JP4955361B2 - 核磁気共鳴分光用送受信コイル - Google Patents

核磁気共鳴分光用送受信コイル Download PDF

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本発明は、核スピンを有する原子核を含むサンプルの核磁気共鳴(NMR)信号を検出する核磁気共鳴分光用プローブに関する。
NMR信号を検出するには、観測対象の核スピンを含むサンプルに静磁場を印加し、さらに振動磁場を照射する必要がある。照射する振動磁場の周波数は、印加する静磁場の大きさとサンプルに含まれる核スピンの種類に応じて決められる。核スピンを含むサンプルは、静磁場の印可、そして、振動磁場の照射という手順を経て、NMR信号を放出する。
サンプルへの振動磁場を照射するアンテナ素子と、サンプルからのNMR信号を検出するアンテナ素子を、それぞれ送信コイル、受信コイルと呼ぶ。送信コイルと受信コイルのこれらの機能を考慮した上で、核磁気共鳴分光用プローブに実装した場合、シングルコイル方式と呼ばれる実装方法と、送受分離型コイル方式と呼ばれる実装方法の2種類が有効であることが知られている。シングルコイル方式は、ひとつのコイルで送信コイルと受信コイルの機能で担るように実装した回路を用いるNMRの計測法である。また、送受分離型コイル方式は、2つのコイルを用いる計測方法で、それぞれのコイルは、一般にそれらがつくる磁場の向きを直交させるように配置される。
送受分離型コイル方式の利点は、送信コイルと受信コイルをそれぞれ独立に設計し、実装することができる。例えば、B1均一度を向上させる手段としては、送信コイルの形状を受信コイルよりも大きくすると実現するが、送受分離型コイル方式では、そういった設計と実装が可能となる。ここで、B1均一度とは、振動磁場強度の空間的均一性のことである。
B1均一度を向上させる目的で送受分離型コイル方式が採用されている例としては、核磁気共鳴分光と類似の技術で構築される磁気共鳴映像(MRI)装置が挙げられる。送受分離型コイル方式の課題としては、送信コイルと受信コイルの結合があり、これは公知である。送信コイルと受信コイルの間に、電気的、磁気的に結合が生じると、送信コイルと受信コイルが接続された共振回路の整合と同調をとることが困難となる。また、振動磁場照射時に、送信コイルから受信コイルへ磁場が漏れる場合は、照射した振動磁場が受信コイルに接合されたプリアンプを飽和させ、プリアンプを一時的、あるいは恒久的に使用不可能な状態にする。つまり、NMR信号の受信が一時的あるいは恒久的に不可能となる。このように、送信コイルと受信コイル間が結合した場合、装置の性能を低下や破壊を招く原因となる。従って、このような性能低下を防ぐ為に、送信コイルと受信コイルの結合を低下させることが課題となる。
この課題を解決させる手段として、スイッチ回路を用いる方法がとられてきた。その方法とは、スイッチ回路の動作によって、振動磁場照射時は送信コイルを同調整合させ、且つ受信コイルは同調整合させないようにし、受信時は逆に送信コイルを同調整合させないようにし、且つ受信コイルは同調整合させることである。
特許文献1には、スイッチング可能なインピーダンス回路(スイッチ回路)をNMR界磁コイル(送信コイルや受信コイル)とそれを部分的に取り囲む接地されたシールドの間を接合するように設置している。そして、スイッチング作用によってNMR界磁コイルの周波数を所定の周波数から離調させ、ある界磁コイルと他の界磁コイル等の相互作用を無くす記載がある。また特許文献2には、送信アンテナと受信アンテナに整合兼同調ユニットが配置され、このユニットが共振の同調と回路整合に影響を与えることで、送信コイルと受信コイルが相互に減結合する記載がある。特許文献1、2は、スイッチ回路を用いることで送信コイルと受信コイルの結合を低下させることを可能としている。また、特許文献1、2では、スイッチ回路として、PINダイオードやPINダイオードとλ/4線伝送線路を組み合わせた構成の回路を開示している。
特開平2−4329号公報 特開平3−112539号公報 R.D.Black等、SCIENCE、259巻、793頁、1993年
