JP4938167B2 - 錆止めを施すための水−希釈可能なコーティング組成物 - Google Patents
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【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
鉄の支持体を保護するための少なくとも実質的に樹脂非含有の、クロム含有コーティング組成物は数多く知られている。その中でも、粒状金属を含有するものが特に重要である。初期に開発されたこの種の代表的なコーティング組成物は、例えば、米国特許第3,687,738号に開示されたような、アルコール媒体中に本質的にクロム酸と粒状金属とを含有する組成物のような、非常に単純化なものでもあった。
【0002】
金属支持体上に耐蝕性のコーティングを提供するのに特に有効なものがその後開発されたが、それは米国特許第3,907,608号に記載されているようなもっと複雑な組成物であった。その組成物は、クロム酸または等価物、主に亜鉛またはアルミニウムの粒状金属、湿潤剤及び水と高沸点有機液体とを含む液体媒体を含んでいた。この組成物は、米国特許第3,940,280号に開示されているような、例えば水溶性セルロースエーテルなどの粘度調節剤を配合したときに、非常に望ましいコーティング特性を有していた。
【0003】
このコーティングは、アンダーコーティングとして特に有用だったようだ。このように、鉄表面上のアンダーコーティングのようなより複雑なコーティング組成物を使用することが示唆されていた。次いで米国特許第4,365,003号に開示されているように、このコーティングに珪酸塩トップコーティングを施す。使用できるもう一つのトップコーティングは、支持体の溶接可能なプライマー、特に富亜鉛プライマーであり、これは上記米国特許第3,940,280号に記載されているように通常、支持体の電気抵抗溶接前に適用することができる。
【0004】
コーティング組成物が未処理アルミニウムフレークのような粒状金属を含有していた場合、そのようなフレークは水−ベースのコーティング組成物中では不安定であることは公知であった。そのような水−ベースのコーティング組成物では、通常、アルミニウムフレークは組成物中の水と反応して水素ガスを形成する。この問題を避けるための一つのアプローチとして、アルミニウムフレークをコーティングしていた。そのようなコーティングの一つは、米国特許第4,213,886号に開示されているように、アミンヒドロキシル基またはエポキシ基をもつアクリルモノマーとモノ−エチレン性不飽和シランとを反応させることによって形成したアクリルコーティングである。しかしながら、これらの製品は、優れた魅惑的な外観のコーティングを提供するために調整した特製品であって、広く受容されなかった。
【0005】
コーティング組成物を改良するもう一つのアプローチは、クロム酸構成成分を検討することであった。米国特許第4,266,975に示唆されているように、この構成成分は一部ホウ酸成分で置き換えることができる。しかしながら、構成成分としてのクロム酸は幾らかそのままになっている。
【0006】
「ウォッシュプライマー」として参照される特別な型である、金属支持体に錆止めを施すためのコーティング組成物は、慣習的に、クロム酸亜鉛顔料を含んでいた。これらのプライマーに関して、クロムを含まない耐蝕性プライマーを提供し、それによって潜在的な汚染問題を少なくしようと試みられてきた。米国特許第4,098,749号に開示されているように、ポリビニルブチラール樹脂、有機官能性シラン、ホウ酸塩またはポリリン酸塩化合物及びリン酸を含有するコーティング組成物が提案されてきた。この組成物は、任意成分として金属粉末と、通常フェノール樹脂とを含有することができる。しかしながら、このような組成物は、一つにはその樹脂含量のため、微粉金属とクロム-提供物質の上記複合組成物の代替品としては適当ではない。
【0007】
水素化オルガノトリヒドロカーボンオキシシランと粒状金属とを含有するコーティング組成物の製造も提案された。米国特許第4,218,354号に開示されたようなこれらの組成物は、コーティング済支持体に錆止めを施すことができる。しかしながら、使用したシラン類は水−希釈可能ではない。むしろ、有機液体の存在下で反応が起きない限り、これらは水と反応して、直ちにゲルを形成してしまうことがある。従ってこの組成物の有用性が限られていた。
【0008】
近年、米国特許第5,868,819号において、エポキシ官能性シラン類であり、水−希釈可能な組成物の置換分は、金属支持体をコーティングするための組成物の形成に有用であることが示唆された。この組成物は、クロムを含まない系を準備するために種々の成分に依存している。
【0009】
上記の如く、耐蝕性コーティングはアンダーコーティングとトップコーティングとの組合せであることができる。トップコーティングは溶媒−ベースの溶接可能な富亜鉛プライマーであることができる。トップコーティング、例えば、これらの富亜鉛プライマー類に関しては、米国特許第4,476,260号に開示の如く、一種以上の分散剤と共に、亜鉛顔料、熱可塑性または熱硬化性樹脂、オルガノシラン、及び場合によりアルミニウム三水和物を含有するようにプライマーを配合することによってプライマー耐蝕性を促進させることが提案されてきた。そのような組成物は、複雑なアンダーコーティング組成物の代替品として好適ではないが、富亜鉛トップコーティングとしてコーティングの組合せでは有用であろう。
【0010】
従って、複雑なアンダーコーティング組成物が広く受容できるコーティング組成物を提供することが望ましい。さらに、六価クロムを含有する組成物に伴う汚染問題が起きないようにし、並びに溶媒ベースの組成物とならないような、かかる組成物を提供することが望ましい。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、コーティング済スチール部品に所望の耐蝕性を示すコーティングを提供するなど、非常に望ましい特徴をもつ、本明細書中、水−ベースのコーティング組成物と通常参照する、水−希釈可能なコーティング組成物を提供する。耐蝕性に加えて、付着したフィルムは支持体上で所望のコーティング粘着性をもつ。例えば、ねじ込みファスナーなどの小さな、ねじ部品の場合には、コーティングはねじを詰まらせるコーティングでない。本組成物は、水−希釈可能であることに加えてクロムを含有しない。従ってコーティング適用装置は清浄し易く、洗浄液は容易に且つ経済的に処理することができる。本発明のコーティング組成物は、殆ど常に、容易にワンパッケージ組成物とすることができ、これにより製造、貯蔵及び輸送並びに使用が容易である。本組成物はそれ自体に長期貯蔵安定性を与え、最も経済的且つ効率的な組成物を製造するための成分を選択する際に高い適応性を提供することができる。
【0012】
一側面において、本発明は、錆止めを支持体に施すために前記支持体上に適用し、次いで熱硬化するためのクロム非含有の、安定且つ水−希釈可能なコーティング組成物であって、
(A)前記コーティング組成物の約20〜約70重量パーセントを供給する量の水;
(B)低沸点有機液体;
(C)粒状金属;
(D)アルコキシ基を含有する水−希釈可能な、有機官能性シラン結合剤であって、前記コーティング組成物の約3〜約20重量パーセントを占める該シラン結合剤;及び
(E)湿潤剤;
とを含み、但し、前記コーティング組成物の水対シランアルコキシ基のモル比が4.5:1を超えることを特徴とする、前記コーティング組成物に関する。
【0013】
もう一つの側面において、本発明は、通常、一種以上のホウ酸成分及び/または腐蝕抑制置換分(substituent)をさらに含有する上記コーティング組成物に関する。
【0014】
本発明のもう一つの側面は、本明細書に記載したコーティング組成物から付着及び硬化させたフィルムのクロム非含有、耐蝕性コーティングで保護したコーティング済支持体に関する。別の側面では、本発明は、約650゜F(約343℃)以下の温度で、少なくとも約5分間、支持体上に適用した組成物を硬化させる際に、該支持体上に1平方フィート当たり少なくとも約500ミリグラム(mg/ft2) (約5435mg/m 2 )のコーティングを提供するための量で該支持体上に本明細書中に記載したコーティング組成物を適用することによる、耐蝕性コーティング済支持体を製造する方法に関する。
【0015】
