JP4972832B2 - 液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、脱酢酸重縮合によって製造する液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法に関する。更に詳しくは、触媒、着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤などの添加剤を良好に分散させることによって、重合時の突沸や異物の生成を抑制し、かつ、添加剤の効果をより効率良く発揮せしめ得る液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、プラスチックの高性能化に対する要求がますます高まり、種々の新規性能を有するポリマが数多く開発され、市場に供されているが、中でも分子鎖の平行な配列を特徴とする光学異方性の液晶ポリエステルなどの液晶性樹脂が優れた成形性と機械的性質を有する点で注目され、機械部品、電気・電子部品などに用途が拡大されつつある。
【0003】
これらの用途に用いられる液晶性樹脂には、耐熱性、低ガス性、色調、静電性難燃性などの特徴が要求される。そのために、液晶性樹脂に着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、染料および顔料を含む着色剤、帯電防止剤、難燃剤などの添加剤を配合することが行われている。これらの添加剤を配合する方法として、液晶性樹脂を重合するときに添加する方法が試みられている(WO98/49232号公報)。しかしながら、重合時に添加剤を添加することにより、重合時の熱による着色を抑制したり、吐出時の粘度低下を抑制するなどの効果が得られる反面、添加剤自身が塊状になって異物となったり、部分的に反応を加速して突沸、変色、分解が起こり、安定した品質の液晶性樹脂が得られない。また、場合によってはこれらの添加剤が重合缶壁に固まり、炭化して重合異物の原因となったりするなどの問題が生じることがわかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の背景に鑑み、重合時に添加剤を塊状にならないように添加し、良好な分散形態を作り出すことによって、突沸や異物の生成を抑制し、かつ、重合時およびその後の加工時、また、使用時においても、優れた特性を発揮する液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法を提供せんとするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、かかる課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、下記構造単位(I)から選ばれた2種類以上の構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂、構造単位(I)、(II)および(III)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂および(I)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂のいずれかを脱酢酸重縮合によって製造する液晶ポリエステル樹脂の製造方法において、共重合モノマー、触媒、それ以外の添加剤のいずれか1種以上のリン化合物を、酢酸に溶解して、重合終了までに、該重合系内に添加することを特徴とするものである。
【0006】
【化5】
Figure 0004972832
【0007】
(ただし式中のR1
【0008】
【化6】
Figure 0004972832
【0009】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【0010】
【化7】
Figure 0004972832
【0011】
から選ばれた1種以上の基を示し、R3
【0012】
【化8】
Figure 0004972832
【0013】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。また、YはOおよび/またはNHであり、nは2〜6の整数である。)
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり重合時に添加剤を塊状にならないように、該重合系内に添加し、良好な分散形態を作り出すことによって、突沸や異物の生成を抑制し、かつ、重合時およびその後の加工時、また、使用時においても、優れた特性を発揮する液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法について、鋭意検討し、液晶ポリエステル樹脂組成物を脱酢酸重縮合によって製造する際に、酢酸に可溶な化合物を飽和濃度未満の濃度の範囲で溶解して、これを重合系中に添加してみたところ、意外にも、かかる課題を一挙に解決することを究明したものである。
【0015】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、下記構造単位(I)から選ばれた2種類以上の構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂、構造単位(I)、(II)および(III)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂および(I)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂のいずれかであり、脱酢酸重縮合で製造される。
【0016】
【化9】
Figure 0004972832
【0017】
(ただし式中のR1
【0018】
【化10】
Figure 0004972832
【0019】
から選ばれた1種以上の基を示し、R2
【0020】
【化11】
Figure 0004972832
【0021】
から選ばれた1種以上の基を示し、R3
【0022】
【化12】
Figure 0004972832
【0023】
から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。また、YはOまたはNHであり、nは2〜6の整数である。)
ここでいう脱酢酸重縮合とは、芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジヒドロキシ化合物のアシル化された水酸基と芳香族ヒドロキシカルボン酸および芳香族ジカルボン酸のカルボン酸基との脱酢酸反応の繰り返しによって、系外に酢酸を留出して重合が進行する重縮合反応を意味するものである。
【0024】
