本発明の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。また、以下では、表面実装型電子部品アレイとして表面実装型コンデンサアレイ1を例にとって説明している。
表面実装型コンデンサアレイ1は、図1〜図5に示されるように、直方体形状の誘電体素体(素体)10と、内部電極12A〜12D,14A〜14D,16A〜16D,18A〜18Dと、外部電極20A〜20D,22A〜22Dとを備える。
誘電体素体10は、誘電体素体10の長手方向に略平行で且つ互いに対向する側面10a(第1側面),10bと、誘電体素体10の長手方向に略平行で且つ互いに対向する側面10c(第2側面),10dと、誘電体素体10の長手方向に並ぶと共に互いに対向する側面10e,10fとを有する。なお、本実施形態では、側面10a又は側面10bが回路基板(図示せず)の主面と対向する実装面とされる。
側面10c,10dは、側面10a,10b及び側面10e,10fと隣り合っており、側面10a,10b及び側面10e,10fを連結するように延びている。側面10e,10fは、側面10a,10b及び側面10c,10dと隣り合っており、側面10a,10b及び側面10c,10dを連結するように延びている。
誘電体素体10は、例えばチタン酸バリウムやチタン酸ストロンチウムに希土類元素を添加した誘電性セラミック材料で形成することができる。誘電体素体10においては、長手方向の長さを例えば2.0mm程度、幅を例えば1.2mm程度、厚みを例えば1.0mm程度に設定することができる。
誘電体素体10は、図5に示されるように、複数の誘電体層A1〜A6を有している。誘電体層A1の上面は誘電体素体10の側面10aを構成しており、誘電体層A6の下面は誘電体素体10の側面10bを構成している。そのため、誘電体素体10は、側面10a,10bの対向方向に誘電体層A1〜A6が積層されて構成されている。
各誘電体層A1〜A6は、例えば誘電体セラミック(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系等の誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体から構成されている。なお、実際の表面実装型コンデンサアレイ1においては、焼成により、互いの境界が視認できない程度に各誘電体層A1〜A6が一体化されている。
誘電体層A2上には、矩形状を呈する4つの内部電極12A〜12Dが誘電体層A2の長手方向(側面10e,10fの対向方向)に沿って併設されている。各内部電極12A〜12Dは、誘電体層A2上において、互いに所定の間隔を有している。各内部電極12A〜12Dには、側面10d側の短辺の中央部に導出部12a〜12dがそれぞれ一体的に形成されている。各導出部12a〜12dは、それぞれ矩形状を呈しており、その一端が側面10dに露出している。
誘電体層A3上には、矩形状を呈する4つの内部電極14A〜14Dが誘電体層A3の長手方向(側面10e,10fの対向方向)に沿って併設されている。各内部電極14A〜14Dは、誘電体層A3上において、互いに所定の間隔を有している。各内部電極14A〜14Dには、側面10c側の短辺の中央部に導出部14a〜14dがそれぞれ一体的に形成されている。各導出部14a〜14dは、それぞれ矩形状を呈しており、その一端が側面10cに露出している。
誘電体層A4上には、矩形状を呈する4つの内部電極16A〜16Dが誘電体層A4の長手方向(側面10e,10fの対向方向)に沿って併設されている。各内部電極16A〜16Dは、誘電体層A4上において、互いに所定の間隔を有している。各内部電極16A〜16Dには、側面10d側の短辺の中央部に導出部16a〜16dがそれぞれ一体的に形成されている。各導出部16a〜16dは、それぞれ矩形状を呈しており、その一端が側面10dに露出している。
誘電体層A5上には、矩形状を呈する4つの内部電極18A〜18Dが誘電体層A5の長手方向(側面10e,10fの対向方向)に沿って併設されている。各内部電極18A〜18Dは、誘電体層A5上において、互いに所定の間隔を有している。各内部電極18A〜18Dには、側面10c側の短辺の中央部に導出部18a〜18dがそれぞれ一体的に形成されている。各導出部18a〜18dは、それぞれ矩形状を呈しており、その一端が側面10cに露出している。
誘電体層A1〜A6の積層方向(側面10a,10bの対向方向)から見て、内部電極12Aは誘電体層A2を挟んで内部電極14Aと対向しており、内部電極14Aは誘電体層A3を挟んで内部電極16Aと対向しており、内部電極16Aは誘電体層A4を挟んで内部電極18Aと対向している。内部電極12B,14B,16B,18B、内部電極12C,14C,16C,18C及び内部電極12D,14D,16D,18Dについても同様である。
内部電極12A〜12D,14A〜14D,16A〜16D,18A〜18Dは、積層型の電気素子の内部電極として通常用いられる導電性材料(例えば、卑金属であるNi等)からなる。内部電極12A〜12D,14A〜14D,16A〜16D,18A〜18Dは、上記導電性材料を含む導電性ペーストの焼結体として構成されている。
外部電極20A(第1の外部電極)は、図4に示されるように、焼付電極層24Aと、樹脂電極層28Aと、第1めっき層32Aと、第2めっき層36Aとを含む。焼付電極層24A、樹脂電極層28A、第1めっき層32A及び第2めっき層36Aは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層24Aは、誘電体素体10の側面10cを覆うと共にこの側面10cと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層24Aは、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
