JP4979851B2 - 高いタイターで安全な組換えレンチウイルスベクターの作製方法 - Google Patents
高いタイターで安全な組換えレンチウイルスベクターの作製方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP4979851B2 JP4979851B2 JP2000615781A JP2000615781A JP4979851B2 JP 4979851 B2 JP4979851 B2 JP 4979851B2 JP 2000615781 A JP2000615781 A JP 2000615781A JP 2000615781 A JP2000615781 A JP 2000615781A JP 4979851 B2 JP4979851 B2 JP 4979851B2
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- gene
- vector
- gag
- hiv
- lentiviral
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Expired - Lifetime
Links
Images
Classifications
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N15/00—Mutation or genetic engineering; DNA or RNA concerning genetic engineering, vectors, e.g. plasmids, or their isolation, preparation or purification; Use of hosts therefor
- C12N15/09—Recombinant DNA-technology
- C12N15/63—Introduction of foreign genetic material using vectors; Vectors; Use of hosts therefor; Regulation of expression
- C12N15/79—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts
- C12N15/85—Vectors or expression systems specially adapted for eukaryotic hosts for animal cells
- C12N15/86—Viral vectors
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2740/00—Reverse transcribing RNA viruses
- C12N2740/00011—Details
- C12N2740/10011—Retroviridae
- C12N2740/16011—Human Immunodeficiency Virus, HIV
- C12N2740/16041—Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
- C12N2740/16043—Use of virus, viral particle or viral elements as a vector viral genome or elements thereof as genetic vector
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2740/00—Reverse transcribing RNA viruses
- C12N2740/00011—Details
- C12N2740/10011—Retroviridae
- C12N2740/16011—Human Immunodeficiency Virus, HIV
- C12N2740/16041—Use of virus, viral particle or viral elements as a vector
- C12N2740/16045—Special targeting system for viral vectors
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2810/00—Vectors comprising a targeting moiety
- C12N2810/50—Vectors comprising as targeting moiety peptide derived from defined protein
- C12N2810/60—Vectors comprising as targeting moiety peptide derived from defined protein from viruses
- C12N2810/6072—Vectors comprising as targeting moiety peptide derived from defined protein from viruses negative strand RNA viruses
- C12N2810/6081—Vectors comprising as targeting moiety peptide derived from defined protein from viruses negative strand RNA viruses rhabdoviridae, e.g. VSV
-
- C—CHEMISTRY; METALLURGY
- C12—BIOCHEMISTRY; BEER; SPIRITS; WINE; VINEGAR; MICROBIOLOGY; ENZYMOLOGY; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING
- C12N—MICROORGANISMS OR ENZYMES; COMPOSITIONS THEREOF; PROPAGATING, PRESERVING, OR MAINTAINING MICROORGANISMS; MUTATION OR GENETIC ENGINEERING; CULTURE MEDIA
- C12N2830/00—Vector systems having a special element relevant for transcription
- C12N2830/001—Vector systems having a special element relevant for transcription controllable enhancer/promoter combination
- C12N2830/002—Vector systems having a special element relevant for transcription controllable enhancer/promoter combination inducible enhancer/promoter combination, e.g. hypoxia, iron, transcription factor
- C12N2830/003—Vector systems having a special element relevant for transcription controllable enhancer/promoter combination inducible enhancer/promoter combination, e.g. hypoxia, iron, transcription factor tet inducible
Landscapes
- Life Sciences & Earth Sciences (AREA)
- Health & Medical Sciences (AREA)
- Genetics & Genomics (AREA)
- Engineering & Computer Science (AREA)
- Bioinformatics & Cheminformatics (AREA)
- Wood Science & Technology (AREA)
- Biomedical Technology (AREA)
- Organic Chemistry (AREA)
- Biotechnology (AREA)
- General Engineering & Computer Science (AREA)
- Chemical & Material Sciences (AREA)
- Zoology (AREA)
- Molecular Biology (AREA)
- Microbiology (AREA)
- Virology (AREA)
- Plant Pathology (AREA)
- Physics & Mathematics (AREA)
- Biochemistry (AREA)
- General Health & Medical Sciences (AREA)
- Biophysics (AREA)
- Micro-Organisms Or Cultivation Processes Thereof (AREA)
- Medicines That Contain Protein Lipid Enzymes And Other Medicines (AREA)
- Medicines Containing Material From Animals Or Micro-Organisms (AREA)
- Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
- Crystals, And After-Treatments Of Crystals (AREA)
Description
発明の分野
本発明は新規のレンチウイルスパッケージングベクター、関心のある外来遺伝子を持つ転移ベクター、安定なパッケージング細胞株、安定な産生細胞株、および哺乳類細胞において組換えレンチウイルスを産生するためにこれらを使用することに関する。
【0002】
発明の背景
レトロウイルスベクターは、遺伝子送達のための広く知られた道具である(Miller、Nature (1992) 357:455-460)。レトロウイルス増殖の生物学が、このように使用することを可能にする。通常は、野生型の全長レトロウイルスmRNAが、ウイルスタンパク質合成の鋳型およびウイルスゲノムの両方の役割を果たす。そのようなmRNAは、特定のウイルスタンパク質と結合し、それによってmRNAに産生されたビリオンと特異的会合を確実にさせるような、キャプシド形成シグナルと呼ばれる領域を含んでいる。標的細胞に感染すると、レトロウイルスmRNAは二重鎖のプロウイルスDNAに逆転写される。その後、レトロウイルスの酵素、インテグラーゼがプロウイルスDNAをはさむ末端反復配列(LTR)の両方に結合し、これの標的細胞のゲノムDNAへの組み込みを触媒する。組み込まれたプロウイルスDNAは、新しい全長レトロウイルスmRNAの生成の鋳型となる。
【0003】
レトロウイルスベクターは、広範囲の標的細胞のゲノムDNAへ種々の遺伝子を安定的に導入するために適した送達手段であることが検証され、判明しているが、この導入プロセスは、関心のある遺伝子を用いた細胞の形質導入として知られている。レトロウイルスベクターは、例えば、齧歯類、霊長類、ヒトのなどの広範囲の体細胞に再編成されていない、単一コピーの遺伝子を送達できるため、細胞に遺伝子を伝達するために非常に適している。
【0004】
レトロウイルス由来のベクター設計の主な取り組みは、ウイルスタンパク質の発現に影響を与えないようにしながらウイルスゲノムからキャプシド形成シグナルおよびLTRコード配列を除去し、そのような配列を、しばしば転移ベクターと呼ばれる、関心のある遺伝子をコードする核酸を含む構築物に移すというものである。
【0005】
組換えレトロウイルスベクターの作製に有用な付属物は、感染性のあるビリオンを生産するために必要なタンパク質をトランスで提供するパッケージング細胞株であるが、そのような細胞は内在性のウイルスのゲノム核酸をパッケージングする能力がない(WatanabeおよびTemin、Molec. Cell. Biol. (1983) 3:2241-2249; Mannら、Cell(1983) 33:153-159;およびEmbretsonおよびTemin, J. Virol. (1987) 61:2675-2683)。ビリオン粒子を構成するウイルスコアタンパク質と、LTR、キャプシド形成配列および関心のある遺伝子を含むmRNAの両方をベクター産生細胞で発現すると、表現型では親レトロウイルスと似ているが、ウイルスゲノムの代わりに関心のある遺伝子を持つ粒子を細胞が放出することになる。そのような粒子は、標的細胞のゲノムに、ウイルスDNAではなく関心のある遺伝子を組み込むことになる。
【0006】
レトロウイルスパッケージング細胞株の作製において考慮すべき問題は、齧歯類(Cloydら、J. Exp. Med. (1980) 151:542-552)および霊長類(Donahueら、J. Exp.Med. (1992) 176:1125-1135)においてT細胞リンパ腫を生成することが示されている、組換え複製可能レトロウイルス(RCR)を持たない、高いタイターのベクター上清を産生することである。
【0007】
ベクター産生細胞では、LTRおよびキャプシド形成配列と、ウイルスタンパク質のコード配列との物理的会合が回復すると、自己増幅可能なRCRが出現する可能性がある。ベクター作製中に組換えウイルスが生成することは、いくつかの理由により非常に望ましくない。まず、組換えmRNAはビリオンへのキャプシド形成のために外来遺伝子mRNAと競合して、産生細胞に作られるベクター粒子あたりの外来遺伝子の数を低下させる。この競合、および産生細胞中でのそのような組換え体の増幅は、ベクターの形質導入の能力を急激に低下させる。
【0008】
第2に、そのような組換え体がベクター作製中に検出されないと、ベクターのレシピエントに誤って導入される可能性がある。そこで、このような組換え体ゲノムが宿主に移入されると、避けられるはずの毒性または形質導入された細胞に対する免疫反応が引き起こされる場合がある。重要なことだが、ウイルスの組換え体は、病原性を持つ、またはさらに増幅が繰り返されるとかつ/または宿主細胞の内在性配列(内在性レトロウイルス配列)とさらに組換えが起きると、病原体に進化する可能性がある。
【0009】
組換え体レトロウイルスは、DNAレベルまたはmRNAレベルで作製され得る。パッケージング機能および転移ベクター機能を別々にコードするプラスミド構築物が混合され、一時的産生細胞を作製するために同時トランスフェクションされると、DNAの組換えが起きる。DNAレベルでの組換えの確率を減らすために、構築物を細胞に1つずつ順に導入し、構築物が細胞ゲノムと安定的に会合した後で、平行してクローンの選択を行うことができる。有糸分裂をしている体細胞では、通常は相同染色体の間の交差は起こらず、各ベクター構築物の会合体はゲノムDNAに無作為に組み込まれると期待されるので、接近した会合の可能性および組換えの確率は低い。
【0010】
mRNAレベルの組換えは、両方のパッケージングmRNAおよび転移ベクターmRNA(別々の発現構築物によって作製された場合でも)がウイルス粒子に共にキャプシド形成されると、逆転写の際に起こる。レトロウイルスの逆転写酵素(RT)はDNA合成の鋳型にmRNAを使用する。また、RTは鋳型間で切り換え、または鋳型からはなれて切り換えるスイッチングすることが知られている。したがって、1つのウイルス粒子中に2つの異なるmRNAが存在すると、混合された場合に、鋳型のスイッチングの結果として、RTによって単一のDNAユニットが合成される可能性がある。
【0011】
パッケージング細胞中でのRCRの生成可能性を減らすための1つの方法は、パッケージング機能を2つまたはそれ以上のゲノムに分割することである。例えば、1つはgag遺伝子産物およびpol遺伝子産物を発現し、もう1つはenv遺伝子産物を発現する(Bosselmanら、Molec. Cell. Biol. (1987) 7:1797-1806; Markowitzら、J. Virol (1988)62:1120-1124; およびDanosおよびMulligan, Proc. Natl. Acad. Sci. (1988)85:6460-6464)。この方法では、同時パッケージングの能力、およびその後に2つまたはそれ以上のゲノムが伝達される能力が抑えられ、ならびにパッケージング細胞中に複数のレトロウイルスゲノムが存在するために、RCRを作製産する組換えの頻度が著しく低下する。
【0012】
パッケージング機能を分割する方法の原理は、RCRを生成するためには複数の組換え現象が起こらなくてはならないということである。しかし、この方法では個々の組換え現象の確率を低下させるわけではない。したがって、増幅能力のない部分的組換え体が作製され得る。そのような部分的組換え体の出現をモニターするために、新規の相補的検出系を設計する必要がある。
【0013】
組換え体が出現する場合は、組換え体が出現するとそれが機能的でなくなるように、ベクター構築物内に変異(DanosおよびMulligan、上記)または欠失(Boselman ら、上記;およびMarkowitzら、上記)を配置することができる。さらに、両方のパッケージング構築物の3’ LTRを欠失すると、機能的な組換え体が形成される能力がさらに低下する。
【0014】
以前に多くの生物系で、2つの遺伝要素間の組換え頻度は、相同配列の程度に直接比例することが示されている。したがって、もう1つの方法は、ベクター間の配列の相同性を低下させることである。転移ベクターとパッケージング構築物の間の相同配列を低下させることに関連する技術的に困難なことは、形質導入の能力を著しく低下させることなく、少なくとも1つの構築物からいくつかの必須の遺伝要素を除去することができないという事実によって、説明できる。
【0015】
レンチウイルスは、共通のレトロウイルス遺伝子であるgag、polおよびenvに加えて、調節機能または構造的機能を持つ他の遺伝子も含む、複雑なレトロウイルスである。レンチウイルスは複雑なため、潜伏感染のように、そのライフサイクルを調節することができる。
【0016】
レンチウイルスは、非分裂細胞にも組み込まれる能力があるために、遺伝子療法の研究者の注目を集めてきた(Lewisら、EMBO J. (1992) 11:3053-3058; Bukrinskyら、Nature (1993) 365:666-669; Gallayら、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1997)94:9825-9830; Gallayら、Cell (1995) 80:379-388; およびLewisら、J. Virol.(1994) 68:510)。ヒトのレンチウイルスヒト免疫不全ウイルス(HIV)由来の複製不能ベクターは、有糸分裂とは無関係に、標的細胞に形質導入する(Naldiniら、Science(1996) 272:263-267)。これらのベクターはインビボ遺伝子送達の効率が非常に高く、脳(Naldiniら、PNAS (1996) 93:11382-1138; およびBlomerら、J. Virol. (1997)71:6641-6649)、網膜(Miyoshiら、PNAS (1997) 94:10319-10323)、肝臓および筋肉(Kafriら、Naure Genetics (1997) 17:314-317)などの、いくつかの標的組織において、外来遺伝子の安定した長期的発現を実現した。
【0017】
典型的なレンチウイルスはエイズの病原体HIVである。インビボでは、HIVは、リンパ球やマクロファージのような、ほとんど分裂しない最終分化した細胞に感染できる。インビトロでは、HIVは単球由来マクロファージ(MDM)ならびに、アフィジコリンまたはガンマ線照射によって細胞周期の途中で停止したHeLa-Cd4またはTリンパ球様細胞の初代培養に感染できる。
【0018】
レンチウイルスゲノムが複雑であることを利用して、レトロウイルスベクターの設計に新しい生物学的安全性の特徴を作製できる。全てのレトロウイルスに共通の構造性のgag、polおよびenv遺伝子に加え、HIVはウイルス複製に必須の2つの調節遺伝子tatおよびrev、およびインビトロのウイルス増殖には重要ではないがインビボの複製および病原性には重要な4つの補助遺伝子vif、vpr、vpuおよびnefを含んでいる(Luciw、Fieldsら編、「フィールズウイルス学(Fields Virology)」第3版(1996) p1881-1975、Lippincott-Raven Publishers、フィラデルフィア)。
【0019】
Tatタンパク質およびRevタンパク質は、それぞれ転写レベルおよび転写後レベルで、HIV遺伝子発現のレベルを調節している。HIV LTRの基本転写活性は弱いため、初期のプロウイルスの発現によって、Tatタンパク質、Revタンパク質およびNefタンパク質をコードする複数のスプライシングされた転写物が少量生成する。Tatは新生RNA中のステム・ループ構造(TAR)に結合し、それによりポリメラーゼII複合体による転写伸長を刺激するサイクリン・キナーゼ複合体を補充することによって、HIVの転写を劇的に増加させる(Weiら、Cell (1998)92:451-462))。Revが閾値濃度に達すると、Revはスプライシングされていないおよび単一のスプライシングをされたウイルス転写物の細胞質での蓄積を促進し、後期ウイルスタンパク質の生成に至る。
【0020】
Revは、HIV転写物のエンベロープコード領域に見出される1つのRNAモチーフ(Rev応答性エレメント、RRE)と、細胞の核外移行装置のコンポーネントとの間のコネクターとなって、このような効果を発揮する。TatとRevの存在下でのみ、HIVの構造遺伝子は発現され、新しいウイルス粒子が生成される(Luciw、上記)。