近年、NMR装置の開発課題は、多種多様なタンパク質の構造解析をNMR計測で行えるようにすることであって、それは計測感度をより高感度にすることで実現する。高感度化のために、超伝導線を用いたQ値の高い受信回路(共振回路)を用いて、NMR信号の受信感度を向上させる技術が確立されつつある。この技術の要点は、超伝導線を用いて受信回路のQ値を高くする点である。
Q値と受信感度の関係は、非特許文献1によれば、受信感度の指標となる信号雑音比SNR対し、SNR∝√Qの関係にある。つまりQ値が高くなると受信感度は向上する。しかし、Q値の高い受信コイルとQ値の低い送信コイルが結合している場合、Q値は互いのコイルの低い値に合わせて低下し、受信感度は低下する。コイルのQ値は、銅材料を用いた場合、室温でQ=400程度であり、超伝導材料を用いた場合、Q=4000以上の値となる。
図4はMRIの計測で使用される共振回路で、LC並列回路を用いていることを特徴としている。コイル10(受信コイルもしくは送信コイル)とコンデンサ55でLC並列回路11を構成し、これと直列にコンデンサ56の整合回路を接続する構成である。ここで、抵抗17はコイルに付随する直列抵抗成分rである。コイルのQ値と抵抗成分rとの関係は式(1)に示される。
Q=2πfL/r (1)
図4における同調回路と整合回路については、回路共振周波数の同調は主としてコイル10を含むLC並列回路のコンデンサ55の調整により、回路のインピーダンス整合は主としてコンデンサ56の調整による。コンデンサ55とコンデンサ56の静電容量CとC'の値は、図4のポート1からみたコイル側のインピーダンスZが、式(2)の関係を満たす値となる。
=1/(jωC')+r+j{ωL−1/(ωC)} (2)
ここで、jは虚数単位、角振動数ω=2πfである。式(1)を満たすCとC'を解くには、式(2)を実数部と虚数部に分解し、実数部の式(3)に基づいてCを求め、虚数部の式(4)に基づいてC'を求める。
実数部:Z=r/{(1−ωLC)+(ωCr)} (3)
虚数部:1/(ωC')={ωL(1−ωLC)−ωCr}
/{(1−ωLC)+ω} (4)
つまり式(3)と条件式C≧0、C'≧0により、式(5)からCを求める。Zは整合の条件で、一般にZ=50Ωである。
C=〔ωL−√{(ωL)−((ωL)+r)(1−r/Z)}〕/〔ω{(ωL)+r}〕 (5)
C'は、式(5)から得られるCを式(6)に代入すればよい。
C'=〔(1−ωLC)+(ωCr)〕/〔ω{ωL(1−ωLC)−ωCr}〕 (6)
次に、CとC'の値を具体的に見てみる。高感度なNMR計測で使用される電磁波の周波数はf=300MHz以上である。近年では高感度計測を行うため、共振周波数はf=600MHzが標準となりつつある。共振周波数をf=600MHzとし、コイルのインダクタンスをL=120nHとし、コイルのQ値をQ=400とすれば、r=2πfL/Q=1.13Ωとなる。式(5)(6)よりC=0.50pFとC'=0.09pFとなる。また、Q値をQ=4000とした場合、r=2πfL/Q=0.11Ωとなり、式(5)(6)よりC=0.56pFとC'=0.03pFとなる。
これから分かることは、整合回路のコンデンサ56の値がC'=0.1pF以下となる点である。一般に、このような共振回路は0.1pF程度の浮遊容量の影響を受けるので、浮遊容量以下に静電容量を合わせることは現実的に不可能となる。つまり、図4のようなLC並列回路を含む共振回路では、共振周波数が600MHzでQ=400、あるいはQ=4000を実現させることが不可能となる。また、共振周波数が600MHzでQ=40程度の場合、C=0.31pFとC'=0.28pFとなる。これは、Q=40であれば、CとC'はそれぞれ0.3pF近くの値となり、同調と整合の調整が可能であることを示している。しかし、Q値が40と低いために、高感度な計測は実質的に不可能となる。つまり、使用周波数が比較的高くなる高感度なNMR計測には、図4に示すようなLC並列共振回路を含む回路は適用不可ということになる。