さらに別の側面では、本発明は、シラン結合剤と、水性媒体、若しくは有機液体、または水性媒体と有機液体の両方とを予備混合し、次いで得られたプレミックスを、粒状金属を混合して最終コーティング組成物を提供することを含む続く処理で使用することにより、コーティング組成物を製造することに関する。
【0016】
【発明の実施の形態】
支持体に適用するための最終形態に製造した場合、本明細書中で記載するコーティング組成物は、本明細書中、通常、単に「コーティング組成物」または「最終コーティング組成物」という。しかしながら、「水−希釈可能なコーティング組成物(water-reducible coating composition)」と呼ぶこともある。コーティング組成物の「水性媒体」として本明細書中で参照することもある液体媒体の供給に関しては、有機液体と組み合わせて常に水を使用する。本発明の組成物は水で無限に希釈することができると考えられる。このため、本発明の組成物は通常、水-ベースのコーティング組成物と本明細書中で参照するが、いくらか有機液体も存在していると理解される。
【0017】
水は全組成物重量をベースとして少なくとも約20重量パーセントから約70重量パーセントを超えない量で組成物中に存在する。約20重量パーセント未満の水を使用するのは組成物を配合し易くするには非効率的であり得、約70重量パーセントを超える水は適用し易い組成物を提供するのには非効率的である。組成物は希釈し易いと考えられているが、組成物が全組成物重量をベースとして約25重量パーセントから、より通常には約30重量パーセント〜約60重量パーセントの量の水を含むのが効率的且つ経済的であり、好ましい。
【0018】
コーティング組成物液体媒体の有機液体は低沸点有機液体であるが、一部高沸点有機液体が存在してもよく、それ故、液体媒体は前述の混合物を含んでもよい。従前は、実用向きの組成物は重要な成分として高沸点有機液体を含有しなければならないと考えられていた。そのようなことが米国特許第5,868,819号に開示されていた。組成物の安定性などの所望の組成物の特徴を保持しながら、低沸点有機液体を含有する好適なコーティング組成物も製造することができる。低沸点有機液体は、大気圧で約100℃未満の沸点をもち、好ましくは水溶性である。そのような低沸点有機液体としては、アセトン、または低分子量アルコール類、例えば、メタノール、エタノール、n-プロピルアルコール及びイソプロピルアルコールが挙げられ、さらに100℃未満で沸騰するケトン類、例えば、水溶性ケトン類、例えば、メチルエチルケトンが挙げられる。
【0019】
通常、有機液体は、全組成物の重量をベースとして約1〜約30重量パーセントの量で存在するだろう。そのような有機液体が、特に約10重量パーセントを超える量、例えば、15〜25重量パーセントの量で存在すると、コーティングの耐蝕性が促進され得るが、約30重量パーセントを超えて使用すると非経済的になることもある。好ましくは、経済的且つ組成物の製造し易さに関しては、アセトンを低沸点有機液体として供給し、全組成物の約1〜約10重量パーセントの量で配合する。
【0020】
有機液体は通常別個の成分として組成物に提供するが、液体の一部から全部を別の方法で導入することもできると考えられる。金属粒子を有機液体媒体中で金属フレークとして製造した場合、得られた粒状金属はペースト状であることができる。かかるペースト状金属を使用する場合、コーティング組成物に有機液体の一部から全部を供給することができる。例えば、アルミニウムフレークペーストは、25重量パーセントがジプロピレングリコール、高沸点有機液体であり得、全体の組成物に対してかかる1重量パーセントのグリコールを占める。粒状アルミニウムを配合する場合には、アルミニウムフレークぺーストの使用が経済的であり得る。従って、経済的にするには、アルミニウムフレークを含有するこれらの組成物は、通常、高沸点有機液体を含有する混合液体媒体を有することができる。
【0021】
一般的に、代表的な高沸点有機液体は、炭素、酸素及び水素を含有する。これらは、ヒドロキシル、若しくはオキソ、または低分子量エーテル基、即ち、C1-C4エーテル基であり得る少なくとも一つの酸素−含有構成成分を有し得る。水分散性と好ましくは水溶性とが求められているので、高分子量ポリマー性炭化水素類は特に好適ではなく、実用向きの炭化水素類は約15個未満の炭素原子を有し、400以下の分子量を有するのが都合がよい。高沸点有機液体として配合し得る特定の炭化水素類としては、トリ−及びテトラエチレングリコール、ジ−及びトリプロピレングリコール、これらのグリコール類のモノメチル、ジメチル及びエチルエーテル類、低分子量液体ポリプロピレングリコール類、並びにジアセトンアルコール、ジエチレングリコールの低分子量エーテル類、そして前述のものの混合物が挙げられる。組成物の製造の経済性、容易性、及び組成物中の揮発性構成成分を減らす為には、ジプロピレングリコールは好ましい高沸点有機液体であり、全組成物中約1〜約10重量パーセントの量で配合するのが好ましい。有機液体が高沸点有機液体と低沸点有機液体との混合物である場合、そのような混合物はアセトンにジプロピレングリコールを加えることによってなすことができる。
【0022】
コーティング組成物の粒状金属は、通常、微粉砕アルミニウム、マンガン、カドミウム、ニッケル、ステンレススチール、錫、合金鉄、マグネシウムまたは亜鉛などの任意の金属顔料であり得る。粒状金属は、特に亜鉛粉若しくは亜鉛フレークまたはアルミニウム粉若しくはアルミニウムフレークである。粒状金属は、前述の任意のものの混合物であり得、並びにその合金及び合金混合物を含み得る。フレークは微粉金属粉末とブレンドすることができるが、通常、ほんの少量の粉末と混合する。金属粉末は、通常、全ての粒子が100メッシュを通過し、大部分が325メッシュ(本明細書中で使用する「メッシュ」とは、米国標準篩シリーズである)を通過するような粒径をもつ。粉末は通常球状であり、これと対照的にフレークは葉状の特徴をもつ。
【0023】
組成物中で粒状亜鉛とアルミニウムとを混合する場合、アルミニウムは非常に少量、例えば、粒状金属の約2重量パーセント程度の少量〜約5重量パーセントの量で配合することができるが、それでも光った外観を提供する。通常アルミニウムは粒状金属の少なくとも約10重量パーセントを占める。従って、往々にして、そのような組合せ中のアルミニウム対亜鉛の重量比は少なくとも約1:9である。他方、経済的にするためには、アルミニウム対亜鉛重量比が1:1に到達するように、アルミニウムは亜鉛及びアルミニウム全体の約50重量パーセントを超えて存在しない方が都合がよい。コーティング組成物の粒状金属含量は、最良のコーティング外観を保持するために全組成物の重量の約35重量パーセントを超えないが、通常、不変の、所望の光ったコーティング外観を得るために少なくとも約10重量パーセントを配合する。好都合には、アルミニウムを配合する場合には、及び特に他の粒状金属を含まずにアルミニウムを配合する場合には、アルミニウムは全組成物重量の約1.5〜約35重量パーセントを提供するだろう。通常、粒状亜鉛を組成物中に配合する場合、全組成物重量の約10〜約35重量パーセントを提供するだろう。上記の如く、特に金属が液体媒体中でフレーク状で製造された場合、金属は少量の液体、例えば、ジプロピレングリコール若しくはミネラルスピリット、または痕跡量の液体を含むだろう。液体を含む粒状金属は、通常ペーストとして使用され、これらのペーストは他の組成物の構成成分と共に直接使用することができる。しかしながら、粒状金属はコーティング組成物中で乾燥形で使用することもできると考えられる。
【0024】
粒状金属に加えて、水−希釈可能なコーティング組成物中のもう一つの必須成分はシランである。本明細書中で使用する「シラン」または「シラン結合剤」なる用語は、水−希釈可能な、有機官能性シランを意味するものとする。水−希釈可能とは、シランが水で容易に希釈可能でなければならず、好ましくは水で完全に希釈可能であることを意味する。有用なシランは、水希釈の際のゲル化を防いだり、または沈澱が形成しないように水で希釈するときに該シランに補助溶媒を配合しなければならないようなものではない。例えば、米国特許第4,218,354号のオルガノトリヒドロカーボンオキシシラン類など及びメチルトリエトキシシランにより表されるようなシラン類は、補助溶媒と水、例えば、エチレングリコールモノエチルエーテルと水とをブレンドしなければならないので、本明細書中では有用ではない。これらのシラン類の場合、シランと水は、補助溶媒がないと直ちにゲル化するように反応する。この点において、本明細書中で有用なシラン類は非ゲル化性、水−希釈可能なシラン類である。しかしながら、実用的なシラン類は、そのような反応がゲル化または沈澱形成に直ちに進行しないだけで、水と反応可能かもしれない。次いで水と混合してシランを水で希釈し、続いて、悪影響を及ぼす中間状態、例えば、沈澱形成または組成物のゲル化、またはその双方を起こすことなく、他のコーティング組成物の成分と容易に混合することができる。