該構造単位(I)としては、例えば、p−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、p−アミノ安息香酸、m−ヒドロキシ安息香酸、7−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸などから生成した構造単位を使用することができ、該構造単位(II)としては、例えば、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノン、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル、t−ブチルハイドロキノン、フェニルハイドロキノン、メチルハイドロキノン、2,6−ジヒドロキシナフタレン、2,7−ジヒドロキシナフタレン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、レゾルシノール、p−アミノフェノールおよび4,4’−ジヒドロキシジフェニルエーテルなどから生成した構造単位を使用することができ、該構造単位(III)としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、4,4’−ジフェニルジカルボン酸、1,2−ビス(フェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸、1,2−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4’−ジカルボン酸および4,4’−ジフェニルエーテルジカルボン酸などから生成した構造単位を使用することができ、該構造単位(IV)としては、例えば、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンタメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールなどから生成した構造単位を使用することができる。
【0025】
なお、該構造単位(IV)は、ポリアルキレンテレフタレートやポリアルキレンナフタレートもしくはそのオリゴマーや2量体、3量体などを由来としたものでもよく、ポリアルキレンテレフタレートやオリゴアルキレンテレフタレートが好ましく使用される。
【0026】
上記構造単位の中で、好ましく用いることができる液晶ポリエステル樹脂としては、上記構造単位(I)〜(IV)を構成する成分以外に、3,3’−ジフェニルジカルボン酸、2,2’−ジフェニルジカルボン酸などの芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ドデカンジオン酸などの脂肪族ジカルボン酸、ヘキサヒドロテレフタル酸などの脂環式ジカルボン酸、クロルハイドロキノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4’−ジヒドロキシジフェニルスルフィド、4,4’−ジヒドロキシベンゾフェノン、3,4’−ジヒドロキシビフェニル等の芳香族ジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール等の脂肪族、脂環式ジオールなどを、液晶性を損なわない程度の範囲で、さらに共重合せしめたものを使用することができる。また、p−アミノ安息香酸やp−アミノフェノールを共重合した液晶ポリエステルアミドも本発明の液晶ポリエステル樹脂に含まれる。
【0027】
該構造単位(I)から選ばれた2種類以上の構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステルを使用することができる。
【0028】
また、該構造単位(I)、(II)および(III)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸および/またはイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂やp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、ハイドロキノンから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、2,6−ナフタレンジカルボン酸から生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステルを使用することができる。
【0029】
また、該構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、4,4’−ジヒドロキシビフェニルから生成した構造単位、テレフタル酸から生成した構造単位からなる液晶性ポリエステル樹脂を使用することができる。
【0030】
また、該構造単位(I)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂としては、例えばp−ヒドロキシ安息香酸から生成した構造単位、エチレングリコールから生成した構造単位、テレフタル酸およびイソフタル酸から生成した構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂を使用することができる。
【0031】
これらの液晶ポリエステル樹脂の中でも、該構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂が好ましく使用され、さらに該構造単位(I)および(II)の合計は、構造単位(I)、(II)および(IV)の合計に対して、30〜95モル%の範囲にあるのが好ましく、40〜92モル%の範囲にあるのがより好ましい。また、構造単位(IV)は、構造単位(I)、(II)および(IV)の合計に対して、70〜5モル%の範囲にあるのが好ましく、60〜8モル%の範囲にあるのがより好ましい。また、構造単位(I)と(II)のモル比[(I)/(II)]は、好ましくは75/25〜95/5の範囲にあるのがよく、より好ましくは78/22〜93/7の範囲にあるのがよい。また、構造単位(III)は、構造単位(II)および(IV)の合計と実質的に等モルであるのが好ましい。
【0032】
本発明の液晶ポリエステル樹脂は、脱酢酸重縮合で製造されるが、具体的には、例えば、次の3つの製造方法が用いられる。
(1)p−アセトキシ安息香酸および4,4’−ジアセトキシビフェニル、ジアセトキシベンゼンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物のジアシル化物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸から脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステルを製造する方法。
(2)p−ヒドロキシ安息香酸および4,4’−ジヒドロキシビフェニル、ハイドロキノンなどの芳香族ジヒドロキシ化合物と2,6−ナフタレンジカルボン酸、
テレフタル酸、イソフタル酸などの芳香族ジカルボン酸に無水酢酸を反応させて、フェノール性水酸基をアシル化した後、脱酢酸重縮合反応によって液晶ポリエステルを製造する方法。
