JP4971090B2 - ダブル編用丸編機及びダブル生地の編成方法 - Google Patents
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Description
なお、シングル編用の丸編機(ダイヤルがないもの)では、シリンダの上部にシンカベッドが設けられ、このシンカベッドにより、編成中のループの突出を押さえるためのシンカが保持されているのが普通である。しかしダブル編用の丸編機では、ダイヤルの存在によるスペース的制約があるためにシンカの装備が無く、従ってループの突出は、ダイヤルの下方で編成生地に引張力を付与させることだけで対処しているのが普通であった。
このステッチ量調整装置を1コースの編成中に稼働させると、編成された生地では1コース内(周方向)の一部にループの大きな領域を設けることができるので、この領域を立体的に膨らませるようにできることになる。このような生地の立体化は、例えば女性用衣類の胸部や男性用衣類の股間部、或いは男女用を問わず臀部などにフィットさせる場合に有効なものとなる。
、従って編成生地として、メリハリのついた立体部を設けることはできなかった。
のみならず、もし仮に、ダブル編用丸編機に対してステッチ量調整装置を装備させたとしても、ダブル編用丸編機ではシンカの装備も無い(シンカの装備は現段階では物理的に無理とされている)ため、大きなループを作ったときにこのループが次に動作するダイヤル針に引っ掛けられてしまうおそれがあった。このようになると、編成生地には所謂「被り」という瑕疵が発生することになる。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、メリハリのついた立体部が設けられた生地(ダブル編生地)を編成することができるダブル編用丸編機及びダブル生地の編成方法を提供することを目的とする。
即ち、本発明に係るダブル編用丸編機は、シリンダ針を上下動自在に保持するシリンダと、このシリンダの上部に設けられてダイヤル針を径方向に沿って摺動自在に保持するダイヤルとを有し、シリンダ及びダイヤルの一体回転時にシリンダ針とダイヤル針とで形成されるニッティングポイントから生地が編み降ろされるようになったもので、上記ニッティングポイントに対し、生地の編み降ろし方向へ沿わせたエアを吹き付けるダウンブロー噴射部が、ダイヤルの下面外周部でシリンダの内部下方を指向して設けられている。
そのため、ステッチ量調整装置を装備させたときであっても、編成生地に対して所謂「被り」という瑕疵を発生させるおそれがなく、結果として、メリハリのついた立体部が設けられた生地(ダブル編生地)を編成することができるものとなる。
ダウンブロー噴射部は、シリンダとダイヤルとで囲まれる内側のスペースに設けていることになるので、ループに対して有効に押し込み作用を生じさせることができる。更に言えば、ダウンブロー噴射部は、ダイヤルの下面外周部でシリンダの内部下方を指向して設けているので、ループに対してダウンブロー噴射部を可及的に接近させるうえで好都合であり、その結果、ループに対して有効に押し込み作用を生じさせることも一層良好となる。
なお、この場合、分岐路は、ダイヤルの外周部に対し、その下面からダイヤル内部へ入って外周面へ抜けるように鉤型に形成された内部通路を有したものとすればよい。
このような構造は、本来、ダイヤルに設けられたメンテナンス(糸の絡み防止や糸くずの排除など)用のエア通路を利用できるので、好都合である。勿論、これは限定されるものではなく、分岐路はダウンブロー噴射部用に新設するものでもよい。いずれにしても、分岐路の内部通路をダイヤルに内蔵した構造にできるため、構造のシンプル化及びコンパクト化が図れる利点がある。
されるニッティングポイントから生地が編み降ろされるようになったもので、上記ニッティングポイントに対し、生地の編み降ろし方向へ沿わせたエアを吹き付けるダウンブロー噴射部が、シリンダの上周部内面で当該シリンダの内部下方を指向して設けられたものとすることもできる。
一方、本発明に係るダブル生地の編成方法は、シリンダ針とダイヤル針とで形成するニッティングポイントから生地を編み降ろしつつ、1コースの編成中にシリンダ針(7)の動作量をステッチ量が大きくなる方向へ変化させるときには、ニッティングポイントで突出しているループに対して生地の編み降ろし方向へ沿わせてエアを吹き付けてこのループを次に出るダイヤル針の不干渉位置(即ち、ダイヤル針に引っ掛けられることがない位置)へ押し込めるようにする。