【0021】
第1世代のHIV由来ベクターでは(Naldiniら、Science、上記)、異種の転写シグナルからHIV-1コアタンパク質、酵素および補助因子を発現し、別のプラスミドから別のウイルスのエンベロープ、最も多くは水疱性口内炎ウイルスのGタンパク質(VSV.G; Burnsら、PNAS (1993) 90:8033-8037)を発現させて、ウイルス粒子が作製された。
【0022】
系の第2バージョンでは、HIV由来パッケージング成分は、HIV-1のgag遺伝子、pol遺伝子、tat遺伝子およびrev遺伝子に減らされた(Zuffereyら、Nat. Biotech. (1997) 15:871-875)。
【0023】
いずれの場合も、ベクター自身が、転写、キャプシド形成、逆転写、および組み込みに必要なHIV由来のシス作用性配列を持っていた(AldoviniおよびYoung、J.Virol (1990) 64:1920-1926; Berkowitzら、Virology (1995) 212:718-723、Kayeら、J. Virol. (1995) 69:6588-6592; Leverら、J. Virol. (1994) 63:4085-4087;McBrideら、J. Virol. (1989) 70:2963-2973; McBrideら、J. Virol. (1997)71:4544-4554; Naldiniら、Science(上記);およびParolinら、J. Virol. (1994)68:3888-3895)。
【0024】
したがって、そのようなベクターは5’から3’末端にかけて、HIV 5’ LTR、リーダー配列および5’スプライスドナー部位、gag遺伝子の約360塩基対(gag読み枠は合成終止コドンにより閉鎖)、RREおよびスプライスアクセプター部位を含むenv遺伝子の700塩基対、内部プロモーター、例えば、通常はヒトサイトメガロウイルス(CMV)のIE (immediate early)エンハンサー/プロモーターまたはホスホグリセロキナーゼ(PGK)遺伝子のプロモーター、外来遺伝子、およびHIV 3’ LTRを含んでいた。ベクター粒子は、293T細胞に構築物を同時トランスフェクションして産生される(Naldiniら、Science、上記)。この設計では、TatおよびRevの存在下でのみ、ベクターLTRからのかなりのレベルの転写および、かなりのレベルのスプライシングされないゲノムRNAの蓄積が起こる。
【0025】
細胞の感染は、標的細胞の核孔を通した組み込み前HIV複合体の活動的な核内輸送に依存する。これは、複合体内の、部分的に重複する複数の分子決定因子が、標的細胞の核内輸送装置と相互作用することによって生じる。同定された決定因子には、gagマトリックス(MA)タンパク質内の機能的な核局在化シグナル(NLS)、核親和性ビリオン関連タンパク質、vpr、およびgag MAタンパク質のC末端のホスホチロシン残基が含まれる。
【0026】
発明の概要
従って、本発明はパッケージングベクターおよび転移ベクターのような、パッケージングされ得るレンチウイルスベクター転写物と、レンチウイルスタンパク質の両方の合成を指令して、哺乳類細胞で高いタイターの組換えレンチウイルスの迅速な産生をする、新規の無力化したレンチウイルスベクターに関する。結果は、標的細胞に関心のある外来遺伝子を送達する、感染性のある粒子である。本発明は、ウイルス生産のための細胞株も提供する。
【0027】
発明の詳細な説明
本発明は、非分裂細胞に感染することができる組換えレンチウイルスを、それを製造する方法および手段と同様に、提供するものである。該ウイルスは、インビボおよびエキソビボでの、核酸配列の移入および発現に有用である。
【0028】
該レンチウイルスのゲノムおよびプロウイルスDNAは、レトロウイルスで見出された3つの遺伝子をもち、それらの3つの遺伝子とは、gag、polおよびenvであり、2つのLTR配列によって挟まれている。gag遺伝子は、内部構造(細胞間質、キャプシドおよびヌクレオキャプシド)タンパク質をコードし、pol遺伝子は、RNA依存性DNAポリメラーゼ(逆転写酵素)、プロテアーゼおよびインテグラーゼをコードし、かつ、env遺伝子は、ウイルスエンベロープ糖タンパク質をコードする。5'LTRおよび3'LTRは、ビリオンRNAの転写およびポリアデニル化を促進する役割をする。LTRは、他のすべての、ウイルスの複製に必要なシス作用の配列を含む。レンチウイルスは、vif、vpr、tat、rev、vpu、nefおよびvpx(HIV-1、HIV-2および/またはSIVにおける)を含む付加的な遺伝子をもつ。
【0029】
5'LTRの隣接部分は、ゲノムの逆転写(tRNAプライマー結合部位)、およびウイルスRNAの粒子への効率的なキャプシド形成(Psi部位)のために必要な配列である。キャプシド形成(またはレトロウイルスRNAの感染性ビリオンへのパッケージング)に必要な配列がウイルスのゲノムに欠損している場合には、該シス欠損により、ゲノムRNAはキャプシド形成されない。しかしながら、その結果生じる突然変異体は、あらゆるビリオンタンパク質の合成を命令する能力は残っている。
【0030】
本発明は、パッケージング機能、すなわちgag、polおよびenv、ならびにrevおよびtatを保有する2つまたはそれ以上のベクターで、適当な宿主細胞を形質移入することを含む、非分裂細胞に感染することができる組換えレンチウイルスを作製する方法を提供する。以下本明細書において開示されるように、ある特定の適用においては、機能的なtat遺伝子を欠失しているベクターが望ましい。このような例として、パッケージング細胞を作製するために、第一のベクターがウイルスのgagおよびウイルスのpolをコードする核酸を提供し、もう一つのベクターがウイルスのenvをコードする核酸を提供することができる。異種構造の遺伝子を提供するベクター(本明細書では転移ベクターとする)を該パッケージング細胞へ導入することにより、対象の外来遺伝子を保有する感染性ウイルス粒子を放出する産生細胞を産生する。
【0031】
本明細書に記載されているレンチウイルスのベクターは、3つの重複しない発現構築物によってパッケージングされていてもよく、それらは、HIVタンパク質を発現する2つの構築物、およびもう一つは、異なるウイルスのエンベロープを発現する構築物である。さらに、HIV-1パッケージングモチーフのステム-ループ構造に寄与するgag遺伝子の部分(McBrideら、前記)を除いて、キャプシド形成および逆転写に必要とされるものとして知られているあらゆるHIV配列(Leverら、前記;AldoviniおよびYoung、前記;およびKayeら、前記;MacBrideおよびPanganiban、前記;McBrideら、前記;Parolinら、前記;Luciw、前記)は、該構築物から欠如している。
【0032】
ベクターの生物学的安全性を向上させる第二のストラテジーとして、レンチウイルスのゲノムの複雑性を利用している。 効率的なベクターを作製するために必要とされるHIV-1遺伝子の最小限のセットは同定され、その残りのHIV読み枠のすべては、この系から削除された。除去された遺伝子の産生物は、ウイルスの生活環の完成および病原性にとって重要なものであるため、組換え体が、親のウイルスの病原性の特徴を獲得することはありえない。すべての4つのHIV補助遺伝子は、遺伝子の形質導入を妥協することなく、該パッケージング構築物から削除することができた(Zuffereyら、前記)。
【0033】
tat遺伝子は、HIV複製にとって非常に重要なものである。tat遺伝子の産生物は、知られている最も強力な転写のアクチベーターの中の一つであり、HIV誘導性疾患を特徴づける非常に高い複製率において、中枢の役割を果たしている(Haynesら、Science(1996) 271:324-328; Hoら、Nature(1995) 373:123-126;およびWeiら、Nature(1995) 373:117-122)。
【0034】
ベクター構築物における上流LTRの部分が、構成的に活性なプロモーター配列によって置換されている場合は、Tatのトランス作用機能は必ずしも必要ではない。さらにまた、トランス位にあるrevの発現により、gag/polのみを含むパッケージング構築物から高いタイターのHIV由来ベクターストックが作製可能となる。該設計により、相補性を条件としてパッケージング機能の発現は産生細胞においてのみ有効となる。その結果生じる遺伝子送達系は、HIV-1の9つの遺伝子のうちの3つのみを保存し、形質導入する粒子の作製のために4つの別々の転写単位に依存するものであるが、生物学的安全性において、格段の利益をもたらす。
【0035】
産生細胞において効率的な形質導入活性をもつベクターを作製するためにはTatが要求される。しかしながら、該要求は、ベクターRNAの構成的に高レベルの発現を誘導することにより補うことができる。HIV LTRからの基本的な転写が低いために、ベクターの転写の量を増加させ、ベクター粒子による効率的なキャプシド形成をさせるために、Tatが必要となる。Tatが欠損して作成された場合、ベクター粒子は、形質導入活性が10倍から20倍まで縮小される。しかしながら、移入構築物の5'LTRにおいて、HIV配列を強力な構成的なプロモーターで置換している場合には、Tat欠損で作製されたベクターは、形質導入活性において、2倍未満の減少を示すに留まる。Tatが、キメラのLTRからの転写を強く上昇的に調節したため、排出粒子の形質導入活性は飽和に達するにちがいない。このように、閾値に達するまでは、産生細胞における多数のベクターRNAが、形質導入における律速因子であるように思われる。考えられるところでは、上限は、ベクターRNAをキャプシド形成するために使用できる粒子の全排出量によって設定される。
【0036】
報告されている逆転写におけるTatについての付加的な役割の観点からでは、tat遺伝子の成功した欠失は予想されなかった(Harrichら、EMBO J. (1997) 16:1224-1235; およびHuangら、EMBO J. (1994) 13:2886-2896)。しかし、レンチウイルスのベクターの形質導入経路は、HIVの感染経路を一部分のみ模倣している。該ベクターは、関係のないウイルスのエンベロープによって偽型化され、任意の補助的遺伝子の産生物もなく、HIVのコアタンパク質を含むのみである。VSVエンベロープは、ベクターをエンドサイトーシスの経路を標的とし、HIV-1を、原形質膜での融合によって通常の入口のルートから再指向させることにより、感染の生態を有意に変化させていることが示された。例として、(VSV. G)HIV偽型ではなく、野生型のHIV-1の最適の伝染性には、NefおよびサイクロフィリンAが要求される(Aiken、J. Virol. (1997) 71:5871-5877)。また、ウイルスとベクターのゲノム間に、大きさや配列において違いが与えられた場合、逆転写の速度論は、遺伝子の形質導入にとってよりも、ウイルスの感染の確立にとって、より重大となる可能性がある。
【0037】
また、gag-polの発現、およびスプライスされていないパッケージ可能な転写物の蓄積についての、Rev依存性が使用された。ユー(Yu)ら(J. Virol. (1996) 70:4530-4537)は、Revへの依存性をHIV遺伝子の発現を誘導させるために使用することができることを以前に示した。コアパッケージング系は、2つの別々の重複しない発現構築物に分けられ、一つは、Rev依存性発現のために最適化されたgag-polの読み枠のためのものであり、もう一つは、Rev cDNAのためのものであり、それらによって使用することができる。そのようなパッケージング系は、産生量と形質導入効率の両方の点から見ると、前任者の実験に匹敵している。しかしながら、予測されるベクターの生物学的安全性については、有意に向上している。
【0038】
おそらく、効率性の低下を犠牲にすることになるが、Rev-RRE軸は、他のウイルスの構成的RNA輸送エレメントを使用することにより置換することができることは、示唆されていた(Srinivasakumarら、J. Virol. (1997) 71:5841-5848; およびCorbeauら、Gene Ther. (1998) 5:99-104)。この系のRev依存性を維持することにより、パッケージング系のHIV由来の構成部分の分割を通して、生物学的安全性に付加的なレベルを見込める。
【0039】
ベクターそれ自体、つまり、本明細書において開示されている新規に構築されたベクターの外側は、当技術分野において公知であり、ナルディニ(Naldini)ら、Science、前記;およびズフェレイ(Zufferey)らを参照されたい。一般的に、ベクターは、プラスミドを母体とするか、またはウイルスを母体とするものであり、外来の核酸を組込むため、選別するため、および核酸を宿主細胞へ移入するために必須の配列を保有するように形成されている。対象のベクターのgag遺伝子、pol遺伝子およびenv遺伝子もまた当技術分野において公知である。このように、関連した遺伝子は、選択されたベクターへクローン化され、その後、対象の標的細胞を形質転換するために使用される。
【0040】
上記に示されたベクターおよび外来遺伝子の配置に従って、ベクターは、ウイルスのエンベロープ(env)遺伝子をコードする核酸を提供することができる。env遺伝子は、レトロウイルスを含む、任意のウイルスから得ることができる。envは、好ましくは、ヒトや他の種の細胞への形質導入ができる広宿主性のエンベロープタンパク質である。
【0041】
エンベロープタンパク質に、抗体、または特定の細胞型の受容体を標的とするための特定のリガンドの連結により、組換えウイルスを標的とすることが望まれる可能性がある。例として、特定の標的細胞にある受容体に対するリガンドをコードする別の遺伝子とともに、対象の配列(調節領域を含む)をウイルスのベクターへ挿入することにより、ベクターは、その場合、標的特異的である。レトロウイルスベクターは、例として、糖脂質またはタンパク質を挿入することにより、標的特異的にすることができる。ターゲッティングは、レトロウイルスベクターを標的とするために、抗体の抗原結合部、または一本鎖抗体のような組換え抗体型分子を用いて、行われる場合が多い。レトロウイルスベクターを特定の標的に送達させるための特定な方法については、当業者にとって公知であり、または過度の実験をすることなく、容易に確かめることができるものである。
【0042】
レトロウイルス由来のenv遺伝子の例としては、以下のものが含まれるが、これらに限定されるものではない:モロニーマウス白血病ウイルス(MoMuLVまたはMMLV)、ハーヴィーマウス肉腫ウイルス(HaMuSVまたはHSV)、マウス乳癌ウイルス(MuMTVまたはMMTV)、テナガザル白血病ウイルス(GaLVまたはGALV)、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)およびラウス肉腫ウイルス(RSV)。その他、水疱性口内炎ウイルス(VSV)タンパク質G(VSV G)のようなenv遺伝子、肝炎ウイルスのenv遺伝子およびインフルエンザのenv遺伝子もまた、使用することができる。
【0043】
ウイルスのenv核酸配列を提供するベクターは、たとえば、プロモーターまたはエンハンサーなどの調節配列と機能的に結合されている。調節配列は、任意の真核生物のプロモーターまたはエンハンサーでよく、たとえば、モロニーマウス白血病ウイルスのプロモーターのエンハンサーエレメント、ヒトサイトメガロウイルスのエンハンサー、またはワクシニアP7.5のプロモーターが含まれる。いくつかの場合、モロニーマウス白血病ウイルスのプロモーターのエンハンサーエレメントのように、プロモーターのエンハンサーエレメントは、LTR配列の間にあるかまたは隣接した位置にある。
【0044】
好ましくは、調節配列は、ベクターが構築され由来となるレンチウイルスに内在していないものである。このように、ベクターが、SIVから作成されている場合には、SIV LTRに見出されるSIVの調節配列は、SIVを源としない調節領域によって置換されていると考えられる。
【0045】
VSV Gタンパク質は、VSV Gが組換えウイルスに広い宿主範囲を与えるという理由から、望ましいenv遺伝子である一方で、VSV Gは宿主細胞に有害でありうる。このように、VSV Gについてのような遺伝子が使用されている場合、VSV Gが発現を要求されていない場合に、宿主への毒性を最小限にするためにVSV G発現を調節できるような誘導性プロモーター系を使用することが好ましい。
【0046】
たとえば、ゴッセン(Gossen)およびブジャード(Bujard)のテトラサイクリン調節型遺伝子発現系(Proc. Natl. Acad. Sci. (1992) 89:5574-5551)を用いて、テトラサイクリンが移入された細胞から引き出される場合にVSV Gの条件付きまたは誘導性発現を起こすことができる。このように、tet/VP16トランスアクチベーターは、第一のベクター上に存在し、VSV Gコード配列は、もう一つのベクター上でtetオペレーター配列によって制御されるプロモーターから下流においてクローニングされる。
【0047】
そのようなハイブリッドプロモーターは、転移ベクターのLTRの3'U3領域の代わりに挿入することができる。そのような転移ベクターの使用により作製されたベクター粒子による標的細胞の形質導入の結果として、ハイブリッドプロモーターは、逆転写で5'U3領域へコピーされると思われる。標的細胞において、そのような遺伝子の条件付き発現は、tTAの存在下でのみ(たとえば、tTAを発現している適当なパッケージング細胞系の形質導入の後)、完全長のパッケージングベクターの転写物の発現を活性化させることができる。
【0048】
産生細胞におけるそのようなベクターの使用は、必要な場合のみ、高レベルで、パッケージ可能なベクターのmRNAメッセージの産生を「開始する」ことができる。対照的に、tTAを発現しない細胞の形質導入においては、ハイブリッドプロモーターは転写については休止状態になる。そのような転写の休止は、異種構造のプロモーターの基本的な転写活性を上昇へと調節することができることで知られている、HIV Tatタンパク質の存在下においてさえも、維持された。プロモーター系は、形質導入された細胞が野生型HIV-1によって感染されている場合でさえも、ベクターのゲノムの可動化の可能性を大幅に減らしている。
【0049】
もう一つの態様は、パッケージングのコード配列と転移ベクター構築物との間の配列の相同性(配列の重複部分)を除去しているレンチウイルスに基づくレトロウイルスベクター系に関連する。重要なことには、そのような構築物の使用によって作製されたベクター粒子は、形質導入の可能性を高レベルに保っている。ベクター作製系におけるそのような構築物の使用により、最も有意に組換え減少の頻度を減らせることが予想され、そのようなベクター系に関連した生物学的安全性においての、有意な進歩である。
【0050】
gag-polのコードするmRNAの中いたるところに、いくつかのシス作用抑制配列(CRS)が存在していることは知られている。該配列は、mRNAの該細胞の細胞質への輸送を妨げ、それにより、コードされたタンパク質の発現を阻止する。CRSの作用を抑制するために、HIV-1 mRNAは、Revタンパク質が結合する可能性のあるRREと呼ばれる抗抑制シグナルを含んでいる。その場合、HIV-1 mRNA-Rev複合体は、該細胞の細胞質へ効率的に輸送され、そこで該複合体は分離し、mRNAは翻訳に使用できる。
【0051】
パッケージングベクターを発現するGagおよびGag-Polにおいて必要なHIV配列の最小限の量を選ぶために、少なくとも2つの方法が使用できる。第一番目として、gag-pol遺伝子のみを挿入することができた。その場合、CRSのすべて、または少なくともCRSのほとんどを同定し、コード化されたアミノ酸配列に影響を与えることなく、突然変異させる必要があると思われる。それが達成される場合には、Rev遺伝子を該ベクター系から除去することができる。
【0052】
第二番目として、最小限のRREエレメントをgag-pol発現カセットに導入することができ、それにより、該配列は、その結果生じるmRNAの一部となると考えられる。その場合、GagおよびGag-Polポリタンパク質の発現には、抗リプレッサー、Revの存在が要求されると考えられる。Revタンパク質それ自身は、しかしながら、gag-pol発現ベクターの一部である必要はなく、独立したものからトランス位に提供されることができ、好ましくは、gag-pol発現カセットと重複しないようにする。
【0053】
転移ベクターmRNAの効率的な作製のためにRevタンパク質が要求されない系において、rev遺伝子およびRREエレメントは、いっそうの生物学的安全性のための処置として、ベクター系から除去されてもよい。しかしながら、そのような系において、相同的または非相同的組換えの発生の結果として、gag-pol遺伝子の全体または一部がベクターの受容者へ移入されるならば、発現が起こる可能性がある。
【0054】
対照的に、gag-pol遺伝子発現がRevに依存しているベクター系は、価値のある安全な選択肢である可能性がある。このように、ベクター系を使用しているRevが、そのすべての構成要素が相同性のある配列をもたないように設計されている場合には、万一、gag-pol配列をベクター受容者へ移入するという結果が生じるような可能性の低い組換え現象の場合においても、移入された組換え体が、発現可能な、Revと同様RREエレメントの両方ともをコードする配列を含む必要があるので、発現する可能性はかなり低い。
【0055】
適するベクターとしては、7型ベクターがあり、2型ベクターと比較して、以下に示す、HIV-1配列のさらなる改変を組込んでいる:完全長mRNAのスプライシングを妨げるためのSD部位の間の1塩基変異;HIV-1 SA部位および隣接配列の欠如;5'gag ORFの43塩基のみを含む;およびRREエレメントの欠如。7型ベクターは、pMDLg/pRREパッケージングベクターと相同性をもち、pMDLg/pRRE.2パッケージングベクターおよびpMDLg/pRRE.3パッケージングベクターとは相同性をもたない、43塩基のみを含む。下記の表1は、記載された、最小限に重複する構築物および重複しない構築物のトランスフェクションによって得られるベクタータイター量の例を示している。