医療検査用のMRI装置の技術とタンパク質の構造解析などを対象とするNMR装置の技術は、一見同じと思われるが、対象とする周波数はそれぞれ100MHz以下と300MHz以上となる点で大きく異なっている。
仮にMRIで用いられている図4のLC並列共振回路をもつ共振回路で300MHz以上のNMR計測を行うことを考える。その場合、同調は取れるが整合を取れない回路を使用することになる。あるいは、同調整合は取れるがQ値の低い回路を使用することになる。すなわち、300MHz以上の高周波で且つ高感度な計測は不可能になる。
本発明の目的は、上記従来技術の問題点に鑑み、送受分離型コイル方式のプローブであって、高感度なNMR計測に必要な受信コイルと送信コイルの結合をより高いレベルで低下させ、NMR計測に必要な同調と整合がとれる核磁気共鳴分光用プローブを提供することにある。
上記目的を達成するため、本発明の核磁気共鳴分光用プローブは、サンプルに核磁気共鳴信号を励起するための電磁波を照射する送信コイルと、上記電磁波によってサンプル内で励起される核磁気共鳴の電磁波信号を受信する受信コイルとが、それぞれ分離した形態で実装された核磁気共鳴分光用プローブにおいて、前記核磁気共鳴分光用プローブ内の回路は、前記送信コイルとコンデンサによってLC直列を構成する送信用同調回路と、前記受信コイルとコンデンサによってLC直列回路を構成する受信用同調回路を備え、それら同調回路がスイッチを介しインピーダンス整合を行う1つの整合回路と並列に接続され、且つ前記同調回路はスイッチの動作によって相互に前記整合回路と電気的に接続されることを特徴とする。
また、本発明の核磁気共鳴分光用プローブは、前記スイッチが、PINダイオードとλ/4線伝送線路とで構成されていることを特徴とする。
本発明によれば、300MHz以上の高い周波数での同調整合が可能で、且つ、送受分離型コイル方式を適用した場合の、送信コイルと受信コイルの結合をより高いレベルで低下させ、送受分離型コイル方式での高感度計測を可能とした。またQ値が100以上となる回路構成となる。
図2は、本発明に関わるNMR計測装置の全体構成図を示す。図2の拡大図は、プローブ3の先端部分の構成図で、本発明に係る核磁気共鳴分光用検出コイル(10及び20)のプローブ3内での配置を示す。超伝導磁石4は、NMR計測に必要なサンプルに静磁場を印加するための装置である。計測コンソール5は、超伝導磁石4に組み込まれた室温シムコイル磁石の制御や、NMR信号を取得する際の振動磁場送信機やNMR信号の受信機の制御を行うための装置である。
図3は、本発明に関わるプローブの全体断面図を示す。プローブ3の先端(図3の右側)は、サンプル100の挿入を可能とする構造で、サンプルに振動磁場を照射する送信コイル20とNMR信号を受信する受信コイル10がある。図2の超伝導磁石4には、プローブ3の先端(図の右側)を先に挿入する形で接地する。共振回路8は、送信コイル20、あるいは、受信コイル10と任意の周波数での同調と、ある特性インピーダンスをもつ同軸ケーブル80との整合をとるためのものである。本発明に関わるプローブの凡その寸法は、図3に記載されている。この寸法と形状からは、人体の計測を対象とするMRI装置のプローブとは大きく異なることが分かる。
NMR計測では、水素(H)核、重水素(D)核、炭素13(C)核、窒素15(N)核、リン31(P)核など、核スピンをもつ様々な原子核の核磁気共鳴信号を検出する。例えば14テスラの印加磁場中の水素(H)の核磁気共鳴信号を観測するには、水素(H)核に600MHzの振動磁場を照射し、その振動磁場を受けて核磁気共鳴した水素(H)核の振動数600MHzの核磁気共鳴信号を受信する手順が必要である。
送受分離型コイルの場合、振動磁場を照射する送信コイルは、接続した共振回路を用いて600MHzで共振するよう同調整合させ、受信コイルも接続した共振回路が600MHzで共振するよう同調整合させる。
