】
本発明は、毛剃り用かみそり刃、並びに、その製造に用いられる素材（stock material）、その製造方法および製造装置に関する。
【０００２】
かみそり刃は一般に、加工ラインに沿って移動されながら硬化処理（焼き入れ）されて鋭利に研がれた素材の連続的なストリップから作られる。そして、ストリップは、個々のカートリッジの製造に使用されるブレード（刃）の長さの部分品に分割される。
【０００３】
ある種の適用においては、複数のブレードが屈曲した支持体の上に支持される。それらの支持体は、毛剃り中に上下動するよう、カートリッジのハウジング内にスライド自在に取り付けられる。例えば、図１は、ハウジング１４内にスライド自在に取り付けられた複数のブレード１２を有するカートリッジ１０を示し、図２は、１つの支持体１６上のブレード１２を示している。これらの適用例においては、複数のブレード１２同士が互いに重なり合うことはできず、従って刃先１８から後縁２０までの寸法「ａ」が小さくなっている。しかし、ストリップ材料およびブレードの部分品は、加工中に正しく固定・保持すると共にブレードの支持体に対して取り付けるために、刃先から後縁まで十分な長さを有していなければならない。
【０００４】
それゆえ、ブレードがその刃先から後縁までの望ましい小さな寸法を有することができるようにするため、ブレードの材料の一部を製造および取付けの後に取り除くことが必要となる。ある種の適用においては、図３に示すように、ブレードの前方部分２４をブレードの支持体に対して取り付けた後、ブレードの後方部分２２を前方部分２４に対して６０度〜９０度折り曲げることによって、その後方部分２２が取り除かれる。図３は、ブレード１２を支持体１６に対して取り付けるのに使用されるスポット溶接部２６も示している。一般に、取り付けられたブレードの部分品における、後方部分を取り除いた後の後縁２０には、上反り部分（upturned portion）が存在する。ある種の場合、後方部分２２を取り除くのは容易ではない。
【０００５】
１つの局面において、本発明は概して、毛剃り用かみそり刃の製造に用いられる延長された素材を特徴付ける。この素材は、延長された平坦な金属のストリップであって、その長さに沿って延びる前縁と後縁とを有するストリップで出来ている。この素材は、前記前縁に沿って延びる、鋭利に研がれた刃先部分と、前記前縁と前記後縁との間の弱め部分と、前記刃先部分と前記弱め部分との間のブレード部分と、前記弱め部分と前記後縁との間の取外し可能部分とを有している。
【０００６】
好適な実施形態においては、前記弱め部分は、前記ブレード部分および前記取外し可能部分に比べて減少された厚さを有する。前記弱め部分は、一側に第１のノッチ部分を有すると共に、他側に第２のノッチ部分を有する。前記ノッチ部分どうしが互いにオフセットされている。各ノッチ部分は、急斜面と漸進的な反り面とを有する。前記弱め部分は、前記前縁から前記後縁までの距離の４分の１から４分の３までの位置にある。
【０００７】
もう１つの局面において、本発明は概して、刃先部分を伴った前縁と、後縁とを有する金属ブレードを含んだ毛剃り用かみそり刃を特徴付ける。前記後縁は、弱め部分を伴い、前記弱め部分において折り曲げることで、前記弱め部分から取外し可能部分が取り外されるように構成される。
【０００８】
好適な実施形態においては、前記金属ブレードに取り付けられる支持部材を更に備える。前記支持部材は、ほぼ前記ブレードを通って延びる平面に対して９０度〜１３５度をなす平面に沿って延びるベース部分を有する。前記後縁は、前記取外し可能部分が前記弱め部分を有していないと仮定した場合よりも直線的な僅かな屈曲を有すると共に、上反り状の縁部に代わる丸隅形状を有する。
【０００９】
もう１つの局面において、本発明は概して、ハウジングと、このハウジングに取り付けられた１又は２以上のブレードとを備えた毛剃り用かみそりカートリッジを特徴付ける。前記ブレードは、刃先部分を伴った前縁と、弱め部分を伴った後縁とを有し、前記弱め部分において折り曲げることで、前記弱め部分から取外し可能部分が取り外されるように構成されている。
【００１０】
