JP4962679B2 - 泥汚れ用前処理剤組成物、泥汚れ洗浄方法及び泥汚れ用洗浄剤 - Google Patents
泥汚れ用前処理剤組成物、泥汚れ洗浄方法及び泥汚れ用洗浄剤 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、泥汚れの付着した衣類や布製品等を洗浄する際の前処理剤として使用される泥汚れ用前処理剤組成物及びこれを用いた洗浄方法並びに泥汚れ用洗浄剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
衣類に付着した泥汚れは、我々が日常感じているように、通常の洗濯では落としにくい。そのため、事前に液体洗浄剤組成物や固形石鹸を塗り、更に手でもみ洗いする等で汚れを落とすことが行われている。しかし、手もみ洗いは、とても手間がかかり、不満に思っている人も少なくない。
【0003】
この事前処理のための液体洗浄剤組成物として、一般的には、液体ヘビ−洗剤や塗布用洗剤が用いられおり、その製剤について精力的な研究が行われてきた。
【0004】
例えば、カチオン界面活性剤からなる組成物(特開昭54−39411号公報)等が提供されている。また、界面活性剤以外の添加物として、酵素(セルラ−ゼ)を使うもの(特開昭60−212496号公報、特開昭60−212497号公報)も提供されているが、充分とは言えない。
【0005】
これらよりも効果的な剤として、ホスホン酸基含有化合物を含む酸性組成物(特開平03−26797号公報)も開示されているが、いまだ充分とは言えない。
【0006】
また、市販還元系漂白剤を用いて泥汚れを落す方法もあるが、色物衣類には使用できないという欠点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、衣類に頑固に付着した泥汚れを簡便に、且つ画期的に脱落させる泥汚れ用前処理剤組成物及びこれを用いた洗浄方法並びに泥汚れ用洗浄剤を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討した結果、シュウ酸を含み25℃でのpHが1〜5である泥汚れ用前処理剤組成物で泥汚れの付着した衣類等を処理した後、石鹸含有の組成物で洗浄することにより、上記課題を達成できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0009】
即ち、本発明は、(1)泥汚れの付着した被洗物を洗浄する際の前処理剤として使用される泥汚れ用前処理剤組成物であって、シュウ酸を含有してなり、25℃でのpHが1〜5であることを特徴とする泥汚れ用前処理剤組成物(但し、上記組成物が、固形、粉体の場合のpHは、シュウ酸濃度として1質量%となるようにイオン交換水で希釈した時のpHを示す)、(2)上記(1)記載の泥汚れ用前処理剤組成物で前処理した後、石鹸含有組成物で洗浄することを特徴とする洗浄方法、及び(3)シュウ酸を含有し、25℃でのpHが1〜5である泥汚れ用前処理剤組成物(但し、上記組成物が、固形、粉体の場合のpHは、シュウ酸濃度として1質量%となるようにイオン交換水で希釈した時のpHを示す)を第1剤とし、石鹸含有組成物を第2剤とすることを特徴とする泥汚れ用洗浄剤を提供する。
【0010】
以下、本発明について更に詳細に説明する。本発明の泥汚れ用前処理剤組成物は、シュウ酸を含むものであり、本発明は、このようにシュウ酸を含む前処理剤組成物によって、泥汚れの付着した衣類等を前処理することにより、泥汚れを改質し、衣類より落ちやすくするものである。
【0011】
泥汚れ用前処理剤組成物中にシュウ酸は、好ましくは0.1〜99質量%配合され、より好ましくは、1〜90質量%配合される。配合量が少なすぎると、泥汚れを十分に落とし易くすることが困難となる場合があり、多すぎると、後述するその他の成分を必要量配合することが困難となる場合がある。
【0012】