焼付電極層24Aは、側面10cに露出している導出部14a,18aの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層24Aは、導出部14aを介して内部電極14Aと電気的に接続されており、導出部18aを介して内部電極18Aと電気的に接続されている。
樹脂電極層28Aは、焼付電極層24Aの表面全体を覆うように、焼付電極層24A上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層32Aは、樹脂電極層28Aを覆うように形成されている。第2めっき層36Aは、第1めっき層32Aを覆うように形成されている。つまり、外部電極20Aは、全体として、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
外部電極20B(第3の外部電極)は、図4に示されるように、焼付電極層24Bと、樹脂電極層28Bと、第1めっき層32Bと、第2めっき層36Bとを含む。焼付電極層24B、樹脂電極層28B、第1めっき層32B及び第2めっき層36Bは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層24Bは、誘電体素体10の側面10cを覆うと共にこの側面10cと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層24Bは、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
焼付電極層24Bは、側面10cに露出している導出部14b,18bの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層24Bは、導出部14bを介して内部電極14Bと電気的に接続されており、導出部18bを介して内部電極18Bと電気的に接続されている。
樹脂電極層28Bは、焼付電極層24Bの表面全体を覆うように、焼付電極層24B上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層32Bは、樹脂電極層28Bを覆うように形成されている。第2めっき層36Bは、第1めっき層32Bを覆うように形成されている。つまり、外部電極20Bは、全体として、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
外部電極20C(第4の外部電極)は、図4に示されるように、焼付電極層24Cと、樹脂電極層28Cと、第1めっき層32Cと、第2めっき層36Cとを含む。焼付電極層24C、樹脂電極層28C、第1めっき層32C及び第2めっき層36Cは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層24Cは、誘電体素体10の側面10cを覆うと共にこの側面10cと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層24Cは、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
焼付電極層24Cは、側面10cに露出している導出部14c,18cの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層24Cは、導出部14cを介して内部電極14Cと電気的に接続されており、導出部18cを介して内部電極18Cと電気的に接続されている。
樹脂電極層28Cは、焼付電極層24Cの表面全体を覆うように、焼付電極層24C上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層32Cは、樹脂電極層28Cを覆うように形成されている。第2めっき層36Cは、第1めっき層32Cを覆うように形成されている。つまり、外部電極20Cは、全体として、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
外部電極20D(第2の外部電極)は、図4に示されるように、焼付電極層24Dと、樹脂電極層28Dと、第1めっき層32Dと、第2めっき層36Dとを含む。焼付電極層24D、樹脂電極層28D、第1めっき層32D及び第2めっき層36Dは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層24Dは、誘電体素体10の側面10cを覆うと共にこの側面10cと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層24Dは、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
焼付電極層24Dは、側面10cに露出している導出部14d,18dの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層24Dは、導出部14dを介して内部電極14Dと電気的に接続されており、導出部18dを介して内部電極18dと電気的に接続されている。
樹脂電極層28Dは、焼付電極層24Dの表面全体を覆うように、焼付電極層24D上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層32Dは、樹脂電極層28Dを覆うように形成されている。第2めっき層36Dは、第1めっき層32Dを覆うように形成されている。つまり、外部電極20Dは、全体として、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域に配置されている。