B1均一度の向上と、受信感度を向上の両立を実現させるには、送受分離型コイル方式を用いることが望ましい。ただし、送受分離型コイル方式で問題となる送信コイルと受信コイルの間で存在する結合を完全に低下させるという課題解決が必要となる。本発明は、送受分離型コイル方式で300MHz以上の周波数で同調整合し、且つ、送信コイルと受信コイルを回路的に結合させないという課題を解決するものである。
図1は本発明を適用するLC直列回路と整合回路の関係を示す回路図である。この共振回路は、600MHzの周波数で、同調整合の調整が可能であることを示す。コイル20(送信コイルもしくは受信コイル)とコンデンサ55によるLC直列回路11と、コンデンサ56の整合回路13を並列に接続する構成である。抵抗17はコイル20に付随する直列の抵抗成分rである。抵抗成分rとQ値の関係は上記した式(1)で示される。この回路の同調と整合は、コンデンサ55とコンデンサ56の静電容量CとC'を可変なもので構成し、それらを変化させることで可能となる。
CとC'は、ポート1からコイル側のコンダクタンス(1/Z)をみた場合、式(7)を満たす値となれば、整合と同調がとれる状態となる。
1/Z=jωC'+1/{r+j{ωL−1/(ωC)}} (7)
式(7)を満たすCとC'を解くには、式(7)を実数部と虚数部に分解する。
実数部:1/Z=r/{r+{ωL−1/(ωC)}} (8)
虚数部:0=ωC'−{ωL−1/(ωC)}/{r+{ωL−1/(ωC)}} (9)
式(8)からCを求め、このCを式(9)に代入することでC'を求めることができる。具体的には、式(8)と条件式C≧0、C'≧0より、式(10)からCを求める。
C=〔ω{ωL−√{(ωL)−{r−Zr+(ωL)}}}〕/ω (10)
C'は、式(10)から得られるCを式(11)に代入する。
C'={ωL−1/(ωC)}/〔{r+{ωL−1/(ωC)}}ω〕(11)
CとC'の値を具体的に求めてみる。例えば共振周波数をf=600MHzとし、コイルのインダクタンスをL=120nHとし、コイルのQ値をQ=400とすれば、r=2πfL/Q=1.13Ωとなる。式(10)(11)より、C=0.60pFとC'=34.9pFとなる。また、Q値をQ=4000とした場合、r=2πfL/Q=0.11Ωとなり、式(10)(11)よりC=0.59pFとC'=111pFとなる。
これで分かることは、図1のようなLC直列回路を含む共振回路では、整合回路のコンデンサ56の値が10pFから100pF程度の値であり、本発明の適用が可能になることを示している。つまり、タンパク質の構造解析などを対象とするNMR装置では、対象とする周波数が300MHz以上となるので、本発明の適用が可能になる。
図5は、本発明を適用した送受分離型コイル方式の共振回路の簡略な回路図である。サンプル100より左側に描かれた回路は送信回路であり、振動磁場を照射する送信コイル20を備えている。サンプルより右側に描かれた回路は受信回路であり、サンプル100より放出されるNMR信号を受信する受信コイル10を備えている。送信回路も受信回路も共通しているのは、整合回路13、14と同調回路11、12の組合せで構成されていることである。この構成は、プローブの内部回路(共振回路)の同調と整合が正確に調整できることを示す。具体的には、可変コンデンサ51−54の静電容量を増減し、調整する。
図5の回路で問題が生じるのは、受信回路10と送信回路20間の結合である。この結合を避けるには、送信コイルと受信コイルがつくるそれぞれの磁場の向きを互いに直交させることが挙げられる。しかし送信コイルと受信コイルが作る互いの磁場を完全に直交させることは現実には実現が困難で、ある程度の結合は避けることができない。
そこで、送信コイルと受信コイルの結合を低下させるためにスイッチを用いる。図5における整合回路14(13)と同調回路12(11)の間を繋ぐ伝送経路上の枠7の位置にスイッチ75を挿入する。スイッチ75は必要なときに、一方のスイッチをオフさせると送信コイル20と受信コイル10の結合が完全に断たれる。例えば、送信コイル側の枠7の位置にあるスイッチ75をオフ状態とし、受信コイル側の枠7の位置に入れたスイッチ75をオン状態とすると、送信側の送信コイル20は開放された状態となる。受信側からみればコイルというよりも単に金属片があるのと同じことになり、受信回路は送信回路の影響を全く受けないことになる。これは、受信回路の枠7の位置にあるスイッチ75をオフとし、送信回路の枠7にいれたスイッチ75をオンにした場合も同様で、送信回路は、受信回路の影響を受けることはない。