【0025】
好適なシラン類において、有機官能基は、ビニル、例えば、ビニルトリメトキシシラン、またはメタクリルオキシ、例えば、メタクリルオキシプロピル−トリメトキシシラン及びアミノ、例えば、3-アミノ-プロピルトリメトキシシランによって表すことができるが、優れたコーティング性能並びに組成物安定性に関しては、エポキシ官能基が好ましい。
【0026】
通常、試薬は−Si(OCH3)3官能基、または−Si(OCH2CH3)3若しくは−Si(OCH2CH2CH3)3官能基を含有する。使用したシラン類は、以前は、通常表面処理剤として使用されてきた。本発明の組成物において、これらは結合剤として機能したことが意外にも知見された。このため、これらの結合剤は本明細書中、シラン結合剤と参照されることが多い。これらはまた、内因性の有害な反応に対してコーティング浴を安定化させるためにも機能することができる。シランは、粒状金属を結合し、不動態化して、コーティング組成物浴の安定性を高めるようである。さらに、適用したコーティングにおいて、コーティング粘着力び耐蝕性が改善される。これらの特徴を提供するために、シランは全組成物重量の約3重量パーセント〜約20重量パーセントで存在する。約3重量パーセント未満のシランは、浴安定性並びにコーティング粘着力を都合良く促進するのには不十分である。他方、約20重量パーセントを超えるシランは不経済である。通常、経済的に都合が良く同時に浴安定性を高めるためには、シランは全組成物重量の約5重量パーセント〜約12重量パーセントで存在させる。シランは水性媒体中で都合良く容易に分散可能であり、好ましくはそのような媒体に溶解性である。好ましくは、有用なシランは、エポキシ官能性シラン、例えば、ベータ-(3,4-エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ-シラン、4(トリメトキシシリル)ブタン-1,2エポキシドまたはガンマグリシドキシプロピルトリメトキシシランである。
【0027】
シランは、4.5:1を超える、水対、シラン原子に存在するアルコキシ基のモル比を提供するように水に対する量で配合する。4.5:1以下の割合は、厚く、製造及び使用が困難なコーティング組成物を提供することがある。好都合には、この割合は約5:1を超え、コーティング組成物の製造に最も好ましいのは約6:1を超える割合である。このモル比の場合には、アルコキシ基のモルは、シラン官能基に関して上記した式、例えば、式−OCH3を持つような基である。これらは、本明細書中、カーボンオキシまたはヒドロカーボンオキシ基と参照することもある。
【0028】
粒状金属を分散させ易くするために、「湿潤剤(wetting agentまたはwetter)」として機能する、分散剤、即ち、界面活性剤を本明細書中で添加する。そのような好適な湿潤剤または湿潤剤の混合物としては、非イオン性湿潤剤、例えば、非イオン性アルキルフェノールポリエトキシ付加物が挙げられる。これらの薬剤の代表的な化合物としては、実施例により具体的に記載されるようなものがある。また、アニオン性湿潤剤を使用することができ、これらは最も好都合に制御されたフォーム(foam)アニオン性湿潤剤である。そのような実用的な湿潤剤または湿潤剤の混合物としては、アニオン性湿潤剤、例えば、有機リン酸エステル類、並びにナトリウムビストリデシルスルホスクシネートにより表されるようなジエステルスルホスクシネート類が挙げられる。そのような湿潤剤の量は通常、全コーティング組成物の約0.01〜約3重量パーセントの量で配合される。
【0029】
必須コーティング組成物の成分は、上記成分、即ち、水、低沸点有機液体、粒状金属、シラン結合剤、及び湿潤剤である。コーティング組成物は、追加の成分、例えば、上記高沸点有機液体も含むことができると考えられる。追加の成分として、コーティング組成物は、本明細書中、「ホウ酸成分」または「ホウ素−含有化合物」として通常参照されるもの含むことができる。本明細書中で使用する「成分」または「化合物」という用語に関しては、「ホウ酸」として市販されているオルトホウ酸を使用するのが好都合であるが、オルトホウ酸を加熱し脱水することにより得られた種々の生成物、例えば、メタホウ酸、テトラホウ酸及び酸化ホウ素を使用することも可能である。さらに、通常ほんの少量成分として、それ以上のこともあり得るが、塩を使用することができ、40重量パーセント以下またはそれ以上のホウ酸成分をホウ酸ナトリウム、ホウ酸亜鉛などにより供給することができる。ホウ酸成分は、コーティングの耐蝕性特徴を促進するために、少なくとも約0.1重量パーセントの量で配合すべきである。そのような成分は、組成物の約10重量パーセント以下またはそれ以上の量で存在することができる。好都合には、効率的な錆止めに関しては、本発明の組成物は、約0.2〜約5重量パーセントのホウ酸成分を含有することができ、約0.4〜約0.8重量パーセントが好ましい。
【0030】
本発明の組成物は、最終組成物のpHを調節することができるpH調節剤を含むことができる。通常、pH調節剤を含まない場合には、本発明の組成物は約6〜約7.5のpH範囲である。約7.5を超えるpHでは、得られたコーティングは、コーティング済支持体上での粘着力がひどく欠失しているに違いない。コーティング組成物が製造されるに連れて、組成物が幾つかの成分、しかし全体よりは少ない成分を有する特に一つ以上の段階でのpHは6未満であると考えられる。しかしながら完全なコーティング組成物を製造するとき、特にそれをエージングした後(かかるエージングについては後述する)、組成物は必要なpHに到達するだろう。調節剤を使用する場合には、pH調節剤は通常、アルカリ金属の酸化物及び水酸化物から選択され、優れたコーティング完全性に関して好ましいアルカリ金属はリチウム及びナトリウムであるか、周期律表のIIA族及びIIB族に属する金属の通常、酸化物及び水酸化物から選択され、かかる化合物は、水溶液に溶解性であり、例えば、ストロンチウム、カルシウム、バリウム、マグネシウム、亜鉛及びカドミウムの化合物である。pH調節剤は、別の化合物、例えば、上記金属の炭酸塩または硝酸塩であることもできる。
【0031】
本発明のコーティング組成物は増粘剤を含むこともできる。増粘剤は、米国特許第5,868,819号に記載されているように重要な成分であると考えられてきた。しかしながら、増粘剤を含有しない実用的なコーティング組成物を製造することができ、それにも係わらず貯蔵安定性などの望ましいコーティング組成物の特徴を達成することができることが知見された。従って本発明に関しては、増粘剤は任意の置換分である。配合する場合には、増粘剤は、全組成物重量をベースとして約0.01〜約2.0重量パーセントの量を占める。この増粘剤は、「セロサイズ:Cellosize:商標」増粘剤などの水溶性セルロースエーテルであることができる。好適な増粘剤としては、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチル−ヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロースのエーテル類、またはこれらの物質の混合物が挙げられる。セルロースはコーティング組成物の増粘化を増強させるために水溶性でなければらないが、有機液体に溶解性である必要はない。増粘剤を配合する場合、約0.02重量パーセント未満の増粘剤は、好都合な組成物粘性を付与するのに不十分であるが、約2重量パーセントを超える増粘剤が組成物中にあると、取り扱いが困難な組成物となる高い粘度になってしまうことがある。不都合な高い粘度とすることなく最適に増粘させるためには、全組成物中に約0.1〜約1.2重量パーセントの増粘剤を含むのが好ましい。セルロース系増粘剤の使用が考えられ、増粘剤は本明細書中でセルロース系増粘剤と参照することができるが、増粘剤の一部から全部は別の増粘剤成分であっても良いと考えられる。そのような他の増粘剤の例としては、キサンタンガム、結合増粘剤、例えば、ウレタン結合増粘剤及びウレタン非含有非イオン性結合増粘剤が挙げられ、これらは通常不透明の高沸点(例えば、100℃を超える)液体である。他の好適な増粘剤としては、変性クレー、例えば、選鉱ヘクトライトクレー及び有機的に変性し、活性化したスメクタイトクレーが挙げられるが、これらのものは好ましくない。増粘剤を使用する場合、通常、最後に配合物に添加する。