外部電極22Aは、図4に示されるように、焼付電極層26Aと、樹脂電極層30Aと、第1めっき層34Aと、第2めっき層38Aとを含む。焼付電極層26A、樹脂電極層30A、第1めっき層34A及び第2めっき層38Aは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層26Aは、誘電体素体10の側面10dを覆うと共にこの側面10dと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層26Aは、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
焼付電極層26Aは、側面10dに露出している導出部12a,16aの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層26Aは、導出部12aを介して内部電極12Aと電気的に接続されており、導出部16aを介して内部電極16Aと電気的に接続されている。
樹脂電極層30Aは、焼付電極層26Aの表面全体を覆うように、焼付電極層26A上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層34Aは、樹脂電極層30Aを覆うように形成されている。第2めっき層38Aは、第1めっき層34Aを覆うように形成されている。つまり、外部電極22Aは、全体として、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
外部電極22Bは、図4に示されるように、焼付電極層26Bと、樹脂電極層30Bと、第1めっき層34Bと、第2めっき層38Bとを含む。焼付電極層26B、樹脂電極層30B、第1めっき層34B及び第2めっき層38Bは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層26Bは、誘電体素体10の側面10dを覆うと共にこの側面10dと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層26Bは、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
焼付電極層26Bは、側面10dに露出している導出部12b,16bの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層26Bは、導出部12bを介して内部電極12Bと電気的に接続されており、導出部16bを介して内部電極16Bと電気的に接続されている。
樹脂電極層30Bは、焼付電極層26Bの表面全体を覆うように、焼付電極層26B上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層34Bは、樹脂電極層30Bを覆うように形成されている。第2めっき層38Bは、第1めっき層34Bを覆うように形成されている。つまり、外部電極22Bは、全体として、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
外部電極22Cは、図4に示されるように、焼付電極層26Cと、樹脂電極層30Cと、第1めっき層34Cと、第2めっき層38Cとを含む。焼付電極層26C、樹脂電極層30C、第1めっき層34C及び第2めっき層38Cは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層26Cは、誘電体素体10の側面10dを覆うと共にこの側面10dと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層26Cは、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
焼付電極層26Cは、側面10dに露出している導出部12c,16cの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層26Cは、導出部12cを介して内部電極12Cと電気的に接続されており、導出部16cを介して内部電極16Cと電気的に接続されている。
樹脂電極層30Cは、焼付電極層26Cの表面全体を覆うように、焼付電極層26C上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層34Cは、樹脂電極層30Cを覆うように形成されている。第2めっき層38Cは、第1めっき層34Cを覆うように形成されている。つまり、外部電極22Cは、全体として、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
外部電極22Dは、図4に示されるように、焼付電極層26Dと、樹脂電極層30Dと、第1めっき層34Dと、第2めっき層38Dとを含む。焼付電極層26D、樹脂電極層30D、第1めっき層34D及び第2めっき層38Dは、いずれも帯状を呈しており、この順に誘電体素体10から外方に向かって配置されている。
焼付電極層26Dは、誘電体素体10の側面10dを覆うと共にこの側面10dと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されている。つまり、焼付電極層26Dは、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
焼付電極層26Dは、側面10dに露出している導出部12d,16dの端部と物理的且つ電気的に接続されている。そのため、焼付電極層26Dは、導出部12dを介して内部電極12Dと電気的に接続されており、導出部16dを介して内部電極16Dと電気的に接続されている。
樹脂電極層30Dは、焼付電極層26Dの表面全体を覆うように、焼付電極層26D上及び誘電体素体10上に形成されている。第1めっき層34Dは、樹脂電極層30Dを覆うように形成されている。第2めっき層38Dは、第1めっき層34Dを覆うように形成されている。つまり、外部電極22Dは、全体として、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域に配置されている。