また、本発明の泥汚れ用前処理剤組成物は、pHが1〜5であり、好ましくは1〜3である。pHが高すぎると、本発明が目的とする泥汚れを落とし易くする効果が得られない。なお、pHが低い程、泥汚れを落とし易くする効果は高いが、pH1未満では、実使用に向かない。なお、本発明において、組成物のpHは、泥汚れ用前処理剤組成物が液体のように直接pHが測定できる場合はそれ自身の、一方、固形や粉体のように、直接pHが測定できない場合は、シュウ酸濃度として1質量%となるようにイオン交換水で希釈した時のpHを示す。本発明の泥汚れ用前処理剤組成物のpHは、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等の適当なアルカリ性化合物又は必要に応じて硫酸などの酸性化合物を用いて調整できる。
【0013】
本発明の泥汚れ用前処理剤組成物は、シュウ酸単独でもかまわないが、上記pH調整剤の他に、キレート剤を併用すると、更に泥汚れを落とし易くする効果が向上する。よって、キレート剤を併用した方が好ましい。キレート剤としては、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノポリカルボン酸類又はそのアルカリ金属塩等の塩類、トリポリリン酸塩、ポリリン酸塩等の無機リン化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノ−1,2,4−トリカルボン酸等のホスホン酸類、又はそのアルカリ金属塩等の塩類、フィチン酸等の有機リン酸化合物等を挙げることができる。また、キレート剤は1種単独でも2種以上併用して配合しても良い。好ましくは、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸である。キレート剤の配合量は泥汚れ用前処理剤組成物中、0〜30質量%の範囲が好適である。より好ましくは0.1〜5質量%である。
【0014】
また、溶液の被処理物への浸透性向上や皮脂汚垢などの泥汚れ以外の汚れも落とし易くする目的で、アニオン性、ノニオン性等の界面活性剤を配合しても良い。上記のアニオン界面活性剤としては、スルホン酸塩又は硫酸塩が好ましく、以下のものが例示される。炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜20の疎水鎖を有するアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩、炭素数10〜20の疎水鎖を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸エステル塩、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はエチレンオキシド/プロピレンオキシド=0.1/9.9〜9.9/0.1の比率で付加したアルキルエーテル硫酸塩で、対イオンとしてはナトリウム、カリウム、アルカノールアミンなどが挙げられる。また、アニオン界面活性剤は2種類以上併用して配合しても良い。アニオン界面活性剤の配合量は泥汚れ用前処理剤組成物中、0〜40質量%の範囲が好適である。より好ましくは0.1〜20質量%である。
【0015】
また、ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、以下のものが例示される。炭素数10〜18のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2〜30のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜30のメトキシポリオキシエチレンアルカノエート、炭素数10〜20の高級脂肪酸アルカノールアミド、炭素数8〜18のアルキル基を有し、グルコースユニットの平均付加モル数1〜3のアルキルポリグルコシド、炭素数10〜14のアルキル基を有し、グリセリンユニットの平均付加モル数1〜3のアルキルグリセリルエーテル。本発明の組成物中のノニオン界面活性剤は、1種単独でも2種以上併用しても良い。ノニオン界面活性剤の配合量は泥汚れ用前処理剤組成物中、0〜40質量%の範囲が好適である。より好ましくは0.1〜20質量%である。
【0016】
更に、液体組成物の場合の増粘剤や、固形に成形するための固形化剤等を共存させることもできるし、溶液や固形の保存時の安定性向上のために各種添加剤を共存させることもできる。また更に、色素、香料、酵素等を共存させることもできる。
【0017】