【0056】
【表1】
【0057】
HIV由来のベクターについて興味ある主な性質とは、非分裂細胞および分裂の遅い細胞、ならびに組織を形質導入する能力であるから、重複しないベクターを、細胞周期停止細胞への形質導入について試験した。MoMLVベクターと対照的に、最小限に重複するHIV由来ベクターは、分裂細胞および増殖停止細胞の両方において形質導入の可能性を維持していた。
【0058】
さらにまた、パッケージングベクターgag-pol mRNAに存在するHIV-1 RNAエレメントが、特定の条件下で、放出されるベクター粒子へとメッセージのかなりの量を特異的なキャプシド形成を導くことが観察された。該エレメントは、HIV-1の主なスプライス供与部位(SD)としての役割をもち、少なくともGACUGGUGAGのヌクレオチドからなる。転移ベクターの発現がない場合、pMDLg/pRREパッケージング構築物によってのみ産生されたベクター粒子は、検出可能なgag-pol RNAメッセージをもたない。ベクター粒子を産生する細胞から抽出された全RNAの解析から、あらゆる場合において発現レベルは似ていることが示された。試験されたパッケージングベクターの5'mRNA領域を比較することにより、上記で明記された配列は、メッセージを特異的にキャプシド形成するようにさせる決定因子であることが明らかになった。
【0059】
異種構造の核酸配列または外来の核酸配列、つまり外来遺伝子は、機能的に調節核酸配列に連結されている。本明細書で用いられるように、「異種構造」核酸配列という用語は、外来種起源の配列を指し、または、同種の場合には、原型から実質的に改変されている可能性がある。または、細胞において通常発現しない、変化されていない核酸配列は、異種構造の核酸配列である。
【0060】
「機能的に連結された」という用語は、調節配列と異種構造の核酸配列との間を連結し、その結果後者の発現を生じるような機能的連結を指す。好ましくは、異種構造の配列は、プロモーターに連結され、その結果、キメラ遺伝子を生じる。異種構造の核酸配列は、好ましくは、ウイルスのLTRプロモーターのエンハンサーシグナルまたは内部プロモーターのいずれかの制御下におかれ、レトロウイルスLTRの間に保持されたシグナルは、さらに、外来遺伝子の効率的な発現を引き起こすことができる。
【0061】
外来遺伝子とは、転写することのできる任意の対象の核酸でありうる。一般的に、外来遺伝子は、ポリペプチドをコードする。好ましくは、該ポリペプチドは、いくらか治療上への恩恵をもっている。該ポリペプチドは、宿主細胞における内因性タンパク質の発現の欠損または欠如を補充することができる。該ポリペプチドは、キメラのシグナル伝達受容体のような、宿主細胞において、新たな性質を与えることができ、米国特許第5,359,046号を参照されたい。当業者が、本明細書で教授されたり当技術分野において公知である技術を実践することにより、外来遺伝子の適切さを決定することができる。例として、技術者は、外来遺伝子がキャプシド形成に適当な大きさであるかどうか、かつ外来遺伝子産物が正確に発現されているかどうかを知ることができると考えられる。
【0062】
本発明の方法による分子の導入によって、細胞において分子を制御する遺伝子の発現を変調することが望まれる可能性がある。「変調する」という用語は、過剰に発現している場合の遺伝子の発現の抑制、または発現が十分である場合の発現の増加を示す。細胞の増殖異常が、遺伝子の発現に関連しているところでは、翻訳レベルで遺伝子の発現を妨げる核酸配列が使用できる。該アプローチは、例として、アンチセンス核酸、リボザイムまたはトリプレックス剤を使用することができ、mRNAをアンチセンス核酸もしくはトリプレックス剤でマスキングするか、またはリボザイムで同じものを切断するかにより、特定のmRNAの転写または翻訳を妨げることができる。
【0063】
アンチセンス核酸は、少なくとも特定のmRNA分子の部分と相補性がある、DNA分子またはRNA分子である(Weintraub、Sci. Am. (1990) 262:40)。細胞において、アンチセンス核酸は、対応するmRNAとハイブリダイズして、二本鎖分子を形成する。細胞は二本鎖であるmRNAを翻訳しないので、アンチセンス核酸は、該mRNAの翻訳を妨げる。好ましくは、約15のヌクレオチドまたはそれ以上のアンチセンスオリゴマーである。というのは、そのようなものは容易に合成され、標的細胞へ導入される場合、より大きな分子よりも問題を引き起こす可能性が低い。インビトロでの遺伝子の翻訳を阻害するためのアンチセンス方法の使用は、当技術分野においてよく知られている(Marcus-Sakura, Anal. Biochem. (1988) 172:289)。
【0064】
アンチセンス核酸は、アルツハイマー病において蓄積するアミロイド前駆体タンパク質のような、突然変異タンパク質または優性的に活性のある遺伝子産物の発現を阻止するために使用することができる。そのような方法はまた、ハンティングトン舞踏病、遺伝性パーキンソン症候群および他の疾患の治療のために有用である。アンチセンス核酸はまた、毒性に関連したタンパク質の発現の阻害にとっても有用である。
【0065】
オリゴマーは二本鎖DNAのまわりに巻き付いて、三本鎖のヘリックスを形成するので、転写を引き止めておくためにオリゴヌクレオチドを使用することは、トリプレックスストラテジーとして知られているメカニズムによって可能である。それにより、該トリプレックス複合体を選ばれた遺伝子上にある独特の部位を認識するように設計することができる(Maherら、Antisense Res and Dev. (1991) 1(3):227; Helene、Anticancer Drug Dis. (1991) 6(6):569)。
【0066】
リボザイムは、DNA制限エンドヌクレアーゼと類似した方法で、他の一本鎖RNAを特異的に切断する能力をもつ、RNA分子である。それらのRNAをコードするヌクレオチド配列を改変することで、RNA分子において特定のヌクレオチド配列を認識し、切断する分子を作製することが可能である(Cech, J. Amer. Med. Assn. (1988) 260:3030)。該方法の主な利点は、特定の配列をもつmRNAのみを不活性化することである。
【0067】
生物学的応答変更因子をコードする核酸を移入することが望まれる。該範疇に含まれるものには、例としてインターロイキン1〜12のような「インターロイキン」として分類される多数のサイトカインをコードする核酸を含む免疫強化剤がある。また該範疇に含まれるものとして、必ずしも同じメカニズムに係り作用するものではないが、インターフェロン、特にガンマ-インターフェロン(γ-IFN)、腫瘍壊死因子(TNF)、および顆粒球マクロファージコロニー刺激因子(GM-CSF)がある。先天性の酵素的欠損または免疫欠陥を治療するためにそのような核酸を骨髄細胞またはマクロファージへ送達することが望まれる。成長因子、毒性ペプチド、リガンド、受容体、または生理学上重要なタンパク質をコードする核酸もまた、特定の非分裂細胞へ導入することができる。
【0068】
このように、本発明の組換えレンチウイルスは、HIV感染細胞(たとえば、T細胞またはマクロファージ)を抗HIV分子で治療するために使用することができる。さらに、たとえば、嚢胞性線維症の治療のため、嚢胞性線維症膜貫通型調節蛋白(CFTR)に対する遺伝子をもつ本発明の組換えレンチウイルスで、呼吸上皮を感染させることができる。
【0069】
本発明の方法はまた、ニューロン、膠、繊維芽細胞もしくは間充織細胞の移植、または「移植術(grafting)」、にとって有用でありうる。それは、エキソビボで本発明の組換えレンチウイルスで感染された細胞の移植、または、中枢神経系へもしくは宿主の脳の脳室空洞や表面硬膜下へのインビボでの感染を含む。グラフティングについてのそのような方法は、当業者にとって公知であり、「哺乳動物のCNSにおける神経移植(Neural Grafting in the Mammalian CNS)」、ブジョークルンド(Bjorklund)およびステネヴィ(Stenevi)編(1985)に記載されている。
【0070】
タンパク質生成物の欠損による疾患に関して、遺伝子の移入により、アンチセンス突然変異を用いて疾患の動物モデルを作成するのと同様に、代替治療として、正常の遺伝子を冒されている組織へ導入することができた。例として、第VIII因子または第IX因子のコードする核酸を筋肉、脾臓、または肝臓の細胞の感染のために、レンチウイルスへ挿入することが望まれる可能性がある。
【0071】
プロモーター配列は、所望の遺伝子配列と同種構造または異種構造であってよい。ウイルスや哺乳動物のプロモーターを含め、広い範囲のプロモーターを使用してもよい。特定の細胞個体群において遺伝子配列の発現を標的にするためには、細胞特異的プロモーターまたは組織特異的プロモーターを使用することができる。本発明にとっての適する哺乳動物およびウイルスのプロモーターは、当技術分野において入手可能である。適するプロモーターとは、誘導的または条件付きのものである。
【0072】
クローニング段階の間、選択的に、パッケージングシグナルおよび異種構造のクローニング部位をもつ、転移ベクターと呼ばれる核酸構築物は、また、選択マーカー遺伝子を含んでいる。マーカー遺伝子は、ベクターの存在をアッセイするために使用され、このようにして、感染および組込みを確認できる。マーカー遺伝子の存在は、挿入部分を発現しているそれらの宿主細胞のみの選択と増殖を確実にする。典型的な選択遺伝子は、たとえば、ヒスチジノール、ピューロマイシン、ハイグロマイシン、ネオマイシン、メトトレキセートなどの抗生物質および他の毒性物質に対する耐性を与えるタンパク質、ならびに細胞表面マーカーをコードしている。
【0073】
本発明の組換えウイルスは、核酸配列を哺乳動物細胞へ転移することができる。「核酸配列」という用語は、任意の核酸分子を指しており、本明細書で詳細に考察しているように、好ましくはDNAである。該核酸分子は、DNA、cDNA、合成DNA、RNA、またはそれらの組合せを含め、種々の提供源から取り出されいてもよい。そのような核酸配列は、自然発生のイントロンを含んでいるまたは含んでいないゲノムDNAを含んでいてもよい。さらには、そのようなゲノムDNAは、プロモーター領域と関連して、ポリA配列または他の関連配列を得ていてもよい。ゲノムDNAは、当技術分野においてよく知られている方法によって、適当な細胞から抽出および精製されてもよい。または、メッセンジャーRNA(mRNA)は、細胞から単離することができ、逆転写または他の手段によって、cDNAを作成するために使うことができる。
【0074】
好ましくは、本発明の方法によって作製される組換えレンチウイルスは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の派生物である。envは、HIVとは別のウイルス由来であると考えられる。
【0075】
本発明の方法は、いくつかの態様において、上記で考察したように、gag、pol、env、tat、およびrevのような、組換えビリオンのパッケージングに要求されるあらゆる機能を提供する3つのベクターを提供する。本明細書で言及したように、tatは、予期しない恩恵のために、機能的に欠失されてもよい。ベクターが形質転換するためや組換えレンチウイルスを産生するためのパッケージング細胞系を作製するために使用される限り、使用されるベクターの数に制限はない。
【0076】
ベクターは、トランスフェクションまたは感染によって、パッケージング細胞系へ導入される。パッケージング細胞系は、ベクターゲノムを含むウイルス粒子を作製する。トランスフェクション法または感染法は、当業者によく知られている。パッケージングベクターおよび転移ベクターをパッケージング細胞系へ同時形質移入した後、組換えウイルスは培地から回収され、当業者によって使用されている標準的な方法により、タイターを測定される。
【0077】
このように、パッケージング構築物は、リン酸カルシウムトランスフェクション、リポフェクション、エレクトロポレーション、または他の方法によって、ヒト細胞系へ導入することができ、一般的には、neo、DHFR、グルタミン合成酵素、またはADAのような優性の選択マーカーと共に導入され、続いて、適当な薬剤の存在下での選択およびクローンの単離を行う。選択マーカー遺伝子は、該構築物において、パッケージング遺伝子と物理的に連結させることができる。
【0078】
パッケージング機能が適切なパッケージング細胞によって発現されるように形成されているところの安定な細胞系は、公知である。例として、米国特許第5,686,279号、およびオリー(Ory)ら、Proc. Natl. Acad. Sci. (1996) 93:11400-11406は、パッケージング細胞について記載しているので、参照されたい。
【0079】
ズフェレイ(Zufferey)ら(前記)は、HIV-1 env遺伝子を含むpolの配列3'が欠失しているレンチウイルスのパッケージングプラスミドについて教授してくれている。該構築物は、tat配列およびrev配列を含み、3'LTRは、ポリA配列で置換されている。5'LTR配列およびpsi配列は、誘導性プロモーターのような、別のプロモーターによって置換されている。例として、CMVプロモーターまたはそれらの派生物を使うことができる。
【0080】
対象のパッケージングベクターは、レンチウイルスのタンパク質発現を高めたり、安全性を高めたりするために、パッケージング機能への付加的な変化を含んでいる。例として、gagの上流のHIV配列のすべては、除去することができる。また、envの下流の配列も除去することができる。さらに、RNAのスプライシングや翻訳を亢進するためにベクターを改変するという段階をとることもできる。
【0081】
複製コンピテントレンチウイルスを作製することが、さらにより可能性があるベクターを提供するために、本発明は、tat配列、つまり、転写メカニズムを通してウイルスの発現を促進する調節タンパク質が、機能的に欠失している、レンチウイルスパッケージングプラスミドのために提供する。このように、tat遺伝子は、一部もしくは全体を削除することができる、または、tat配列に対して種々の点突然変異もしくは他の突然変異を生じさせることにより、該遺伝子を機能しないようにすることができる。当業者は、公知の技術を実行することにより、tat遺伝子を機能させなくすることができる。
【0082】
ベクターを構築するためや形質移入するためや細胞を感染させるために使用される技術は、当技術分野において広く行われている。従事者は、特定の条件や過程を記述する標準の供給源となる材料を熟知している。しかしながら、便宜のために、次の段落は、ガイドラインとして役に立つ可能性がある。
【0083】
本発明のベクターの構築は、当技術分野においてよく理解されている標準のライゲーションおよび制限酵素技術を用いる(Maniatisら、「分子クローニング:実験マニュアル(Molecular Cloning: A Laboratory Manual)」、Cold Spring Harbor Laboratory、N.Y.、1982を参照)。単離されたプラスミド、DNA配列、または合成されたオリゴヌクレオチドは、切断され、仕立てられ、そして所望の形に再びライゲーションされる。
【0084】
部位特異的DNA切断は、当技術分野において理解されている条件の下、適当な制限酵素で処理することにより行われ、その詳細は、制限酵素を商業的に入手できる作製会社により明細に記されており、たとえば、ニューイングランドバイオラボズ(New England Biolabs)の製品カタログを参照されたい。通常では、約1 μgのプラスミドまたはDNA配列は、約20 μlのバッファー溶液中の1ユニットの酵素で切断される。典型的には、制限酵素を過剰に加えて、DNA基質の完全な消化を確実にする。変動は許容されうるが、約37℃で約1時間から2時間までのインキュベーション時間で行われる。おのおのインキュベーションした後、フェノール/クロロホルムでの抽出によりタンパク質を除去するが、引き続き、エーテル抽出を行ってもよい。そして、エタノール沈殿により水溶性画分から核酸を回収する。必要に応じて、切断された断片を標準的技術を用いて、ポリアクリルアミドゲルまたはアガロースゲルの電気泳動により、大きさで分離してもよい。大きさでの分離についての一般的な解説は、「酵素学の方法(Methods of Enzymology)」、65:499-560 (1980)に載っている。
【0085】
制限酵素切断断片は、50 mM トリス(pH 7.6)、50 mM NaCl、6 mM MgCl2、6 mM DTT、および5〜10 μM dNTP'sにおいて、20℃で、約15分から25分までのインキュベーション時間を用いて、4つのデオキシヌクレオチドトリフォスフェイト(dNTP)の存在下で、大腸菌(E. Coli)DNAポリメラーゼIのラージフラグメント(クレノウ(Klenow))で処理することにより、末端を平滑化してもよい。クレノウフラグメントは、5'の付着末端でふさぐが、4つのdNTPが存在している場合さえも、突出している3'の一本鎖を咀嚼して戻す。必要に応じて、付着末端の性質によって指図される制限内において、dNTP'sのうちの1種類のみ、または選択された複数のdNTPで提供することにより、選択的修復を行うことができる。クレノウでの処理後、混合物は、フェノール/クロロホルムで抽出され、エタノール沈殿させる。適当な条件下、S1ヌクレアーゼまたはBal-31で処理することにより、いずれの一本鎖部分も加水分解される。
【0086】
ライゲーションは、次の標準的な条件および温度の下、15 μl〜50 μlの容量において行うことができる:20 mM トリス-Cl pH 7.5、10 mM MgCl2、10 mM DTT、33 mg/ml BSA、10 mM〜50 mM NaCl、および40 μM ATP、0.01(Weiss)ユニット〜0.02(Weiss)ユニットのT4 DNAリガーゼ、0℃(「付着末端」のライゲーション用)か、または1 mM ATP、0.3(Weiss)ユニット〜0.6(Weiss)ユニットのT4 DNAリガーゼ、14℃(「平滑末端」のライゲーション用)のいずれか一方。分子間の「付着末端」のライゲーションは、通常、全DNA濃度が33 μg/ml〜100 μg/ml(全最終濃度5 mM〜100 mM)で行われる。分子間の平滑末端のライゲーション(通常、リンカーの10倍〜30倍過剰モル濃度を用いる)は、全最終濃度1 μMで行われる。
【0087】
このように、本発明に係って、レンチウイルスのパッケージングベクターは、プロモーターおよび当業者によって決定された他の選択的または必須の調節配列、gag、pol、rev、envまたはそれらの組合せを含み、しかも、tatを特別に機能的または作用的に切り出し、そして選択的に、他のレンチウイルスの補助遺伝子を含むように作成される。
【0088】
レンチウイルスの転移ベクター(Naldiniら、Science、前記; Proc. Natl. Acad. Sci.、前記)は、インビトロでヒト成長停止細胞を感染させたり、成体ラットの脳への直接的注入後、ニューロンを形質導入するために使用されてきた。該ベクターは、インビボでマーカー遺伝子をニューロンへ移入することに有能であり、検出される病状がない状態で長期間発現が達成された。該ベクターの1回の注入の後、10ヶ月間(これまでで最も長い試験期間)、動物を分析したところ、外来遺伝子の発現の平均レベルにおける減少、および組織的病状または免疫反応についての兆候は見られなかった(Blomerら、前記)。HIVの病原性遺伝子、env、vif、vpr、vpu、およびnefを非分裂細胞を形質導入するという該ベクターの能力を傷つけることなく、欠失されたレンチウイルスベクターの改良版は、向上してきた。多様に減毒された形のものは、ベクターの生物学的安全性において実質的な進歩を意味する(Zuffereyら、前記)。
【0089】
形質導入された細胞において、組み込まれているレンチウイルスベクターは、通常、それぞれの末端にLTRをもっている。5'LTRは、特にHIV感染細胞において、組換えの基質となりうる「ウイルス」の転写物の蓄積を引き起こす可能性がある。3'LTRは、結果として細胞性がん原遺伝子を活性化するという危険性をもつ下流の転写を促進する可能性がある。
【0090】
U3配列は、HIV LTRの大部分を含む。U3領域は、感染細胞においてHIVゲノムの基本的な発現および誘導性発現を調節し、かつ細胞の活性化に応じて調節する、エンハンサーおよびプロモーターの領域を含んでいる。プロモーター領域のいくつかは、ウイルス複製にとって必須である。エンハンサーエレメントのいくつかは、ウイルス単離株間で高度に保存されており、ウイルスの病原性における決定的な毒性因子として掛かり合ってきた。エンハンサーエレメントは、ウイルスの異なる細胞標的において複製率に影響を与えるように作用する可能性がある(Marthasら、J. Virol. (1993) 67:6047-6055)。
【0091】
ウイルスの転写は、5'LTRのU3領域の3'末端で開始するので、それらの配列はウイルスのmRNAの部分ではなく、3'LTRからのそれらのコピーが、組込まれたプロウイルスにおいて、両方のLTRの生成のための鋳型として働く。U3領域の3'コピーが、レトロウイルスベクターの構築物において変化させられた場合には、産生細胞においては、ベクターRNAは無傷の5'LTRから依然として作製されるが、標的細胞においては、再生されることはできない。そのようなベクターの形質導入の結果、子孫ウイルスにおいて、両方のLTRの不活性化を生じる。このように、そのレトロウイルスは、自己不活性(SIN)であり、それらのベクターはSin転移ベクターとして知られている。
