(実施の形態)
以下に添付図面を参照して、この発明にかかる演出役物および遊技機の好適な実施の形態を詳細に説明する。
(遊技機の基本構成)
図1は、本発明の遊技機の一例を示す正面図である。本発明の遊技機は、遊技盤101を備えている。遊技盤101の下部位置には、発射部(図2における符号292を参照)が配置されている。発射部の駆動によって発射された遊技球は、レール102a,102b間を上昇して遊技盤101の上部位置に達した後、遊技領域103内を落下する。遊技領域103には、図示を省略する複数の釘が設けられ、遊技球を各種の方向に向けて落下させるとともに、落下途中の位置には、遊技球の落下方向を変化させる風車や、入賞口が配設されている。
遊技盤101の遊技領域103の中央部分には、表示部104が配置されている。表示部104としては、たとえば液晶表示器(LCD)が用いられる。表示部104の下方には、始動入賞させるための始動入賞口105が配設されている。表示部104の左側には、それぞれ入賞ゲート106が配設されている。
入賞ゲート106は、遊技球の通過を検出し、始動入賞口105を一定時間だけ開放させる抽選をおこなうために設けられる。表示部104の側部や下方などには普通入賞口107が配設されている。普通入賞口107に遊技球が入賞すると、普通入賞時の賞球数(たとえば10個)の払い出しをおこなう。遊技領域103の最下部には、どの入賞口にも入賞しなかった遊技球を回収する回収口108が設けられている。
上述した表示部104は、特定の入賞口に遊技球が入賞したとき(始動入賞時)に、複数の図柄の表示の変動を開始させ、所定時間後に図柄が停止する。この停止時に特定図柄(たとえば「777」)が揃ったとき、大当たり状態となる。大当たり状態のとき、下方に位置する大入賞口109の一定の期間の開放を所定ラウンド(たとえば15ラウンド)繰り返し、入賞した遊技球に対応した数の賞球を払い出す。
遊技盤101の遊技領域103の外周部分には、枠部材110が設けられている。枠部材110は、遊技盤101の上下左右の4辺において遊技領域103の周囲を囲む形状を有している。また、枠部材110は、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。これにより、本実施の形態の遊技機を、枠部材110を備えていない他機種の遊技機よりも目立たせることができる。遊技機を目立たせることにより、遊技機の稼働率の向上を図るとともに、遊技機に対する不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110において、遊技領域103の上側および下側となる2辺には、演出ライト部111が設けられている。演出ライト部111は、それぞれ、複数のライト112を備えている。各ライト112は、遊技機の正面にいる遊技者を照射し、その照射位置が遊技者の頭上から腹部に沿って移動するように、光の照射方向を上下方向に変更することができる。各ライト112は、演出ライト部111に設けられたモータ(図2において符号272を参照)によって、光の照射方向を上下方向に変更するように駆動される。
また、各ライト112は、遊技機の周囲を照射し、その照射位置が遊技機を基準にして円をなすように、光の照射方向を回転させることができる。各ライト112は、演出ライト部111に設けられたモータ(図2において符号272を参照)によって、光の照射方向を回転させるように駆動される。各ライト112から光の照射方向を回転させるように駆動するモータは、各ライト112からの光の照射方向を上下方向に変更するモータとは別のモータである。
演出ライト部111は、各ライト112から照射される光の照射方向を、上下方向に変更しながら回転させることにより、演出ライト部111全体から照射する光の照射方向を3次元で変更することができる。
光の照射方向は、たとえば、大当たり状態となった場合に変更させる。これにより、遊技者および遊技機の周囲を順次照射して、遊技機が大当たり状態となっていることを周囲に知らしめることができ、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができる。これによって、遊技者に対して、注目されていることによる高揚感を与え、本実施の形態の遊技機を継続あるいは繰り返して利用させ、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