なお、本発明の泥汚れ用前処理剤組成物の形態は、上述したように、固形、粉体、液体のみならず、ペ−スト等の各種形態に調製することができ、その調製方法は、特に制限されず、シュウ酸、上記pH調整剤、必要に応じて上記任意成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合し、各形態の常法に準じて調製することができる。
【0018】
本発明の泥汚れ用前処理剤組成物の前処理方法としては、浸漬、塗布等が挙げられる。
【0019】
浸漬する場合は、泥で汚染された被洗物を泥汚れ用前処理剤組成物中にそのまま浸漬させても、泥汚れ用前処理剤組成物を水に希釈してから被洗物を浸漬させても、泥汚れ用前処理剤組成物を被洗物に塗布してから水に浸漬させても良い。泥汚れ用前処理剤組成物を水に希釈してから被洗物を浸漬させる場合、処理溶液中のシュウ酸濃度は、洗浄力の観点から、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは、0.1〜10質量%となるように、泥汚れ用前処理剤組成物の使用量を決定すると好適である。浸漬する場合の浸漬時間は好ましくは30分以上、より好ましくは2時間以上である。なお、浸漬時間の上限は、特に制限されるものではないが、通常、12時間程度を超えて浸漬しても、それ以上の処理効果は得られないことから、12時間以下が好適である。
【0020】
塗布の場合は、泥汚れ用前処理剤組成物を被洗物の泥汚れ部分に直接塗布しても、水に希釈してから塗布しても良い。処理溶液中のシュウ酸濃度としては、洗浄力の観点から、0.01〜10質量%が好ましく、より好ましくは1〜10質量%である。塗布後、すぐに洗浄しても良いが、5分以上放置した後、洗浄した方が、洗浄力は向上する。より好ましくは1時間以上である。なお、放置時間の上限は、上記と同様の理由により、12時間以下が好適である。
【0021】
上記泥汚れ用前処理剤組成物は、上述したように前処理を行った後、洗浄することによって、泥汚れを効率的に除去することができるものであり、洗浄に使用する洗浄剤の種類が特に制限されるものではないが、本発明の洗浄方法は、上記泥汚れ用前処理剤組成物で前処理した後、石鹸含有組成物で洗浄するものであり、これによって、画期的な泥汚れ洗浄効果を得ることができる。
【0022】
ここで、本発明の石鹸含有組成物に使用される石鹸とは、高級脂肪酸塩を意味する。脂肪酸塩は、炭素数8〜22の範囲にあるものが好ましく、12〜18がより好ましい。脂肪酸としては、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸等の飽和脂肪酸、またはオレイン酸、リノール酸、リノレイン酸等の不飽和脂肪酸のいずれであっても良い。対イオンとしては、ナトリウム、カリウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等が挙げられる。特に泥汚れの洗浄力の観点から、オレイン酸塩が最も好ましい。上記脂肪酸塩を1種又は2種以上組み合わせて使用することが可能である。
【0023】
本発明の石鹸含有組成物中の脂肪酸塩は、1〜99質量%配合することが好ましい。より好ましくは、5〜85質量%である。脂肪酸塩の配合量が少なすぎると、十分な洗浄力効果が得られない場合があり、多すぎると、使用性が悪くなる場合がある。また、石鹸含有組成物の形態は、固形、粉体、液体等どのような形態であってもよく、各形態の常法に準じて調製することができる。
【0024】
本発明の石鹸含有組成物は、洗浄効果向上の目的で、更に、キレート剤、アルカリ剤を組成物中に共存させる方が好ましい。また、粉体の場合は、同目的で、カルシウム捕捉剤を共存させる方が好ましい。
【0025】
キレート剤としては、特に限定されないが、以下のものが例示される。クエン酸、エチレンジアミン四酢酸、ジエチレントリアミン五酢酸等のアミノポリカルボン酸類又はそのアルカリ金属塩等の塩類、トリポリリン酸塩、ポリリン酸塩等の無機リン化合物、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、2−ホスホノ−1,2,4−トリカルボン酸等のホスホン酸類、又はそのアルカリ金属塩等の塩類、フィチン酸等の有機リン酸化合物等を挙げることができる。
【0026】