【0092】
しかしながら、3'LTRにおける欠失の範囲に制限がある。第一に、U3領域の5'末端は、ベクター移入においての別の必須機能を提供し、組込みに必要とされる(末端ジヌクレオチド+att配列)。末端ジヌクレオチドおよびatt配列は、削除することができるU3配列の5'境界を示す可能性がある。さらに、いくつかのゆるく限定された領域は、R領域において下流のポリアデニル化部位の活性に影響を及ぼす可能性がある。3'LTRからのU3配列の過剰な欠失は、ベクター転写物のポリアデニル化を減少させ、産生細胞においてのベクターのタイターおよび標的細胞においての外来遺伝子発現の両方に不利な結果をもたらす可能性がある。他方、制限された削除では、形質導入された細胞においてLTRの転写活性を排除することはないと考えられる。
【0093】
本明細書に記載されたレンチウイルス転移ベクターの新しい型は、3'LTRのU3領域の欠失が増えている(図1:U3の欠失はU3 LTRのヌクレオチド-418から指示されている位置:SIN-78、SIN-45、SIN-36、およびSIN-18までわたる。)。3'LTRからU3配列のほとんど完全に削除されているレンチウイルスベクターは、産生細胞におけるベクターのタイターも標的細胞における外来遺伝子の発現のどちらも損なうことなく、開発された。最も広範囲の削除(-418位から-18位)は、TATAボックスまで広がっているが、それゆえ、形質導入された細胞においてLTRのどの転写活性も排除されない。このように、3'削除について制限を弱めるのなら、TATAボックスを含めたところまで広げてもよい。欠失は、U3領域の残余部分からR領域まででもよい。それにより、ベクターの安全性において劇的な効果が現れる。様々な欠失は当技術分野において公知の方法を実施して行われた。
【0094】
驚くべきことに、SINベクターによって形質導入された細胞において、外来遺伝子の平均発現レベルが、より手のかかっていないベクターと比較して、いっそう高くなっていた。それはたぶん、内在のプロモーター上で、上流HIV LTRから転写の干渉が除去されたためであると考えられる。そのようなU3領域を広範囲に欠失されたSIN型ベクターは、マウス白血病ウイルス(MLV)を母体とするレトロウイルスベクターにとっては、形質導入効率を損なうことなしに産生することはできなかった。
【0095】
転移ベクター構築物の5'LTRは、U3領域の転写調節領域の一部またはすべてを異種構造のエンハンサー/プロモーターで置換することにより改変された。該改変は、産生細胞において転移ベクターRNAの発現を増大させるためと、HIV tat遺伝子の非存在下でベクターを生産できるようにするためと、上記記載のSINベクターを「救出する」ための、3'欠失型ベクターと再結合することができるHIV LTRの野生型コピー上流を除去するために、作成された。
【0096】
このように、上記記載の5'LTRに改変を含むベクター、5'ベクターは、発現を増大させる配列をもつことから、転移ベクターとしての用途が見出され、tatを発現しないパッケージング細胞と組み合わせて使用することができる。
【0097】
そのような5'ベクターはまた、本明細書上記で考察したように、3'LTRに改変を保有することにより、発現を増大させて、tatを発現しないパッケージング細胞の中で使用することができるだけではなく、同様に、自己不活性化であることができる改良された転移ベクターを作製することができる。
【0098】
HIV LTRからの転写は、tatタンパク質のトランスアクチベーター機能に高く依存している。産生細胞に存在するコアパッケージング構築物によって発現される場合が多い、tatの存在の下では、HIV LTRからのベクター転写は強く刺激される。該完全長の「ウイルスの」RNAはパッケージングシグナルを完全に補足するものであるから、該RNAはベクター粒子へと効率的にキャプシド形成され、標的細胞へ移入される。産生細胞におけるパッケージングのための利用可能なベクターRNAの量が、感染性のベクターの作製においての律速段階である。
【0099】
エンハンサー、または5'LTRのエンハンサーとプロモーター領域は、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)またはラウス肉腫ウイルス(RSV)の、エンハンサーもしくはエンハンサーとプロモーターで、各々に置換された。構築物の概略図およびハイブリッドベクターのコード名は図2を参照されたい。CCLベクターおよびRRLベクターは、5'U3領域を完全に置換したものである。
【0100】
対照のレンチベクターHR2とパネルの5'ハイブリッドが、転移ベクターで形質移入された産生細胞において比較され、tatトランスアクチベーターを提供するパッケージング構築物がある場合とない場合において比較した。4つのキメラのベクターの転写レベルは、パッケージング構築物が存在する場合と存在しない場合の両方において、対照のレンチベクターのそれよりも高い。すべてのキメラのベクターは、効率的に、外来遺伝子を標的細胞へ移入し、RRLベクターは、対照のHR2ベクターと同様の働きをする。最後に、標的細胞におけるベクターの組込みは、形質導入後、初期および後期の経過時において、形質導入された細胞を調べることにより、確かめられた。外来遺伝子陽性の細胞の割合において、減少は見られず、ベクターが組込まれたことを示している。
【0101】
パッケージング構築物の非存在下で、産生細胞において得られる5'LTR改変転移ベクターRNAの高い発現レベルは、機能するtat遺伝子がない場合には、産生しているベクターが、機能しうることを示している。本明細書上記で開示された、パッケージングプラスミドについて示したように、tat遺伝子の機能的な欠失は、tatタンパク質に関連する病原性活性を与えるほどのレンチウイルスベクター系に、生物学的安全性のより高いレベルを与えることになると思われる。このように、意義深く改善された生物学的安全性のレンチウイルスベクターは、5'末端も3'末端のどちらにもHIV LTRの野生型コピーをもたないSIN転移ベクターであり、本明細書に記載されたように、tatのないパッケージングベクターと共に使用される。
【0102】
トランスフェクションの48時間後、ウイルスの上清液は、上清液のろ過のような標準的技術を用いて収集される。ウイルスのタイターは、8 g/mlのポリブレン(Sigma Chemical社、St. Louis, MO)の存在下で、ウイルスの上清液の適当な量で、たとえば、106 NIH 3T3細胞または105 HeLa細胞を感染させることにより測定される。48時間後、形質導入効率をアッセイする。
【0103】
このように、本発明は、高いタイターの組換えウイルスを作製するための方法および手段を提供する。それらのウイルス粒子調製物は、当技術分野において公知である技術を用いて標的細胞を感染させるために使用することができる。このように、本発明は、標的細胞を宿主から取り出し、公知の技術を実施して培養において形質導入し、そして宿主へ戻すという、エキソビボでの遺伝子治療への適用に用途が見出せると思われる。
【0104】
本発明は、本明細書で詳細に記載され、以下において提供されるものは、本発明の種々の態様を明らかにする実施例であり、これに限定されるものではない。
【0105】
実施例 1
レンチウイルスパッケージングプラスミドの作製
レンチウイルスパッケージングプラスミドは、以前にZuffereyら、上記に記述されたプラスミドpCMVΔR8.9 (ΔVprΔVifΔVpuΔNef)から作製された。pCMVΔR8.9のnef遺伝子の残っている配列は全て、XhoIおよびBstEIIで消化して除去し、クレノウで充填し、再連結した。この作製作業で100塩基対が削除され、HIV-1の切断されたenv読み枠が、ゲノムのインスリンポリアデニル化部位に接続され、プラスミドpCMVΔR8.73が生成した。
【0106】
本発明の別の態様では、CMVプロモーターの下流のCMV由来配列133塩基対が、プラスミドpCMVΔR8.73で削除された。この配列には、スプライスのドナー部位が含まれており、これはプラスミドpCMVΔR8.73をSacIIで消化し、大きいほうの断片を再連結することによって除去され、プラスミドpCMVΔR8.74が得られた。
【0107】
本発明の別の態様では、コンセンサス5’スプライスドナー部位を除いて、gag遺伝子の開始コドンの上流にあるプラスミドpCMVΔR8.74中に残る全てのHIV由来配列が除去された。同時に、gag遺伝子の上流の配列は、翻訳効率を最適化するように変更され、プラスミドpCMVΔR8.75が得られた。pCMVΔR8.75は、94 bpのSstII-ClaI断片を
からなるSstII-ClaIオリゴヌクレオチドリンカーで置換することによって、プラスミドpCMVΔR8.74から得られた。
【0108】
本発明の別の態様では、CMVプロモーターを含むpCMVΔR8.74のPstI-SacII断片を、最小CMVプロモーターに結合したテトラサイクリンオペレーター配列が7つ縦に連結したコピーで置換して、誘導性パッケージ構築物が得られた。tetに制御されるパッケージングプラスミドpTetΔR8.74が得られた。
【0109】
実施例 2
レンチウイルス転移ベクターの作製
レンチウイルス転移ベクタープラスミドは、以前にNaldiniら、Science、上記に記述されたプラスミドpHR’-CMV-LacZに由来した。pHR2は、HIV1配列を減少させ、外来遺伝子のクローニングを容易にするために、pHR’中の3’ LTRの上流の124bpのnef配列が、ポリリンカーによって置換された、レンチウイルス転移ベクターである。pHR2は、pHR’-CMV-LacZ由来の4.4 kb StuI-NcoI断片および4.5 kbNcoI-ClaI断片との3部からなる連結において、オリゴヌクレオチド
を用いてpHR’-CMV-LacZを鋳型としたPCRによって作製された828 bpのClaI-StuI断片によって、4.6 kb ClaI-StuI断片を置換することによって、pHR’-CMV-LacZから得られた。
【0110】
本発明の別の態様では、pHR3はpHR2のRev応答性エレメント(RRE)の上流のenvコード配列(ATGを含む)の148 bpが削除された、レンチウイルス転移ベクターである。pHR3は、pHR2の893 bpのNotI-SpeI断片を、オリゴヌクレオチドプライマー
を用いてpHR2を鋳型としたPCRによって生成した747 bp NotI-SpeI断片によって置換することによって、pHR2から得られた。
【0111】
本発明の別の態様では、pHR5は、pHR2から310 bp gagコード配列(Gagタンパク質のアミノ酸15位より下流の全てのgagコード配列)が削除された、レンチウイルス転移ベクターである。pHR5は、pHR2をNruI消化、NotIリンカー(合成オリゴヌクレオチド5’-TTGCGGCCGCAA-3’)の付加、310 bpを切り出すためのNotI消化、その後の再連結によって得られた。
【0112】
本発明の別の態様では、pHR6は、パッケージングされ得る全長の転写物の生産を増加するために、5’スプライスドナーシグナルに変異を起こした(TGGTからTGAT)、レンチウイルスベクターである。pHR6は、239 bpのAflII-ApoI断片を、オリゴヌクレオチドプライマー
を用いてpHR2を鋳型としたPCRによって生成した239 bpAflII-ApoI断片によって置換することによって、pHR5から得られた。
【0113】
全てのPCR断片は、まずPCR反応産物を直接TAクローニングベクターpCR2.1(Invitrogen)にクローニングし、その後、配列の確認および適切な酵素による切り出しを行なって、作製された。
【0114】
実施例 3
5’ LTRキメラレンチウイルス転移ベクターの作製
本発明の別の態様では、レンチウイルスの5’ LTRは、HIV-1のR領域に結合したラウス肉腫ウイルス(RSV)のU3領域からのエンハンサーおよびプロモーターを含む(プラスミドpRRL)。
【0115】
pRRLはRSVのエンハンサーおよびプロモーター(転写開始部位に対して-233位から-1位)が、オリゴヌクレオチドリンカーを用いてHIV-1のR領域に正確に融合した、レンチウイルス転移ベクターである。pRRLは、プラスミドpRT43.RSV.F3、国際公開公報第97/07225号参照、およびpHR2に由来し、pRT43.RSV.F3の3.4 kb EcoRI-HpaI断片をpHR2の0.67 kb BglII-NotI断片、およびpHR2からの1.7 kb NotI-StuI断片、ならびにオリゴヌクレオチド
からなる合成EcoRI-BglIIオリゴヌクレオチドリンカーで置換することによって得られた。
【0116】
本発明の別の態様では、レンチウイルスベクターの5’ LTRは、HIV-1のプロモーター領域(転写開始部位に対して-78 bpから)に結合したラウス肉腫ウイル(RSV)のエンハンサー(転写開始部位に対してヌクレオチド-233位から-50位)を含む(プラスミドpRLL)。
【0117】
プラスミドpRLLは、RSVのエンハンサーがオリゴヌクレオチドリンカーを用いてHIV-1のプロモーター領域に融合した、レンチウイルス転移ベクターである。pRRlはpRT43.RSV.F3およびpHR2に由来し、pRT43.RSV.F3の3.4 kb EcoRI-HpaI断片をpHR2の0.724 kb AlwNI-NotI断片、およびpHR2の1.7 kb NotI-StuI断片、ならびにオリゴヌクレオチド
からなる合成EcoRI-AlwNIオリゴヌクレオチドリンカーで置換することによって得られた。
【0118】
本発明の別の態様では(プラスミドpCCL)、レンチウイルスベクターの5’ LTRは、HIV-1のR領域に結合した、ヒトサイトメガロウイルス(CMV)の前初期のエンハンサーおよびプロモーター(Boshartら(Cell (1985) 41:521-530)による転写開始部位に対してヌクレオチド-673位から-1位)を含む。pCCLはプラスミド5’-GATATGATCAGATC-3’および5’-CTGATCA-3’、およびpRRLの0.54 kb AlwN-AvrII断片および6.1 kb AvrII-BbsI断片と共に3部からなる連結から得られた。
【0119】
pRRL.SIN-45は、3部からなる連結で、pRRLの0.54 kb AlwNI-AvrII断片および6.1 kbAvrII-BbsI断片と共に合成オリゴヌクレオチド
からなるオリゴヌクレオチドリンカーを用いて、3’ LTR中の493 bp BbsI-AlwNI断片を置換することによって、pRRLから得られた。
【0120】
pRRL.SIN-78は、3部からなる連結で、pRRLの0.54 kb AlwNI-AvrII断片および6.1 kbのAvrII-BbsI断片と共に
からなるオリゴヌクレオチドリンカーを用いて、3’LTR中の493 bp BbsI-AlwNI断片を置換することによって、pRRLから得られた。
【0121】
実施例 5
安定なレンチウイルスパッケージング細胞)0-28および安定なレンチウイルスベクター産生細胞の作製
293G細胞株を用いて、安定なレンチウイルスパッケージング細胞が作製された。293G細胞は、MDカセット(CMVプロモーターおよび介在配列 、(エクソン2および3、イントロン2 )、およびヒトβグロビン遺伝子のポリ(A)部位)からtetR/VP16トランス活性化因子、およびテトラサイクリンオペレーター部位(tet0)が7回連続したCMV最小プロモーターからVSVエンベロープを発現する。したがって、VSV Gの発現は、培地中のテトラサイクリンレベルによって調節され、この抗生物質が存在すると抑制される(GossenおよびBujard、Proc. Natl. Acad. Sci. USA (1992) 89:5547-5551; およびOryら、上記(1997))。293G細胞は、通常は10%ドナー子牛血清を添加し1μg/mlのテトラサイクリンを含むDMEM/低グルコース培地中で維持されている。293G細胞の15 cmプレートは、リポフェクタミン(GIBCO BRL)を用いて、13.36μgのパッケージングプラスミドpCMVΔR8.74および1.33μgの選択プラスミドpZeoSV2をトランスフェクションした。24時間後に培地を交換し、48時間後に細胞を250μg/mlゼオシンおよび1μg/mlテトラサイクリンを含む培地に分割した。3〜4週間の選択後、250クローンを採取し、96ウェルプレートに移して、市販のキットを用いてimmunocaptureによってHIV-1 p24 Gag抗原について培地のスクリーニングをした。52のp24陽性クローンをさらに解析するために増殖させた。最も良い5つのクローンは、p24の値が12〜23 ng/mlだった。5つのクローンのうち4つは、ウェスタンブロット解析で、テトラサイクリンの除去後VSV.G発現が陽性だった。
【0122】
4つのp24/VSV.G陽性クローンについて、レンチウイルス転移ベクーをパッケージングする能力をさらに解析した。これらのクローンに、CMVプロモーターにより駆動されるA. ビクトリア(victoria)の緑色蛍光タンパク質 (GFP)の発現カセットを含む、一時的に産生したレンチウイルスベクター(VSV.G 偽型)を、ポリブレン(8μg/ml)の存在下で感染多重度10で感染させた。感染したクローンを増殖させ、テトラサイクリンを除去した。誘導の72時間後に、24時間培地採取を行い、上清をろ過して急速冷凍した。天然HeLa細胞上で、冷凍した上清のGFP遺伝子の形質導入のタイターを測定した。FACS解析で、パッケージングクローン10-28の感染で作製した細胞群(10-28と命名)が5 x 104形質導入ユニット(T.U.)/mlという最高のタイターを持つことが分かった。
【0123】
GFPレンチウイルスベクターのより高いタイターの生産クローンを作製するために、感染したパッケージング細胞群10-28が用いられた。10-28細胞をFACSで選別し、最も高いGFP発現細胞を保持して増殖させた。次にこの細胞群に、一時的に生産したGFPレンチウイルス(VSV.G偽型)をさらに4回連続的に感染(ping)させた。各感染後、VSV.G導入後72〜96時間で上清を採取した。HeLa細胞上で上清のタイターの測定を行い免疫捕獲(immunocapture)アッセイによりp24の解析をした。感染性のタイターは3回目の感染後に最高の1.5 x 106 T.U./mlに達した(図3参照)。3回目の感染後の細胞群をサブクローニングして高いタイターのベクター産生細胞を単離した。
【0124】
実施例 6
レンチウイルスパッケージング構築物
pMDLg/pは、HIV-1のgag/polコード配列のみを含む、CMVに駆動される発現プラスミドである。まず、pCMVΔR8.74の4.2 kb ClaI-EcoRI断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるNcoI-ClaI DNAリンカーと共にpkat2(Finerら、Blood (1994)
83:43-50)の3.3 kb EcoRI-HindIII断片およびpkat2の0.9 kb HindIII-NcoI断片に連結して、pkat2Lg/pが作製された。次に、pkat2Lg/pの4.25 kb EcoRI断片を、pMD-2のEcoRI部位に挿入して、pMDLg/pが作製された。pMD-2はpMD.G(Ory ら、上記)の誘導体で、pMD.GのpXF3プラスミドバックボーンが、最小pUC18(Invitrogen)プラスミドバックボーンによって置換され、EcoRI断片をコードする1.6 kb VSV.Gが除去されたものである。
【0125】
pMDLg/pRREは、polコード配列のすぐ下流にHIV-1 (HXB2)の374 bp RRE含有配列が付加されている点で、pMDLg/pと異なっている。pMDLg/pRREを作製するために、pHR3の374 bp NotI-HindII RRE含有断片を、合成オリゴヌクレオチド5’-AGCTTCCGCGGA-3’および5’-GATCTCCGCGGA-3’からなるHindIII-BglII DNAリンカーと共にpVL1393(Invitrogen)の9.3 kb NotI-BglII断片に連結して、pVL1393RRE(pHR3は、pHR2のRRE配列の上流のHIV envコード配列を除去してpHR2から作製した)を作製した。NotI部位はgagおよびRRE配列の間の結合部に残っている。その後、pV1393RREの380bp EcoRI-SstII断片を、pMD-2FIX(pMD-2FIXは、第IX因子挿入部の3’末端にSstII部位を持つ、ヒト第IX因子を含むpMD-2誘導体である)の3.15 kb SstII-NdeI断片、pMDLg/pの2.25 kb NdeI-AvrII断片、およびpkat2Lg/pの3.09 kb AvrII-EcoRI断片(Finerら、上記)と連結して、pMDLg/pRREが作製された。
【0126】
pMDLg/pRRE.2は、gag/pol発現レンチウイルスパッケージングベクターで、gagアミノ酸2〜13に対応するコドンが変異している(アミノ酸配列には変更なし)。pMDLg/pRRE.2は、pMDLg/pRREの8.4 kb ClaI-Bsu36I断片と1.4 kb Bsu36I-EcoRI断片を合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーと連結させて作製された。
【0127】