【0032】
本発明のコーティング組成物は、上記列記したものに加えて、さらに追加の成分を含むことができる。これら他の成分にはリン酸塩を含むことができる。やや可溶形または不溶形であっても、リン−含有置換分は、フェロホス(ferrophos)などの顔料として配合することができる。追加の成分は、防蝕性を増強するためまたは幾らか防食性を付与するため金属コーティング業界でよく使用される、無機塩を含有することができる物質であることが多い。材料としては、硝酸カルシウム、二塩基性リン酸アンモニウム、スルホン酸カルシウム、1-ニトロプロパンリチウムカーボネート(pH調節剤としても有用)等が挙げられるが、使用する場合には、これらは、約0.1〜約2重量パーセントの全混合量でコーティング組成物中でもっとも通常に使用される。腐蝕抑制剤として及びpH調節剤としても使用する炭酸リチウムなどを組み合わせて使用する場合、約2重量パーセントを超えるこのような追加の成分を使用することができる。最も通常には、コーティング組成物はこれらの追加の成分を含まない。
【0033】
上記の如く、本発明の組成物は、本明細書中「クロミウム非含有」としても参照され得る、クロム非含有でなければならない。クロム非含有とは、クロム酸または重クロム酸塩により与えられるようなイオン形のクロムイオン等を含む、三価または六価としてのクロムイオンを含まないのが好ましいことを意味する。六価クロムが存在する場合、好都合には、痕跡量を超えてはならず、例えば、最適環境を考慮する場合には、コーティング1平方フィート当たりクロム0.1ミリグラム未満でなければならない。本発明の組成物は、合金形として存在するか金属間混合物として存在する粒状金属の一部として、例えば金属クロムのように不溶形のクロムを含有すると考えられる。本明細書中で樹脂非含有として記載される場合には、それらは痕跡量の樹脂を除き樹脂を含まないのが好ましいが、そのような組成物は少量の樹脂、例えば、数重量パーセント、例えば、樹脂1〜2重量パーセントを含むことがある。樹脂という用語は、通常、塗料系でバインダーとして使用される合成のポリマー樹脂を意味するが、配合する場合の増粘剤や、シラン結合剤を含むものではない。
【0034】
本発明の組成物は、種々の方法で配合することができる。例えば、濃縮形のシラン結合剤を直接的に使用する代替案としては、前記シランは、希釈剤と混合したシランなどのシランのより希薄予備混合物として使用することができ、希釈剤はコーティング組成物に液体媒体を提供する置換分から選択され、例えば、水、水とホウ酸成分、または水とアセトンを含む低沸点有機液体がある。10重量パーセント程度の少量から、90重量パーセント程度以下またはそれ以上の多量のシランを含有する、得られたシラン含有の、より希薄な予備混合物は、他の組成物成分とブレンドすることができる。さらに、シラン結合剤は、他の必須組成物成分の任意のものと一緒に最初に混合することができると考えられる。従って、液体形、例えば、希釈剤中のシランを、固体または液体形の他のコーティング組成物成分と混合することができる。しかしながら、シランはだいたいどんな組成物にも配合することができ、その後、粒状金属をその組成物に添加する。
【0035】
コーティング組成物の製造法の追加の例としては、前駆体混合物は、湿潤剤と一緒に配合することができ、さらに粒状金属を含むことができる有機液体から製造することができる。本明細書中、「前駆体混合物」と参照するそのような前駆体混合物は、通常、前駆体混合物100重量部をベースとして、約25〜約40重量部の有機液体、約4〜約8重量部の湿潤剤を含有し、残余は粒状金属である。この前駆体混合物100重量部に対して、好ましくは、上記記載のより希釈した予備混合物中などの水で希釈した、十分量のシラン結合剤を添加して、最終コーティング組成物の重量をベースとして約3〜約20重量パーセントの薬剤を提供することができる。シラン結合剤を添加した後、組成物をさらに希釈して、最終コーティング組成物重量をベースとして約70重量パーセント以下の水性媒体を含有するようにすることができる。
【0036】
組成物の成分を一緒にする際に、包装の構想、並びに、いかにしてコーティング組成物を製造するかに関する配合の考察を考慮に入れることができる。かくして、他の組成物予備混合物中にはコーティング組成物成分の全部よりも少量を配合することができると考えられる。そのようなものとしては、例えば、湿潤剤、または湿潤剤とホウ酸成分、または水性媒体とホウ酸成分が挙げられる。そのような予備混合物は、水性媒体を任意に含み、且つ有機液体を任意に含む液体で製造することができる。代表的な予備混合物は、包装に関して以下に特記する。予備混合物は、有機液体、湿潤剤及び粒状金属の上記前駆体混合物とブレンドすることができると考えられる。予備混合物は樹脂非含有であり得る。樹脂を含まない予備混合物は、時折、便宜上、「予備ブレンドしたプレミックス」という。上記前駆体混合物、並びに種々の予備混合物は、貯蔵若しくは輸送、またはその両方の為の個別包装として製造することができると考えられる。
【0037】
貯蔵安定性を考慮すると、本発明の組成物は、常に全コーティング組成物成分のワンパッケージ配合物であるのが好ましい。しかしながら、上記の如く、成分の粒状金属、有機液体及び湿潤剤を含有する前駆体混合物を製造し、次いで個別包装することもできると考えられる。シラン結合剤などの成分と、全て液体媒体であってもよい湿潤剤及びホウ酸成分の一方または両方と一緒に予備ブレンドしたパッケージとして他の成分も利用可能である。このパッケージは、考えられる上記予備混合物の一つを構成することができる。湿潤剤が配合され及びホウ酸が任意に配合される場合、このパッケージは、全パッケージ重量を100パーセントとした以下の重量パーセントでそのような成分:約15〜約60パーセントのシラン、0〜約10パーセント(通常約2〜約6パーセント)ホウ酸成分、0〜約5パーセントの腐蝕抑制剤、約10〜約30パーセントの湿潤剤、0〜約15パーセントの増粘剤及び、残余の、例えば、約20〜約30パーセントの液体(例えば、有機液体)を含むことができる。パッケージは、これに添加する十分量の水を含み、水を含有するパッケージの重量をベースとして約50重量パーセント以上の量であるが、より通常には30重量パーセント以下の水性媒体を提供することができる。
【0038】
最終コーティング組成物、並びに別々の予備ブレンドしたパッケージは、濃縮形で製造することができると考えられる。従って、水は約20重量パーセントの量でコーティング組成物中に配合することができるが、本明細書中、直前に記載したパッケージ配合物は5重量パーセントの少ない量から20重量パーセント未満の水で製造することもできる。その後、パッケージを追加の水とブレンドして、最終コーティング組成物中で約70重量パーセントの水となるようにすることができる。
【0039】
粒状アルミニウムを本発明のコーティング組成物中で使用する場合、特に粒状亜鉛と粒状アルミニウムの双方を使用する場合、上記包装に関する考察を変形することができる。そのような亜鉛とアルミニウムとの組合せを使用して、包装することが可能な、100重量パーセントの全混合物重量とするために約10〜15パーセントの湿潤剤、約2〜5パーセントのホウ酸成分、約15〜35パーセントのシラン結合剤及び、残余の水性媒体の混合物で出発するのが最も好ましい。次いで、この混合物に、粒状金属、通常、フレークとして例えば亜鉛フレークを分散させることができる。追加の水性媒体を添加することができ、これにより得られた金属−含有分散液は、いずれも得られた金属−含有分散液の全重量をベースとして、約25〜約45重量パーセントの粒状金属と約40重量パーセントだけの量から約60重量パーセント以下の水性媒体を含有することができる。
【0040】