本発明の石鹸含有組成物中のキレート剤は、1種単独でも2種以上併用しても良い。キレート剤の配合量は石鹸含有組成物中、0〜30質量%の範囲が好適である。より好ましくは0.5〜3質量%である。
【0027】
アルカリ剤の例としては、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム、アンモニア及びモノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のアルカノールアミン等が挙げられ、1種単独でも2種以上併用しても良い。アルカリ剤の配合量は石鹸含有組成物中、0〜30質量%の範囲が好適である。より好ましくは0.5〜20質量%である。
【0028】
カルシウム捕捉剤としては、A型ゼオライト、P型ゼオライト、アクリル酸マレイン酸共重合体、層状ケイ酸塩等が挙げられ、1種単独でも2種以上併用しても良い。カルシウム捕捉剤は好ましくは、A型ゼオライトであり、配合量は石鹸含有組成物中、0〜30質量%の範囲が好適である。より好ましくは10〜30質量%である。
【0029】
また、溶液の被洗物への浸透性向上や皮脂汚垢などの泥汚れ以外の洗浄力を向上させる目的で、石鹸を除くアニオン性、ノニオン性界面活性剤を配合しても良い。
【0030】
上記の石鹸を除くアニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、以下のものが例示される。炭素数8〜16の直鎖又は分岐鎖のアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜20の疎水鎖を有するアルキル硫酸塩又はアルケニル硫酸塩、炭素数10〜20の疎水鎖を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数8〜20の飽和又は不飽和α−スルホ脂肪酸エステル塩、炭素数10〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基もしくはアルケニル基を有し、平均0.5〜8モルのエチレンオキシド、プロピレンオキシド、ブチレンオキシド又はエチレンオキシド/プロピレンオキシド=0.1/9.9〜9.9/0.1の比率で付加したアルキルエーテル硫酸塩で、対イオンとしてはナトリウム、カリウム、アルカノールアミンなどが挙げられる。また、アニオン界面活性剤は2種類以上併用して配合しても良い。アニオン界面活性剤の配合量は石鹸含有組成物中、0〜40質量%の範囲が好適である。より好ましくは3〜20質量%である。
【0031】
また、ノニオン界面活性剤としては、特に限定されないが、以下のものが例示される。炭素数10〜18のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2〜30のポリオキシエチレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキル又はアルケニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜30のメトキシポリオキシエチレンアルカノエート、炭素数10〜20の高級脂肪酸アルカノールアミド、炭素数8〜18のアルキル基を有し、グルコースユニットの平均付加モル数1〜3のアルキルポリグルコシド、炭素数10〜14のアルキル基を有し、グリセリンユニットの平均付加モル数1〜3のアルキルグリセリルエーテル。本発明の組成物中のノニオン界面活性剤は、単独でも2種以上併用しても良い。ノニオン界面活性剤の配合量は石鹸含有組成物中、0〜40質量%の範囲が好適である。より好ましくは3〜20質量%である。
【0032】
また、液体組成物の場合の増粘剤又は減粘剤、固形に成形するための固形化剤等を共存させることもできる。更に、溶液や固形の保存時の安定性向上のために、各種添加剤を共存させることもできる。また更に、色素、香料、漂白剤、蛍光剤、酵素等を共存させることもできる。
【0033】
本発明の洗浄方法として、より具体的には、上記石鹸含有組成物を水で希釈し、その中に前記の泥汚れ用前処理剤組成物で処理した被洗物を入れて洗浄してもよく、また、石鹸含有組成物を上記被洗物に直接又は水で希釈して塗布し、その後、水中に投入し洗浄してもよい。
【0034】