pMDLg/pRRE.3は、gag/pol発現レンチウイルスパッケージングベクターで、gagアミノ酸2〜7位に対応するコドンが変異し(アミノ酸配列には変更なし)、Gagポリタンパク質の8〜87位のアミノ酸のgagコード配列が削除されている。HIV-1 MAタンパク質機能を調べるための以前に記述された実験(Reilら、EMBO J. (1998) 17:2699-708)は、Gagポリタンパク質の一部であるマトリックスタンパク質(MA)の8〜87位のアミノ酸の欠失は、解析されたビリオンがVSV/Gで偽型化されている場合、野生型HIV-1の感染細胞への侵入効率には影響がないことを示した。pMDLg/pRRE.3は、pMDLg/pRREの6.8 kbのSphI-Bsu36I断片および1.4 kb Bsu36I-EcoRI断片を、Reilら、上記、に記述されたプラスミドHXB10ΔCT.Δ8-87の0.4 kb XbaI-SphI断片および合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーとともに連結して、作製された。
【0128】
ptetMDrevはHIV-1 Revタンパク質発現が、tet誘導性teto7/CMVハイブリッドプロモーターの制御下にある、発現ベクターである。このベクターに含まれるHIV配列は、第1エクソン(ヌクレオチド5937位から6045位)および第2エクソン(ヌクレオチド8379位から8653位)(ゲンバンク受託番号K03455)を含むHXB2 rev cDNAのみである。ptetMDrevを作製するために、pMD-2のCMVエンハンサー/プロモーターがptet/splice(Gibco/BRL)のteto/CMVハイブリッドプロモーターで置換され、ptet/MDが生成した。次に、合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーをEcoRI消化したptetMDに挿入してptetMDNcoI(ATG)が生成した。最後に、ptetMDNcoI(ATG)の4.6 kb AlwNI-BamHI断片および615 bp BamHI-BbsI断片を、pRSVrev(Dullら、J. Virol. (1998) 72:8463-71に記述されたプラスミド)の354 bp BbsI-AlWNI断片と連結させてptetMDrevが生成した。
【0129】
実施例 7
レンチウイルス転移ベクターの作製
pHR7は最大限に削除したレンチウイルスベクターで、転移ベクターとパッケージングベクターとの間の相同性をさらに低下させるために、gagコード領域のnt43と外来遺伝子の間のHIV配列がすべて削除されている。pHR7は、pHR6の8.2kb SacII-NotI断片および1.3 kb XhoI-SacII断片を合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーと連結して、pHR6から生成した。
【0130】
pCCL7sinCMVGFpreは、自己不活化する3’LTRを持つpHR7の最大限に削除した5’非翻訳領域と、CMV 5’ U3およびウッドチャック肝炎ウイルスの翻訳後調節(pre)領域を組み込んだ、レンチウイルスベクターである。pCCL7sinCMVGFPpreを作製するために、まずpHR7の329 bp AflII-XhoI断片をpRRLsin18hPGK.GFPの1.9 kb XhoI-AvrII断片および3.2 kb AvrII-AflIIに連結して、pRRL7sinhPGK.GFPが作製された。次に、pRRLsinCMV.GFPの606 bp ClaI-BamHI断片(ClaI部位が「埋められた」)を、pRRL7sinhPGK.GFPの4.9 kb BamHI-AvaI断片(AvaI部位が「埋められた」)と連結して、hPGK内部プロモーターをhCMV内部プロモーターで置換して、pRRL7sinhCMV.GFPが生成した。次に、600 bp のSalIからEcoRIのウッドチャック肝炎ウイルスpre 断片(pWHV8 (ゲンバンク受託番号J04514)を鋳型としてプライマー
を用いたPCR後、SalIおよびEcoRI消化で作製)を、SalIおよびEcoRIで消化したpRRL7sinhCMV.GFPに挿入し、pRRL7sinhCMV.GFPpreが生成した。次に、pRRL7sinhCMV.GFPの704 bpのAflIIIからAflIIの断片を、pCCLの1147 bpのAflIIIからAflIIの断片で置換して、pCCL7sinhCMV.GFPpreが生成した。
【0131】
実施例 8
条件的自己不活化ベクター(cSIN)の作製
pRRLsin36PGKGFPteto3’は、3’ LTRがハイブリッドteto/HIV U3を含むレンチウイルスベクターである。ハイブリッド3’ U3には、「TATA」ボックスを含むHIV U3の3’部分の36ヌクレオチドに連結した、7コピーのtetオペレーター(teto7)が含まれている。pRRLsin36PGKGFPteto3’は、形質導入後に、例えば、tTAを発現する適切なパッケージング細胞株の形質導入後のように、テトラサイクリン応答性トランスアクチベーター(tTA)の存在下でのみ、全長パッケージング可能ベクター転写物を発現するように活性化され得る、条件的自己不活化(cSIN)ベクターである。tTAを発現していない任意の細胞への形質導入後は、得られた5’ teto/HIV U3は、異種プロモーターの基本転写活性を上昇させることが知られているHIV Tatタンパク質の存在下でさえ、転写の機能不全である。これにより、形質導入された細胞に野生型HIV-1が感染しても、ベクターゲノムの移動確率は著しく低下する。
【0132】
pRRLsin36PGKGFPteto3’を用いると、SINベクター設計およびベクター系一般に新規のアプローチが可能になる。このアプローチは、このようなベクターを用いてtTA発現パッケージング細胞株に連続的に形質導入(ピング「ping」)して、非tTA発現標的細胞ではSIN表現型を維持しながら、高いタイターの生産クローンを得ることができるという事実に基づいている。
【0133】
pRRLsin36PGKGFPteto3’を作製するために、まずpRRL5sin18PGKGFPの5.6 kbAsp718-BamHI断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーとともにptet/splice (Gibco/BRL)の303 bp XhoI-Asp718断片に連結し、ptetINTが得られた。(pRRL5sin18PGKGFPは、pRRLsin18PGKGFP(Zuffereyら、J. Virol., (1998)72:9873-9880)の非翻訳領域がpHR5の対応する領域で置換されているベクターである。)次に、ptetINTの2.8 kb AflIII-Asp718断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーとともにpRRLsin36PGKGFP(Zuffereyら(1998)上記)の3.1 kbBclI-AflIII断片に連結して、ptet36INTが得られた。最後に、ptet36INTの3.4 kbBamHI-AflIII断片を、pRRLsin36PGKGFPの3.6 kb AflIII-BclI断片に連結して、pRRLsin36PGKGFPteto3’が得られた。
【0134】
pCCL7sinCMVGFPpreTeto3’は、5’非翻訳領域が最大限に削除されているレンチウイルス転移ベクターで、pCCL7sinCMVGFPpreの3’ LTRがpRRLlsin36PGKGFPteto’のtet応答性3’ LTRで置換されている。pCCL7sinCMVGFPpreTeto3’は、pCCL7sinCMVGFPpreの3.44 kb AflIII-EcoRI断片を、pRRLsin36PGKGFPteto3’の3.5 kb EcoRI=AflIII断片と連結して得られた。
【0135】
実施例 9
ウイルスRNAを単離するために、0.45ミクロンのポアサイズ(Millipore)でろ過された、ベクター粒子を含む上清のp24含量を調節し、14,000 rpmで微量遠心してビリオンを沈殿させた。上清を吸引し、各沈殿物にキャリアとして50μgの酵母RNAを添加した。RNAqueous(商標)キット(Ambion)を用いて、製造元の指示にしたがって、試料から全RNAが単離された。インビトロ転写用のDNAプローブ鋳型は、Lig’nScribe(商標)キット(Ambion)を用いて製造元の指示にしたがって、2サイクルのPCRによって調製された。プローブ1はプライマー
およびプラスミドpCMVΔR8.74を用いて、HIV-1 HXB2(ゲンバンク受託番号K03455)の1215位から1513位のヌクレオチドを含む298 bpの断片をPCRで増幅して作製された。プローブ2は、プライマー
および鋳型としてプラスミドpHR2を用いて、HIV-1 HXB2(ゲンバンク受託番号K03455)のヌクレオチド336から913を含む577 bpの断片をPCRで増幅して作製された。その後、[α-32]UTP(800 Ci/ml、DuPont NEN(商標))の存在下でT7 RNAポリメラーゼによって、32Pアンチセンスリボプローブが合成された。全長のプローブがゲル精製され、0.5 M酢酸アンモニウム、1 mM EDTA、および0.2% SDS溶出緩衝液中で-20℃で保存された。RNA保護アッセイは、HybSpeed(商標)キット(Ambion)を用いて製造元の指示にしたがって行われた。RNase A/T1混合液(各反応あたり0.5 U/20 U、Ambion)消化で保護されたプローブ断片を4%ポリアクリルアミド、TBE、8 M尿素ゲルで分離した。断片のサイズ決定には、RNA Century(商標)鋳型セット上で32P標識RNAマーカーが合成され、平行して電気泳動された。バンドの検出と強度の定量には、乾燥したゲルで写真フィルムまたはPhosphorimagerプレート(Molecular Dynamics)を露光させた。
【0136】
実施例 10
転移ベクター構築物pHR’CMV-LacZおよびpHR’CMV-Luciferaseは記述されている(Naldiniら、Science、上記)。pHR2はpHR’のポリリンカー配列およびKpnIまでの下流nef配列が、ClaI/SpeI/SnaBI/SmaI/BamHI/SacII/EcoRIポリリンカーで置換されている、レンチウイルス転移ベクターである。pHR2は、pHR’CMVlacZの3.7 kb ClaI-SacI断片を、オリゴヌクレオチドプライマー5’-
および鋳型としてpHR’CMVlacZを用いたPCR後、ClaIおよびSacI消化して生成した607 bpClaI-SacI断片で置換して得られた。
【0137】
pHR2PGK-NGFR、pHR2CMV-NGFRおよびpHR2MFG-NGFRは、それぞれマウスPGK、ヒトCMV、またはモロニー白血病ウイルスプロモーターの制御下にある親和性の低い切断型NGF受容体(Bordignonら、Hum. Gene Therap. (1995) 6:813-819)外来遺伝子が、pHR2のポリリンカーに挿入された、レンチウイルス転移ベクターである。pHR2PGK-NGFR外来遺伝子は、イントロン配列をコードしないが、pHR2CMV-NGFRベクターはプラスミドpMD(Oryら、上記)からのイントロンを含み、pHR2MFG-NGFRベクターはMFG-S(Oryら、上記)からのMLVイントロンを含む。
【0138】
pRRL、pRLL、pCCLおよびpCLLは、キメラのラウス肉腫ウイルス(RSV)/HIVまたはCMV/HIVの5’ LTRおよびベクターバックボーンを含むレンチウイルス転移ベクターで、SV40ポリアデニル化配列および(エンハンサーのない)複製開始点配列がHIV 3’ LTRの下流に含まれ、HIV組み込み部位から残るヒトの配列の大部分が置換されている。pRRLでは、RSVのU3領域からのエンハンサーおよびプロモーター(転写開始部位に対して-233から-1:ゲンバンク受託番号J02342)が、HIV-1 LTRのR領域に結合している。pRLLでは、RSVエンハンサー(ヌクレオチド-233位から-50位)配列が、HIV-1のプロモーター領域(転写開始部位に対して-78 bpから)に結合している。pCCLでは、CMVのエンハンサーおよびプロモーター(転写開始部位に対してヌクレオチド-673位から-1位、ゲンバンク受託番号K03104)がHIV-1のR領域に結合している。pCLLでは、CMVエンハンサー(ヌクレオチド-673位から-220位)はHIV-1のプロモーター領域(-78 bpの位置)に結合している。
【0139】
pHR2hPGK-GFP、pCCLhPGK-GFP、pCLLhPGK-GFP、pRRLhPGK-GFP、pRLLhPGK-GFPは、各親ベクターのポリリンカー領域に挿入された、ヒトPGKプロモーター(ヌクレオチド5〜516、ゲンバンク受託番号M11958)の制御下の増強緑色蛍光タンパク質(EGFP)(pEGFP-1 (Clontech)からの750 bpBamHI-NotI断片)コード領域を含む、レンチウイルス転移ベクターである。pRRLGFPはpRRLhPGK-GFPのPGKプロモーターを含むXhoI-BamHI断片を削除して得られた。
【0140】
pRRLhPGK.GFP.SIN-18は、pRLLhPGK.GFPから、U3/R境界に対して-418位から-18位の3’LTR配列が削除されたベクターである。
【0141】
パッケージング構築物
tat欠失パッケージング構築物pCMVΔR8.93は、プラスミドR7/pneo(-)(Feinbergら、PNAS (1991) 88:4045-4049)からのEcoRI-SacI断片と、以前に記述されたGag、Pol、Tat、およびRevの発現プラスミド(Zuffereyら、1997、上記)であるpCMVΔR8.91の対応する断片とを交換して得られた。この断片は、以前に記述されたように、tat遺伝子の開始コドンに影響を与える欠失、およびMluIリンカーがBsu36I部位に挿入されたことによるフレームシフトを持つ。pCMVΔR8.74は、発現を最適化するために、スプライスドナー部位を含む133 bpSacII断片が、HIV配列の上流のCMV由来の領域から削除された、pCMVΔR8.91誘導体である。
【0142】
pMDLg/pはHIV-1からgag/polコード配列のみを含む、CMVに駆動される発現プラスミドである。まず、pCMVΔR8.74の4.2 kb ClaI-EcoRI断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるNcoI-ClaIリンカーとともに、pkat2(Finerら、上記)の3.3 kbEcoRI-HindIII断片およびpkat2の0.9 kb HindIII-NcoI断片と連結して、pkat2Lg/pが作製された。次に、pkat2Lg/pの4.25 kb EcoRI断片を、pMD-2のEcoRI部位に挿入して、pMDLg/pが作製された。pMD-2はpMD.G(Oryら、上記)の誘導体で、pMD.GのpXF3プラスミドバックボーンが、最小pUCプラスミドバックボーンで置換され、1.6 kb VSV.GをコードするEcoRI断片が削除されたものである。
【0143】
pMDLg/pRREは、polコード配列のすぐ下流にHIV-1 (HXB2)の 374 bp RRE含有配列が付加されている点で、pMDLg/pと異なっている。pMDLg/pRREを作製するために、pHR3の374 bp NotI-HindII RRE含有断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるHindIII-BglIIオリゴヌクレオチドリンカーと共にpVL1393(Invitrogen)の9.3 kbNotI-BglII断片に連結して、pVL1393RRE(pHR3は、pHR2のRRE配列の上流のHIV envコード配列を除去してpHR2から作製した)を作製した。NotI部位はgagおよびRRE配列の間の結合部に残っている。その後、pV1393RREの380 bp EcoRI-SstII断片を、pMD-2FIX(pMD-2FIXは、第IV因子挿入部の3’末端にSstII部位を持つ、ヒト第IV因子を含むpMD-2変異型である)の3.15 kb SstII-NdeI断片、pMDLg/pの2.25 kb NdeI-AvrII断片、およびpkat1Lg/pの3.09 kb AvrII-EcoRI断片(Finerら、上記)と連結して、pMDLg/pRREが作製された。
【0144】
pRSV-RevおよびpTK-Rev(Salk InstituteのT. Hopeから贈与)は、rev cDNA発現プラスミドで、結合したHIV-1 revの第2エクソンおよび第3エクソンが、それぞれ、RSVU3または単純ヘルペスウイルス1チミジンキナーゼのプロモーターのいずれかの転写制御下にある。いずれの発現プラスミドも、pUC 118プラスミドバックボーン中のHIVLTRのポリアデニル化シグナル配列を使用する。
【0145】
ベクター生産およびアッセイ
ベクターは、以下のような変更を加えながら、以前に記述されたように(Naldiniら、PNAS、上記)、293T細胞に一時的にトランスフェクションして、生産された。トランスフェクションの24時間前に、5% CO2インキュベーター中で、10 % FBSおよびペニシリン(100 IU/ml)およびストレプトマイシン(100μg/ml)を添加したIMDM培地(JRH Biosciences)を入れた10 cmのディッシュに約5x 106の293T細胞を播種し、トランスフェクションの2時間前に培地交換した。1つのディッシュのトランスフェクションには、合計20μgのプラスミドDNA、すなわち、エンベローププラスミドpMD.Gが3.5μg、パッケージングプラスミド6.5μg、および転移ベクタープラスミド10μgが使用された。最終容量が450μlの0.1X TE(TE: 10 mM Tris pH=8.0、1 mM EDTA)および50μlの2.5 M CaCl2にプラスミドを添加し、良く撹拌し、500μlの2X HBS(281 mM NaCl、100 mM HEPES、1.5 mM Na2HPO4、pH=7.12)を激しく混合しながら一滴ずつ添加すると沈殿が形成されたが、沈殿は直ちに培養液に添加された。14〜16時間後に培地(10 ml)を交換し、24時間後に条件培地を採取して、低スピードの遠心で澄ませ、0.22μm酢酸セルロースフィルターでろ過した。インビトロ実験用では、新しく採取した条件培地の連続希釈を用いて、8μg/mlポリブレンの存在下で、6ウェルプレート中で105細胞が感染された。ウイルスのp24抗原濃度は、immunocapture(Alliance、DuPont-NEN)によって決定した。ベクターのバッチは、3週間にわたって、形質導入したSupT1リンパ球の培地中でのp24抗原の発現をモニターして、複製可能ウイルスが存在しないことが検定された。検査した全ての試料で、インプットした抗原が培地から排除されると、p24は検出不能だった(検出限界3 pg/ml)。
【0146】
ノーザンブロット解析
集密状態で採集した1-2 x 107細胞から、RNAsolBを製造元の指示にしたがって使用して、全RNAが単離された。NorthernMax(Ambion、テキサス州オースチン)試薬を製造元の指示にしたがって用いて、1%アガロースゲルの各ウェルに約10〜20μgのRNAを添加した。トランファーはキャピラリートランスファーまたは圧力ブロッティング(Stratagene)のいずれかによって、Zetabindメンブレン(Cuno Inc.、コネチカット州メリディエン)へ行った。32P標識プローブは、ランダムプライム法で作製した。
【0147】
ベクターの脳内注射
体重約220 gのFischer 344オスラット12匹をHarlan Sprague-Dawley(インディアナ州インディアナポリス)から入手し、制約なしに餌と水を与え、12時間の明暗サイクルで、公表されているNIHガイドラインにしたがって、維持、処理した。全ての外科的手法は、無菌操作を用いて、ラットをイソフルランガス麻酔して行った。ラットを麻酔箱中で麻酔した後、鼓膜を破らないイヤーバー(earbar)を用いて、これを小動物定位固定装置(Kopf Instruments、カリフォルニア州Tujunga)中に入れた。ラットは1つの対照群と4つの治療群に無作為に分割された。ラットを定位固定装置フレームに入れた後、20℃、50,000 x gで140分の超遠心(Naldiniら、PNAS、上記)により濃縮したリン酸緩衝生理食塩水(PBS)中のレンチウイルスベクター2μlを、持続注入系を使用して、1分間に0.5μlの割合で4分間にわたって、両半球の線条体中に連続的に注射した(切歯バーを耳内線の-3.3 mm下に設定して、AP 0.0、LAT±3.0、DV − 5.5、-4.5、-3.5;PaxinosおよびWatson、「定位座標におけるラット脳(The Rat Brain In Stereotaxic Coordinates)」(1987) Academic Press, SD)。注射中には、針は40秒ごとに、背側に1 mmずつゆっくりと引き上げた(合計3 mm)。注射停止の1分後に、針をさらに1 mm引き戻し、さらに4分間放置してから、脳からゆっくりと抜去した。
【0148】
組織学
ベクター注射の1ヶ月後、各動物をi.p. ペントバルビタールにより深く麻酔し、無菌PBSを大動脈に潅流し、その後、氷冷した4%パラホルムアルデヒド(PFA)潅流を行った。頭蓋から脳を除去し、24時間の浸漬によって4% PFAで後固定し、脳が容器の底に沈むまで3〜4日間、30%スクロース/PBS溶液に入れた。その後、脳をドライアイス上で凍結させ、スライディングミクロトーム上で40μmの厚さの冠状面切片を作製した。切片をグリセリンベースの抗凍結溶液を含むマイクロタイターウェルプレート中に連続して採取し、さらに処理するまで-30℃で保管した。免疫組織化学は、以前に記述された一般的な手順(Sternbergerら、J. Histochem. Cytochem. (1970)18:315-333)にしたがって行った。PBSで数回リンスし、3%過酸化水素水でインキュベートした後、切片を3%正常ヤギ血清(NGS)に入れた。それから、切片を1%NGSおよび0.1% Triton X-199中の抗GFP一次抗体(1:1000、Clontech、カリフォルニア州パロアルト)と室温で一晩インキュベートした。リンス後、切片をビオチン化ウサギ抗ヤギ2次抗体(Vector、カリフォルニア州バーリンゲーム)と3時間インキュベートした。リンス後、切片を西洋ワサビペルオキシダーゼストレプトアビジンとインキュベートし、その後、紫クロマゲンキットVIP(Vector)を用いて反応させ、マウントし、乾燥、脱水し、カバーガラスをのせた。