通常、追加のパッケージ前駆体ブレンドを別個に製造して、最終コーティング組成物に粒状アルミニウムを導入する。この粒状アルミニウムは一般的にアルミニウムフレークであるが、フレーク状の他の金属(例えば、亜鉛フレーク)もこの前駆体ブレンド中にアルミニウムと一緒に配合することができると考えられる。この追加のパッケージは、約20〜約35重量パーセント(通常約25〜約30重量パーセント)のシラン結合剤、約20〜約35重量パーセント(通常約25〜約30重量パーセント)の有機液体、及び約30〜約50重量パーセント(通常約35〜約45重量パーセント)の粒状アルミニウム、例えばフレーク形のアルミニウムを含有して、この追加のパッケージの全体で100重量パーセントを提供することができる。次いで、通常、約5重量パーセント〜約20重量パーセントのこの追加のパッケージを、約80〜約95重量パーセントの上記記載の金属−含有分散液と混合して、通常、粒状亜鉛とアルミニウムフレークの最終コーティング組成物を製造する。
【0041】
ワンパッケージ配合物として製造する場合、最終コーティング組成物は非常に望ましい貯蔵安定性を持つ。このことは、シランの結合能力が長期の貯蔵期間の間に組成物の他の成分との有害な反応から粒状金属を保護することを立証している。水−希釈可能な系で粒状金属には例えば、粒状亜鉛を含有する水性組成物のガス発生などの反応問題が認識されていたので、そのような長期の貯蔵安定性は予想外のことであった。しかしながら、単一パッケージとして貯蔵した後でさえも、本発明の組成物は、開封して、素早く撹拌するなどしてコーティング用途のために製造し、そして迅速に適用することができる。得られたコーティングは望ましい耐蝕性及び、新しく製造した組成物から適用したコーティングの他のコーティング特徴も備えることができる。
【0042】
コーティング組成物の浴を製造する場合、このブレンドをエージングするのが望ましいことが知見された。エージングはよりよいコーティング性能を提供するのに役立つ。通常、ブレンドのエージングは少なくとも1時間であり、好都合には少なくとも約2時間から約7日以上である。1時間未満のエージングでは望ましい浴特徴を発現させるのには不十分であるが、7日を超えるエージングでは非経済的である。
【0043】
新しく製造したであろうと貯蔵後であろうと、最終コーティング組成物は、ディップドレン及びディップスピン方法を含む、例えば、浸漬方法等の種々の方法により適用することができる。部品と部品とが適合する場合、コーティングはカーテンコーティング、ブラシコーティングまたはローラーコーティング及び上記の組合せにより適用することができる。スプレー法並びに、スプレーとスピン及びスプレーとブラシ法との組合せを使用することも考えられる。広範囲を冷却することなく、ディップスピン、ディップドレンまたはスプレーコーティングなどの方法により、高温のコーティング済製品をコーティングすることができる。
【0044】
保護支持体は、任意の支持体、例えば、セラミックまたは同様の支持体であることができるが、金属支持体、例えば、亜鉛若しくは鉄、例えばスチール支持体が最も好ましく、そのような任意の支持体がコーティング用の熱硬化条件に堪えることが考慮すべき重要な点である。「亜鉛」支持体なる用語は、亜鉛若しくは亜鉛合金の支持体、または亜鉛若しくは亜鉛合金によりコーティングされたスチールなどの金属、並びに金属間混合物中に亜鉛を含有する支持体を意味するものとする。同様に、支持体の鉄は、合金または金属間混合物形であることができる。特にそのようなものが最も通常には鉄支持体である、金属支持体の場合、これらは、アンダーコーティングを適用する前にクロム酸塩またはリン酸塩処理により予備処理することができる。このように、支持体は、約50〜約100mg/ft2 (約543〜約1087mg/m 2 )のリン酸鉄コーティングまたは約200〜約2,000mg/ft2 (約2174mg/m 2 〜約21.74g/m 2 )の量のリン酸亜鉛コーティングを有するように予備処理することができる。
【0045】
コーティング組成物を支持体に適用した後、最良の耐蝕性を得るためには続いて、適用したコーティングを熱硬化するのが好ましい。しかしながら、揮発性コーティング物質は、例えば、硬化前の乾燥により、適用したコーティングから初期に簡単に蒸発させることができる。乾燥後の冷却は省くことができる。予備硬化として参照されることもある、そのような乾燥温度は約100゜F(約38℃)から本質的には約250゜F(約121℃)を超えない範囲であり得る。乾燥時間は、約2〜約25分のオーダーであり得る。
【0046】
適用したコーティング組成物を含有する支持体に関しては、該支持体上の組成物を、熱空気オーブン硬化により硬化させるが、他の硬化方法、例えば、赤外線ベーキング及び誘導硬化等を実施することができる。コーティング組成物は、例えば約450゜F(約232℃)のオーダーの、通常より高い、オーブン空気温度などの高温で熱硬化させる。通常、硬化では、少なくとも約450゜F(約232℃)のピーク金属温度としての支持体温度を提供する。オーブン空気温度は、例えば、650゜F(約343℃)のオーダーのより高温であることができるが、経済的にするには、支持体温度は約450゜F(約232℃)を超えてはならない。熱空気対流オーブン中などでの硬化は、数分間実施することができる。硬化時間は5分未満であることができるが、より通常には約10〜約40分のオーダーである。二つ以上のコーティングを提供する場合または続いて適用し、熱硬化したトップコーティングを使用する場合には、硬化時間及び温度を変動させることができると考えられる。このように、より長い硬化時間で高温のベーキングを受けるトップコーティングまたは一つ以上の追加のコーティングを適用する場合には、短い時間及び低い温度の硬化を使用することができる。また、二つ以上のコーティングを適用したり、熱硬化可能なトップコーティングを適用する場合には、第一のコーティング、またはアンダーコーティングは、上記の如く乾燥するだけでよい。次いで第二のコーティング、または熱硬化トップコーティングを適用後、硬化を続行することができる。
【0047】
金属支持体上の得られたコーティング重量は、かなりの程度に変動することができるが、500mg/ft2 (5435mg/m 2 )を超えるコーティングを提供する量で通常存在する。これよりも少ない量では、所望の優れた耐蝕性が得られない。好都合なことに、コーティング済支持体上に約1,000mg/ft2 (約10.87g/m 2 )を超えるコーティングがあると、最も一般的には約2,000〜5,000mg/ft2 (約21.74〜54.35g/m 2 )のコーティングが存在すると、最良の耐蝕性が示される。このコーティングには、通常、約400mg/ft2〜約4,500mg/ft2 (約4348mg/m 2 〜約48.91g/m 2 以下)の粒状金属が存在する。
【0048】
使用前に、コーティング済支持体を、例えば、シリカ物質でトップコーティングすることができる。本明細書中でトップコーティングに関して使用する「シリカ物質」なる用語は、珪酸塩及びコロイドシリカの双方を含むものとする。コロイドシリカには、溶媒ベース並びに水性系の双方のものが含まれ、水性ベースのコロイドシリカは経済的であるので最も都合がよい。通常、そのようなコロイドシリカは追加の成分、例えば、増粘剤、例えば、約5重量パーセント以下の上記水溶性セルロースエーテルを含むことができる。また、少量、例えば、20〜40重量パーセント、通常少量のコロイドシリカを、コロイドアルミナで置き換えることができる。一般的に、コロイドシリカを使用するのは、アンダーコーティング済支持体材料の上のシリカ物質の重質トップコートに備えるためである。50重量パーセント以下の固体を含有するコロイドシリカを使用すると考えられるが、通常、トップコーティングのスプレーを適用する場合には、もっと濃厚シリカを希釈するだろう。
【0049】
トップコーティング用シリカ物質が珪酸塩であるとき、かかる珪酸塩は有機であっても無機であってもよい。有用な有機珪酸塩としては、珪酸アルキル、例えば、珪酸エチル、プロピル、ブチル及びポリエチル、並びに珪酸アルコキシル、例えば、珪酸エチレングリコールモノエチルが挙げられる。経済的理由から最も通常には、有機珪酸塩は珪酸エチルである。好都合には、無機珪酸塩は最も経済的に且つ耐蝕性能に関して使用することができる。これらは通常、水溶液として使用するが、溶媒ベースの分散液も使用することができる。珪酸塩と本明細書中で使用する際に、「溶液」なる用語は、真の溶液とヒドロゾルとを含むものとする。好ましい無機珪酸塩は、ナトリウム、カリウム、リチウム及びナトリウム/リチウムの組合せ、並びに他の関連する組合せを含む水溶性の珪酸塩である水性珪酸塩である。代表例として珪酸ナトリウムを参照すると、SiO2対Na2Oのモル比は通常1:1〜4:1を変動する。最良の効率及び経済的な面では、シリカ物質としては水性ベースの珪酸ナトリウムが好ましい。トップコーティングとしてのシリカ物質の使用については、本明細書中、参照として含まれる米国特許第4,365,003号に記載されている。