次に、仮に枠7ではなく枠8の位置に点線で示したスイッチ76を設置し、それらをオフにする場合、送信コイル20は同調回路14によって有限のインピーダンスを持つ回路に接続された状態となる。受信コイル10にとっても同じことで、同調回路13によって有限のインピーダンスを持つ回路が接続された状態となり、受信コイル10や送信コイル20の両端が開放される状態とはならない。つまり、送信コイル20と受信コイル10間の結合を低下させるためのスイッチの位置は、枠7の位置、つまり同調回路と整合回路の間が良いことになる。以下実施例を挙げて説明する。
図6は、本発明に関わる受信コイルと送信コイルの結合度をより低下させる共振回路の実施例1で、回路の実装図を示す。スイッチ77−78はPINダイオード61−63とλ/4線伝送線路71、72の組合せで構成し、共振回路の同調回路と整合回路の間に挿入している。
ここで、PINダイオードのスイッチの作用について簡単に説明する。PINダイオードは順方向とよばれる向きに1mA〜100mA程度の直流電流を流す場合、交流電力の通電可能な状態となる。逆に直流電流を流さない場合、交流電力の通電不可能な状態となる。つまりPINダイオードは、1mAから100mA程度の直流電流を流すか、流さないかの制御によってスイッチとして動作する。またλ/4線は、その端部の両方が接地されない場合は、普通の通電可能な導線となるが、どちらかの端部が接地された場合は、もう一方の端部のインピーダンスは非常に高くなる。つまりλ/4線は、その両端のどちらもが設置されない場合と、あるいはどちらか一方の端部が接地される場合かで、スイッチのように動作する。
図6の受信回路側のスイッチ77と送信回路側のスイッチ78で素子の構成が異なるのは、PINダイオード61−63が通電可能か通電不可かの作用によってスイッチ77とスイッチ78のオンとオフを入れ替えるためである。具体的には、PINダイオード61−63を通電可能な状態とすると、スイッチ78内では、λ/線70の下端74がPINダイオード63によって接地されるので、その上端73は非常に高いインピーダンスとなる。また、スイッチ77内では、λ/4線の右側の端部74が、PINダイオード61によって接地されるので、その左側の端部73は非常に高いインピーダンスとなる。つまりスイッチ77はオフ、スイッチ78はオンとなる。逆に、PINダイオード61−63を通電不可能な状態とすると、スイッチ78では、PINダイオード62、63によってオフの状態となる。また、スイッチ77では、PINダイオード61が通電不可能な状態であることからλ/4線71は通常の導線となることから、それをオンの状態とする。つまり、PINダイオード61−63にそれらの順方向の向きに正の直流電流を流さない場合は、スイッチ77はオンとなり、スイッチ78はオフとなる。
PINダイオード61−63のオンとオフの制御は、送信回路と受信回路にそれぞれ設けてある制御端子から直流電流を操作し、制御する。インダクタ31やインダクタ32は、振動磁場信号やNMR信号を制御端子側に漏らさないためのチョークコイルである。また、コンデンサ41とコンデンサ42は、PINダイオード61−63を制御するための制御ポートからの直流電流を、送信コイル20と受信コイル10に流れるのを防ぐために設けている。
表1は、図6の回路を用いた場合、計測の過程に応じて、スイッチ77、78をどのように制御するかを示している。
Figure 0004955361
図6で制御の端子は送信回路と受信回路にひとつずつあるが、制御のタイミングは同じである。つまり、パルス送信時(送信回路整合同調時)は、PINダイオード61−63が全て通電可能となるように制御ポート2と2‘から直流電流を流し、スイッチ78はオン、スイッチ77はオフとなるようにする。NMR信号受信時は、逆にPINダイオード61−63が全て通電不可能となるように制御ポート2と2’から直流電流を流すことを止めて、スイッチ78がオフ、スイッチ77がオンとなるようにする。