ここで、焼付電極層24A〜24D,26A〜26Dは、主としてCu等の金属によって形成されている。具体的には、焼付電極層24A〜24Dは、Cu粉末を含有する導電性ペーストを、側面10c、側面10aのうち側面10c寄りの領域及び側面10bのうち側面10c寄りの領域にわたって塗布して焼き付けることによって形成され、焼付電極層26A〜26Dは、Cu粉末を含有する導電性ペーストを、側面10d、側面10aのうち側面10d寄りの領域及び側面10bのうち側面10d寄りの領域にわたって塗布して焼き付けることによって形成される。焼付電極層24A〜24D,26A〜26Dの厚みは、例えば30μm〜40μm程度に設定することができる。
樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dは、熱硬化性樹脂に金属粒子が導電性材料として含有された樹脂電極層形成用組成物が硬化してなる。樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dの厚みは、例えば130μm程度とすることができる。
本実施形態では、金属粒子の材料として、貴金属であるAgが用いられている。熱硬化
性樹脂としては特に制限されないが、例えば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコン
樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド等を用いることができる。
上記樹脂電極層形成用組成物中の全金属粒子の含有量は、樹脂電極層形成用組成物の固形分全量を基準として60質量%〜95質量%であることが好ましい。この含有量が60質量%未満であると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dの内部における導電性が不十分となる傾向にある。含有量が95質量%を超えると、含有量が上記範囲内である場合と比較して、熱硬化性樹脂の量が不足するため、焼付電極層24A〜24D,26A〜26Dと樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dとの密着性が低下する傾向にある。
樹脂電極層形成用組成物は、必要に応じて溶媒を更に含むものである。溶媒としては、上記熱硬化性樹脂を溶解又は分散可能なものであれば公知の溶媒を特に制限なく使用することができる。溶媒として具体的には、例えば、メチルカルビトール、エチルカルビトール、ブチルカルビトール、ブチルカルビトールアセテート、セロソルブ、ブチルセロソルブ、ブチルセロソルブアセテート、テルピネオール等が挙げられる。
樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dは、焼付電極層24A〜24D,26A〜26D上に上記樹脂電極層形成用組成物を塗布し、乾燥及び熱硬化を行うことによって形成されている。ここで、熱硬化時の温度は、使用する硬化性樹脂に応じて適宜調節される。
第1めっき層32A〜32D,34A〜34Dは、Niを主成分として含む。第1めっき層32A〜32D,34A〜34Dは、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dの表面をNiでめっき処理することによって形成されている。第1めっき層32A〜32D,34A〜34Dの厚みは、例えば1μm程度とすることができる。
樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dの表面に第1めっき層32A〜32D,34A〜34Dをめっき処理する際には、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dの表面を予めバレル研磨することが好ましい。バレル研磨することにより、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30D表面に露出している金属粒子が延ばされて樹脂電極層28A〜28D,30A〜30D表面に露出している金属粒子の面積が大きくなり、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dと第1めっき層32A〜32D,34A〜34Dとの接合強度が大きくなるためである。
第2めっき層36A〜36D,38A〜38Dは、Sn又はSn合金を主成分として含む。第2めっき層36A〜36D,38A〜38Dは、第1めっき層32A〜32D,34A〜34Dの表面をSn又はSn合金でめっき処理することによって形成されている。第2めっき層36A〜36D,38A〜38Dの厚みは、例えば1μm〜10μm程度とすることができる。
外部電極20A〜20Dは、側面10fから側面10eに向かって、外部電極20A、外部電極20B、外部電極20C、外部電極20Dの順に誘電体素体10上に配置されている。つまり、外部電極20B,20Cは、外部電極20Aと外部電極20Dとの間に位置している。
外部電極20A〜20Dのうち側面10a上に配置されている部分は、側面10a側から見たときに、側面10aと側面10cとを連結する稜部に沿うように配列されている。外部電極20A〜20Dのうち側面10b上に配置されている部分は、側面10b側から見たときに、側面10bと側面10cとを連結する稜部に沿うように配列されている。
外部電極22A〜22Dは、側面10fから側面10eに向かって、外部電極22A、外部電極22B、外部電極22C、外部電極22Dの順に誘電体素体10上に配置されている。つまり、外部電極22B,22Cは、外部電極22Aと外部電極22Dとの間に位置している。