【0050】
他の成分、例えば、湿潤剤及び着色剤をシリカ物質トップコーティング組成物に配合することができ、該組成物は、所望によりクロム置換分を含むことができるが、全くクロムを含まないコーティングを提供するために上記定義の如くクロム非含有であることができる。配合することができる物質としては、さらに増粘剤及び分散剤並びにpH調節剤が挙げられるが、そのような成分は、通常、強いコーティング強度と共に優れたコーティング組成物安定性に備えるために、全体でトップコーティング組成物の約5重量パーセントにならず、通常それ未満である。シリカ物質トップコーティングは、コーティング組成物と共に使用するための上記の種々の方法の任意のもの、例えば、ディップドレン及びディップスピン法を含む浸漬法により適用することができる。
【0051】
どんなコーティング方法によっても、トップコートは、約50mg/ft2 (約543mg/m 2 )を超えるコーティング済支持体量で存在しなければならない。経済的な面からは、硬化トップコーティングのトップコート重量は、約2,000mg/ft2 (約21.74g/m 2 )のコーティング済支持体を超えない。この範囲は硬化シリカ物質トップコーティングに関する。好ましくは、最良のコーティング効率及びシリカ物質トップコート経済に関しては、トップコートは、約200〜約800mg/ft2 (約2174〜約8696mg/m 2 )の硬化珪酸塩トップコーティングを提供する無機珪酸塩である。
【0052】
シリカ物質トップコート硬化に関しては、通常、使用した特定のシリカ物質に従った硬化条件を選択する。コロイドシリカに関しては、風乾で十分であろうが、全てのシリカ物質に対しては、効率的には高温硬化が好ましい。高温硬化の前には、例えば、風乾などの乾燥を実施することができる。乾燥前に関係なく、例えば、約150゜F(約66℃)〜約300゜F(約149℃)のオーダーの低い硬化温度は、コロイドシリカ及び有機珪酸塩に有用である。無機珪酸塩に関しては、通常、約300゜F(約149℃)〜約500゜F(260℃)のオーダーの温度で実施する。通常、ピーク金属温度として、約150゜F(約66℃)から約800゜F(約427℃)またはそれ以上のオーダーの硬化温度が有用であり得る。より高温では、硬化時間は約10分と早くすることができるが、20分以下のより長い硬化時間がより通常である。また、水−希釈可能なコーティング組成物の硬化により物品が高温のまま、物品をシリカ物質トップコートでトップコートすることができる。そのようなトップコーティングは、スプレーコートまたはディップドレン、即ち、高温の物品をトップコート組成物に浸漬することにより実施することができ、これにより物品をクエンチすることができる。トップコーティング組成物から取り出す際、物品の水気を切ることができる。操作によってトップコートの一部から全部を硬化することができる。
【0053】
使用前に、水−希釈可能なコーティング組成物由来のコーティングを備えたコーティング済支持体は、任意の他の好適なトップコーティング、即ち、エレクトロコーティングプライマー及び溶接可能なプライマー(例えば、電気抵抗溶接前に通常適用することができる富亜鉛プライマー)を含むプライマーまたは塗料でさらにトップコーティングすることもできる。例えば、米国特許第3,674,331号には、粒状の、導電性顔料(例えば、亜鉛)を含有するプライマートップコーティングは、もう一つのコーティング組成物で最初にコーティングする金属支持体用に非常に実用的であることが既に示されている。他のトップコーティング塗料はバインダー中に顔料を含むことができるか、例えば、通常、セルロースラッカー、レジンワニス、及び例えば、キリ油ワニスなどのオレオレジンのワニスなど顔料を含まないことができる。塗料は溶媒で希釈することができるか、またはこれらは、変性若しくは溶解性アルキド類などの水溶性樹脂またはラテックスなどのように水で希釈することができるか、塗料は、ポリエステル類またはポリウレタン類などの反応性溶媒を含むことができる。使用し得る追加の好適な塗料としては、油性塗料、例えば、フェノール樹脂塗料、溶媒希釈アルキド類、エポキシド類、アクリル類、ビニル、例えば、ポリビニルブチラール、及び油ワックスタイプのコーティング、例えば、アマニ油−パラフィン蝋塗料が挙げられる。
【0054】
特に、水−希釈可能なコーティング組成物由来のコーティングのコーティング済支持体は、エレクトロコーティングによる塗料付着用に特に好適な支持体を形成することができる。フィルム形成性物質の電着は公知であり、一種以上の顔料、金属粒子、乾燥用油、染料、増量剤などを含み得る浴中で単にフィルム−形成性物質の電着を含むことができ、浴は分散液またはみかけ(ostensible)の溶液などであることができる。フィルム形成性物質として有用な公知の樹脂の幾つかの例としては、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、アクリレート樹脂、炭化水素樹脂、及びエポキシ樹脂が挙げられ、そのような物質は、エチレングリコール、一価アルコール類、エーテル類及びケトン類などの炭化水素を含む有機ポリマー及び/または有機モノマーと反応することができる。
【0055】
多官能性アミノ化合物で可溶化することができるポリカルボン酸樹脂が特に重要であり、さらにジビニルベンゼンなどと反応することができる乾燥力のある油−変性多塩基酸、エステル類若しくは無水物またはアクリル酸及びエステル類並びに重合可能なビニルモノマー類が挙げられる。さらに、重要な物質は、アノードに付着したフィルム形成性物質である。しかしながら、フィルム形成性物質の電着には、浴の中に電流を通す種々の方法によりアノードまたはカソード物質上のそのような物質の付着が含まれる。電着し、浴からコーティング済支持体を取り出した後、フィルム形成性物質を硬化させることができる。硬化の時間及び温度は、含まれるフィルム形成性物質に依存するが、通常、室温における空気硬化、または500゜F(260℃)以下の温度及び60分以下の時間、より低い温度での強制硬化である。
【0056】
特に重要な追加のトップコートは、クエンチコーティングにより適用されるコーティングである。このように、水−希釈可能なコーティング組成物からのコーティングを備えたコーティング済支持体を、上記の如く、水−希釈可能なコーティングの熱硬化後、シリカ物質トップコーティングに関してクエンチコーティングに進ませることができる。そのように水性樹脂溶液と接触させることによる高温で物品をクエンチコーティングすることは、特願昭53/14746号で議論されていた。好適な樹脂溶液としては、アルキド、エポキシ、メラミン及び尿素樹脂が挙げられる。
【0057】
例えば、米国特許第4,555,445号では、好適なトップコーティング組成物が着色化分散液またはエマルションであることも示唆されている。これらの例としては、液体媒体中のコポリマー分散液並びに好適な蝋の分散液及び水性エマルションを挙げることができる。物品はこれらの組成物中でトップコーティングすることができ、この物品は、例えば、適用した水−希釈可能なコーティングの硬化後、ディップドレンまたはスプレーコーティング操作を含む方法により高温である。そのようなクエンチコーティング操作により、さらに加熱することなく、全てのトップコーティング硬化を実施することができる。ポリマー溶液、エマルション及び分散液、並びに加熱浴を使用するクエンチコーティングも、米国特許第5,283,280号で議論されていた。
【0058】
特に重要なもう一つのトップコートは、自己付着コーティングである。コーティングの自己付着により、金属物品の上にラテックスベースのコーティングフィルムが施される。このプロセスでは外部電圧は適用しない。米国特許第3,592,699号では、好適なポリマーラテックス、酸化剤、フッ素イオン及び約2.5〜3.5にpHを保持するための十分量の酸の浴からコーティングを適用することが示唆されている。そのような酸性組成物として配合すると、浴は、コーティング付着用の駆動力として金属溶解を使用することができる。近年、米国特許第5,300,323号は、ホウ酸などの添加剤を含有する水性フッ化水素溶液で亜鉛表面を予備処理することを示唆している。このことにより、自己付着コーティングの間のピンホール形成がなくなりやすい。