また、光の照射方向は、たとえば、遊技機に対する何らかの不正行為がおこなわれた場合など、通常の遊技時とは異なる異常事態が発生した場合に異ならせるようにしてもよい。これにより、不正行為などの異常事態を迅速に発見するとともに、遊技機に対する次回以降の不正行為に対する抑止力の強化を図ることができる。
枠部材110の下部位置には、操作ハンドル113が配置されている。操作ハンドル113は、上記の発射部の駆動によって遊技球を発射させる際に、遊技者によって操作される。操作ハンドル113は、上記の枠部材110と同様に、遊技盤101の盤面から遊技者側に突出する形状を有している。
操作ハンドル113は、上記の発射部を駆動させて遊技球を発射させる発射指示部材114を備えている。発射指示部材114は、操作ハンドル113の外周部において、遊技者から見て右回りに回転可能に設けられている。発射部は、発射指示部材114が遊技者によって直接操作されている場合に、遊技球を発射させる。公知の技術であるため説明を省略するが、操作ハンドル113には、遊技者が発射指示部材114を直接操作していることを検出するセンサなどが設けられている。
操作ハンドル113の内部には、発光部(図2における符号263を参照)が設けられている。発光部は、通電することにより光を発光する複数のLED(図2における符号273を参照)を備えている。発光部は、たとえば、大当たり状態となった場合にLEDに通電し、LEDを発光させる。これにより、遊技機が大当たり状態となっていることを遊技者および周囲に知らしめることができ、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができる。
発光部は、LEDが発光した光を反射する反射部材と、反射部材による反射方向を変化させるように反射部材を回転させるモータ(図2における符号274を参照)と、を備えている。発光部は、反射部材を用いてLEDからの発光光を多方向に反射させることにより、発光部を発光させることによる演出効果を増大させることができる。
このように、発光部を発光させ、発光部における発光を目立たせることにより、遊技機が大当たり状態となっていることを遊技者および周囲に知らしめることができ、大当たり状態となった遊技者の注目度を高めることができる。そして、遊技者の注目度を高めることにより、大当たり状態となった遊技者に対して、注目されていることによる高揚感を与え、本実施の形態の遊技機を継続あるいは繰り返して利用させ、遊技機の稼働率の向上を図ることができる。
図柄表示部104の上側および側方(図1においては紙面右側)には、演出用の役物(以下、「演出役物」という)(横)115および演出役物(縦)116が設けられている。本実施の形態の遊技機における演出役物(横)115,演出役物(縦)116は、日本刀の一部(鍔の周辺)を模式的にあらわしている。演出役物(横)115,演出役物(縦)116は、鞘から刀身を抜き、抜いた刀身を再び鞘に戻すかの如くに、演出役物(横)115,演出役物(縦)116の長手方向に沿って移動可能に設けられている。
演出役物(横)115は、ソレノイド(図2における符号275a,275bを参照)によって駆動され、演出役物(縦)116は、モータ(図2における符号276を参照)によって駆動される。同様の演出役物(横)115,演出役物(縦)116を異なる種類の駆動源によって駆動することにより、演出役物(横)115,演出役物(縦)116それぞれに独自の動きをおこなわせることができ、これによって演出効果を増大させることができる。
また、演出役物(縦)116は、LED(図2における符号278を参照)を備えている。このLEDは、演出役物(縦)116におけるモータの駆動に連動して点灯するように制御され、演出役物(縦)116が遊技者に与える演出効果を増大させることができる。
枠部材110において、遊技領域103の下側となる辺には、遊技者による操作を受け付けるチャンスボタン117が設けられている。チャンスボタン117の操作は、たとえば、遊技中における特定のリーチ演出に際し、チャンスボタン117の操作を促すガイダンスが表示されている間有効となる。
また、枠部材110において、チャンスボタン117の隣には、十字キー118が設けられている。チャンスボタン117および十字キー118によって、操作部(図3における符号300を参照)が構成されている。加えて、枠部材110には、音声を出力するスピーカ(図2における符号277を参照)が組み込まれている。