外部電極22A〜22Dのうち側面10a上に配置されている部分は、側面10a側から見たときに、側面10aと側面10dとを連結する稜部に沿うように配列されている。外部電極22A〜22Dのうち側面10b上に配置されている部分は、側面10b側から見たときに、側面10bと側面10dとを連結する稜部に沿うように配列されている。
ここで、焼付電極層24A,26Aの横幅W1a(図2及び図3参照)は、例えば0.05mm〜0.10mm程度に設定することができる。側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24A,26Aの縦幅T1a(図2参照)は、例えば0.05mm〜0.10mm程度に設定することができる。
なお、本実施形態において、焼付電極層24D,26Dの横幅W1d(図2及び図3参照)は、焼付電極層24A,26Aの横幅W1aと略同一である。側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24D,26Dの縦幅T1d(図2参照)は、側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24A,26Aの縦幅T1aと略同一である。側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24D,26Dの面積は、側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24A,26Aの面積と略同一である。
焼付電極層24B,26Bの横幅W1b(図2及び図3参照)は、例えば0.11mm〜0.20mm程度に設定することができる。側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24B,26Bの縦幅T1b(図2参照)は、例えば0.11mm〜0.20mm程度に設定することができる。
なお、本実施形態において、焼付電極層24C,26Cの横幅W1c(図2及び図3参照)は、焼付電極層24B,26Bの横幅W1bと略同一である。側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24C,26Cの縦幅T1c(図2参照)は、側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24B,26Bの縦幅T1bと略同一である。側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24C,26Cの面積は、側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24B,26Bの面積と略同一である。
樹脂電極層28A,30A(外部電極20A,22A)の横幅W2a(図2及び図3参照)は、例えば0.24mm〜0.30mm程度に設定することができる。側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,30Aの縦幅T2a(図2参照)は、例えば0.22mm〜0.30mm程度に設定することができる。
なお、本実施形態において、樹脂電極層28B〜28D,30B〜30D(外部電極20B〜20D,22B〜22D)の横幅W2b〜W2d(図2及び図3参照)は、いずれも樹脂電極層28A,30Aの横幅W2aと略同一である。側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B〜28D,30B〜30Dの縦幅T2b〜T2d(図2参照)は、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,30Aの縦幅T2aと略同一である。側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B〜28D,30B〜30Dの面積は、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,30Aの面積と略同一である。つまり、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30D(外部電極20A〜20D,22A〜22D)は、側面10a側(側面10b側)から見たときに、いずれも略同一形状を呈している。
従って、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Aと焼付電極層24Aとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Dと焼付電極層24Dとの面積差は、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Bと焼付電極層24Bとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Cと焼付電極層24Cとの面積差よりも大きい。また、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Aと焼付電極層26Aとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Dと焼付電極層26Dとの面積差は、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Bと焼付電極層26Bとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Cと焼付電極層26Cとの面積差よりも大きい。