【0059】
コーティング前に、徹底的に清浄し且つ脱ガスすることによって、支持体表面から異物を除去することが殆どの場合に於いて賢明である。脱ガスは、公知の薬剤、例えば、メタ珪酸ナトリウム、苛性ソーダ、四塩化炭素、トリクロロエチレンなどを含有する薬剤で実施することができる。洗浄と温和な研磨処理とを組み合わせた市販のアルカリ清浄組成物を、清浄、例えば、水性リン酸三ナトリウム−水酸化ナトリウム清浄溶液用に使用することができる。清浄に加えて、支持体は、清浄+エッチング、または清浄+ショットブラストにかけることができる。
【0060】
以下の実施例は、本発明の実施方法を示すものであるが、本発明を限定するものではない。実施例において、以下の方法を使用した。
試験パネルの製造
他に特記しない限り、試験パネルは、冷間圧延した、低カーボンスチールパネルである。スチールパネルは、清浄溶液中に最初に浸漬することによってコーティング用に製造することができる。金属清浄溶液は、水1ガロン当たり5オンスの、リン酸三カリウム25重量パーセントと水酸化カリウム75重量パーセントの混合物を含有することができる。このアルカリ浴は、約150゜F(約66℃)〜約180゜F(約82℃)の温度で保持される。溶液清浄後、研磨剤を含浸させた合成繊維の多孔質繊維状パッドである清浄パッドでパネルを磨くことができる。その後、磨いたパネルを水で濯ぎ、清浄溶液に再び浸漬した。溶液から取り出した後、パネルを水道水で濯ぎ、好ましくは乾燥する。
試験部品へのコーティングの適用及びコーティング重量
実施例に於いて他に記載しない限り、清浄部品は通常、コーティング組成物中に浸漬し、それから取り出して、時々ゆっくりと振って過剰の組成物を落とし、次いで直ちにベーキング若しくは室温風乾するか、コーティングが指触乾燥状態になるまで適温で予備硬化させて、そしてベーキングすることによりコーティングする。ベーキング及び予備硬化は、実施例に特記した温度及び時間で熱空気対流式オーブン中で続けた。
【0061】
通常、表面積の単位当たりの重量として表されるパネルのコーティング重量は、通常、公知の表面積のパネルを選択し、コーティング前にそれを秤量することによって決定する。パネルをコーティングした後、パネルを秤量し、表面積の選択した単位当たりのコーティング重量、たいてい1平方フィート当たりのミリグラムとして表されるコーティング重量(mg/ft2)を単純計算により得た。
コーティング粘着性試験
この試験は、試験パネルのコーティング済表面に対して粘着剤でコーティングしたテープのストリップを手で押し付けて、次いでテープを素早く剥がすことにより実施する。コーティングは、標準試験パネルの状態と比較して、テープ上に粘着剤により除去されたコーティング量に従って定性的に評価する。
耐蝕性試験 (ASTM B117) 及び格付け
コーティング済部品の耐蝕性は、塗料及びワニスASTM B-117に関する標準的な塩スプレー(霧)試験によって測定する。この試験において、部品を一定温度に保持したチャンバ内に設置し、そこで部品を指定時間、5パーセント塩溶液の微細スプレー(霧)に暴露し、水で濯ぎ、次いで乾燥する。試験部品の腐蝕程度を赤錆のパーセントとして表すことができる。
【0062】
【実施例】
実施例1
脱イオン水18.9重量部に、ブレンドを続けながら、ガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン3重量部とオルトホウ酸0.6重量部を穏やかに添加した。3時間撹拌を継続した後、この混合物に脱イオン水をさらに29.2重量部と、分子量396及び20/20℃における比重1.0298を有する非イオン性、エトキシル化ノニルフェノール湿潤剤(nenw)1.5重量部並びに分子量616及び20/20℃における比重1.057を有するnenw 1.5重量部とを含有する湿潤剤ブレンドを添加した。次いで、この混合物に、さらに上記シラン2重量部、アセトン4.1重量部及び1-ニトロプロパン0.7重量部を添加した。この混合物に、亜鉛フレークペースト35.2重量部を添加した。フレーク状の亜鉛は約0.1〜約0.5ミクロンの粒子厚さと、約80ミクロンの不連続粒子の長い方の寸法を有していた。次いでこれらの全成分の総量を、1分間当たり約960回転(rpm)で操作するカウル(Cowles)溶解機を使用して約3時間すり砕いた。
【0063】
得られた微粉化混合物に、1時間撹拌し続けながら、ナトリウムビストリデシルスルホスクシネートアニオン性界面活性剤0.4重量部を添加し、次いで、さらに一晩混合し続けて試験コーティング浴を準備した。この浴を6日間エージングし、次いで混合しながら、追加のガンマ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン2.9重量部を添加した。得られたコーティング組成物は、水対シランアルコキシ基のモル比26.7:1であった。
【0064】
上記の清浄な3×5インチ(7.62×12.7cm)の試験パネルを上記の如くコーティングし、このパネルを1分当たり3インチ(7.62cm)の速度でコーティング組成物から取り出した。それぞれのパネルを、オーブン空気温度150゜F(約66℃)で10分間予備硬化し、オーブン空気温度600゜F(約316℃)で30分間硬化した。この方法では全て上記の記載の如く実施した。得られたパネルは全て、魅力的な外観の滑らかな、灰色のコーティングであった。次いで、代表的なパネルを上記耐蝕試験にかけた。試験96時間後、パネルを試験から抜き取った。パネルには可視的な赤錆はなかった。次いで、上記の如く測定した、2,408mg/ft2 (26.17g/m 2 )のコーティング重量のもう一つのパネルを上記コーティング粘着性試験にかけた。パネルは許容可能な粘着性があることが知見された。
【0065】
貯蔵安定性試験に関しては、得られたコーティング組成物を蓋付き容器中で室温で8日間貯蔵した。上記のエージングをさらに6日間延長して、試験コーティング組成物に関しては総計で14日間エージングした。これらの追加の8日間、視覚検査、撹拌、並びにパネルのコーティングにより浴安定性を試験した。浴安定性は、視覚検査及び撹拌のいずれに於いても許容可能であることが判明した。さらに、上記の如く測定した、2,121mg/ft2 (23.05g/m 2 )のコーティング重量のコーティング済パネルを上記の如く記載したコーティング粘着性試験にかけたが、望ましいコーティング粘着性を示した。
実施例2
最初の部分の相違点、湿潤剤ブレンドが分子量396の湿潤剤0.6重量部と分子量616の湿潤剤0.9重量部とを含有していた以外には、実施例1のコーティング組成物の製造を繰り返した。続く相違点は、亜鉛ペーストの代わりに、乾燥亜鉛フレーク32.4重量部を使用したことであった。最後に6日間のエージング後、シラン2.9重量部を添加するのと共に、水を3重量部以上と、任意成分としてヒドロキシプロピルメチルセルロース増粘剤0.15重量部を添加した。得られたコーティング組成物は、水対シランアルコキシ基のモル比29:1であった。
【0066】
上記の清浄な3×5インチ(7.62×12.7cm)の試験パネルをパネル上にコーティング組成物を注ぎ、次いでコーティング済パネル上にワイヤを曲げたドローダウンバーを降ろして均一コーティングを提供した。それぞれのパネルをオーブン空気温度1150゜F(約66℃)で10分間予備硬化し、次いでオーブン空気温度600゜F(約316℃)で30分間硬化した。この方法では全て上記の記載の如く実施した。得られたパネルは全て、魅力的な外観の滑らかな、灰色のコーティングであった。次いで、代表的なパネルを上記コーティング粘着性試験にかけた。パネルは許容可能な粘着性があることが知見された。
【0067】
貯蔵安定性試験に関しては、浴を蓋付き容器中で室温で21日間貯蔵した。21日後、浴安定性を視覚検査、撹拌、並びにパネルのコーティングにより試験した。浴安定性は、視覚検査及び撹拌のいずれに於いても許容可能であることが判明した。さらに、コーティング済パネルを上記耐蝕性試験にかけたが、新しく製造した浴から得られたコーティングと匹敵し得る耐蝕性を示した。さらにコーティング粘着性試験にかけたコーティング済パネルは、望ましいコーティング粘着性を示した。
Claims (22)