【0149】
効率的な形質転換活性を持つベクターの生産にTatは必要とされる。形質導入用粒子の作製におけるTatの役割を探るために、レンチウイルスベクターからの発現が、まずノーザン解析で調べられた。外来遺伝子が内部PGK、CMV、またはレトロウイルスのMFGプロモーターによって駆動される転移ベクターによって誘導されるRNAパターンが、産生細胞および標的細胞の両方で調べられた。トランスフェクションされた293T細胞では、発現は主に内部プロモーターから見られた。TatとRevの両方を発現するパッケージング構築物が同時トランスフェクションされると、LTRからの転写の劇的な増加が観察され、スプライスされないベクターRNAの蓄積が起きた。ベクターで形質導入された細胞、すなわち、TatおよびRevの非存在下では、LTRの転写はほぼ完全に抑制され、残存する転写物はスプライシングを受け、内部プロモーターが発現の大部分を担っていた。
【0150】
tat中に2つの変異を持つパッケージングプラスミド(pCMVΔR8.93)が作製された。第1の変異は、tat遺伝子のATG開始コドン中のTの欠失で、第2の変異はTatタンパク質の残基46位の後に翻訳終止コドンを生成するMluIリンカーの挿入である。これらの変化により、HIV-1にtat欠失表現型が与えられる(Feinbergら、上記)。対照構築物またはtat欠失パッケージング構築物を293T細胞にトランスフェクションした後、Gag p24抗原のアッセイでは(表2参照)、同等量のベクター粒子が培地から回収された。このようなTatからの独立性は、パッケージング構築物中の、構成的CMVプロモーターによるHIV LTRの置換から、予測された。しかし、Tatの非存在下で作製された粒子は、形質導入活性が劇的に低下していた(表3):対照のTat陽性パッケージング構築物により生産される粒子の5〜15%だった。
【0151】
【表2】
野生型または5’キメラLTRを持つ転移構築物および機能的なtat遺伝子を持つまたは持たないパッケージング構築物によって作製されたレンチウイルスベクターによるHeLa細胞へのGFP形質導入
各転移プラスミドおよびパッケージングプラスミド、ならびにpMD.Gプラスミドを293T細胞へトランスフェクションして、PGK-eGFP発現カセットを持つベクターが生産された。トランスフェクションの条件培地の連続希釈が、HeLa細胞とインキュベートされ、6日後に、培地の評価をした。エンドポイントのタイターの計算には、ベクターの用量反応曲線の直線部分から、試料が選択された。行なった5つの実験の代表の1つについて、2つの重複する値の平均が示されている。T.U.は形質導入ユニットを表す。
【0152】
【表3】
パッケージング構築物中に機能的なtat遺伝子を持つおよび持たないレンチウイルスベクターの形質導入活性
a:LacZ形質導入は、X-Gal染色および接種物中のp24抗原の量の関数としての、青い細胞コロニーの数を表して、測定した。
b:eGFP形質導入は、FACS解析で測定し、蛍光細胞の分数を感染細胞数と掛け合わせ、その結果を接種物中のp24抗原の量の関数として表した。
c:ルシフェラーゼ形質導入は、相対ユニット(RLU)で表した培養抽出物50μlのバックグラウンドを上回る発光を測定し、このRLU x 10-2の数を、接種物中のp24抗原のng数で割って測定した。
d:内部プロモーターなし
ベクターは、各転移ベクター、機能的なtat遺伝子を持つ(pCMVΔR8.91)または持たない(pCMVΔR8.93)パッケージング構築物、およびpMD.Gプラスミドを293T細胞にトランスフェクションして作製された。トランスフェクションの条件培地の連続希釈が各細胞とインキュベートされ、3日後に培養物の評価をした。形質導入活性の計算には、ベクターの用量反応曲線の直線部分から試料が選択された。a、c、dは3重に重複する測定の平均±誤差;bは2重に重複する測定の平均を示す。
【0153】
tat欠失表現型について、この表現型が標的細胞の相補性によって救出されるかどうかが決定された(表3)。HIV-1 LTRからTatを発現するHeLa-tat細胞(Felkerら、J. Virol. (1990) 64:3734-3741)が、Tatなしまたはありで作製されたベクターによって形質導入された。標的細胞中のTatの発現は、Tatなしで作製されたベクターの形質導入効率の低下を補完しなかった。
【0154】
ノーザン解析から期待される通り、tat遺伝子の機能が不活化されると、産生細胞におけるベクターRNAの量が低下する。これは、内部プロモーターのない、ルシフェラーゼベクター産生細胞において、ルシフェラーゼ活性が低下することで示される。ここでは、外来遺伝子の発現は、LTRからの転写物の量を直接に反映する。Tatなしにルシフェラーゼベクターを産生する293T細胞のルシフェラーゼ含有量は、Tatありで同じベクターを生産する細胞の5%しかない(Tatなしで1.0±0.2 x 109 RLU/ディッシュ;Tatありで20.2±0.7 x 109RLU/ディッシュ)。この比率は、同じ実験で、いずれかのタイプのベクターによって形質導入された細胞で観察される比率と、非常に対応しており(表3参照)、産生細胞中におけるベクターRNAの量がレンチウイルスベクターによる形質導入における律速要因であることが示唆される。
【0155】
産生細胞で、HIV LTRからの転写を活性化し、高い形質導入活性を持つベクター粒子を作製するために、Tatが必要であると結論される。
【0156】
tatの必要性は、転移ベクターの上流に構成的プロモーターを配置することで相殺される。Tatの機能がLTRからのベクター転写のトランス活性化のみの場合には、tat欠損表現型は、ベクター転写物の上流に強力な構成的プロモーターを配置すると、救出されるはずである。LTRのU3領域中のHIVプロモーターには、3つの転写ドメインが同定されている:コアドメインまたは基本ドメイン、エンハンサー、および調節ドメインである(Luciw、上記)。転写はU3/R境界で開始し、Rの第1ヌクレオチドが1番となる。コアプロモーターには、TATA結合タンパク質結合部位(-28位〜-24位)およびSP1結合部位(-78位-45位の間に3つの結合部位)が含まれる。エンハンサーには、NFATcの結合部位(-104位〜-81位)と重複するNF-κBの結合部位が2つ含まれる。調節ドメインには、AP-1(-350位〜-293位)、NFAT-1(-256位〜-218位)、USF-1(-166位〜-161位)、Ets-1(-149位〜-141位)およびLEF(-136位〜-125位)を含め、いくつかの細胞因子の結合部位が含まれる。5’ LTRのU3領域の全体または一部に置換を持つ5’キメラ転移構築物のパネルが作製された。全ての置換は、HIVの転写開始部位を保存するように作製された。部分的な置換により、新しいエンハンサー配列がHIV LTRのコアプロモーター(-78位〜1位)に結合されたが、全体の置換ではプロモーターも置換された。RLLおよびRRLベクターは、それぞれラウス肉腫ウイルス(RSV)のエンハンサー、またはエンハンサーおよびプロモーターを持っていた。CLLおよびCCLは、ヒトCMVのエンハンサー、またはエンハンサーおよびプロモーターを持っていた。
【0157】
対照のpHR2およびPGK-eGFP発現カセットを持つ5’キメラ転移構築物は、対照またはtat欠失パッケージング構築物と共に293T細胞をトランスフェクションして検定し、eGFP外来遺伝子の発現がFACSによって解析された。RRLキメラ構築物は、pHR2よりもeGFP発現レベルが高く、これは新しい配列が構成的な転写活性を持つことを反映している。興味深いことに、このキメラベクターは、対照パッケージング構築物と同時トランスフェクションされた細胞においてeGFP発現が増加したことで示されるように、Tat発現の上方制御も示した。Tatの上方制御は、内部プロモーターを持たないpRRL-eGFPベクターを対照構築物またはtat欠失パッケージング構築物と共にトランスフェクションし、FACSでGFP発現を解析したことによる直接的な効果であることが証明された。その後、トランスフェクションされた産生細胞からベクター粒子を採集して、HeLa細胞およびヒト初代リンパ球(PBL)へのeGFPの形質導入をアッセイした。表4に示されるように、HeLa細胞のエンドポイントタイター測定、またはPBLの最大形質導入頻度による評価では、全てのベクターが高い効率の形質導入活性を持っていた。pRRLキメラによって生産されるベクターは、pHR2構築物により生産されるものと同様の効率で、Tatと独立した形質導入の検定用に選択された。表2に示すように、pRRL構築物は、パッケージング構築物がtat欠失の場合に、わずかに形質導入活性が低下(60%)したベクターを生成した。形質導入に対するTat の残存効果は、キメラLTRからの転写を上方制御するTat活性と矛盾がない。Tat上方制御は、内部プロモーターを持たないpRRL-eGFPベクターを、対照構築物またはtat欠失パッケージング構築物とともにトランスフェクションし、FACSでGFP発現を解析することによって、直接の効果であることが証明された。
【0158】
【表4】
野生型LTRまたは5’キメラLTRを持つ転移構築物により作製されたレンチウイルスベクターのGFP形質導入
a:エンドポイントタイターは、ベクター希釈物の蛍光細胞の割合を、感染細胞数と掛け合わせて決定した。試料は、ベクターの用量反応曲線の直線部分から選択された。
b:1 mlのベクター含有培地で106細胞を感染させた後の、蛍光ヒト末梢血リンパ球の割合。既述のように(Finerら、上記)、初代ヒトTリンパ球が単離され、形質導入された。
PGK-eGFP発現カセットを持つベクターは、各転移構築物、パッケージングプラスミドpCMVΔR8.91およびエンベローププラスミドpMD.Gを293T細胞にトランスフェクションして作製された。形質導入の6日後に、FACSによって蛍光細胞が評価された。実行された3つの実験のうち代表的な1つの実験について、2重に重複した測定結果の平均が示されている。
【0159】
キメラLTR構築物を使用すると、インビトロにおけるベクターの形質導入効率の最低限の低下のみで、パッケージング系からTatの除去ができる。脳のニューロンに対するインビボ送達という、さらに困難な状況下でのベクター性能を試験するために、Tatを持つおよび持たないpRRLおよびpHR2から、高いタイターのベクターストックが作製された。eGFPの4つのストックは、p24抗原により粒子の含有物を一致させ、1群3匹の成体ラットの両側の新線条体に注射された。1ヶ月後に動物を犠牲にして、脳の連続切片を、eGFP蛍光解析および抗eGFP抗体による免疫染色を行なった。インビボで得られた結果は、インビトロのデータと一致していた。pHR2構築物のみによって産生されるベクターは、Tatの存在下でパッケージングされた場合に、ニューロンのかなりの形質導入を行なった。pRRLキメラによって産生されたベクターは、Tat ありおよびなしで、非常に効率的だった。形質導入は線条体の大部分に至り、注射部位に最も近い切片では、非常に高い密度の陽性細胞が見られた。切片のヘマトキシリン染色およびエオシン染色によると、注射された組織では、針の挿入による小さな直線状の瘢痕以外は、病理兆候は見られなかった。
【0160】
この結果は、レンチウイルスベクターによる効率的な形質導入には、Tatはなくても済むという証拠を与える。
【0161】
分割ゲノム条件的パッケージング系
tat遺伝子を削除する可能性を考慮して、別のHIVベクター系のパッケージング成分の設計が考えられた。これは、1つはgag-pol遺伝子、およびもう1つはrev遺伝子という、2つの別の重複しない発現プラスミドを使用するものである。gag-polの読み枠は、MDカセット中から発現されるが、これはCMVプロモーターおよび介在配列ならびにヒトβグロビンポリ(A)部位を使用するものである(Oryら、上記)。gag開始コドンの上流の全てのHIV配列は除去され、リーダーは翻訳のためのKozakコンセンサスに最も適するように改変された。しかし、この構築物は、293T細胞に単独でトランスフェクションされた際には、p24抗原をほとんど全く発現しなかった。この結果は、gag/pol遺伝子中に以前に報告されているシス抑制性配列または阻害配列の存在と一致している(Schneiderら、J. Virol. (1997) 71:4892-4903;およびSchwartzら、J. Virol. (1992)66:7176-7182)。その後HIV RREエレメントがpol遺伝子の下流に挿入され、得られたプラスミドはrev発現ベクターと同時トランスフェクションされた(表5)。
【0162】
高いレベルのp24抗原産生が観察され、revがRSVプロモーターに駆動される場合に、収量が最高だった。gag/pol構築物およびrev構築物がRRLキメラ転移ベクターおよびVSV G発現プラスミドと同時トランスフェクションされると、培地中に高いタイターのベクターが得られた。粒子の収量および形質導入効率のいずれも、この系の以前のバージョンと類似していた。産生細胞のノーザン解析で、Revの存在下でのみ、スプライシングされないベクターゲノムRNAが蓄積することが確認された。したがって、gag-pol遺伝子発現およびパッケージング可能なベクター転写物の蓄積の両方とも、別のRev発現構築物によるトランス相補性に依存する。そのような条件的パッケージング系は、腫瘍レトロウイルスベクターにはない重要な安全性の特徴を提供する。
【0163】
【表5】
結合または分割したパッケージング構築物およびpRRL転移構築物によって作製されるレンチウイルスベクターによる、HeLa細胞のGFP形質導入
a:合成rev cDNAの発現を駆動するプロモーター、およびトランスフェクションされたプラスミドの量が示されている。
自己不活化pRRL転移ベクター構築物(3’ LTR 53に欠失を持つ)、各パッケージングおよびrevプラスミド、ならびにpMD.Gプラスミドの293T細胞へのトランスフェクションにより、PGK-eGFP発現カセットを持つベクターが作製された。トランスフェクションの条件培地の連続希釈が、HeLa細胞とインキュベートされ、6日後に培地の評価をした。エンドポイントタイターの計算のためには、ベクターの用量反応曲線の直線部分から試料が選択された。実行された3つの実験のうち代表的な実験について、2重に重複する測定結果の平均が示されている。
b:N.D.: 検出なし。アッセイの検出限界は102 T.U./mlだった。
【0164】
実施例 11
本発明の別の態様では、pRRLsin36PGKGFPteto3’は、3’ LTRにハイブリッドteto/HIV U3が含まれる、レンチウイルスベクターである。この3’ LTRには、「tata」ボックスを含むHIV U3の3’の36ヌクレオチドに連結した、7コピーのtetオペレーター(teto7)が含まれている。pRRLsin36PGKGFPteto3’は、形質導入後に、例えば、ttaを発現する適切なパッケージング細胞株の形質導入後のように、tetトランスアクチベーター(tta)の存在下でのみ、全長パッケージング可能ベクター転写物を発現するように活性化され得る、条件的自己不活化(SIN)ベクターである。ttaを発現していない任意の細胞への形質導入後は、得られた5’ teto7/HIV U3は、HIV tatの存在下でさえ、本質的に機能不全であり、ベクターゲノムの移動確率は著しく低下している。pRRLsin36PGKGFPtato3’を用いると、tta-発現パッケージング細胞株に連続的に形質導入(ピング「ping」)され得るSINベクターが得られ、tta非発現標的細胞ではSIN表現型を維持しながら、高いタイターの生産クローンを得ることが可能になる。pRRLsin36PGKGFPtato3’を作製するために、まず、pRRL5sin18PGKGFPの5.6 kb Asp718-BamHI断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーとともにptet/spliceの303 bpXhoI-Asp718断片に連結し、ptetINTが得られた。(pRRL5sin18PGKGFPは、pRRLsin18PGKGFP(Zuffereyら、J. Virol., (1998) 72:9873-9880)の非翻訳領域がpHR5の対応する領域で置換されているベクターである。)次に、ptetINTの2.8 kbAflIII-Asp718断片を、合成オリゴヌクレオチド
からなるDNAリンカーとともにpRRLsin36PGKGFP(Zuffereyら(1998)上記)の3.1 kb BclI-AflIII断片に連結して、ptet36INTが得られた。最後に、ptet36INTの3.4 kb BamHI-AflIII断片を、pRRLsin36PGKGFPの3.6 kb AflIII-BclI断片に連結して、pRRLsin36PGKGFPteto3’が得られた。
【0165】
別のそのようなベクターは、5’非翻訳領域が最大限に削除されている。pCCL7sinCMVGFPpreの3’ LTRはpRRLsin36PGKGFPteto3’のtet応答性3’ LTRで置換されている。pCCL7sinCMVGFPpreTeto3’は、pCCL7sinCMVGFPpreの3.44 kbAflIII-EcoRI断片を、pRRLsin36PGKGFPteto3’の3.5 kb EcoRI-AflIII断片と連結して得られた。
【0166】
実施例 12
mRNAのU3領域にテトラサイクリン誘導性プロモーター配列を含むベクターストックを作製するために、以下のプラスミドが293T細胞にトランスフェクションされた:pRRLsin36PGKGFP、pRRLhPGKGFPまたはpRRLsin36PGKGFPtetが10μg;pMDLg/pRRE 6.5μg;およびpMD.G 3μg。pRRLhPGKGFP構築物由来のmRNAを含むベクターストックは、陽性(非調節性)対照となった。pRRLsin36PGKGFP構築物由来のmRNAを含むベクターストックは、陰性対照となった(形質導入後、削除されたU3領域が、逆転写酵素(RT)によって組み込まれたベクターDNAの5’領域に複製されると、得られたLTRは転写の機能不全となるため)。
【0167】
トランスフェクションされた細胞の上清が採集され、0.22ミクロンのポアサイズのフィルターで濾過し、各形質導入(ping)でのMOI = 5 TU/細胞(感染多重度)で、第2世代のパッケージング細胞株の形質導入(pinging)に使用された。細胞をさらに2週間培養し、50〜70%の集密度で10 cmディッシュに分割し、培地からテトラサイクリンを除去してベクター産生を誘導した。誘導されたプロモーターの細胞上清は図10に示されるように採取され、p24およびタイターを測定した。タイターの測定は、検定されるベクター調製物の限定希釈で指標であるHeLa細胞を感染させて行なった。形質導入細胞の割合は、FACSで評価した。
【0168】
図10に見られるように、テトラサイクリンで調節される転移ベクターのベクター生産およびベクター粒子のタイターは、陽性対照に匹敵していた。
【0169】
HIV-1由来のLTRと対照的に、tTAを持たない細胞中でのそのようなベクターのLTRの転写活性は、野生型HIV-1が形質導入細胞に感染しても、形質導入細胞のノーザン解析でも(図11)、GFP発現レベルのFACS解析でも(図12)、検出されなかった。形質導入細胞から全RNAが抽出され(標準的方法による)、32P標識DNAプローブで検定された。プローブは、プラスミドpRRLsinPGKGFPのGFPコード配列のBamHI-NotI断片を鋳型として用いて、ランダムプライミングキット(HighPrime(商標),Boeringer Mannheim)によって作製された。
【0170】
図11に示されるように、HIV-1 LTRを持つベクターとは対照的に、LTR由来のmRNAは対照でもテトラサイクリン応答性ベクターでも、検出できなかった。これらの結果と矛盾なく、FACS解析(図12)でも、全長HIV-1 LTRを持つベクターによって形質導入された細胞中でのみ、HIV-1感染によってGFP発現が上方制御されることが示された。したがって、そのような調節可能ベクターはSIM表現型を保持している。
【0171】
本明細書中に引用される全ての出版物および特許は、各出版物または特許出願が具体的に個々に参照として組み入れられると記載されたのと同様に、その全体が参照として本明細書に組み入れられる。
【0172】
本明細書の属する分野の当業者に明白なように、例えば、他の哺乳類細胞型をトランスフェクションおよび形質導入するというように、本発明の精神または基本的特性から逸脱することなく、本発明は上記に具体的に開示された以外の形の態様も持ち得る。したがって、上記に説明される本発明の特定の態様は、説明するためのもので、制限するものではないと見なされる。本発明の範囲は、上述の説明に含まれる実施例に制限されるのではなく、添付の特許請求の範囲に述べられるとおりである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 種々のレンチウイルスを示す。RSVはラウス肉腫ウイルスエンハンサー/プロモーター;RはLTRのR領域;U5はLTRのU5領域;SDはHIV 5’主要スプライスドナー部位のような、スプライスドナー部位;ψはPsiキャプシド形成シグナル配列;Gaはgag遺伝子の一部;RREはrev応答性エレメント;SAはスプライスアクセプター配列;およびU3はLTRのU3領域である。
【図2】 別のレンチウイルスを示す。CMVはサイトメガロウイルスである。それ以外の記号は図1と同じである。
【図3】 転移ベクターの量が増加した際の、ベクター生産の評価を示すグラフである。