(3)ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステルのポリマー、オリゴマーまたはビス(β−ヒドロキシエチル)テレフタレートなど芳香族ジカルボン酸のビス(β−ヒドロキシエチル)エステルの存在下で(1)または(2)の方法により液晶ポリエステルを製造する方法。
【0033】
本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法は、これらの脱酢酸重縮合によって液晶ポリエステル樹脂を製造する際に、共重合モノマー、触媒および/または着色防止剤、酸化防止剤、熱安定剤、および難燃剤などの添加剤を酢酸に溶解して添加することを特徴とするものである。
【0034】
従来、重合系内に共重合モノマー、触媒および/または添加剤を添加する場合に、酢酸に溶解させずに、粉体あるいは顆粒状、または、溶融状態のままで添加されていたが、かかる方法で添加すると、缶壁に付着したり、異物生成や突沸が発生するという問題があった。
【0035】
これに対し、酢酸に溶解して添加する場合では、脱酢酸重縮合であるために、酢酸を系内に加えることは、反応を遅延する恐れがあるが、その影響はほとんどなく、逆に共重合モノマー、触媒および/または添加剤が良分散することで、添加効果がより効率良く発現し、かえって重合反応が促進されることを見いだしたものである。
【0036】
また、他の溶媒に溶解して添加した場合には、添加しようとする共重合モノマー、触媒、添加剤が、変質、変色してしまったり、沸点が低すぎることにより突沸したり、含有する不純物が原因となり異物を生成するという、新たな問題が発生するので好ましくなかった。
【0037】
本発明でいう触媒としては、例えば酢酸第一錫や酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、酢酸亜鉛、酢酸鉛、酢酸リチウム、酢酸カルシウムなどの酢酸塩が使用され、中でも酢酸第一錫、酢酸亜鉛が好ましく使用される。
【0038】
また、酸化防止剤および熱安定剤としては、例えばヒンダードフェノール、ヒドロキノン、ホスファイト類、ホスフィナート類およびこれらの置換体などが用いられ、これらの中でも、ホスファイト類およびホスフィナート類の化合物が好ましく使用され、亜リン酸、次亜リン酸の金属塩がより好ましく使用される。
【0039】
かかる亜リン酸、次亜リン酸の金属塩の金属種については、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属(I族の金属)、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属(II族の金属)が好ましく使用され、より好ましくはアルカリ金属が使用される。
【0040】
これらの酸化防止剤および熱安定剤の中でも、さらに具体的には、次亜リン酸カルシウム、次亜リン酸ナトリウム、次亜リン酸カリウム、亜リン酸ナトリウム、亜リン酸カリウム、亜リン酸カルシウムなどが好ましく使用され、特に好ましくは、次亜リン酸ナトリウム、亜リン酸ナトリウムなどのナトリウム金属塩が使用される。
【0041】
また、難燃剤としては、例えば、縮合リン酸の塩が挙げられ、ポリリン酸アンモニウム、ピロリン酸、トリポリリン酸、テトラポリリン酸およびポリリン酸の金属塩が好ましく使用される。これらの縮合リン酸の金属塩の金属種については、リチウム、ナトリウム、カリウムなどのアルカリ金属(I族の金属)、マグネシウム、カルシウム、バリウムなどのアルカリ土類金属(II族の金属)が好ましく使用され、より好ましくはアルカリ金属が使用される。
【0042】
これらの酢酸に可溶な化合物のうち、酢酸に溶解して添加することで、特にその効果が発現されやすいのが、リン化合物であり、より好ましくは無機リン化合物であり、さらに好ましくはリン酸、亜リン酸、次亜リン酸、縮合リン酸およびその金属塩であり、その中でも、リン酸、亜リン酸、次亜リン酸、縮合リン酸の金属塩が好ましく、次亜リン酸ナトリウムが特に好ましく使用される。
【0043】
添加剤の添加量としては、液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.001〜3重量部が好ましく、より好ましくは0.01〜1重量部であり、更に好ましくは0.05〜0.5重量部である。なお、ここで本発明において「重量」とは「質量」を意味する。
【0044】
添加剤の酢酸溶液の濃度としては、溶液調整雰囲気の温度における飽和濃度以下で、0.01〜1g/mLが好ましく、より好ましくは0.05〜0.9g/mL、更に好ましくは0.1〜0.8g/mLの範囲の濃度であるのがよい。この濃度よりも薄い場合には、重合系内に過剰に酢酸が添加されるために、脱酢酸に時間がかかる。逆に、濃度が高すぎると、結晶化して析出しやすくなるので好ましくない。
【0045】
本発明の添加剤の溶解に用いて重合系内に添加する酢酸は、特に制限はなく、市販のものを用いることができる。その純度は、特に限定しないが、98%以上であるものが好ましく、より好ましくは99%以上、さらに好ましくが99.5%以上であるものがよい。また、リサイクル性の観点から、脱酢酸重縮合によって重合系外に留出する留出液の一部を用いることも可能であり、その場合には、そのまま用いることもできるが、上記純度範囲になるように、再蒸留処理することが好ましい。
【0046】
本発明において、添加剤の酢酸溶液の重合系内への添加時期は、原料を計量する際の昇温前、もしくは、重合系内の温度が148℃以下である時に添加することが好ましい。 このような添加方法をとった場合には、添加剤の分散状態が非常に均一になるので好ましい。
【0047】
かくして、本発明の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法によれば、重合時に添加する化合物の凝集による突沸や異物生成などの不都合がなく、触媒、酸化防止剤および熱安定剤、難燃剤などの添加剤の効果が更に鮮明に発揮される。
【0048】