以上のような本実施形態においては、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dが、対応する焼付電極層24A〜24D,26A〜26Dの表面全体を覆うように当該対応する焼付電極層24A〜24D,26A〜26D上に形成されている。ここで、樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dは、焼付電極層24A〜24D,26A〜26Dと比較して変形しやすい。そのため、表面実装型コンデンサアレイ1の回路基板への実装後に、回路基板に外力が与えられたり、表面実装型コンデンサアレイ1の作動時に発生する熱によって表面実装型コンデンサアレイ1自身が膨張・収縮したりしても、誘電体素体10に作用する応力を樹脂電極層28A〜28D,30A〜30Dで吸収することができるようになっている。
ところで、表面実装型コンデンサアレイ1の回路基板への実装後に、回路基板に外力が与えられたり、表面実装型コンデンサアレイ1の作動時に発生する熱によって表面実装型コンデンサアレイ1自身が膨張・収縮等したりする場合、誘電体素体10の変形による変位が誘電体素体10のうち実装面(本実施形態では側面10a又は側面10b)から見たときの四隅部分において最も大きくなる。そのため、例えば側面10aを実装面として表面実装型コンデンサアレイ1を回路基板に実装した場合には、誘電体素体10のうち側面10aに外部電極20A,20D,22A,22Dが形成されている部分において誘電体素体10の変形による変位が大きくなりやすく、そのために当該部分に大きな応力が作用しやすくなる。
しかしながら、本実施形態に係る表面実装型コンデンサアレイ1では、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Aと焼付電極層24Aとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Dと焼付電極層24Dとの面積差は、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Bと焼付電極層24Bとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Cと焼付電極層24Cとの面積差よりも大きい。また、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Aと焼付電極層26Aとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Dと焼付電極層26Dとの面積差は、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Bと焼付電極層26Bとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層30Cと焼付電極層26Cとの面積差よりも大きい。従って、例えば側面10aを実装面として表面実装型コンデンサアレイ1を回路基板に実装した場合には、誘電体素体10のうち側面10aに外部電極20A,20D,22A,22Dが形成されている部分に作用する応力を、誘電体素体10のうち側面10aに外部電極20B,20C,22B,22Cが形成されている部分に作用する応力よりも緩和することができるようになっている。その結果、誘電体素体10にクラックが発生し難くなる。
また、本実施形態に係る表面実装型コンデンサアレイ1では、外部電極20A〜20D,22A〜22Dが、側面10a側(側面10b側)から見たときに、いずれも略同一形状を呈している。そのため、外部電極20A〜20D,22A〜22Dがそれぞれ接続される回路基板の信号電極(図示せず)の大きさを統一することができる。そのため、回路基板の主面上に形成される信号電極の設計変更が不要となり、手間やコストを低減することが可能となる。
以上、本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明は上記した実施形態に限定されるものではない。例えば、本実施形態では本発明を表面実装型コンデンサアレイ1に適用したが、これに限られず、種々の表面実装型電子部品アレイ(例えば、表面実装型バリスタアレイ、表面実装型フィルタアレイ)に対して適用することができる。
また、上記した実施形態では、側面10c側において側面10e,10fの対向方向に沿って4つの外部電極20A〜20Dが配列されており、側面10d側において側面10e,10fの対向方向に沿って4つの外部電極22A〜22Dが配列されている表面実装型コンデンサアレイ1を説明したが、側面10c,10d側において外部電極がそれぞれ3つ以上配列されている表面実装型コンデンサアレイ1であれば本発明を適用可能である。そのため、側面10c側に配列されている外部電極の数と側面10d側に配列されている外部電極の数とが異なっていてもよい。
例えば、側面10c側に配列されている外部電極の数が3つである場合(側面10c側に外部電極20A〜20Cのみが配列されている場合)には、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Aと焼付電極層24Aとの面積差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Cと焼付電極層24Cとの面積差が、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Bと焼付電極層24Bとの面積差よりも大きければよい(条件1)。また、側面10c側に配列されている外部電極の数が4つ以上である場合(側面10c側に第1〜第N(Nは4以上の自然数)の外部電極が配列されている場合)には、側面10a側(側面10b側)から見たときの第n(nは1〜Nの自然数)の外部電極の樹脂電極層と第nの外部電極の焼付電極層との面積差をS(n)としたときに、S(3)〜S(N)がいずれもS(1)及びS(2)を超えず、且つ、S(3)〜S(N)のうち少なくとも一つがS(1)及びS(2)よりも小さければよい(条件2)。
