JP4986602B2 - 舶用扉の施錠装置、およびそれを設けた舶用扉 - Google Patents
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このような条件下にあって、海賊対策の一つとして、また、船内に貯蔵された物品の盗難対策として、居住区内部より扉を施錠・解錠できる錠システムが色々提案されている。(例えば、特許文献1参照)。
また、海賊対策などで船内の居住区内部よりのみで扉を施錠・解錠可能とする錠システムでは、緊急時にCoast guard等による救出のための外からの解錠に対しては、必ずしも十分なるものではない。
上記に鑑み、本発明においては、通常の風雨密戸の開閉手段に加えて、海賊対策ばかりでなく、緊急時に対するセキュリティーをも十分に満足する舶用扉用の施錠装置、およびそれを設けた舶用扉を提供するところに、その目的がある。
1) 船舶用のヒンジ型舶用扉に対する施錠装置であって、該舶用扉を船体内外より同軸上のハンドルにより鎖錠、解錠を行う施錠部材とは別途に設けられており、立上がり部に固定起立された1本または複数のボルト・ナットにより舶用扉に直接係合される金具本体と、該金具本体の前記立上がり部に直交連接された金具本体の脚部に設けられたヒンジ軸を中心に180゜回転して舶用扉の施錠、解錠を船内からのみ可能とする反転式留め金とを有しており、
また、該反転式留め金の施錠、解錠状態を確実に保持するための係合手段を具え、且つ前記1本または複数のボルト・ナットは船外より特殊工具によってのみ締緩される締緩手段を有するものである。
2)また、上述の1)において、前記ヒンジ軸を金具本体の脚部に固定起立されたピン又はボルト・ナットとし、前記係合手段をヒンジ軸に並列起立されたボルト・ナットとしたものであり、
3)上述の1)または2)において、前記締緩手段を袋ナット方式とし、ナットを六角ナット以外の特殊多角形ナットとしたものであり、
4)上述の1)〜3)において、前記締緩手段を、常時には特殊多角形ナットを確認出来ない遮蔽手段および緊急時には実施例1のような方法により特殊多角形ナット位置を容易に確認可能とする明示手段を併設したものである。
5)上述の1)〜4)に記載の施錠装置を少なくとも1セット設けたことを特徴とするものである。
図2は本発明の実施例1の作用を説明するための拡大説明図である。
図3は本発明の実施例2の構成を説明するための模式図である。(a)は通常の解錠時の状態を説明する図、(b)は海賊対策等の施錠時の状態を説明する図、(c)は緊急解錠時の状態を説明する図である。
図4は本発明の施錠装置を設けた舶用扉の居住側面側の1例を示す図である。
図において、1は金具本体、11は金具本体の立上がり部、12は金具本体の脚部、2は反転式留め金具、21は反転式留め金具のヒンジ軸ピン用バカ孔、22は反転式留め金具の固定ボルト用バカ孔、23は反転式留め金具の先端部、24は金具本体の脚部におけるヒンジ軸ピン用バカ孔、25は金具本体の脚部における固定ボルト用バカ孔(解錠時用)、26は金具本体の脚部における固定ボルト用バカ孔(施錠時用)、3はヒンジ軸用のピン、又はボルト・ナット、4は反転式留め金具用固定ボルト・ナット、5は金具本体を舶用扉に固定する固定用ボルト部、6は座金、7は特殊多角ナット、8は特殊工具、9は保護ケーシング、10は回転防止金具、100は舶用扉、110はハンドル型施錠装置、120は本発明の施錠装置、130は出入り開口部である。
なお、図における各部の寸法、形状は、説明のために誇張または簡略して表示されており、本発明はこれにより制約されるものではない。
しかしながら、前述のごとく該ハンドル型施錠装置110は舶用扉100の内外側において開閉操作が可能であり、緊急時における解錠機能は特に問題はなかったが、居住区内部からの施錠、解錠するのに一部問題があり、このため従来複数個のハンドル型施錠装置110の内の一箇所を居住区内部からのみ操作可能な特殊回転式留め金とすることが行なわれていたが、前記特殊回転式留め金具は乗組員が舶用扉100を開閉し出入する際にも使用することから、居住区内から誤って特殊回転式留め金具を操作し施錠してしまう可能性が高いという問題があった。
本発明は、基本的に、上記ハンドル型施錠装置110とは別途に設けられる反転式留め金具2を有し、且つ居住区内部からのみ操作可能な施錠装置120である。主として、舶用扉100の開閉ヒンジ部に対して反対側の居住区側に設けられる。
固定用ボルト部5は、海水等に対する耐腐食性および海賊により破壊されないための十分な材料強度を有するものであり、且つ、金具本体1との溶接接合に適する材料を使用する必要がある。対溶接性を付加したSUS304L、316L等が好ましい。またボルトの強度としては、当然海賊により破壊されないための強度を保持する断面強度が必要であり、引張強度として300〜400(N/mm2 ) が好ましい。300以下では経験的および多くの施工経験より耐荷重(3.6KN)に対し十分でなく、また400以上ではコストが急激にアップし好ましくない。
反転式留め金具2は、図1、2に示されるように、通常は鋼板により形成し中央部に反転のためのヒンジ軸用ピン3のためのバカ孔21が設けられており、また該バカ孔21より前記反転式留め金具用の固定ボルト・ナット4に対応するバカ孔22が設けられている。