[第1実施形態]
図1乃至図5は、本発明に係るダブル編用丸編機1の第1実施形態を示している。本第1実施形態の丸編機1は、円筒形のシリンダ3と、このシリンダ3の上部に設けられた円盤状のダイヤル4とを有している。これらシリンダ3及びダイヤル4は、それらの中心Pを通る回転軸5のまわりで互いに一体回転可能とされており、この回転軸5に設けられた伝動手段6を介して回転駆動が与えられるようになっている。
ダイヤル4には、その上面で中心から放射状配置で多数本(シリンダ針7と同数)のダイヤル針9が径方向に沿って摺動自在に保持されている。このダイヤル4の上部には上部カム部材10が定置状態で設けられており、この上部カム部材10の下面に、ダイヤル針9に横移動(編成動作)を起こさせるためのダイヤルカム10aが設けられている。
シリンダ3には、ステッチカム8aに対し、編成中にシリンダ針7のカム経路を変更可能にするスイングカムや選針機等のカムポジション切替手段17が設けられている。また、シリンダ針7の動作量をニッティングポイントの有効形成領域内で可変にするステッチ量調整装置20が設けられている。
ステッチカム8aは、シリンダ3の周方向で複数に分割されており、全てのステッチカム8aに対して個別に制御モータ21が割り当てられるようになっている(即ち、ステッチカム8aの分割数と同数の制御モータ21が設けられている)。そのため、個々の制御
モータ21を適宜タイミングで制御することで、1コースの編成中に、所定配置のシリンダ針7についてそれらの上昇位置(高さ)を変化させ、もって編成される生地Wとしてその所望箇所に大きなループを生じさせることができるものである。
ダウンブロー噴射部23は、ダイヤル4の周方向に沿って互いに所定間隔をおいて複数設けられている。各ダウンブロー噴射部23には、エア供給源(図示略)からエアをダイヤル下方へ導く主供給路25と、この主供給路25から各ダウンブロー噴射部23へエアを導く分岐路26とによってエアが供給可能になっている。
図3に示すように、分岐路26の先端(ダイヤル4の外周面側)にノズルチップ30を取り付けるか又は取り付けないで、ここに噴射孔23aを有するダウンブロー噴射部23を形成させてある。
ダウンブロー噴射部23は、シリンダ3の内面先端からの距離Lを5〜50mmの範囲にするのが好適である。
ダウンブロー噴射部23は、ダイヤル4の外周面での周方向の配置間隔を20〜50mmとするのが好適である。
ダウンブロー噴射部23に対するエア供給圧(元圧)は、3〜5kg/cm2 とするのが好適である。
次に、上記した丸編機1の稼働状況に基づきながら、本発明に係るダブル生地の編成方法を説明する。
編成しようとする生地Wにおいて、例えば女性用衣類の胸部や男性用衣類の股間部、或いは男女用を問わず臀部など、立体化させたい部分があるときには、編成糸として弾性糸を使用したり、或いは選針機を使ってシリンダ針の動作を特定タイミング(立体化しようとする領域の輪郭相当位置)で不動作状態に制御してタックを作ったりする。
このような場合、エア供給源から主供給路25及び分岐路26(外付け通路29及び内部通路27)を介してダウンブロー噴射部23へとエアを供給し、このダウンブロー噴射部23からニッティングポイントに対し、生地Wの編み降ろし方向へ沿わせつつエアを噴出させる。
部とダイヤル4の外周部との間に形成される周隙間に対して、外部の空気が吸い込まれるようになり、この空気の流れが更にループの突出を押さえるように作用する。
[第2実施形態]
図7は、本発明に係るダブル編用丸編機1の第2実施形態を示している。本第2実施形態の丸編機1では、シリンダ3の上周部内面で、当該シリンダ3の内部下方を指向するようにしてダウンブロー噴射部23が設けられている。ダウンブロー噴射部23は、シリンダ3の周方向に沿って互いに所定間隔をおいて複数設けられている。
これら内部通路27や外付け通路29等によって分岐路26が形成されている事情などは、第1実施形態と略同様である。またこの分岐路26の先端(シリンダ3の上部内周面側)にノズルチップ30を取り付けるか又は取り付けないで、ここに噴射孔を有するダウンブロー噴射部23を形成させている事情なども、第1実施形態と略同様である。
[その他の実施形態]