図2は、遊技機の制御部の内部構成を示すブロック図である。制御部200は、複数の制御部により構成されている。図示の例では、主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203とを有する。主制御部201は、遊技機の遊技にかかる基本動作を制御する。演出制御部202は、遊技中の演出動作を制御する。賞球制御部203は、払い出す賞球数を制御する。
主制御部201は、ROM212に記憶されたプログラムに基づき、遊技内容の進行に伴う基本処理を実行するCPU211と、CPU211の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM213などを備えて構成される。主制御部201は、たとえば主基板によってその機能を実現する。
この主制御部201の入力側には、始動入賞口105に入賞した入賞球を検出する始動入賞口検出部221と、入賞ゲート106を通過した遊技球を検出するゲート検出部222と、普通入賞口107に入賞した遊技球を検出する普通入賞口検出部223と、大入賞口109に入賞した入賞球を検出する大入賞口検出部224と、が接続されている。
演出制御部202の入力側には、上記のチャンスボタン117が操作されたことを検出するチャンスボタン検出部220が接続されている。図示を省略するが、演出制御部202の入力側には、カーソルキーによって選択された文字や図形などを特定するとともに、特定された文字や図形を確定する「ENTER」が操作されたことを検出する検出部を、チャンスボタン検出部220に代えて、あるいは加えて設けてもよい。
上記の検出部220〜224としては、近接スイッチなどを用いて構成することができる。チャンスボタン検出部220による検出結果は、演出制御部202に入力される。始動入賞口検出部221、ゲート検出部222、普通入賞口検出部223、および大入賞口検出部224による検出結果は、主制御部201に入力される。
この主制御部201の出力側には、大入賞口開閉部231が接続され、この大入賞口開閉部231の開閉を制御する。大入賞口開閉部231は、大当たり時に大入賞口109を一定期間開放する機能であり、ソレノイドなどを用いて構成される。この大当たりは、生成した乱数に基づき所定の確率で発生するよう予めプログラムされている。
演出制御部202は、遊技中における演出制御をおこなう。この演出制御部202は、演出処理を実行するCPU241と、プログラムや背景画像、図柄画像、キャラクタ画像など各種画像データを記憶するROM242と、CPU241の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM243と、表示部104に表示させる画像データを書き込むVRAM244などを備えて構成される。
演出制御部202では、CPU241がROM242に記憶されたプログラムを読み込んで、背景画像表示処理、図柄画像表示/変動処理、キャラクタ画像表示処理など各種画像処理を実行し、必要な画像データをROM242から読み出してVRAM244に書き込む。背景画像、図柄画像、キャラクタ画像は、表示画面上において表示部104に重畳
表示される。すなわち、図柄画像やキャラクタ画像は背景画像よりも手前に見えるように表示される。
この場合、同一位置に背景画像と図柄画像が重なる場合、Zバッファ法など周知の陰面消去法により各画像データのZバッファのZ値を参照することで、図柄画像を優先してVRAM244に記憶させる。演出制御部202は、たとえば演出基板によってその機能を実現する。
この演出制御部202は、主制御部201から遊技中である各種データを受け取り、この遊技中における演出制御をおこなう。演出制御部202の出力側には、上述した図柄表示部(LCD)104と、ランプ制御部251と、第1ライト制御部252と、第2ライト制御部253と、役物制御部254と、音声制御部255と、が接続されている。
演出制御部202は、図柄表示部(LCD)104に対しては、遊技中における演出内容、たとえば、図柄の移動表示や、リーチ(3つの図柄のうち2つが揃った状態)、および大当たり時の各種表示情報を生成して出力する。演出制御部202は、ランプ制御部251に対しては、遊技盤101や台枠などに設けられている各種ランプ262に対する点灯制御などをおこなうデータを出力する。