上記石鹸含有組成物を水で希釈した洗浄溶液を使用する場合、洗浄溶液中の脂肪酸塩の濃度は、洗浄力の観点から、好ましくは1ppm以上、より好ましくは10ppm以上となるように、石鹸含有組成物の使用量を決定すると、好適である。
【0035】
本発明の泥汚れ用洗浄剤は、上述の泥汚れ用前処理剤組成物を第1剤とし、上記石鹸含有組成物を第2剤とする2剤型洗浄剤であり、上記洗浄方法に好適に使用される。洗浄に関しては、上述の如く第1剤及び第2剤を順次適用すれば良い。
【0036】
【発明の効果】
本発明によれば、シュウ酸を含み25℃でのpHが1〜5である泥汚れ用前処理剤組成物によって、被洗物の泥汚れを前処理することにより、頑固な泥汚れを簡便に落とすことができ、更に、その後に石鹸含有組成物により洗浄することにより、頑固な泥汚れをより効果的に落とすことができる。
【0037】
従って、本発明の泥汚れ用前処理剤組成物、洗浄方法及び泥汚れ用洗浄剤は、衣類の他、運動靴やキャンバスのような布製品の洗浄にも利用できる。
【0038】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は、下記実施例に制限されるものではない。
【0039】
[実施例1〜11及び比較例1〜6]
表1〜3の組成に従って、常法に準じて実施例1〜11及び比較例1〜6の泥汚れ用前処理剤、石鹸含有組成物を調製し、下記方法に従って、洗浄効果を評価した。なお、実施例9及び比較例4の石鹸含有組成物は、バー状洗浄剤として調製した。
【0040】
<汚垢布の作成>
汚垢布は、赤土汚垢布を用いた。汚垢布作成に用いた赤土は、洪積台地の赤黄色土(静岡県、三方ケ原)を200℃で乾燥させ、ミクロンアトマイザーにより平均粒径1μm程度まで粉砕したものを使用した。
【0041】
汚垢布の作成方法は、上記赤土15gを採り、水道水500g中に入れた。ホモジナイザー(ポリトロン)を用いて80rpmで約5分間分散させた。その溶液中に、10cm×25cmに裁断した綿メリヤスニット布15枚を浸し、布を手で良くもみ、全体が均一に泥分散液を含んでから、ロ−ラ−を用いて軽く絞った。30分間、自然乾燥した後、105℃の恒温槽にて1時間乾燥させた。その布表面をポリッシングして、余分な泥粒子を落としたものを泥汚垢布として、使用した。
【0042】
<前処理方法>
前処理方法としては、前処理方法aの場合、表1〜3の泥汚れ用前処理剤組成物(100mL)中に上記汚垢布(5cm×5cm)5枚を6時間浸漬させた。前処理方法bの場合、表1〜3の泥汚れ用前処理剤組成物を汚垢布1枚あたり1g、5枚に塗布し、30分間放置した。前処理方法cの場合、表1〜3の泥汚れ用前処理剤組成物2gをイオン交換水98gで希釈した後、その中に汚垢布を5枚入れ、6時間浸漬した。
【0043】
その後、前処理方法a、cで処理した汚垢布は、二槽式洗濯機(三菱CW−C30A1−H1)にて30秒脱水した。
【0044】
<洗浄方法>
石鹸含有組成物での洗浄方法としては、洗浄方法dの場合、表1〜3の石鹸含有組成物を汚垢布1枚あたり2g塗布し、5分放置後、5枚の汚垢布をそのまま二槽式洗濯機に投入し、25℃水道水(硬度3DH)30Lを入れ、標準水流で10分攪拌した後、1分脱水した。その後、3分ためすすぎ、1分脱水を2回繰り返した後、風乾した。
【0045】
洗浄方法eの場合、表1〜3の石鹸含有組成物20gを二槽式洗濯機の25℃水道水(硬度3DH)30Lに希釈した後、前処理した汚垢布を投入した。その後、標準水流で10分攪拌した後、1分脱水した。その後、3分ためすすぎ、1分脱水を2回繰り返した後、風乾した。
【0046】
<洗浄力の評価方法>
洗浄力は、洗浄前後の反射率の変化に基づき、下記数1に示すノーマル式により求めた。ここで、反射率としては、日本電色製式差計SE2000による測定されたZ値を用いた。また、洗浄力は汚垢布5枚の平均値で求めた。
【0047】
【数1】
【0048】
<pH測定方法>
泥汚れ用前処理剤組成物におけるpH測定は、前処理方法a、b(実施例8、比較例6以外)の場合は、原液(泥汚れ用前処理剤組成物そのもの)のpHを測定し、前処理方法c(実施例8)の場合は、泥汚れ用前処理剤組成物2gに98gのイオン交換水で希釈した時のpHを測定した。測定はすべて、25℃で行ない、pHメーターはTOA製のHM−30Vを用いた。