- 支持体に適用し、その上で熱硬化させて前記支持体に耐蝕性を施すための安定且つ水−希釈可能な、クロム非含有で樹脂非含有のコーティング組成物であって、
(A)前記コーティング組成物の20〜70重量パーセントを供給する量の水;
(B) 大気圧で100℃未満の沸点を有する低沸点有機液体;
(C)粒状金属;
(D)アルコキシ基を含有する水−希釈可能な、有機官能性シラン結合剤であって、前記コーティング組成物の3〜20重量パーセントを占める該シラン結合剤;及び
(E)湿潤剤;
を含み、但し、前記コーティング組成物は4.5:1を超える水対シランアルコキシ基のモル比を有することを特徴とする、前記コーティング組成物。 - 前記水が前記コーティング組成物の25重量パーセントを超える量で存在し、前記組成物は5:1を超える水対シランアルコキシ基のモル比を有する、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記組成物が6を超え7.5までのpH範囲であり、30重量パーセントを超える量の水を含有し、水対シランアルコキシ基のモル比が6:1を超える、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記有機液体が全組成物重量をベースとして1〜30重量パーセントの量で存在し、前記低沸点有機液体が、低分子量アルコール類、水溶性ケトン類、アセトン及びその混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記粒状金属が金属粉末、金属フレーク、または金属粉末と金属フレークとの混合物であり、前記金属粉末が全ての粉末が100メッシュよりも微粉砕されているような粒径をもち、前記粒状金属は、亜鉛、アルミニウム、合金及び亜鉛またはアルミニウムの金属間混合物並びに上記成分の混合物の一種以上である、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記組成物が全組成物重量をベースとして1.5〜35重量パーセントの粒状金属フレークを含有し、粒状金属粉末を少なくとも実質的に含まない、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記シランが水−希釈可能な、非−ゲル化シランであり、ビニル、メタクリルオキシ、アミノ、エポキシまたはそれらの混合物の一つ以上の有機官能基を持つ、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記シランが水−希釈可能な、エポキシ官能性シランであり、前記シランは、ベータ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシ-シラン、4(トリメトキシシリル)ブタン-1,2−エポキシド、及びガンマ-グリシドキシプロピルトリメトキシシランの一種またはその混合物であり、前記シランが全組成物重量をベースとして5〜15重量パーセントの量で存在する、請求項7に記載のコーティング組成物。
- 前記成分(A)、(B)、(C)、(D)及び(E)の全てがワンパッケージ中に存在する、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 前記組成物が全組成物重量をベースとして0.01〜3重量パーセントの前記湿潤剤を含有し、前記湿潤剤が非イオン性湿潤剤、アニオン性湿潤剤または湿潤剤混合物である、請求項1に記載のコーティング組成物。
- 全組成物重量をベースとして0.05〜2.0重量パーセントの増粘剤をさらに含有する請求項1に記載のコーティング組成物であって、前記増粘剤がセルロース性増粘剤、キサンタンガム、変性クレー、結合性増粘剤、及びそれらの混合物からなる群から選択される、該コーティング組成物。
- 0.2〜1.2重量パーセントの増粘剤を含む請求項11に記載のコーティング組成物であって、前記増粘剤が、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、メチルエチルセルロース、及びその混合物からなる群から選択されるセルロース性増粘剤である、該コーティング組成物。
- 全組成物重量をベースとして0.1〜10重量パーセントのホウ酸成分をさらに含有する請求項1に記載のコーティング組成物であって、前記ホウ酸成分は、オルトホウ酸、メタホウ酸、テトラホウ酸及び酸化ホウ素、並びにそれらの混合物からなる群から選択される、該コーティング組成物。
- 前記組成物がさらに全組成物重量をベースとして0.1〜2.0重量パーセントの腐蝕-防止剤を含み、前記腐蝕-防止剤が、硝酸カルシウム、二塩基性リン酸アンモニウム、スルホン酸カルシウム、1−ニトロプロパンリチウムカーボネート、及びそれらの混合物からなる群から選択される、請求項1に記載のコーティング組成物。
- さらに高沸点有機液体を含有する請求項1に記載のコーティング組成物であって、前記高沸点有機液体は、トリ-及びテトラエチレングリコール、ジ-及びトリプロピレングリコール、これらのグリコール類のモノメチル、ジメチル、及びエチルエーテル類、液体ポリプロピレングリコール類、ジアセトンアルコール、ジエチレングリコールの低分子量エーテル類並びに上記のものの混合物からなる群から選択されるオキソヒドロキシ液体である、該コーティング組成物。
- 粒状金属を含有する、請求項1に記載のコーティング組成物からのクロム非含有、耐蝕性コーティングで保護されたコーティング済支持体であって、前記コーティングは前記支持体上に500から5,000mg/ft2以下(5435mg/m 2 から54.35g/m 2 以下)の硬化コーティングを提供する量で前記支持体上に確立され、前記コーティングは400から4,500mg/ft2以下(4348mg/m 2 から48.91g/m 2 以下)の硬化コーティングの量の粒状金属を含有し、前記コーティングは400゜F(204℃)〜650゜F(343℃)の範囲の温度で少なくとも5分間加熱することにより前記支持体上で熱硬化されている、前記コーティング済支持体。
- 前記コーティング済支持体がトップコーティングによりさらにトップコーティングされている、請求項16に記載のコーティング済支持体。
- 前記コーティング済支持体が、液体媒体中にシリカ物質を含有する、耐水性保護コーティングに硬化し得る実質的に樹脂を含まないトップコーティング組成物でさらにトップコーティングされており、前記トップコーティングは硬化コーティング中に50mg/ft2 (543mg/m 2 )を超えるシリカ物質のコーティング済支持体を提供するのに十分な量で適用する、請求項17に記載のコーティング済支持体。
- 前記トップコーティングは150゜F(66℃)〜1,000゜F(538℃)の範囲の温度で少なくとも10分間加熱することにより硬化されており、前記トップコーティングは硬化コーティング中に2,000mg/ft2 (21.74g/m 2 )を実質的に超えない前記シリカ物質を提供し、前記トップコーティングは、コロイドシリカ、有機珪酸塩及び無機珪酸塩の一種以上からのシリカ物質を提供する、請求項18に記載のコーティング済支持体。
- 前記コーティング済支持体が、エレクトロコートプライマー、自己付着コーティングまたはクエンチコーティングトップコートの一種以上のトップコーティング組成物でさらにトップコーティング化されている、請求項17に記載のコーティング済支持体。
- クロム非含有、粒状金属含有、水−希釈可能なコーティング組成物からのコーティングで保護された耐蝕性コーティング済支持体の製造法であって、請求項1に記載の粒状金属含有コーティング組成物を前記コーティング組成物として、硬化させたときに、前記コーティング済支持体上に500〜5,000mg/ft2 (5435mg/m 2 から54.35g/m 2 以下)の硬化コーティングを提供するのに十分な量で適用し、次いで650゜F(343℃)以下の温度で少なくとも5分間前記支持体上で適用したコーティング組成物を硬化させることを含む、前記方法。
- 支持体に適用し、その上で熱硬化させて前記支持体に耐蝕性を施すための請求項1に記載のクロム非含有、水−希釈可能なコーティング組成物の製造法であって、シラン結合剤を含む混合物と、有機液体及び水の一種以上とを一緒にブレンドすることにより予備混合物を最初に製造し、次いで得られた予備混合物と粒状金属とを混合することを含む、前記方法。
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