演出制御部202は、第1ライト制御部252に対しては、上記演出ライト部111における複数のライト112に対する点灯制御などをおこなうデータ、および、各ライト112からの光の照射方向を変更するためにモータ272に対する駆動制御などをおこなうデータを出力する。
演出制御部202は、第2ライト制御部253に対しては、上記発光部263における複数のLED273に対する点灯制御などをおこなうデータ(LED点灯制御データ)、および、反射部材を回転させるモータ274に対する駆動制御などをおこなうデータ(モータ駆動制御データ)を出力する。
演出制御部202は、役物制御部(駆動制御手段)254に対しては、上記の演出役物(横)115を動作させるソレノイド275a,275bに対する駆動制御などをおこなうデータ、演出役物(縦)116を動作させるモータ(駆動部材)276に対する駆動制御などをおこなうデータ、および演出役物(縦)116におけるLED278に対する点灯制御などをおこなうデータを出力する。
演出制御部202は、音声制御部255に対しては、スピーカ277から音声を出力させるために、当該スピーカ277が備えるコイルなどに通電する図示しない通電機構に対する駆動制御などをおこなうデータ(音声出力制御データ)を出力する。
賞球制御部203は、ROM282に記憶されたプログラムに基づき、賞球制御をおこなう。この賞球制御部203は、賞球制御の処理を実行するCPU281と、CPU281の演算処理時におけるデータのワークエリアとして機能するRAM283などを備えて構成される。賞球制御部203は、たとえば賞球基板によってその機能を実現する。
賞球制御部203は、接続される払出部291に対して入賞時の賞球数を払い出す制御をおこなう。また、発射部292に対する遊技球の発射の操作を検出し、遊技球の発射を制御する。払出部291は、遊技球の貯留部から所定数を払い出すためのモータなどからなる。賞球制御部203は、この払出部291に対して、各入賞口(始動入賞口105、普通入賞口107、大入賞口109)に入賞した遊技球に対応した賞球数を払い出す制御をおこなう。
発射部292は、遊技のための遊技球を発射するものであり、遊技者による遊技操作を検出するセンサと、遊技球を発射させるソレノイドなどを備える。賞球制御部203は、発射部292のセンサにより遊技操作を検出すると、検出された遊技操作に対応してソレノイドなどを駆動させて遊技球を間欠的に発射させ、遊技盤101の遊技領域103に遊技球を送り出す。
上記構成の主制御部201と、演出制御部202と、賞球制御部203は、それぞれ異なるプリント基板(主基板、演出基板、賞球基板)に設けられる。これに限らず、たとえば、賞球制御部203は、主制御部201と同一のプリント基板上に設けることもできる。
(操作部の構成)
上記操作部の構成について説明する。図3は、操作部の構成を示す説明図である。図3において、操作部300は、チャンスボタン(図3においては「CHANCE」と表記)117と十字キー118とを備えている。本実施の形態の遊技機におけるチャンスボタン117は、凸状ボタンによって実現されている。
チャンスボタン117は、凸状ボタンの他、タッチパネル方式を採用した入力パッドなどであってもよい。十字キー118は、図柄表示部104に表示される文字や図形などを指し示す位置を変更するカーソルキー301〜304と、カーソルキー301〜304の操作によって選択された文字や図形などを確定する「ENTER」キー305と、を備えている。
(遊技機の基本動作)
上記構成による遊技機の基本動作の一例を説明する。主制御部201のCPU211により遊技中の制御がおこなわれ、各入賞口に対する遊技球の入賞状況を賞球制御部203に出力し、賞球制御部203は、入賞状況に対応した賞球数の払い出しをおこなう。
また、始動入賞口105に遊技球が入賞する毎に、対応する制御信号を演出制御部202に出力し、演出制御部202は、図柄表示部104の図柄を変動表示させ、停止させることを繰り返す。大当たり発生が決定している時には、対応する制御信号を演出制御部202に出力し、演出制御部202は、所定の図柄で揃えて停止させる。このとき同時に、大入賞口109を開放する制御をおこなう。
演出制御部202は、大当たり発生期間中、および大当たり発生までの間のリーチ時や、リーチ予告時などには、図柄表示部104に対して、図柄の変動表示に加えて各種の演出表示をおこなう。このほか、各種役物に対して特定の駆動をおこなったり、ランプ262やライト112,273の点灯状態を変更したり、モータ272,274を駆動するなどの演出をおこなう。