本発明は、上記各実施形態に限定されるものではなく、実施の形態に応じて適宜変更可能である。例えば、ダウンブロー噴射部23へエア供給源からのエアを導くための分岐路24に対し、その適所に開閉制御手段(電磁弁等)を設けてもよい。
[比較例]
本発明に係る丸編機1や編成方法は、生地Wの編み降ろし方向へ沿わせてエアを吹き付けることでループの突出を押さえるものである。そのため構造的にシンプル且つコンパクトに実現でき、ダブル編用丸編機としての構成に適していると言える。このようなエア吹き付け方式では、例えば図6に示すような比較例を提案することもできる。すなわち、図6に示す比較例では、シリンダ3及びダイヤル4に対する外側のスペースにダウンブロー噴射部23を設けている。その他の構成及び作用効果については第1実施形態と略同様なものとすればよい。
例えば、図8に示す第1の比較例では、シリンダ3の内面に、径方向内方へ向けてバネ付勢されたフリーコロ50を設けた構造であり、このフリーコロ50の付勢力で生地Wに下向きのテンションを与え、これでループの突出を押さえるものである。
でループの突出を押さえるようになる。
図10に示す第3の比較例では、シリンダ3の内面とダイヤル4の下面との間でニップローラ53,54を設け、これらニップローラ53,54のうち少なくとも一方を回転駆動させることにより、生地Wに下向きのテンションを与え、これでループの突出を押さえるものである。
3 シリンダ
4 ダイヤル
7 シリンダ針
9 ダイヤル針
20 ステッチ量調整装置
23 ダウンブロー噴射部
25 主供給路
26 分岐路
27 内部通路
W 生地
Claims (5)
- シリンダ針(7)を上下動自在に保持するシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の上部に設けられてダイヤル針(9)を径方向に沿って摺動自在に保持するダイヤル(4)とを有し、シリンダ(3)及びダイヤル(4)の一体回転時にシリンダ針(7)とダイヤル針(9)とで形成されるニッティングポイントから生地(W)が編み降ろされるダブル編用丸編機において、
上記ニッティングポイントに対し、生地(W)の編み降ろし方向へ沿わせたエアを吹き付けるダウンブロー噴射部(23)が、ダイヤル(4)の下面外周部でシリンダ(3)の内部下方を指向して設けられていることを特徴とするダブル編用丸編機。 - 前記ダウンブロー噴射部(23)は、ダイヤル(4)の周方向に沿って互いに所定間隔をおいて複数設けられており、これら各ダウンブロー噴射部(23)には、エア供給源からのエアをダイヤル(4)の回転軸心内を介してダイヤル(4)下方へ導く主供給路(25)とこの主供給路(25)から各ダウンブロー噴射部(23)に対して1対1対応でエアを導く複数の分岐路(26)とによってエアが供給可能になっていることを特徴とする請求項1記載のダブル編用丸編機。
- 前記分岐路(26)は、ダイヤル(4)の外周部に対し、その下面からダイヤル(4)内部へ入って外周面へ抜けるように鉤型に形成された内部通路(27)を有していることを特徴とする請求項2記載のダブル編用丸編機。
- シリンダ針(7)を上下動自在に保持するシリンダ(3)と、このシリンダ(3)の上部に設けられてダイヤル針(9)を径方向に沿って摺動自在に保持するダイヤル(4)とを有し、シリンダ(3)及びダイヤル(4)の一体回転時にシリンダ針(7)とダイヤル針(9)とで形成されるニッティングポイントから生地(W)が編み降ろされるダブル編用丸編機において、
上記ニッティングポイントに対し、生地(W)の編み降ろし方向へ沿わせたエアを吹き
付けるダウンブロー噴射部(23)が、シリンダ(3)の上周部内面で当該シリンダ(3)の内部下方を指向して設けられていることを特徴とするダブル編用丸編機。 - シリンダ針(7)とダイヤル針(9)とで形成するニッティングポイントから生地(W)を編み降ろしつつ、1コースの編成中にシリンダ針(7)の動作量をステッチ量が大きくなる方向へ変化させるときには、ニッティングポイントで突出しているループに対して生地(W)の編み降ろし方向へ沿わせてエアを吹き付けてこのループを次に出るダイヤル針(9)の不干渉位置へ押し込めることを特徴とするダブル生地の編成方法。
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