【図4】 レンチウイルス転移構築物の5’修飾を表す。特定の構築物の各タイプは、各エレメントの除去または修飾にしたがって割り当てられた。例えば、RRL7の様な構築物名は、このベクターがタイプ7構築物ファミリーのものであり、U3領域にRSVエンハンサーを持ち得ることを示す。Gagはgag遺伝子;fsはフレームシフト;Env ORFはエンベロープ遺伝子の読み枠;RREはRev応答性エレメント;SAはスプライスアクセプター;およびRSVはラウス肉腫ウイルスである。
【図5】 新規のパッケージング構築物の模式図を表す。Proはプロテアーゼ;Δenvは切断されたエンベロープ遺伝子;polはポリメラーゼ;poly Aはポリアデニル化部位;Tet O7はtet制御因子;MAはマトリックス、およびVSV/Gは水疱性口内炎Gタンパク質である。
【図6】 パッケージング構築物(pMDLg/pRRE)と各転移ベクター構築物の間の相同配列の概略を示す図である。Promはプロモーター、Min gagは切断されたgagまたは最小gagである。
【図7】 パッケージング構築物pMDLg/pRRE.2またはpMDLg/pRRE.3とタイプ7転移ベクター構築物との間の相同配列の概略示す図である。MAはマトリックス;CAはキャプシド;P2はgag分割産物;NCはヌクレオキャプシド;Plは別のgag分割産物;P6は別のgag分割タンパク質、およびnon-HIV Enhは非HIVエンハンサーである。
【図8】 重複しないレンチウイルスベクター構築物のリン酸カルシウムトランスフェクションにより生産されたベクター粒子による、成長停止した(アフィジコリン処理)HeLa細胞の効率の高い形質導入を示す、代表的なFACS(蛍光活性化セルソーター)プロットを表す。以下のプラスミドがトランスフェクションされた:CCL7sinCMVGFPpre 10μg、pMDLg/pRRE、pMDLg/pRRE.2、またはpMDLg/pRRE.3が5μg、およびpMD.G 3μg。
【図9】 各プラスミドの一時的なトランスフェクションによって得られたベクター粒子のRNA保護解析の代表例である。(プラスミドpCMVΔR8.2は、Naldiniら、Science、上記に記述されている。)Mutは変異である。
【図10】 テトラサイクリン調節可能転移ベクターにより形質導入された第2世代のパッケージング細胞株(クローン2.54)により産生されたベクター粒子の産生とタイターを示す。
【図11】 各ベクターを用いて形質導入したHeLa細胞のノーザン解析の代表例である。全RNAはGFP特異的プローブを用いて検定した。
【図12】 HIV-1が感染してもTeto/HIVプロモーターの活性化が起こらないことを示すFACSプロットの代表例である。
Claims (24)
- レンチウイルスパッケージング系およびレンチウイルス転移ベクターを含むレンチウイルスベクター系であって、
前記レンチウイルスパッケージング系が(a)gag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子を含むベクター、ならびに(b)rev遺伝子を含むベクターを含み;
前記レンチウイルス転移ベクターが5’LTRおよび3’LTRを含み、該5’LTRのU3領域の調節領域の全部または一部が、レンチウイルスにとって内在性ではない、哺乳類細胞で機能可能な別の調節領域によって置換され、異種構造の遺伝子が該調節領域に機能的に連結し、かつ3’LTRのU3領域の一部が、トランスで発現されるアクチベーターの存在時のみに活性化される異種構造の誘導性調節領域により置換される、レンチウイルスベクター系であり、ここで、前記異種構造の誘導性調節領域がtetオペレーター配列によって制御されるプロモーターであり、さらにここで、前記プロモーターが7コピーのtetオペレーター配列(tet o 7)を含み、さらにここで、teto7が、TATAボックス配列を含む3'U3領域の一部に連結するものであり、さらにここで、前記レンチウイルスがヒト免疫不全ウイルス(HIV)である、レンチウイルスベクター系。 - rev遺伝子が異種構造の調節領域に機能的に連結する、請求項1記載のレンチウイルスベクター系。
- rev遺伝子がHIV-1 Revをコードし、teto7/CMVハイブリッドプロモーターの制御下にある、請求項1または2記載のレンチウイルスベクター系。
- rev遺伝子が、ラウス肉腫ウイルス(RSV) U3プロモーターまたは単純ヘルペスウイルス1チミジンキナーゼ(HSVtk)プロモーターのいずれかの転写制御下にあるHIV-1 Revの第2および第3エクソンを含む、請求項1または2記載のレンチウイルスベクター系。
- RREの配列が結果として生じるmRNAの一部となるように、前記gag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子を含むベクターが調節応答性エレメント(RRE)を含む、請求項1〜4のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 異種構造の調節領域がgag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子に機能的に連結する、請求項1〜5のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- gag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子に機能的に連結する異種構造の調節領域がサイトメガロウイルス(CMV)プロモーターを含む、請求項6記載のレンチウイルスベクター系。
- 前記ベクター(a)がレンチウイルスの内在性のgag遺伝子の上流の配列を欠如し、レンチウイルスの内在性のenv遺伝子の下流の配列を欠如するベクターであり、該gag遺伝子配列が条件的または誘導性プロモーターに機能的に連結する、請求項1〜7のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 前記ベクター(a)がレンチウイルスの内在性のgag遺伝子の上流の配列を欠如し、レンチウイルスの内在性のenv遺伝子の下流の配列を欠如するベクターであり、pol遺伝子配列が条件的または誘導性プロモーターに機能的に連結する、請求項1〜8のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 機能的なtat遺伝子を欠如している、請求項1〜9のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 前記tat遺伝子が欠失している、請求項10記載のレンチウイルスベクター系。
- 前記tat遺伝子が変異している、請求項10記載のレンチウイルスベクター系。
- HIV以外のウイルスに由来するenv遺伝子を含む、請求項1〜12のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- env遺伝子が、ヒト細胞への形質導入ができる広宿主性のエンベロープタンパク質をコードする、請求項13記載のレンチウイルスベクター系。
- env遺伝子が、gag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子ではなく異なるウイルスに由来する、請求項13記載のレンチウイルスベクター系。
- env遺伝子が、gag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子を含むベクター以外のベクターに提供される、請求項13〜15のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 機能的なvif、vpr、vpuおよびnef遺伝子が欠如している、請求項1〜16のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- gag遺伝子、pol遺伝子、またはgagおよびpol遺伝子を含むベクターが、rev遺伝子を含むベクターに由来する別個の構築物に提供される、請求項1〜17のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- gag遺伝子が変異している、請求項1〜18のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 3'LTRのU3領域の5'の欠失が、末端ジヌクレオチドおよびatt配列を含まない範囲まで広がる、請求項1〜19のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 3'LTRのU3領域の3'の欠失が、TATAボックスを含む範囲まで広がる、請求項1〜19のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 前記HIVがHIV-1である、請求項1〜21のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系。
- 哺乳類細胞において組換えレンチウイルスを作製するための、請求項1〜22のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系の使用。
- 組換えレンチウイルスを作製する方法であって、以下を含む方法:
(a) パッケージング宿主細胞を請求項1〜22のいずれか一項記載のレンチウイルスベクター系を用いてトランスフェクションする段階;および
(b) 前記トランスフェクションされたパッケージング宿主細胞により作製された組換えレンチウイルスを回収する段階。
Applications Claiming Priority (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
US13167199P | 1999-04-29 | 1999-04-29 | |
US60/131,671 | 1999-04-29 | ||
PCT/US2000/011097 WO2000066759A1 (en) | 1999-04-29 | 2000-04-26 | Method and means for producing high titer, safe, recombinant lentivirus vectors |
Publications (3)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003508017A JP2003508017A (ja) | 2003-03-04 |
JP2003508017A5 JP2003508017A5 (ja) | 2007-07-05 |
JP4979851B2 true JP4979851B2 (ja) | 2012-07-18 |
Family
ID=22450511
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2000615781A Expired - Lifetime JP4979851B2 (ja) | 1999-04-29 | 2000-04-26 | 高いタイターで安全な組換えレンチウイルスベクターの作製方法 |
Country Status (9)
Country | Link |
---|---|
US (2) | US7250299B1 (ja) |
EP (2) | EP1849873B1 (ja) |
JP (1) | JP4979851B2 (ja) |
AT (2) | ATE368122T1 (ja) |
AU (1) | AU778698B2 (ja) |
CA (1) | CA2370103C (ja) |
DE (1) | DE60035676T2 (ja) |
IL (1) | IL146144A0 (ja) |
WO (1) | WO2000066759A1 (ja) |
Families Citing this family (38)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5994136A (en) * | 1997-12-12 | 1999-11-30 | Cell Genesys, Inc. | Method and means for producing high titer, safe, recombinant lentivirus vectors |
WO2001091801A2 (en) * | 2000-05-26 | 2001-12-06 | Chiron Corporation | Methods of transducing neural cells using lentivirus vectors |
WO2002092134A1 (en) | 2001-05-14 | 2002-11-21 | Cell Genesys, Inc. | Lentiviral vectors encoding clotting factors for gene therapy |
EP1594459B1 (en) | 2002-12-30 | 2010-02-17 | Angiotech International Ag | Drug delivery from rapid gelling polymer composition |
US8062891B2 (en) | 2003-10-24 | 2011-11-22 | Gencia Corporation | Nonviral vectors for delivering polynucleotides to plants |
US8133733B2 (en) | 2003-10-24 | 2012-03-13 | Gencia Corporation | Nonviral vectors for delivering polynucleotides to target tissues |
US20090123468A1 (en) | 2003-10-24 | 2009-05-14 | Gencia Corporation | Transducible polypeptides for modifying metabolism |
US8507277B2 (en) | 2003-10-24 | 2013-08-13 | Gencia Corporation | Nonviral vectors for delivering polynucleotides |
ES2411962T3 (es) | 2003-10-24 | 2013-07-09 | Gencia Corporation | Métodos y composiciones para suministrar polinucleótidos |
GB0702695D0 (en) * | 2007-02-12 | 2007-03-21 | Ark Therapeutics Ltd | Production of vectors |
US9593340B2 (en) | 2007-10-15 | 2017-03-14 | Admedus Vaccines Pty Ltd. | Expression system for modulating an immune response |
US9795658B2 (en) | 2010-04-20 | 2017-10-24 | Admedus Vaccines Pty Ltd | Expression system for modulating an immune response |
WO2012170431A2 (en) * | 2011-06-06 | 2012-12-13 | Bluebird Bio, Inc. | Improved geneswitch systems |
CA2858980A1 (en) | 2011-12-12 | 2013-06-20 | The Children's Hospital Of Philadelphia | Large commercial scale lentiviral vector production system and vectors produced thereby |
SG11201408101TA (en) | 2012-06-05 | 2015-01-29 | Univ Australian | Vaccination with interleukin-4 antagonists |
AU2013204922B2 (en) | 2012-12-20 | 2015-05-14 | Celgene Corporation | Chimeric antigen receptors |
AU2014214850C1 (en) | 2013-02-06 | 2018-12-06 | Celgene Corporation | Modified T lymphocytes having improved specificity |
RS61387B2 (sr) | 2013-02-15 | 2024-06-28 | Bioverativ Therapeutics Inc | Gen optimizovanog faktora viii |
JP6493692B2 (ja) | 2013-03-15 | 2019-04-10 | セルジーン コーポレイション | 修飾されたtリンパ球 |
US9925248B2 (en) | 2013-08-29 | 2018-03-27 | Temple University Of The Commonwealth System Of Higher Education | Methods and compositions for RNA-guided treatment of HIV infection |
JP6754761B2 (ja) | 2014-07-11 | 2020-09-16 | セルジーン コーポレイション | Tリンパ球へのベクター導入効率の改善方法 |
US20180080008A1 (en) | 2014-08-12 | 2018-03-22 | Anthrogenesis Corporation | Car-t lymphocytes engineered to home to lymph node b cell zone, skin, or gastrointestinal tract |
JP7110108B2 (ja) | 2015-12-09 | 2022-08-01 | ジンガン メディスン(オーストラリア) プロプライアタリー リミティド | 治療用免疫調節組成物 |
ES2926585T3 (es) | 2016-02-01 | 2022-10-27 | Bioverativ Therapeutics Inc | Genes de Factor VIII optimizados |
EP3443001A4 (en) | 2016-04-11 | 2020-04-29 | Obsidian Therapeutics, Inc. | REGULATED BIOCIRCUIT SYSTEMS |
WO2018018082A1 (en) | 2016-07-26 | 2018-02-01 | The Australian National University | Immunostimulatory compositions and uses therefor |
CN109983027A (zh) | 2016-10-20 | 2019-07-05 | 细胞基因公司 | 基于cereblon的可异二聚化嵌合抗原受体 |
GB201706394D0 (en) | 2017-04-21 | 2017-06-07 | Ospedale San Raffaele Srl | Gene Therapy |
US20210038744A1 (en) | 2018-02-01 | 2021-02-11 | Bioverativ Therapeutics Inc. | Use of lentiviral vectors expressing factor viii |
MX2021014304A (es) * | 2019-05-23 | 2022-02-21 | Massachusetts Inst Technology | Descubrimiento de ligandos y suministro de genes a traves de la presentacion en superficie retroviral. |
US20220403438A1 (en) | 2019-10-08 | 2022-12-22 | Trustees Of Boston College | Proteins containing multiple, different unnatural amino acids and methods of making and using such proteins |
IL296103A (en) | 2020-03-05 | 2022-11-01 | Neotx Therapeutics Ltd | Methods and preparations for treating cancer with immune cells |
CN115247190B (zh) * | 2021-04-28 | 2024-06-18 | 沛尔生技医药股份有限公司 | 慢病毒包装系统、其所制得的慢病毒及经该慢病毒转导的细胞及其应用 |
TWI758171B (zh) | 2021-04-28 | 2022-03-11 | 沛爾生技醫藥股份有限公司 | 慢病毒包裝系統及使用其以提高宿主細胞之慢病毒產量的方法 |
AU2021202658A1 (en) | 2021-04-28 | 2022-11-17 | Fondazione Telethon | Gene therapy |
EP4380582A1 (en) | 2021-08-06 | 2024-06-12 | Celgene Corporation | Compositions and methods for selective degradation of engineered proteins |