そして、大当たり発生時には、大入賞口109が複数回開放される。1回の開放が1ラウンドとして、たとえば15回のラウンドが繰り返し実行される。1ラウンドの期間は、遊技球がたとえば10個入賞したとき、あるいは所定期間(たとえば30秒)とされている。この際、賞球制御部203は、大入賞口109に対する遊技球1個の入賞あたり15個の賞球数で払い出しをおこなう。大当たり終了後は、この大当たり状態が解除され、通常の遊技状態に復帰する。
(演出役物(横)の動作および構成)
図4および図5は、演出役物(横)115の動作を示す説明図である。図4および図5において、演出役物(横)115は、鞘401、柄402、鍔403および刀身501を備えている。演出役物(横)115は、図4に示したように刀身501が鞘401内に納められた状態、または、図5に示したように鞘401から刀身501の一部を引き抜いた状態のいずれかの状態をとる。
図6および図7は、演出役物(横)115の構成を示す説明図である。図6は演出役物(横)115における刀身501が鞘401内に納められた状態を示し、図7は演出役物(横)115における鞘401から刀身501の一部を引き抜いた状態を示している。図6および図7において枝番「−1」(図6−1、図7−1)は演出役物(横)115の構成を示す正面図であり、枝番「−2」(図6−2、図7−2)は演出役物(横)115の構成を示す裏面図である。
図6および図7に示したように、演出役物(横)115は、右ソレノイド275aを備えている。右ソレノイド275aは、右ソレノイド275aの鉄心602に連結された右クランク603および連結用プレート604を介して鞘401の一部(以下、「鞘部材」という)401aに連結されている。
右ソレノイド275aは、通電時において鞘部材401aが柄402から離間する方向に鉄心602を引き込む。鉄心602には圧縮スプリング605が巻き付けられている。非通電時における鉄心602は、圧縮スプリング605の付勢力によって鞘401が鍔403に当接する方向に付勢されている。
また、演出役物(横)115は、左ソレノイド275bを備えている。左ソレノイド275bは、左ソレノイド275bの鉄心607に連結された左クランク608および連結用プレート609を介して柄402の一部(以下、「柄部材」という)402aに連結されている。
左ソレノイド275bは、通電時において柄部材402aが鞘部材401aから離れる方向に鉄心607を引き込む。鉄心607には圧縮スプリング610が巻き付けられている。非通電時における鉄心607は、圧縮スプリング610の付勢力によって鍔403が鞘401に当接する方向に付勢されている。
上記の役物制御部254は、右ソレノイド275aおよび左ソレノイド275bに対して同じタイミングで通電する。右ソレノイド275aおよび左ソレノイド275bにおける通電/非通電のタイミングを同じとすることにより、鞘401および柄402は同一のタイミングで、互いに相反する方向に移動する。
通電時においては、鉄心602および鉄心607が各々右ソレノイド275aおよび左ソレノイド275bの内部引き込まれ、鞘部材401aと柄部材402aとが離反した状態となる。この状態においては、鞘401から刀身501が引き抜かれ、鞘401と柄402との間から刀身501の一部があらわれた状態となる。
(演出役物(縦)の動作および構成)
図8および図9は、演出役物(縦)116の動作を示す説明図である。図8および図9において、演出役物(縦)116は、鞘(鞘形状部材)801、柄(柄形状部材)802、鍔803および刀身(刀身形状部材)901を備えている。演出役物(縦)116は、図8に示したように刀身901が鞘801内に納められた状態と、図9に示したように鞘801から刀身901の一部を引き抜いた状態との間の任意の位置に柄802を位置付けた状態をとることが可能である。
図示を省略するが、演出役物(縦)116は、刀身901の背面側に設けられた別の刀身を備えている。鞘801および柄802は、別の刀身に取り付けられており、鞘801と柄802とは別の刀身によって連結されている。別の刀身を用いて鞘801と柄802とを連結することにより、鞘801と柄802とをユニット化することができる。これにより、演出役物116および遊技機の組み立て作業の容易化を図ることができる。