この回路構成で明確に良くなった点は、送信回路と受信回路のそれぞれを独立に整合と同調をさせることができる点である。これにより、例えば受信回路のQ値が10000程度と高い場合でも、送信側の送信コイルとの結合を全く無視することができるので、受信回路の感度を落とすことなく、高感度なNMR計測を行うことができる。送信側と受信側の結合が生じると回路の同調整合の調整が困難となるが、結合を全く無視できる状態なので、同調整合の調整を十分行うことができ、高感度NMR計測に必要な条件を整えることができる。
図7と図8は、実施例2を説明するための簡略の回路図と実装図である。実施例1との違いは、送信回路12と受信回路11の整合回路(13、14)にインダクタ35とインダクタ36を付け加えたことである。例えば、インダクタ35のインダクタンスLの値は、可変コンデンサ53の静電容量Cと回路の共振周波数fをL=1/{ (2πf)C}に代入して得られる値に近い値である。同様に、インダクタ36についても可変コンデンサ54の静電容量Cと共振周波数fから求められる。
このようにして求めたインダクタンスLを持つインダクタ35とインダクタ36を用いても、回路のインピーダンス整合をとることは可能で、実施例1の回路と同様のスイッチの動作と特性を持たせることが出来る。
図9は、実施例3を説明する共振回路の簡略な回路図である。この回路の基本的な構成は、送信コイル20と可変コンデンサ52で構成される同調回路12と受信コイル10と可変コンデンサ51が構成する同調回路11の2つの同調回路と、可変コンデンサ55からなる整合回路15と、スイッチ77である。実施例1と大きく異なる点は、整合回路が1つであることである。また、整合回路15はコンデンサのみで構成されているが、実施例2のようにコイルと可変コンデンサのLC直列回路の構成でもかまわない。次に回路の動作を説明する。
表2は回路のスイッチ77を同調回路12もしくは、整合回路11に接続させた際の、受信コイル10と送信コイルの動作を示す。
Figure 0004955361
表2の2行目で示すようにサンプルにパルスを送信する際は、スイッチ77の接続先を同調回路12とし、同調回路12と整合回路15を接続する。これにより同調と整合の調整が可能な送信回路が構成される状態となる。この状態のときに、同調回路12の送信コイル20からサンプルへ送信パルスの照射が可能な状態となる。また、同調回路11は、整合回路15から隔離された状態なので、受信コイル10も切り離された状態となり、送信コイル20からみれば、コイルではなく金属の塊のようなものがあるのと同じになる。つまり、送信コイル20と受信コイル10間の結合は、無視できるほど低下する。
表2の3行目で示すようにサンプルからのNMR信号を受信する際は、スイッチ77の接続先を同調回路11とし、同調回路11と整合回路15を接続する。これにより同調と整合の調整が可能な受信回路が構成される状態となる。この状態のときに、同調回路11の受信コイル10はサンプルからのNMR信号の受信が可能な状態となる。また、同調回路12は、整合回路15から切り離された状態なので、送信コイル20は切り離された状態となり、受信コイル10からみれば、コイルではなく金属の塊のようなものがあるのと同じになる。つまり、NMR信号受信時の受信コイル10と送信コイル20の結合は無視できるほど低下する。
このように実施例3で示す共振回路は、送信コイルと受信コイルが独立した構成の送受分離型コイル方式の回路であることが分かる。また、スイッチ77の動作によって、送信コイルと受信コイルの結合は無視できるほど低下することもわかる。つまり、送信コイルの影響を排除したQ値の高い受信回路でのNMR信号の計測が可能となる。