AU2022330106A1 (en) | 2021-08-16 | 2024-03-21 | Hemogenyx Pharmaceuticals Llc | Anti-flt3 antibodies, cars, car t cells and methods of use |
GB202206346D0 (en) | 2022-04-29 | 2022-06-15 | Ospedale San Raffaele Srl | Gene therapy |
Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1995030755A1 (fr) * | 1994-05-10 | 1995-11-16 | Hisamitsu Pharmaceutical Co., Inc. | Vecteur recombinant du virus de l'immunodeficience humaine et procede pour sa production |
WO1997012622A1 (en) * | 1995-10-06 | 1997-04-10 | The Salk Institute For Biological Studies | Vector and method of use for nucleic acid delivery to non-dividing cells |
WO1998017816A1 (en) * | 1996-10-17 | 1998-04-30 | Oxford Biomedica (Uk) Limited | Lentiviral vectors |
WO1999004026A2 (en) * | 1997-07-18 | 1999-01-28 | Chiron Corporation | Lentiviral vectors |
WO1999031251A1 (en) * | 1997-12-12 | 1999-06-24 | Cell Genesys, Inc. | Method and means for producing high titer, safe, recombinant lentivirus vectors |
Family Cites Families (22)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5716826A (en) | 1988-03-21 | 1998-02-10 | Chiron Viagene, Inc. | Recombinant retroviruses |
FR2629469B1 (fr) | 1988-03-31 | 1990-12-21 | Pasteur Institut | Retrovirus recombinant defectif, son application a l'integration de sequences codantes pour des proteines determinees dans le genome de cultures cellulaires infectables par le retrovirus sauvage correspondant et adns recombinants pour la production de ce retrovirus recombinant |
US5614404A (en) | 1988-06-10 | 1997-03-25 | Theriod Biologics, Incorporated | Self-assembled, defective, non-self-propagating lentivirus particles |
US5665577A (en) | 1989-02-06 | 1997-09-09 | Dana-Farber Cancer Institute | Vectors containing HIV packaging sequences, packaging defective HIV vectors, and uses thereof |
WO1991000047A1 (en) | 1989-06-30 | 1991-01-10 | The Regents Of The University Of California | Retrovirus detection |
PT630409E (pt) | 1992-02-28 | 2003-04-30 | Syngenix Ltd | Vectores nao oncovirais deficientes no empacotamento baseados no mpmv |
US6051427A (en) | 1993-06-11 | 2000-04-18 | Cell Genesys, Inc. | Method for production of high titer virus and high efficiency retroviral mediated transduction of mammalian cells |
US5834256A (en) | 1993-06-11 | 1998-11-10 | Cell Genesys, Inc. | Method for production of high titer virus and high efficiency retroviral mediated transduction of mammalian cells |
US5589362A (en) * | 1993-06-14 | 1996-12-31 | Basf Aktiengesellschaft | Tetracycline regulated transcriptional modulators with altered DNA binding specificities |
US5591579A (en) | 1993-12-21 | 1997-01-07 | Washington University | Indicator cell line for detecting RNA viruses and method therefor |
US5739118A (en) | 1994-04-01 | 1998-04-14 | Apollon, Inc. | Compositions and methods for delivery of genetic material |
WO1995032300A1 (en) | 1994-05-23 | 1995-11-30 | University Of Medicine & Dentistry Of New Jersey | Selective biological destruction of tumor cells |
US5693508A (en) | 1994-11-08 | 1997-12-02 | Chang; Lung-Ji | Retroviral expression vectors containing MoMLV/CMV-IE/HIV-TAR chimeric long terminal repeats |
US5681746A (en) * | 1994-12-30 | 1997-10-28 | Chiron Viagene, Inc. | Retroviral delivery of full length factor VIII |
US5650309A (en) | 1995-05-16 | 1997-07-22 | The Regents Of The University Of California | Viral vectors |
WO1997020052A1 (en) | 1995-11-28 | 1997-06-05 | Clinical Technologies, Inc. | Recombinant hiv and modified packaging cells and method for treating acquired immune deficiency syndrome |
US5750383A (en) | 1996-05-14 | 1998-05-12 | Boyce Thompson Institute For Plant Research, Inc. | Baculovirus cloning system |
JP2001501815A (ja) * | 1996-09-17 | 2001-02-13 | ザ ソールク インスチチュート フォア バイオロジカル スタディズ | 非分裂細胞への形質導入が可能なレトロウイルスベクター |
EP0904392B1 (en) | 1996-10-17 | 2001-01-24 | Oxford Biomedica (UK) Limited | Retroviral vectors |
US6207455B1 (en) | 1997-05-01 | 2001-03-27 | Lung-Ji Chang | Lentiviral vectors |
CA2318575A1 (en) * | 1998-01-16 | 1999-07-22 | Chiron Corporation | Feline immunodeficiency virus gene therapy vectors |
CA2328404C (en) * | 1998-05-13 | 2007-07-24 | Genetix Pharmaceuticals, Inc. | Novel lentiviral packaging cells |
-
2000
- 2000-04-26 EP EP07012545A patent/EP1849873B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-04-26 AU AU44897/00A patent/AU778698B2/en not_active Expired
- 2000-04-26 US US10/031,639 patent/US7250299B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-04-26 CA CA2370103A patent/CA2370103C/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-04-26 EP EP00926354A patent/EP1171624B1/en not_active Expired - Lifetime
- 2000-04-26 DE DE60035676T patent/DE60035676T2/de not_active Expired - Lifetime
- 2000-04-26 AT AT00926354T patent/ATE368122T1/de not_active IP Right Cessation
- 2000-04-26 WO PCT/US2000/011097 patent/WO2000066759A1/en active IP Right Grant
- 2000-04-26 IL IL14614400A patent/IL146144A0/xx not_active IP Right Cessation
- 2000-04-26 AT AT07012545T patent/ATE528406T1/de not_active IP Right Cessation
- 2000-04-26 JP JP2000615781A patent/JP4979851B2/ja not_active Expired - Lifetime
-
2007
- 2007-07-20 US US11/781,094 patent/US8652837B2/en not_active Expired - Lifetime
Patent Citations (5)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO1995030755A1 (fr) * | 1994-05-10 | 1995-11-16 | Hisamitsu Pharmaceutical Co., Inc. | Vecteur recombinant du virus de l'immunodeficience humaine et procede pour sa production |
WO1997012622A1 (en) * | 1995-10-06 | 1997-04-10 | The Salk Institute For Biological Studies | Vector and method of use for nucleic acid delivery to non-dividing cells |
WO1998017816A1 (en) * | 1996-10-17 | 1998-04-30 | Oxford Biomedica (Uk) Limited | Lentiviral vectors |
WO1999004026A2 (en) * | 1997-07-18 | 1999-01-28 | Chiron Corporation | Lentiviral vectors |
WO1999031251A1 (en) * | 1997-12-12 | 1999-06-24 | Cell Genesys, Inc. | Method and means for producing high titer, safe, recombinant lentivirus vectors |
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
US7250299B1 (en) | 2007-07-31 |
WO2000066759A1 (en) | 2000-11-09 |
CA2370103C (en) | 2011-08-02 |
EP1171624A4 (en) | 2002-06-26 |
AU4489700A (en) | 2000-11-17 |
EP1171624B1 (en) | 2007-07-25 |
US20080241929A1 (en) | 2008-10-02 |
ATE528406T1 (de) | 2011-10-15 |
EP1849873A1 (en) | 2007-10-31 |
IL146144A0 (en) | 2002-07-25 |
DE60035676D1 (de) | 2007-09-06 |
EP1171624A1 (en) | 2002-01-16 |
CA2370103A1 (en) | 2000-11-09 |
DE60035676T2 (de) | 2008-04-30 |
AU778698B2 (en) | 2004-12-16 |
EP1849873B1 (en) | 2011-10-12 |
ATE368122T1 (de) | 2007-08-15 |
JP2003508017A (ja) | 2003-03-04 |
US8652837B2 (en) | 2014-02-18 |
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
JP4979851B2 (ja) | 高いタイターで安全な組換えレンチウイルスベクターの作製方法 | |
JP4640742B2 (ja) | 高力価で安全な組換えレンチウイルスベクター作成の方法及び手段 | |
RU2749717C2 (ru) | Способ временной трансфекции для продуцирования ретровируса | |
Kafri | Gene delivery by lentivirus vectors: an overview | |
Sparacio et al. | Generation of a flexible cell line with regulatable, high-level expression of HIV Gag/Pol particles capable of packaging HIV-derived vectors | |
Metharom et al. | Novel bovine lentiviral vectors based on Jembrana disease virus | |
US20230151388A1 (en) | Modified vectors for production of retrovirus | |
Nguyen et al. | A Third-Generation Lentivirus Vector with |
Legal Events
Date | Code | Title | Description |
---|---|---|---|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20070425 |
|
A621 | Written request for application examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621 Effective date: 20070425 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20100218 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20100517 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20100524 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20100818 |
|
A711 | Notification of change in applicant |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A711 Effective date: 20110207 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A821 Effective date: 20110207 |
|
A131 | Notification of reasons for refusal |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131 Effective date: 20110509 |
|
A601 | Written request for extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A601 Effective date: 20110808 |
|
A602 | Written permission of extension of time |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A602 Effective date: 20110815 |
|
A521 | Request for written amendment filed |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523 Effective date: 20111108 |
|
TRDD | Decision of grant or rejection written | ||
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 Effective date: 20120322 |
|
A01 | Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01 |
|
A61 | First payment of annual fees (during grant procedure) |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61 Effective date: 20120418 |
|
FPAY | Renewal fee payment (event date is renewal date of database) |
Free format text: PAYMENT UNTIL: 20150427 Year of fee payment: 3 |
|
R150 | Certificate of patent or registration of utility model |
Ref document number: 4979851 Country of ref document: JP Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
S533 | Written request for registration of change of name |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
S111 | Request for change of ownership or part of ownership |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313113 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
R350 | Written notification of registration of transfer |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350 |
|
R250 | Receipt of annual fees |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250 |
|
EXPY | Cancellation because of completion of term |