もう１つの局面において、本発明は概して、かみそり刃の製造方法を特徴付ける。その方法は、延長された平坦な金属のストリップであって、その長さに沿って延びる前縁と後縁とを有するストリップを用意する工程と、前記前縁に沿って延びる刃先部分が得られるよう、前記前縁を鋭利に研ぐ工程と、前記ストリップの前記前縁と前記後縁との間における前記ストリップの長さに沿った部分を弱めることで、前記ストリップに沿って延びる弱め部分と、前記刃先部分と前記弱め部分との間のブレード部分と、前記弱め部分と前記後縁との間の取外し可能部分とを得る工程とを備える。
【００１１】
好適な実施形態においては、前記弱める工程は、折り目を形成することで前記弱め部分を設けることを含む。前記弱める工程は、前記ストリップの一部を厚さが減少するように変形させることで前記弱め部分を設けることを含む。前記弱める工程は、前記ストリップの一側または両側に形成されたノッチを含む。前記延長された平坦なストリップを、２つのローラどうしの間に通すことで当該ストリップが変形される。前記変形させることは、前記延長された平坦なストリップを、２つのローラどうしの間に通すことを含み、前記２つのローラは、前記ストリップの一部が当該ローラどうしの間を通る際に変形され得るよう、互いに異なる輪郭を有すると共に、互いに十分に接近して配置されている。前記ストリップは、互いに分離した複数のブレードの部分品に切断される。各ブレードの部分品における前記ブレード部分は、それぞれの支持部材に取り付けられる。前記弱め部分において折り曲げることで、前記ブレード部分から前記取外し可能部分が分離される。
【００１２】
もう１つの局面において、本発明は概して、かみそり刃材料の製造装置を特徴付ける。この装置は、延長された平坦な金属のストリップであって、その長さに沿って延びる前縁と後縁とを有するストリップを連続的に供給する供給部と、この供給部からの前記平坦なストリップがそこに沿って移動するような加工ラインと、前記ストリップが通過する前記加工ライン上の研ぎステーションであって、前記前縁に沿って延びる刃先部分が得られるよう、前記前縁が鋭利に研がれる研ぎステーションと、前記ストリップが通過する前記加工ライン上の加工ステーションであって、前記ストリップの前記前縁と前記後縁との間における前記ストリップの長さに沿った部分を弱めることで、前記ストリップに沿って延びる弱め部分と、前記刃先部分と前記弱め部分との間のブレード部分と、前記弱め部分と前記後縁との間の取外し可能部分とが得られる加工ステーションとを含んでいる。
【００１３】
好適な実施形態においては、前記加工ステーションは、前記ストリップを間に通す２つのローラを含む。前記２つのローラは、前記ストリップの一部が当該ローラどうしの間を通る際に変形され得るよう、互いに異なる輪郭を有すると共に、互いに十分に接近して配置されている。各ローラは、大径部分と小径部分とを有し、一方のローラの前記大径部分が、他方のローラの前記小径部分とほぼ整列している。各ローラは、前記大径部分と前記小径部分との間に、前記小径部分よりも小さい直径の狭隘部分（thin portion）を有する。
【００１４】
本発明の種々の実施形態は、以下のような利点の１又は２以上を有し得る。まず、弱め部分の利用によって、ブレードの研ぎ加工や支持体への取り付けを容易にするような大きな幅を得ることができるだけでなく、最終的な毛剃り用かみそり刃の製造においては、刃先から後縁までの距離を小さくすることができる。また、弱め部分の利用によって、その弱め部分なしでは折り曲げによって分離することが困難であるような、より柔軟で耐食性の高い材料を使用することが可能となる。弱め部分によって、そのような弱めなしでは通常は折れて分断されないような、異なるタイプのブレード鋼や、様々な供給先から提供される鋼鉄を使用できるようになる。このことにより、一般的にはより分断が困難であるような、より厚さの小さい（例えば、現在使用されているような０．００３インチ（０．０５０８ｍｍ）に代えて０．００２インチ（０．０７６２ｍｍ）の）素材の使用が可能となる（すなわち、より薄い素材は、折れて分断されるよりは屈曲しやすくなるのである）。
【００１５】