上記のLED278は、刀身901に内蔵され、あるいは刀身901の近傍に配置されている。刀身901は、入射された光を拡散してから出射することが可能に設けられている。具体的に、刀身901は、刀身901の表面をシボ状としたり、光拡散材料を分散させた材料によって刀身901を形成したりすることによって、入射された光を拡散する。LED278は、刀身901に対して、LED278が発光した光が刀身901に入射可能であって、かつ、入射した光が刀身901内において拡散されながら伝播可能な位置に設けられている。
図10および図11は、演出役物(縦)116の構成を示す説明図である。図10は演出役物(縦)116における刀身901が鞘801内に納められた状態を示し、図11は演出役物(縦)116における鞘801から刀身901の一部を引き抜いた状態を示している。図10および図11において枝番「−1」(図10−1、図11−1)は演出役物(縦)116の構成を示す正面図であり、枝番「−2」(図10−2、図11−2)は演出役物(縦)116の構成を示す裏面図である。
図10および図11に示したように、演出役物(縦)116において、鞘801および刀身901は、図10および図11における上下方向に移動可能に設けられている。刀身901には、柄802の一部を構成する柄部材802aおよび鍔803などが取り付けられている。柄部材802aおよび鍔803は、刀身901の移動にともなって上下方向に移動する。
演出役物(縦)116の背面側には、ラックギア1001,1002およびピニオンギア1003によって構成されるラックアンドピニオン構造が設けられている。ラックギア1001は、刀身901に固定されている。ラックギア1002は、鞘801の一部を構成する鞘部材801aに固定されている。
ピニオンギア1003は、位置固定されている。ピニオンギア1003は、位置固定されたモータ276の駆動軸に取り付けられた駆動ギア1005に連結されている。ピニオンギア1003は、モータ276を駆動することによる駆動ギア1005の回転にともなって回転する。
図10−2に示したように、矢印1010の方向にモータ276が回転すると、ピニオンギア1003は、矢印1011の方向に回転する。矢印1011方向へのピニオンギア1003の回転にともなって、ラックギア1001は矢印1012の方向へ移動し、ラックギア1002は矢印1013の方向へ移動する。
ラックギア1001の矢印1012の方向への移動にともなって、刀身901、柄部材802aおよび鍔803が鞘部材801aから離間する方向へ移動する。刀身901、柄部材802aおよび鍔803は、上記の刀身901によって柄部材802aが持ち上げられ(押し上げられ)ることによって、鞘部材801aから離間する方向へ移動する。
ラックギア1002の矢印1013の方向への移動にともなって、鞘部材801aが柄部材802aおよび鍔803から離間する方向へ移動する。これによって、演出役物(縦)116は、刀身901が鞘801内に収納された状態(図8を参照)から、鞘801から刀身901が引き抜かれた状態(図9を参照)に変化する。
一方、図11−2に示したように、矢印1110の方向にモータ276が回転すると、ピニオンギア1003は、矢印1111の方向に回転する。矢印1111方向へのピニオンギア1003の回転にともなって、ラックギア1001は矢印1112の方向へ移動し、ラックギア1002は矢印1113の方向へ移動する。
ラックギア1001の矢印1112の方向への移動にともなって、刀身901、柄部材802aおよび鍔803が鞘部材801aに近接する方向へ移動する。ラックギア1002の矢印1113の方向への移動にともなって、鞘部材801aが柄部材802aおよび鍔803に近接する方向へ移動する。これによって、演出役物(縦)116は、刀身901が鞘801から引き抜かれた状態(図9を参照)から、刀身901が鞘801内に収納された状態(図8を参照)に変化する。
演出役物(縦)116においては、モータ276によってラックギア1001,1002を移動させることによって鞘部材801aと刀身901、柄部材802aおよび鍔803とを移動させているため、モータ276の回転方向(矢印1010または矢印1110の方向)に応じてモータ276の回転駆動を制御することにより、単一のモータ276を用いて、複数パターンの演出動作をおこなうことができる。モータ276の回転駆動は、たとえば、モータ276の回転方向、回転量、回転速度などを調整することによって制御することができる。