図10は実施例3の共振回路の実装図で、スイッチ77を構成するPINダイオードとλ/4線やコンデンサ等の具体的な配置を示す。図10の制御ポート2とチョークコイルであるインダクタ33は、スイッチ77のオンとオフを制御するための回路である。また、コンデンサ46は制御ポート2から流がすスイッチ77を制御するための直流電流を遮断するコンデンサである。スイッチ77の切替の制御と制御電流の関係は、次の通りである。
スイッチ77の接続先を同調回路12とするには、制御ポートから+1mAから+100mA程度の直流電流をPINダイオード61−63に向けて流す。するとPINダイオードは、通電可能な状態となり、また、λ/4線71、72の端部74は接地された状態となる。このとき、λ/4線71、72のもう一方の端部73は、インピーダンスが無限大に近い大きさとなり、同調回路11は整合回路15と完全に隔離された状態となり、同調回路12は整合回路と15とスイッチ77を介して接続される状態となる。つまり、送信コイル20を含む同調回路12と整合回路15で、同調と整合が可能な送信回路が構成される。
逆にスイッチ77の接続先を同調回路11とするには、制御ポートから−1mAから−10mA程度の直流電流を流すか、または電流を流さない状態とする。すると、PINダイオード62は通電不可能な状態となり、同調回路12は整合回路15と完全に切り離された状態となる。また同調回路11に、λ/4線71、72は、PINダイオード61、62が通電不可能な場合、通常の伝送線路となることから、同調回路11と整合回路15はスイッチ77を介して接続される状態となる。つまり、制御ポート2から−1mAからー10mA程度の直流電流を流すか、または電流を流さない場合は、受信コイル10を含む同調回路11と整合回路15で、同調と整合が可能な受信回路が構成される。
実施例3の利点は、送受分離型コイル方式で計測可能な回路であるにも関わらず、実施例1や実施例2のように同軸ケーブルの数が1本でよいことである。また整合回路も共通化して1つとし、部品点数を減らすという効果が得られる。特に、同軸ケーブルの数が1本でよいことは、受信コイルを冷却する低温プローブにおいて、同軸ケーブルから受信コイルへの熱の進入を低減できる効果が得られる。
本発明が適用可能なNMR計測で使用される共振回路図。 NMR計測装置の全体構成図。 本発明が適用されるNMRプローブの構成図。 MRI計測で使用される共振回路図。 本発明を適用した共振回路の概略の回路図。 実施例1による共振回路の詳細図。 実施例2を適用した共振回路の概略の回路図。 実施例2を適用した共振回路図の詳細図。 実施例3を適用した共振回路の概略の回路図。 実施例3を適用した共振回路図の詳細図。
符号の説明
1…ポート、3…核磁気共鳴分光用プローブ、4…超伝導磁石、5…計測コンソール、6…共振回路(プローブ内回路)、7,8…枠、10…受信コイル、11−12…同調回路、13−15…整合回路、17…コイルの抵抗成分、20…送信コイル、31−36…インダクタ、41―46…コンデンサ、51−56…可変コンデンサ、61−63…PINダイオード、71−72…λ/4線伝送線路、73−74…λ/4線伝送線路の端部、75−78…スイッチ、80−83同軸ケーブル、90…接地、100…サンプル。

Claims (2)

  1. サンプルに核磁気共鳴信号を励起するための電磁波を照射する送信コイルと、上記電磁波によってサンプル内で励起される核磁気共鳴の電磁波信号を受信する受信コイルとが、それぞれ分離した形態で実装された核磁気共鳴分光用プローブにおいて、
    前記核磁気共鳴分光用プローブ内の回路は、前記送信コイルとコンデンサによってLC直列を構成する送信用同調回路と、前記受信コイルとコンデンサによってLC直列回路を構成する受信用同調回路を備え、それら同調回路がスイッチを介しインピーダンス整合を行う1つの整合回路と並列に接続され、且つ前記同調回路はスイッチの動作によって相互に前記整合回路と電気的に接続されることを特徴とする核磁気共鳴分光用プローブ
  2. 請求項1において、前記スイッチが、PINダイオードとλ/4線伝送線路とで構成されていることを特徴とする核磁気共鳴分光用プローブ
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