【0049】
【表1】
【0050】
【表2】
【0051】
【表3】
【0052】
*pHは水酸化ナトリウム又は硫酸を用いて、各々のpHに調整した。
【0053】
表中の各成分の濃度(質量%)は純分換算であり、各組成物における各成分の合計量は、100質量%である。また、表中の略記は、以下の通りである。
・シュウ酸:三菱ガス化学(株)製
・クエン酸:協和発酵(株)製
・マロン酸:立山化成(株)製
・酒石酸:大日本製薬(株)製
・乳酸:商品名‘醗酵乳酸’、扶桑化学工業(株)製
石鹸
・オレイン酸ジエタノールアミン:オレイン酸のジエタノールアミン中和物。オレイン酸は、商品名エキストラオレイン、製造業者は日本油脂(株)を使用。ジエタノールアミンは、三井化学(株)製を使用
・オレイン酸ナトリウム:オレイン酸の水酸化ナトリウム中和物。オレイン酸は、商品名エキストラオレイン、製造業者は日本油脂(株)を使用。水酸化ナトリウムは、住友化学(株)製を使用
・ラウリン酸ジエタノールアミン:ラウリン酸のジエタノールアミン中和物。ラウリン酸は日本油脂(株)を使用。ジエタノールアミンは、三井化学(株)製を使用
・ラウリン酸カリウム:ラウリン酸の水酸化ナトリウム中和物。ラウリン酸は日本油脂(株)を使用。水酸化カリウムは、住友化学(株)製を使用
・ミリスチン酸ナトリウム:ミリスチン酸の水酸化ナトリウム中和物。ミリスチン酸は日本油脂(株)を使用。水酸化ナトリウムは、住友化学(株)製を使用
・パルミチン酸カリウム:パルミチン酸の水酸化ナトリウム中和物。パルミチン酸は日本油脂(株)を使用。水酸化カリウムは、住友化学(株)製を使用
・ステアリン酸カリウム:ステアリン酸の水酸化ナトリウム中和物。ステアリン酸はライオン(株)を使用。水酸化カリウムは、住友化学(株)製を使用
キレート剤
・ヒドロキシエタンジホスホン酸:1−ヒドロキシエタン−1、1−ジホスホン酸、商品名‘BRIQUEST'ADPA−A、製造業者ALBRIGHT&WILSON
カルシウム捕捉剤
・ゼオライト:A型ゼオライト、商品名‘シルトンB’、製造業者水澤化学(株)
界面活性剤
・直鎖アルキルベンゼンスルホン酸:ライオン(株)製、炭素数9〜11
・ポリオキシエチレンアルキルエーテル:(C12,EO=7)、商品名‘エマレックス707’、日本エマルジョン(株)製
アルカリ剤
・ジエタノールアミン:三井化学(株)製
・水酸化ナトリウム:住友化学(株)製
・炭酸ナトリウム:旭硝子(株)製
・メタ珪酸ナトリウム:関東化学(株)製
その他
・硫酸ナトリウム:中性無水ボウショウ、日本化学(株)製
・プロピレングリコ−ル:三井化学(株)製
・硫酸:三菱化学(株)製
・エタノール:一般95合成無変性アルコール、日本エタノール(株)製
・香料組成物A〜D
【0054】
【表4】
【0055】
【表5】
【0056】
【表6】
【0057】
【表7】
【0058】
【表8】
【0059】
【表9】
【0060】
【表10】
【0061】
【表11】
Claims (3)
- 泥汚れの付着した被洗物を洗浄する際の前処理剤として使用される泥汚れ用前処理剤組成物であって、シュウ酸を含有してなり、25℃でのpHが1〜5であることを特徴とする泥汚れ用前処理剤組成物。(但し、上記組成物が、固形、粉体の場合のpHは、シュウ酸濃度として1質量%となるようにイオン交換水で希釈した時のpHを示す)。
- 請求項1記載の泥汚れ用前処理剤組成物で前処理した後、石鹸含有組成物で洗浄することを特徴とする洗浄方法。
- シュウ酸を含有し、25℃でのpHが1〜5である泥汚れ用前処理剤組成物(但し、上記組成物が、固形、粉体の場合のpHは、シュウ酸濃度として1質量%となるようにイオン交換水で希釈した時のpHを示す)を第1剤とし、石鹸含有組成物を第2剤とすることを特徴とする泥汚れ用洗浄剤。
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JP2001301036A JP4962679B2 (ja) | 2001-09-28 | 2001-09-28 | 泥汚れ用前処理剤組成物、泥汚れ洗浄方法及び泥汚れ用洗浄剤 |
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