本実施の形態の遊技機において演出役物(縦)116として用いられた日本刀は、古来、武士の魂を象徴するものであり、帯刀を認められた武士であってもみだりに抜いたりせず、ここぞというときのみに抜くことが許されていた。このような流れを汲み、演出役物(縦)116における刀身901は、通常の遊技状態においては、鞘801内に納められている。そして、大当たり(通常大当たり、確率変動大当たりなど)が発生した場合に限って、刀身901が鞘801から抜かれた状態となる。
(演出制御部の処理手順)
つぎに、演出制御部202の処理手順の内容について説明する。図12は、演出制御部202の処理手順を示すフローチャートである。図12は、演出制御部202が、第2ライト制御部253に対しておこなう処理手順を示している。
図12のフローチャートにおいて、演出制御部202は、まず、大当たり情報(通常大当たり、確率変動大当たり、時間短縮大当たりなどの大当たり情報を含む)を受信したか否かを判断する(ステップS1201)。ここで、大当たり情報を受信するのを待って、大当たり情報を受信した場合(ステップS1201:Yes)は、リーチ演出を実行する(ステップS1202)。
つづいて、大当たり移行演出を実行する(ステップS1203)とともに、大当たり情報を受信してから所定時間が経過したか否かを判断する(ステップS1204)。ここで、大当たり移行演出とは、大当たり遊技に際しておこなわれる演出に先立って、これから大当たり遊技ができることを案内することを目的とした演出である。
大当たり移行演出は、図柄表示部(LCD)104において3つの図柄が揃った場合に、大当たりが確定したことを遊技者に伝えるとともに、大当たり演出を開始するまで、大当たりを祝福し遊技者を喜ばせる所定の演出を実行する。通常大当たり移行演出や確率変動大当たり移行演出は、大当たり移行演出と同様であるが、それぞれの種類によって、演出内容を変更するようにしてもよい。
また、所定時間とは、主制御部(主基板)201が大当たり情報を演出基板に送信してから大入賞口開閉部231を制御して大入賞口109を開かせるまでの時間である。この時間は、上記のCPU211が備えるタイマー機能などによって計時される。
ステップS1204において、所定時間が経過していない場合(ステップS1204:No)は、ステップS1203に戻って引き続き大当たり移行演出を実行し(ステップS1103)、所定時間が経過した場合(ステップS1204:Yes)は、大入賞口109が開くのに連動して、大当たり演出を実行し(ステップS1205)、ステップS1201へ戻る。
ステップS1205における大当たり演出においては、演出制御部202は、役物制御部254に対して、右ソレノイド275a、左ソレノイド275bおよびモータ276に対する駆動制御などをおこなうデータを出力する。これにより、役物制御部254は、演出役物(横)115における右ソレノイド275aおよび左ソレノイド275bへの通電をおこなうとともに、図10−2における矢印1010の方向にモータ276を回転駆動する。これによって、演出役物(横)115においては鞘401から刀身501が引き抜かれ、演出役物(縦)116においては鞘801から刀身901が引き抜かれた状態となる。
つづいて、演出制御部202は、図柄表示部(LCD)104に対して、刀によって両断された画面を表示部104に表示するための表示情報を生成して出力するとともに、音声制御部255に対して、刀を振り下ろした効果音をスピーカ277から出力させるためのデータを出力する。これにより、図柄表示部(LCD)104は、刀によって両断された画面を表示し、当該表示に併せてスピーカ277が効果音を出力する。
その後、役物制御部254は、演出役物(横)115における右ソレノイド275aおよび左ソレノイド275bへの通電を停止するとともに、図11−2における矢印1110の方向にモータ276を回転駆動する。これによって、演出役物(横)115においては刀身501が鞘401内に納められ、演出役物(縦)116においては刀身901が鞘801内に納められた状態となる。
ステップS1205において、演出制御部202は、役物制御部254に対して、図10−2における矢印1010の方向へのモータ276の回転速度よりも、図11−2における矢印1110の方向へのモータ276の回転速度の方が低速となるような駆動制御をおこなうデータを出力する。