このようにして得られた液晶性樹脂組成物は、例えば、各種ギヤー、各種ケース、センサー、LEDランプ、コネクター、ソケット、抵抗器、リレーケース、スイッチ、コイルボビン、コンデンサー、バリコンケース、光ピックアップ、発振子、各種端子板、変成器、プラグ、プリント配線板、チューナー、スピーカー、マイクロフォン、ヘッドフォン、小型モーター、磁気ヘッドベース、パワーモジュール、ハウジング、半導体、液晶ディスプレー部品、FDDキャリッジ、FDDシャーシ、HDD部品、モーターブラッシュホルダー、パラボラアンテナ、コンピューター関連部品などに代表される電気・電子部品;VTR部品、テレビ部品、アイロン、ヘアードライヤー、炊飯器部品、電子レンジ部品、音響部品、オーディオ・レーザーディスク・コンパクトディスクなどの音声機器部品、照明部品、冷蔵庫部品、エアコン部品、タイプライター部品、ワードプロセッサー部品などに代表される家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、オイルレス軸受、船尾軸受、水中軸受などの各種軸受、モーター部品、ライター、タイプライターなどに代表される機械関連部品、顕微鏡、双眼鏡、カメラ、時計などに代表される光学機器、精密機械関連部品;オルタネーターターミナル、オルタネーターコネクター、ICレギュレーター、ライトディヤー用ポテンショメーターベース、排気ガスバルブなどの各種バルブ、燃料関係・排気系・吸気系各種パイプ、エアーインテークノズルスノーケル、インテークマニホールド、燃料ポンプ、エンジン冷却水ジョイント、キャブレターメインボディー、キャブレタースペーサー、排気ガスセンサー、冷却水センサー、油温センサー、スロットルポジションセンサー、クランクシャフトポジションセンサー、エアーフローメーター、ブレーキバット磨耗センサー、エアコン用サーモスタットベース、暖房温風フローコントロールバルブ、ラジエーターモーター用ブラッシュホルダー、ウォーターポンプインペラー、タービンべイン、ワイパーモーター関係部品、デュストリビュター、スタータースィッチ、スターターリレー、トランスミッション用ワイヤーハーネス、ウィンドウオッシャーノズル、エアコンパネルスィッチ基板、燃料関係電磁気弁用コイル、ヒューズ用コネクター、ホーンターミナル、電装部品絶縁板、ステップモーターローター、ランプソケット、ランプリフレクター、ランプハウジング、ブレーキピストン、ソレノイドボビン、エンジンオイルフィルター、点火装置ケースなどの自動車・車両関連部品などに用いることができる。
【0049】
【実施例】
以下、実施例により本発明をさらに詳述する。
【0050】
実施例1
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.3g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが2.6重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.2重量部)になるように計量して重合容器に添加した。
【0051】
さらに無水酢酸960重量部を重合容器に仕込み、145℃で1時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、325℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。
【0052】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点314℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-1)を得た。
【0053】
実施例2
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部および無水酢酸960重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、145℃で1時間反応させた。内温が147℃であることを確認した後、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.3g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが2.6重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.2重量部)になるように計量して重合容器に添加した。
【0054】
さらに、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、325℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。
【0055】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点315℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-2)を得た。
【0056】
実施例3
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル184重量部、テレフタル酸165重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト156重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.3g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが2.6重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.2重量部)になるように計量して重合容器に添加した。
【0057】
さらに無水酢酸1031重量部を重合容器に仕込み、145℃で1時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、330℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。 その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位11モル当量、エチレンジオキシ単位9モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点330℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-3)を得た。
【0058】
実施例4
p−ヒドロキシ安息香酸907重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.3g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが2.6重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.2重量部)になるように計量して重合容器に添加した。
【0059】
さらに無水酢酸873重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、A−1と同じ条件で重合を行った。
【0060】
その結果、p−ヒドロキシ安息香酸由来の構造単位73モル当量、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸由来の構造単位27モル当量からなる融点282℃、溶融粘度40Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-4)を得た。
【0061】
実施例5