また、前記金具本体1は、必ずしも板状材料でなくてもよい。
なお、本実施例1における、固定用ボルト部5、ヒンジ用ピンまたはボルト3の各直径は1例として10mmである。また、金具本体1および反転式留め金具2の厚さは各9mmの例を示す。
図1(a)の通常状態(解錠時)において、舶用扉100は船の出入り開口部130にハンドル型施錠110(図示されていない)により施錠されている。この状態においては該ハンドル型施錠110とは別途に設けられた本発明の施錠装置120は解錠状態となっている。すなわち、反転式留め金具2は船の出入り開口部130とは係合されていない位置である反転位置にボルト4によりバカ孔25位置に固定保持されている。
この通常状態(解錠時)から、一旦海賊対策を要する場合、すなわち海賊が居住区内へ侵入するのを防ぐために本発明の施錠装置120を居住区側より作用させる。すなわち反転式留め金具2の解錠状態を解除し、反転式留め金具2をヒンジ軸用ピン3を中心として180°反転し、反転式留め金具2の先端部23を船の出入り開口部130に当接させ、且つ脚部12のバカ孔26と反転式留め金具2のバカ孔22とを合致させ、ボルト4により固定保持する。これにより舶用扉100は外部よりの開放が出来ない状態となる。
本発明は、実施例1の図1(c)に示すように、緊急解錠時に前記金具本体1の立上がり部11に設けられ、本発明の施錠装置120を舶用扉100に固定する固定用ボルト5の特殊多角ナット7を緩めることにより施錠装置120を舶用扉100より切り離し、舶用扉100を開放することができる。
奥の深い袋ナット方式によりナット面が判りかねる構造や、袋ナットのガイド部入り口に遮蔽体により覆う方法等が考えられる。
また、本実施の形態1における、袋ナット方式の特殊多角ナット周りのコーミングの高さhは、ボルト部の保護をも考慮してボルト径の約2〜5倍とし、且つ扉の艤装品と干渉しないように設計留意する。なおコーミングの内径については使用する特殊工具の外径に合わせ適当な若干のクリアランスをもって設定される。
前記コーミング高さhがボルト径の2倍以下では、特殊工具以外の工具によりナット緩め処理も可能となる恐れもあり、また、高さhがボルト径の5倍以上では、コーミングの突出量がいたずらに高くなって扉の艤装品との干渉も生じ、その割にはナット緩め処理への効果が有利とならないことが確認された。
本実施例2は、ボルト1本にて必要強度が確保でき設計が成立する場合に採用されるもので、実施例1に比しコスト的に有利であるばかりでなく、緊急時における解錠処理が容易となる。本実施例2における金具本体を舶用扉に固定する固定用ボルト部5の直径は、1例として16mmの場合を示し、その他の寸法は実施例1に準じている。
11 金具本体の立上がり部、
12 金具本体の脚部、
2 反転式留め金具、
21 反転式留め金具のヒンジ軸ピン用バカ孔、
22 反転式留め金具の固定ボルト用バカ孔。
23 反転式留め金具の先端部、
24 金具本体の脚部におけるヒンジ軸ピン用バカ孔、
25 金具本体の脚部における固定ボルト用バカ孔(解錠時用)
26 金具本体の脚部における固定ボルト用バカ孔(施錠時用)
3 ヒンジ軸用のピン、又はボルト・ナット、
4 反転式留め金具用固定ボルト・ナット、
5 金具本体を舶用扉に固定する固定用ボルト部、
6 座金、
7 特殊多角ナット、
8 特殊工具、
9 保護ケーシング
10 回転防止金具
100 舶用扉、
110 ハンドル型施錠装置、
120 本発明の施錠装置、
130 出入り開口部。
Claims (5)
- 船舶用のヒンジ型舶用扉に対する施錠装置であって、該舶用扉を船体内外より同軸上のハンドルにより鎖錠、解錠を行う施錠部材とは別途に設けられており、立上がり部に固定起立された1本または複数のボルト・ナットにより舶用扉に直接係合される金具本体と、該金具本体の前記立上がり部に直交連接された金具本体の脚部に設けられたヒンジ軸を中心に180゜回転して舶用扉の施錠、解錠を船内からのみ可能とする反転式留め金とを有しており、
また、該反転式留め金の施錠、解錠状態を確実に保持するための係合手段を具え、且つ前記1本または複数のボルト・ナットは船外より特殊工具によってのみ締緩される締緩手段を有することを特徴とする舶用扉の施錠装置。 - 前記ヒンジ軸が金具本体の脚部に固定起立されたピン又はボルト・ナットであり、前記係合手段がヒンジ軸に並列起立されたボルト・ナットであることを特徴とする請求項1に記載の舶用扉の施錠装置。
- 前記締緩手段が袋ナット方式であり、ナットが六角ナット以外の特殊多角形ナットであることを特徴とする請求項1または2に記載の舶用扉の施錠装置。
- 前記締緩手段が常時には特殊多角形ナットを確認出来ない遮蔽手段および緊急時には船外よりの操作により特殊多角形ナット位置を容易に確認可能とする明示手段を併設してなることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の舶用扉の施錠装置。
- 請求項1乃至4に記載の施錠装置を少なくとも1セット設けたことを特徴とする舶用扉。
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