これにより、演出役物(縦)116に対して、鞘801から刀身901を素早く引き抜き(開き)、鞘801内に刀身901をゆっくり納める(閉じる)、という動作を実現することができる。時代劇において、刀をさやに納めるシーンは、主人公のいわゆる「きめ」のシーンとされ、鞘801内に刀身901をゆっくり納めることにより、仕事(悪党斬り)の終了(一件落着)や、主人公の怒りが収束していくシーンなどを表現することができる。
本実施の形態の遊技機は、モータ276を用いて演出役物(縦)116を駆動することにより、より現実的な(時代劇の役者が演じるような)刀の抜き差し動作を表現し、時代劇中の「きめ」のシーンにおける登場人物の微妙な心情の変化などを演出役物(縦)116によって表現することができる。また、演出役物(縦)116の持ち主(遊技機における主役的キャラクタ)が剣の達人であることを暗に表現できる。また、遊技の演出が一段落したことをそれとなく案内することができる。
演出役物(横)115のようにソレノイドとばねを用いる場合、鞘401から刀身501を引き抜き、引き抜いた刀身501を再び鞘401に納める動作が1アクションで終了してしまう。このため、刀身901の重量感を表現することが困難であり、刀身901を鞘801内に納めるときの迫力感にかけてしまう。
これに対し、演出役物(縦)116においては、モータ276を用いることにより、上記のように、鞘801から刀身901を素早く引き抜き(開き)、鞘801内に刀身901をゆっくり納める(閉じる)、という動作を実現することができるので、刀身901の重量感および刀身901を鞘801内に納めるときの迫力感を表現することができる。
また、演出役物(縦)116においては、一つのモータ276を用いて鞘部材801aと柄部材802aおよび鍔803とを動かし、刀身901が鞘801内に収納された状態とすることができる。鞘部材801aを駆動するモータと柄部材802aおよび鍔803を駆動するモータとをそれぞれ別にし、複数のモータを用いて鞘部材801aと柄部材802aおよび鍔803とを動かす場合、刀身901が鞘801内に収納された状態とするために各モータの調整をおこなう必要があり煩わしい。また、各モータの調整をおこなわなかった場合、刀身901が鞘801内に完全に収納されずに半開き状態となってしまうことが想定される。特に、半開き状態では、上記の「きめ」を表現することができない。
これに対して、本実施の形態の遊技機においては、一つのモータ276を用いることにより、鞘部材801aと柄部材802aおよび鍔803とを同時に動かし、刀身901を鞘801内に完全に納めることができる。これによって、上記の「きめ」を効果的に表現することができる。
なお、演出役物(横)115のように、ソレノイドとばねを用いる場合、鞘401から刀身501を引き抜き、引き抜いた刀身501を再び鞘401に納める動作を素早くおこなうことができる。このため、演出役物(横)115は、スピード感が要求される演出に適している。演出役物(縦)116は、スピード感が要求される演出に加えて、上記のような「きめ」の表現などもできるので、演出役物(横)115,演出役物(縦)116を併用することによって、遊技者に与える演出効果の向上を図ることができる。
また、上記のステップS1203における大当たり移行演出に際して、演出役物(縦)116を上記のように動作させることによって時間調整をおこなってもよい。たとえば、刀身901をゆっくりと鞘801に納めることにより、刀身901が鞘801内に完全に納まるまでの時間を確保し、大入賞口109が開くまでの時間を調整することもできる。
さらに、上記のステップS1203における大当たり移行演出に際しては、刀身901が鞘801内に完全に納まる状態と刀身901が鞘801から完全に引き抜かれた状態との間の任意の位置においてモータ276の回転方向を切り替えてもよい。
これによって、演出役物(縦)116が小刻みにかたかたと開いたり閉じたりさせることができる。具体的には、たとえば、モータ276を駆動させるためのパルスを変えたり、モータ275に通電する電流の方向を切り替えることによって、モータ276の回転方向を切り替える。
このような演出をおこなうことにより、大当たりの予感を遊技者に伝えることができる。また、このような演出は、当該演出をおこなうタイミングを図ることにより、主人公の悪党に対する怒りなど、遊技に登場するキャラクタの感情などを表現することもできる。これによって、遊技者に与える演出効果の向上を図り、遊技の面白みの向上を図ることができる。