p−アセトキシ安息香酸746重量部、4,4´−ジアセトキシビフェニル339重量部、テレフタル酸224重量部、イソフタル酸75重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.3g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが2.6重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.2重量部)になるように計量して重合容器に添加し、145℃で1.5時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、330℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。
【0062】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位11モル当量、エチレンジオキシ単位9モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点351℃、溶融粘度25Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-5)を得た。
【0063】
実施例6
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル184重量部、テレフタル酸165重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト156重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.3g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが0.13重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.01重量部)になるように計量して重合容器に添加した。
【0064】
さらに無水酢酸1031重量部を重合容器に仕込み、145℃で1時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、330℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。 その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位11モル当量、エチレンジオキシ単位9モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点327℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-6)を得た。
【0065】
実施例7
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル184重量部、テレフタル酸165重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト156重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、重合容器上部に設けられ、重合容器の上部と配管で結ばれた撹拌設備を有する重合容器とは別の容器(重合容器の容積の1/10)に調整した次亜リン酸ナトリウムを0.1g/mLの濃度で溶解した酢酸溶液を、重合容器に添加される次亜リン酸ナトリウムが2.6重量部(液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して0.2重量部)になるように計量して重合容器に添加した。
【0066】
さらに無水酢酸1031重量部を重合容器に仕込み、145℃で1.5時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、330℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。
【0067】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位11モル当量、エチレンジオキシ単位9モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点327℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(A-7)を得た。
【0068】
比較例1
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル126重量部、テレフタル酸112重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト216重量部および次亜リン酸ナトリウム2.6重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、さらに無水酢酸960重量部を重合容器に仕込み、145℃で1時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、325℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。
【0069】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位7.5モル当量、エチレンジオキシ単位12.5モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点314℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(B-1)を得た。
【0070】
比較例2
p−ヒドロキシ安息香酸994重量部、4,4´−ジヒドロキシビフェニル184重量部、テレフタル酸165重量部、固有粘度が約0.6dl/gのポリエチレンテレフタレ−ト156重量部および次亜リン酸ナトリウム2.6重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、さらに無水酢酸1031重量部を重合容器に仕込み、145℃で1時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、325℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに330℃で10分間反応させ重縮合を行った。
【0071】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位11モル当量、エチレンジオキシ単位9モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点327℃、溶融粘度20Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(B-2)を得た。