上記の条件1又は2を満たしていれば、図6に示される表面実装型コンデンサアレイ2及び図7に示される表面実装型コンデンサアレイ3のように、側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24A〜24D,26A〜26Dを全て略同一形状とし、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,28D,30A,30Dの面積を側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B,28C,30B,30Cの面積よりも大きくしてもよい。図6においては、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,28D,30A,30Dの横幅及び縦幅が共に側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B,28C,30B,30Cの横幅及び縦幅よりも大きくなっている。図7においては、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,28D,30A,30Dの縦幅が側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B,28C,30B,30Cの縦幅と略同一であるが、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,28D,30A,30Dの横幅が側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B,28C,30B,30Cの横幅よりも大きくなっている。
また、上記の条件1又は2を満たしていれば、図8に示される表面実装型コンデンサアレイ4のように、側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24A,24D,26A,26Dの面積を側面10a側(側面10b側)から見たときの焼付電極層24B,24C,26B,26Cの面積よりも小さくすると共に、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28A,28D,30A,30Dの面積を側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28B,28C,30B,30Cの面積よりも大きくしてもよい。
なお、回路基板に外力が与えられたり、表面実装型コンデンサアレイ1の作動時に発生する熱によって表面実装型コンデンサアレイ1自身が膨張・収縮等したりすると、外部電極20A〜20D,22A〜22Dのうち実装面(側面10a又は側面10b)上に位置する部分は誘電体素体10の長手方向(側面10e,10fの対向方向)の応力を主として受ける。従って、応力の緩和の観点からは、表面実装型コンデンサアレイ1〜4のように、側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Aと焼付電極層24Aとの横幅の差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Dと焼付電極層24Dとの横幅の差を、いずれも側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Bと焼付電極層24Bとの横幅の差及び側面10a側(側面10b側)から見たときの樹脂電極層28Cと焼付電極層24Cとの横幅の差よりも大きくすると好ましい。
また、本実施形態では、焼付電極層24A〜24Dが、誘電体素体10の側面10cを覆うと共にこの側面10cと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されており、焼付電極層26A〜26Dが、誘電体素体10の側面10dを覆うと共にこの側面10dと隣り合う側面10a,10bに回り込むように、誘電体素体10上に形成されていたが、これに限られない。具体的には、図9及び図10に示される表面実装型コンデンサアレイ5のように、外部電極20Aが、焼付電極層24A1,24A2,24A3を含んでおり、焼付電極層24A1が側面10a上にのみ形成され、焼付電極層24A2が側面20c上にのみ形成され、焼付電極層24A3が側面10b上にのみ形成されていてもよい。そのため、焼付電極層24A1と焼付電極層24A2とは側面10aと側面10cとを連結している稜部において離間しており、焼付電極層24A2と焼付電極層24A3とは側面10cと側面10bとを連結している稜部において離間している。つまり、焼付電極層が、側面10aと側面10cとを連結する稜部、及び、側面10bと側面10cとを連結する稜部をそれぞれ回り込むように形成されていない。このとき、導出部14a,18aは、焼付電極層24A2にのみ物理的に接続されており、焼付電極層24A1,24A3とは物理的に接続されていない。他の外部電極20B〜20D,22A〜22Dについても同様である。焼付電極層は、導電性ペーストを誘電体素体10の側面に塗布して焼付けることで形成され、焼付時に収縮するので、焼付電極層が当該稜部を回り込むように側面10cから側面10a,10bにわたって形成されている場合には誘電体素体10の稜部に大きな応力が作用しやすくなるが、このようにすると、焼付電極層が収縮することにより誘電体素体10に与える応力を低減することが可能となる。
1〜5…表面実装型コンデンサアレイ(表面実装型電子部品アレイ)、10…誘電体素体(素体)、10a〜10f…側面、20A〜20D,22A〜22D…外部電極、24A〜24D,26A〜26D…焼付電極層、28A〜28D,30A〜30D…樹脂電極層。