本発明の１ないし２以上の実施形態の詳細は、添付の図面および以下の説明に記載されている。本発明のその他の特徴、目的および利点は、本明細書、図面および請求の範囲から明らかとなるであろう。
【００１６】
なお、添付の図面において、類似の参照符号は類似の要素を示している。
【００１７】
図４には、前方部分３４と後方部分３６との間に弱め部分３２を有するかみそり刃（ブレード）３０が示されている。その前方部分３４は、刃先３８を含んでいる。図５には、前方部分４４と後方部分４６との間に弱め部分４２を有するストリップ材料４０が示されている。弱め部分３２および４２は、オフセット部分を伴ったローラ同士の間に材料を通すことによって、加工中にストリップ材料４０に形成されるオフセット部分である。これらの弱め部分３２，４２は、ブレードの刃先から後縁までの距離の４分の１から４分の３までの位置にある。ストリップ材料の弱め部分４２（図５）は略直角なエッジ部分であるが、打抜き中に材料が平らにされる際、より丸められた状態となり、ブレード３０の弱め部分３２（図４）のような丸味を帯びたエッジ部分となる。
【００１８】
図６〜図８に示すように、（弱め部分４２を有しない）ストリップ材料４０が、ローラ５２，５４同士の間を通過する前に、ストリップガイド５０を通じて送り出される。各ローラは、両側面にガイドリング５６（図７）を有している。図８に示すように、上方のローラ５２は、ネック領域６４によって小径部分６２から離間された大径部分６０を有している。下方のローラ５４も同様に、ネック領域７０によって互いに離間された大径部分６６と小径部分６８とを有している。
【００１９】
各大径部分６０，６６は、それぞれ対応する小径部分６２，６８よりも０．００１インチ（０．０２５４ｍｍ）だけ大きい直径を有している。大径部分６０は、オフセット領域において大径部分６０の方が小径部分６８の縁部を越えて延出している点を除いて、ほぼ小径部分６８と整列するように配置されている。小径部分６２は、大径部分６６の方が僅かにオフセット領域内へ延出している点を除いて、ほぼ大径部分６６と整列するように配置されている。素材の厚さは約０．００３インチ（０．０７６２ｍｍ）であり、ローラ５２，５４同士の合せ部分の間隙も約０．００３インチ（０．０７６２ｍｍ）である。
【００２０】
図９に示すように、ブレード３０の弱め部分３２は、一側にノッチ部分７０を、他側にノッチ部分７２を、それぞれ有している。これらのノッチ部分７０，７２は、互いにオフセットされていると共に、それぞれ急斜面７４と漸進的な反り面７６とを有している。
【００２１】
図１０には、後方部分３６が取り外された後の、刃支持体７８に取り付けられたブレード３０が示されている。後方部分３６は、その部分３６を前方部分３４に対して約１０度だけ折り曲げることによって取り外される。有利なことに、ブレード３０の後縁８０は、上反り部分の代わりに丸隅（アール）形状を有している。弱め部分を用いることで、上反りを減らすことに加えて、弱め部分なしでは折り曲げによって分離できないような、より硬質なブレード材料を使用することが可能となる。
【００２２】
本発明の他の実施形態も、請求の範囲内に包含される。例えば、弱め領域を設けるために、オフセットされたノッチ状の折り目に加えて、他の折り目形成方法を用いることもできる。また、弱め領域を設けるために他の技術を用いることも可能である。例えば、弱め領域を設けるために、ストリップ材料の長さに沿って、材料を打ち抜いたり、レーザービームで切断したり、研磨加工で除去したりすることができる。また、カーバイド、セラミック、ダイアモンドのような硬質の切刃の工具（hard point tool）で溝削り加工や条痕切削加工（scoring）を行ってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図１】 毛剃り用かみそりカートリッジの斜視図。
【図２】 図１で使用される従来のかみそり刃を示す断面図。
【図３】 図２のかみそり刃を、加工中および取付時にブレードを係合するために用いられる後方部分の取り外し前の状態で示す断面図。
【図４】 弱め部分が設けられたかみそり刃を示す断面図。