【0072】
比較例3
p−ヒドロキシ安息香酸907重量部と6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸457重量部および次亜リン酸ナトリウム2.6重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、さらに無水酢酸873重量部を攪拌翼、留出管を備えた反応容器に仕込み、A−1と同じ条件で重合を行った。
【0073】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位100モル等量からなる融点284℃、溶融粘度40Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(B-3)を得た。
【0074】
比較例4
p−アセトキシ安息香酸746重量部、4,4´−ジアセトキシビフェニル339重量部、テレフタル酸224重量部、イソフタル酸75重量部および次亜リン酸ナトリウム2.6重量部を撹拌翼、留出管を備えた重合容器に計量し、145℃で1.5時間、145℃〜250℃で4時間、250〜330℃で1.5時間反応させた後、330℃、1.5時間で0.5mmHgに減圧し、さらに10分間反応させ重縮合を行った。
【0075】
その結果、芳香族オキシカルボニル単位80モル当量、芳香族ジオキシ単位11モル当量、エチレンジオキシ単位9モル当量、芳香族ジカルボン酸単位20モル当量からなる融点350℃、溶融粘度25Pa・s(せん断速度1000/s、融点+10℃)の液晶ポリエステル樹脂(B-4)を得た。
【0076】
比較例5
酢酸を蟻酸に変えた以外は、実施例1と全く同様の条件で重合したところ、昇温するに従い重合系内が炭化し、液晶ポリエステル樹脂は得られなかった。
【0077】
比較例6
酢酸を酢酸エチルに変えた以外は、実施例1と全く同様の条件で重合したところ、添加後すぐに重合系内が炭化し、液晶ポリエステル樹脂は得られなかった。
【0078】
比較例7
酢酸をメタノールに変えた以外は、実施例1と全く同様の条件で重合したところ、最終的に325℃で0.5mmHgで撹拌を続けても撹拌トルクの上昇がなく、液晶ポリエステル樹脂は得られなかった。
【0079】
実施例1〜7および比較例1〜6をそれぞれ10回重合を行い、次の(1)〜(3)で示す評価を行った。
【0080】
(1)突沸
精留塔上部に温度計を設置し、重合中の精留塔上部の温度挙動を調べ、突沸による急激な温度上昇がないか確認し、さらに、重合が1回終了するごとに重合容器内を調べ、突沸による上部缶壁や撹拌翼上部へのオリゴマーなどの付着がないかどうかを調べた。
【0081】
(2)異物
突沸のなかったランダムに選んだ1回の重合で得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を融点+10〜20℃の温度でプレス成形し5cm×5cm×厚み100μmのプレスフィルムを成形した。 このプレスフィルムの異物を拡大鏡で見て、(1)1mm以上の異物、(2)0.2mm以上の異物、(3)0.2mm以下の異物をカウントした。
【0082】
(3)熱安定性
得られた液晶ポリエステル樹脂組成物を溶融させてストランドとし、カッターによりペレタイズした。得られたペレットを高化式フローテスターによって、剪断速度1,000/秒の条件下でノズル径0.5mmφ、ノズル長10mmのノズルを用い滞留時間を5分、30分と変えて、溶融粘度を測定し、滞留による粘度低下率を下記式によって評価した。滞留時間5分の溶融粘度は各実施例、比較例の記載中に示した。
【0083】
(滞留時間30分の溶融粘度/滞留時間5分の溶融粘度)×100(%)
【0084】
【表1】
Figure 0004972832
【0085】
表1から明らかなように、比較例1〜7に比して、実施例1〜7は、突沸が全く抑制され、異物も劇的に減少した。熱安定性も、高くなることがわかる。
【0086】
このように、化合物を飽和濃度未満の酢酸溶液にして重合系内に添加することで、重合時の突沸や異物生成が抑制され、かつ、得られる液晶ポリエステル樹脂組成物に添加した化合物が付与する効果もより高く発現するため、非常に品質が良く、さらに性能の高い液晶ポリエステル樹脂組成物を得ることができることがわかる。
【0087】
【発明の効果】
本発明によれば、品質、性能ともに優れた液晶ポリエステル樹脂組成物が得られるので、電気・電子部品、家庭、事務電気製品部品、オフィスコンピューター関連部品、電話機関連部品、ファクシミリ関連部品、複写機関連部品、洗浄用治具、軸受、機械関連部品、光学機器、精密機械関連部品、自動車・車両関連部品などに好適な素材を提供することができる。

Claims (3)

  1. 下記構造単位(I)から選ばれた2種類以上の構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂、構造単位(I)、(II)および(III)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂および(I)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂のいずれかを脱酢酸重縮合によって製造する液晶ポリエステル樹脂の製造方法において、共重合モノマー、触媒、それ以外の添加剤のいずれか1種以上のリン化合物を、酢酸に溶解して、重合終了までに、該重合系内に添加することを特徴とする液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
    Figure 0004972832
    (ただし式中のR
    Figure 0004972832
    から選ばれた1種以上の基を示し、R
    Figure 0004972832
    から選ばれた1種以上の基を示し、R
    Figure 0004972832
    から選ばれた1種以上の基を示す。ただし式中Xは水素原子または塩素原子を示す。また、YはOおよび/またはNHであり、nは2〜6の整数である。)
  2. 液晶ポリエステル樹脂が、構造単位(I)、(II)、(III)および(IV)からそれぞれ1種類以上選ばれた構造単位からなる液晶ポリエステル樹脂であることを特徴とする請求項1記載の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
  3. 該添加剤が、共重合モノマー、触媒以外の添加剤であり、その添加量が液晶ポリエステル樹脂100重量部に対して、0.001〜3重量部であることを特徴とする請求項1または2記載の液晶ポリエステル樹脂組成物の製造方法。
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