【図５】 研がれる前の図４のブレードを作るのに用いられるかみそり刃素材を示す断面図。
【図６】 図５のストリップ材料における弱め部分を設けるのに用いられるローラの側面図。
【図７】 図６のローラに対するストリップ材料の送り出しを示す側面図。
【図８】 図６のローラをストリップ材料の断面と共に図式的に示す立面図。
【図９】 図４のブレードの弱め部分を詳細に示す部分断面図。
【図１０】 図４のかみそり刃を、支持体への取り付けおよび後方部分の取り外し後の状態で示す断面図。

Claims (11)

1. 毛剃り用かみそり刃の製造に用いられる延長された素材において、
   延長された平坦な金属のストリップ（４０）であって、その長さに沿って延びる前縁と後縁とを有するストリップと、
   前記前縁に沿って延びる、鋭利に研がれた刃先部分と、
   前記前縁と前記後縁との間の弱め部分（４２）と、
   前記刃先部分と前記弱め部分（４２）との間に延びるブレード部分（４４）と、
   前記弱め部分と前記後縁との間に延びる取外し可能部分（４６）と、
   を備え、
   前記弱め部分は、前記平坦な金属のストリップの一側に第１のノッチ部分（７０）を有しており、且つ、前記平坦な金属のストリップの他側に第２のノッチ部分（７２）を有しており、
   前記ノッチ部分どうしが、互いにオフセットされている
   ことを特徴とする素材。
2. 前記第１のノッチ部分（７０）及び前記第２のノッチ部分（７２）は、それぞれ、急斜面と漸進的な反り面とを有する
   ことを特徴とする請求項１に記載の素材。
3. 前記弱め部分（４２）は、前記ブレード部分（４４）及び前記取外し可能部分（４６）に比べて減少された厚さを有する
   ことを特徴とする請求項１に記載の素材。
4. 前記弱め部分（４２）は、前記前縁から前記後縁までの距離の４分の１から４分の３までの位置にある
   ことを特徴とする請求項１に記載の素材。
5. 延長された平坦な金属のストリップであって、その長さに沿って延びる前縁と後縁とを有するストリップと、
   前記前縁に沿って延びる、鋭利に研がれた刃先部分（３８）と、
   前記前縁と前記後縁との間の弱め部分（３２）と、
   前記刃先部分と前記弱め部分（３２）との間に延びるブレード部分（３４）と、
   前記弱め部分と前記後縁との間に延びる取外し可能部分（３６）と、
   を備え、
   前記弱め部分（３２）は、前記平坦な金属のストリップの一側に第１のノッチ部分（７０）を有しており、且つ、前記平坦な金属のストリップの他側に第２のノッチ部分（７２）を有しており、
   前記ノッチ部分どうしが、互いにオフセットされている
   ことを特徴とする毛剃り用かみそり刃（３０）。
6. 前記金属ブレードに取り付けられた支持部材（１６）
   を更に備えたことを特徴とする請求項５に記載の毛剃り用かみそり刃。
7. 前記支持部材（１６）は、ほぼ前記ブレードを通って延びる平面に対して９０度〜１３５度をなす平面に沿って延びるベース部分を有している
   ことを特徴とする請求項６に記載の毛剃り用かみそり刃。
8. ハウジング（１４）と、
   当該ハウジングに取り付けられた少なくとも１つの請求項５に記載のブレードと、
   を備えた毛剃り用かみそりカートリッジであって、
   前記取外し可能部分は、前記弱め部分において分離されて取り外される
   ことを特徴とするカートリッジ。
9. 各ブレードは、前記ハウジング（１４）に取り付けられる支持部材（１６）に対して取り付けられている
   ことを特徴とする請求項８に記載のカートリッジ。
10. 前記支持部材（１６）は、ほぼ前記ブレードを通って延びる平面に対して９０度〜１３５度をなす平面に沿って延びるベース部分を有している
    ことを特徴とする請求項９に記載のカートリッジ。
11. 前記後縁は、前記取外し可能部分が前記弱め部分を有していないと仮定した場合よりも直線的な僅かな屈曲を有すると共に、上反り状の縁部に代わる丸隅形状を有する
    ことを特徴とする請求項９に記載のカートリッジ。

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